説明

電子レンジ用加熱容器

【課題】従来のフライパンやオーブンなどの電子レンジを使わずに加熱調理した場合と比較しても、味、食感、風味などの観点において遜色の無いよう食材を加熱調理することができ、また、火の通りが異なる食材を同時に調理できる電子レンジ用加熱容器を提供すること。
【解決手段】底部2と、前記底部2の周縁から立ち上がる側壁部3とを備える電子レンジ用加熱容器1であって、底部2および側壁部3には、食材と接触する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層4が設けられており、底部2は、平面視において略直線と曲線とを相互に接続した長手方向を有する形状により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ用加熱容器に係り、特に、電子レンジを利用して食材を加熱調理する際に用いる電子レンジ用加熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子レンジの普及に伴い、その利便性から電子レンジを用いて食材を加熱調理することが広く行われている。電子レンジは、マグネトロンから発生するマイクロ波を食材全体に照射することで、食材に含まれている水分子に振動を与えて共振させ、水分子同士の振動摩擦によって発生する熱により、食材を内部より加熱するものである。ただ、電子レンジを用いて食材を単に加熱するだけでは、例えば、焼いたり焦がしたりすることによって生ずる香ばしさや焦げ目、サクサク感(いわゆるクリスピー性)を食材に与えることができない。
【0003】
そこで、紙などでできたトレー状の容器本体の底部上面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する発熱シートを貼着した加熱容器内に食材を収容して、電子レンジにて加熱する方法が従来から広く行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の加熱容器では、マイクロ波の照射により発熱シートが発熱し、この熱によって、食材の発熱シートと接触する面に焦げ目やクリスピーな食感などを付与した状態で、食材を加熱することが可能となっている。
【0004】
また、放電を生じないような処理が施されたアルミニウム材料を用い、これを円形に成形加工することによって電子レンジ加熱容器を製造する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、基材層、導電性物質層、接着剤層および紙層との積層体からなるブランク板をプレス成形して、フランジ部、側壁部および底部を有する電子レンジ加熱用容器も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
更に、角が丸められた長方形の平面形状を有する電子レンジ用の構成体であって、容器と、この容器に装着されたマイクロ波相互作用ウェブとを含み、外ウェブがマイクロ波相互作用材料と複数のプリーツからなるものが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−289692号公報
【特許文献2】特開2004−131763号公報
【特許文献3】特開2000−142825号公報
【特許文献4】特表2009−529470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電子レンジによる加熱は、上記したように、従来の焼いたり焦がしたりするといった外部からの加熱とは大きく異なり、マイクロ波を照射することによって食材中の水分子を振動させて加熱する内部加熱であることから、上記した特許文献1に記載の加熱容器のように、食材がマイクロ波を遮断しない加熱容器内に収容されていると、食材はマイクロ波に直接晒され、加熱時間が長くなるにしたがい、食材には相当量のマイクロ波が浴びせられることになる。そうすると、食材から必要以上の水分が放出されるので、食材は過加熱の状態となり、その結果、含水量の不足により硬くなって、加熱調理後の食材の味、食感、風味などの質が落ちるといった問題がある。
【0009】
特に、例えば、卵やパン・ホットケーキ用の生地などの固形性を有さない非固形状・半固形状の食材(流動性を有する食材)がマイクロ波照射により過度に加熱されると、食材の水分が必要以上に減少して硬くなるので、パサパサとした食感となってふっくら仕上がらず、加熱調理後の料理の見た目や食感が損なわれてしまう。また、ミートソースやホワイトソース、ピザソースなどの調味料がマイクロ波照射により過度に加熱されると、水分が過剰に蒸散して乾ききるために、スカスカした質感になったり、全体のボリューム感が低下したりするなどして、これまた加熱調理後の料理の味や見た目が損なわれてしまう。
【0010】
また、チーズやバターなどの加熱により流動性を得る食材がマイクロ波照射により過度に加熱されると、同様にチーズやバターなどから多くの水分が蒸散して乾燥してしまうため、加熱調理後のチーズの糸引き性(とろりとした食感)やバターの香味が悪くなってしまう。
【0011】
このように、電子レンジによるマイクロ波照射により食材を加熱調理する場合には、簡単に食材を加熱調理できるものの、オーブンやフライパンなどの外部より加熱する調理器具と比べると、マイクロ波の性質により食材の内部の水分が過度に蒸散してしまう結果、加熱調理後の食材の仕上がりの面で劣り、食指を誘うという意味において改善の余地がある。
