説明

電子写真感光体及び画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ

【課題】長期繰り返し使用しても高画質を安定に出力可能な電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】導電性支持体上に感光層、硬化型保護層が順に積層された電子写真感光体において、該硬化型保護層がアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機やレーザープリンター及びファクシミリ等の画像形成装置、プロセスカートリッジ及びそれらに用いられる電子写真感光体に関する。具体的には画質安定性や機械的耐久性(耐摩耗性)に優れた電子写真感光体、それを用いた画像形成装置用プロセスカートリッジ、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)には有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染の影響が少ない材料を選択できること、製造コストが安いことなどの理由により、無機感光体に対して有利な点が多い。無機感光体に対して不利な点としては、機械的耐久性に劣ることが挙げられる。資源の有効利用という点から、機械的耐久性が十分あり、長寿命であることが好ましい。
【0003】
「機械的耐久性について」
電子写真方式の画像形成装置とは一般に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像器と、付着したトナーを被転写物に転写を行なう転写手段と転写されずに感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング器等を一体に備えたものである。
【0004】
有機感光体は、上記のような帯電、現像、転写及びクリーニング等の各工程を繰り返すことによって感光体表面が化学的あるいは物理的に劣化し、摩耗が促進されたり、傷が形成されたりする。これによって早期に画質が劣化してしまうため、有機感光体の機械的耐久性は最も重要な課題の一つとされていた。それに対し、有機感光体の機械的耐久性を高める目的で保護層を設ける技術が数多く開示されている。
【0005】
例えば、感光体最表面に保護層を設けると共に、保護層中に無機微粒子を分散させることで機械的耐久性を向上させる技術が多く開示されている。一例として特許文献1などには、導電性支持体上に少なくとも感光層、フィラーを含有する保護層を順次形成してなる電子写真感光体が提案されている。また、別の手段として、感光体表面の硬度を上げることで改善する技術も多く開示されている。例えば、特許文献2及び特許文献3においては、帯電器として磁気ブラシ型を適用した場合に、感光体上に不随意に磁性粒子の転写が生じ、その粒子が転写部やクリーニング部で感光体に強く押しつけられることにより傷が付くことを防ぐために感光体保護層の硬度を上げることが提案されている。また、特許文献4ではブレード型クリーニング方式を適用した場合の感光体表面摩耗を抑制するために感光体の硬度を上げることが提案されている。上記のような感光体の表面硬度を高めるための具体的な手段として、熱硬化型樹脂、UV硬化型樹脂などの架橋性材料を感光体保護層の構成成分とすることが提案されている。例えば、保護層のバインダー成分として熱硬化性樹脂を適用することにより、保護層の機械的耐久性、耐傷性を向上させる手法が、特許文献5〜7で提案されている。また、特許文献8〜10などでは電荷輸送能付与基を結合させたシロキサン樹脂を保護層に含有させ、機械的耐久性、耐傷性を向上させる技術が開示されている。さらに特許文献11では、機械的耐久性、耐傷性を向上させるために、電荷輸送層を炭素−炭素の二重結合を有するモノマー、炭素―炭素二重結合を有する電荷輸送物質及びバインダー樹脂を用いて作製する手法が報告されている。また、特許文献12には電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより電荷輸送層を形成する方法が記載されている。さらに、特許文献13には電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を硬化し、さらにフィラーを分散させた保護層を形成する方法が記載されている。上記のような手段を用いることによって感光体の機械的耐久性は飛躍的に向上されている。特に、特許文献12や特許文献13に記載の硬化型樹脂を保護層に用いた感光体は機械的耐久性や耐傷性に優れる。
【0006】
しかしながら、機械的耐久性を高めるのみでは長寿命化の達成は困難である。感光体長寿命化のためには、異物付着防止およびトナー転写率向上が必須である。
まず、異物付着について述べる。機械的耐久性に優れた感光体であっても、長期間使用すると異常画像が発生することがある。紙粉やトナー添加剤の付着がその原因となることがある。これらが付着した部分は正しく帯電や露光が行われず、異常画像を発生する場合がある。機械的耐久性に劣る感光体であれば、最表面が摩耗するため、異常画像の発生が抑制可能であるが、長寿命化の達成は困難である。従って異物付着を防止することは、非常に重要である。
【0007】
続いてトナー転写率について述べる。トナー転写率が上がれば、無駄なトナーを使用せずに済む。転写残トナー(紙への転写後に感光体上に残留する未転写のトナー)が多いと、クリーニング部に負担がかかる。結果、クリーニング効果が持続しないことになり、プロセスカートリッジの寿命が短くなる。このようにトナーの転写率を上げることは非常に重要である。
【0008】
異物付着防止とトナー転写率向上は同様の性質を表すことが多いため、両者を合わせて離型性と表現する。離型性付与には最表面の低エネルギー化が有効である。感光体表面低表面エネルギー化は、低表面エネルギー化材料を塗布する外添系と膜内に低表面エネルギー化材料を含有させる内添系がある。外添系としては、一般的にはステアリン酸亜鉛などを感光体表面に塗布する機構が知られている。この機構があることで、感光体表面に離型性を付与することができる。しかしながら、表面の低表面エネルギー化材料が放電により劣化し、異常画像の原因となることがある。また塗布機構を設けることで、作像部が大きくなり、レイアウトの自由度が低下する。さらに、作像部のコストが上昇する。膜内に低表面エネルギー化材料を含有させる内添系も離型性向上には有効である。感光体表面に高離型性を付与するために、特許文献14には、表面層にフッ素置換されたポリシロキサン樹脂を用いた感光体が記載されている。しかしながら、シロキサン結合は分極を生じ、水素結合することが知られている。そのため、高湿下ではトナーとの付着力が大きくなることがある。これにより高湿下で離型性が低下することがある。さらに、低表面エネルギー化材料を常に表面に析出させるためには、感光体表面を常に摩耗させる必要がある。そのため、機械的耐久性が犠牲にされる。
【0009】
機械的耐久性と離型性の両立について述べる。これらの両立には、前述の機械的耐久性向上手段と離型性付与手段を組み合わせる必要がある。しかしながら使用材料の離型性(repellency)は併存する他の樹脂材料相に対しても作用し勝ちであるので、両立は容易ではない。
