説明

電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡システム

【課題】電子内視鏡の信号処理回路が使用するパラメータを調整可能な電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡システムを提供することである。
【解決手段】電子内視鏡用プロセッサが、電子内視鏡とデータ通信を行う際のデータを送受信するための第1のデータ通信端子と、電子内視鏡用プロセッサのコントローラまたは電子内視鏡と外部機器との間でデータ通信を行う際のデータを送受信するための第2のデータ通信端子と、第2のデータ通信端子とコントローラとが接続されて外部機器とコントローラとの間でのデータ通信を可能とする第1のモードと、第2のデータ通信端子と前記第1のデータ通信端子とが前記コントローラを介さずに接続されて外部機器と該電子内視鏡との間でのデータ通信を可能とする第2のモードと、を切り換える切換回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡と接続され、電子内視鏡から出力される映像信号を処理してモニタ等に出力する電子内視鏡用プロセッサ及び、この電子内視鏡用プロセッサを有する電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に記載のもののような、画像処理に必要なパラメータの一部(ホワイトバランスなど)を電子内視鏡側のメモリに記憶させた構成が利用されている。或いは、パラメータにとどまらず、前段画像処理を行う処理回路及びこの処理回路で実行されるプログラムが電子内視鏡に内蔵される構成も提案されている。
【特許文献1】特開2003−132151号公報
【0003】
このプログラムやパラメータ等は、電子内視鏡に内蔵されている書き換え可能なEEPROMに記憶されている。このプログラムの更新、或いは追加を行う場合は、電子内視鏡のメーカのサービスマンが電子内視鏡を持ち帰り、電子内視鏡内のEEPROMを書き換えるための専用装置に接続して、プログラムの更新作業等を行っていた。しかしながら、この方法は電子内視鏡を回収する手間やコストがかかるものであり、改善案が望まれていた。
【0004】
また、画質の調整を行うために信号処理回路が使用するパラメータを適宜調整することが電子内視鏡の利用者から望まれている。パラメータの調整を行うような場合は、電子内視鏡の固体撮像素子によって撮像された画像を観察しながら行うことが望ましい。このような目的のため、電子内視鏡からの映像信号を処理してモニタに表示させるための装置である電子内視鏡用プロセッサが所定のプログラムを実行することによってEEPROMに記憶されたパラメータの調整を行う構成が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成においては、電子内視鏡用プロセッサにパラメータ調整用のプログラムを内蔵しなければならない。一般に、電子内視鏡用プロセッサは複数種類の電子内視鏡が接続されるようになっているため、パラメータ調整用のプログラムも複数種類の仕様の電子内視鏡に対応できるよう複数種類用意しなくてはならない。また、電子内視鏡用プロセッサのコントローラ及びOSは汎用のものではないため、例えばUI(ユーザインターフェース)部分をパラメータ調整用のプログラム自身が持っていなければならない。このため、パラメータ調整用のプログラムの開発は容易なものではなく、また、プログラムサイズが大きくなりがちである。一方、電子内視鏡用プロセッサ等の組み込み系の機器においては、コスト上の理由などからメモリ(RAM)の容量が少なく抑えられており、パラメータ調整用のプログラムを実行するためのメモリの容量を大きくとることができないという制限がある。これによって、パラメータ調整用のプログラムを開発することはより困難なものとなっている。すなわち、上記構成においては、電子内視鏡の信号処理回路が使用するパラメータの調整を行えるようにするためのコストや手間が極めて大きいものになっていた。
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明はコストや手間をかけることなく電子内視鏡の信号処理回路が使用するパラメータの調整を実施可能な電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の電子内視鏡用プロセッサは、電子内視鏡と接続されこの電子内視鏡とデータ通信を行う際のデータを送受信するための第1のデータ通信端子と、電子内視鏡用プロセッサのコントローラまたは電子内視鏡と外部機器との間でデータ通信を行う際のデータを送受信するための第2のデータ通信端子と、第2のデータ通信端子とコントローラとが接続されて外部機器とコントローラとの間でのデータ通信を可能とする第1のモードと、第2のデータ通信端子と前記第1のデータ通信端子とが前記コントローラを介さずに接続されて該外部機器と該電子内視鏡との間でのデータ通信を可能とする第2のモードと、を切り換える切換回路とを有する。
