説明

電子写真機器用現像ロールおよび成形用金型の製造方法ならびに成形用金型

【課題】層形成ブレードへのトナー粒子の融着を抑制して画像不具合の発生を抑制できる電子写真機器用現像ロールおよびこのような現像ロールを製造できる成形用金型ならびに成形用金型の製造方法を提供すること。
【解決手段】型成形されたゴム弾性層14の表面に、型転写により形成された多数の凸部14aが存在し、この凸部14aの径が1〜10μmの範囲内にあり、ゴム弾性層14の表面における凸部14aの面積割合が30〜78.5%の範囲内にあり、凸部14aと凸部14aとの間の部分における被覆層16の厚みが8μm以下、かつ、凸部14aの径の大きさ以下である現像ロール10とする。現像ロール10は、円筒状の成形用金型基材の内周面に樹脂粒子を含有する無電解めっき層を形成した後、無電解めっき層内の樹脂粒子を溶解除去して無電解めっき層の表面に多数の凹部を形成した成形用金型を用いて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真機器用現像ロールおよび電子写真機器用現像ロールのゴム弾性層を型成形するのに好適な成形用金型の製造方法ならびに成形用金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が知られている。電子写真機器の内部には、通常、感光ドラムが組み込まれており、感光ドラムの周囲には、現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性ロールが配設されている。
【0003】
この種の電子写真機器の現像ロールとしては、種々の構成のものがあり、例えば、軸体と、軸体の外周に形成されたゴム弾性層と、ゴム弾性層の外周に形成された被覆層と、を備えたものが知られている。現像ロールの表面には、高いトナー搬送性を確保して画像の高画質化を図るなどの目的で、凹凸形状が形成されることがある。
【0004】
例えば特許文献1には、ウレタン樹脂などの樹脂粒子を分散させた塗料をゴム弾性層の表面に塗布して、樹脂粒子を分散させた被覆層をゴム弾性層の表面に形成することにより、ロール表面に凹凸形状を形成することが示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ゴム弾性層の成形用金型の型内面を無電解めっきする際に、めっき反応中に発生する水素ガスをめっき表面に吸着しやすくして、その吸着した部分でめっきの析出を阻害することにより、成形用金型の型内面にめっきの欠陥による凹部を形成し、これをゴム弾性層の表面に型転写することで、ロール表面に凹凸形状を形成することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−132732号公報
【特許文献2】特開2006−184608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のように、被覆層に樹脂粒子を分散させた現像ロールでは、塗料中における樹脂粒子の添加量および分散状態の管理を厳正に行わなければロール表面の粗度にばらつきが生じるおそれがあるため、厳正な管理によるコストの増加の問題が生じる。また、樹脂粒子によってロール表面の凸部は硬くなるため、層形成ブレードなどとの接触による凸部の削れや凸部におけるトナー粒子の融着などを原因とした耐久性の低下の問題が生じる。
【0008】
これに対し、特許文献2に記載のように、ゴム弾性層の表面に凹凸形状を型転写した現像ロールでは、被覆層に樹脂粒子を添加することによる塗料の管理の問題や、凸部の削れや凸部におけるトナー粒子の融着の問題は発生しない。
【0009】
しかしながら、めっき反応中に発生する水素ガスを利用して型内面にめっきの欠陥による凹部を形成する方法では、反応まかせであるため、形成される凹部の大きさや分布などを制御できない。この際形成される凹部の大きさは、トナーの平均粒子径よりも大きいものであり、また、凹部は型内面にまばらに形成され、トナーの平均粒子径の大きさに対して凹部と凹部との間の平滑な部分が広いものであった。
【0010】
