説明

電子光学装置用トリアリールアミン含有モノマー

【課題】 電子光学装置において、効率のよい発光ができ、正荷輸送構成要素としての実用性を有する低いバンドギャップを有する(コ)ポリマーを提供する。
【解決手段】 次式:
1−Ar1−[トリアリールアミン]−Ar2−X2
[式中、トリアリールアミン単位はモノマーの主鎖に少なくとも1つの窒素原子を有し、少なくとも3つの置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基を有し、前記基は、同じか異なり、X1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、Ar1およびAr2は同じか異なる置換されたまたは置換されていないアリール基またはヘテロアリール基である]
を有するモノマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリアリールアミンをベースとする三量体モノマー並びにこれから製造された低バンドギャップポリマーおよびコポリマー、特に、同ポリマーおよびコポリマーを含む電子発光装置および光起電装置などの電子光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体有機ポリマーはここ数十年間で知られてきており、例えば、WO90/13148に見られるように、この十年間で電子発光装置の分野での用途は増加している。典型的な電子発光装置は、アノード、カソードおよびアノードとカソードの間に位置する発光材料層からなり、装置への電荷注入または装置の電荷輸送を改善するために別の層を導入することもできる。半導体有機ポリマーは電子発光装置において、発光要素として、または電荷輸送若しくは電荷注入要素として機能することができる。より最近では、半導体有機ポリマーは、WO96/16449に開示されるように光起電装置において、また光伝導体および光検出体としての用途が見出されている。
【0003】
電子発光装置に使用されるポリマー材料の性質は、装置の性能にとって重要であり、使用される材料としてWO90/13148に開示されるポリ(フェニレンビニレン)、WO97/05184に開示されるポリフルオレン、WO98/06773に開示されるポリ(アリールアミン)が挙げられる。
【0004】
特に、WO92/03490、WO99/54385、WO00/55927およびWO99/48160に開示されるように、コポリマーおよびポリマーの混合物はこのような装置において有益であることが発見された。芳香族基がトリアジンのようなヘテロ芳香族部分を含んでもよいポリ(アリールアミン)が開示されている(WO01/49769参照)。
【0005】
最近では、利用可能な半導体ポリマーの範囲を広げ、特により低いバンドギャップを有するポリマーを提供する努力がなされてきている(WO01/49768参照)。バンドギャップは最高被占分子軌道(HOMO)および最低空分子軌道(LUMO)間のエネルギーレベルの差である。低バンドギャップ材料は、より長い波長で、すなわち、電磁スペクトルの可視領域の赤色端に向かってより低い波長の光を放射し、高分子光起電装置の有望な候補となりえる。WO01/49768はベンゾチアジアゾールのような複素環部分からなる低バンドギャップを有する一連のポリマーを開示する。ベンゾチアジアゾールはその発光および電子輸送特性を特徴とする官能基である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、効率のよい発光ができ、かつ電子光学装置において正孔輸送構成要素としての実用性を有する低いバンドギャップを有する一連のポリマーおよびコポリマーを提供することにある。本発明は、低いバンドギャップを有するポリマーおよびコポリマーを提供するために重合され得る一連のモノマーを提供し、本発明はさらに、前記ポリマーおよびコポリマーを有する電子光学装置並びに前記モノマーの重合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施態様において、本発明は次式:
1−Ar1−[トリアリールアミン]−Ar2−X2
[式中、トリアリールアミン単位はモノマーの主鎖に少なくとも1つの窒素原子を有し、少なくとも3つの置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基を有し、前記基は、同じか異なり、X1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、Ar1およびAr2は同じか異なる置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基である]
を有するモノマーを提供する。
【0008】
本発明の目的のためには、モノマーの主鎖という用語は、他の鎖がすべてこれにぶらさがっていると見なされてよい、すなわち、モノマーのその部分が最終的なポリマーの主鎖に位置づけられるような直鎖を意味する。主鎖は、場合により主要な鎖を意味する。
【0009】
より好ましい実施態様においては、Ar1基およびAr2基は、チオフェン、ピロール、フランまたはピリジンのような複素環式芳香族基であり、特にチオフェンが好ましい。重合可能なX1およびX2基は、好ましくは、Cl、Br、I、ボロン酸、ボロン酸エステルまたはボランからなる群から選択される。好ましい実施態様において、重合可能なX1およびX2基は、Brおよびボロン酸エステルからなる群より選択される。
【0010】
Ar1およびAr2基は、アリール、アルキル、シクロアルキルおよびアルコキシからなる群より選択される部分によって置換されることができる。
【0011】
トリアリールアミン基は、ヘテロアリール基を含むことができ、これはモノマーの鎖またはモノマーにぶらさがるものであってもよく、ヘテロアリール基の例としてはピリジンおよびトリアジンがある。好ましい実施態様においては、トリアリールアミンはトリアジン基を含む。トリアリールアミン基は、少なくとも1つの窒素を含み、好ましい実施態様においては、トリアリールアミン基は、1または2の窒素を含む。
【0012】
特に、好ましいモノマーは次の構造:
【化1】

