説明

電子体温計

【課題】ケースからの出し入れにより電源がオンオフする電子体温計において、部品コストの低減と耐衝撃性の向上を実現する。
【解決手段】電子体温計は、その筐体の内部に、該電子体温計の各部に電力を供給する電源部と、導電材の物理的なオン、オフにより、前記電源部からの前記電力の供給をオン、オフする電源スイッチとをする。また、電子体温計は、筐体の外部からの押圧力に応じて変形し、該押圧力からの解放に応じて復元する弾性シート部と、該弾性シート部の変形および復元に連動する突起部とを有する電源スイッチアクセス部を有する。ここで、弾性シート部は筐体に設けられた貫通孔を覆うように設けられ、突起部がその貫通孔を介して電源スイッチに作用し、弾性シート部に押圧力が加わった状態で電源スイッチをオフの状態とし、押圧力から解放された状態で電源スイッチをオンの状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子体温計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子体温計は、一般に電源として電池を用いているため、非使用時においては電源をオフ状態として、電池の無駄な電力消費を低減する必要がある。特に、電子体温計をケースに収納している間は、明らかに電子体温計が使用されておらず、電子体温計の電源はオフとなっているべきである。手動により電源をオンオフするためのスイッチを電子体温計のハウジングに設けるようにしてもよいが、ユーザが電源を切らずに電子体温計をケースに収納してしまう可能性がある。
【0003】
したがって、電子体温計をケースへ収納した際に電源が自動的にオフとなり、電子体温計をケースから取り出した際に自動的に電源がオンするような構造を設けることが好ましい。このような要望に添うべく、電子体温計の電源ラインにマグネットリードスイッチを設けるとともに、ケース側に永久磁石を配置した構成が一般に用いられている(特許文献1)。この構成によれば、電子体温計がケースに収納されている間はケースに配置された永久磁石の作用によりマグネットリードスイッチがオフに維持され、電子体温計の電源は自動的にオフ状態となる。また、電子体温計がケースから取り出されている間は、マグネットリードスイッチが永久磁石による作用から解放されてオン状態に維持され、電子体温計の電源がオンされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−237148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マグネットリードスイッチと永久磁石との組み合わせによる電源オンオフの機構は、部品点数が多いこと、部品ばらつきにより製品製造の歩留まりが変動しやすいこと、などから、部品コストの点で課題を有していた。また、マグネットリードスイッチは、デリケートであり、耐衝撃性に課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ケースからの出し入れにより電源がオンオフする電子体温計において、部品コストの低減と耐衝撃性の向上を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による電子体温計は、
筐体の内部にあって、前記電子体温計の各部に電力を供給する電源部と、
前記筐体の内部にあって、導電材の物理的なオン、オフにより、前記電源部からの前記電力の供給をオン、オフする電源スイッチと、
前記筐体の外部からの押圧力に応じて変形し、該押圧力からの解放に応じて復元する弾性シート部と、該弾性シート部の前記変形および前記復元に連動する突起部とを有するアクセス手段と、を備え、
前記弾性シート部が前記筐体に設けられた貫通孔を覆うように設けられ、前記突起部が前記貫通孔を介して前記電源スイッチに作用し、前記押圧力が加わった状態で前記電源スイッチをオフの状態とし、前記押圧力から解放された状態で前記電源スイッチをオンの状態とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースからの出し入れにより電源がオンオフする電子体温計において、部品コストの低減と耐衝撃性の向上が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態による電子体温計用収納ケースの外観を示す図。
【図2】本実施形態に係る電子体温計の回路構成例を示すブロック図。
【図3】第1実施形態による電源スイッチアクセス部と電源スイッチの連携を説明する図。
