説明

電子レンジ加熱用液状食品

【課題】甘味が付与された調味液に具材を加えて電子レンジで加熱調理する際に、調味液や具材等の焦げの発生が防止ないしは抑制された電子レンジ加熱用液状食品を提供する。
【解決手段】甘味料を配合している調味液に、具材を加えて電子レンジで加熱調理(液状食品及び加えた具材の合計450gあたり、600W×4分相当以上の加熱条件)を行うことにより加熱食品を得られるようにする電子レンジ加熱用調味液において、ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖と、HLB2〜10の乳化剤とを配合していることを特徴とする電子レンジ加熱用液状食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘味が付与された調味液に具材を加えて電子レンジで加熱調理する際に、調味液及び/又は具材の焦げの発生が防止ないしは抑制された電子レンジ加熱用液状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジ等によって加熱し、加温や解凍後食することを想定したパウチ詰液状食品が広く市販されている。例えば、あらかじめ加熱調理したカレー、スープ等の料理等をパウチ内に密封してレトルト処理したレトルト食品や、上述した料理等をパウチ内に密封して冷凍処理した冷凍食品等が販売されている。
また、最近では、電子レンジ加熱を単純な食品の温めや解凍だけに利用するのではなく、食品の加熱調理に積極的に利用されるようになっている。
【0003】
ところで、電子レンジを加熱調理に利用する際には、単なる温めや解凍とは異なり、長時間の強い加熱が必要となる。この場合、鍋とガスコンロとを使用した場合と異なり、マイクロウェーブの細かい出力調整が困難であり、結果的に食品を電子レンジで加熱調理する間、マイクロ波が集中しやすい調味液や具材の温度が局部的に上昇し、焦げが生じやすい。特に、甘味が付与された調味液を使用した場合にこの焦げが大きな問題となっている。
【0004】
電子レンジ加熱時の具材やソースの過加熱箇所や焦げの発生を防止する方法としては、低粘度のソースに増粘多糖類及び/又は未糊化澱粉を含有させ冷凍する冷凍食品用ソースが提案されている(特許文献1)。具体的には、900mPa・s未満の粘度のソースに増粘多糖類及び/又は未糊化澱粉を含有させ冷凍し、電子レンジ加熱後の粘度が1500〜7000mPa・sにすることが提案されている。しかしながら、特許文献1に記載された流動状食品の場合、電子レンジ用に開発されたものではあるが、冷凍品を温める程度の加熱を目的にしているため、加熱調理を目的にした電子レンジの強加熱による調味液や具材の焦げを抑制できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−223730号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、甘味が付与された調味液に具材を加えて電子レンジで加熱調理する際に、調味液や具材等の焦げの発生が防止ないしは抑制された電子レンジ加熱用液状食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意研究を重ねたところ、甘味が付与された調味液に特定の甘味料と特定の乳化剤を配合するならば、当該調味液に具材を加えて電子レンジで加熱する際に、調味液や具材の焦げの発生が防止ないしは抑制された電子レンジ加熱用液状食品が得られることを見出し、ついに本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)甘味料を配合している調味液に、具材を加えて電子レンジで加熱調理(液状食品及び加えた具材の合計450gあたり、600W×4分相当以上の加熱条件)を行うことにより加熱食品を得られるようにする電子レンジ加熱用調味液において、ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖と、HLB2〜10の乳化剤とを配合している電子レンジ加熱用液状食品、
(2)前記甘味料全体に対し、前記ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖を合計10〜100%配合している(1)記載の電子レンジ加熱用液状食品、
(3)前記HLB2〜10の乳化剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの一種又は二種以上から選ばれる(1)又は(2)記載の電子レンジ加熱用液状食品、
(4)前記調味液の粘度が、1000〜30000mPa・sである(1)乃至(3)のいずれかに記載の電子レンジ加熱用液状食品、