【0012】
また、電子レンジを用いた調理における応用範囲の拡大に伴い、異なる食材を一度に調理したいという要望が高まってきている。ここに言う「異なる食材」とは、具体的には火の通りが異なる食材を意味している。火の通りが異なる食材を従来の電子レンジ用調理容器で調理した場合には、火の通りが良い食材に対して過加熱となり、一方火の通りが悪い食材に対しては加熱不足となる。このため、一つの容器内で位置によって加熱の程度に差(適度な加熱ムラ)が生じるような容器が求められる。
【0013】
上記のようなニーズに対して、特許文献2に開示された電子レンジ加熱容器は、図1に示すように底部の平面形状が円形であり、底部および外周部から均等に加熱される構造であるため、適度な加熱ムラを実現することは困難である。
【0014】
また、特許文献3に開示された電子レンジ加熱用容器は、底部の平面形状が角を丸めた長方形となっている(図4参照。)。しかし、本来的に加熱ムラを目的とした形状ではなく、また、請求項の記載からも明らかなように容器の側壁部は発熱しない構造となっているため、加熱ムラを生じさせることはできない。加えて、容器の上端部周縁にはフランジを形成するため、多数の容器を一度に成形するような製造工程には不向きである。
【0015】
更に、特許文献4に開示された容器では、特許文献3と同様にフランジを有することに加え、容器の側壁部は略平面状に成形されているため、容器内部へのマイクロ波の通過量を制御(抑制)できるような構造にはなっていない。このため、食材に対して大量のマイクロ波が照射されてしまう可能性があり、食材の水分が過度に失われてしまうという不都合がある。
【0016】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、従来のフライパンやオーブンなどの電子レンジを使わずに加熱調理した場合と比較しても、味、食感、風味などの観点において遜色の無いよう食材を加熱調理することができる電子レンジ用加熱容器を提供することを目的とする。
【0017】
また、火の通りの異なる食材を一度の調理で適切に調理することができる、電子レンジ用加熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した目的に鑑み、本発明による電子レンジ用加熱容器は、底部と前記底部の周縁から立ち上がる側壁部とを備える電子レンジ用加熱容器であって、前記底部および側壁部には、食材と接触する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層が設けられており、前記底部は、平面視において略直線と曲線とを相互に接続した形状であって長手方向を有する形状により形成されており、前記側壁部のうち少なくとも曲線の部分に、周方向に沿って複数の山部と谷部とが交互に繰り返す横断面波形状が形成されていることを特徴としている。また、前記底部は、2つの直線とこれらの直線の両端を結ぶ2つの半円からなる俵形状に形成され、あるいは、多角形の角を丸めた形状に形成されている。なお、底部の平面形状を定義する直線は、厳密な意味での直線に限定されるものではなく、曲線と接続されることで楕円形状や長円形状を形成するような線も含む趣旨である。
【0019】
上記した構成の電子レンジ用加熱容器内に食材を収容して電子レンジにて加熱すると、電子レンジから放出されるマイクロ波は食材および加熱容器に照射される。これにより、食材は、マイクロ波照射によりその内部から加熱されるとともに、加熱容器の底部および側壁部に設けられた導電性物質層がマイクロ波の照射を受けて発熱し高温になる結果、導電性物質層からの熱伝導によって下方および側方からも加熱される。このとき、導電性物質層は、これに接触する食材の表面を直に加熱するので、望みに応じて食材には焼き目や焦げ目が付けられる。
【0020】
ここで、電子レンジから加熱容器に照射されたマイクロ波のうち、側壁部に到達したマイクロ波は、金属などの導電性物質に当ると反射するので、マイクロ波の加熱容器内への侵入(食材への照射)を抑制することができる。また、加熱容器の底部は長手方向を有する形状であるため、加熱容器内の位置によって加熱の程度が異なる。具体的には、長手方向の両端領域では底部に加えて三方の側壁部から加熱される。一方、加熱容器の中心領域では底部および二方の側壁部からの加熱であるので、両端領域と比較すると加熱量が抑えられる。このため、加熱容器の両端領域に火の通りにくい食材を配置すると共に、中央領域に火の通り易い食材を配置することで、一度の調理で火の通りの異なる食材を適切に調理することができる。
【0021】
また、前記側壁部のうち少なくとも曲線の部分には周方向に沿って複数の山部と谷部とが交互に繰り返す横断面波形状に形成されている。このため、側壁部が平滑に形成されている場合と比較すると、曲線の部分における導電性物質層の表面積が大きくなり、その抑制効果も高まるため、食材に照射されるマイクロ波の量が減少する。尚、直線の部分における側壁部に山部および谷部が形成されていない場合には、当該側壁部の表面積が大きくなることはないので、この部分での発熱が抑制されることで加熱容器の中央部の加熱も抑制される。これにより、さらに適度な加熱ムラを実現することが可能となる。
【0022】