[式中、X1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は同じか異なり、置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基である]
を有するものである。または、これらのモノマーは次の構造:
【化2】

[式中、X1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、Ar1、Ar2、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10は、同じか異なる置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基である]
を有する。Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9およびAr10基の例としては、フェニレン、チオフェン、ピロール、フラン、ピリジンおよびビフェニレンなどの基が挙げられる。
【0013】
アリールまたはヘテロアリール基Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9およびAr10は、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシおよびチオアルキルからなる群より選択される部分で置換されていてもよい。好ましい置換基はブチルおよび第2ブチルである。
【0014】
本発明の特に好ましいモノマーは次のものを含む。
【0015】
【化3】

[式中、RおよびR’は、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシおよびチオアルキルからなる群から選択され、好ましくは、RおよびR’は、ブチルおよび第2ブチルを含む群から選択される]。
【0016】
本発明は、本発明のモノマーの重合によって得ることができるポリマーを提供する。本発明は、本発明のモノマーと適切なコモノマーとの重合によって得られるコポリマーも提供する。好ましいコモノマーは、フルオレン、ベンゾチアジアゾール、フェニレン、トリアリールアミン、キノキサリンおよびスチルベンからなる群から選択されるものであり、前記コモノマーは、好ましくは、フルオレン、ベンゾチアジアゾール、フェニレンまたはトリアリールアミンである。
【0017】
さらなる実施態様において、本発明は、本発明のポリマーまたはコポリマーからなる電子光学装置を提供する。好ましい実施態様において、前記電子光学装置は電子発光装置または光起電装置である。
【0018】
本発明は、(a)ボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される少なくとも2つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、および少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、または(b)1つの反応性ハロゲン官能基およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される1つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマーを反応混合物中で重合する工程を含む本発明のポリマーの製造方法であって、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、およびホウ素誘導体官能基を−BX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはFおよびOHからなる群から独立して選択される、ポリマーの製造方法を提供する。
【0019】
本発明は、(a)ボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される少なくとも2つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、および少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する1または2つ以上のコモノマー、または(b)少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される少なくとも2つのホウ素誘導体官能基を有する1または2以上のコモノマー、または、少なくとも(c)1つの反応性ハロゲン官能基およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される1つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、並びに1つの反応性ハロゲン官能基およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される1つのボロン誘導基を有する1または2以上のコモノマーを反応混合物中で重合する工程を含む本発明のコポリマーの製造方法であって、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、およびホウ素誘導体官能基を−BX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはFおよびOHからなる群から独立して選択される、コポリマーの製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明のモノマーは当業者に知られた適当なルートで製造することができる。好ましいルートは、アミン単位を与えるUllmann縮合およびアミン単位をさらにアリールまたはヘテロアリール基に結合するためのStilleカップリングを含む。典型的な合成ルートの例を示す。
【0021】
【化4】

