説明

電子メール返信確認装置,方法,およびプログラム

【課題】 電子メールで回答要求された場合の返信の有無を容易に確認できる装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 電子メール返信確認装置1は,受信メールを取得する受信メール受信部101,取得した受信メールを解析して本文から回答要求と回答期限を抽出し,返信状態が未返信のステータスを含む返信確認情報を返信管理情報記憶部105に保存する受信メール解析部102,解析済み受信メールをクライアントに送信する受信メール送信部106,返信管理情報をもとに未返信の回答要求の情報があればクライアントで表示させるアラートを生成するアラート表示部124を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子メール返信確認装置,方法,およびプログラムに関する。より詳しくは,本発明は,受信された電子メールで要求されている返信の有無をユーザに確認させるためのデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在,電子メールは,その利便性や迅速性からビジネス分野において必要不可欠なコミュニケーション手段となっている。電子メールによって,問い合わせ事項や確認事項などに対する回答を求められるという状況も多くなっている。
【0003】
電子メールが一般的になるにつれ,電子メールの流通量が増大するため,返信が要求されている電子メールが多数の受信メール中に埋没して読み逃されるという状況が生じている。また,回答期限の管理が電子メールの送信と連動していない場合には,返信済みの入力が必要となるなどして,期限管理が曖昧となり,結局返信を忘れるという状況が生じている。
【0004】
このように,回答要求を含む電子メールの読み逃しや,これに対する返信忘れなどは,
円滑なコミュニケーションの阻害や,回答催促などの無駄な作業の発生による事務効率の低下などが問題となっている。かかる問題は,重要なビジネスチャンスを逸したり,重大なトラブルを招来したりするなどの可能性もあるため,電子メールの読み忘れや返信忘れは,できる限り回避しなければならない。
【0005】
従来手法として,電子メールのタイトルをもとに受信した電子メールを自動的に複数のフォルダに振り分け,回答が必要な電子メールを特定のフォルダに格納して管理する技術が知られている。
【0006】
また,別の従来手法として,受信した電子メールから返信の要求を示す記号を検出した場合に,一定の期間後を回答期限にしたスケジュールを管理し,回答期限の到来をユーザに報知する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−173701号公報
【特許文献2】特開2006−172079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動的に電子メールを特定のフォルダに振り分けて要返信を管理する従来手法では,受信した電子メールの本文内に回答を求める内容が含まれていても,タイトルに回答要求が表現されていなければ,適切に振り分けられない恐れがある。
【0009】
また,回答期限のスケジューリングを管理して,ユーザに返信を催促する従来手法では,以前として,返信忘れの防止について,依然,次のような問題点がある。
【0010】
(a)組織内の一律な対応の困難さ
企業や団体などの組織内では,各人が様々なメールソフトを使用しており,返信有無の管理について一律な対応が困難な状況となっている。したがって,メールソフトに依存することなく,組織内での返信有無の確認を一律に行える仕組みが必要である。
【0011】
(b)返信有無の判断精度の低さ
従来では,回答を求めている受信メールに対して返信操作による送信がなされたことをもって,返信有無が判断されていた。しかし,電子メールの利用形態によっては,返信の有無が判断できない場合があった。
【0012】
・ 正受領者(電子メールの宛先(To:)アドレスのユーザ)が,回答要求の電子メールを第三者に転送し,返信を代理してもらう場合に,正受領者に対する電子メールにもとづく返信処理とならないため,返信されたかを判断することができなかった。
【0013】
・ 1つの電子メール内に複数の回答期限が設定された回答要求が含まれている場合に,1つの事項に返信すると返信済みと判断されるため,未回答の事項について返信があったかを判断することができなかった。
【0014】
以上のように返信の有無を確実に判断できない場合があるため,返信忘れを防止することができない場合があった。
【0015】
本発明は,上記課題に鑑みてなされたものであり,要求されている返信(回答)の有無を,より精度よく判断し,未返信の回答要求に対する情報を表示して,ユーザが返信の有無を簡単に確認することができる装置を提供することを目的とする。また,前記装置で実行される方法,およびコンピュータを前記装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される電子メール返信確認装置は,1)回答要求,回答期限または回答を示す意味情報を定義したマッチ規則を記憶するマッチ規則記憶部と,2)返信管理情報を記憶する返信管理情報記憶部と,3)アラート管理情報を記憶するアラート管理情報記憶部と,4)メールサーバから受信メールを取得する受信メール受信部と,5)前記受信メールの本文に対する言語解析を行い,前記マッチ規則に一致する意味情報を持つ部分を抽出する言語解析部と,6)前記受信メールを解析し,該受信メールの本文から抽出された部分が示す回答要求の内容,該回答要求の回答期限,前記受信メールの識別情報,および該回答要求に対する返信の状態を示すステータスを含む返信管理情報を生成して前記返信管理情報記憶部に保存し,前記受信メールに前記識別情報を付加する受信メール解析部と,7)前記識別情報が付加された解析済みの受信メールを,クライアントのメールソフトへ送信する受信メール送信部と,8)前記返信管理情報記憶部に記憶された返信管理情報のステータスに未返信が存在する場合に,回答要求の未返信が存在することを示す情報を前記クライアントで表示させるためのアラートを生成するアラート表示部とを備える。
【発明の効果】
【0017】
開示される電子メール返信確認装置によれば,受信した電子メールから抽出された回答要求に対して未返信であることを,アラートの表示によってユーザに確認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一態様として開示する電子メール返信確認装置の一実施例における構成例を示す図である。
【図2】マッチ規則記憶部に記憶されるマッチ規則の例を示す図である。
【図3】返信管理情報記憶部の例を示す図である。
【図4】アラート管理情報記憶部の例を示す図である。
【図5】アラート表示データの例を示す図である。
【図6】マッチ規則生成処理の処理フロー例を示す図である。
【図7】回答要求抽出処理の処理フロー例を示す図である。
