説明

電子写真トナー用結着樹脂

【課題】帯電の立ち上がり性に優れ、長期の連続印刷においても良好な帯電安定性を維持することができる電子写真トナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーを提供すること。
【解決手段】Sn-C結合を有していない錫(II)化合物とアミド化合物及び/又はアミン化合物との存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂を含む電子写真トナー用結着樹脂、並びに前記電子写真トナー用結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの結着樹脂として用いられる電子写真トナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真分野では、高速化・高画質化の要求を満足するトナーが望まれている。このため、帯電の立ち上がり性や、磁性粉や荷電制御剤等の内添剤の分散性を向上させるため、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物を触媒として使用することが知られている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−231744号公報
【特許文献2】特開2004−326075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記錫(II)触媒を添加することにより得られる結着樹脂を使用したトナーは、長期の連続印刷においては帯電安定性が十分でなく、画質劣化が生じやすい
【0004】
本発明の課題は、帯電の立ち上がり性に優れ、長期の連続印刷においても良好な帯電安定性を維持することができる電子写真トナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
〔1〕 Sn-C結合を有していない錫(II)化合物とアミド化合物及び/又はアミン化合物との存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂を含む電子写真トナー用結着樹脂、並びに
〔2〕 前記電子写真トナー用結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子写真トナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーは、帯電の立ち上がり性に優れ、長期の連続印刷においても良好な帯電安定性を維持することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の電子写真トナー用結着樹脂は、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物とアミド化合物及び/又はアミン化合物との存在下、アルコール成分とカルボン酸成分を縮重合させて得られる縮重合系樹脂を含む点に1つの特徴を有するものであり、帯電の立ち上がり性に優れ、かつ長期の連続印刷においても良好な帯電安定性を維持することができるという効果を奏する。前記縮重合系樹脂により、帯電安定性に対する効果が奏される理由の詳細は不明なるも、前記錫(II)化合物とアミド化合物及び/又はアミン化合物との併用により、縮重合反応の進行が促進され、反応時間が短縮されることによって、熱履歴の少ない樹脂が得られていることがその一因ではないかと推定される。
【0008】
本発明の結着樹脂に含まれる縮重合系樹脂としては、原料モノマーにアルコール成分及びカルボン酸成分が含まれるものであれば特に限定されないが、ポリエステル、ポリエステル・ポリアミド等が挙げられ、これらの中では、耐久性及び帯電性の観点から、ポリエステルが好ましい。
【0009】
アルコール成分としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-ブテンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等の脂肪族ジオール;ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(I):
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0012】
これらのアルコール成分において、ポリエステルの結晶化を促進するアルコール成分としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール等の炭素数2〜6の脂肪族ジオール等が挙げられる。
【0013】
カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロリメット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
【0014】
これらのカルボン酸成分において、ポリエステルの結晶化を促進するカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸等の炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0015】
本発明の結着樹脂は、結晶性樹脂及び非晶質樹脂のいずれであってもよい。樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で定義される結晶性指数によって表わされ、一般にこの値が1.2を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶質部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピーク温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
【0016】
本発明において結晶性樹脂とは、この結晶性指数が0.6〜1.2のものをいう。結晶性樹脂の結晶性指数は、低温定着性の観点からは、0.8〜15が好ましく、より好ましくは0.9〜1.1、さらに好ましくは0.98〜1.05である。また、本発明における非晶質樹脂とは、結晶性指数が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きい樹脂をいう。
【0017】
本発明におけるSn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
【0018】
Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(RCOO)Sn(ここでRは炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(RO)Sn(ここでRは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(RCOO)Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
【0019】
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物の存在量は、縮重合系樹脂の原料モノマー総量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましい。
【0020】
本発明におけるアミド化合物としては、ポリアミド、脂肪酸アミド、芳香族アミド化合物等が挙げられるが、これらの中では、触媒との親和性の観点から脂肪酸アミドが好ましい。
【0021】
脂肪酸アミドとしては、ポリエステルとの相溶性の観点から、アルキレンビス脂肪酸アミドが好ましい。アルキレン基の炭素数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。また、脂肪酸アミドにおける脂肪酸基の炭素数は6〜30が好ましく、8〜24がより好ましい。本発明において好適な脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メタクリル酸アミド、ニコチン酸アミドフェニル酢酸アミド、n-酪酸アミド、イソ酪酸アミド、プロピオンアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N-エチレンビスオクタドアミド等が挙げられ、熱的安定性の高さから、ステアリン酸アミドがより好ましい。
【0022】
アミド化合物の融点は、トナー流動性の観点から、70〜200℃が好ましく、90〜180℃がより好ましい。
【0023】
アミド化合物の分子量は、100〜5000が好ましく、150〜1000がより好ましく、200〜600がさらに好ましい。ポリアミド等の高分子の場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量とする。
【0024】
アミド化合物の存在量は、縮重合系樹脂の原料モノマー総量100重量部に対して、0.005〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がより好ましい。
【0025】
本発明におけるアミン化合物としては、アルキルアミン化合物、アルコールアミン化合物等が挙げられるが、これらの中ではアルキルアミン化合物が好ましい。
【0026】
アルキルアミン化合物としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、ジ-n-オクチルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ-n-オクチルアミン、t-ブチルアミン、イソプロピルアミン、3,3’-イミノビス(プロピルアミン)、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N-メチル-3,3’-イミノビス(プロピルアミン)、3-メトキシプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’-ジイソプロピルエチレンジアミン、N-フェニルエチレンジアミン、N-プロピルエチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン二塩酸塩、エチレンジアミン四酢酸二カルシウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、エチレンジアミン四酢酸三カリウム二水和物、テトラアセチルエチレンジアミン等のアミン及びアミンの誘導体が挙げられ、これらの中では、金属との親和性との観点より炭素数2〜8のアルキルアミン化合物が好ましく、エチレンジアミン四酢酸等の炭素数2のアルキルジアミン化合物がより好ましい。
【0027】
アルコールアミン化合物としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン等が挙げられ、これらの中では、金属との親和性との観点より炭素数2〜8のアルコールアミン化合物が好ましく、エタノールアミン類がより好ましい。エタノールアミン類としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが好ましく、さらに化合物の安定性の観点より、トリエタノールアミンが好ましい。
【0028】
アミン化合物の存在量は、縮重合系樹脂の原料モノマー総量100重量部に対して、0.005〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がより好ましい。
【0029】
本発明においては、アミド化合物及び/またはアミン化合物、即ちアミド化合物及びアミン化合物の少なくともいずれかが用いられるが、ポリエステルとの相溶性の観点からは、アミド化合物が好ましい。
【0030】
アミド化合物とアミン化合物が併用される場合には、両者の総量は、縮重合系樹脂の原料モノマー総量100重量部に対して、0.005〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がより好ましい。
【0031】
アミド化合物及び/又はアミン化合物とSn-C結合を有していない錫(II)化合物の重量比〔(アミド化合物及び/又はアミン化合物)/Sn-C結合を有していない錫(II)化合物〕は、帯電安定性と反応活性の観点から、0.1〜20が好ましく、0.5〜10がより好ましく、0.5〜5.0がさらに好ましい。
【0032】
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で行うことができる。反応温度は、結晶性ポリエステルの製造においては、120〜230℃が好ましく、非晶質ポリエステルの製造においては、150〜280℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。
【0033】
前記錫(II)化合物アミド化合物及び/又はアミン化合物は、アルコール成分等の原料モノマーの縮重合反応途中で反応系に添加してもよいが、早い時期に添加することが好ましく、縮重合反応開始当初から存在させることがより好ましい。
【0034】
