説明

電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法

【課題】電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法を提供する。
【解決手段】煮熟された小籠包子1の肉餡2を備える工程と、混合小麦粉にする混合工程と、熱湯を得る工程と、α化されたドウを得る皮生地3の製造工程と、自動包餡機を用いて肉餡2を皮生地3で包餡すると共に襞を刻設して小籠包子1の成型物にする工程と、扁平なチャックを用いて上方に対峙して膨出する一対の耳部3aを形成する工程と、一対の耳部3aを形成する工程で得られた耳付き小籠包子1を凍結する工程とを含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法に関するものであり、更に詳細には、小籠包子の発祥の地である中国においても試みられることの無かった電子レンジ調理対応の耳付きの小籠包子を得るための製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の中国、台湾の伝統食品である小籠包子、湯包は、蒸篭で蒸し上げることが必須条件であると共に、薄皮は破れ易く箸を上手に使いこなす必要があり、この煩雑さが普及の妨げとなっていた。
【0003】
然し乍ら、中国・台湾の小籠包子の歴史に於いて、小籠包子につまみ用の耳部を付け且つ蒸篭を使用せず食べられる小籠包子の製造は試みられておらず、先に本出願人が開示した高周波加熱調理用小籠包子の製造方法は、高周波加熱調理機、所謂電子レンジを用いて短時間で、即ち、1分以下で速やかに箸が無くとも食に供することを可能とする小籠包子の製造方法であり、更に、製法上改良を加え利便性を高めた電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法であって、小籠包子の生具の主成分を調合する工程と、調合した生具の主成分の重量比5パーセント以下の寒天に水を加えて煮熟させゲル状又はゾル状の寒天にする工程と、生具の主成分とゲル状又はゾル状の寒天を混合させて生具基材にする工程と、生具基材を煮熟加熱により可食状態の具基材にする工程と、可食状態の具基材を冷却させる工程と、可食状態の具を生皮で包結する工程と、生皮で包結した具に殆ど熱が及ばないように表面加熱させ生皮を糊化させて可食状態の皮にする工程と、可食状態の皮と共に可食状態の具を冷却冷凍する工程を含むもの(特許文献1参照)である。
【特許文献1】再公表特許公開WO2002/076243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
つまり、特許文献1に記載のものは、 高周波加熱調理用小籠包子の製造方法で高周波加熱調理器を用いて短時間の高周波再加熱によって、速やかに食に供することを可能とする小籠包子の製造方法の開示であって、摘みと成る耳付きの小籠包子ではなく、更には、生皮で可食状態の具基材を包結するものであり包結後生皮を糊化させる必要を有し、この際、熱が内部に浸透し包含するゲルが一部溶解し型崩れを生じる課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、煮熟された小籠包子の肉餡を備える工程と、質量比65%の薄力粉と質量比33%の強力粉と質量比2%の小麦グルテン部分分解物とを混合して質量比100%の混合小麦粉にする混合工程と、混合小麦粉に対して質量比2%の植物油脂を質量比50%の水に混和させ乳化溶解すると共に沸騰点まで加温して熱湯を得る工程と、熱湯と前記混合小麦粉とを混合して練り合わせてα化されたドウを得る皮生地の製造工程と、自動包餡機を用いて煮熟された小籠包子の肉餡をα化されたドウの皮生地で包餡すると共に手造り小籠包子様の襞を刻設して上方に略円筒状の開口部を有する小籠包子の成型物にする工程と、扁平なチャックを用いて小籠包子の成型物の開口部の上方縁に上方に対峙して膨出する一対の耳部を形成する工程と、一対の耳部を形成する工程で得られた耳付き小籠包子を凍結する工程とを含むものであり、加えて、耳部に透明を含む天然食用着色料をインクジェットプリンターでプリントする工程を含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法で製造した耳付き小籠包子は蒸し上げた際、包餡する肉餡に含まれる寒天ゲルは、電子レンジ調理によってスープに戻り、更に、皮は、自動包餡機を用いて包餡しているため、人手での包結は不可能な球状を保ち、型崩れの無い理想的な形で蒸し上がるものであり、また、耳部は、皮と一体のため誰でもが指先やトング等で把持しても外れることなく、そのまま食することができ、更には、自然解凍で冷たい状態で小籠包子を食することも可能で汎用性の高い小籠包子製造の歴史に残る発明である。
【0007】
更に、耳部に透明を含む天然食用着色料をインクジェットプリンターでプリントすることも可能なものであり、プリントは記念日や名前等の文字でも、星座や家紋、花、動物等の図形でも、或いは、多色の模様でもこれらの組み合わせでも、何でも良く、また、色は無色を含む天然食用着色料にて、黒色、赤色、紅色、緑色、橙色 桃色、煮着色等に着色するもので、また、多色にしても構わないもので、従来、考えられなかった、イベント会場、テーマパーク、ホテルバイキング、ファミリーレストラン等での新しくユニークな小籠包子の販売を可能とするもので、極めて有効的で実用性の高い発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法の実施例の図面を用いて詳細に説明すると、図1は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法の実施例のフローチャートであり、図2は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法で製造した小籠包子の実施例の断面図であり、図3は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法で製造した小籠包子の実施例の側面説明図であり、図4は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法で製造した耳部の実施例の正面図である。