【図8】ステップS21の解析処理の処理フロー例を示す図である。
【図9】回答要求表現リストの例を示す図である。
【図10】結果リストの例を示す図である。
【図11】ステップS108のマッチ規則によるマッチング処理の具体例を示す図である。
【図12】ステップS108のマッチ規則によるマッチング処理の具体例を示す図である。
【図13】ステップS108のマッチ規則によるマッチング処理の具体例を示す図である。
【図14】ステップS108のマッチ規則によるマッチング処理の具体例を示す図である。
【図15】ステップS109の要返信日付を求める処理の具体例を示す図である。
【図16】返信有無確認処理の処理フロー例を示す図である。
【図17】返信有無確認処理の処理による返信管理情報の変更例を示す図である。
【図18】ステップS33のメール解析処理の処理フロー例を示す図である。
【図19】送信メールの解析処理の結果リストの例を示す図である。
【図20】アラート管理処理の処理フロー例を示す図である。
【図21】アラート管理情報表示処理の処理フロー例を示す図である。
【図22】電子メール返信確認装置が処理する受信メールの例を示す図である。
【図23】電子メール返信確認装置が処理する受信メールの例を示す図である。
【図24】電子メール返信確認装置が処理する送信メールの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は,本発明の一態様として開示する電子メール返信確認装置の一実施例における構成例を示す図である。
【0020】
電子メール返信確認装置1は,電子メール処理プログラム(メールソフト)と,電子メール(以下単にメールという)の送信/受信を行うメールサーバとの間において動作する。電子メール返信確認装置1は,ユーザに返信有無を確認させ,未返信を気づかせるために,ユーザ宛の受信メールのヘッダおよび本文から回答要求の有無を検出し,ユーザが送信する送信メールを,回答要求している受信メールと対応付けて返信(回答)の有無を判断し,未返信であれば,その回答要求に関する情報を示すアラートを表示する装置である。
【0021】
電子メール返信確認装置1は,受信メール受信部101,受信メール解析部102,言語解析部103,マッチ規則記憶部104,返信管理情報記憶部105,受信メール送信部106,送信メール受信部110,送信メール解析部111,送信メール送信部112,アラート管理部121,スケジューラ122,アラート管理情報記憶部123,アラート表示部124,マッチ規則設定部130を備える。
【0022】
受信メール受信部101は,メールソフト3のメール受信要求をトリガに,ユーザのメールアドレスを宛先とする受信メールを,メールサーバ2を介して受信する処理部である。
【0023】
受信メール解析部102は,受信メールを解析して,受信メールに回答要求があるかを検出し,検出した回答要求に関する返信管理情報を生成して,返信管理情報記憶部105へ保存する処理部である。
【0024】
返信管理情報は,受信メールから検出された,回答期限(要返信日付)ごとの回答要求に関する情報であり,例えば,回答要求の識別情報,受信日付,タイトル(Subject:),回答期限を示す要返信日付,返信されたかを示すステータスなどの情報を含む。
【0025】
言語解析部103は,受信メール本文の言語解析を行って,受信メールの本文から,マッチ規則記憶部104に記憶されているマッチ規則に一致する部分を抽出する処理部である。
【0026】
マッチ規則記憶部104は,受信メールの本文に含まれる回答要求,回答期限,回答を意味する部分を抽出するためのマッチ規則を記憶する記憶部である。
【0027】
マッチ規則は,自然言語テキストデータから特定の意味を示す箇所を抽出するために,一致させたい言語表現(語句)の意味構造を定義する情報である。マッチ規則は,回答要求を示す言語表現(語句)の意味構造を定義し,または,一致してはならない言語表現の意味構造も定義する。
【0028】
返信管理情報記憶部105は,返信管理情報を記憶する記憶部である。本実施形態では,返信管理情報記憶部105は,返信管理テーブルとして実施される。
【0029】
受信メール送信部106は,解析済みの受信メールをメールソフト3へ送信する処理部である。なお,メールソフト3は,メールの生成,送受信,表示などを行うプログラムである。
【0030】
送信メール受信部110は,メールソフト3から送信予定の送信メールを受信する処理部である。
【0031】
送信メール解析部111は,送信メールを解析して,送信メールが,回答要求していた受信メールとどのような関係となるかを判断し,受信メールから抽出した回答要求に関する返信管理情報を更新する処理部である。
【0032】
送信メール送信部112は,解析済みの送信メールをメールサーバ2へ送信する処理部である。
【0033】
アラート管理部121は,返信管理情報記憶部105を参照し,受信メールから抽出された回答要求の回答期限を管理し,未返信である回答要求について,回答期限までの期間を含むアラート情報を生成してアラート管理情報記憶部123へ保存する処理部である。
【0034】
アラート管理情報記憶部123は,アラート管理情報を記憶する記憶部である。本実施形態では,アラート管理情報記憶部123は,アラート管理テーブルとして実施される。
【0035】
アラート表示部124は,返信管理情報記憶部105またはアラート管理情報記憶部123を参照し,ユーザが使用するコンピュータに,未返信の回答要求があることを表示させたり,未返信の回答要求の内容を各回答期限までの期間に応じた表示態様で表示させたりする処理部である。
【0036】
マッチ規則設定部130は,マッチ規則記憶部104に記憶されているマッチ規則の生成や変更などを行う処理部である。
【0037】
図2は,マッチ規則記憶部104に記憶されるマッチ規則の例を示す図である。
【0038】
図2に示すマッチ規則は,動詞(句)にもとづく意味構造パターンであって,回答要求を示す文の構成要素(述部)を示すものである。具体的には,回答(ANSWER)または返信(REPLY)をする表現(述語),回答や返信を要求する表現(命令),回答期限を示す表現(時間)などの意味構造を表している。また,マッチ規則では,一致してはならない表現として,回答または返信の否定を示す表現(否定)の意味構造を示す定義も含まれる。
【0039】
図3は,返信管理情報記憶部105の例を示す図である。
【0040】
返信管理情報記憶部105である返信管理テーブルは,「識別子,受信日付,タイトル,参照文,要返信日付,ステータス,転送先,リマインドチェック」などのデータ項目を有する。
【0041】
「識別子」は,受信メールから抽出された回答要求の識別情報である。識別子は,例えば,受信メールに挿入される識別ヘッダ「X−Remind−Mail:」の値を用い,受信メールのヘッダから抽出したメッセージIDと,検出した回答要求の要返信日付とを連結した値(<“Message−Id”>+“yyyymmdd(要返信日付)”)とする。
【0042】
「受信日付」は,受信メールを受信した日付および時刻情報である。