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の電子レンジ加熱用液状食品に具材を加えて電子レンジで加熱調理(液状食品及び加えた具材の合計450gあたり、600W×4分相当以上の加熱条件)する加熱食品の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、調味液に具材を加えて電子レンジで加熱したとしても、調味液や具材の焦げの発生が防止ないしは抑制される。したがって、生の具材を加えて電子レンジ調理する電子レンジ食品の更なる需要拡大が期待出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
【0011】
本発明の電子レンジ加熱用調味液は、甘味料を配合しており、具材を加えて電子レンジで加熱調理(液状食品及び加えた具材の合計450gあたり、600W×4分相当以上の加熱条件)を行うことにより加熱食品を得られるようにするものである。ここで、前記本発明の甘味料とは、一般的に甘味料として用いられているものであれば特に限定するものではないが、例えば、蔗糖(一般的に砂糖と称されている)、グルコース、ガラクトース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、フラクトオリゴ糖、水飴、マルチトール、ソルビトール、粗糖、ハチミツなどが挙げられる。
【0012】
本発明は、上述の電子レンジ加熱用調味液において、ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖と、HLB2〜10の乳化剤とを配合していることを特徴とする。このような本発明の電子レンジ加熱用調味液によれば、当該調味液に具材を加えて電子レンジで加熱する際に、調味液や具材の焦げの発生が防止ないしは抑制される。
【0013】
本発明に配合するハチミツとは、花から集めた蜜を主原料として作りだし巣の中に貯蔵している天然の甘味物であり、花の種類によってハチミツも、レンゲハチミツ、クローバーハチミツ、およびアカシアハチミツなどに分類される。本発明においては、特に種類を制限されることなく、いずれのハチミツをも使用することができる。また、精製糖にする前段階の分蜜糖としては、特に制限はなく、例えば、原料としては甘蔗や甜菜等が挙げられ、また、粗糖、赤ザラメ、黄ザラメ、原料糖等と称されるもの等が挙げられる。
【0014】
前記本発明のハチミツ及び精製糖にする前段階の分蜜糖の配合割合は、甘味料全体に対し、ハチミツ及び精製糖にする前段階の分蜜糖が合計10〜100%であることが好ましく、30〜70%であることがより好ましい。前記ハチミツ及び精製糖にする前段階の分蜜糖の配合量は、電子レンジ加熱用調味液全体に対して、ハチミツ及び精製糖にする前段階の分蜜糖が合計0.1〜10%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。ハチミツ及び精製糖にする前段階の分蜜糖の量を前記範囲とすることで、当該調味液に具材を加えて電子レンジで加熱する場合に、適度な甘みが付与され、しかも、調味液や具材の焦げの発生を充分に防止ないしは抑制された加熱食品が得られる。なお、本発明において前記甘味料の配合量は固形分換算した量である。
【0015】
本発明に配合するHLB2〜10の乳化剤とは、乳化組成物を構成する親油性乳化剤のことであり、好ましくはHLB値2〜8、より好ましくはHLB値3〜7の乳化剤が挙げられる。このような乳化剤の具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等を例示することができる。本発明においては、これら乳化剤の中でも、調味液や具材の焦げの発生が充分に防止されやすい点から、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが特に好ましい。これに対して、乳化剤のHLB値が10を超える場合、調味液や具材等の焦げの発生が防止ないしは抑制効果が低下するため、好ましくない。
【0016】
前記HLB2〜10の乳化剤の配合量は、調味液全体に対し0.01〜2%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。乳化剤の配合量が、0.01%よりも少ないと、調味液や具材等の焦げ防止効果が得られ難く、2%よりも多いと、電子レンジ加熱用液状食品の風味に影響をおよぼしやすいため好ましくない。
【0017】
