説明

電子レンジ用簡易蒸し麺製造容器

【課題】小麦粉は水で堅いて加工し麺状にしてから茹でることができる。しかし、米粉の場合は生地の粘性が低く、捏ねて麺状にする事が難しい。ベトナム麺では緩く溶いた生地を薄く伸ばした状態で固形化させ、切ることで麺状にする。この工程は各家庭で処置するには手間が掛る事と日本ではベトナムの様に米粉麺の製造業者が一般的でない為、米粉麺類の普及の妨げとなっている。
【解決手段】米粉を緩く溶いた生地を底の平らな容器に薄く延ばし電子レンジで蒸すと板状の麺の元が出来る。それを取りだし切り出せばベトナム原産の麺(PHO)となるが蒸す時に生地を麺型に入れて置けば、加熱で直接麺が出来上がる。また電子レンジの容積の制約で型一枚では一食分に足りないので、型を複数枚積み重ねられるようにした。さらに蒸し上がった麺が型から取り出しやすい様に熱い容器を指先で引っ張って簡単に変形出来る様につまみを付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米粉などを水で溶いた生地を薄く延ばし加熱し、調理済み板状生地とし、これを短冊状に切り麺とする調理方法に関する技術。
【背景技術】
【0002】
米を原料として麺類を製造する場合、米にはグルテンなどの粘り気の元になる成分が無く、そば粉や小麦粉の様に生の粉を練って板状にする事が難しい。パンの製造と同様、加工してから加熱すると云う順番にはグルテンなどが必須である。一方ベトナム麺の場合には米粉などを水で緩く溶いた生地を熱した鉄板上に薄く伸ばしながら加熱することで生地を板状にし、次の工程で短冊に切ると云うのが一般的である。 つまり、加熱してから加工すると云う順番をとる方法がある。しかし、この工程はそれなりに道具や熟練を要すると共に複数の工程が必要で、一般家庭で日常的に調理するには難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2006−95063公報
【特許文献2】特許公開2007−307099公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日本の主食は米であるが、主食としての食べ方は炊くのが主流である。麺類も主食の一つであり、蕎麦・うどん・ラーメンとしてかなり消費されているが、原料は殆ど輸入小麦粉であり、食糧自給率を低下させている。
一方、ベトナムの主食も米であるがベトナムでは殆どが麺として消費されている。 ベトナムにおけるベトナム麺の製造方法は(イ)米粉を水で緩く溶いた物を生地とし、(ロ)熱した鉄板などに薄く延ばして板状に固め、(ハ)やや、乾燥させた後に短冊状に裁断し麺とする。 (ロ)の工程は場所によっては布の上に延ばして蒸気で蒸す方法も行われている。 または(ハ)の代わりにライスペーパーとして春巻きなどの衣として使われる。 ベトナムでは専門の加工業者が国中に存在し、米を麺として食する社会インフラとして存在する。
この様な社会インフラが存在しない日本で米粉(こめこ)麺の消費量を拡大するには家庭で手軽に米粉麺を調理する道具が有力である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
米粉を水で緩く溶いた液状の生地を短冊状の型に入れて、加熱する。加熱に電子レンジを使う場合は蒸気を有効に使う為に型全体をさらに大きな容器にいれる方が良い。電子レンジの代わりにせいろで蒸す事も出来る。加熱(蒸す)ことで生地は型の形に固まり、型から取り出せば茹で上がった麺となる。型は板状で重ねる事が出来、一回の調理で複数食分の麺を調理出来る。型には短冊状の凹部がある。幅の広い短冊の型に浅く生地を入れれば平打ち麺タイプになり、幅の狭い短冊の型に生地を深く入れるとうどんタイプになる。短冊が並んだ型の代わりに全ての短冊を繋げて配置した型を用いれば長尺の麺も出来る。短冊状の凹部それぞれに均等に生地を入れる為の工夫や茹で上がった麺を型から簡単に取り出せる工夫が考えられている。
【発明の効果】
【0006】