【図4】第1実施形態による電子体温計と収納ケースを説明する図。
【図5】第2実施形態による電子体温計を説明する図。
【図6】第2実施形態による電池ホルダの構成を説明する図。
【図7】第2実施形態による電源スイッチアクセス部と電源スイッチの連携を説明する図。
【図8】第3実施形態による電子体温計と収納ケースを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は本実施形態による電子体温計用収納ケース(以下、収納ケースという)の外観を示す図である。図1(A)に示すように、収納ケース120は容器本体である収納部122とキャップ部材としての蓋部121とを有する。収納ケース120はプラスチックにて作られている。蓋部121は回動部15を介して収納部122に取り付けられており、回動部15により回動して収納ケース120の開閉を可能にしている。蓋部121を、例えば透明な部材で形成すれば、収納ケース120に電子体温計が収納されているか否かを直ちに視認することができる。収納部122の上面パネルには窓13が設けられている。使用者は、収納ケース120の内部空間に収納された電子体温計100の液晶表示部104を外部から見ることが出来る。使用者は、窓13により収納ケース120に電子体温計100が収納されているか否かを知ることができる。ただし、上述したように蓋部121を透明にした場合、窓13を省略することもできる。
【0011】
図1(B)に示すように、蓋部121を回動させると、収納部122の内部空間へ電子体温計100の抜き差しを行うための開口14が露出する。収納ケース120への電子体温計100の収納時には、電子体温計100はエンドキャップ103の側から収納部122の内部空間へ挿入される。例えば、収納部122は、射出成形により、上面パネル、下面パネル、側面パネルを一体的に成形して得られる。収納部122は、耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えばハイインパクト・スチロール樹脂、ブチレン、スチレン樹脂等で形成されている。
【0012】
次に、図1(B)を参照して、本実施形態に係る電子体温計100の外観構成を説明する。図1(B)には、電子体温計100を収納部120に挿入する概念図とともに、本実施形態による電子体温計100の外観斜視図が示されている。
【0013】
図1(B)において、101は電子体温計100の本体ハウジング(筐体101)である。なお、筐体101は、耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えば、ブチレン・スチレン樹脂により形成されている。103はエンドキャップである。エンドキャップ103は、内蔵された温度計測部に対して被検者の体温が伝導しやすいように、ステンレスなどの金属により被覆されている。エンドキャップ103の内部には温度を計測するためのサーミスタ等が収納され、液密性を有している。104は体温測定結果として体温データ等を表示する液晶表示部であり、透明の熱可塑性樹脂で形成された窓部材104aにより覆われている。なお、窓部材104aは、筐体101と二色成形され、高い液密性を有している。102は、筐体101に設けられた電源スイッチアクセス部である。電源スイッチアクセス部102については、図3により後述する。
【0014】
図2(A)は、第1実施形態による電子体温計100の回路構成例を示す図である。温度計測部202は、エンドキャップ103の内部に配置されたサーミスタの抵抗値変化に基づいて、温度計測を行ない、その信号を演算処理部201に提供する。演算処理部201は、温度計測部202からの信号に基づいて各種処理を行い、被検者の体温を演算すると共に電子体温計100全体の動作を制御する。演算処理部201は、演算された被検者の体温を液晶表示部104に表示する。なお、体温計測の終了を通知するためのブザー(不図示)や、被検者の体温を音声出力するための音声出力部(不図示)を設けてもよい。203は電源部であり、必要な電力を電子体温計100の各部に供給する。電源部203の電力は、電源スイッチ204を介して電子体温計100の各部に供給されるようになっており、この電源スイッチ204がオフ状態になると、電子体温計100に電力は供給されない。電源スイッチ204は、以下に説明するように弾性材で形成されており、外部から力が加わっていない通常状態で電源部203の電力を演算処理部201へ供給するオン状態を維持する。
【0015】