本発明の電子レンジ加熱用液状食品の粘度は、好ましくは1000〜30000mPa・sであり、より好ましくは5000〜20000mPa・sである。前記粘度が1000mPa・sよりも低いと、具材を投入した際、液状食品としてのソースにならず、好ましくない。一方、30000mPa・sよりも高いと、調味液や具材の焦げの発生が生じやすくなるため、好ましくない。なお、液状食品の粘度は、BH形粘度計で、品温60℃、回転数20rpmの条件で、粘度が375mPa・s未満のときローターNo.1、375mPa・s以上1500mPa・s未満のときローターNo.2、1500mPa・s以上3750mPa・s未満のときローターNo.3、3750mPa・s以上7500mPa・s未満のときローターNo.4、7500mPa・s以上のときローターNo.5を使用し、測定開始後ローターが3回転した時の示度により求めた値である。
【0018】
上述した本発明の液状食品には、ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖と、HLB2〜10の乳化剤の他に、一般的に調理食品に配合される種々の原料、例えば、コショウ、唐辛子、パプリカなどの香辛料などの種々の添加材などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して配合することができる。また、本発明の電子レンジ加熱用液状食品は、上述した原料を配合する他は、その製造方法に特に制限は無く、従来の一般的な液状食品の製造方法に準じて製造することができる。
【0019】
次に、本発明の電子レンジ加熱用液状食品に関し、容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱調理することにより加熱料理を得られるようにする電子レンジ加熱用容器詰め食品について説明する。
【0020】
この電子レンジ加熱用容器詰め食品に使用する電子レンジ加熱用容器としては、レトルト処理及びレンジ調理が可能な種々の容器を用いることができる。このような容器としては、例えば、耐熱性樹脂性の成形容器の他、底面にマチをもたせたスタンディングパウチ、底面及び側面にマチをもたせたガゼット袋、四方シール袋などが挙げられる。また、これら容器としては、容器を開封して具材を投入した後電子レンジ調理する前に当該容器を再封するための再封機能や、電子レンジ加熱調理時に蒸気を容器外に排出する蒸気抜き機構を備えていることが好ましい。
【0021】
前記電子レンジ用容器詰め液状食品は、容器詰めしてあることにより、保管が可能となり、必要なときに具材を容器内に投入して電子レンジ調理するだけで簡便に加熱食品を製造することができ好ましい。このような電子レンジ用容器詰め食品は、例えば、常法により耐熱性パウチに充填密封した後120℃で4分相当以上のレトルト処理や、凍結処理をすることができ、特にレトルト処理をしたレトルト品であると、常温であっても長期保管ができ好ましい。
【0022】
更に、前記容器には、電子レンジ加熱調理する際に加える具材の好ましい切り方、大きさ、投入量、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間などの説明表示を備えることが好ましい。特に、説明表示の具体的な内容として、具材の投入量、大きさ、電子レンジ加熱のワット数と時間については、これらが電子レンジ加熱後の加熱食品の出来の善し悪しに大きく影響するため、できるだけ表示することが望まれる。このような説明表示は、容器の表面に印刷することにより形成してもよく、容器の梱包箱等の外装材に印刷することにより形成してもよく、容器とは別個の紙片に印刷し、その紙片を容器に添付するようにしてもよい。
【0023】
本発明の電子レンジ加熱用液状食品に加える具材としては、例えば、キャベツ、ホウレン草、小松菜、ナス、インゲン、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、カブ、カボチャ、ジャガイモ、モヤシなどの野菜類、まいたけ、しめじなどのきのこ類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの獣肉類、スズキ、タラ、たこ、いか、エビ、ムール貝、ホタテ、あさりなどの魚介類、うどん、パスタなどの乾麺、生米、豆腐などを挙げることができる。また、固形具材のほか、牛乳などの液体も加えることができる。これらの具材の中でも、獣肉類、魚介類、カボチャ、ジャガイモ、生米は、調味液の風味を付与し煮込み感が出るまで加熱するには十分に煮込む必要があり、電子レンジ加熱により煮込む場合は特に焦げが生じやすい。本発明の電子レンジ加熱用液状食品は、これらの焦げが生じやすい具材を加えて電子レンジ加熱により十分に煮込んだ場合であっても、焦げを防止または抑制することができる。また、これらの具材は、容器に投入する前にあらかじめ、下茹で、油通し、あく抜きなどの下処理をしておくことができる。
【0024】