【0008】
このような構成にすることにより、PC等の外部機器を第1のデータ通信端子に接続させ、第2のモードにおいて外部機器で電子内視鏡のコントローラ(信号処理回路)が使用するパラメータの調整プログラムを実行してパラメータの調整を行うことができる。本発明においては、第2のモードであっても電子内視鏡が撮像した映像は電子内視鏡用プロセッサを介してモニタに表示されるため、外部機器でパラメータの調整作業を行いながら調整結果をモニタで確認することができる。また、汎用性の高いコントローラ上で動作する汎用のOSにおいては、GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)を用いたプログラムを容易に開発できるようにするためのAPI(Application Program Interface)が豊富に用意されており、また、プログラム実行用のワークメモリを充分に確保可能である。そのため、このような外部機器(例えばPC)上で動作するパラメータ調整プログラムの開発は、電子内視鏡用プロセッサのコントローラ及びOS上で動作する同様のプログラムの開発よりもはるかに容易である。従って、本発明によれば、コストや手間をかけることなく電子内視鏡の信号処理回路が使用するパラメータの調整を実施可能となる。
【0009】
また、第1のモードにおいては、第2のデータ通信端子と前記コントローラとが接続されて該外部機器と前記コントローラとの間でのデータ通信が可能となる構成としてもよい。このような構成にすると、外部機器と電子内視鏡用プロセッサとの間でデータ通信を行って、例えば電子内視鏡用プロセッサのファームウェアの更新などを行うことが出来るようになる。
【0010】
また、好ましくは、電子内視鏡用プロセッサのケースの外殻に形成され、電子内視鏡用プロセッサの外部から操作される切換手段を有し、切換回路は、切換手段の操作結果に基づいて第1のモードと該第2のモードとを切り換える。
【0011】
切換手段は、例えば第1のモードと該第2のモードとを手動で切り換えるための電子式または機械式のスイッチを有する。或いは、切換手段は、外部機器とコントローラとの間でデータ通信を行う際のデータを送受信するための第3のデータ通信端子を有し、コントローラが第3のデータ通信端子を介して該外部機器から受信したデータに基づいて切換回路を制御することによって、第1のモードと該第2のモードとが切り換えられる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、コストや手間をかけることなく電子内視鏡の信号処理回路が使用するパラメータの調整を実施可能な電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡システムが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に付き、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による電子内視鏡用プロセッサを含む電子内視鏡システムのブロック図である。
【0014】
本実施形態の電子内視鏡システム1は、電子内視鏡10と、電子内視鏡用プロセッサ20と、モニタ30と、端末PC40と、を有する。電子内視鏡用プロセッサ20のケース21の外殻には電子内視鏡用コネクタ21aが形成されており、この電子内視鏡用コネクタ21aに電子内視鏡10の基端に設けられたコネクタ部19を接続することによって電子内視鏡10と電子内視鏡用プロセッサ20とが連結される。
【0015】
また、電子内視鏡用プロセッサ20のケース21の外殻には、モニタ用コネクタ21bが設けられている。電子内視鏡10が電子内視鏡用プロセッサに接続された状態で、このモニタ用コネクタ21bにケーブル31を介してモニタ30を接続することによって、電子内視鏡10によって撮像された映像をモニタ30に表示させることが出来るようになる。
【0016】
電子内視鏡用プロセッサ20のケース21の外殻には、シリアルコネクタ21cが設けられている。このシリアルコネクタ21cにシリアルケーブルを介してパラメータ書き換え用の端末PC40を接続することができる。
【0017】
