説明

電子写真感光体の製造方法

【課題】電子写真感光体の使用で生じる画像欠陥である黒ポチ、カブリを抑制する。
【解決手段】中間層、感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、中間層が、金属酸化物をカリックスアレーン化合物で処理する工程(i)と、工程(i)で処理された金属酸化物を用いて中間層用塗布液を調製する工程と、工程(ii)で調製された中間層用塗布液を用いて中間層を形成する工程(iii)とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光導電性材料を利用した電子写真感光体(有機電子写真感光体)は従来の無機光導電性材料を用いた電子写真感光体(無機電子写真感光体)に比べ低公害で、製造が容易であり、構成材料の選択や設計の多様性から機能付与の自由度が高いという利点を有する。
近年のレーザービームプリンターの急速な普及により、有機電子写真感光体は広く市場で用いられるようになった。有機電子写真感光体の感光層には大きく次の2種類がある。
1つは、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層であり、もう1つは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを同一層中に分散または溶解させた単層型感光層である。
【0003】
また、近年、電子写真法によるカラー画像形成方法として、デジタル信号処理による書き込みで、有機感光体上にカラー画像を形成するカラー画像形成方法が盛んに行われるようになってきている。有機感光体としては、帯電特性及び感度が良好で、更に暗減衰が低いなど、電子写真特性はもちろんのこと、カラー画像に要求される広い階調性、及びデジタル潜像の現像に最も適している反転現像に対する適正が要求される。
【0004】
有機感光体では、画像に要求される電子写真特性を満たすための方法として、支持体と感光層との間には支持体上の欠陥の被覆、感光層の接着性付与、干渉縞の防止、感光層の電気的破壊に対する保護、支持体から感光層へのホールの注入防止などを目的に中間層を設けることが多い。
中間層は上述のメリットを有する反面、電荷が蓄積され易いというデメリットを有する。そのため、連続プリント時において電位変動が大きくなる。その対策の1つに中間層中に金属酸化物などの導電性粒子を分散させ、電荷の滞留を防ぐ方法がある。しかしながら、金属酸化物などの導電性粒子を中間層に含有させた場合、局所的な凝集により、黒ポチ、カブリなどの画像欠陥が生じてしまう。黒ポチ、カブリの対策として、金属酸化物などの導電性粒子を無機表面処理する方法(特許文献1、2)、または、シランカップリング剤で表面処理する方法(特許文献3、4、5)が提案されているが、完全に解決するに至っていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−372797号公報
【特許文献2】特開2004−077976号公報
【特許文献3】特開平9−96916号公報
【特許文献4】特開平9−258469号公報
【特許文献5】特開平8−328283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、黒ポチ、カブリの無い良好な画像特性を示す電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
包摂化合物であるカリックスアレーン化合物は、金属や金属イオン等と強く相互作用し
、ある種の錯体や、包摂体を形成する。本発明は、中間層の形成の工程において、カリックスアレーン化合物と金属酸化物とを処理した後に中間層用塗布液を調製することによって、黒ポチ、カブリを抑制することが出来ることを見出した。
本発明から、以下の電子写真感光体の製造方法が提供される。
(1) 支持体上に中間層および感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体を製造する方法において、
金属酸化物を下記式(1)で示される構造を有する化合物で処理する工程(i)と、
前記工程(i)で処理された金属酸化物を用いて中間層用塗布液を調製する工程(ii)と、
前記工程(ii)で調製された中間層用塗布液を用いて中間層を形成する工程(iii)とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【化1】