このように、本発明の加熱容器では、側壁部に導電性物質層が設けられているとともに、少なくとも曲線の部分における側壁部が横断面波形状に形成されていることで、食材に直接作用するマイクロ波の量、すなわち、マイクロ波照射による食材の内部加熱を抑制した状態で食材を加熱調理することができるので、その抑制効果により、食材内部の水分の蒸散量を減らすことができ、その結果、加熱調理後の食材は、ふっくらとした柔らかな食感が付与されるので、従来のフライパンやオーブンなどによる加熱に近い状態を実現することができる。
【0023】
また、少なくとも曲線の部分における側壁部が複数の山部と谷部とにより表面が凸凹状に形成されていることで、当該部分の側壁部の表面積が大きくなるので、加熱時には、導電性物質層による伝熱面積が大きくなるため、食材への加熱力が高まる。一方、加熱後においては、側壁部(導電性物質層)は、広い表面積を有することから、発生した熱が効率的に放熱されて、その温度が早く低下する。よって、加熱調理後、比較的短時間で火傷などの心配なく側壁部を手で摘まんで加熱容器を持ち運びすることができる。
【0024】
さらに言及すれば、複数の山部および谷部が側壁部を補強するため、加熱容器の強度が向上するので、保型性にも優れたものとなり、食材(特に、固形性を有さない流動性を有する食材)を収容する際に食材の保持を安定して確実に行うことができる。
【0025】
本発明の好ましい実施態様の加熱容器においては、前記底部および側壁部は、紙からなる平坦なシート材の少なくとも一方の面に前記導電性物質層と前記導電性物質層を保護する耐熱性フィルム層とを積層して形成した1枚の発熱シートを成形することにより一体に形成されている。この実施態様によれば、前記底部および側壁部が、シート材と導電性物質層と耐熱性フィルム層とからなる1枚の発熱シートを成形することにより一体形成されるので、加熱容器を工程を減らした簡便な方法で、かつ、低価格で作製することができる。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様の加熱容器においては、前記シート材は、坪量が20g/m〜120g/mの薄紙からなる。この実施態様によれば、シート材が薄紙により構成されていることから、加熱調理後、導電性物質層から伝達される熱がこもらず効果的に外気に放熱されるので、導電性物質層(側壁部)の温度の早期低下を促進することができる。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様の加熱容器においては、周回する前記山部のピッチは、4個/10cm〜20個/10cmである。また、前記底部の外周長に対する前記側壁部の高さの比が、1/60〜3/4となるように形成されている。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施態様の加熱容器においては、加熱容器の上面開口を塞ぐ取外し可能な蓋をさらに備えている。前記蓋は、食材上に被さる蓋体部と、前記蓋体部の周縁から垂れ下がる垂下壁部とを備え、前記蓋体部および垂下壁部には、食材と対向する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層が設けられており、前記垂下壁部は、その全周にわたり周方向に沿って複数の山部と谷部とが交互に繰り返す横断面波形状に形成されている。
【0029】
この実施態様によると、加熱容器の上面開口が蓋により覆われるので、食材の上方から照射されるマイクロ波は、蓋の導電性物質層により反射されるため、加熱容器内への侵入が抑制される。よって、食材へのマイクロ波の照射をほぼ完全に遮断することが可能になる。そして、蓋に設けられた導電性物質層がマイクロ波の照射により発熱して高温になるので、その熱伝導により食材は下方および側方からだけでなく、上方からも加熱されるようになる。その結果、食材はマイクロ波照射による内部加熱ではなく導電性物質層からの熱伝導による外部加熱により加熱されるようになるので、より従来のフライパンやオーブンなどによる加熱に近い状態を実現することができる。
【0030】
更に、本発明は、電子レンジ用加熱容器組合体であって、上記電子レンジ用加熱容器と、この電子レンジ用加熱容器1を内部に収容してその形状を維持する補助容器とからなる、という特徴を有している。このような構成により、例えば流動性の高い食材を加熱容器に入れた場合には、加熱容器のみでは剛性が不足して側壁部が倒れてしまう可能性がある。このとき、補助容器は加熱容器を内部に収容して加熱容器の形状を維持するようになっているので、側壁部の変形を抑えることができる。その結果、流動性の高い食材であっても、加熱容器の形状を維持したまま調理することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の電子レンジ用加熱容器によると、従来のフライパンやオーブンなどの電子レンジを使わずに加熱調理した場合と比較しても、味、食感、風味などの観点において遜色の無いよう食材を加熱調理することができる。
【0032】
また、火の通りが異なる食材を一度に調理する場合でも、加熱容器内での配置を考慮することにより適度な加熱ムラを生じさせ、火の通りにくい食材を十分に加熱できると共に、火の通りやすい食材への過加熱を防止することがきる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子レンジ用加熱容器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に開示した電子レンジ用加熱容器の平面図である。