電子レンジ加熱は、例えば、加えた具材の好ましいテクスチャーや旨みを加熱により引き出し、また、電子レンジ加熱用調味液で具材を調味する点から少なくとも調味液が沸騰する加熱条件、具体的には、調味液と加えた具材の合計450gあたり、好ましくは出力600W×4分相当以上の加熱をすることが好ましい。ここで600W×4分相当とは、出力300Wであれば8分、出力400Wであれば、6分、出力800Wであれば3分というように、出力ワット数と時間との積の値が同じになるように換算して計算した条件以上の電子レンジ加熱を行うことである。また、レトルト調味液と具材の合計が例えば600gであれば、出力ワット数と時間との積の値が300gの場合の2倍となるように電子レンジ加熱を行う。前記加熱条件の上限としては、沸騰状態を持続して投入した具材が適度に加熱調理される条件とすればよく、具体的には、投入した具材の種類にもよるが、レトルト調味液と加えた具材の合計450gあたり、好ましくは出力600W×20分相当以下の加熱条件とすればよい。
【0025】
以下に、本発明を実施例にて説明する。実施例において、「%」及び「部」は、特に言及しない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
<鶏肉の和風煮>
(1)投入する具材
容器(パウチ)内に後に加える具材を鶏肉250gとした。
【0027】
(2)電子レンジ加熱用調味液(和風ソース入り)の調製
下記配合割合の原料を用意した。まず、ミキサーに玉ねぎ、ハチミツ、菜種油、にんにくを投入して撹拌混合した後、醤油、黒酢、上白糖、精製糖にする前段階の分蜜糖(粗糖)、澱粉、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB4.3)、清水を加えてさらに攪拌混合した。続いて、加熱した二重釜に、得られた混合液を加えて撹拌しながら品温90℃になるまで加熱することにより和風ソースを調製した。なお、ハチミツ配合量は固形分換算で、得られた調味液全体に対して4%であり、甘味料全体に対して63%であった。
【0028】
続いて、得られた和風ソース70gを弱化シール部と切欠とからなる蒸気抜き機構を有するジッパー付きスタンドパウチ(電子レンジ加熱時にパウチが膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整した蒸気抜き機構を有するもの)に充填密封後、レトルト処理(115℃、20分間)し、パウチ内に和風ソース(70g)が充填されている電子レンジ加熱用容器詰め液状食品を得た。得られた電子レンジ加熱用液状食品は、和風ソースに加える鶏肉の好ましい大きさ、投入量、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間などの説明表示を印刷した紙製の化粧箱に封入した。
【0029】
<配合割合>
玉ねぎ 20.0%
醤油 10.0%
上白糖 2.0%
精製糖にする前段階の分蜜糖 0.3%
ハチミツ(固形分80%) 5.0%
菜種油 5.0%
にんにく 5.0%
黒酢 3.0%
ソルビタン脂肪酸エステル(HLB4.3) 2.0%
澱粉 1.5%
清水 残 量
――――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0%
【0030】
(3)電子レンジによる加熱調理
前述の(2)の電子レンジ加熱用容器詰め液状食品のジッパーを開封し、(1)鶏肉250gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内に鶏肉投入後の電子レンジ加熱用容器詰め液状食品を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×8分間)をし、料理の取出用のノッチから開封した。
【0031】
電子レンジ加熱した液状食品は、調味液及び鶏肉共に焦げがなく、大変好ましいものであった。
【0032】
[試験例1]
電子レンジ加熱用液状食品に配合する乳化剤と甘味料の種類が焦げの発生に与える影響を調べるために以下の試験を行った。すなわち、実施例1において、乳化剤の種類と、甘味料の種類及び配合量をそれぞれ表1に記載したように変えた他は、実施例1と同様の方法にて電子レンジ加熱用容器詰め液状食品(実施例2、3及び比較例1を調製した。この際、甘味料の配合量の増減は清水の配合量で補正した。続いて、得られた各電子レンジ加熱用容器詰め液状食品を使用して実施例1と同様に電子レンジによる加熱調理を行い、焦げの程度を下記の評価基準で評価した。得られた結果を表1に表す。
【0033】
<焦げの評価基準>
◎:焦げがなく、好ましい状態であった。
○:一部焦げた箇所があったが、気にならない程度であった。
×:焦げた箇所があり、好ましくなかった。

【0034】
【表1】

【0035】