(上記式(1)中、Rは水素、またはヒドロキシル基、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、RとRは独立して水素、ヒドロキシル基、又は置換基を有してもよいアルキル基、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基又はAr−N
=N−基を示し、Arは同一又は異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環、置換基を有してもよい複素環又は置換基を有してもよい複数の芳香族炭化水素環あるいは置換基を有してもよい複数の複素環を結合したものを含む1価の基を示し、nは4〜8の整数を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明により、黒ポチ、カブリの無い良好な画像特性を示す電子写真感光体を製造することができる。また、本発明により製造された電子写真感光体は、感光体膜の剥がれやクラックなどを防止することができ、良好な感光体膜特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の製造方法で製造された電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、及び該プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の構成の一例を概略する図。
【図2】本発明の製造方法で製造される電子写真感光体の層構成の一例を概略する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の製造方法により製造される電子写真感光体の層構成は、導電性支持体上に中間層、感光層を有する。本発明においては、支持体と中間層の間に、支持体の欠陥を隠蔽しかつモアレを抑制する目的で導電性粒子を含有した導電層を設けてもよい。
【0011】
感光層は、本発明の構成を満足するものであれば、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。しかし、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。本発明における電子写真感光体の好ましい構成の概略が図2に示される。図2の電子写真感光体においては、支持体21上に、後述の導電層22、中間層23、電荷発生層24、電荷輸送層25が積層されている。また、必要に応じて感光層上に保護層を設けてもよい。
【0012】
支持体としては、導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレス及びニッケルのような金属あるいは導電層を設けた金属、プラスチック及び紙が挙げられ、形状としては円筒状及びフィルム状が挙げられる。
【0013】
導電層に用いられる樹脂としてはフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂のような熱硬化型の樹脂を使用することが好ましい。また、導電層表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制するために、導電層に、導電層表面を粗面化するための表面粗し付与材を添加することも可能である。
表面粗し付与材としては、平均粒径1〜6μmの樹脂粒子が好ましい。例えば、硬化性ゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂のような硬化性樹脂の粒子が挙げられる。これらの中でも、凝集しにくいシリコーン樹脂の粒子が好ましい。また、導電層の表面性を高めるために、公知のレベリング剤を添加してもよい。
【0014】
中間層は下層となる支持体および導電層の欠陥の被覆、感光層の接着性付与、干渉縞防止、感光層の電気的破壊に対する保護、ならびに支持体から感光層へのホール注入の阻止等を目的に下層と感光層との間に設けられる。
【0015】
本発明の中間層は、金属酸化物を下記式(1)で示される構造を有する化合物で処理する工程(i)と、前記工程(i)で処理された金属酸化物を用いて中間層用塗布液を調製する工程(ii)と、 前記工程(ii)で調製された中間層用塗布液を用いて中間層を形成する工程(iii)によって形成する。
【化2】

【0016】
上記式(1)中、Rは水素、またはヒドロキシル基、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、RとRは独立して水素、ヒドロキシル基、または置換基を有してもよいアルキル基、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基またはAr
−N=N−基を示し、Arは同一または異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環、置換基を有してもよい複素環または置換基を有してもよい複数の芳香族炭化水素環あるいは置換基を有してもよい複数の複素環を結合したものを含む1価の基を示し、nは4
〜8の整数を示す。
【0017】
上記工程(i)において、上記式(1)で表されるカリックスアレーン化合物と金属酸化物との処理方法は、例えば、カリックスアレーン化合物および金属酸化物を溶剤に溶解させることで処理する方法、またはカリックスアレーン化合物および金属酸化物を溶剤中で分散して処理する方法があげられる。その後、工程(i)においてカリックスアレーン化合物で処理した金属酸化物を用いて中間層用塗布液を調製する(工程(ii))。そして上記工程(ii)において調製した中間層用塗布液を塗布することで薄層(中間層)が設けられる(工程(iii))。
【0018】
上記式(1)で表されるカリックスアレーン化合物は、下記式(2)、または下記式(3)であることが好ましい。
【化3】

上記式(2)中、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、nは4〜8の整数を示す。
【0019】
【化4】