図3は、電源スイッチアクセス部102と電源スイッチ204の連携を説明する図である。図3(A)に示すように、電源スイッチアクセス部102は、弾性シート部301と突起部302を有し、筐体101に設けられた凹部に液密にとりつけられている。突起部302は、筐体101の凹部に設けられた貫通孔303を通して筐体内部へ貫通しており、弾性シート部301の変形および復元に連動する。弾性シート部301は貫通孔303をおおうように配置されており、電子体温計100の液密性が維持されている。弾性シート部301に対して、筐体101の内部へ向かう押圧力304を加えることにより、図3(B)に示されるように、弾性シート部301がつぶれて変形し、突起部302が電源スイッチ204を押しこむ。この作用により、電源スイッチ204は切断され、電源部203からの電源供給が停止する。この押圧力304が無くなると、弾性シート部301はもとの形状に復元し、突起部302は筐体101の外部方向へ引っ張られて電源スイッチ204の押圧状態が解除される。こうして、電源スイッチ204は再びオンの状態(図3(A)に示される状態)となり、電源部203からの電力が電子体温計100の各部へ供給されることになる。
【0016】
なお、凹部の大きさは、電子体温計100をユーザがつまんだ程度では、電源スイッチ204をオフする程度に弾性シート部301が押しこまれないようなサイズ、たとえば、半径を4mm以下、好ましくは1mm程度とする。また、深さは、たとえば0.5〜3mm、好ましくは1mm程度とする。ただし、これらの数値に限定されるものではない。なお、弾性シート部301の上面は、凹部の上端を超えない高さとなっており、ユーザが不用意に弾性シート部301に押圧力を加えることができないようになっている。
【0017】
上記の例では、筐体101に凹部を設けたが、これに限られるものではない。たとえば、図3(C)、図3(D)に示されるように、筐体101に凹部を形成することなく貫通孔323を設け、そこに弾性シート部321と突起部322とを有する電源スイッチアクセス部102を液密に設けるようにしてもよい。このような構成においても、電子体温計100の内部へ向かう押圧力324により突起部322が電源スイッチ204を押しこむように作用する(図3(D))。この作用により、電源スイッチ204は切断され、電源部203からの電源供給が停止する。この押圧力324が無くなると、弾性シート部321の復元により突起部322は筐体101の外部方向へ引っ張られ、電源スイッチ204から離される(図3(C))。こうして、電源スイッチ204は再びオンの状態となり、電源部203からの電力が電子体温計100の各部へ供給されることになる。
【0018】
なお、この場合の穴の大きさも、ユーザが筐体101に触れることで不用意に電源がオフとならないように、たとえば半径を4mm以下、好ましくは1mm程度とする。ただし、これらの数値に限定されるものではない。
【0019】
押圧力304,324は、電子体温計100を収納ケース120に収納することにより付与される。図4(A),図4(B)は、本実施形態による収納ケース120の構造を説明する模式図である。収納ケース120は蓋部121と収納部122を有し、収納部122は、電子体温計100の収納時における電源スイッチアクセス部102と対応する位置に突起部401を有する。突起部401は硬質ゴムにより形成され、電子体温計100が図示の位置まで収納されると、その弾力性により弾性シート部301,321を押し込む力を加える。このため、収納ケース120の収納部122に電子体温計100を収納することで、弾性シート部301,321に押圧力304,324が加わり、電源スイッチ204が自動的にオフとなり、電源部203による電源供給が停止する。なお、突起部401と対向する位置にも突起部402を設けてあるが、これは安定した押圧力を弾性シート部301に加えるためである。また、両側に突起部を設けることで、電子体温計100の収納部122に収納する際に、電子体温計100の向きを考慮する必要が無くなる。収納ケース120に窓13を設けない場合には、このような構成を採用すると便利である。
【0020】
電子体温計100を収納部122から取り出すと、弾性シート部301,321は突起部401,402による押圧力から解放されてもとの状態に復元する。そのため、電源スイッチ204が再びオン状態となり、電源部203からの電力が電子体温計100の各部へ供給される。
【0021】