本実施形態の電子内視鏡は、撮像のみならず、一部の画像処理を内視鏡自身で行うようになっている。本実施形態においては、対物光学系15、撮像素子としてのCCD16、CCD駆動回路14、初段信号処理回路11、メモリ12、及び内視鏡用MCU(Memory Control Unit)13が、電子内視鏡10に内蔵されている
【0018】
対物光学系15は、電子内視鏡10の挿入管18の先端部に内蔵されており、この対物光学系15によって、挿入管18の先端部の周囲の像がCCD16の受光面上で結像する。CCD16はこの像を電気信号であるCCD信号に変換してCCD駆動回路14に送り出す。
【0019】
CCD駆動回路14は、CCD16を制御する機能を有する。CCD16の受光面には、多数の(数10万〜数100万程度)受光セルが格子状に配置されており、各受光セルに入射した光は電荷に変換されて受光セルに蓄積される。この電荷を所定のタイミングで外部に送り出すことによって受光面に形成された像に対応する電気信号が出力されることになる。CCD駆動回路14は、CCD16の受光セルに蓄積された電荷を出力するタイミングを制御するための駆動信号をCCD16に送る回路である。また、CCD駆動回路14は、CCD16から出力されるCCD信号をA/D変換してこれを初段信号処理回路11に送る機能をも有する。
【0020】
初段信号処理回路11は、一種のDSP(Digital Signal Processor)を有しており、入力されるデジタル信号を処理して電子内視鏡に送る機能を有する。メモリ12は、DSPが実行するプログラムやそのプログラムが使用するデータ(ルックアップテーブルなど)が収められた不揮発性メモリ(フラッシュメモリ等)である。初段信号処理回路11は内視鏡用MCU13を介してメモリ12にアクセスする(すなわち、メモリ12からプログラムやデータを読み出す)ことができる。
【0021】
初段信号処理回路11が実行する処理の一例につき、以下説明する。本実施形態においては、CCD16は各受光セルにカラーフィルタが付与されたカラーCCDである。このカラーフィルタの配列パターンとしては赤・緑・青のフィルタを用いるRGB方式のものや、マゼンダ・シアン・黄・緑のフィルタを用いる補色方式のもの等がある。初段信号処理回路11は、隣接する複数の受光セルに対応したCCD信号をA/D変換したデジタル信号を所定の関数に基づいて処理し、電子内視鏡用プロセッサ20が処理しやすいRGB形式のデジタル映像信号を生成する。
【0022】
本実施形態においては、電子内視鏡用プロセッサ20は、電子内視鏡10に照明光を供給するための光源装置としての機能と、電子内視鏡10から出力される映像信号を処理して所定の形式のビデオ信号に変換し、これをモニタ用コネクタ21bに出力するビデオプロセッサとしての機能を有する。
【0023】
まず、光源装置としての機能につき説明する。本実施形態においては、電子内視鏡用プロセッサ20のケース21内に、光源部22が内蔵されている。光源部22は、光源ランプ22a、集光レンズ22b、絞り22cを有する。電子内視鏡10には、照明光を電子内視鏡基端側から電子内視鏡10の挿入管18の先端部に導くためのライトガイド17が備えられている。電子内視鏡10を電子内視鏡用プロセッサ20に接続すると、ライトガイド17の基端側端面17aが電子内視鏡用プロセッサ20のケース21内に挿入されるようになっている。光源ランプ22aは照明光を生成し、集光レンズ22bはこの照明光を集光し、ライトガイド17の基端側端面17aに入射させる。ライトガイド17の基端側端面17aに入射した照明光はライトガイド17に導かれ、電子内視鏡10の挿入管18の先端部に配置されたライトガイド17の遠位端側端面17bから放射される。この結果、挿入管18の先端部の周囲が照明される。
【0024】
絞り22cは、電子内視鏡10が電子内視鏡用プロセッサ20に接続された状態においてライトガイド17の基端側端面17aと、集光レンズ22bとの間に配置されている。絞り22cはその開度を変更することによって、ライトガイド17の基端側端面17aに入射する照明光の光量を調整することができる。
【0025】
次いで、電子内視鏡用プロセッサ20のビデオプロセッサとしての機能につき説明する。この機能を提供するために、後段信号処理回路24、OSD(On Screen Display)回路25及びビデオプロセス回路26が電子内視鏡用プロセッサ20のケース21に内蔵されている。
【0026】