【0043】
「タイトル」は,受信メールのタイトル(Subject:)から抽出した文字列である。
【0044】
「参照文」は,受信メールの本文に対する言語解析において,マッチ規則と一致した箇所,すなわち回答要求を意味する文(文字列)として抽出された箇所(文字列)である。
【0045】
「要返信日付」は,受信メールの本文から抽出された参照文に含まれる回答要求の回答期限を示す日付情報である。
【0046】
「ステータス」は,受信メールから抽出された回答要求に対する返信の状態を示す情報である。ステータスの値として,「未返信,回答済み,一部回答(回答日変更も含む),転送」などがある。ステータスの値は,受信メールから回答要求が検出された時点(初期状態)では,「未返信」をとり,送信メールの解析結果に応じて,更新される。
【0047】
「転送先」は,送信メールが,受信メールの転送である場合の転送先メールアドレスである。
【0048】
「リマインドチェック」は,管理されている回答要求に対するリマインダを受信していることを示すフラグである。なお,リマインドチェックは,フラグ情報の他,リマインドメールの受信回数を示す数値であってもよい。
【0049】
図3(A)は,返信管理テーブルの一部であり,返信管理情報であるレコードとして,受信メール解析により回答要求が抽出された場合のレコード例である。
【0050】
図3(B)は,受信メールが,図3(A)に示すレコードの回答要求に対するリマインダである場合のレコードである。「リマインドチェック」に,リマインダが受信されていることを示すフラグ(レ点)が設定されている。
【0051】
図4は,アラート管理情報記憶部123の例を示す図である。
【0052】
アラート管理情報記憶部123であるアラート管理テーブルには,返信が終了していない回答要求に関する情報が格納される。アラート管理テーブルは,「識別子,受信日付,タイトル,ステータス,要返信日付,経過日数」などのデータ項目を有する。
【0053】
「識別子,受信日付,タイトル,ステータス,要返信日付」は,返信管理テーブルのレコード(返信管理情報)から転記される。
【0054】
「経過日数」は,処理時点(本日)での,回答期限までの期間を示す値dが記録される。経過日数dは,電子メール返信確認装置1のOSのカレンダ機能やスケジューラ122の機能によって取得された処理時点(本日)の日付情報から,回答期限である要返信日付まで何日間が経過しているかを示している。
【0055】
経過日数dが1以上である場合は,処理時点で回答期限(要返信日付)を過ぎていることを示し,経過日数dが0である場合は,処理時点が回答期限であることを示す。経過日数dがマイナスの数値である場合は,処理時点から回答期限まで1日以上の余裕があることを示す。
【0056】
図5は,アラート表示データの例を示す図である。
【0057】
図5に示す例は,図4に示すアラート管理テーブルにもとづいて生成されたアラート表示データの例である。
【0058】
アラート表示データでは,「アラート番号,受信日時,タイトル,ステータス,要返信日付,色設定」などのデータが設定される。「アラート番号,受信日時,タイトル,ステータス,要返信日付」は,アラート管理テーブルのレコードをもとに生成される。
【0059】
「色設定」は,そのアラートの表示色が設定される。表示色は,アラート管理テーブルの経過日数にもとづいて設定される。経過日数dが1以上の場合に警告色(赤色)が,経過日数dがゼロの場合に注意色(黄色)が,経過日数dが−1以下の場合に確認色(緑色)が,それぞれ設定される。
【0060】
図5に示すアラート表示データでは,番号=1のレコードは,元となるアラート管理テーブルのレコードの経過日数d=3であるので色設定が警告色となる。よって,番号=1の回答要求に関する情報は,赤色で表示され,ユーザに回答期限が超過していることを警告することができる。
【0061】
また,番号=2のレコードは,アラート管理テーブルの経過日数d=0であるので,色設定が注意色となる。番号=2の回答要求に関する情報は,黄色で表示され,ユーザに,本日が回答期限であるとの注意喚起をすることができる。
【0062】
また,番号=3,4のレコードは,経過日数dが−1以下であるので,色設定が確認色となる。番号=3,4のレコードは,緑色で表示され,ユーザに,回答期限は到来していないが,返信が必要なメールがあることを確認させることができる。
【0063】
アラート表示データには,転送された受信メールに含まれる回答要求も含めることができる。その場合に,転送先の情報をアラート表示データに含めることにより,ユーザに,その回答要求に関する受信メールの転送先を確認させることができる。
【0064】
次に,マッチ規則生成処理を説明する。
【0065】
図6は,マッチ規則生成処理の処理フロー例を示す図である。
【0066】
マッチ規則設定部130は,ユーザやマッチ規則管理者などが入力した表現リストを取得する(ステップS10)。表現リストは,解析処理で,受信メールの本文からマッチ規則に一致する表現(語句)として抽出させたいもののリスト情報であり,例えば,「ご返信ください/修正してください/返答をお願いします/…」などの語句を含む。
【0067】
マッチ規則設定部130は,表現リストからマッチさせたい表現mを1つずつ取り出し,以下のステップS12〜S15の処理を繰り返して,終了する(ステップS11,S16)。
【0068】
マッチ規則設定部130は,表現mを形態素解析して解析結果r1を得て(ステップS12),さらに,解析結果r1を構文解析して解析結果r2を得る(ステップS13)。マッチ規則設定部130は,解析結果r2を意味解析し,解析した表現mの意味構造を解析結果r3として出力する(ステップS14)。そして,マッチ規則設定部130は,解析結果r3(意味構造)をマッチ規則sとしてマッチ規則記憶部104に追加する(ステップS15)。
【0069】
次に,受信メールからの回答要求の抽出処理を説明する。
【0070】
図7は,回答要求抽出処理の処理フロー例を示す図である。
【0071】
受信メール受信部101が,メールソフト3のメール受信要求をトリガにして,メールサーバ2から受信メールを受信する(ステップS20)。
【0072】
受信メール解析部102は,受信メールの解析処理を行う(ステップS21)。解析処理の詳細は,図8を用いて後述する。
【0073】
受信メール解析部102は,受信メールの解析処理の結果(結果リスト)をもとに,受信メールに回答要求が含まれているか(要返信フラグ=1であるか)を判定する(ステップS22)。要返信フラグ=1であれば(ステップS22のY),受信メール解析部102は,結果リストから,管理する返信日(記録されている要返信日付)の個数を確認する(ステップS23)。
【0074】
さらに,受信メール解析部102は,結果リストに記録されている受信メールのタイトル,本文から抽出された文,要返信日付などから,受信メールがリマインドメールであるかを判定する(ステップS24)。受信メールがリマインドメールでなければ(ステップS24のN),ステップS25の処理へ進み,受信メールがリマインドメールであれば(ステップS24のY),ステップS29の処理へ進む。