ジエステル化反応における反応率が30%のときの反応速度V30と反応率が70%のときの反応速度V70の比である反応活性指数(V30/V70)は、樹脂の帯電特性(帯電安定性)の観点から、0.2〜1が好ましく、0.25〜0.8がより好ましい。なお、ここで、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいい、反応速度とは、任意の反応時間における単位時間あたりの反応率をいう。
【0035】
縮重合系樹脂の軟化点は、90〜160℃が好ましく、ガラス転移点は50〜70℃が好ましい。
【0036】
本発明の結着樹脂における前記縮重合系樹脂の含有量は、本発明の結着樹脂中、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。
【0037】
前記縮重合系樹脂以外の結着樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられるが、本発明の結着樹脂は、前記縮重合系樹脂と他の樹脂との混合物であってよく、前記縮重合系樹脂成分を含む、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂であってもよい。
【0038】
ハイブリッド樹脂としては、縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分とが部分的に化学結合したハイブリッド樹脂が好ましい。
【0039】
縮重合系樹脂成分としてはポリエステルが、付加重合系樹脂成分としてはビニル樹脂が、それぞれ好ましい。
【0040】
ポリエステルについては、前記と同様である。
【0041】
ビニル樹脂の原料モノマーとしては、少なくともスチレンが用いられていることが好ましい。スチレンの含有量は、トナーの保存性の観点から、付加重合系樹脂の原料モノマー中、30〜95重量%が好ましく、60〜90重量%がより好ましい。
【0042】
スチレン以外の付加重合系樹脂の原料モノマーとしては、α-メチルスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等のビニル系樹脂単量体が挙げられるが、これらの中では、重合反応の制御のし易さ及び安全性の観点から、スチレンと共重合可能なエチレン性モノカルボン酸のエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステルがより好ましい。
【0043】
エチレン性モノカルボン酸のアルキルエステルの含有量は、付加重合系樹脂の原料モノマー中、5〜70重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
【0044】
さらに、スチレンとエチレン性モノカルボン酸のアルキルエステルの総含有量は、付加重合系樹脂の原料モノマー中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
【0045】
付加重合反応は、例えば、重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒中又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件は110〜200℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。
【0046】
ハイブリッド樹脂の原料モノマーとして使用する縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合系樹脂の原料モノマーの重量比(縮重合系樹脂の原料モノマー/付加重合系樹脂の原料モノマー)は、縮重合系樹脂成分により連続相を形成する観点から、55/45〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。
【0047】
本発明においては、ハイブリッド樹脂の原料モノマーとして、さらに縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合系樹脂の原料モノマーの両方と反応するモノマー(以下、両反応性モノマーという)が用いられることが好ましい。従って、本発明において、縮重合反応と付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことが好ましく、これにより、縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分とが部分的に両反応性モノマーを介して結合し、縮重合系樹脂成分中に付加重合系樹脂成分がより微細に、かつ均一に分散した樹脂が得られる。
【0048】
両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシル基、より好ましくはカルボキシル基と、エチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。両反応性モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、さらにこれらのヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)エステルであってもよいが、反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸が好ましい。
【0049】
本発明において、両反応性モノマーのうち、官能基を2個以上有するモノマー(ポリカルボン酸等)及びその誘導体は縮重合系樹脂の原料モノマーとして、官能基を1個有するモノマー(モノカルボン酸等)及びその誘導体は付加重合系樹脂の原料モノマーとして扱う。両反応性モノマーの使用量は、官能基を2個以上有するモノマー及びその誘導体については縮重合系樹脂の原料モノマー中、官能基を1個有するモノマー及びその誘導体については付加重合系樹脂の原料モノマー中、1〜10モル%が好ましく、4〜8モル%がより好ましい。
【0050】
ハイブリッド樹脂において、縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分とは部分的に化学結合していることが好ましく、かかるハイブリッド樹脂の製造方法としては、付加重合系樹脂の原料モノマーを付加重合させる工程の前、中及び後の少なくともいずれかの時点で、縮重合系樹脂単量体を付加重合反応の系に存在させて縮重合反応させる方法が好ましい。
【0051】
本発明においてハイブリッド樹脂を製造する際には、縮重合反応と付加重合反応は、同一反応容器中で行うことが好ましい。また、それぞれの重合反応の進行及び完結が時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよい。
【0052】
即ち、ハイブリッド樹脂の具体的な製造方法としては、