【図3】図1に開示した電子レンジ用加熱容器の側面図である。
【図4】図1に開示した電子レンジ用加熱容器に使用される発熱シートの層構成を示す断面図である。
【図5】図1に開示した電子レンジ用加熱容器への食材群の配置を示す説明図である。
【図6】図1に開示した電子レンジ用加熱容器への他の食材群の配置を示す説明図である。
【図7】図1に開示した電子レンジ用加熱容器に蓋を被せた状態示す斜視図である。
【図8】図1に開示した電子レンジ用加熱容器を補助容器と共に使用する態様を示す説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る電子レンジ用加熱容器の斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る電子レンジ用加熱容器を示し、図10(A)は平面図であり、図10(B)は側面図であり、図10(C)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実態の形態について添付図面を参照して説明する。図1〜図3は、本発明の一実施形態である電子レンジ用加熱容器1(以下、単に「加熱容器1」という。)の外観を示している。この加熱容器1は、容器内に食材を収容して、食材を電子レンジ(図示せず)にて加熱調理するためのものであり、食材の加熱調理後は、使い捨てすることができるものとなっている。
【0035】
図示例の加熱容器1は、上面が開口したトレー状をなしており、食材を支持可能な底部2と、底部2の周縁から立ち上がる側壁部3とを備えている。底部2は、平面視において略直線と曲線とを相互に接続した長手方向を有する略俵形状に形成されており、これにより、加熱容器1の輪郭形状を角部のない滑らかなものとしている。電子レンジのマグネトロン(図示せず)から発せられるマイクロ波は、容器の輪郭形状が角部のある角形状では、角部にマイクロ波が集中する特性を有しているので、角部が優先的に照射され易くなる。そのため、本実施形態では、底部2を俵形状とすることにより、角部へのマイクロ波の集中という問題点を回避している。その一方で俵形状は、直線状部分2aと曲線としての円弧(半円)状部分2bが相互に接続されて形成されており、円弧状部分2bの各点から加熱容器1の中心Caまでの距離Lbは、直線状部分2aの各点から加熱容器1の中心Caまでの距離Laに等しいかあるいはそれよりも長くなっている。このため、加熱容器1の底部全体で見た場合に、側壁部3からの加熱の程度に差が生じることとなる。具体的には、円弧の中心Cb付近では、底部2からの加熱に加えて円弧状の側壁部3からも囲まれるような態様で加熱がなされる。これに対し、加熱容器1の中心Caの領域では、底部2および2つの直線状部分2aの側壁部3からの加熱はなされるが、円弧状部分2bからは遠いため、円弧の中心Cbの領域と比較すると加熱の程度は低くなる。以上のことから、当該俵形状の加熱容器1においては、加熱容器1の長手方向の両端領域で高い加熱効果が得られ、逆に中心領域においては加熱効果が低くなり、いわゆる加熱ムラを実現することができる。
【0036】
なお、底部の平面形状の一部を形成する直線は、厳密な意味での直線に限定されるものではなく、直線とほぼ同一視できるような線も含む趣旨である。このため、底部の平面形状は厳密な意味で上記した俵形状(直線と曲線との組みあわせ)に限定されるものではなく、ほぼ直線と同一視できるような線と曲線とを組み合わせたような、例えば楕円形状やその他の長円形状であってもよい。
【0037】
側壁部3は、底部2に一体に形成されており、底部2を囲繞する所定の高さの周壁をなしている。これにより、卵などの固形性を有さない非固形状・半固形状の食材(流動性を有する食材)やチーズやバターなどの加熱により流動性を得る食材を加熱容器1内に収容した場合でも、食材が加熱容器1からこぼれないようになっている。
【0038】
側壁部3には、その上端から下端にかけて径方向外側に突き出る複数の山部30と径方向内側に凹む複数の谷部31とが、側壁部3の全周にわたって、側壁部3の周方向に沿って交互に繰り返して設けられている。円弧状部分2bにおける山部30bおよび谷部31bは、上方ほど幅広になるように形成されていて、側壁部3は、その横断面(水平方向の断面)が波形状に形成されている。一方、直線状部分2aにおける山部30aおよび谷部31aは、底部から上端に向かって略平行に形成されている。
【0039】
側壁部3は、上記した山部30a、30bおよび谷部31a,31bが複数設けられて、その表面が凸凹状になっているために、表面が平滑な場合と比較すると、その表面積が大きくなっている。その結果、後述するように、マイクロ波の照射により発熱して食材を熱伝導により側方から加熱する側壁部3の伝熱面積が大きくなるために、食材への加熱力が高まっている。さらに、加熱後においては、側壁部3は、広い表面積を有することから、発生した熱が効率良く放熱されて、その温度が比較的早く低下するようになっている。
【0040】
加えて、複数の山部30a,30bおよび谷部31a,31bが側壁部3を補強するため、加熱容器1の強度が向上するので、保型性にも優れたものとなり、食材(特に、流動性を有する食材)を収容した場合に、食材を安定した状態で保持することが可能である。
【0041】