初段信号処理回路11によって生成されたデジタル映像信号は、電子内視鏡用プロセッサ20に内蔵されている後段信号処理回路24に送られるようになっている。後段信号処理回路24は、ビデオメモリを備えており、デジタル映像信号に対応する画像に対してエッジ強調処理などの画像処理を施すことができる。後段信号処理回路24がどのような画像処理を行うのかについては、電子内視鏡用プロセッサ20のケース21に内蔵されているシステムコントロール23によって制御される。後段信号処理回路24のビデオメモリの内容は、モニタ30の垂直同期周波数に対応したタイミングでビデオプロセス回路26に読み出されるようになっている。
【0027】
また、後段信号処理回路24は、初段信号処理回路11によって生成されたデジタル映像信号に対応する画像の平均明るさを演算する機能を有する。この演算結果は、周期的にシステムコントロール23に送られるようになっている。システムコントロール23は、この演算結果に基づいて絞り22cの開度を調整するようになっている。具体的には、システムコントロール23は、後段信号処理回路24から送信される画像の平均的な輝度が所定の範囲内に収まるように、絞り22cの開度をフィードバック制御する。
【0028】
ビデオプロセス回路26は、後段信号処理回路24によって処理された画像データを読み出して、これに基づいてNTSC方式のような所定の形式のビデオ信号を生成する機能を有する。ビデオプロセス回路26は、生成したビデオ信号を順次モニタ用コネクタ21bに送信する。かくして、電子内視鏡10の対物光学系15およびCCD16によって撮像された内視鏡画像は、動画としてモニタ30に表示される。
【0029】
OSD回路25は、後段信号処理回路24によって処理された画像に文字情報などを重畳するための回路である。OSD回路25は、文字情報が含まれる画像の画像信号を生成してビデオプロセス回路26に送信する。ビデオプロセス回路26は、後段信号処理回路24から取得した画像データを画像信号に変換した後、OSD回路25から得られた画像信号をこれに重畳することによって、内視鏡画像に文字情報が重畳されたビデオ信号を生成する。
【0030】
なお、OSD回路25、ビデオプロセス回路26は、夫々システムコントロール23に制御されるようになっている。
【0031】
本実施形態の電子内視鏡システム1は、上記のように電子内視鏡10に初段信号処理回路11が内蔵されているものである。内視鏡画像の色合い等は、主として初段信号処理回路11による信号処理によって決まる。そのため、本実施形態においては、電子内視鏡システム1の使用者にとって好ましい色合いの内視鏡画像が得られるように電子内視鏡10のメモリ12に内蔵されたプログラムやデータを調整可能としている。この調整は、電子内視鏡用プロセッサ20のシリアルコネクタ21cに端末PC40を接続することによって実施される。
【0032】
ここで、本実施形態においては、電子内視鏡10のメモリ12には、電子内視鏡用プロセッサ20のシステムコントロール23によって読み取られるべきデータ(例えば電子内視鏡10の識別情報)が保存されているので、電子内視鏡10のメモリ12に内蔵されたプログラムやデータを調整しない時は、システムコントロール23が電子内視鏡10の内視鏡用MCU13にアクセスできるようにする必要がある。一方、電子内視鏡10のメモリ12に内蔵されたプログラムやデータを調整する際は、端末PC40が内視鏡用MCU13にアクセスできるようにする必要がある。本実施形態においては、電子内視鏡用プロセッサ20のスイッチ回路27によって、上記のアクセスに関する機能を実現している。図1に示されているように、システムコントロール23および端末PC40は、スイッチ回路27を介して内視鏡用MCU13に接続されるようになっている。また、電子内視鏡用プロセッサ20のケース21の外殻には、システムコントロール23と端末PC40のいずれが内視鏡用MCU13にアクセスすべきかを設定するためのスイッチ21dが設けられている。
【0033】
スイッチ回路27の詳細を図2に示す。図2に示されているように、システムコントロール23は、電子内視鏡10の内視鏡用MCU13とデータ通信を行うためのIN1、OUT1端子と、シリアルコネクタ21c(図1)を介して端末PC40とデータ通信を行うためのIN2、OUT2端子とを有する。
【0034】
端末PC40のデータ送信用(TxD)端子及びデータ受信用(RxD)端子は、スイッチ回路27のレベルコンバータ27hに接続されるようになっている。レベルコンバータ27hは、RS−232規格のシリアル通信に使用されている信号レベルと、システムコントロール23や内視鏡用MCU13を構成する素子に使用されているTTL信号レベルとを相互変換するための回路である。このレベルコンバータ27hを介在させることによって、端末PC40がシステムコントロール23や内視鏡用MCU13とデータ通信を行うことが出来るようになる。
【0035】
