説明

電子ユニットの電気的コンタクトを行うための装置

【課題】製造の簡略化を実現しながら、電子ユニットの電気的コンタクトを確実に行えるようにすること。
【解決手段】第1のコンタクトユニット(16)のコンタクト部材(16.1,16.2)を中空コンタクト部材として形成し、第2のコンタクトユニット(18)のコンタクト部材(18.1,18.2)を、縦軸(26)の方向に先細りしていく先細り隆起部(24.1,24.2)を有するコンタクト成形部品として形成し、両コンタクト部材を、該中空コンタクト部材(16.1,16.2)内における差込接続方式で電気的にコンタクトするように構成すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の電子ユニットと第2の電子ユニットとを電気的にコンタクトするための、請求項1に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の電気的コンタクトを行うための装置は、従来技術から種々の形態で公知となっている。単接点押付コンタクト方式では、電子部品相互間の電気的コンタクトを高信頼性かつ確実に実現するためには、通常、コンタクト部材が平坦なコンタクト面を有するコンタクト対を使用する。しかし、このコンタクト対の両コンタクトのコンタクト面を相互にコンタクトさせるときには、コンタクト部材に外部ガイドや内部ガイドが存在しないことにより、横方向の力によってコンタクト部材が本来のコンタクト場所から側方にずれてしまうおそれがある。公差が大きい場合にはさらに、電気的コンタクトを確実に行うことができない可能性があるため、通常は、両コンタクトの固定されるコンタクト面の寸法を過剰に大きくする。このことにより、材料のコストおよび取付スペースが増大してしまう。その上、両コンタクトのコンタクト面に付着した汚染物により、確実なエネルギー伝送および信号伝送を実現できなくなってしまう。
【0003】
DE19917941A1に開示された、ブレーキ装置のセンサモジュールでは、コンタクトのための装置を介して、圧力センサとして構成された第1の電子ユニットと電子制御回路として構成された第2の電子ユニットとの間に電気的コンタクトが形成される。上述のブレーキ装置では、取付を簡略化するために、少なくとも1つの圧力センサを被覆する筐体内に電子制御回路が収容され、該電子制御回路と該圧力センサとはこの取付時に自ずと、ばねコンタクトピンとして形成された4つのコンタクト部材を有する第1のコンタクトユニットと、面コンタクトとして形成された4つのコンタクト部材を有する第2のコンタクトユニットとを介して電気的に接続される。その際、前記電子制御回路の筐体は、前記少なくとも1つの圧力センサが組み込まれた前記ブレーキ装置の流体圧ブロックに固定され、このことにより、前記第1のコンタクトユニットのばねコンタクトピンの端部側は、前記第2のコンタクトユニットの相互に対向する面コンタクト相互間に所定の当接圧で支持される。その際には、前記第1のコンタクトユニットのばねコンタクトピンは、絶縁部品に設けられたガイドユニットで案内され、各ばねコンタクトピンはそれぞれ、コンタクトばねが挿入されたコンタクトスリーブと、該コンタクトスリーブ内で軸方向にスライド可能な少なくとも1つのプランジャー型コンタクトとを有する。このプランジャー型コンタクトには、圧縮ばねとして形成されたコンタクトばねによって、前記コンタクトスリーブからのスライド取り出し方向に力が加えられる。コンタクトスリーブとプランジャー型コンタクトとの間には、前記プランジャー型コンタクトをコンタクトスリーブ内に保持するための軸方向支持部が設けられている。前記コンタクトスリーブとプランジャー型コンタクトとコンタクトばねとから成るばねコンタクトピンは、未だ組み付けられていない状態ですでに、安定的に事前取付されたモジュールを構成するので、このモジュールの取り扱いは容易である。しかし、長期的に問題のない電気的コンタクトを保証できるようにするためには、前記ばねコンタクトピンを構成する部材を非常に正確な寸法で製造しなければならない。このことは特に、モジュール全体が精密に構成されている場合に当てはまる。このことにより、コンタクトスリーブとコンタクトばねとプランジャー型コンタクトとから事前取付モジュールを製造することが全体的に技術的に面倒になり、高精度部品から成る個別のばねコンタクトピン自体がすでに比較的高コストになってしまう。
【0004】
DE102008040173A1にも、第1の電子ユニットと第2の電子ユニットとを電気的にコンタクトさせるための装置を備えた、ブレーキ装置のセンサモジュールが開示されている。前記電気的コンタクト装置は、ガイドユニットと、該ガイドユニットで案内される少なくとも1つの第1のコンタクトユニットと、第2のユニットとを含み、電気的コンタクトを行うために両コンタクトユニットはそれぞれ少なくとも1つのコンタクト部材を含み、これらのコンタクト部材はコンタクト対として協働する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE19917941A1