特許文献15には、保護層中に潤滑性微粒子を含有させた感光体が記載されている。また、特許文献16には、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有した含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層を有する感光体が記載されている。また、特許文献17には架橋型表面層にフッ素系UV硬化型ハードコート剤と1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化し、さらに潤滑性微粒子を含有した保護層を有する感光体が記載されている。フッ素系材料を使用することは、感光体とトナー間の付着力を低減する有効な手段である。特に硬化型保護層に含有させると、機械的高耐久性と、感光体とトナー間の付着力低減の両立が可能となる。しかしながら、十分に付着力を低減するためには、相当量のフッ素材料を含有させる必要がある。これらフッ素系材料は、電荷輸送構造を有していないため、大量に添加すると、明部電位が上昇することがある。さらに膜強度が低下する傾向がある。
【0010】
また、特許文献18には、ポリエステル樹脂バインダー100部に、炭素数7以上の脂肪族炭素環構造を有し重合性官能基を有する化合物の具体例して、ノルボルネン環にアクリロイル基を有する化合物60部からなる樹脂成分と電荷輸送材料からなる表面層を有する感光体の記載があり、またその余の炭素数7以上の脂肪族炭素環構造を有し重合性官能基を有する化合物の候補が羅列されている。この場合、樹脂と多量に用いられたバインダー樹脂が架橋されていないため膜の機械的強度が低い。そのため感光体の長寿命化には不適である。これまで述べてきたように、機械的耐久性と高離型性の両立は困難であり、いずれかの特性に特化した電子写真感光体を設計せざるを得ないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、機械的耐久性と高離型性の両立が可能であり、長期繰り返し使用しても高画質を安定に出力可能な電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、つぎの(1)〜(5)の本発明により、好適に解決される。
(1) 導電性支持体上に感光層、硬化型保護層が順に積層された電子写真感光体において、該硬化型保護層がアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
(2) 前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物が、アダマンタン骨格中にフッ素原子を有することを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。
(3) 前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物が1官能もしくは2官能であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電子写真感光体。
(4) 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が(1)乃至(3)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(5) 電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが1体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が(1)乃至(3)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子写真感光体は、表面に硬化型保護層を設けていることにより耐摩耗性及び耐傷性に優れ、かつ異物付着を低減することができ、トナー転写率も高い。そのため、長期繰り返し使用しても高画質を安定に出力可能な電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における電子写真感光体の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明における画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明におけるプロセスカートリッジの一例を示す図である。
【図4】実施例で用いた電荷発生物質のX線回折スペクトル図であり、縦軸は一秒当りのカウント数(cps:counts per second)を表し、横軸は角度(2θ)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置について実施形態により詳細に説明する。
【0016】
<<電子写真感光体の構成>>
本実施形態の感光体は、図1に示されるように導電性支持体(31)上に、少なくとも感光層(32)、硬化型保護層(33)をこの順に有することを特徴とする積層型である。
【0017】
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
【0018】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
【0019】
また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱架橋性樹脂または光架橋性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0020】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
【0021】
<<感光層について>>
次に本発明の感光層について説明する。感光層は、単層もしくは複数の積層でもよいが、はじめに積層型から説明する。積層型感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が積層されることによって構成されている。
【0022】
<電荷発生層について>
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また下記一般式(7)で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。なお、これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0023】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部が好ましく、より好ましくは10〜300重量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0024】
また、用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0025】
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散して、塗工液を得ることができる。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。場合によっては、電荷発生層に後述の電荷輸送物質を添加することも可能である。バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