スイッチ回路27は、6つのトライステートバッファ27a〜27fを有する。トライステートバッファ27a〜27fは、ゲートへの入力がLowである時にハイインピーダンスとなって一方から他方へのデータの流れを遮断する素子である。本実施形態においては、システムコントロール23のIN1端子と内視鏡用MCU13のTxD端子との間にはトライステートバッファ27aが、OUT1端子と内視鏡用MCU13のRxD端子との間にはトライステートバッファ27bが、夫々設けられている。また、システムコントロール23のIN1端子とレベルコンバータ27hのTxD端子との間にはトライステートバッファ27Cが、OUT2端子とレベルコンバータ27hのRxD端子との間にはトライステートバッファ27dが、夫々設けられている。また、レベルコンバータ27hのTxD端子と内視鏡用MCU13のRxD端子との間にはトライステートバッファ27eが、レベルコンバータ27hのRxD端子と内視鏡用MCU13のTxD端子との間にはトライステートバッファ27fが、夫々設けられている。
【0036】
また、システムコントロール23は、ENABLE端子を備えている。ENABLE端子はHighレベルまたはLowレベルの信号の一方を出力することが可能な端子である。このENABLE端子には、トライステートバッファ27a〜27dのゲート端子が接続されている。また、ENABLE端子とトライステートバッファ27e、27fのゲート端子とは、NOT論理回路27gを介して接続されている。なお、NOT論理回路27gは、入力がHighである時にLowを出力し、入力がLowである時にHighを出力する端子である。
【0037】
ここで、ENABLE端子からHighレベルの信号が出力されると、レベルコンバータ27hのTxD及びRxDとシステムコントロール23のIN2及びOUT2、システムコントロール23のIN1及びOUT1と内視鏡用MCU13のTxD及びRxDが、夫々導通した状態となる。一方、この時、トライステートバッファ27e及び27fはハイインピーダンスとなり、レベルコンバータ27hのTxD端子及びRxD端子と、内視鏡用MCUのRxD端子及びTxD端子との間の通信は遮断される。従って、この状態では、システムコントロール23は、内視鏡用MCU13との間でデータ通信を行うことが可能であると共に、端末PC40との間でデータ通信を行うことが可能である。
【0038】
また、ENABLE端子からLowレベルの信号が出力されると、レベルコンバータ27hのTxD端子及びRxD端子と、内視鏡用MCU13のRxD端子及びTxD端子とが、夫々導通した状態となる。一方、この時、トライステートバッファ27a〜dはハイインピーダンスとなり、レベルコンバータ27hのTxD及びRxDとシステムコントロール23のIN2及びOUT2、システムコントロール23のIN1及びOUT1と内視鏡用MCU13のTxD及びRxDとの間の通信は遮断される。従って、この状態では、端末PC40と内視鏡用MCU13との間でデータ通信を行うことができるようになる。
【0039】
システムコントロール23はSW端子を有し、このSW端子を介してスイッチ21dと接続されている。システムコントロール23は、SW端子を介してスイッチ21dの状態を検出し、この状態に応じてENABLE端子からHighレベルとLowレベルの信号のいずれを出力するのかを決定している。スイッチ21dは、トグルスイッチ、ボタンスイッチ、或いはスライドスイッチなどの機械的又は電子式のスイッチである。端末PC40を介して電子内視鏡10のメモリ12の内容を書き換える場合、及びこの書き換えを終了する場合に、このスイッチ21dは操作される。なお、スイッチ21dは、電子内視鏡システム1の使用者によって誤って操作されないように、ケース背面などの目立たない場所に配置されている。
【0040】
以上説明した本実施形態の電子内視鏡システム1において、端末PC40を介してメモリ12の内容を書き換える手順につき説明する。本実施形態においては、初段信号処理回路11が使用するパラメータを、端末PC40を操作することによって書き換えるものである。まず、電子内視鏡用プロセッサ20の電子内視鏡用コネクタ21aに電子内視鏡10を、またシリアル端子21cに端末PC40を接続する。次いで、スイッチ21dを操作して端末PC40と内視鏡用MCUとの間でデータ通信を行うことができるようにする。そして、端末PC40上で、パラメータ調整用のプログラムを実行する。
【0041】