周回する山部30a,30bのピッチ、すなわち、隣り合う2つの山部30a,30bの間隔は、4個/10cm〜20個/10cmの範囲であることが好ましく、8個/10cm〜17個/10cmがより好ましい。ピッチが4個/10cm未満であると、側壁部3の表面がフラットな場合と表面積があまり変わらないため、食材に対する加熱力があまり上がらず、また、側壁部3の補強が十分でないからである。
【0042】
また、山部30a,30bおよび谷部31a,31bの高低差hは3mm〜10mmの範囲であることが好ましい。高低差hが3mm未満であると、表面の凹凸が小さすぎて、側壁部3の表面がフラットな場合と表面積があまり変わらないため、食材に対する加熱力があまり上がらず、また、側壁部3の補強が十分でないからである。一方、高低差hが10mmを越えると、表面の凹凸が大きくなりすぎて、実用的ではないからである。
【0043】
図1に示す実施形態においては、直線状部分2aと円弧状部分2bとで山部30a,30bおよび谷部31a,31bのピッチを変えている。すなわち、直線状部分2aのピッチの方が円弧状部分2bのピッチよりも大きくなっている。これは、円弧状部分2bの表面積を広くすることで側壁部3での発熱を増大させ、ひいては食材に対する加熱力を向上させるためである。これと同時に、円弧状部分2bの側壁部3の面積が広いため、外部から照射されるマイクロ波が側壁部3で或る程度遮断され、食材への直接の照射量を低減することができる。これは、食材から水分が過剰に失われてしまうのを抑制するのを助ける。
【0044】
底部2および側壁部3には、食材と接触する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層4が設けられている。この導電性物質層4は、電子レンジによる加熱の際に発熱して高温(約170℃〜250℃)になることで、熱伝導により、食材を下方および側方より加熱し、必要に応じてこれに接触する食材の表面に焦げ目や焼き目を付けたりするなどして、食材を加熱調理するために設けられたものである。
【0045】
導電性物質層4は、例えば、アルミニウムやニッケル、ステンレス、金、銀、白金、亜鉛などの金属薄膜により形成されている。この導電性物質層4にマイクロ波が照射されると、導電性物質層4で渦電流に変わる。導電性物質層4は電気抵抗を持っているので、渦電流が流れることによりジュール熱が発生し、これにより、導電性物質層4が発熱する。
【0046】
ここで、加熱容器1の大きさ(底部2の直線状部分の長さと円弧状部分の直径d)は、特に限定されるものではなく、その用途に応じて種々の大きさに設定することができる。例えば、この加熱容器1を、例えばお弁当などにコンパクトに収納して料理を提供するのに用いる場合には、俵形状の長手方向の長さは3〜5cm程度であることが好ましい。また、夕食時などの一品料理を作るのに用いる場合には、より多くの種類の食材を入れて調理することになるため、俵形状の長手方向の長さは5〜25cm程度であることが好ましい。ただし、底部2の長手方向の長さが短すぎると(例えば3cmより小さいと)、加熱容器1が小さすぎて調理がしにくく、一方、底部2の長手方向の長さが長すぎると(例えば25cmを超えると)、加熱容器1の保形性が低下して変形し易くなる可能性がある。この場合に、長手方向の寸法とこれに直交する方向の寸法の比は、4:1〜3:2の範囲とするのが適度な加熱ムラを実現する観点からより好ましい。
【0047】
また、加熱容器1の深さ、すなわち、側壁部3の高さHも、特に限定されるものではなく、その用途に応じて種々の大きさに設定することができるが、1cm以上が好ましい。高さHが1cm未満であれば、加熱容器1内に収容した食材(特に、流動性を有する食材)がこぼれるなどして調理しにくい上に、側壁部3の高さHが低いと、後述するように、側壁部3によりマイクロ波が加熱容器1内に進入するのを防ぐ遮断効果がほとんど発揮されず、食材に照射するマイクロ波の量を抑制できないからである。一方、高さHが高ければ高いほど、側壁部3によるマイクロ波の遮断効果が発揮されるので好ましいが、お弁当などに収納する場合には、最大で約2cm〜4cm程度に抑える必要があり、また、その他の用途においても、側壁部3の高さHが高すぎると(例えば10cmを超えると)、嵩張って持ち運びがしにくくなる可能性がある。
【0048】
以上のことを考慮すると、加熱容器1の大きさ、具体的には、底部2の外周長(本実施例では、直線状部分長×2+円弧状部分長×2)に対する加熱容器1の深さ(側壁部3の高さH)の比は、1:100〜3:10の範囲にあることが好ましい。
【0049】
本実施形態では、上記した底部2および側壁部3は、図4に示すように、紙からなる平坦なシート材5の少なくとも一方の面に、接着剤の層(接着層)6を介して導電性物質層4と、導電性物質層4を保護する耐熱性フィルム層7とを積層して形成した1枚の発熱シート8を、シート材5を最表面にして成形することにより、一体に形成されている。具体的には、俵形にカットした所定の大きさの発熱シート8を、折り目10(図1に示す)に沿って、シート材5が最表面となるように側壁部3を折り起こして底部2の周囲に立ち上げた状態にするとともに、側壁部3の全周にわたって、外折りおよび内折りの折り目11,12(図1に示す)に沿って、山折りおよび谷折りを交互に繰り返し行うことにより、一体形成されている。このような成形に際しては、例えば、プレス加工機などを利用することができる。