【0026】
電荷発生層は上記塗工液を用いて導電性支持体上あるいは下引き層等の上に塗工し、乾燥することにより形成される。塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μm程度であり、0.1〜2μmが好ましい。また塗工後の乾燥はオーブン等を用いて加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
【0027】
<電荷輸送層について>
電荷輸送層は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。
本発明の電荷輸送層には電荷輸送物質として正孔輸送物質は含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。各々の例を以下に示す。なお、電荷輸送物質とは電子輸送物質および正孔輸送物質を意味する。
【0028】
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0029】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ジスチリル誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質の中でもトリアリールアミン構造を有するものは電荷移動に有利である。
【0030】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部が好ましく、より好ましくは40〜150重量部が適当である。
【0031】
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0032】
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
【0033】
電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、30μm以下とすることが好ましく、25μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、5μm以上が好ましい。
【0034】
<単層感光層について>
本発明においては、感光層が単層構成であっても使用可能である。感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質(電子輸送剤及び正孔輸送剤)は、前述の電荷発生層及び電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能である。また、バインダー樹脂としては、前述の電荷輸送層で挙げた樹脂の他に、電荷発生層で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
【0035】
<<硬化型保護層>>
次に、本発明の硬化型保護層の構成材料について説明する。
本発明の硬化型保護層はアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の硬化物を含む。
硬化とは、一般に複数の官能基を有する低分子化合物の分子間反応や高分子化合物が、熱、光、電子線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
【0036】
本発明に用いるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物について述べる。
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有する。アダマンタンは対称性が高く、安定な骨格である。
アダマンタン骨格は、特開2002−302462号公報に記載のようにトリメチレンノルボルナン〔テトラヒドロジシクロペンタジエン〕、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロフェナレン、1,2−シクロペンタノパーヒドロナフタリン、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、およびこれら化合物のアルキル置換体、例えば9−メチルパーヒドロアントラセンなどを異性化することで作製可能である。
【0037】
本発明で用いるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、アダマンタン骨格を有し、且つラジカル重合性官能基を有するモノマーを指す。本発明に用いるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物のラジカル重合性基は、反応性の観点からアクリロイル基が好ましい。また、硬化反応において、本発明に用いるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物は、1官能あるいは2官能のものが膜の耐摩耗性および離型性の点で優れる。また、アダマンタン骨格は単一である方が他の構成材料との相溶性に優れ、均一な膜が作製できる。
【0038】
アダマンタン骨格を有するラジカル重合性モノマーは、アダマンタン骨格を有するアルコール即ち1−アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール、1−アダマンタンメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、1−アダマンタンエタノール、1,3−アダマンタンジエタノールなどとアクリル酸、メタクリル酸を溶媒の還流下に共沸脱水する方法によることができる。アダマンタン骨格中の水素をフッ素置換した構造を有するラジカル重合性化合物は特開2004−123687号公報に記載のようにパーフルオロアダマンタノール類とアクリル酸、メタクリル酸を溶媒の還流下に共沸脱水する方法によることができる。ここで用いる原料のパーフルオロアダマンタノール類としては、パーフルオロ−1−アダマンタノール、パーフルオロ−1,3−アダマンタンジオール、パーフルオロ−1−アダマンタンメタノール、パーフルオロ−1,3−アダマンタンジメタノール、パーフルオロ−1−アダマンタンエタノール、パーフルオロ−1,3−アダマンタンジエタノール、1ー(2―ヒドロキシエトキシ)パーフルオロアダマンタン、1,3―ビス(2―ヒドロキシエトキシ)パーフルオロアダマンタンが挙げられる。これらの反応溶媒としては、トルエンやキシレンなどが好適に用いられる。
【0039】
この場合の反応条件については、一般的な共沸脱水反応と同様であり、反応温度は−78〜200℃とすることができるが、その反応圧力での溶媒の沸点とするのがより好ましく、反応圧力は0.1〜10MPa、反応時間は1〜24時間、好ましくは3〜6時間である。そして、反応溶媒に溶解させる原料の濃度は、飽和溶解度以内であればよいが、好ましくは0.5〜1.0モル/リットルである。
【0040】