i)縮重合反応を行う前に、付加重合反応を行う方法、
ii)縮重合反応を、付加重合反応に先立って開始し、付加重合反応の後に、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で縮重合反応をさらに進行させる方法、
iii)付加重合反応に適した温度条件下で、付加重合反応と縮重合反応を並行して行い、付加重合反応が終了した後、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で縮重合反応をさらに進行させる方法
等が挙げられる。
【0053】
本発明のハイブリッド樹脂の軟化点は、90〜160℃が好ましく、ガラス転移点は50〜70℃が好ましい。
【0054】
本発明のトナーには、本発明の結着樹脂以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
【0055】
本発明における着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。
【0056】
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンラックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
本発明のトナーは、混練粉砕法、乳化凝集法、スプレイドライ法、重合法等の公知の方法により製造することができる。混練粉砕法により粉砕トナーを製造する一般的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法等が挙げられる。さらに、製造過程における粗粉砕物や、得られたトナーの表面に、必要に応じて疎水性シリカ等の流動性向上剤等を添加してもよい。本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【0058】
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、またはキャリアと混合して二成分現像剤として、一成分現像法及び二成分現像法のいずれにも用いることができる。
【実施例】
【0059】
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0060】
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のとき、そのピーク温度を融点とする。
【0061】
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。
吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
【0062】
〔樹脂の結晶性指数〕
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度から以下の式を用いて、結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
【0063】
実施例1〜8及び比較例1、2
表1に示す樹脂組成Aの縮重合系樹脂の原料モノマー、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで縮重合反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、結着樹脂(非晶質ポリエステル)を得た。
【0064】
実施例9、比較例3
表1に示す樹脂組成Bの縮重合系樹脂の原料モノマー、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで縮重合反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、結着樹脂(非晶質ポリエステル)を得た。
【0065】
実施例10、比較例4
表1に示す樹脂組成Cのフマル酸以外の縮重合系樹脂の原料モノマー、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで縮重合反応させた。さらに、8.3kPaで1時間反応させた後、180℃まで冷却を行い、フマル酸及びハイドロキノン2.5gを添加し、210℃まで4時間かけて段階的に昇温し、所望の軟化点に達するまで反応させて、結着樹脂(非晶質ポリエステル)を得た。
【0066】
実施例11、比較例5
表1に示す樹脂組成Dの縮重合系樹脂の原料モノマー、ハイドロキノン2.5g、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで4時間かけて縮重合反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで縮重合反応を行い、結着樹脂(非晶質ポリエステル)を得た。
【0067】
実施例12、比較例6
表1に示す樹脂組成Eの無水トリメリット酸以外の縮重合系樹脂の原料モノマー、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで縮重合反応させた。さらに、8.3kPaで1時間反応させた後、210℃にまで冷却を行い、無水トリメリット酸を添加し、常圧で1時間反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、結着樹脂(非晶質ポリエステル)を得た。
【0068】
実施例13、比較例7
表1に示す樹脂組成Fの縮重合系樹脂の原料モノマー、表2に示す錫化合物及びアミン化合物の混合物に、窒素雰囲気下、160℃で、付加重合系の原料モノマー及びジ‐t‐ブチルパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、さらに2時間付加重合反応を行った後、230℃に昇温して所望の軟化点に達するまで縮重合反応を行い、結着樹脂(ハイブリッド樹脂)を得た。
【0069】
実施例14、比較例8
表1に示す樹脂組成Gの縮重合系樹脂の原料モノマー、ハイドロキノン2.5g、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、140℃で5時間縮重合反応させた後、200℃まで1時間ごとに10℃ずつ昇温し、200℃で1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応を行い、結着樹脂(結晶性ポリエステル)を得た。
【0070】
実施例15、比較例9
表1に示す樹脂組成Hの縮重合系樹脂の原料モノマー、表2に示す錫化合物及びアミン化合物を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で8時間縮重合反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行い、結着樹脂(結晶性ポリエステル)を得た。