上記式(3)中、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、RとRは独立して水素、ヒドロキシル基、または置換基を有してもよいアルキル基、Arは同一または異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環、置換基を有してもよい複素環または置換基を有してもよい複数の芳香族炭化水素環あるいは置換基を有してもよい複数の複素環を結合したものを含む1価の基を示し、nは4〜8の整数を示す。
【0020】
中間層に含有させる金属酸化物は特段限定されないが、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が好ましく例示できる。また、これら金属酸化物は、中間層の調製の際、樹脂100質量部に対して160〜2800質量部含有することが好ましく、400〜2100質量部含有することがより好ましい。
【0021】
上記工程(ii)においては、上記工程(i)で処理された金属酸化物に結着樹脂を加え、分散させることで中間層用塗布液を調製することが好ましい。用いられる結着樹脂は特に限定されることはなく、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース、メラニン樹脂、アミロース、アミロペクチン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂が適宜用いられ、1種もしくは2種以上のものを混合して用いることができる。
【0022】
上記式(1)〜(3)で示されるカリックスアレーン化合物の含有量は処理する金属酸化物に対して、0.01〜50質量%が好ましく、さらには、0.1〜30質量%がより好ましい。50質量%より多い場合には塗布性や塗布液の液安定性が悪くなる場合がある。また0.01質量%より少ない場合には、カリックスアレーン化合物で処理される金属酸化物量が少なくなり、目的とする効果が得られにくくなる。
【0023】
中間層に用いる中間層用塗布液の調製方法は、上記工程(i)〜(iii)にあるように、金属酸化物を式(1)で示されるカリックスアレーン化合物で処理した後、処理され
た金属酸化物を用いて、好ましくは結着樹脂を加えて分散させることで中間層用塗布液を調製することを特徴としている。カリックスアレーン化合物と金属酸化物とを予め、溶解処理または分散処理することによって、本発明の効果が得られる。カリックスアレーン化合物と金属酸化物、及び結着樹脂などを同時に溶解または分散した場合には、本発明の効果が得られない。
分散方法は特に限定されることなく、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、超音波分散機、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、ホモミキサ、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。分散に使用するメディアは制限されないが、ジルコニアビーズ、ガラスビーズが好ましく、ガラスビーズがより好ましい。分散の条件は特段制限されないが、−5℃〜50℃の条件で、5〜120時間分散処理を行うことが好ましく、0〜40℃の条件で、12〜72時間分散処理を行うことがより好ましい。
【0024】
上記溶解処理または分散処理に用いられる溶剤は特に限定されることなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メチルセルソルブ、メトキシプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、水のような溶剤を用いることができる。
その中でも酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メトキシプロパノール、水が好ましい。
【0025】
調製された中間層用塗布液は、支持体または、支持体上の導電層上に塗布することで、中間層を形成する。中間層の膜厚は、0.01〜30μmが好ましく、さらには0.1〜20μmが好ましい。
【0026】
本発明の方法により作製された中間層は、カレックスアレーン化合物、金属酸化物及び結着樹脂などを同時に溶解または分散することで作製した中間層と比較して、長波長に吸収を有する。吸収波長については、次のような方法で測定することが出来る。
上記方法にて作製したカリックスアレーン化合物と金属酸化物との分散液、金属酸化物のみの分散液とをそれぞれ結着樹脂分散液と分散混合し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにマイヤーバーを用いて塗布し、約1.0μmの膜を形成する。次いで
その膜を、紫外可視分光光度計(JASCO V−570,日本分光)で測定する。
<カリックスアレーン化合物の有無についての分析方法>
感光体中間層中にカリックスアレーン化合物が含有されていることの確認は、感光層を剥し、中間層を削り取り、その削り取った中間層をKBr錠剤法による赤外吸収スペクトル測定を行うことで可能である(測定装置:日本分光(株)製フーリエ変換赤外分光光度
計(商品名:FT/IR−420))。
<金属酸化物の分析方法>
感光体の中間層中に金属酸化物が含有されていることの確認は、感光層を剥し、中間層を削り取り、その削り取った中間層を使用して蛍光X線測定を行うことで可能である(測
定装置:スペクトリス(株)製波長分散型蛍光X線分析装置(商品名:Axios))。
【0027】
本発明の電子写真感光体の電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾのようなアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴのようなインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドのようなペリレン顔料や、アンスラキノン、ピ
レンキノン、ジベンズピレンキノンのような多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンのような無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、キノシアニンのようなシアニン染料や、アントアントロン顔料や、ピラントロン顔料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛が挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0028】
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂が挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0029】