本発明により、機械的耐久性向上および離型性向上が実現できたのはアダマンタンが骨格由来の剛直性、潤滑性を有しているためであると考えられる。そのために潤滑剤内添系の欠点である大量添加による感光体特性の悪化、潤滑剤を常に表層に析出させるための表面更新(摩耗)から逃れることができたと考えられる。また、アダマンタン骨格の水素をフッ素に置換したものは、さらに高い離型性を有していた。これは骨格由来の効果にフッ素の持つ離型性が加わったためであると考えられる。
【0041】
また、本発明の硬化型保護層には、後述の電荷輸送層に用いることができる電荷輸送物質を含有してもよい。また、電荷輸送構造を有し、ラジカル重合性の官能基を有するものでもよい。
電荷輸送構造とは、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を示す。
【0042】
ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1、1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
【0043】
(1)1−置換エチレン官能基
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・式(10)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR78基(R78は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1、3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
【0044】
(2)1,1−置換エチレン官能基
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CY−X2− ・・・・式(11)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR79基(R79は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR8081(R80及びR81は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
なお、これらX1、X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0046】
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
アクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中にある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、メタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を複数有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
【0047】
硬化型保護層に電荷輸送物質を含有する場合、電荷輸送物質は、硬化型保護層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。
【0048】
本発明の硬化型保護層に用いるアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の具体例を示す。本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0049】
【表1−1】

【0050】
【表1−2】


表中のアダマンタン−1、2、3,4,5,6は、構造から理解されるように、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物−1,2,3,4,5,6の略である。
【0051】
<フィラー添加の説明>
本発明の硬化型保護層には、耐摩耗性の向上、機能性付与を目的としてフィラー微粒子を含有させることができる。
硬化型保護層中にフィラーを含有させると、樹脂部の耐摩耗性が高く、上記不均一な摩耗が抑制される。これに加えて、樹脂中に分散されたフィラー微粒子は、硬化樹脂架橋マトリックスに捉えられ、該架橋マトリックスのフィラー保持力が大きいため、フィラーの脱落も防止される。したがって、非常に耐摩耗性が高まると考えられる。また、導電性のフィラーを含有させることで、膜に電荷輸送性を付与することができる。
【0052】
このフィラー微粒子としては、以下のようなものが使用できる。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、カーボン微粒子などが挙げられる。カーボン微粒子とは、炭素が主成分の構造を有する粒子のことであり、非晶質、ダイヤモンド、グラファイト、無定型炭素、フラーレン、ツェッペリン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の構造を有する粒子である。これらの構造の中で水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する粒子は、機械的及び化学的耐久性が良好である。水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン膜とは、SP3軌道を有するダイヤモンド構造、SP2軌道を有するグラファイト構造、非晶質カーボン構造などの類似構造が混在した粒子のことである。ダイヤモンド状カーボンもしくは非晶質カーボン微粒子は、炭素だけで構成されるのではなく、水素、酸素、窒素、フッ素、硼素、リン、塩素、臭素、沃素等の他の元素が含有されていてもかまわない。
【0053】
無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンが有効に使用できる。また、コロイダルシリカやコロイダルアルミナなどの微粒子も有効に使用できる。
【0054】
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが硬化型保護層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.9μm以上の場合には、分散液中においてフィラーの沈降性が促進される可能性がある。
【0055】
硬化型保護層中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高くなるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、表面層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。また更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
【0056】
<開始剤の説明>
硬化型保護層は、熱、光、電離性放射線の少なくとも何れかを用いて同時に硬化させる。熱エネルギーや光エネルギーを用いて硬化型保護層を形成する場合には、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために硬化型保護層中に重合開始剤を使用してもよい。電離性放射線を用いた架橋を行う場合は、通常重合開始剤を用いることなく架橋反応を得ることが可能であるが、電離性放射線照射後に残存する未硬化成分を硬化させるために、後処理として熱エネルギー及び/又は光エネルギーを付与することも可能であり、その場合でも下記に示す重合開始剤を添加すると効果的である。