そして、この凹部に対応する凸部がゴム弾性層の表面に形成された現像ロールでは、層形成ブレードの圧接時における応力を面で受けるため、応力集中によるトナー粒子の融着が層形成ブレードに発生しやすいという問題があった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、層形成ブレードへのトナー粒子の融着を抑制して、画像不具合の発生を抑制できる電子写真機器用現像ロールを提供することにある。また、他の課題としては、このような電子写真機器用現像ロールを製造できる成形用金型の製造方法ならびに成形用金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用現像ロールは、軸体と、前記軸体の外周に型成形されたゴム弾性層と、前記ゴム弾性層の外周に形成された被覆層と、を備えた電子写真機器用現像ロールであって、前記ゴム弾性層の表面には、型転写により形成された多数の凸部が存在し、下記の式(1)〜(4)を満たすことを要旨とするものである。
1≦φ≦10 ・・・(1)
t≦8 ・・・(2)
t≦φ ・・・(3)
30≦Ap≦78.5 ・・・(4)
但し、
φ(μm):ゴム弾性層の表面を観察したときの凸部の径
t(μm):凸部と凸部との間の部分における被覆層の厚み
Ap(%):ゴム弾性層表面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凸部の面積割合
【0013】
また、本発明に係る成形用金型の製造方法は、電子写真機器用現像ロールのゴム弾性層の型成形に用いる成形用金型の製造方法であって、円筒状の成形用金型基材の内周面に、樹脂粒子を含有する無電解めっき層を形成した後、前記無電解めっき層内の樹脂粒子を溶解除去して、前記無電解めっき層の表面に多数の凹部を形成することを要旨とするものである。
【0014】
さらに、本発明に係る成形用金型は、電子写真機器用現像ロールのゴム弾性層の型成形に用いる成形用金型であって、型内面に、下記の式(5)〜(6)を満たす凹部が多数形成されていることを要旨とするものである。
1≦φ≦10 ・・・(5)
30≦Ap≦78.5 ・・・(6)
但し、
φ(μm):型内面を観察したときの凹部の径
Ap(%):型内面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凹部の面積割合
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電子写真機器用現像ロールによれば、ゴム弾性層の表面を観察したときの凸部の径の大きさと凸部が占める面積割合とをそれぞれ特定の範囲に設定し、かつ、ゴム弾性層の外周に形成される被覆層の厚みを特定の範囲に設定していることから、トナーの平均粒子径と同等以下の大きさの径の凸部が、トナーの平均粒子径と同等以下の間隔でロール表面に密に存在している。そのため、トナー粒子とロール表面との接触面積が低減され、層形成ブレードの圧接時における応力を点で受けることができるため、応力分散によりトナー粒子への負荷が軽減して、層形成ブレードへのトナー粒子の融着を抑制することができる。これにより、画像不具合の発生を抑制できる。
【0016】
そして、本発明に係る成形用金型の製造方法によれば、円筒状の成形用金型基材の内周面に、樹脂粒子を含有する無電解めっき層を形成した後、無電解めっき層内の樹脂粒子を溶解除去して、無電解めっき層の表面に多数の凹部を形成することから、無電解めっき層に添加する樹脂粒子の大きさや添加量を制御することで、凹部の径の大きさや分布を制御できる。そして、これにより得られた成形用金型を用いることで、トナーの平均粒子径と同等以下の大きさの径の凸部が、トナーの平均粒子径と同等以下の間隔でロール表面に密に存在するゴム弾性層を型成形できるため、層形成ブレードへのトナー粒子の融着を抑制できる電子写真機器用現像ロールを製造できる。
【0017】
さらに、本発明に係る成形用金型によれば、型内面を観察したときの凹部の径の大きさと凹部が占める面積割合とをそれぞれ特定の範囲に設定した凹部が型内面に多数形成されていることから、トナーの平均粒子径と同等以下の大きさの径の凸部が、トナーの平均粒子径と同等以下の間隔でロール表面に密に存在するゴム弾性層を型成形できるため、層形成ブレードへのトナー粒子の融着を抑制できる電子写真機器用現像ロールを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の電子写真機器用現像ロールの周方向断面図である。
【図2】本発明の電子写真機器用現像ロールのロール表面の拡大断面図である。
【図3】ゴム弾性層表面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの状態を表す模式図である。
【図4】本発明の成型用金型の周方向断面図(a)および周方向断面の型内面の拡大図(b)である。
【図5】本発明の成型用金型の製造方法の説明図である。