【0050】
発熱シート8の耐熱性フィルム層7としては、導電性物質層4による発熱に対して耐熱性のあるフィルムであれば、特に種類を限定する必要はないが、金属薄膜の蒸着加工適性を有しているフィルムを使用するのが好ましく、例えば、厚さが9μm〜50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)が好適である。
【0051】
導電性物質層4は、アルミニウムやニッケル、ステンレス、金、銀、白金、亜鉛などの金属薄膜を耐熱性フィルム層7上に蒸着することにより形成されるが、コスト面などを考慮するとアルミニウム薄膜により形成することが好ましく、また、その薄膜の厚みは50〜150オングストロームの範囲が好ましい。蒸着方法としては、例えば、公知の真空蒸着法およびスパッタリング法などの気相堆積法を利用することができる。
【0052】
シート材5を構成する紙の材質や厚さは、特に限定されるものではないが、紙厚が坪量20g/m〜120g/m程度の薄紙を使用するのが好適である。厚みの薄い薄紙を使用することにより、電子レンジによる加熱調理の完了後に、導電性物質層4から伝達される熱がこもらずに効果的に外気に放熱されるので、導電性物質層4(側壁部3)の温度の早期低下を促進することができる。上記した構成の発熱シート8の具体例としては、例えば、凸版印刷株式会社製のサセプター(登録商標)が商用的には入手可能である。
【0053】
なお、本実施形態では、シート材5の片面に、接着層6、導電性物質層4、耐熱性フィルム層7を積層してなる発熱シート8を成形することにより、加熱容器1が作製されているが、これに限られるものではなく、例えば、紙などからなる容器(図示せず)を作製した後に、別に作製した耐熱性フィルム層7上に蒸着によりアルミニウム薄膜などの導電性物質層4を形成した構成の発熱用のシート(図示せず)を、所定の形状にカットして前記容器の底面や側面に接着などにより貼り付けることで、加熱容器1を作製するようにしてもよい。また、本実施形態に係る加熱容器1は、薄い紙を用いて形成されるため、多数の発熱シート8を重ね合わせた状態で切断およびプレスすることにより、少ない工程で大量の加熱容器1を製造することが可能である。この点は、加熱容器1の形状が底部2と側壁部3とからなるシンプルな形状に起因して得られる利点である。
【0054】
次に、上記した構成の加熱容器1を用いて食材を加熱調理する方法を説明する。まず、加熱容器1の底部2上に、図5に示すように、所望の料理を構成する種々の食材を載せる。図示例では、加熱容器1の中央部に卵を載せ、長手方向の両端領域にそれぞれ生のブロッコリー3切れと厚切りベーコン2切れを載せている。また、食材をふっくらと仕上げるために、大さじ1杯の水も加えている。なお、図5に示される加熱容器1の寸法は、加熱容器1の底部2の長手方向の長さが約16cm、幅が約8cm、そして側壁部3の高さH(図3に示す)が約3.5cmとなっている。また、円弧状部分2bの山部30bおよび谷部31bの高低差h(図2に示す)が4mmに、それぞれ設定されている。
【0055】
そして、食材を収容した加熱容器1を電子レンジ内に載置して、電子レンジによる加熱を所定の時間行う。図示例では、600Wで約2分30秒間、電子レンジにて加熱した。このようにして電子レンジによる加熱が行われると、電子レンジから放出されるマイクロ波は食材および加熱容器1に照射される。これにより、食材は、マイクロ波照射によりその内部から加熱されるとともに、加熱容器1の底部2および側壁部3に設けられた導電性物質層4がマイクロ波の照射を受けて発熱し高温になる結果、導電性物質層4からの熱伝導によって下方および側方からも加熱される。このとき、導電性物質層4は、これに接触する食材の表面を直に加熱するので、望みに応じて食材に焼き目や焦げ目が付けられる。
【0056】
ここで、電子レンジから加熱容器1に照射されたマイクロ波のうち、側壁部3に外側から到達したマイクロ波は反射され、加熱容器1内への侵入(食材への照射)が遮断されている。また、側壁部3に内側から到達したマイクロ波は反射されるが、側壁部3(導電性物質層4)の表面は、複数の山部30および谷部31により凸凹状に形成されているので、マイクロ波は側壁部3(導電性物質層4)の表面で反射されて四方八方に拡散するので、側壁部3が平滑に形成されている場合と比較すると、食材に照射されるマイクロ波の量が減少する。
【0057】
このように、本実施形態の加熱容器1では、側壁部3に導電性物質層4が設けられているとともに、側壁部3が横断面波形状に形成されていることで、食材に直接作用するマイクロ波の量、すなわち、マイクロ波照射による食材の内部加熱を抑制した状態で食材を加熱調理することができるので、その抑制効果により、食材内部の水分の蒸散量を減らすことができ、その結果、加熱調理後の食材は、ふっくらとした柔らかな食感が付与される。
【0058】
上記に加えて、火の通りにくいブロッコリーや厚切りベーコンに対しては、底部2および円弧状に取り囲む側壁部3の両方からの十分な加熱が行われると共に、卵に対しては底部2および直線状部分2aの側壁部3からある程度抑制された加熱が行われる。このため、適度な加熱ムラが実現でき、すべての食材を適切に加熱することが可能となる。本実施形態においては、ブロッコリーと厚切りベーコンに十分火が通っているが、卵は理想的な半熟状態となった。
【0059】