また、図3(A)〜(D)に示したように、電子体温計100を収納部122に収納すると、電子体温計100の凹部または穴に突起部401,402がはまり込んだ状態となるため、電子体温計100が収納ケース120の内部でより固定的に保持される。このため、不用意に蓋部121を開けても電子体温計100が飛び出したり滑り落ちたりすることが防止される。
【0022】
以上のように、第1実施形態によれば、電源スイッチ204として剛性のある電極を使用すればよく、マグネットリードスイッチが不要となる。そのため、マグネットリードスイッチを利用する場合と比べて、構造が簡素化され、部品点数が減少し、歩留まりも向上する。また、外部の押圧力によりオンオフされる物理的なスイッチを用いればよいので、マグネットリードスイッチに比べて耐衝撃性が向上する。
【0023】
なお、上記実施形態では、電源スイッチアクセス部102を液晶表示部104よりもエンドキャップ103側に設けたが、これは硬質ゴムの突起部401,402が液晶表示部104の表示面をこすることを避けるためである。また、収納部122へ電子体温計100を収納していく際に電子体温計100と接触する時間が短くなるので、突起部401,402の劣化を遅らせることができる。しかしながら、突起部401,402を液晶表示部104のエンドキャップ103と反対側に設けるようにしてもよい。また、電源スイッチアクセス部102の位置は、液晶表示部104と同じ面である必要はなく、液晶表示部104が存在する面と対向する面や側面に電源スイッチアクセス部102を設けてもよい。
【0024】
<第2実施形態>
第2実施形態では、電子体温計において、電池を搭載、収納する電池ホルダを、電源スイッチの配線材を支持するための部材として利用する。なお、第2実施形態の電子体温計の回路構成は第1実施形態(図2(A))と同様である。本実施形態では、電池ホルダを利用しているため、特に電池交換型の電子体温計にも好適に適用できる。
【0025】
図5(A)は、第2実施形態に係る電子体温計100の外観構成を示す図である。また、図5(B)は、たとえば電池交換等のために電池ホルダ500を露出させた状態を示す図である。図5(A)において、第1実施形態と同様の構成には、同じ参照番号を付してある。112は電子体温計100の尾部ハウジング(筐体112)である。筐体112は、筐体101に対して、着脱可能に取り付けられている。なお、筐体112は、耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えば、ハイインパクト・スチロール樹脂、ブチレン、スチレン樹脂等により形成されている。
【0026】
図5(B)において、500は電池ホルダであり、ボタン電池501がシリーズに2個装着されるようになっている。なお、上記例ではボタン電池501が2個装着される例を示したが、これに限られるものではない。また、105は、筐体112を筐体101に取り付けた後、ネジ留めするためのねじ穴である。本実施形態では、ねじ穴105は液晶表示部104の面と反対側の面に設けられている。なお、本実施形態においてねじ穴105に取り付けられるねじは、磁力に吸着するSUS材により構成されているものとする。また、ねじのピッチ幅を従来のものよりも大きくし、ねじ切れを防止するとともに、ねじ頭を従来のものよりも大きくし、ガタつきを防止したものとなっているものとする。電池ホルダ500からは、電極板600と電極板601が図6により説明するように延びており、電源スイッチ204を形成している。なお、後述のように、第2実施形態では電源スイッチアクセス部102は、筐体112の端部に設けられている(図5(B)のA矢視図を参照)。
【0027】
図6(A)、図6(B)に示すように、電池ホルダ500において、電極板600は、ボタン電池501の負極に接触し、電池ホルダ500の側壁部に沿って設置され、筐体112の装着方向へ延びている。電極板601は、電池ホルダ500の、電極板600が設置された側壁とは反対側の側壁に沿って配置され、筐体112の装着方向へ延びている。電極板600と電極板601は、図示のように折り曲げられ、たがいに接触するようになっている(位置610)。部材613は、電極板601を電極板600に弾性的に、かつ安定的に押圧するように作用しており、図6(A)の状態で電源部203(ボタン電池501)からの電力が演算処理部201に供給されることになる。
【0028】