【図6】層形成ブレードの圧接時におけるトナー粒子とロール表面との接触状態の説明図であり、図6(a)は本発明のロール表面であり、図6(b)は従来のロール表面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の電子写真機器用現像ロール(以下、現像ロールということがある。)について、図を参照しつつ、詳細に説明する。電子写真機器用現像ロールは、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器に組み込まれる現像ロールであり、電子写真機器の内部に組み込まれる感光ドラムの周囲に配設されるものである。
【0020】
図1は、一実施形態に係る現像ロール10を表す周方向断面図である。図1に示すように、現像ロール10は、軸体12と、軸体12の外周に形成されたゴム弾性層14と、ゴム弾性層14の外周に形成された被覆層16とを備えている。ゴム弾性層14は、円筒形の成形用金型を用いて型成形されたものであり、このゴム弾性層14の表面には、図2に示すように、型転写により形成された多数の凸部14aが存在している。
【0021】
ゴム弾性層14の表面は、これらの多数の凸部14aにより特徴づけられている。ゴム弾性層14の表面を観察したときの凸部14aの径(φ)は、1〜10μmの範囲内にあり、ゴム弾性層14の表面を観察したときの凸部14aの面積割合は、30〜78.5%の範囲内にある。そして、ゴム弾性層14の表面を覆っている被覆層16の厚み(t)は、ゴム弾性層14の凸部14aと凸部14aとの間の部分において、8μm以下であり、かつ、凸部14aの径以下である。ゴム弾性層14の凸部14aの径(φ)や被覆層16の厚み(t)は、現像ロール10の周方向断面を観察できるレーザー顕微鏡(例えば、(株)キーエンス製、VK−9510)やマイクロスコープ(例えば、Nakaden製、Mx−1200E)などを用いて測定することができる。
【0022】
これらの関係を式に表すと、以下の式(1)〜(4)の通りである。現像ロール10は、以下の式(1)〜(4)を満たすものである。
【0023】
1≦φ≦10 ・・・(1)
t≦8 ・・・(2)
t≦φ ・・・(3)
30≦Ap≦78.5 ・・・(4)
【0024】
ここで、Apは、ゴム弾性層14の表面を観察したときの凸部14aの面積割合であり、ゴム弾性層14の表面における凸部14aの面積割合を表すものである。具体的には、ゴム弾性層14の表面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凸部14aの面積割合である。撮影画像は、ゴム弾性層14の表面の0.4×0.4mm以上のエリアを、少なくとも1000×1000dpi以上の解像度にて撮影したものを用いる。このとき、画像上で、1ドットの大きさが、凸部14aの径の1/15以下になるように設定する。
【0025】
上記Apを算出するには、具体的には、ゴム弾性層14の表面をレンズで拡大し、0.5×0.4mmの領域を1280×1024dpiの解像度で取り込み、これを評価対象とする。次いで、画像を二値化しやすいように、得られた画像をモノクロ変換し、画像上の照度むらを平滑化するために、平滑フィルタでノイズ除去してから、判別分析法を用いて二値化する。図3には、二値化した画像の模式図を示す。
【0026】
次いで、凸部14aの面積を計算するため、また、ノイズ除去しやすくするために、二値化した画像を白黒反転処理し、凸部14aである白色部分の内部に発生しているノイズを穴埋め除去した後、白色部分の面積を計測する。面積の計測は、一般的に用いられる画像処理ソフトを用いて行なうことができる。
【0027】
このような一連の画像処理には、一般的な顕微鏡を用いることができるが、特に、Nakaden製のマイクロスコープMx−1200Eなどを用いることが好ましい。一般的な顕微鏡では、例えば、ゴム弾性層14の表面の凸部14aの存在しない部分に焦点を合わせる作業を行なうが、マイクロスコープMx−1200Eでは、三次元深度合成画像を簡便に撮影できるので、凹凸のあるゴム弾性層14の表面を、よりクリアに観察することができる。二値化処理は、例えば、ナノシステム株式会社製NanoHunter NS2K−Pro/Ltなどを用いて行なうことができる。
【0028】