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、超音波分散機、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、ホモミキサ、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
【0030】
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、フッ素原子含有樹脂やシリコーン含有樹脂を含有させても良い。また前記樹脂により構成される微粒子を含有してもよい。また、金属酸化物微粒子や無機微粒子を含有してもよい。ただし、電荷輸送層を電子写真感光体の表面層として用いる場合は、その帯電列の位置に影響を及ぼさない範囲でそれらを含有させることができる。
【0031】
感光層上には必要に応じて保護層を設けてもよい。保護層は、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZや変性ポリカーボネート等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、フェノール、スチレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー又はスチレン−アクリロニトリルコポ
リマーのような樹脂を適当な有機溶剤によって溶解し、感光層上に塗布乾燥して形成される。保護層の膜厚は0.05〜20μmが好ましい。また、保護層中に導電性粒子や紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
【0032】
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法のような塗布方法を用いることができる。
【0033】
次に、図1に本発明の製造方法で製造された電子写真感光体及び電子写真装置に脱着自在に取り付けられるプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1はドラム状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段3により、負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光のような露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段3に印加する電圧は、直流成分に交流成分を重畳した電圧、又は直流成分のみの電圧のどちらでもよいが、本発明においては直流成分のみを印加する帯電手段を用いた。
【0034】
電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段5のトナーにより現像されてトナー画像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー画像が、転写手段6からの転写バイアスによって順次転写されていく。転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。
【0035】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の周面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光11により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、転写手段として、例えば、ベルト状やドラム状などの中間転写体を用いた中間転写方式の転写手段を採用してもよい。図1では、電子写真感光体1と、接触帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下「部」とある場合は「質量部」を意味する。
【0037】
本発明で用いるカリックスアレーン化合物は、公知例(例えばJ.Am.Chem.Soc.,Vol.111,No,14,1989 p5397−5404)に記載のように、フェノール誘導体と各種アルデヒド化合物を硫酸及び塩酸等の酸を用いて脱水縮合することにより合成できる。下記表1〜3に記載するCA−1〜CA25のカリックスアレーン化合物を合成した。その合成方法を以下に例示する。
【0038】
(合成例1)下記表2中の化合物CA−7の合成
窒素雰囲気下、冷却管をつけたナスフラスコにレゾルシノール25.6部、ドデシルア
ルデヒド42.3部及びエタノール230部を加え、その中へ濃塩酸37部を加え、温度70℃で10時間処理した後で、冷却濾過濾取し、得られた結晶を熱水で十分洗浄し、乾燥した後、メタノールで再結晶して、白色結晶の化合物CA−7を17.3部得た。得られた化合物のH−NMR及びIRのデータを下記に示す。
H−NMR(CDCl,40℃)δ=0.91(t,12H)、1.30(brs
,64H)、1.41(brs,8H)、2.24(brs,8H)、4.33(t,4H)、6.15(s,4H)、7.24(s,4H)、9.27、9.37、9.55、9.62(eachbrs,4H)
IR(KBr)cm−1=3548、3492、2924、2852、1618、1508、1465、1432、1302、1196、1167、903、837
【0039】
(合成例2)下記表3中の化合物CA−20の合成
3,5−ジニトロアニリン10部を濃塩酸59部とイオン交換水170部からなる塩酸水中に添加し攪拌しながら分散液を温度−5℃まで冷却した。その分散液中に、亜硝酸ナトリウム4.15部をイオン交換水9.07部に溶かした液を液中滴下した。60分間攪拌後に活性炭1部を添加し、1分間攪拌した後濾過した。その濾物を攪拌しながら、温度−5℃まで冷却し、ホウフッ化ナトリウム10.8部をイオン交換水32.4部に溶かした液を滴下した。60分間の攪拌を経た後、濾過した。濾物を回収しホウフッ化ナトリウム7.5部をイオン交換水150部に溶かした液中で60分間分散洗浄し濾過した。濾物を回収しアセトニトリル7.8部とイソプロピルエーテル43.2部の混合液中で30分間分散洗浄し濾過した。濾物を回収して10.6部のホウフッ化塩を得た(収率68.6%)。
次に、窒素雰囲気下、カリックス[4]アレーン1.8部をテトラヒドロフラン211.2部に溶解させた後、温度−5℃まで冷却した。その溶液に上記で合成したホウフッ化塩6部を添加し、30分攪拌した。さらにピリジン5.88部を温度−5℃の液温をほぼ維持した状態でゆっくり滴下した。濾物を回収し2.5%塩酸水130部中で60分間分散洗浄した後濾過した。濾物を回収しイオン交換水300部で60分間分散洗浄した後濾過した。イオン交換水の分散洗浄を再度繰り返した。濾物を回収しアセトン413部中で60分間分散洗浄した後濾過した。濾物を回収し真空乾燥を経た後、オレンジ色の結晶の化合物CA−20を3.89部得た(収率76.0%)。
【0040】
(合成例3)下記表3中の化合物CA−21の合成
窒素雰囲気下、化合物CA−7、4.4部をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)360部に溶解させた温度0℃まで冷却した後、下記に示される化合物5.6部と、
【化5】