【0057】
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
【0058】
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。
【0059】
また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。 これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0060】
<その他添加剤の説明>
更に、本発明の硬化型保護層には必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分100重量部に対し20重量部以下、好ましくは10重量部以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分100重量部に対し3重量部以下が適当である。
【0061】
本発明の硬化型保護層は、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物を含む塗工液を前述の感光層上に塗布、硬化することにより形成される。
塗布に用いられる塗工液はラジカル重合性化合物が液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。ここで用いられる溶剤としては、通常用いられるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。
【0062】
硬化型保護層形成の際に用いる塗工方法としては、一般に用いられている塗工方法であれば特に限定されない。塗工液の粘性、所望とする硬化型保護層の膜厚などによって適宜塗工方法を選択するとよい。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
【0063】
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えることにより、硬化型保護層を硬化させる。このとき用いられる外部エネルギーとしては、熱エネルギー、光エネルギー、電離性放射線を用いたエネルギーを用いることが可能であるが、電離性放射線を用いた場合には、そのエネルギー浸入深さ、エネルギー強度のために、電子写真感光体の構成材料の劣化に伴う電子写真特性の低下が懸念されることから、好ましくは熱エネルギー、光エネルギーを用いて硬化するとよい。また、光エネルギーを用いた硬化は製造時に使用する溶剤量低減や架橋に必要なエネルギーの低減、さらには架橋膜の強度増加が期待できるため、より好ましくは光エネルギーを用いるとよく、効果的に架橋させるために前記いずれか2つの手段を併用してもよい。
【0064】
熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満の場合、反応速度が遅いために生産性が低下するとともに、未反応の材料が膜中に残留する原因となる。一方、170℃より高い温度で処理した場合、架橋による膜の収縮が大きくなり、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。また、感光層中の揮発性成分が外部に霧散するなどした場合には、所望の電気特性を得られなくなるなどのことがあるため好ましくない。架橋による収縮が大きい樹脂を使用する際には、100℃未満の低温で予備架橋した後に100℃以上の高温で架橋を完結させる方法も有効である。
【0065】
光エネルギーとしては、主に超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアークメタルハライドランプ等の光源を利用してもよく、好ましくは使用する電荷輸送構造を有しないラジカル重合性化合物や電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(好ましくは1官能)、さらには併用する光重合開始剤の吸収特性を考慮して選定することがよい。使用光源の発光照度としては、一般に365nmの波長を基準として50〜2000mW/cmの照度で露光されるのがよい。また、最大発光波長近傍における照度測定が可能である場合は、上記照度域で露光することがさらに好ましい。照度が小さい場合には硬化に要する時間が多くなるため、生産性の観点から好ましくない。一方、照度が大きい場合には硬化収縮が起こりやすく、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。
【0066】
電離性放射線とは、物質に電離作用を及ぼすことができる放射線であり、アルファ線や電子線に代表される直接電離性放射線や、X線や中性子線に代表される間接電離性照射線が挙げられる。本発明において用いることのできる電離性放射線は一般に用いられるものであれば特に限定されないが、人体への影響を鑑みた場合、好ましくは電子線がよい。電子線照射装置としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いた装置を使用するとよい。電子線の照射量は用いる材料、硬化型保護層の厚みに応じて適宜決定するとよいが、通常100〜1000keV、好ましくは100〜3000keVのエネルギーを持つ電子を0.1〜30Mrad程度照射すると好ましい。照射量が0.1Mrad未満の場合、電子線が硬化型保護層内部まで到達することができず、層深部の硬化不良が生じる恐れがあり好ましくない。又、照射量が30Mradを超えると、電子線が前述の電荷輸送層や電荷発生層に到達し、各層の構成材料に影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。
【0067】
UV照射時または電離性放射線照射時には光源からの生じる熱線などの影響により、感光体硬化型保護層の温度が上昇する。感光体表面温度が上昇しすぎると、硬化型保護層の硬化収縮が起こりやすいこと、隣接層中に含まれる低分子成分が硬化型保護層に移行するために、硬化阻害などが生じたり、電子写真感光体としての電気特性が低下するなど好ましくない。そのためUV照射時の感光体表面温度は100℃以下、好ましくは80℃以下にするとよい。冷却方法としては感光体内部への助冷剤封入、感光体内部の気体や液体による冷却などを使用することができる。
【0068】
硬化後の硬化型保護層に対して、必要に応じて後加熱をしてもよい。例えば、膜中に残留溶媒が多く残留している場合などは、電気的特性の低下や経時劣化の原因となりうるため、後加熱により残留溶媒を揮発させることが好ましい。
【0069】
硬化型保護層の膜厚としては、感光層の保護の観点から0.5〜15μmが好ましく、より好ましくは2〜10μmがよい。硬化型保護層が薄い場合には感光体への当接部材による機械的摩耗や帯電器などによる近接放電などから感光層を保護できなくなるだけでなく、膜形成時にレベリングされにくくなるために、膜表面がゆず肌状になることがある。一方、硬化型保護層が厚い場合には感光体全層が厚くなり、電荷の拡散による画像の再現性が低下するため好ましくない。ただし、感光層の膜厚よりも硬化型保護層の膜厚が厚くなると、明部電位が上昇する傾向が強くなり好ましくない。本発明においては、電荷輸送層の膜厚をT1(μm)、硬化型保護層の膜厚をT2(μm)としたとき、下式(4)の関係を満たすことにより、それらの影響を抑制できるためより好ましい。