【特許文献2】DE102008040173A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、製造の簡略化を実現しながら、電子ユニットの電気的コンタクトを確実に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それに対して、請求項1に記載の構成を有する、電子ユニットの電気的コンタクトを行うための本発明の装置は、第1のコンタクトユニットの少なくとも1つのコンタクト部材が中空コンタクト部材として形成されており、これに対応する、第2のコンタクトユニットの少なくとも1つのコンタクト部材は、縦軸の方向に先細りしていく隆起部を有するコンタクト成形部品として形成されており、該第1のコンタクトユニットの少なくとも1つの中空コンタクト部材と該少なくとも1つのコンタクト成形部品とは差込接続方式で、該中空コンタクト部材内で電気的にコンタクトされる。有利には、前記第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材の内側と前記第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品の外側面との間で、確実な内部電気的コンタクトと信号伝送とが行われる。というのも、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材は動作中、第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品まで所定のように繋がっており、このことによって、公差の偏差が存在していても、該第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材が側方にずれることが無くなる。
【0008】
内部において両コンタクトユニットが相互に所定のように案内されるので、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材は初めの段階ですでに、ないしはコンタクトするために動いている間、第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品によって、該コンタクト成形部品が動く方向に対して横方向にも長手方向にも支えられ、このことにより、横方向の力にも長手方向の力にも耐えることができる。第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品によってこのように支えることは、所与の取付スペースが小さくても、また公差の偏差があっても実現される。というのも、両コンタクトユニットの本発明のコンタクト部材は、コンタクトするために動き始めるときにすでに相互に係合するからである。このことにより、コンタクト過程の初めの段階ですでに、電気的コンタクトの高い機械的なフレキシビリティと高い確実性とが実現される。その結果として有利には、永続的に問題ない電気的コンタクトを保証するために、本発明のコンタクト対を正確な寸法で製造したり取り付けたりする必要性がなくなる。このことの利点は、本発明のコンタクト装置では、コストに繋がる構造上の複雑さと材料コストとが低減し、このことにより製造コストを低減できることである。さらに、清浄度の条件が理想的でなくても、たとえば汚染物によってコンタクト場所が汚染されていても、本発明のコンタクト装置によって、相互に対応する2つのコンタクト間の確実なエネルギー伝送および信号伝送が保証される。また、本発明のコンタクト装置は、−40℃〜120℃の温度領域でも電気信号が連続的に良好に伝送されるのを保証できるように構成されている。コンタクト領域には理想的な機械的条件が整っているので、摩耗は無視できる程度に小さくなる。このような温度耐性と、摩耗が小さくなることにより、電気的コンタクト装置は有利には、長い耐久時間ないしは寿命を有するようになる。このことにより、コンタクト対の両コンタクト間のエネルギーおよび信号の確実な伝送が簡単かつ低コストで保証される。
【0009】
従属請求項に記載された構成および実施形態により、請求項1に記載されたコンタクト装置を有利に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コンタクト対として協働するコンタクト部材をそれぞれ備えた第1のコンタクトユニットと第2のコンタクトユニットとを含む、電子ユニットの電気的コンタクトを行うための本発明の装置の断面を概略的に示す斜視図である。
【図2】コンタクトを行う前の第1のコンタクトユニットのコンタクト部材と第2のコンタクトユニットのコンタクト部材との詳細な側面図である。