ピリジン60部を加え、そのままの温度で6時間攪拌した後、水1500部に注下し、析出物を濾取した。得られた結晶を2%塩酸、次いで水で十分洗浄し、乾燥した後、テトラヒドロフランで再結晶して、赤色結晶の化合物CA−21を5部得た。得られた化合物のIRデータを下記に示す。
IR(KBr)cm−1=3101、2925、1542、1491、1342
【0041】
以下、表1〜3にカリックスアレーン化合物CA1〜CA25の構造を示す。
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
(実施例1)
10質量%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル0.002部、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用塗料を調製した。アルミニウム素管(ED管)上に、上記導電層用塗料を浸漬塗布方法で塗布し、温度140℃で30分間乾燥して、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0045】
本発明の中間層に用いるポリオレフィン樹脂、は、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)」の第1〜4章(共立出版株式会社)、特開2003−105145号公報、特開2003−147028号公報に記述された公知の方法で合成した。
【0046】
ヒーター付の密閉できる耐圧1Lガラス容器を備えた撹拌機を用いて、以下のように攪
拌を行なった。60.0部のポリオレフィン樹脂、30.0部のエタノール、3.9部のN,N−ジメチルエタノールアミン及び206.1部の蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。
次に、TiO粒子(10nm)10部、化合物CA−1 1部、溶剤としてのメタノール80部を、直径0.5mmのガラスビーズを用いたペイントシェーカーで16時間分散して、化合物CA−1処理したTiO分散液を調製した。
次に、上記ポリオレフィン樹脂水性分散体を25部、化合物CA−1処理したTiO分散液329部を容器内で十分に攪拌し、電子写真感光体中間層用塗布液を調製した。
次いで、上記アルミニウム素管(ED管)上、導電層を形成した上に浸漬塗布し、120℃で10分乾燥させ、膜厚1μmの中間層を形成した。
【0047】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部を用意した。それに、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散した。次に、酢酸エチル250部を分散液に加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、これを10分間温度100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0048】
次に、下記式で示される構造を有するアミン化合物8部、
【化6】