トナー粒子の平均粒子径は、通常、5〜12μmの範囲内であるため、凸部14aの径の大きさ(φ)は、トナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさである。また、凸部14aの面積割合が特定範囲内であるため、凸部14aと凸部14aとの間の平坦部の広さがトナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさである。
【0029】
ゴム弾性層14の表面を観察したときの凸部14aの径(φ)としては、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。また、ゴム弾性層14の表面を観察したときの凸部14aの面積割合(Ap)としては、より好ましくは30〜60%の範囲内である。さらに、ゴム弾性層14の凸部14aと凸部14aとの間の部分における被覆層16の厚み(t)としては、より好ましくは4〜8μmの範囲内である。
【0030】
このようなゴム弾性層14の特徴的な表面構造は、本発明に係る成形用金型を用いて、型転写により形成することができる。
【0031】
図4は、本発明の成形用金型の一実施形態を示したものである。図4(a)はその周方向断面図で、図4(b)は、図4(a)のAの部分を拡大して表した周方向断面の型内面の拡大図である。図4(a)に示すように、成形用金型20は、円筒形の成形用金型基材22の内周面に無電解めっき層24が形成されたものからなる。そして、図4(b)に示すように、無電解めっき層24の表面には、多数の凹部24aが形成されている。成形用金型20の型内面は、これらの多数の凹部24aにより特徴づけられている。
【0032】
図4(b)に示すように、成形用金型20の型内面を観察したときの凹部24aの径(φ)は、1〜10μmの範囲内にあり、成形用金型20の型内面を観察したときの凹部24aの面積割合は、30〜78.5%の範囲内にある。成形用金型20の型内面の凹部24aの径(φ)は、成形用金型20の型内面をレーザー顕微鏡(例えば、(株)キーエンス製、VK−9510)やマイクロスコープ(例えば、Nakaden製、Mx−1200E)などを用いて観察することにより測定できる。これらの関係を式に表すと、以下の式(5)〜(6)の通りである。成形用金型20は、以下の式(5)〜(6)を満たすものである。
【0033】
1≦φ≦10 ・・・(5)
30≦Ap≦78.5 ・・・(6)
【0034】
ここで、Apは、成形用金型20の型内面を観察したときの凹部24aの面積割合であり、成形用金型20の型内面における凹部24aの面積割合を表すものである。具体的には、成形用金型20の型内面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凹部24aの面積割合である。撮影画像は、成形用金型20の型内面の0.4×0.4mm以上のエリアを、少なくとも1000×1000dpi以上の解像度にて撮影したものを用いる。Apを算出する方法は、上記Apを算出する方法に準じて行えば良い。
【0035】
トナー粒子の平均粒子径は、通常、5〜12μmの範囲内であるため、凹部24aの径の大きさ(φ)は、トナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさである。また、凹部24aの面積割合が特定範囲内であるため、凹部24aと凹部24aとの間の平坦部の広さはトナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさである。
【0036】
この成形用金型20を用いてゴム弾性層を型成形すると、型内面の凹部24aに対応する凸部がゴム弾性層の表面に形成(型転写)されるため、凸部の径が1〜10μmの範囲内にあり、ゴム弾性層の表面における凸部の面積割合が30〜78.5%の範囲内にあるゴム弾性層を得ることができる。したがって、この成形用金型20によれば、トナーの平均粒子径と同等以下の大きさの径の凸部が、トナーの平均粒子径と同等以下の間隔でロール表面に密に存在するゴム弾性層を型成形できる。
【0037】
成形用金型20の型内面を観察したときの凹部24aの径(φ)としては、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。また、成形用金型20の型内面を観察したときの凹部24aの面積割合(Ap)としては、より好ましくは30〜60%の範囲内である。
【0038】
このような成形用金型20の型内面の特徴的な表面構造は、本発明に係る成形用金型の製造方法によって形成することができる。次に、本発明に係る成形用金型の製造方法を図5を用いて説明する。
【0039】