【0075】
ステップS25で,受信メール解析部102は,受信メールの結果リストに記録されている,要返信日付ごとの情報(回答要求情報inq)を1つ取り出し,ステップS26〜S27の処理を繰り返す(ステップS25,S28)。
【0076】
受信メール解析部102は,取り出した回答要求情報inqにもとづく返信管理情報(レコード)を返信管理テーブルに追加し,結果リストのメッセージIDと回答要求情報inqの要返信日付とを連結した値をレコードの「識別子」に記録する(ステップS26)。
【0077】
さらに,受信メール解析部102は,返信管理テーブルのレコードの「受信日付」に処理日の日付を,「タイトル」に受信メールのタイトルを,「参照文」に,回答要求情報inqの問い合わせ文を,「要返信日付」に回答要求情報inqの要返信日付をそれぞれ記録する。さらに,受信メール解析部102は,返信管理テーブルのレコードの「ステータス」に未返信(初期値)を記録して,返信管理テーブルを更新する(ステップS27)。
【0078】
ステップS29で,受信メール解析部102は,受信メールの結果リストに記録されている,要返信日付ごとの情報(回答要求情報inq)を1つ取り出し,ステップS210〜S212の処理を繰り返す(ステップS29,S213)。
【0079】
受信メール解析部102は,返信管理テーブルを取得し(ステップS210),結果リストに記録されているタイトル,回答要求情報inqの問い合わせ文および要返信日付が一致するレコードを検索し,レコードの「ステータス」が回答済みであるかを調べる(ステップS211)。ステータスが回答済でなければ(ステップS211のN),該当するレコードの「リマインドチェック」にフラグを設定し(図3(B)参照),返信管理テーブルを更新する(ステップS212)。
【0080】
その後,受信メール解析部102は,解析済みの受信メールを受信メール送信部106に渡し,受信メール送信部106がメールソフト3へ受信メールを送信する(ステップS214)。
【0081】
図8は,ステップS21の解析処理の処理フロー例を示す図である。
【0082】
受信メール解析部102は,受信メールを解析して,メッセージID,タイトル(Subject:の文字列),送信日時,メール本文などの必要な情報を抽出し,メッセージID,タイトル,送信日時を結果リストに追加する(ステップS100)。
【0083】
次に,受信メール解析部102は,抽出したメール本文から,発信元を表示する部分であるシグネチャや引用文の部分を除去し,文字列tを抽出する(ステップS101)。受信メール解析部102は,シグネチャの範囲を示す記号や所定の表現形式をもとにシグネチャの部分を特定し除去する。さらに,受信メール解析部102は,引用文を示す行先頭の記号(>)や全文引用の範囲の開始を示す行(>----Original Message---)をもとに該当する範囲を特定し除去する。
【0084】
次に,受信メール解析部102は,各行の文字列tについて,行の最後の制御記号(区切り記号)を削除し,次の行の文字列tと連結し,連結した文字列を,読点(。)の位置で区切り,区切った各文を文切りリストlistに記録する(ステップS102)。
【0085】
言語解析部103は,文切りリストlistの文から,予め用意されている回答要求表現リストに記述されている語句を含む文を取り出し,取り出した文bについて,ステップS104〜S111の処理を繰り返す(loop1:ステップS103,S113)。
【0086】
図9は,回答要求表現リストの例を示す図である。
【0087】
回答要求表現リストは,回答(ANSWER)や返信(REPLY)の要求を表現する語句のリストであり,例えば,「要返信日」,「要回答日」,「要返事」などが記述されている。
【0088】
言語解析部103は,文切りリストlistの文bに形態素解析を行って結果r1を得て(ステップS104),さらに,結果r1を構文解析して結果r2を得る(ステップS105)。さらに,言語解析部103は,結果r2を意味解析して意味構造を出力し,結果r3とする(ステップS106)。
【0089】
次に,言語解析部103は,マッチ規則記憶部104の各マッチ規則sについて,ステップS108〜S111の処理を繰り返す(loop2:ステップS107,S112)。
【0090】
言語解析部103は,マッチ規則sと結果r3とが一致するかを判定する(ステップS108)。マッチ規則sが示す意味構造と結果r3の意味構造とが一致すると判定された場合に(ステップS108のY),受信メール解析部102は,結果r3から,回答要求情報inqを抽出する(ステップS109)。
【0091】
回答要求情報inqは,結果r3に対応する文b,すなわちメール本文内で回答要求を意味する「問い合わせ文」と,文bや関連部分から抽出された回答期限を示す「要返信日付」と,リマインダチェックとを含む。回答要求情報inqは,要返信日付ごとに抽出される。
【0092】
受信メール解析部102は,結果r3に対応する文の「述部」に関連する時間表現(例えば,「○月○日まで」,「今月末まで」,「今週中」,「来週火曜日まで」など)から,電子メール返信確認装置1またはスケジューラ122が備えるカレンダ機能によって,その表現が示す日付(yyyy年mm月dd日)を特定して,要返信日付とする。
【0093】
受信メール解析部102は,返信管理情報記憶部105を参照して,結果r3にもとづく「問い合わせ文」と「要返信日付」と一致するレコードがすでに存在する場合に,受信メールをリマインドメールであると判断し,「リマインダチェック」に,リマインドメールを示す値を設定する。
【0094】
受信メール解析部102は,結果r3に関する回答要求情報inqを,結果リストに追加し(ステップS110),さらに,要返信フラグ=1を設定する(ステップS111)。
【0095】
マッチ規則sと結果r3とが一致すると判定されなかった場合に(ステップS108のN),次のマッチ規則sについて,S103の処理へ戻る。
【0096】
図10は,結果リストの例を示す図である。
【0097】
結果リストは,受信メールのメッセージID,タイトル,送信日付とともに,本文の解析によって得た要返信日付ごとの回答要求情報inq(問い合わせ文,要返信日付,リマインダチェック),要返信フラグを含む。「送信日付」は,受信メールの送信日付および時刻情報である。「要返信フラグ」は,回答要求があるかを示すフラグであり,要返信フラグ=1は,回答要求があることを示す。
【0098】
図11〜図14は,ステップS108のマッチ規則によるマッチング処理の具体例を示す図である。
【0099】
図11は,受信メールの本文に文b「返信お願いいたします」が含まれている場合の例である。
【0100】
図11(A)に示す文bに対する言語解析によって,図11(B)に示す意味構造が結果r3として抽出される。マッチ規則s(図2参照)と結果r3とを比較すると,両者の意味構造が一致するので,回答要求があると判断され,要返信フラグ=1となる。