下記式で示される構造を有するアミン化合物1部、
【化7】


及び下記式で示される構造を有するポリアリレート樹脂(Mw:110000)10部
【化8】


を、最終質量比率でモノクロルベンゼン:ジメトキシメタンが7:3になる溶剤に溶解させることによって、電荷輸送用塗布液を調製した。この電荷輸送用塗布液を、浸漬塗布法で上記電荷発生層上に塗布し、温度120℃で1時間乾燥する事によって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、電荷輸送層が表面層である実施例1の電子写真感光体を作製した。
【0049】
作製した電子写真感光体を、温度15℃、湿度10%RHの環境下にて、ヒューレットパッカード製LaserJet4700に装着し、5000枚通紙耐久後画像の評価を行った。
評価開始時は、黒ポチ評価用に光沢紙を用いてべた白画像を1枚出力した。黒ポチ評価は、目視にてポチの数の確認を行ない、A〜Fのランク付けを行なった。ランクAは黒ポチが全く見られず、ランクFは全面に黒ポチが見られる状態である。ランクDまでは画像上許容される範囲であり、ランクDは画像上、電子写真感光体1周分に換算して、φ0.3mm以下の黒ポチが5〜10個存在する程度のものである。
【0050】
別途、中間層膜の評価を行なった。中間層膜のクラックの有無は、支持体上に中間層を設けた後に光学顕微鏡(1000倍)にて中間層表面の観察を実施し、○、△、×のランク分けを行なった。○はクラックが見られず非常に良好な膜であり、△は画像印刷領域の膜の一部に点状の凹みが観察されるものの、問題無いレベルである。×は、画像印刷領域全面に点状の凹み、クラックが発生している。
中間層の剥がれに関しては、上記5000枚耐久画像評価終了後、中間層塗布端部の剥がれを確認した。○は剥がれが生じておらず、△は微小な剥がれが生じているものの問題無いレベルであり、×は剥がれが生じている。
結果を下記、表4に示す。
【0051】
(実施例2〜3)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物をそれぞれ表1に示すCA−2、CA−3を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0052】
(実施例4)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化スズ、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−2を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0053】
(実施例5)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化アルミニウム、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−2を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0054】
(実施例6)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化亜鉛、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−3を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0055】
(実施例7)
実施例1において、中間層に用いるポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにメラミン樹脂10部をメタノール40部に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0056】
(実施例8)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を表1に示すCA−2、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにポリアミド樹脂10部をメタノール35部、ブタノール12.5部の混合溶媒に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0057】
(実施例9)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を表1に示すCA−3、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにフェノール樹脂10部をメタノール40部に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0058】
(実施例10〜12)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物をそれぞれ表1に示すCA−7、CA−10、CA−13を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0059】
(実施例13)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化スズ、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−9を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0060】
(実施例14)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化アルミニウム、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−9を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0061】
(実施例15)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化亜鉛、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−9を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0062】
(実施例16)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を表1に示すCA−7、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにフェノール樹脂10部をメタノール40部に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0063】
(実施例17)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を表1に示すCA−10、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにメラミン樹脂10部をメタノール35部、ブ
タノール12.5部の混合溶媒に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0064】
(実施例18)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を表1に示すCA−13、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにポリアミド樹脂10部をメタノール40部に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0065】
(実施例19〜23)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物をそれぞれ表1に示すCA−16、CA−17、CA−19、CA−20、CA−21を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。なお、実施例23で調製した中間層用塗布液の吸収波長ピークを測定したところ、吸収波長ピークは316nm、398nm、462nm、694nmに存在した。吸収波長ピークの測定方法を以下に示す。
【0066】
実施例23の中間層用塗布液を厚さ120μmのPETフィルム上にマイヤーバーにて塗布し、これを乾燥させることによって、厚さ1μmの層を形成した。このようにして、実施例23の中間層吸収波長ピーク測定用フィルムを作製した。
紫外可視分光光度計(商品名:V−570、日本分光(株)製)に実施例23の中間層吸収波長ピーク測定用フィルムを設置し、測定モードを吸光度(Abs)に合わせて、測定波長域300〜800nmの範囲で吸収波長ピークの測定を行った。なお、測定波長ピーク吸光度が0.01以上のものをピークとして検出した。
【0067】
(実施例24)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化スズ、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−21を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0068】
(実施例25)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化アルミニウム、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−23を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0069】
(実施例26)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化亜鉛、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−25を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0070】
(実施例27)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化スズ、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−21、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにポリアミド樹脂10部をメタノール40部に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0071】
(実施例28)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化アルミニウム、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−21、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにフェノール樹脂10部をメタノール35部、ブタノール12.5部の混合溶媒に分散させた液を用い
た以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0072】
(実施例29)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物を酸化亜鉛、カリックスアレーン化合物を表1に示すCA−21、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにメラミン樹脂10部をメタノール40部に分散させた液を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0073】
(実施例30)
実施例1において、中間層に用いる金属酸化物とカリックスアレーン化合物とをペイントシェーカーで分散させる代わりにサンドミルを用いて分散させた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0074】
(比較例1)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を用いず、酸化チタンのみで分散液を作製し、実施例1と同様にして、ポリオレフィン樹脂水性分散体と混合させた塗布液を使用して電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0075】
(比較例2)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を用いず、酸化亜鉛のみで分散液を作製し、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにメラミン樹脂10部をメタノール40部に分散させた液と混合させた塗布液を使用して実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0076】
(比較例3)
実施例1において、中間層に用いるカリックスアレーン化合物を用いず、酸化スズのみで分散液を作製し、ポリオレフィン樹脂水性分散体の代わりにポリアミド樹脂10部をメタノール40部に分散させた液と混合させた塗布液を使用して実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0077】
(比較例4)
TiO粒子(10nm)10部、化合物CA−2 1部、溶剤としてのメタノール80部、ポリオレフィン樹脂水性分散体6.9部を、直径0.5mmのガラスビーズを用いたペイントシェーカーで16時間分散して、化合物CA−2、TiOポリオレフィン樹脂との同時分散塗布液を調製し、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
【0078】
(比較例5)
TiO粒子(10nm)10部、化合物CA−21 1部、溶剤としてのメタノール80部、ポリオレフィン樹脂水性分散体6.9部を、直径0.5mmのガラスビーズを用いたペイントシェーカーで16時間分散して、化合物CA−21、TiOポリオレフィン樹脂との同時分散塗布液を調製し、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。なお、比較例5で調製した中間層用塗布液の吸収波長ピークを測定したところ、吸収波長ピークは316nm、400nm、504nmに存在した。吸収波長ピークの測定方法は、中間層用塗布液を比較例5の中間層用塗布液に変更した以外は、実施例23における吸収波長ピークの測定方法と同様にして行った。
【0079】
【表4】