【図3】図2に示された第2のコンタクトユニットのコンタクト部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の有利な実施形態では、第2のコンタクトユニットの先細りしていく隆起部は4面体または角錐として形成される。このような形状により、有利にはコンタクト過程の開始時にすでに、先細り隆起部によって、コンタクト対の両コンタクトを確実に送り込んでコンタクトさせ、該コンタクト過程における以降の段階で、第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品において第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材を内部で確実に案内させるのが保証される。さらに、両コンタクト部材がこのように相互に内側で案内されることにより、該コンタクト部材が本来のコンタクト箇所から側方にずれるのが阻止される。というのも、横方向の力が生じて該コンタクト部材に作用した場合、この横方向の力を内側のガイドによって補償できるからである。4面体または角錐として形成された先細り隆起部の高さ自体は組付スペースに何ら影響を及ぼさない。というのも、この先細り隆起部は第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材の内側において消えていき、このことによって、取付スペースに最適な差込接続部を実現できるからである。有利には、コンタクト対に作用する法線力が変わらない場合には、従来技術におけるコンタクト部材の平坦なコンタクト面と異なり、4面体の側辺が斜めになっていることにより、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材と第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品とのコンタクト領域における面加圧をより大きくすることができる。このことにより、法線力が比較的小さくても気密コンタクトを実現することができ、このことにより、相互に対応する2つのコンタクトのコンタクト面の一部が汚染されていても、コンタクトの確実性を保証することができる。さらに、本発明のコンタクト装置のこの実施形態により、非常に小さい取付スペースでもコンタクト面を拡大することができ、このようにコンタクト面が拡大することにより、確実な多接点コンタクトが保証され、コンタクト対のエネルギーおよび信号の伝送を確実に行える確率が格段に高くなる。
【0012】
本発明のコンタクト装置の別の有利な実施形態では、前記4面体または角錐の中心軸は、前記中空コンタクト部材の縦軸に一致するように整合されている。このことによって有利には、確実な電気的コンタクトと信号伝送とを行える前提条件を構造的に実現することができる。というのも、両コンタクト部材の中心軸が一致すること、ないしは両コンタクト部材が同軸であることにより、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材を第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品まで所定のように案内できるからである。
【0013】
本発明のコンタクト装置の別の有利な実施形態では、第2のコンタクトユニットの先細り隆起部は支持板上に配置されている。このことにより、第2のコンタクトユニットのコンタクト成形部品の取付時に、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材に対して幾何学的に規定された姿勢を実現するのが保証される。有利には、コンタクト成形部品の直径は、従来技術の最新のコンタクト部材の直径のほぼ半分となり、このことにより、コンタクト成形部品に必要とされる面積が小さくなるので、コンタクト装置全体をよりコンパクトに構成することができる。このようなコンタクト成形部品により、取付スペースに最適なサイズを実現できると同時に、先細り隆起部の周面と支持板の基面とから成る、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材をコンタクトさせるためのコンタクト面を大きくすることができる。支持板の径は好適には、4面体や角錐の辺の長さに依存して規定される。このことにより、小さい取付スペースでも、4面体形または角錐形である面コンタクトを介して多接点コンタクトを保証することができる。コンタクト成形部品を小さいサイズで構成しても、省スペースであるかないしは取付スペースに最適である本発明のコンタクト装置により、エネルギーおよび信号を確実に伝送できるという利点が保証される。
【0014】
特に有利なのは、支持板が円柱形に形成されており、該支持板の直径が中空コンタクト部材の外径に等しいことである。このことによって有利には、設定公差が変わらない場合、コンタクト対の両コンタクトの取付スペースを削減することができ、かつ、電気的コンタクトの高い確実性も保証される。コンタクト装置のコンタクト成形部品には通常、金、銀または白金等である貴金属が電気メッキにより被覆されるが、上述の構成の重要な利点は、本発明のコンタクト装置の、取付スペースに最適なコンタクト成形部品が、最新の従来技術の最新のコンタクト部材と比較して特に低コストで製造できることである。とりわけ、コンタクト部材の通常のサイズと比較して、コンタクト成形部品の表面積を半分に縮小することができるので、本発明のコンタクト装置の材料コストを格段に低減することができる。
【0015】