本発明に係る成形用金型の製造方法(以下、本製造方法ということがある)は、円筒状の成形用金型基材22の内周面に無電解めっき層24を形成する工程と、形成された無電解めっき層24の表面に多数の凹部24aを形成する工程とを有する。
【0040】
無電解めっき層24を形成する工程では、樹脂粒子26を含有するめっき液の調製を行った後、このめっき液を用いて無電解めっきを行う。無電解めっきの際には、樹脂粒子26はめっき金属と共析する。これにより、図5(a)に示すように、成形用金型基材22の内周面に、樹脂粒子26を含有する無電解めっき層24を形成する。
【0041】
樹脂粒子26には、溶媒に可溶な樹脂粒子を用いる。このような樹脂粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、ウレタン粒子、ナイロン粒子、シリコーン粒子、セルロース粒子などを挙げることができる。樹脂粒子26としては、単独種類のものを用いても良いし、複数種類のものを併用しても良い。このうち、めっき液への分散性に優れ、無電解めっき層24の表面により均一な凹凸表面を形成できるなどの観点から、アクリル粒子、スチレン粒子が好ましい。
【0042】
樹脂粒子26の平均粒子径は、型転写の際にトナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさの凸部14aをゴム弾性層14の表面に形成できるなどの観点から、15μm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜12μmの範囲内、さらに好ましくは3〜10μmの範囲内である。樹脂粒子26としては、平均粒子径の異なるものを併用しても良い。
【0043】
樹脂粒子26のめっき液への配合量としては、型転写の際にトナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさの平坦部(凸部14aと凸部14aとの間の部分)をゴム弾性層14の表面に形成できるなどの観点から、樹脂粒子26の平均粒子径が1〜10μmの範囲内である場合において、0.1〜100g/Lの範囲内であることが好ましい。より好ましくは3〜20g/Lの範囲内である。
【0044】
めっき液には、金属イオン、還元剤、錯化剤、pH緩衝剤、上記樹脂粒子26などが含まれる。金属イオンは、めっき金属のイオンである。めっき金属としては、ニッケル、コバルト、銅、金、銀などを挙げることができる。このうち、耐食性やコスト面などからニッケルが好ましい。還元剤としては、次亜リン酸、ジメチルアミンボラン、ヒドラジンなどを挙げることができる。錯化剤としては、クエン酸、リンゴ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などを挙げることができる。pH緩衝剤としては、乳酸、酢酸、コハク酸などを挙げることができる。
【0045】
めっき液には、さらに、界面活性剤を配合することもできる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。このうち、樹脂粒子26の分散度を高めることができるなどの観点から、カチオン性界面活性剤を配合することが好ましい。また、このように樹脂粒子26を正電荷に帯電させてからめっき液中に添加することで、樹脂粒子26の無電解めっき層24への共析量を上げることができる。
【0046】
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、エチレンオキサイド付加型アンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩型のものなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。また、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、アミドプロピルベタイン、ジメチルアルキルベタイン等のベタイン型のものなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。カチオン性界面活性剤の配合量あるいは両性界面活性剤の配合量は、0.01〜10g/Lの範囲内であることが好ましい。
【0047】
樹脂粒子26には、めっき液に対する濡れ性を高めるなどの目的で、めっき液に添加する前に、塩酸や硫酸などの酸によるエッチング処理などを施すこともできる。さらに、樹脂粒子26を添加しためっき液を超音波処理して、樹脂粒子26の分散度をさらに高めることもできる。
【0048】