【0022】
上記のスキームにおいて、トリアリールアミンはジアミンおよび芳香族ヨウ化物のUllmann縮合によって形成される。この縮合は、通常、銅粉末、酸化第1銅、塩化第1銅、臭化第1銅、ヨウ化第1銅または硫化第1銅のような触媒の存在下において不活性溶媒中で行われ、反応を促進するために1,10−フェナントロリンが加えられる。Stilleカップリングは芳香族単位を複素芳香族単位とカップリングさせる通常の方法であり、上記のスキームにおいて、求電子物質置換トリアリールアミンはパラジウム触媒の存在のもとで有機錫試薬と反応される。Ullmann縮合およびStilleカップリングの変形は共に当業者にとって周知である。
【0023】
本発明のモノマーの例は、次の構造を有するものを含む。
【0024】
【化5−1】

【化5−2】

【0025】
本発明のポリマーおよびコポリマーはヤマモトまたはスズキカップリングのような当業者に周知の任意の適当な方法、好ましくはスズキカップリングで製造され得る。チオフェンまたはピロール置換基を有するモノマーの場合、ポリマーおよびコポリマーは電気化学重合によって製造され得る。一般に、スズキカップリングによってポリマーを製造するために、適当に置換されたモノマーが触媒および塩基の存在下で溶媒中で重合される。適当なモノマーは、例えば、1つの重合可能なBr部分および1つの重合可能なボロン酸エステル部分を含むものであり、代替的に、反応混合物は、1つは例えばBr置換基を有し、他方は、例えばボロン酸エステル置換基を有する2つのモノマーを含むことができる。触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒であり、適当な塩基は、アルカリまたはアルカリ土類炭酸塩およびアルカリまたはアルカリ土類重炭酸塩またはWO00/53656に開示されるもののような有機塩基を含む。溶媒は、好ましくは、ポリマーが溶解するものであり、例えば、適合する溶媒はアニソール、ベンゼン、エチルベンゼン、メシチレン、キシレンおよびトルエンを含む。典型的なスズキ重合の反応スキームを下記に示す。
【0026】
【化6】

【0027】
同様に、本発明のコポリマーはヤマモトまたはスズキカップリング、好ましくはスズキカップリングで製造され得る。一般に、スズキカップリングによってコポリマーを製造するために、適当に置換されたモノマーが触媒の存在下で溶媒中で重合される。2つの構成要素であるコポリマーを製造するために適当な反応物は、少なくとも2つのボロン酸エステル基を有するモノマーと少なくとも2つのBr基を有する第2のモノマーであり、代替的には、1つのBr基および1つのボロン酸エステル基を有するモノマーと1つのBr基および1つのボロン酸エステル基を有する第2のモノマーである。明らかに、ターポリマーおよびより高次のコポリマーが、適当なモノマーを反応させることによって製造し得る。触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒であり、適当な塩基は、アルカリ土類カーボネートおよびアルカリ土類重炭酸塩またはWO00/53656に開示されるもののような有機塩基を含む。溶媒は、好ましくは、ポリマーが溶解するものであり、例えば、ポリフルオレンに適合する溶媒はアニソール、ベンゼン、エチルベンゼン、メシチレン、キシレンおよびトルエンを含む。
【0028】
末端キャッピング試薬が、反応を終了させるために加えられてもよく、または反応終了後に加えられてもよい。適合する末端キャッピング試薬の例は、フェニルボロネートおよびブロモベンゼンを含む。
【0029】
コポリマーを形成するために本発明のモノマーと共重合され得るコモノマーの例は、次のものを含み、ここで、X1およびX2は重合可能基である。
【0030】
【化7】

【0031】
ポリマーおよびコポリマーの例は、次の構造を有するものを含み、ここで、x、yおよびzはコポリマーにおけるモノマーの割合を表す。
【0032】
【化8】