本発明のコンタクト装置の別の実施形態では、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材は円筒形かつ弾性に形成される。第1のコンタクトユニットを円筒形に形成することは特に有利である。というのも、このような第1のコンタクトユニットは量産部品として特に低コストかつ簡単に製造でき、コンタクト装置に組み付ける際に取付誤差が生じることはないからである。中空コンタクト部材はさらに弾性も有するので、付加的な部材を追加する必要がなくなり、このことによって材料コストおよび取付コストを削減することができる。有利には、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材をコイルばねまたはスリーブとして形成することができる。とりわけ、低コストのコイルばねとして形成することにより、弾性特性を簡単に実現し、迅速かつ簡単な取付を実現することができる。さらに、コイルばねまたはスリーブとして形成することにより、これに対応する組付スペースを、迅速かつ低コストで形成可能である穿孔として、相応に簡単に実現することもできる。
【0016】
本発明のコンタクト装置の別の有利な実施形態では、コイルばねの端部領域はそれぞれ、ブロックに巻回された少なくとも2つの巻き部分によって補強されて構成される。このことにより、第1のコンタクトユニットの中空コンタクト部材の構造の簡略化と、ひいては、該中空コンタクト部材の電流容量およびガイド特性の改善とを、簡単かつ低コストで実現することができる。このことにより、コンタクト対のコンタクト間のエネルギーおよび信号の伝送の確実性をさらに改善することができる。
【0017】
本発明のコンタクト装置の有利な実施形態では、両コンタクト部材は、少なくとも2つのコンタクト場所において電気的コンタクト部が形成されるように構成されている。これら少なくとも2つのコンタクト場所は、点状および/または線状および/または面状とされる。有利には、本発明のコンタクト装置により、複数のコンタクト場所において同時に、コンタクト対の両コンタクトをコンタクトさせることができ、このことにより、コンタクト部材の表面の清浄度条件が理想的でなくても、ないしは汚染されていても、両コンタクト間におけるエネルギーおよび信号の確実な伝送が保証される。多接点コンタクトの場合には、汚染による誤動作が起こる可能性が低減する。というのも、すべてのコンタクト場所において同時に汚染によってエネルギーや信号の伝送が阻害されて本発明のコンタクト装置のフェールが生じる可能性がなくなるからである。たとえば、汚染物がコンタクト場所を汚染した場合、清浄度条件が理想的でなくなる。コンタクト対の幾何学的条件に基づいて、コンタクト場所は4面体の辺のジオメトリとコイルばねの半径とによって定義され、定位置に固定される。コンタクト対の両コンタクトの内部ガイドにより、横方向の力が作用することによって本来のコンタクト場所から側方にずれることが防止され、このことにより、問題なく永続的な電気的多接点コンタクトが保証され、電子ユニットが常に高信頼性かつ障害なしで機能することができる。
【0018】
本発明のコンタクト装置の有利な実施形態は、当該コンタクト装置を押付コンタクトシステムとして構成することである。有利にはこのような本発明のコンタクト装置により、コンタクト部材のスペース比率が特に狭くても、またコンタクト部材のコンタクト面が汚染されていても、省スペースで確実に電気的コンタクトを閉成することが保証され、この確実な電気的コンタクトの閉成により、エネルギーや信号の確実かつ高信頼性の伝送が保証される。
【0019】
図面に本発明の有利な実施形態を示しており、以下でこれらの実施形態を説明する。図面において符号が同一である場合には、同一ないしは同様の機能を果たす部品ないしは要素を示している。
【実施例】
【0020】
図1に、第1の電子ユニット10と第2の電子ユニット12とを電気的コンタクトさせるための本発明の装置1を示す。これらの電子ユニット10,12はたとえば、車両におけるセーフティ技術用の電子システムにおいて使用され、このような電子システムはたとえばアンチロックブレーキシステム(ABS)、横滑り防止プログラム(ESP)、電動油圧ブレーキ(EHB)、トラクションコントロールシステム(TCS)またはアンチスリップレギュレータ(ASR)等である。この実施例では、車両における横滑り防止プログラム(ESP)用のコンタクトシステムのコンタクトを行うための装置1であり、前記第1の電子ユニット10は、制御装置として構成された、車両の電子制御ユニットを含み、第2の電子ユニット12は、ESPシステムの圧力センサユニットを含む。
【0021】
図1〜3に示されているように、第1の電子ユニット10と第2の電子ユニット12とを電気的コンタクトさせるための装置1は、ガイドユニット14と、該ガイドユニット14内において案内される少なくとも1つの第1のコンタクトユニット16と、少なくとも1つの第2のコンタクトユニット18とを含む。両コンタクトユニット16,18はコンタクトを行うために、それぞれ少なくとも1つのコンタクト部材16.1,16.2,18.1,18.2を含み、これらはコンタクト対として協働する。図1の実施例では、両コンタクトユニット16,18はそれぞれ2つのコンタクト部材16.1,16.2,18.1,18.2を備えている。
【0022】