さらに図6は、上記と同じ加熱容器を使用し、その中央部に玉ねぎ中1/2個を載せ、長手方向の両端領域にそれぞれ生のジャガイモ中1/2個とかぼちゃ適量を載せている。また、上記の場合と同様に食材をふっくらと仕上げるために、大さじ1杯の水も加えている。これを600Wで約4分間、電子レンジで加熱した。本実施形態の加熱容器1で加熱調理した結果、火の通りにくいジャガイモおよびかぼちゃはふっくらと調理でき、一方、火の通りやすい玉ねぎは適度な硬さで調理できた。このように本実施形態の加熱容器1を使用すると、従来のフライパンやオーブンなどによる加熱に近い状態を実現することが可能となっている。
【0060】
また、本実施形態の加熱容器1では、側壁部3が凸凹状になっていることで、側壁部3の表面積が大きくなるので、加熱時には、導電性物質層4による伝熱面積が大きくなるために、側壁部3から食材への加熱力が高まっており、しっかりと食材に熱を通すことができる。一方、加熱調理後においては、導電性物質層4は、広い表面積を有することから、発生した熱が効率よく放熱されて、その温度が比較的早く低下する。加えて、シート材5が厚みの薄い薄紙で構成されていることにより、導電性物質層4から伝達される熱がこもらずに効果的に放熱されるので、加熱調理後短時間で、火傷などの心配なく側壁部3を手で摘まむことができ、加熱容器1を持ち運びすることができる。
【0061】
以上、本発明の第1の実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記した実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、加熱容器1はその上面が開口しており、上面から食材にマイクロ波の照射が可能となっているが、図7に示すように、この上面開口を塞ぐ取外し可能な蓋9をさらに備えるように構成してもよい。
【0062】
図示例の蓋9は、下面が開口しており、食材上に被さる平面視略俵形状の蓋体部90と、蓋体部90の周縁から垂れ下がる垂下壁部91とを備えている。蓋体部90および垂下壁部91には、加熱容器1と同様に、食材と対向する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層4が設けられている。図示した蓋9の垂下壁部91は平面状の形状となっているが、加熱容器1に形成されているような山部および谷部を形成するようにしてもよい。そうすることで、食材へ照射されるマイクロ波の量を制御することができるからである。
【0063】
この蓋9も、シート材5の片面に、接着層6、導電性物質層4、耐熱性フィルム層7を積層してなる1枚の発熱シート8を、プレス加工機などを用いて成形することにより作製することができ、蓋9の大きさは、加熱容器1の大きさとほぼ同じか、それよりも少し大きく設定されている。
【0064】
この実施形態によると、加熱容器1の上面開口が蓋9により覆われるので、食材の上方から照射されるマイクロ波は、蓋9の導電性物質層4により反射されるため、加熱容器1内への侵入が抑制される。よって、食材へのマイクロ波の照射をほぼ遮断することが可能になる。そして、蓋9の蓋体部90および垂下壁部91に設けられた導電性物質層4がマイクロ波の照射により発熱して高温になるので、その熱伝導により食材は下方および側方からだけでなく、上方からも加熱されるようになる。その結果、食材はマイクロ波照射による内部加熱ではなく導電性物質層4からの熱伝導による外部加熱により加熱されるようになるので、食材内部の水分の蒸散量を減らすことができ、より従来のフライパンやオーブンなどによる加熱に近い状態を実現することが可能である。
【0065】
図8は、当該実施形態に係る加熱容器1と補助容器21とを示す図である。この補助容器21は、概略形状は加熱容器1に対応しているが、寸法は加熱容器1より一回り大きなものとなっている。このため、加熱容器1を内部に収容して保持できるようになっている。この補助容器21の役割は、加熱容器1の形状を維持することである。なぜなら、加熱容器1自体は上記したように、基本的には薄い紙から形成されているため、加熱容器1内に流動性の高い食材を入れた場合に、側壁部3が倒れてしまうことも考えられる。これでは、流動性の高い食材を用いた調理に不都合である。そのため、当該補助容器21内に加熱容器1を収容し、補助容器21の剛性によって加熱容器1の変形を防ごうとするものである。
【0066】
上記のような目的のために、補助容器21はマイクロ波を通す材料であれば、厚手の紙や耐熱性プラスチックなどによって形成することができる。補助容器21の具体的な形状は、加熱容器1の形状にある程度対応していれば特に限定されものではなく、加熱容器1の側壁部3に形成された山部30a,30b及び谷部31a,31bに対応するような凹凸を側面部に設けても良いし、単純な平面で側面部を形成するようにしてもよい。
【0067】
次に、図9を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。当該実施形態に係る加熱容器41の基本構成は第1の実施形態と共通である。しかしながら、当該実施形態の加熱容器41では、直線状部分2aにおける側壁部43aに山部および谷部が形成されていない点が異なっている。このように、直線状部分2aにおける側壁部43aに山部および谷部が形成されていない場合には、当該側壁部43aの表面積が大きくなることはないので、この部分での発熱が抑制されることで加熱容器41の中央部の加熱も抑制される。これにより、さらに適度な加熱ムラを実現することが可能となる。