上述したように、電極板600と電極板601は位置610において接触しており、電源スイッチ204を構成している。電極板601は電極板600と接触した状態において、電源部203のマイナス側の電力供給路を形成する。電極板600には貫通孔が設けられており、電源スイッチアクセス部102の突起部302が貫通孔を通して電極板601の弾性力に抗して電極板601を矢印621の方向へ押すことで、図6(B)に示されるように電極板601が電極板600から離され、電源部203による電力供給が停止される。なお、電極板611はボタン電池のプラス極とマイナス極を接続し、電極板612はボタン電池のプラス側と接続されて、電源部203によるプラス側の電力供給路を形成している。
【0029】
第2実施形態の電源スイッチアクセス部102は、図5(B)に示されるように、筐体112の先端部分に設けられており、その具体的な構造の一例を、図7(A)、図7(B)に示す。なお、図3(C)に示したような構成を採用することも可能である。図7(A)に示されるように、弾性シート部301に接続されている突起部302は、弾性シート部301に押圧力304が加わることにより、筐体112の貫通孔303と電極板600の貫通孔620を通って電極板601の弾性力に抗した押圧力を加え、電極板600と電極板601を非接触な状態、すなわち電源スイッチ204をオフの状態とする。
【0030】
また、第2実施形態の収納ケース120では、蓋部121に電源スイッチアクセス部102に押圧力を加えるための突起部401が設けられる。したがって、電子体温計100を収納部122に収納した状態で蓋部121を閉じることにより、突起部401による押圧力304が電源スイッチアクセス部102に加わり、電子体温計100の電力供給が停止することになる。
【0031】
なお、上記例では、電源スイッチアクセス部102に押圧力を加えるための突起部を蓋部121に設ける例を示したが、これに限られるものではない。たとえば、エンドキャップ103が蓋部121を向くように収納部122に収納されるものとして、収納部122の底部に突起部を設けるようにしてもよい。
【0032】
<第3実施形態>
上記第1,第2実施形態では、収納ケース120に電子体温計100を収納した際に、電源スイッチアクセス部102(突起部302)により電源スイッチ204を物理的にオフの状態とする構成を説明した。第3実施形態では、電子体温計100に電極を配置し、収納ケース120に収納されたことを電子体温計100が検出して電気制御により電源部203の電力供給を停止させる構成を説明する。
【0033】
図2(B)は第3実施形態による電子体温計100の回路構成例を示すブロック図である。電源部203からの電力を供給する電源スイッチ204aは、半導体スイッチであり、そのオンオフは演算処理部201により制御される。演算処理部201は、電極221と電極222の短絡を検出すると、電源スイッチ204aをオフ状態にするよう制御する。演算処理部201は、電極221と電極222の間が切断されたことを検出すると、再び電源スイッチ204aをオン状態として、演算処理部201の各部への電力供給を開始させる。電源スイッチ204aがオフ状態となっている間は、電源部203の電力は、演算処理部201が電極221と電極222の間の切断を検出するために供給される。
【0034】
たとえば、図8(B)のB−B矢視図に示されるように、筐体101には凹部が設けられ、その凹部に電極221,222が露出するように配置される。なお、電極221,222の上面は、凹部の上端よりも低い位置とし、凹部から電極面が突出しない関係となっている。収納ケース120の電極221,222に対応する位置には、弾性を有する導電材711が設けられている。電子体温計100を収納ケース120に収納されると、電極221と電極222が導電材711により短絡される。上述したように演算処理部201は電極221と電極222が短絡されたことを検出すると、電源スイッチ204aをオフ状態とし、その後、電極221と電極222の間の短絡状態の解放を待つ。電極221と電極222の間の短絡状態が解放されると、演算処理部201は電源スイッチ204aを再びオン状態とし、電源部203からの電力が各部に供給されるようにする。
【0035】
以上のように、第3実施形態によれば、電源スイッチ204aとして半導体スイッチを利用することができ、マグネットリードスイッチが不要となる。そのため、マグネットリードスイッチを利用する場合と比べて、構造が簡素化され、部品点数が減少し、歩留まりも向上する。また、電子体温計の筐体に配置された電極と半導体スイッチによる構成となるので、マグネットリードスイッチに比べて耐衝撃性が向上する。演算処理部201の制御で電源をオンオフするので、電源オフ状態でも若干の電力消費を伴うことになるが、上記の効果はそれを補って余りあるものである。
【0036】