【0070】
【数1】

【0071】
<接着層について>
硬化型保護層/電荷輸送層間での接着性不良による層間剥離を防ぐことを目的として、必要に応じて両層間に接着層を設けてもよい。
接着層としては前記ラジカル重合性化合物を用いてもよいし、非架橋系の高分子化合物を用いてもよい。非架橋系の高分子化合物としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるがこれに限定されない。また、ラジカル重合性化合物と非架橋系高分子化合物はいずれを用いる場合についても単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。さらには、十分な接着性が得られるならばラジカル重合性化合物と非架橋系高分子化合物を併用してもよい。もちろん、本明細書に記載の電荷輸送物質を用いても、併用してもよい。また、接着性を向上することを目的とすれば、適宜添加剤を用いてもよい。
【0072】
接着層は所定の配合に処方された化合物をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒に溶解・分散した塗工液を浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。接着層の膜厚は、0.1〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜3μmが最も適当である。
【0073】
<下引き層について>
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0074】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0075】
<ブロッキング層について>
また、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間にさらにブロッキング層を設けることも可能である。ブロッキング層は、導電性支持体からのホールの注入を抑制するために加えられるもので、主目的は地汚れの抑制にある。ブロッキング層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ポリアミド(可溶性ナイロン)、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。ブロッキング層の形成法としては、前記した方法、さらに公知の塗布法が採用される。なお、ブロッキング層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。ブロッキング層と下引き層の2層構成とすることにより、地汚れ抑制効果は飛躍的に高まるが、残留電位上昇の影響が増加する傾向にある。そのため、ブロッキング層及び下引き層の組成や膜厚を十分考慮して決める必要がある。
【0076】
<添加剤について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、画質の安定性を向上させる目的で、硬化型保護層、感光層、下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
【0077】
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
<フェノール系化合物>
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3、3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
【0078】
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0079】
<ハイドロキノン類>
2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2、6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0080】
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
【0081】
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0082】
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して、好ましくは0.01〜10重量部である。
【0083】
<<画像形成装置の構成について>>
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法、並びに、画像形成装置を詳しく説明する。
図2は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
感光体(10)は図2中の矢印の方向に回転し、感光体(10)の周りには、帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、除電部材(18)等が配置される。クリーニング部材(17)や除電部材(18)が省略されることもある。
【0084】
画像形成装置の動作は基本的に以下のようになる。帯電部材(11)により、感光体(10)表面に対してほぼ均一に帯電が施される。続いて、画像露光部材(12)により、入力信号に対応した画像光書き込みが行われ、静電潜像が形成される。次に、現像部材(13)により、この静電潜像に現像が行われ、感光体表面にトナー像が形成される。形成されたトナー像は、搬送ローラ(14)により転写部位に送られた転写紙(15)に、転写部材により、トナー像が転写される。このトナー像は、図示しない定着装置により転写紙上に定着される。転写紙に転写されなかった一部のトナーは、クリーニング部材(17)によりクリーニングされる。ついで、感光体上に残存する電荷は、除電部材(18)により除電が行われ、次のサイクルに移行する。
【0085】
図2に示すように、感光体(10)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電部材(11)、転写部材(16)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)のほか、ローラ状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
【0086】
一方、画像露光部材(12)、除電部材(18)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。
【0087】
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体(10)に光が照射される。但し、除電工程における感光体(10)への露光は、感光体(10)に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。
したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
【0088】
電子写真感光体(10)に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0089】
上記の画像形成プロセスを繰り返すと、感光体表面に汚染物質が付着する。感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質には、紙粉もその一つであり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。汚染物質(異物)付着は本体の小型化や低コスト化に有効な直接転写方式では特に大きな課題である。これらの付着を防ぎ、かつ機械的耐久性を有する感光体が必要とされる。
【0090】
現像部材(13)により、感光体(10)上に現像されたトナーは、転写紙(15)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(10)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング部材(17)により、感光体(10)から除去される。
【0091】
このクリーニング部材は、クリーニングブレードあるいはクリーニングブラシ等公知のものが用いられる。また、両者が併用されることもある。トナー転写性が悪いと、感光体上の未転写トナーが多く、クリーニング部材の耐久性が悪化する傾向にある。よってトナー転写性向上も必須である。トナー転写性が上がると、廃トナーを減らし、トナーを有効に使用することも可能となる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。
【0092】
前記プロセスカートリッジとは、図3に示すように、感光体(10)を内蔵し、他に帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、及び除電部材を含んだ1つの装置(部品)である。
【実施例】
【0093】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、部及び%は重量基準である。
最初に、電荷発生物質(チタニルフタロシアニン結晶)の合成例について記載する。
【0094】
(合成例1)
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
はじめに、本発明に用いたチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1、3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
【0095】
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図4に示す。
【0096】
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
【0097】
<電子写真感光体作製>
導電性支持体としての直径100mmのアルミニウムシリンダーに、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液、硬化型保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、約3.5μmの下引き層、約0.2umの電荷発生層、約23μmの電荷輸送層、約2μm、約0.5μmの硬化型保護層を形成し、積層感光体を作製した。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行った後、下引き層は130℃、電荷発生層は95℃、電荷輸送層は120℃で各々20分乾燥を行った。
【0098】
硬化型保護層は、硬化型保護層塗工液を前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層感光体上に塗布した後にUVランプ(バルブ種 Hバルブ)(FusionUVシステムズ社製)を用いて、ランプ出力200W/cm、照度:450mW/cm、照射時間:30秒の条件で光照射を行なうことで架橋させた。この後、130℃20分の乾燥を行なうことにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層/硬化型保護層からなる電子写真感光体を得た。
【0099】
(下引き層用塗工液)
・酸化チタン(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業(株)製)
50部
・アルキッド樹脂
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)製)
14部
・メラミン樹脂(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製)
8部
・2−ブタノン: 70部
【0100】
(電荷発生層塗工液)
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及びチタニルフタロシアニン結晶を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
・チタニルフタロシアニン結晶 15部
・ポリビニルブチラール(積水化学製 BX−1) 10部
・2−ブタノン 280部
【0101】
(電荷輸送層塗工液)
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(パンライトTS2050帝人化成株式会社製)
10部
・下記構造の電荷輸送物質 7部
・テトラヒドロフラン 68部
【0102】
【化1】

【0103】
<硬化型保護層塗工液>
導電性フィラー入り(膜厚約2μm)
・アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物 10部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製) 0.5部
・酸化スズ(三菱マテリアル電子化成製 T−1 一次粒子径0.02μm) 2.5部
・テトラヒドロフラン 74部
【0104】
導電性フィラーなし(膜厚約0.5μm)
・アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物 10部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製) 0.5部
・テトラヒドロフラン 59.5部
【0105】
アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物は例示化合物アダマンタン1〜6を用いた。
・アダマンタン−1 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート X-A-101)
・アダマンタン−2 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート A-201)
・アダマンタン−3 (出光興産株式会社製: 特開2000−119220実施例2に記載の方法により合成)