【0071】
〔反応活性〕
ジエステル化反応において、反応生成水量より、時間に対する反応率(=反応生成水量/理論生成水量×100)をプロットした。反応率が30%に到達した時点の前後30分の反応率の差を計算して、反応速度(V30)とした。同様に、反応率が70%に到達した時点の前後30分の反応率の差を計算して、反応速度(V70)とし、このV30/V70の比を反応活性指数とした。結果を表2に示す。反応活性指数が高いほど、反応の進行が促進され、反応時間が短縮されていることを示す。
【0072】
〔評価基準〕
◎:0.4以上
○:0.2以上、0.4未満
×:0.2未満
【0073】
トナー製造例1
実施例1〜15又は比較例1〜9で得られた結着樹脂100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製)をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmの粉体を得た。
【0074】
得られた粉体100重量部に、外添剤として「アエロジル R-972」(日本アエロジル(株)製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
【0075】
トナー製造例2
実施例1又は比較例1で得られた結着樹脂100重量部を使用し、カーボンブラックの代わりにシアン顔料(フタロシアニン銅)4重量部を使用した以外は、トナー製造例1と同様にしてシアントナーを得た。
【0076】
トナー製造例3
実施例1又は比較例1で得られた結着樹脂100重量部、磁性粉「MTS106HD」(戸田工業社製)67重量部、負帯電性荷電制御剤「T-77」(保土ヶ谷化学工業社製)0.5重量部、ポリエチレンワックス「C-80」(サゾ−ル社製、融点:82℃)2重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製、融点140℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押し出し機を用いて溶融混練した。ロール内の加熱温度は140℃、ロール回転速度は150r/minで行った。得られた混練物を冷却ロールで圧延し、機械式粉砕し、分級して体積中位粒径(D50)9.0μmの磁性トナーを得た。
【0077】
試験例1〔帯電の立ち上がり性〕
トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径90μm)19.4gとを50ml容のポリ瓶に入れ、ボールミルを用いて250r/minで混合し、帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。混合時間15秒後における帯電量と混合時間600秒間における最大帯電量の比率(混合時間15秒後における帯電量/混合時間600秒間における最大帯電量)を計算し、帯電立ち上がり性とした。結果を表2、3に示す。
【0078】
〔評価基準〕
◎:0.6以上
○:0.4以上〜0.6未満
×:0.4未満
【0079】
試験例2〔帯電安定性〕
トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径90μm)19.4gとを50ml容のポリビンに入れ、ボールミルを用いて250r/minで混合し、帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。
所定の混合時間後、q/mメーター付属のセルに規定量の現像剤を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引した。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)とした。混合時間60秒後における帯電量と混合時間600秒後における帯電量の比率(混合時間60秒後における帯電量/混合時間600秒後の帯電量)を計算し、以下の評価基準に従って帯電安定性を評価した。結果を表2、3に示す。
【0080】
〔評価基準〕
◎:0.8以上
○:0.6以上、0.8未満
×:0.6未満
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
以上の結果より、比較例の結着樹脂と比べて、反応活性指数が高く、熱履歴が小さい(すなわち、反応時間が短い)実施例の結着樹脂を含有したトナーは、帯電の立ち上がり性及び帯電安定性のいずれにも優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の結着樹脂は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂等として好適に用いられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物とアミド化合物及び/又はアミン化合物との存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂を含む電子写真トナー用結着樹脂。
【請求項2】
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物がSn-O結合を有する錫化合物である請求項1記載の電子写真トナー用結着樹脂。
【請求項3】
アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物の存在量が0.01〜2.0重量部、アミド化合物及び/又はアミン化合物の存在量が0.005〜2.0重量部である請求項1又は2記載の電子写真トナー用結着樹脂。
【請求項4】
アミド化合物及び/又はアミン化合物とSn-C結合を有していない錫(II)化合物の重量比〔(アミド化合物及び/又はアミン化合物)/Sn-C結合を有していない錫(II)化合物〕が、0.1〜20である請求項1〜3いずれか記載の電子写真トナー用結着樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の電子写真トナー用結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。

【公開番号】特開2006−350035(P2006−350035A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176966(P2005−176966)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】