【符号の説明】
【0080】
21 支持体
22 導電層
23 中間層
24 電荷発生層
25 電荷輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に中間層および感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体を製造する方法において、
金属酸化物を下記式(1)で示される構造を有する化合物で処理する工程(i)と、
前記工程(i)で処理された金属酸化物を用いて中間層用塗布液を調製する工程(ii)と、
前記工程(ii)で調製された中間層用塗布液を用いて中間層を形成する工程(iii)とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【化1】

(上記式(1)中、Rは水素、またはヒドロキシル基、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、RとRは独立して水素、ヒドロキシル基、又は置換基を有してもよいアルキル基、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基又はAr−N=N−基を示し、Arは同一、又は異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環、置換基を有してもよい複素環又は置換基を有してもよい複数の芳香族炭化水素環あるいは置換基を有してもよい複数の複素環を結合したものを含む1価の基を示し、nは4〜8の整数を示す。)
【請求項2】
前記式(1)で示される化合物が、下記式(2)で示される構造を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
【化2】

(上記式(2)中、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、nは4〜8の整数を示す。)
【請求項3】
前記式(1)で示される化合物が、下記式(3)で示される構造を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
【化3】

(上記式(3)中、Rは水素、置換基を有してもよいアルキル基、RとRは独立して水素、ヒドロキシル基、又は置換基を有してもよいアルキル基、Arは同一又は異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環、置換基を有してもよい複素環又は置換基を有してもよい複数の芳香族炭化水素環あるいは置換基を有してもよい複数の複素環を結合したものを含む1価の基を示し、nは4〜8の整数を示す。)
【請求項4】
前記工程(ii)は、前記工程(i)で処理された金属酸化物に結着樹脂を加えて分散させることで中間層用塗布液を調製することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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