以上の処理を行うと、図3に示されるように、パラメータ操作用のメニュー画面が端末PC40の画面に表示される。より具体的には、端末PC40は書き換え可能なパラメータの一覧と、そのパラメータにおける現時点の設定内容を内視鏡用MCU13を介してメモリ12から取得し、これを画面に表示する。このパラメータの設定内容を変更する際は、端末PC40の入力手段(キーボードやマウスなど)を操作して画面に表示されている設定値を変更し、次いでこの変更した設定値を内視鏡用MCU13に送信する。例えば、マウスを操作してマウスカーソルを画面上の「OK」ボタン上に移動させ、その場所でマウスのボタンをクリックする。以上の操作を行うと、変更が成されたパラメータの設定値が、内視鏡用MCU13を介してメモリ12に転送される。
【0042】
本実施形態においては、スイッチ21dの状態に関わらず、電子内視鏡10の初段信号処理回路11の出力は電子内視鏡用プロセッサ20の後段信号処理回路24に送られている。従って、図3に示されるように、パラメータの設定値を調整中の状態であっても、モニタ30には内視鏡画像が表示される。このため、パラメータの設定値を電子内視鏡10に送ると、その設定値が適用された状態の内視鏡画像をモニタ30によって観察することができるようになる。このように、本実施形態によれば、モニタ30で内視鏡画像を観察しながら、端末PC40を操作して電子内視鏡10の初段信号処理回路11が使用するパラメータの調整を行うことができる。
【0043】
本実施形態においては、システムコントロール23と内視鏡用MCU13とが接続された状態と、端末PC40と内視鏡用MCU13とが接続された状態とを、スイッチ21dを操作することによって行っていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。以下に説明する本発明の第2の実施形態は、スイッチ21dを用いずに上記の2状態を切り換えることが可能なシステムである。なお、以下の説明においては、本発明の第1の実施形態と同様の要素や部材については、第1の実施形態と同一又は類似の符号を付している。
【0044】
図4は、本実施形態の電子内視鏡システム1’のブロック図を示したものである。本実施形態においては、第1の実施形態にあったスイッチ21dは無く、代わりにシリアルコネクタが2つ(21c,21c’)、ケース21の外殻に形成されている。シリアルコネクタ21c、21c’の双方は、夫々スイッチ回路27に接続されている。また、端末PC40にもシリアルポートが2つ(以下、一方のシリアルポートをCOM1端子、他方をCOM2端子と称す)備えられており、COM1端子、COM2端子の各々を介して、シリアルコネクタ21c、21c’の双方と端末PC40とが接続されるようになっている。これらの要素、及びスイッチ回路27の構成以外は本発明の第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0045】
本実施形態のスイッチ回路27のブロック図を図5に示す。本実施形態においては、システムコントロール23は、電子内視鏡10の内視鏡用MCU13とデータ通信を行うためのIN1、OUT1端子と、シリアルコネクタ21cを介して端末PC40とデータ通信を行うためのIN2、OUT2端子と、シリアルコネクタ21c’を介して端末PC40とデータ通信を行うためのIN3、OUT3端子とを有する。
【0046】
端末PC40の第1シリアルポート(COM1)のTxD端子及びRxD端子は、スイッチ回路27のレベルコンバータ27hに接続されるようになっている。同様に、端末PC40の第2シリアルポート(COM2)のTxD端子及びRxD端子は、スイッチ回路27のレベルコンバータ27h’に接続されるようになっている。本発明の第1の実施形態と同様、レベルコンバータ27h、27h’を介在させることによって、端末PC40がシステムコントロール23や内視鏡用MCU13とデータ通信を行うことが出来るようになる。
【0047】
スイッチ回路27は、6つのトライステートバッファ27a〜27fを有する。トライステートバッファ27a〜27fは、ゲートへの入力がLowである時にハイインピーダンスとなって一方から他方へのデータの流れを遮断する素子である。本実施形態においては、システムコントロール23のIN1端子と内視鏡用MCUのTxD端子との間にはトライステートバッファ27aが、OUT1端子と内視鏡用MCUのRxD端子との間にはトライステートバッファ27bが、夫々設けられている。また、システムコントロール23のIN2端子とレベルコンバータ27hのTxD端子との間にはトライステートバッファ27cが、OUT2端子とレベルコンバータ27hのRxD端子との間にはトライステートバッファ27dが、夫々設けられている。また、レベルコンバータ27hのTxD端子と内視鏡用MCU13のRxD端子との間にはトライステートバッファ27eが、レベルコンバータ27hのRxD端子と内視鏡用MCU13のTxD端子との間にはトライステートバッファ27fが、夫々設けられている。