前記コンタクト対の両コンタクト間でエネルギーおよび信号を確実に伝送し、公差を補償しながら取付スペースに最適な多接点コンタクトを行えることを保証するためには、第1のコンタクトユニット16のコンタクト部材16.1,16.2を中空コンタクト部材として形成し、第2のコンタクトユニット18の相応のコンタクト部材18.1,18.2をコンタクト成形部品として形成する。第2のコンタクトユニット18のコンタクト部材18.1,18.2は、前記中空コンタクト部材16.1,16.2の縦軸26の方向に先細りしていく隆起部24.1,24.2を有し、前記第1のコンタクトユニット16の少なくとも1つの中空コンタクト部材16.1,16.2と前記少なくとも1つのコンタクト成形部品18.1,18.2との電気的コンタクトは、該中空コンタクト部材16.1,16.2内における差込接続方式で実施される。
【0023】
第2のコンタクトユニット18の先細り隆起部24.1,24.2は4面体または角錐として形成されており、該4面体または角錐の中心軸26.1,26.2は中空コンタクト部材16.1,16.2の縦軸26と一致するように整合される。このことにより、4面体または角錐の頂点は構造的に常に、第1のコンタクトユニット16の対応する中空コンタクト部材16.1,16.2の中心軸22.1,22.2に対して、または縦軸26に対して、正しい位置に配置される。図中の実施例では、第2のコンタクトユニット18のコンタクト成形部品18.1,18.2は4面体として形成されている。
【0024】
コンタクト成形部品18.1,18.2をさらに安定化させるために、第2のコンタクトユニット18の先細り隆起部24.1,24.2は支持板28.1,28.2上に設けられる。支持板28.1,28.2は円柱状に形成されており、該支持板28.1,28.2の直径は中空コンタクト部材16.1,16.2の外径に相当する。円柱形の支持板28.1,28.2の中心軸は前記4面体または角錐の中心軸26.1,26.2と一致するので、中空コンタクト部材16.1,16.2の縦軸26にも一致する。よって、コンタクト成形部品18.1,18.2の取付時には有利には、取付誤差が生じることがなくなる。
【0025】
コンタクト部材16.1,16.2,18.1,18.2は、少なくとも2つのコンタクト場所20.1a,20.2a,20.3a,20.1b,20.2bにおいて電気的コンタクトが形成されるように構成されている。前記少なくとも2つのコンタクト場所20.1a,20.2a,20.3a,20.1b,20.2bは、点状および/または線状および/または面状に形成されている。有利には、コンタクト過程が理想的に対称的に実施される場合、まず最初に、先細り隆起部24.1,24.2の辺上および/または支持板28.1,28.2の表面上でコンタクト対の両コンタクトをコンタクトさせ、このことにより、少なくとも2つのコンタクト場所20.1a,20.2a,20.3aを介して、またはコンタクト面20.1b,20.2bを介して、エネルギーや信号の伝送を行う。コンタクト過程が理想的な対称的でない場合、ないしは、コンタクト対の両コンタクトが相互にずれている場合、両コンタクトのこのずれに応じて、異なる高さで、4面体ないしは角錐の辺において少なくとも1つのコンタクト場所20.1a,20.2a,20.3aを介してコンタクトが行われる。その際には、コンタクト過程の開始時には少なくとも1つのコンタクト場所において両コンタクトがコンタクトし、当該コンタクト過程の終了時には少なくとも2つのコンタクト場所20.1a,20.2a,20.3aにおいて両コンタクトがコンタクトする。
【0026】
電気的コンタクトをどのような形式で実施するかは、支持板28.1,28.2の直径と4面体の辺の長さとの比に依存する。この実施例では、支持板28.1,28.2の直径ないしは半径は4面体の辺の長さに依存して決定される。その際には、4面体の辺の長さとばねの最後の巻き部分の半径との比は√3/3となる。4面体の辺の長さがばねの最後の巻き部分の半径の√3/3より大きい場合、第1のコンタクトユニット16の中空コンタクト部材16.1,16.2は第2のコンタクトユニット18のコンタクト成形部品18.1,18.2の底面にあるのではなく、4面体の辺上にあり、ここでコンタクト場所20.1a,20.2a,20.3aを成す。このようにして、少なくとも1つの2点コンタクトが保証され、この2点コンタクトにより、コンタクト対の両コンタクト間におけるエネルギーおよび信号の確実かつ高信頼性の伝送が保証される。逆の場合、すなわち、4面体の辺の長さがばねの最後の巻き部分の半径の√3/3より小さい場合、第1のコンタクトユニット16の中空コンタクト部材16.1,16.2は第2のコンタクトユニット18のコンタクト成形部品18.1,18.2の底面にあり、ここで、線状および/または面状のコンタクト場所20.1b,20.2bを成す。
【0027】