【0033】
本発明のポリマーおよびコポリマーは電子発光装置および光起電装置のような電子光学装置に使用され得る。本発明の電子発光装置は、典型的には、適当な基板上に、アノード、カソードおよびアノードとカソードの間に位置する発光材料層を含む。電子発光装置は、さらに、発光材料とアノードまたはカソードの適当な方の間に位置する電荷輸送層および/または電荷注入層を含むことができる。本発明の電子発光装置においては、本発明のポリマーまたはコポリマーは発光層または電荷輸送若しくは電荷注入層として、または代替的には、発光材料との混合物における電荷輸送要素として、または電荷輸送材料との混合物における発光要素として存在することができる。発光層の厚さは、10nm〜300nmであることができ、好ましくは50nm〜200nmである。特に、本発明のポリマーおよびコポリマーは正孔輸送層としてまたは混合物における正孔輸送要素として機能することができる。
【0034】
装置のアノードは、好ましくは基板に堆積される高仕事関数の材料からなる。好ましくは、材料は4.3eVより大きな仕事関数を有し、このような材料の例としてインジウム錫酸化物(ITO)、錫酸化物(TO)、アルミニウムまたはインジウムをドープした酸化亜鉛、マグネシウム−インジウム酸化物、カドミウム錫酸化物およびAu、Ag、Ni、PdおよびPtのような金属がある。適当な基板は、ガラスおよびプラスチックを含み、基板は堅固または柔軟、透明または不透明であってよい。高仕事関数の材料は50nm〜200nmの薄膜を形成するために基板上に適切に堆積させ、好ましくは、前記薄膜は10〜100オーム/□、より好ましくは30オーム/□未満のシート抵抗を有する。
【0035】
装置のカソードは、好ましくは、低仕事関数の材料、好ましくは3.5eV未満の仕事関数を有するものである。このような材料の例としては、Li、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Yb、SmおよびAlである。カソードは前記金属の合金または他の金属と前記金属の合金、例えば、MgAgおよびLiAl合金を含むことができる。カソードは、好ましくは、例えば、Ca/AlまたはLiAl/Alのような複層を含む。装置は、WO97/42666に開示されるように、カソードと発光層の間にさらに誘電材料層を含んでもよい。特に、カソードと発光材料の間の誘電層として、アルカリまたはアルカリ土類金属のフッ化物を用いるのが好ましい。特に好ましいカソードは、厚さ1〜10nmのLiF層、厚さ1〜25nmのCa層および厚さ10〜500nmのAl層を有するLiF/Ca/Alを含む。
【0036】
電子発光装置が、さらに電荷注入または電荷輸送材料を含むとき、これらの追加材料は別個の層として、または発光材料との混合物において存在することができる。適当な電荷輸送材料の例としては、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)、高分子アニオンドーパントのようなアニオンドーパントを有するポリアニリン、およびポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−(4−イミノ(安息香酸))−1,4−フェニレン−(4−イミノ(安息香酸))−1,4−フェニレン))BFAのような高分子トリアリールアミンを含むトリアリールアミンがある。電荷輸送層または電荷注入層は適切には、10nm〜200nm、好ましくは1nm〜50nmの範囲の厚さを有する。
【0037】
電子発光装置の好ましい構造は、ガラス基板、ITOアノード、PEDOT−PSS電荷輸送層、発光材料層、LiFの薄膜層並びにカルシウム層およびアルミニウム層からなるカソードを含む。
【0038】
本発明の光起電装置は、典型的には2つの電極を含み、前記2つの電極の間に異なる電子親和性を有する少なくとも2つの半導体ポリマーが配置され、前記半導体ポリマーの1つは本発明によるポリマーである。半導体ポリマーは混合物の形で存在してもよく、または別個の層を形成してもよく、好ましくは前記半導体ポリマーは、混合物の形で存在する。一般的に、電極の1つは、ITOのような高い仕事関数の材料を含み、適当な高い仕事関数の材料の他の例は上記のとおりである。一般に、他の電極はAlのような低い仕事関数の材料を含み、適当な低い仕事関数の材料の他の例は上記のとおりである。光起電装置は、適切であれば、さらなる電荷注入および/または電荷輸送層を含んでよく、例えば、正孔の輸送および注入を促進するためにアノードと高分子層の間にPEDOT/PSS層が組み込まれる。このような光起電装置の例はWO99/49525およびUS5670791に開示されている。
【0039】
本発明のポリマーは、光検出器または光伝導体に於ける活性な構成要素として使用されてもよい。光検出器においては、ポリマーが2つの電極の間に配置される有機材料の1つの層に含まれ、電圧が有機材料層を横切って印加され、有機材料の入る入射光によって発生する電流を測定するための電流検出回路が使用される。本発明のポリマーを有する光伝導体は同様に操作されるが、装置が光にさらされたときに生じるポリマー層の抵抗の変化を測定する回路を含む。光ダイオードおよび光検出器はWO99/09603、GB2315594およびUS5523555に開示されている。
【実施例】
【0040】
三量体前駆体の合成
【化9】