【0048】
なお、レベルコンバータ27h’のTxD端子及びRxD端子は、夫々システムコントロール23のIN3端子及びOUT3端子に直接(すなわち、トライステートバッファを介さずに)接続されている。従って、端末PC40とシステムコントロール23とは、COM2を介して常にデータ通信を行うことが出来るようになっている。
【0049】
また、システムコントロール23は、ENABLE端子を備えている。ENABLE端子はHighレベルまたはLowレベルの信号の一方を出力することが可能な端子である。このENABLE端子には、トライステートバッファ27a〜27dのゲート端子が接続されている。また、ENABLE端子とトライステートバッファ27e、27fのゲート端子とは、NOT論理回路27gを介して接続されている。第1の実施形態と同様、NOT論理回路27gは、入力がHighである時にLowを出力し、入力がLowである時にHighを出力する端子である。
【0050】
ここで、ENABLE端子からHighレベルの信号が出力されると、レベルコンバータ27hのTxD及びRxDとシステムコントロール23のIN2及びOUT2、システムコントロール23のIN1及びOUT1と内視鏡用MCU13のTxD及びRxDが、夫々導通した状態となる。一方、この時、トライステートバッファ27e及び27fはハイインピーダンスとなり、レベルコンバータ27hのTxD端子及びRxD端子と、内視鏡用MCU13のRxD端子及びTxD端子との間の通信は遮断される。従って、この状態では、システムコントロール23は、内視鏡用MCU13との間でデータ通信を行うことが可能であると共に、端末PC40との間でCOM1端子を介してデータ通信を行うことが可能である。
【0051】
また、ENABLE端子からLowレベルの信号が出力されると、レベルコンバータ27hのTxD端子及びRxD端子と、内視鏡用MCUのRxD端子及びTxD端子とが、夫々導通した状態となる。一方、この時、トライステートバッファ27a〜dはハイインピーダンスとなり、レベルコンバータ27hのTxD及びRxDとシステムコントロール23のIN2及びOUT2、システムコントロール23のIN1及びOUT1と内視鏡用MCU13のTxD及びRxDとの間の通信は遮断される。従って、この状態では、端末PC40と内視鏡用MCU13との間でCOM1端子を介してデータ通信を行うことができるようになる。
【0052】
本実施形態においては、端末PC40のCOM2端子を介して所定のデータをシステムコントロール23に送ることによって、ENABLE端子からHighレベルとLowレベルの信号のいずれを出力するのかを切り換えることが出来るようになっている。具体的には、例えば、端末PC40上でパラメータ調整用のプログラムが実行されている時に、端末PC40の特定のキーを押下することによって、ENABLE端子からHighレベル或いはLowレベルの信号が出力されるようにするためのコマンドをCOM2端子を介してシステムコントロール23に送信する構成とする。
【0053】
以上のように本実施形態によれば、スイッチ等を電子内視鏡用プロセッサ20に設けることなく、端末PC40上でパラメータ調整を行うかどうかを設定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子内視鏡システムのブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の電子内視鏡用プロセッサに内蔵されたスイッチ回路のブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態において、電子内視鏡に内蔵された初段信号処理回路が使用するパラメータの設定値を変更するためのプログラムを実行した時に、端末PCの画面及びモニタの表示される内容の一例を示したものである。
【図4】本発明の第2の実施の形態の電子内視鏡システムのブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の電子内視鏡用プロセッサに内蔵されたスイッチ回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1、1’ 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
11 初段信号処理回路
12 メモリ
13 内視鏡用MCU
20 電子内視鏡用プロセッサ
21 ケース
21a 電子内視鏡用コネクタ