形成された無電解めっき層24の表面に多数の凹部24aを形成する工程では、樹脂粒子26が可溶な溶媒を用いて、無電解めっき層24内の樹脂粒子26を溶解除去することを行う。より具体的には、例えば、樹脂粒子26が可溶な溶媒中に、無電解めっき層24を形成した成形用金型基材22を浸漬するなどにより行う。この溶媒で樹脂粒子26を溶解除去することにより、樹脂粒子26が存在していた部分に凹部24aが形成される。これにより、図5(b)に示すように、無電解めっき層24の表面に多数の凹部24aが形成される。なお、樹脂粒子26が可溶な溶媒としては、アセトン、MEK、トルエン、THF、DMF、NMPなどを挙げることができる。溶媒は、樹脂粒子26の種類に応じて適宜選択して用いれば良い。また、2種以上の溶媒を混合して用いても良い。
【0049】
このような本発明に係る成形用金型の製造方法によれば、無電解めっき層24に添加する樹脂粒子26の大きさや添加量を制御することで、凹部24aの径の大きさや分布を制御できる。トナー粒子の平均粒子径は、通常、5〜12μmの範囲内である。したがって、このトナーの平均粒子径と同等以下の大きさの樹脂粒子26を、凹部24aと凹部24aとの間の平坦部の広さがトナー粒子の平均粒子径と同等以下の大きさとなる配合量で、めっき液に配合することで、トナーの平均粒子径と同等以下の大きさの径の凹部24aをトナーの平均粒子径と同等以下の間隔で成形用金型20の型内面に形成できる。そして、このような製造方法によれば、型内面に特徴的な表面構造を有する本発明の成形用金型20を製造できる。
【0050】
次に、本発明の現像ロール10の製造方法について説明する。
【0051】
まず、軸体12の外周にゴム弾性層14を形成する。より具体的には、本発明の成形用金型20の中空部に軸体12をセットし、成形用金型20と軸体12との間の空隙部にゴム材料を注型して加熱架橋させた後、成形用金型20から脱型することにより、軸体12の外周にゴム弾性層14を形成する。本発明の成形用金型20の型内面には、特定の径の凹部24aが特定の面積割合で存在しており、ゴム弾性層14の外周面には、この凹部24aに対応する凸部14aが転写形成される。したがって、ゴム弾性層14の表面には、特定の径の凸部14aが特定の面積割合で形成される。
【0052】
次に、ゴム弾性層14の外周に被覆層16を形成する。より具体的には、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法などにより被覆層16の形成材料を塗布した後、これを乾燥し、必要に応じて加熱架橋処理することにより、ゴム弾性層14の外周に被覆層16を形成する。この際、ゴム弾性層14の特徴的な表面構造を損なわないように、特定の厚み範囲となるように、被覆層16の形成材料を塗布する。以上により、現像ロール10が得られる。
【0053】
ここで、従来の、成形用金型の型転写によりゴム弾性層の表面に凹凸形状を形成する方法としては、特許文献2に記載の方法がある。この方法の場合、成形用金型基材の内周面に、意図的に不良の無電解めっきを行うことによって、無電解めっき層の表面にめっきの欠陥による凹部を形成している。そして、成形用金型によるゴム弾性層の型成形の際に、このめっきの欠陥による凹部に対応する凸部を型転写することにより、ゴム弾性層の表面に凹凸形状を形成している。
【0054】
しかしながら、従来の方法においては、めっき反応中に発生する水素ガスを利用して型内面にめっきの欠陥による凹部を形成しており、反応まかせであるため、形成される凹部の大きさや分布などを制御できない。そして、この際形成される凹部の大きさは、トナーの平均粒子径よりも大きいものであり、また、凹部は型内面にまばらに形成され、トナーの平均粒子径の大きさに対して凹部と凹部との間の平滑な部分が広いものであった。
【0055】
そのため、図6(b)に示すように、従来の方法で製造された現像ロールでは、凸部の径がトナー粒子30の平均粒子径よりも大きく、また、凸部と凸部との間の間隔もトナー粒子30の平均粒子径よりも広いものであった。このため、トナー粒子30は層形成ブレード32の圧接時における応力を面で受けるため、応力集中によるトナー粒子30の融着が層形成ブレード32に発生しやすいという問題があった。また、従来の現像ロールのロール表面40aとトナー粒子30とは面で接することから、接触回数が少ないため、トナー粒子30の荷電・帯電性を向上しにくい。
【0056】