表1によれば、ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖と、HLB2〜10の乳化剤と配合している電子レンジ加熱用容器詰め液状食品は、調味液や具材の焦げの発生が防止ないしは抑制されていることが理解できる。特に、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリグリセリン酸脂肪酸エステルを使用し、甘味料全体に対するハチミツと精製糖にする前段階の分蜜糖の合計配合量が30〜70%である場合は、調味液や具材の焦げがなく、好ましい状態であった。これに対し、乳化剤のHLB値が特定値以上の比較例1においては、調味液や具材等に焦げた箇所があり、好ましくなかった。
【0036】
[実施例4]
<かぼちゃの肉味噌ソース>
(1)投入する具材
容器(パウチ)内に後に加える具材をかぼちゃ200gとした。
【0037】
(2)電子レンジ加熱用調味液(肉味噌ソース)の調製
下記配合割合の原料を用意した。まず、ミキサーに、清水、鶏肉(挽肉)、味噌、精製糖にする前段階の分蜜糖(粗糖)、しょうがを投入して、撹拌混合した。続いて、加熱した二重釜に、得られた混合液とチキンエキス、ソルビタン脂肪酸エステル(HLB7.5)、澱粉を加えて、さらに撹拌しながら品温90℃になるまで加熱することによりを肉味噌ソース調製した。なお、原料糖の配合量は固形分換算で、得られた調味液全体に対して4%であり、甘味料全体に対して100%であった。
【0038】
続いて、得られた肉味噌ソース180gを弱化シール部と切欠とからなる蒸気抜き機構を有するジッパー付きスタンドパウチ(電子レンジ加熱時にパウチが膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整した蒸気抜き機構を有するもの)に充填密封後、レトルト処理(115℃、20分間)し、パウチ内に肉味噌ソース(180g)が充填されている電子レンジ加熱用容器詰め液状食品を得た。
得られた電子レンジ加熱用液状食品は、肉味噌ソースに加えるかぼちゃの好ましい大きさ、投入量、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間などの説明表示を印刷した紙製の化粧箱に封入した。
【0039】
<配合割合>
鶏肉(挽肉) 15.0%
だし汁 10.0%
味噌 5.0%
精製糖にする前段階の分蜜糖 4.0%
しょうが 4.0%
チキンエキス 3.0%
ソルビタン脂肪酸エステル(HLB7.5) 1.0%
澱粉 1.5%
清水 残 量
――――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0%
【0040】
(3)電子レンジによる加熱調理
前述の(2)の電子レンジ加熱用容器詰め液状食品のジッパーを開封し、(1)かぼちゃ200gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内に鶏肉投入後の電子レンジ加熱用容器詰め液状食品を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×9分間)をし、料理の取出用のノッチから開封した。
【0041】
電子レンジ加熱した液状食品は、調味液及びかぼちゃ共に焦げがなく、大変好ましいものであった。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味料を配合している調味液に、具材を加えて電子レンジで加熱調理(液状食品及び加えた具材の合計450gあたり、600W×4分相当以上の加熱条件)を行うことにより加熱食品を得られるようにする電子レンジ加熱用調味液において、ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖と、HLB2〜10の乳化剤とを配合していることを特徴とする電子レンジ加熱用液状食品。
【請求項2】
前記甘味料全体に対し、前記ハチミツ及び/又は精製糖にする前段階の分蜜糖を合計10〜100%配合している請求項1記載の電子レンジ加熱用液状食品。
【請求項3】
前記HLB2〜10の乳化剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの一種又は二種以上から選ばれる請求項1又は2記載の電子レンジ加熱用液状食品。
【請求項4】
前記調味液の粘度が、1000〜30000mPa・sである請求項1乃至3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用液状食品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子レンジ加熱用液状食品に具材を加えて電子レンジで加熱調理(液状食品及び加えた具材の合計450gあたり、600W×4分相当以上の加熱条件)することを特徴とする加熱食品の製造方法。