【0068】
次に、図10を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。当該実施形態に係る加熱容器51は、底部52の平面形状が角部を丸めた長方形となっている点で、第1の実施形態と異なっている。具体的には、底部52の長辺(長手方向)の長さが約12cmで、短辺の長さが約6.5cmとなっている。また、側壁部53の高さは約4.5cmとなっている。また、平面視において底部52の各角部は丸められているが、その半径は約2cmとなっている。
【0069】
このように形成された加熱容器51の場合にも、上記第1の実施形態と同様に、適度な加熱ムラを生じさせることができる。すなわち、加熱容器51の中央領域の食材は底部52および2つの側壁部53から加熱されるのに対して、長手方向の両端領域の食材に対しては底部52および3つの側壁部53から加熱がされる。このため、中央領域の食材に対する過加熱が防止されると同時に、両端領域の食材に対しては十分な加熱がなされることとなる。
【0070】
この時、本実施形態の加熱容器51は、角部が丸められているためにマイクロ波の集中を抑えることができ、角部が丸められていない加熱容器で生じるような過度の焦げなどの問題は発生しない。尚、角部を丸めるばあいの曲率半径は2cmに限定されるものではなく1cm〜3cm程度の範囲で選択が可能である。また、角部を丸める場合に円弧に限定されるものではなく、角部が生じないような任意の曲線を選択することも可能である。更に、本実施形態の加熱容器51では底部52が略長方形であるが、五角形やその他の多角形であってもよい。なお、当該実施形態に係る加熱容器51も、第2の実施形態と同様に直線状部分に対応する位置における側壁部に山部と谷部を形成しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,51 加熱容器
2,52 底部
3、53 側壁部
4 導電性物質層
5 シート材
7 耐熱性フィルム層
8 発熱シート
9 蓋
30a,30b 山部
31a,31b 谷部
90 蓋体部
91 垂下壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と前記底部の周縁から立ち上がる側壁部とを備える電子レンジ用加熱容器であって、
前記底部および側壁部には、食材と接触する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層が設けられており、
前記底部は、平面視において略直線と曲線とを相互に接続した形状であって長手方向を有する形状により形成されており、
前記側壁部のうち少なくとも曲線の部分に、周方向に沿って複数の山部と谷部とが交互に繰り返す横断面波形状が形成されている電子レンジ用加熱容器。
【請求項2】
前記底部は、2つの直線とこれらの直線の両端を結ぶ2つの半円からなる俵形状に形成されている、請求項1に記載の電子レンジ用加熱容器。
【請求項3】
前記底部は、多角形の角を丸めた形状に形成されている、請求項1に記載の電子レンジ用加熱容器。
【請求項4】
前記底部および側壁部は、紙からなる平坦なシート材の少なくとも一方の面に前記導電性物質層と前記導電性物質層を保護する耐熱性フィルム層とを積層して形成した1枚の発熱シートを成形することにより一体に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ用加熱容器。
【請求項5】
前記シート材は、坪量が20g/m〜120g/mの薄紙からなる請求項4に記載の電子レンジ用加熱容器。
【請求項6】
周回する前記山部のピッチは、4個/10cm〜20個/10cmである請求項1〜5のいずれかに記載の電子レンジ用加熱容器。
【請求項7】
前記底部の外周長に対する前記側壁部の高さの比が、1/60〜3/4となるように形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の電子レンジ用加熱容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子レンジ用加熱容器であって、
該加熱容器の上面開口を塞ぐ取外し可能な蓋をさらに備え、前記蓋は、食材上に被さる蓋体部と、前記蓋体部の周縁から垂れ下がる垂下壁部とを備え、前記蓋体部および垂下壁部には、食材と対向する側の面に、マイクロ波の照射を受けて発熱する導電性物質層が設けられているおり、
前記垂下壁部は、その全周にわたり周方向に沿って複数の山部と谷部とが交互に繰り返す横断面波形状に形成されている電子レンジ用加熱容器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの電子レンジ用加熱容器と、この電子レンジ用加熱容器を内部に収容してその形状を維持する補助容器とからなる、電子レンジ用加熱容器組合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−229566(P2011−229566A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100244(P2010−100244)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】