21b モニタ用コネクタ
21c、21c’ シリアルコネクタ
22 光源部
23 システムコントロール
24 後段信号処理回路
26 ビデオプロセス回路
27 スイッチ回路
27a〜27f トライステートバッファ
27g NOT論理回路
27h、27h’ レベルコンバータ
30 モニタ
40 端末PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子内視鏡と接続され、該電子内視鏡とデータ通信を行う際のデータを送受信するための第1のデータ通信端子と、
前記第1のデータ通信端子を介して該電子内視鏡とデータ通信を行うコントローラと、
外部機器と前記コントローラまたは該電子内視鏡との間でデータ通信を行う際のデータを送受信するための第2のデータ通信端子と、
前記第1のデータ通信端子と前記コントローラとが接続されて該電子内視鏡と前記コントローラとの間でのデータ通信を可能とする第1のモードと、前記第2のデータ通信端子と前記第1のデータ通信端子とが前記コントローラを介さずに接続されて該外部機器と該電子内視鏡との間でのデータ通信を可能とする第2のモードと、を切り換える切換回路と、
を有する、電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項2】
該第1のモードにおいては、前記第2のデータ通信端子と前記コントローラとが接続されて該外部機器と前記コントローラとの間でのデータ通信が可能となる、ことを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項3】
該電子内視鏡と接続され、該電子内視鏡から出力される映像信号を受信するための映像信号受信端子と、
前記映像信号受信端子を介して取得した映像信号を処理して所定の形式のビデオ信号を生成する映像処理回路と、
前記映像処理回路によって生成されたビデオ信号を外部に出力するためのビデオ端子と、
さらに有し、前記コントローラによって前記映像処理回路が制御される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項4】
前記コントローラ及び前記切換回路を収納すると共に前記第1及び第2のデータ通信端子が外殻に設けられるケースと、
前記ケースの外殻に形成され、電子内視鏡用プロセッサの外部から操作される切換手段と、
をさらに有し、
前記切換回路は、前記切換手段の操作結果に基づいて該第1のモードと該第2のモードとを切り換える、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項5】
前記切換手段は、該第1のモードと該第2のモードとを手動で切り換えるための電子式または機械式のスイッチを有する、ことを特徴とする請求項4に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項6】
前記切換手段は、外部機器と前記コントローラとの間でデータ通信を行う際のデータを送受信するための第3のデータ通信端子を有し、
前記コントローラが前記第3のデータ通信端子を介して該外部機器から受信したデータに基づいて前記切換回路を制御することによって、該第1のモードと該第2のモードとが切り換えられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項7】
該電子内視鏡のコントローラは、該電子内視鏡の撮像手段によって生成された映像情報を処理するための信号処理手段を有する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の電子内視鏡用プロセッサと、
前記第1のデータ通信端子を介して前記電子内視鏡用プロセッサと接続される電子内視鏡と、
前記第2のデータ通信端子を介して前記電子内視鏡用プロセッサと接続される外部機器と、
を有し、
前記電子内視鏡は、
前記電子内視鏡の動作を制御する電子内視鏡用コントローラと、
前記電子内視鏡用コントローラが使用する情報が記録されているメモリと、
該第2のモードにおける前記外部機器とのデータ通信の結果に基づいて前記メモリに記録された情報を書き換えるメモリ制御手段と、
を有する、ことを特徴とする電子内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−142153(P2008−142153A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330272(P2006−330272)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】