【0009】
本発明は、電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法に関するものであり、更に詳細には、小籠包子の発祥の地である中国においても試みられることの無かった電子レンジ調理対応の耳付きの小籠包子を得るための製造方法に関するものであり、請求項1に記載の電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法は、煮熟された小籠包子1の肉餡2を備える工程と、質量比65%の薄力粉と質量比33%の強力粉と質量比2%の小麦グルテン部分分解物とを混合して質量比100%の混合小麦粉にする混合工程と、前記混合小麦粉に対して質量比2%の植物油脂を質量比50%の水に混和させ乳化溶解すると共に沸騰点まで加温して熱湯を得る工程と、前記熱湯と前記混合小麦粉とを混合して練り合わせてα化されたドウを得る皮生地3の製造工程と、自動包餡機を用いて前記煮熟された小籠包子1の肉餡2を前記α化されたドウの皮生地3で包餡すると共に手造り小籠包子様の襞を刻設して上方に略円筒状の開口部を有する小籠包子1の成型物にする工程と、扁平なチャックを用いて前記小籠包子1の成型物の開口部の上方縁に上方に対峙して膨出する一対の耳部3aを形成する工程と、前記一対の耳部3aを形成する工程で得られた耳付き小籠包子1を凍結する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項2に記載の電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法は、請求項1に記載の電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法において、前記耳部3aに透明を含む天然食用着色料をインクジェットプリンターでプリントする工程を含むことを特徴とするものである。
【実施例】
【0011】
本発明は、電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法に関するものであり、更に詳細には、小籠包子発祥の地、中国でも人間の手では包餡と耳部3a成型が不可能のため試みられなかった電子レンジ調理対応耳付き小籠包子1を得るための製造方法に関するものである。
【0012】
つまり、電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法は、煮熟された可食の肉餡2を、α化されたドウの皮生地3で包餡して小籠包子1の成型物を作り、成型物の上方をチャックで寄せ絞り略円筒状の開口部を形成し、開口部の上方を平坦摘み装置で圧迫して上方に膨出する一対の突起物である耳部3aを設けるものである。
【0013】
次に、煮熟された可食の肉餡2の製造方法は、豚肉を50〜70m
m角に切断する工程と、角に切断された豚肉を血抜き洗浄する工程と、血抜き洗浄された豚肉を好ましくは遠心脱水機を用いて短時間に脱水する工程と、脱水された豚肉を3〜4mmのスクリーンで挽肉(ミンチ)にする工程と、3〜4mmに挽肉(ミンチ)にした豚肉を、干し椎茸、おろし生姜汁、砂糖、醤油、塩、鶏がらスープ、オイスターソス、老酒、米酒、コンソメ、寒天、ゼラチンゲル、フェンネル、シナモン、山椒、胡椒、クローブ、ちんぴ、八角等のいくつか用いて調味する工程と、調味された豚挽肉を煮熟する工程と、煮熟された調味豚挽肉を10〜20℃に冷却する工程と、10〜20℃に冷却した煮熟調味豚挽肉に蛋白架橋結合形成酵素トランスグルタミナーゼ、好ましくは、味の素株式会社製造のアクティバTG−Bを重量比1%添加、好ましくは、更に、アクトミオシンを重量比3%添加、撹拌混合する工程と、煮熟調味豚挽肉に蛋白架橋結合形成酵素トランスグルタミナーゼ、好ましくは、味の素株式会社製造のアクティバTG−Bを重量比1%添加、好ましくは、更に、アクトミオシンを重量比1%添加、撹拌混合したものを10〜20℃で12時間反応させる工程と、10〜20℃で12時間反応後の煮熟調味豚挽肉を65℃で30分、好ましくは、75℃で12分加熱しトランスグルタミナーゼを死活させ、更には、アクトミオシンの殺菌を行う工程と、トランスグルタミナーゼを死活させ、更には、アクトミオシンを殺菌処理した煮熟調味豚挽肉を中心温度4℃以下、好ましくは、0℃以下に冷却する工程と、コンソメ、オイスターソース、鶏がらスープ、塩、香辛料、ゼラチン、寒天、水、で配合したスープゼリーの製造工程と、ゲル化したスープゼリーを3mm好ましくは、4.5mmのスクリーンでチョピングする工程と、4℃以下、好ましくは、0℃以下に冷却した煮熟調味豚挽肉と、3mm、好ましくは、4.5mmのスクリーンでチョピングしたゲル化したスープゼリーを混合する工程とで得るものである。
【0014】
次いで、α化された皮生地3の製造方法は、質量比65%の薄力粉と、質量比33%の強力粉と、質量比2%の小麦グルテン部分分解物とを混合し質量比100%の混合小麦粉にする混合工程と、質量比100%の混合小麦粉に対して、質量比2%の植物油脂を質量比50%の水に混和して乳化溶解する工程と、乳化溶解した液を沸騰点まで加温し熱湯を得る工程と、液を沸騰点まで加温した熱湯と混合小麦粉を練り合わせてα化されたドウを、即ち、煮熟された皮生地3を得るもので、得られたα化されたドウは、冷めると延伸性が著しく低下し包餡が不能となるため、40℃好ましくは50℃に保ち速やかに自動包餡機にセットするものである。