【0101】
図12は,受信メールの本文に文b「返信しなくて結構です」が含まれている場合の例である。
【0102】
図12(A)に示す文bに対する言語解析によって,図12(B)に示す意味構造が結果r3として抽出される。マッチ規則s(図2参照)と結果r3とを比較すると,マッチしてはならない部分の「否定」が一致するので,回答要求ではないと判断され,要返信フラグを初期状態のままとする。
【0103】
図13は,受信メールの本文に文b「4月28日までに返事ください」が含まれている場合の例である。
【0104】
図13(A)に示す文bに対する言語解析によって,図13(B)に示す意味構造が結果r3として抽出される。マッチ規則s(図2参照)と結果r3とを比較すると,両者の構造が一致するので,回答要求があると判断され,要返信フラグ=1となる。
【0105】
さらに,文bが含む「期限」を示す要素の「時間」から,「月=4」,「日=28」が抽出される。カレンダ機能によって,抽出結果が,「年=2011(現在年),月=4,日=28,曜日=木曜日」であると判断され,要返信日付は「2011年4月28日(木曜日)」となる。
【0106】
図14は,受信メールの本文に文b「来週火曜日までに返事ください」が含まれている場合の例である。
【0107】
図14(A)に示す文bに対する言語解析によって,図14(B)に示す意味構造が結果r3として抽出される。マッチ規則s(図2参照)と結果r3とを比較すると,両者の構造が一致するので,回答要求があると判断され,要返信フラグ=1となる。
【0108】
さらに,文bが含む「期限」を示す要素「時間」から,「曜日=火曜日」と,「曜日=火曜日」を修飾する「来週」とが抽出される。カレンダ機能によって,現在日付(例えば,2011年4月5日とする)を参照し,抽出結果が,「年=2011(現在年),月=4,日=12,曜日=火曜日」であると判断され,要返信日付は「2011年4月12日(火曜日)」となる。
【0109】
図15は,ステップS109の要返信日付を求める処理の具体例を示す図である。
【0110】
図15(A)の例では,受信メールの本文に,回答期限を示す「2011年4月21日(火)」が含まれているとする。
【0111】
受信メールの本文に対する言語解析によって,図15(B)に示す意味構造が抽出される。カレンダ機能によって,抽出結果が,「年=2011,月=4,日=21,曜日=火曜日」であると判断され,要返信日付は「2011年4月21日(火曜日)」となる。
【0112】
以上のとおり,受信メールの解析処理によって,受信メールの本文から回答要求を抽出した場合には,受信メールおよび抽出した回答要求の内容を示す返信管理情報が,返信管理情報記憶部105に記憶される。
【0113】
次に,送信メールからの返信有無確認処理を説明する。
【0114】
図16は,返信有無確認処理の処理フロー例を示す図である。
【0115】
送信メール受信部110が,メールソフト3から,送信メールを受信する(ステップS30)。
【0116】
送信メール解析部111は,送信メールのタイトルを取得する(ステップS31)。
【0117】
送信メール解析部111は,取得したタイトルから返信や転送を示す記号(RE:,FW:)を除去し,返信管理テーブルに,取得したタイトルとほぼ一致するタイトルを含むレコードがあるかを調べる(ステップS32)。ここで,ほぼ一致とは,例えば,タイトルから前記の記号を除去した文字列が,返信管理テーブルの「タイトル」と完全に一致,または,一定の割合以上の部分が一致することをいう。
【0118】
返信管理テーブルにタイトルがほぼ一致するレコードがあれば(ステップS32のY),ステップS33の処理へ進み,一致するレコードがなければ(ステップS32のN),ステップS310の処理へ進む。
【0119】
送信メール解析部111は,送信メールを解析し,送信メールと,返信管理テーブルに記録されている,タイトルがほぼ一致するレコードに示されている回答要求との関係を判定する(ステップS33)。
【0120】
続いて,送信メール解析部111は,結果リストの各回答情報rplについて,ステップS35〜S38の処理を繰り返す(ステップS34,S39)。
【0121】
送信メール解析部111は,送信メールを解析した結果リストのステータスが「回答済み」であれば(ステップS35のY),図17(A)に示すレコード例のように,該当するレコードの「ステータス」を「回答済み」へ更新する(ステップS38)。また,送信メール解析部111は,結果リストのステータスが「回答日変更」であれば(ステップS36のY),図17(B)に示すレコード例のように,返信管理テーブルの該当するレコードの「ステータス」を「一部回答」へ更新し,「要返信日付」を,結果リストの回答変更日付に更新する。さらに,送信メール解析部111は,結果リストのステータスが「転送」であれば(ステップS37のY),図17(C)に示すレコード例のように,返信管理テーブルの該当するレコードの「ステータス」を「転送」へ更新し,「転送先」に結果リストの送信先アドレスを記録する。なお,送信メール解析部111は,レコードの「ステータス」を「未返信」のままにしてもよい。
【0122】
結果リストの「ステータス」が「回答済み,回答日変更,転送」のいずれにも該当しない場合には(ステップS35のN,S36のN,S37のN),ステップS310の処理へ進む。すなわち,送信メール解析部111は,返信管理テーブルの該当するレコードの「ステータス」を更新せず,「ステータス」は「未回答」のままとなる。
【0123】
その後,送信メール解析部111は,解析済みの送信メールを送信メール送信部112へ渡し,送信メール送信部112は,受け取った送信メールをメールサーバ2へ送信する(ステップS310)。
【0124】
なお,ステップS31〜S32の処理において,送信メール解析部111は,送信メールから識別ヘッダを検出し,返信管理テーブルに,検出した識別ヘッダの値と一致するレコードがあるかを調べてもよい。
【0125】
図18は,ステップS33のメール解析処理の処理フロー例を示す図である。
【0126】
送信メール解析部111は,結果リストを初期化し(ステップS200),送信メールを解析し,送信メールから,送信先アドレス,タイトル,メール本文などの必要な情報を抽出し,結果リストに,送信先アドレス,タイトルを追加する(ステップS201)。ここで,タイトルに,返信を示す記号(RE:)や転送を示す記号(FW:)が付加されている場合には,それらの記号が除去されて追加される。
【0127】
送信メール解析部111は,メール本文から,シグネチャや全文引用文の部分を除去し,残りの本文から文字列tを抽出する(ステップS202)。
【0128】
続いて,言語解析部103が,ステップS203,205〜S207の繰り返し処理(loop1:ステップS204,S213)を行う。ステップS203,S205〜S207の処理は,図8に示す処理フローのステップS102,S104〜S106の各処理と同様であるので,説明を省略する。