日本の米の消費量は年を追うごとに下がり続けている。米(うるち米)の食し方の筆頭は炊飯であり、炊飯器を使えば手間は掛らない。しかし、炊いたご飯ばかりでは当然飽きがくる。もち米などは餅とか煎餅にする事もあるが主食にはならない。その他の主食としてはパンと麺がある。パンに関しては米粉から作るパンが普及し始めており期待が持てる。麺に関しても米粉から作った麺類がやはり普及し始めている。しかしこれらは工場で加工された半製品(完成品)を購入する場合が多く、主食としては割高となる。パンに関しては精白米から直接パンを作る家庭用のパン焼き器が発売され、より一層の期待が持てる。本発明の製麺器を使えば米粉と水と電子レンジ(もしくは蒸し器)に拠って、蒸し立て(茹でたて)の生ベトナム麺が数分で出来る。別途用意したスープとトッピングを加えれば麺の完成である。原材料として、やや割高な米粉の代わりに水に浸した普通のうるち米をミキサーで攪拌した生地も使える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明実施例の正面図、底面図、右側面図、背面図である。
【図2】本発明実施例の参考斜視図である。
【図3】本発明実施例のCG図である。(参考)
【図4】本発明実施例の使用状況を説明した図である。
【図5】本発明の他の実施例の正面図、底面図、右側面図、背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
長方形状の浅い容器(1)(5)に容器の深さに相当する壁状の仕切りが複数本挿入され、短冊状の凹部(2)(6)が全面に形成される。その仕切りは外壁との間に隙間が(3a)(3b)、(7a)(7b)あり、全ての短冊状の凹部(2)はこの隙間を介して繋がっている。さらに容器の外壁にはつまみが短冊に直行して4個(4a)(8a)、並行して4個(4b)、(8b)ある。
隙間(3),(7)の役目は(イ)生地を各短冊に均等に入れ易くするための生地の流れ道と(ロ)蒸し上がった麺を容器から取り出す時に短冊に直行して配置された両端のつまみ(4a)(8a)を引くと容器の壁が最初に捲れて、出来上がった麺が壁から剥離し、それがきっかけとなって、全ての麺が取り出せる。
【実施例】
【0009】
本発明の実施例のCAD図面を元にしたCG図を図3に示す。材料は耐熱性のシリコン樹脂を想定している。
【0010】
電子レンジの内部床面積の制約から、この容器の大きさには制約がある。従って、同一の容器を積み重ねて使用できるようにした。図4の実施例では図3の容器(1)の上に同一の容器を90度回して載せ(10)、さらに3枚目(11)を積み重ねつつある状態を示した。容器の外形は短冊の縦方向にやや長くなっている事で、各短冊の端に蒸気の通気口が確保される。従って、この容器はせいろ(蒸し器)でも問題無く使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
この容器をベルトコンベアーに装着し、蒸し器に通した後、麺の剥離、トレイの回収、生地の注入工程を行う様に構成する事で蒸し麺の自動製造器が出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性かつ可撓性樹脂の容器で短冊状の凹部が整列し、外側に引っ張るための耳を対角上に複数持つ食品加熱調理用容器。
【請求項2】
耐熱性かつ可撓性樹脂の容器で短冊状の凹部が整列し、外側に引っ張るための耳を対角上に複数持つ食品加熱調理用容器において、各短冊が短冊の端部において、隣の端部と繋がった物。
【請求項3】
耐熱性かつ可撓性樹脂の容器で短冊状の凹部が整列し、外側に引っ張るための耳を対角上に複数持つ食品加熱調理用容器において、各短冊を仕切る壁の高さが容器の外壁の高さと同一で、同形状の容器を90度ずらせて載せた時、上に載せた容器の底面がフラットになる様に工夫した容器。
【請求項4】
耐熱性かつ可撓性樹脂の容器に渦巻き状あるいは蛇腹状に短冊状の凹部が容器全面に埋め込まれ、かつ、外側に引っ張るための耳を対角上に複数持つ食品加熱調理用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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