【0015】
更に、40℃好ましくは50℃の温度を保ちつつ手作業で皮生地3を延伸、包餡することは、不可能なもので自動方餡機を用いるもので、国内で数種の自動包餡機があるが、好ましくは、レオン自動機械株式会社製のCN500、通称火星人が好適なものものである。
【0016】
つまり、自動包餡機は、延伸性を保持した煮熟状態の皮生地3をチューブ状に射出し、チューブ内に前述で得られた煮熟可食状態の肉餡2を18〜20g、又は、20〜25g、又は、25〜30gを充填する工程と、煮熟可食状態の肉餡2を充填されたチューブを自動包餡機内で回転する円盤の作用で「接線応力と法線応力」とを発生させ切り口に皮生地3を寄せ集めて「餡」を自動的に包餡し、球状に成型し連続的に製造する工程と、手造り小籠包子様の襞を刻設する工程と、平坦なチャックで圧迫して、上部に摘み様の扁平状の膨出する突起物、つまり、一対の耳部3aを得る工程と、この工程で得た製品を中心温度マイナス18℃以下に凍結し完成品を得るものである。
【0017】
加えて、耳部3aに透明を含む天然食用着色料をインクジェットプリンターでプリントする工程を含むもので、プリントは記念日や名前等の文字でも、星座や家紋、花、動物等の図形でも、或いは、多色の模様でもこれらの組み合わせでも、何でも良く、また、色は無色を含む天然食用着色料にて、黒色、赤色、紅色、緑色、橙色 桃色、煮着色等に着色するもので、また、多色にしても構わないものである。
【0018】
更には、本発明によって製造されたレンジ調理対応耳付き小籠包子1は、箸の苦手な人々でも容易に指で摘んで食べる事もでき、更には、自然解凍で、冷たい小籠包子1も賞味できるものであり、保管温度も幅が広く再凍結可能の商品である為、スーパー、コンビニでの販売も可能である。
【0019】
従来の生皮で包餡した伝統的な小籠包子は、流通面でかなりシビアな温度管理が必要でマイナス50℃以上になると解凍が始まり「だれ」生じ相互に固着し団子状態となり使い物にならなくなり、蒸し上げの方法も若干にテクニックを要し、また、蒸し上げ後の保管も2時間程度しか維持できず、直ぐに廃棄することになり、その為に、鮫子・焼売・春巻等と異なり、一般の需要者並びにレストラン、コンビニ、外食関係への普及を妨げているものである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法で製造された小籠包子は、蒸し上げた後に冷凍した小籠包子とは全く異なり、電子レンジで加熱調理した時初めて内包するスープジェリーが溶解してジューシーな小籠包子になるものであり、皮生地で包餡した小籠包子をプロが経験を基に蒸し上げた中国の本場小籠包子と遜色の無い製品に簡単に調理できるものであり、誰でも、何時でも、ほんの少量でも調理でき、ロスの全く無い経済的な電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の提供である。
【0021】
更には、従来、考えられなかった、イベント会場、テーマパーク、ホテルバイキング、ファミリーレストラン等で文様がプリントされた新しくユニークな小籠包子の販売を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法の実施例のフローチャートである。
【図2】図2は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法で製造した小籠包子の実施例の断面図である。
【図3】図3は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法で製造した小籠包子の実施例の側面説明図である。
【図4】図4は本発明の電子レンジ調理対応耳付小籠包子の製造方法で製造した耳部の実施例の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煮熟された小籠包子の肉餡を備える工程と、質量比65%の薄力粉と質量比33%の強力粉と質量比2%の小麦グルテン部分分解物とを混合して質量比100%の混合小麦粉にする混合工程と、前記混合小麦粉に対して質量比2%の植物油脂を質量比50%の水に混和させ乳化溶解すると共に沸騰点まで加温して熱湯を得る工程と、前記熱湯と前記混合小麦粉とを混合して練り合わせてα化されたドウを得る皮生地の製造工程と、自動包餡機を用いて前記煮熟された小籠包子の肉餡を前記α化されたドウの皮生地で包餡すると共に手造り小籠包子様の襞を刻設して上方に略円筒状の開口部を有する小籠包子の成型物にする工程と、扁平なチャックを用いて前記小籠包子の成型物の開口部の上方縁に上方に対峙して膨出する一対の耳部を形成する工程と、前記一対の耳部を形成する工程で得られた耳付き小籠包子を凍結する工程とを含むことを特徴とする電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法。
【請求項2】
前記耳部に透明を含む天然食用着色料をインクジェットプリンターでプリントする工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理対応耳付き小籠包子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−268464(P2009−268464A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93579(P2009−93579)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(501053392)有限会社日鮮技研 (4)
【Fターム(参考)】