【0129】
その後,言語解析部103は,マッチ規則記憶部104の各マッチ規則sについて,ステップS209〜S211の処理を繰り返す(loop2:ステップS208,S212)。
【0130】
言語解析部103は,マッチ規則sと結果r3とが一致するかを判定する(ステップS209)。
【0131】
マッチ規則sの意味構造と結果r3の意味構造とが一致すると判定された場合に(ステップS209のY),送信メール解析部111は,結果r3から,回答情報rplを抽出する(ステップS210)。
【0132】
送信メール解析部111は,マッチ規則sと結果r3とが一致する場合には,文bは,回答を示す文であるので,送信メールが回答を含むと判断する。そして,送信メール解析部111は,文bの回答に対応する引用文(受信メールの問い合わせ文)であって先頭の引用記号を除去したもの(引用文)と,ステータス=回答済みとを含む回答情報rplを生成する。
【0133】
送信メール解析部111は,結果r3に対応する文bに,回答や返信に係る「時間」がある場合には,回答期限に変更があると判断する。送信メール解析部111は,文bの「時間」をもとに回答日変更日付を特定し,文bに対応する引用文,ステータス=回答日変更,カレンダ機能によって特定した回答日変更日付とを含む回答情報rplを生成する。
【0134】
または,送信メール解析部111は,マッチ規則sと結果r3とが一致し,送信メールの送信先アドレスが,第三者のメールアドレスである場合には,回答要求されている問い合わせ文の転送であると判断する。送信メール解析部111は,文bに対応する引用文,ステータス=転送を含む回答情報rplを生成する。
【0135】
次に,送信メール解析部111は,結果リストに生成した回答情報rplを追加する(ステップS211)。
【0136】
図19は,送信メールの解析処理の結果リストの例を示す図である。
【0137】
回答情報rplは,送信メールから抽出した,送信先アドレス,タイトル,結果r3に対応する引用文ごとの回答情報rplを含む。
【0138】
以上説明したメール解析により得た返信管理情報により,より精度よく返信の有無を確認することができる。
【0139】
・ 送信メールが,受信メールに対する返信処理により生成されている場合には,送信メールの引用部分に含まれる識別ヘッダの値で,受信メールの回答要求と送信メールによる返信とを簡単に対応づけることができ,より精度よく返信有無を管理することができる。
【0140】
・ 送信メールが,受信メールの本文を引用して新規生成されている場合には,送信メールのタイトルで,受信メールの回答要求と送信メールによる返信(回答)とを対応づけることができ,より精度よく返信有無を管理することができる。
【0141】
・ 送信メールが回答期限の変更を示すものである場合には,変更された回答日を回答期限として管理することができる。
【0142】
・ 送信メールに回答日変更が含まれる場合や複数の回答要求の一部に対する回答が含まれる場合には,変更された回答日や未回答の回答日を回答期限として管理することができる。
【0143】
・ 受信メールの問い合わせ文が転送された場合には,転送先アドレスを保持して,回答要求を管理することができる。
【0144】
次に,アラート表示処理およびアラート管理処理を説明する。
【0145】
アラート表示部124は,返信管理情報記憶部105(返信管理テーブル)に,「ステータス」が未返信のレコードがある場合に,ユーザが使用するコンピュータの表示画面に,回答要求が未返信であることを示す情報としてアラートを表示させる。または,アラート表示部124は,アラート管理情報記憶部123(アラート管理テーブル)にレコードが1以上ある場合に,アラートを表示させる。アラート表示部124は,ユーザのログイン時,スケジューラ122が管理するスケジュールにもとづくタイミングなど所定のタイミングで,アラートをユーザのコンピュータの表示画面に表示させる。
【0146】
アラートは,アラートを示すイメージ,メッセージなど,ユーザの注意を喚起する情報であればデータの形式や表示態様を問わない。
【0147】
これにより,メールソフト3の起動とは別にログイン時や所定のタイミングで,返信に関するアラートが表示されるため,ユーザは,回答要求に対する返信の有無の確認を見逃すことが少なくなり,返信忘れの減少が期待できる。
【0148】
また,後述するように,アラート管理部121によりアラート管理情報が生成される場合には,アラート表示データの表示要求ボタンであってもよい。この場合には,ユーザのマウス操作によりアラートが選択されると,アラート表示部124は,アラート管理テーブルのレコードから,表示させる項目のデータを取り出してアラート表示データを作成してユーザのコンピュータの表示画面にポップアップ表示などで表示させる。
【0149】
図20は,アラート管理処理の処理フロー例を示す図である。
【0150】
電子メール返信確認装置1の電源投入時またはスケジューラ122が管理するスケジュールにもとづくタイミングで,アラート管理部121は,返信管理テーブルの「ステータス」を1つずつ取得し(ステップS40),ステップS42〜S44の処理を繰り返す(ステップS41,S45)。
【0151】
アラート管理部121は,取得した「ステータス」を調べ(ステップS42),「ステータス」が「未返信,一部回答,転送」のいずれかであれば(ステップS42のY),そのレコードを抽出し,スケジューラ122のカレンダ機能をもとに,処理日(本日)の日付を得て,処理日付と要返信日付とをもとに経過日数dを計算する(ステップS43)。そして,アラート管理部121は,アラート管理テーブルに,抽出したレコードを追加し,その「経過日数」に経過日数を設定する(ステップS44)。
【0152】
図21は,アラート管理情報表示処理の処理フロー例を示す図である。
【0153】
ユーザのログイン時またはスケジューラ122が管理するスケジュールにもとづくタイミングで,アラート管理部121は,アラート管理テーブルのレコードを1つずつ取得し(ステップS50),ステップS52〜S55の処理を繰り返す(ステップS51,S56)。
【0154】
アラート管理部121は,取り出したレコードの「経過日数」を調べ(ステップS52),経過日数dが1以上であれば(ステップS52の「d≧1」),取り出したレコードのアラーム表示時の文字/地色を警告色(赤色)表示に設定する(ステップS53)。経過日数dが0であれば(ステップS52の「d=0」),アラート管理部121は,取り出したレコードのアラーム表示時の文字/地色を注意色(黄色)表示に設定する(ステップS54)。経過日数dが−1以下であれば(ステップS52の「d≦−1」),アラート管理部121は,取り出したレコードのアラーム表示時の文字/地色を確認色(緑色)表示に設定する(ステップS55)。
【0155】