・アダマンタン−4 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート X-F-102)
・アダマンタン−5 (出光興産株式会社製:特許公開番号WO07/020901に記載の方法を用いて合成を行なった。)
・アダマンタン−6 (出光興産株式会社製:商品名アダマンテート X-F-204)
下記構造のラジカル重合性を有しないアダマンタン
・アダマンタン−7 (東京化成工業株式会社製:商品名Adamantane 製品コードA0696)
【0106】
【化2】

【0107】
アダマンタン骨格を有しないラジカル重合性化合物
・トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
・ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
【0108】
アダマンタン骨格を有し、ラジカル重合性でない化合物
・APC・・・(下記構造を有し、粘度平均分子量50000)
【0109】
【化3】

【0110】
硬化型保護層の処方を表2に示す。表1中、アダマンタンはアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の種類を示す。比較例1,2はアダマンタン骨格を有しないラジカル重合性化合物を用い、比較例3、4はラジカル重合性ではないアダマンタン骨格を有する化合物を用いた。アダマンタン2に記載があるものは、2種類を混合したことを示し、アダマンタン比は混合時の混合比を示す。
【0111】
【表2】

【0112】
<実機試験>
上記電子写真感光体を使用し、評価を行った。実機によるランニング試験前後のトナー転写率、膜摩耗量、画像評価を行った。
実機によるランニング試験は、電子写真用プロセスカートリッジに前記電子写真感光体を装着し、リコー製imagio Neo753を用いて、30万枚(実施例7〜10、比較例3,4は5万枚)の実機ランニング試験(A4、NBSリコー製MyPaper)を実施した。その前後で摩耗量測定、転写率測定、画像評価を行った。
【0113】
(転写率測定)
転写率測定は下記式を用いて算出した。
【0114】
【数2】

(転写残トナーとは紙への転写後に感光体上に残留する未転写のトナーである。
M/Aは感光体に付着したトナーの単位面積当たりの重量:mg/cm2を示す。)
【0115】
続いて、測定手順を示す。画像面積2cmのベタ画像が並んだ転写率評価チャートを出力し、感光体上のトナーを転写紙に転写する。転写直後に装置を停止すると、感光体上には転写残トナーが残存している。その転写残トナー量を粘着テープで剥がし、感光体上の転写残トナーM/Aを求める。この際、転写残トナーID(Image Density、画像濃度)とトナー量とのプロットから係数を算出し、転写残トナーIDから転写残トナー量M/Aを算出した。また転写前トナーのM/Aは感光体上の転写前トナー量を測定し、算出した。
【0116】
(摩耗量測定)
ランニング30万枚(5万枚)終了後に感光体を取り出し、ランニング試験前後の感光体の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー製)を用いた。
【0117】
(画質評価)
通紙前、30万枚(5万枚)通紙後に日本画像学会テストチャートNo.3を出力し、画質を評価した。評価は以下の基準で目視にてランク評価を行った。
◎:画像品質にほとんど低下がないレベル。
○:画像品質は若干低下したが、目視観察では問題ないレベル
△:目視観察でも画像品質の低下がわかるレベル
×:画像品質上重大な問題があるレベル
表3,4に、摩耗量測定、転写率測定、画像評価の試験結果を示す。
【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
実施例、比較例の結果から、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の硬化物を含む電子写真感光体は、トナー転写性に優れる。また摩耗量が小さく、機械的耐久性に優れる。比較例1,2はランニング終了後の画像に白抜けが確認され、感光体上に紙粉、トナー由来の付着物が観察された。また、比較例3は摩耗量が著しく大きかった。比較例4はラジカル重合性のアダマンタンを用いた実施例7〜10に比べ、離型性、機械的耐久性が劣る。
これらの結果から、アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の硬化物を含む電子写真感光体はトナー転写性、耐汚染性に優れ、かつ機械的耐久性が高い。
【符号の説明】
【0121】
10 感光体
11 帯電部材
12 画像露光部材
13 現像部材
14 搬送ローラ
15 転写紙
16 転写部材
17 クリーニング部材
18 除電部材
31 導電性支持体
32 電荷発生層
33 硬化型保護層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2002−139859号公報
【特許文献2】特開2001−125286号公報
【特許文献3】特開2001−324857号公報
【特許文献4】特開2003−098708号公報
【特許文献5】特開平5−181299号公報
【特許文献6】特開2002−006526号公報
【特許文献7】特開2002−082465号公報
【特許文献8】特開2000−284514号公報
【特許文献9】特開2000−284515号公報
【特許文献10】特開2001−194813号公報
【特許文献11】特許第3194392号公報
【特許文献12】特開2004−302451号公報
【特許文献13】特開2005−99688号公報
【特許文献14】特開2007−178815号公報
【特許文献15】特開2002−6526号公報
【特許文献16】特開2008−139824号公報
【特許文献17】特開2008−233893号公報
【特許文献18】特開2003−302779号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に感光層、硬化型保護層が順に積層された電子写真感光体において、該硬化型保護層がアダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物の硬化物を含むことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物が、アダマンタン骨格中にフッ素を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記アダマンタン骨格を有するラジカル重合性化合物が1官能もしくは2官能であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが1体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−18240(P2012−18240A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154516(P2010−154516)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】