コンタクト装置を有利には押付コンタクトシステムとして構成するためには、第1のコンタクトユニット16の中空コンタクト部材16.1,16.2をコイルばねまたはスリーブとして形成する。図1,2の実施例では、第1のコンタクトユニット16は、圧力が加えられるコイルばねまたは圧縮ばねとして形成され、コイルばねの端部領域30.1a,30.1b,30.2a,30.2bはそれぞれ、ブロックに巻回された少なくとも2つのばね巻き部分によって補強されて形成されている。有利には第1のコンタクトユニット16の中空コンタクト部材16.1,16.2は円筒形かつ弾性に形成される。このことにより、従来技術と比較して、本発明のコンタクト装置のガイドユニット14内にコンタクト部材16.1,16.2として取り付けなければならない部品を1つだけにすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 第1の電子ユニット10と第2の電子ユニット12とを電気的コンタクトさせるための本発明の装置
10 第1の電子ユニット
12 第2の電子ユニット
14 ガイドユニット
16 第1のコンタクトユニット
16.1,16.2 コンタクト部材
18 第2のコンタクトユニット
18.1,18.2 コンタクト部材
24.1,24.2 先細り隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子ユニット(10)と第2の電子ユニット(12)との電気的コンタクトを行うための装置であって、
前記装置は、ガイドユニット(14)と、該ガイドユニット(14)内において案内される少なくとも1つの第1のコンタクトユニット(16)と、第2のコンタクトユニット(18)とを含み、
前記電気的コンタクトを行うために、両コンタクトユニット(16,18)はそれぞれ、コンタクト対として協働する少なくとも1つのコンタクト部材(16.1,16.2,18.1,18.2)を含む、装置において、
前記第1のコンタクトユニット(16)の前記少なくとも1つのコンタクト部材(16.1,16.2)は中空コンタクト部材として形成されており、前記第2のコンタクトユニット(18)の対応する前記少なくとも1つのコンタクト部材(18.1,18.2)は、縦軸(26)の方向に先細りしていく先細り隆起部(24.1,24.2)を有するコンタクト成形部品として形成されており、
前記第1のコンタクトユニット(16)の前記少なくとも1つの中空コンタクト部材(16.1,16.2)と前記少なくとも1つのコンタクト成形部品(18.1,18.2)とは、該少なくとも1つの中空コンタクト部材(16.1,16.2)内における差込接続方式で電気的にコンタクトされる
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第2のコンタクトユニット(18)の前記先細り隆起部(24.1,24.2)は4面体または角錐として形成されている、
請求項1記載のコンタクト装置。
【請求項3】
前記4面体または前記角錐の中心軸(26.1,26.2)は、前記中空コンタクト部材(16.1,16.2)の縦軸(26)と一致するように整合されている、
請求項1または2記載のコンタクト装置。
【請求項4】
前記第2のコンタクトユニット(18)の前記先細り隆起部(24.1,24.2)は支持板(28.1,28.2)上に設けられている、
請求項1から3までのいずれか1項記載のコンタクト装置。
【請求項5】
前記支持板(28.1,28.2)は円柱状であり、
前記支持板(28.1,28.2)の直径は前記中空コンタクト部材(16.1,16.2)の外径に相当する、
請求項1から4までのいずれか1項記載のコンタクト装置。
【請求項6】
前記第1のコンタクトユニット(16)の前記中空コンタクト部材(16.1,16.2)は円筒形かつ弾性に形成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のコンタクト装置。
【請求項7】
前記第1のコンタクトユニット(16)の前記中空コンタクト部材(16.1,16.2)はコイルばねまたはスリーブとして形成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のコンタクト装置。
【請求項8】
前記コイルばねの端部領域(30.1a,30.1b,30.2a,30.2b)はそれぞれ、ブロックに巻回された少なくとも2つのばね巻き部分によって補強されて形成されている、
請求項7記載のコンタクト装置。
【請求項9】
点状および/または線状および/または面状に形成される少なくとも2つのコンタクト場所(20.1a,20.2a,20.3a,20.1b,20.2b)において電気的コンタクト部が形成されるように、前記コンタクト部材(16.1,16.2,18.1,18.2)は形成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載のコンタクト装置。
【請求項10】
押圧コンタクトシステムとして構成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載のコンタクト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−101932(P2013−101932A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245661(P2012−245661)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】