アラート表示部124は,取り出したアラート管理テーブルのレコードから,表示させる項目のデータを取り出して,アラート表示データを作成し,ユーザのコンピュータの表示画面に表示させる(ステップS57)。アラート表示データは,前述のように,表示要求ボタンであるアラートの選択操作のタイミング,アラート管理情報記憶部123へデータ格納のタイミング,ユーザのログイン時など所定のタイミングで表示される。
【0156】
アラート表示データの各回答要求に関する情報は,経過日数に応じた色変化だけでなく,点滅表示,文字の大きさやフォント種による変化などの表示対象で表示されてもよい。
【0157】
また,アラート表示部124は,アラート管理テーブルの経過日数dに応じて,アラート表示データの表示回数を増やすようにしてもよい。例えば,経過日数dが,一定値以上の正数であれば,複数回表示させるようにしてもよい。
【0158】
このように,アラート管理情報の表示処理により,ユーザに対し,返信作成の緊急性を分かりやすく確認させることができる。
【0159】
図22〜図24は,電子メール返信確認装置1が処理するメールの例を示す図である。図22および図23は,受信メールの例であり,図24は,送信メールの例である。
【0160】
図22に示す受信メールが受信されると,受信メール解析部102は,受信メールのタイトルに含まれる「要返信」だけでなく,本文の解析結果から検出される「2月4日までにご返送ください」などの表現から,受信メールが回答要求を含むものであると判断する。したがって,受信メールの回答要求を,より正確に検出することができる。
【0161】
受信メール解析部102は,返信管理情報を返信管理テーブルに追加し,図23に示すように,受信メールに識別ヘッダ(X−Remind_Mail:)を追加する。
【0162】
識別ヘッダは,受信メールから検出された回答期限(要返信日付)ごとに生成されて追加される。さらに,識別ヘッダの値は,受信メールのメッセージIDと要返信日付との組み合わせが設定され,返信管理情報での識別子となる。したがって,受信メールに含まれる複数の回答期限を個々に管理することができる。
【0163】
さらに,送信メール解析部111は,図24に示すように,受信メールと送信メールとを,識別ヘッダの値(識別子)で対応づけることができる。
【0164】
送信メール解析部111は,送信メールの本文から,回答や返信を示す表現「回答します」,「別途回答します」などの文を抽出し,回答期限の更新と要返信日付と異なる時間の表現「26日までに」から,回答日変更日付を特定して,回答期限が変更されたり,一部の回答のみが返信されたりする状態を,より精度よく検出することができる。
【0165】
次に,電子メール返信確認装置1のハードウェア構成例を説明する。
【0166】
電子メール返信確認装置1は,演算装置CPU,一時記憶装置,永続性記憶装置,ネットワーク・インタフェース,バス等のハードウェアとソフトウェアプログラムとを備えるコンピュータによって実施することができる。または,電子メール返信確認装置1は,上記のコンピュータが実行可能なプログラムによって実施することができる。この場合に,電子メール返信確認装置1が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。提供されたプログラムをコンピュータが実行することによって,上記説明した電子メール返信確認装置1の処理機能がコンピュータ上で実現される。さらに,このプログラムは,コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0167】
また,図1に示す構成例では,電子メール返信確認装置1が,ユーザが使用する,メールソフト3が実装されたコンピュータ(クライアント)に構成されるものとして表している。しかし,電子メール返信確認装置1は,ユーザのコンピュータとは独立した別のコンピュータまたは専用ハードウェアとして実施することができる。
【0168】
このような構成をとる場合に,電子メール返信確認装置1のアラート表示部124は,ステップS57の処理として,作成したアラート表示データの表示処理プロセスを,ユーザのコンピュータに送信し,ユーザのコンピュータにおいて表示処理プロセスが実行されることによって,アラート表示データが表示される。
【0169】
以上の本実施例に示されるように,電子メール返信確認装置1によれば,次のような効果が得られる。
【0170】
・ ユーザが使用するメールソフトに依存せずに,ユーザに要求されている返信の有無を管理することができる。よって,組織内でユーザが各自任意のメールソフトを使用する状況においても,返信忘れの防止策を一律に実現することができる。
【0171】
・ 受信メールの本文から回答要求と回答期限(要返信日付)とを検出することができる。よって,従来に比べてより精度よく回答要求を検出し,返信有無を管理することができる。
【0172】
・ 受信メールに複数の回答期限が含まれている場合でも,回答期限ごとに回答要求を管理することができる。
【0173】
・ 回答要求や回答などの表現を示すマッチ規則を,ユーザ(マッチ規則管理者)が入力する任意の語句,文によって設定することができる。よって,ユーザが属する組織のメール運用規則を反映させたマッチ規則を定義して,返信有無確認を運用することができる。
【0174】
以上のように,電子メール返信確認装置1によれば,返信忘れにより生じる種々のリスク(トラブル発生など)や負担(催促のための作業負担など)の軽減が期待される。また,リマインドメール数の減少によるメール流量の軽減が期待される。
【符号の説明】
【0175】
1 電子メール返信確認装置
101 受信メール受信部
102 受信メール解析部
103 言語解析部
104 マッチ規則記憶部
105 返信管理情報記憶部
106 受信メール送信部
110 送信メール受信部
111 送信メール解析部
112 送信メール送信部
121 アラート管理部
122 スケジューラ
123 アラート管理情報記憶部
124 アラート表示部
130 マッチ規則設定部
2 メールサーバ
3 メールソフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回答要求,回答期限または回答を示す意味情報を定義したマッチ規則を記憶するマッチ規則記憶部と,
返信管理情報を記憶する返信管理情報記憶部と,
アラート管理情報を記憶するアラート管理情報記憶部と,
メールサーバから受信メールを取得する受信メール受信部と,
前記受信メールの本文に対する言語解析を行い,前記マッチ規則に一致する意味情報を持つ部分を抽出する言語解析部と,
前記受信メールを解析し,該受信メールの本文から抽出された部分が示す回答要求の内容,該回答要求の回答期限,前記受信メールの識別情報,および該回答要求に対する返信の状態を示すステータスを含む返信管理情報を生成して前記返信管理情報記憶部に保存し,前記受信メールに前記識別情報を付加する受信メール解析部と,
前記識別情報が付加された解析済みの受信メールを,クライアントのメールソフトへ送信する受信メール送信部と,
前記返信管理情報記憶部に記憶された返信管理情報のステータスに未返信が存在する場合に,回答要求の未返信が存在することを示す情報を前記クライアントで表示させるためのアラートを生成するアラート表示部とを備える