【0041】
トルエン(80mL)中の2−トリブチルスタニルチオフェン(10.16mL、17.56mmol)、アミン2(7.18g、13.3mmol)溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(731mg)が加えられた。反応混合物は4時間還流され、次いで熱が除去された。懸濁液がセライトを通してろ過され、乾燥状態まで蒸発された。ヘキサンからの再結晶化により目的とする生成物3.98g(56%収率)が得られた。さらに、1.16gが母液から得られた。全収率(73%)。構造はGC−MSおよび1H NMRで確認した。
【0042】
ジブロモ三量体の合成
【化10】

【0043】
DMF(40mL)中の三量体前駆体(3.97g、17.47mmol)溶液にDMF(10mL)中のN−ブロモスクシンイミド(NBS)(2.66g、14.94mmol)溶液が加えられた。反応混合物は室温で30分間攪拌された。GC−MSで観察した。さらに、NBSの2.66gが加えられ、これによってGC−MSによる100%の目的生成物が得られた。反応は、反応混合物をアイス/エタノール中に注入することによりクエンチされた。生成物はろ過され、ジエチルエーテル/ヘキサンから再結晶化され、5.19g(98%収率)の目的生成物が得られた。
【0044】
ABコポリマーF8三量体の重合
トルエン(5mL)中の9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボレート)(F8)、(0.9267g、1.75mmol)およびジブロモ三量体(1.2290g、1.75mmol)溶液に、トルエン(2.55mL)中のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)4mgが加えられた。溶液は10分間脱ガスされ、次いでテトラエチルアンモニウム水酸化物(5.82mL)が加えられた。反応混合物は115℃で19時間加熱された。次いで末端キャッピング試薬が次のように加えられた。0.3mlブロモベンゼンが加えられ、115℃の温度で1時間反応させ、次いで0.3gフェニルボロン酸が添加され、115℃の温度で1時間反応させた。反応混合物は室温まで冷却され、メタノール0.5l中へ注がれた。沈殿物としてポリマーが得られた。質量15Kのポリマー1.14gが得られた。
【0045】
本発明をいくつかの具体的な実施態様を参照して述べているが、本発明の範囲内で種々の変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式:
1−Ar1−[トリアリールアミン]−Ar2−X2
[式中、トリアリールアミン単位はモノマーの主鎖に少なくとも1つの窒素原子を有し、少なくとも3つの置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基を有し、前記基は、同じか異なり、
1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、
Ar1およびAr2は同じか異なる置換されたまたは置換されていないアリール基またはヘテロアリール基である]
を有するモノマー。
【請求項2】
Ar1およびAr2はヘテロアリール基である請求項1に記載のモノマー。
【請求項3】
Ar1およびAr2がベンゼン、チオフェン、ピロール、フランおよびピリジンから構成される群から選択される請求項2に記載のモノマー。
【請求項4】
1およびX2は同じか異なり、Cl、Br、I、ボロン酸、ボロン酸エステルおよびボランから構成される群から選択される請求項1に記載のモノマー。
【請求項5】
1およびX2は同じか異なり、Brまたはボロン酸エステルから選択される請求項4に記載のモノマー。
【請求項6】
トリアリールアミンが少なくとも1つのヘテロアリール基を含む請求項1に記載のモノマー。
【請求項7】
トリアリールアミンがトリアジン基を含む請求項6に記載のモノマー。
【請求項8】
Ar1およびAr2は同じか異なるアリールまたはヘテロアリール基であり、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシおよびチオアルキルから選択される部分で置換されている請求項1に記載のモノマー。
【請求項9】
トリアリールアミンが1つの窒素原子を含む請求項1に記載のモノマー。
【請求項10】
トリアリールアミンが2つの窒素原子を含む請求項1に記載のモノマー。
【請求項11】
次の構造:
【化11】