また、筐体101の凹部に電極221,222が設けられ、収納部122への収納時には導電材711の弾性力によりこれら電極が押圧されるので、電子体温計100が収納ケース120の内部でより固定的に保持される。このため、不用意に蓋部121を開けても電子体温計100が飛び出したり滑り落ちたりすることが防止される。
【0037】
また、上記実施形態では、左右対称の位置に電極を配置したので、収納ケース120へ電子体温計100を収納する際の電子体温計の向きを不問とすることが可能である。また、筐体101の凹部に電極を配置し、凹部の上端から電極面が出っ張らないようにしたので、測定中に皮膚などが接触して電源をオフしてしまうような事態の発生が低減される。
【符号の説明】
【0038】
100:電子体温計、 101:筐体、 102:電源スイッチアクセス部、 103:エンドキャップ、 104:液晶表示部、 201:演算処理部、 202:温度計測部、 203:電源部、 204:電源スイッチ、 301:弾性シート部、 302:突起部、 120:収納ケース、 121:蓋部、 122:収納部、 401,402:突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子体温計であって、
筐体の内部にあって、前記電子体温計の各部に電力を供給する電源部と、
前記筐体の内部にあって、導電材の物理的なオン、オフにより、前記電源部からの前記電力の供給をオン、オフする電源スイッチと、
前記筐体の外部からの押圧力に応じて変形し、該押圧力からの解放に応じて復元する弾性シート部と、該弾性シート部の前記変形および前記復元に連動する突起部とを有するアクセス手段と、を備え、
前記弾性シート部が前記筐体に設けられた貫通孔を覆うように設けられ、前記突起部が前記貫通孔を介して前記電源スイッチに作用し、前記押圧力が加わった状態で前記電源スイッチをオフの状態とし、前記押圧力から解放された状態で前記電源スイッチをオンの状態とする、ことを特徴とする電子体温計。
【請求項2】
前記筐体には凹部が設けられ、前記凹部の底に前記貫通孔が設けられ、
前記弾性シート部の前記押圧力を受ける面の位置が前記凹部の縁を超えないことを特徴とする請求項1に記載の電子体温計。
【請求項3】
前記アクセス手段は、前記電子体温計の表示面が存在する第1の面、前記第1の面に対向する第2の面、前記第1および第2の面を接続する第3の面のいずれか一つに設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子体温計。
【請求項4】
前記電源スイッチは、電池を搭載する電池ホルダにより支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子体温計。
【請求項5】
前記電子体温計の前記筐体を収納する収納ケースを更に備え、
前記収納ケースは、前記筐体が収納された状態で前記アクセス手段に前記押圧力を加えるための突起部を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子体温計。
【請求項6】
電子体温計であって、
筐体の内部にあって、前記電子体温計の各部に電力を供給する電源部と、
前記筐体の内部にあって、半導体スイッチにより、前記電源部からの前記電力の供給をオン、オフする電源スイッチと、
前記筐体に露出して設けられた1対の電極と、
前記1対の電極が短絡されたことが検出されている間は前記電源スイッチをオフ状態とし、前記1対の電極が短絡されていないことが検出されている間は前記電源スイッチをオン状態とする制御手段と、を備えることを特徴とする電子体温計。
【請求項7】
前記筐体の対向する面に1対の凹部が設けられ、前記1対の電極のそれぞれは前記1対の凹部のそれぞれの底に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電子体温計。
【請求項8】
前記電子体温計の前記筐体を収納する収納ケースを更に備え、
前記収納ケースは、前記筐体が収納された状態で前記1対の電極を短絡させる、弾性を有する導電材を備える、ことを特徴とする請求項6または7に記載の電子体温計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113800(P2013−113800A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262575(P2011−262575)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)