ことを特徴とする電子メール返信確認装置。
【請求項2】
予め設定された第1の契機ごとに,前記返信管理情報記憶部から前記ステータスが未返信の状態を示す返信管理情報を抽出し,該抽出した処理日から該抽出した返信管理情報の回答期限までの経過日数を計算し,該抽出した返信管理情報に計算した経過日数を付加したアラート管理情報を生成し,前記アラート管理情報記憶部に保存するアラート管理部を備え,
前記アラート表示部は,予め経過日数に応じた複数の表示態様の設定情報を有し,予め設定された第2の契機ごとに,前記アラート管理情報記憶部の各アラート管理情報の表示態様を該アラート管理情報の経過日数にもとづいて設定し,該表示態様が設定されたアラート管理情報を前記クライアントで表示させるためのアラート表示データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項3】
前記受信メール解析部は,前記返信管理情報記憶部に,前記受信メールの本文から抽出された前記回答要求の内容および回答期限と一致する返信管理情報が含まれている場合に,前記受信メールの返信管理情報に,該受信メールがリマインドメールであることを示すリマインダチェックを設定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項4】
前記受信メール解析部は,前記受信メールの識別情報として,前記受信メールのヘッダから抽出したメッセージIDおよび前記回答期限を示す日付を含む値を生成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項5】
前記クライアントのメールソフトから送信メールを取得する送信メール受信部と,
前記受信メールの本文に対する言語解析を行い,前記マッチ規則に一致する意味情報を持つ部分を抽出する言語解析部と,
前記送信メールを解析し,前記送信メールに含まれる前記識別情報をもとに該送信メールに対応する返信管理情報を前記返信管理情報記憶部から取得し,前記送信メールの本文から抽出された部分が,該取得した返信管理情報に示される回答要求に対する回答である場合に,該取得した返信管理情報のステータスを回答要求に対し返信済みである状態を示すステータスに更新する送信メール解析部と,
前記解析された送信メールを,前記メールサーバへ送信する送信メール送信部とを備える
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項6】
前記送信メール解析部は,前記送信メールの本文から抽出された部分が,該取得した返信管理情報に示される回答要求の期限変更である場合に,該取得した返信管理情報の回答期限を解析により特定された回答日変更日付に更新する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項7】
前記送信メール解析部は,前記送信メールの送信先が第三者のメールアドレスであって,前記送信メールの本文から抽出された部分が,該取得した返信管理情報に示される回答要求である場合に前記ステータスを回答要求が転送された状態を示すステータスに変更し,転送先として前記送信先のメールアドレスを追加して前記返信管理情報を更新する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項8】
前記送信メール解析部は,前記送信メールに含まれる前記識別情報をもとに該送信メールに対応する返信管理情報を取得できなかった場合に,前記送信メールのタイトルが一致する返信管理情報を前記返信管理情報記憶部から取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項9】
回答要求,回答要求の回答期限または回答を表現する語句ならびに文の入力を受け付け,該入力された語句または文に対し言語解析を行って意味情報を取得し,該取得した意味情報を前記マッチ規則として前記マッチ規則記憶部に保存するマッチ規則設定部を備える
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電子メール返信確認装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する方法であって,
メールサーバから受信メールを取得し,
マッチ規則記憶部に記憶された,回答要求,回答期限または回答を示す意味情報を定義したマッチ規則を参照して,前記受信メールの本文に対する言語解析を行い,前記マッチ規則に一致する意味情報を持つ部分を抽出し,
前記受信メールを解析し,該受信メールの本文から抽出された部分が示す回答要求の内容,該回答要求の回答期限,前記受信メールの識別情報,および該回答要求に対する返信の状態を示すステータスを含む返信管理情報を生成して返信管理情報記憶部に保存し,
前記受信メールに前記識別情報を付加し,
前記識別情報が付加された解析済みの受信メールを,クライアントのメールソフトへ送信し,
前記返信管理情報記憶部に記憶された返信管理情報のステータスに未返信が存在する場合に,回答要求の未返信が存在することを示す情報を前記クライアントで表示させるためのアラートを生成する
ことを特徴とする電子メール返信確認方法。
【請求項11】
コンピュータに,
メールサーバから受信メールを取得する処理と,
マッチ規則記憶部に記憶された,回答要求,回答期限または回答を示す意味情報を定義したマッチ規則を参照して,前記受信メールの本文に対する言語解析を行い,前記マッチ規則に一致する意味情報を持つ部分を抽出する処理と,
前記受信メールを解析し,該受信メールの本文から抽出された部分が示す回答要求の内容,該回答要求の回答期限,前記受信メールの識別情報,および該回答要求に対する返信の状態を示すステータスを含む返信管理情報を生成して返信管理情報記憶部に保存する処理と,
前記受信メールに前記識別情報を付加する処理と,
前記識別情報が付加された解析済みの受信メールを,クライアントのメールソフトへ送信する処理と,
前記返信管理情報記憶部に記憶された返信管理情報のステータスに未返信が存在する場合に,回答要求の未返信が存在することを示す情報を前記クライアントで表示させるためのアラート表示データを生成する処理とを,実行させる
ことを特徴とする電子メール返信確認プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−12099(P2013−12099A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145096(P2011−145096)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(591128763)株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ (57)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】