[式中、X1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は同じか異なり、置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基である]
を有する請求項9に記載のモノマー。
【請求項12】
Ar3、Ar4およびAr5が、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシおよびチオアルキルからなる群より選択された部分で置換されている請求項11に記載のモノマー。
【請求項13】
次の構造:
【化12】

[式中、X1およびX2は同じか異なる重合可能な基であり、
Ar1、Ar2、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9およびAr10は、同じか異なる置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基である]
を有する請求項10に記載のモノマー。
【請求項14】
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9およびAr10は、アルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシおよびチオアルキルからなる群より選択される部分で置換されている請求項13に記載のモノマー。
【請求項15】
次の構造:
【化13】

[式中、RおよびR’はアルキル、パーフルオロアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルコキシ、アリールオキシおよびチオアルキルから選択される]
を有する請求項1に記載のモノマー。
【請求項16】
請求項1に記載のモノマーを重合させることにより得ることができるポリマー。
【請求項17】
請求項1に記載のモノマーおよび1または2以上のコモノマーを重合させることにより得ることができるコポリマー。
【請求項18】
請求項1に記載のモノマーおよびフルオレン、ベンゾチアジアゾール、フェニレン、トリアリールアミン、スチルベン、キノキサリンおよびビフェニレンからなる群から選択される1または2以上のコモノマーを共重合させることにより得ることができる請求項17に記載のコポリマー。
【請求項19】
請求項1に記載のモノマー、およびフルオレン、ベンゾチアジアゾール、トリアリールアミンおよびフェニレンからなる群から選択されるコモノマーを共重合させることにより得ることができる請求項18に記載のコポリマー。
【請求項20】
請求項16に記載のポリマーまたは請求項17に記載のコポリマーを含む電子光学装置。
【請求項21】
前記装置は電子発光装置である、請求項20記載の電子光学装置。
【請求項22】
前記装置は光起電装置である、請求項20記載の電子光学装置。
【請求項23】
次の反応混合物:
(a)ボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される少なくとも2つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、および少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、または(b)1つの反応性ハロゲン官能基、およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される1つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、
を重合させる工程を含み、ここで、前記反応混合物は芳香族モノマーの重合の触媒として適当な触媒量の触媒、およびホウ素誘導体官能基を−BX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはFおよびOHからなる群から独立して選択される、
請求項16記載のポリマーの製造方法。
【請求項24】
次の反応混合物:
(a)ボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される少なくとも2つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、および少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する1または2つのコモノマー、または
(b)少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する請求項1に記載のモノマー、およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される少なくとも2つのホウ素誘導体官能基を有する1または2以上のコモノマー、または、
少なくとも(c)1つの反応性ハロゲン官能基、およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される1つのホウ素誘導体官能基を有する請求項1に記載のモノマー、並びに1つの反応性ハロゲン官能基、およびボロン酸基、ボロン酸エステル基およびボラン基から選択される1つのホウ素誘導体官能基を有する1または2以上のコモノマー、
を重合させる工程を含み、ここで、前記反応混合物は芳香族モノマー重合の触媒として適当な触媒量の触媒、およびホウ素誘導体官能基を−BX3−アニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含有し、ここで、XはFおよびOHからなる群から独立して選択される、コポリマーの製造方法。

【公開番号】特開2012−111958(P2012−111958A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−32006(P2012−32006)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【分割の表示】特願2003−538226(P2003−538226)の分割
【原出願日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】