これに対し、本発明の方法では、従来よりも径の小さい凸部14aが、従来よりも緻密な状態で、ゴム弾性層14の表面に形成できる。そして、本発明の現像ロール10では、トナー粒子30の平均粒子径と同等以下の大きさの径の凸部14aが、トナー粒子30の平均粒子径と同等以下の間隔でロール表面10aに密に存在していることから、図6(a)に示すように、トナー粒子30とロール表面10aとの接触面積が低減され、層形成ブレード32の圧接時における応力を点で受けることができるため、応力分散によりトナー粒子30への負荷が軽減して、層形成ブレード32へのトナー粒子30の融着を抑制することができる。これにより、画像不具合の発生を抑制できる。また、現像ロール10のロール表面10aとトナー粒子30とは点で接することから、接触回数の増大により、トナー粒子30の荷電・帯電性を向上できる。
【0057】
次に、本発明の現像ロールを構成する軸体12、ゴム弾性層14、被覆層16の材料等について説明する。また、本発明の成形用金型20の材料等について説明する。
【0058】
軸体12としては、導電性シャフトを挙げることができる。導電性シャフトとしては、金属製の中実体、金属製の円筒体、あるいは、これらにめっきが施されたものなどを挙げることができる。金属の種類としては、アルミニウム、ステンレスなどを挙げることができる。軸体12の外周面には、ゴム弾性層14との間の接着性を向上させるなどの目的で、接着剤やプライマなどを塗布しても良い。接着剤やプライマなどには、必要に応じて、導電化を行うことができる。
【0059】
ゴム弾性層14のゴム材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴムなどを例示することができる。このうち、層形成ブレードや感光体などの相手部材の押圧による弾性変形の回復に優れる(耐ヘタリ性が良好である)などの観点から、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましい。また、シリコーンゴムは、温度変化や湿度変化などの環境変化に対して体積変化しにくく、環境変化によるロールの外径変動が小さい利点も有するため、特に好ましい。
【0060】
ゴム弾性層14には、必要に応じて、導電剤、充填剤、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイル、助剤、界面活性剤などの各種添加剤が適宜添加されていても良い。導電剤としては、カーボンブラックなどの電子導電剤や第4級アンモニウム塩などのイオン導電剤など、一般的な導電剤を挙げることができる。
【0061】
ゴム弾性層14は、発泡体であっても良いし、中実体であっても良い。ゴム弾性層14の厚みは、0.1〜10mmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、1〜5mmの範囲内である。
【0062】
被覆層16の主材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂(PVB)、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物、シリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリルポリマー、アクリルグラフトシリコーンポリマー、ニトリルゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併せて用いても良い。なかでも、耐摩耗性の点で、ウレタン樹脂が好ましい。被覆層16の材料には、主材料の他に、導電剤、可塑剤、レベリング剤などを含んでいても良い。
【0063】
また、本発明の現像ロール10においては、被覆層16の外周にさらに表面保護層を備えていても良い。表面保護層の厚みとしては、ゴム弾性層14の特徴的な表面構造を損なわない厚み範囲(例えば1〜5μm)であることが好ましい。
【0064】
成形用金型基材の材料としては、特に限定されるものではなく、S55C等の炭素鋼材、SACM645等のアルミニウムクロムモリブデン鋼材、A5056等のアルミニウム合金、アルミニウム等を挙げることができる。
【実施例】
【0065】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
<めっき液の調製>
平均粒径10μmのアクリル粒子(根上工業製、アートパールGR600)12g/Lをカチオン性界面活性剤(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)0.1g/Lにより水中に分散させて、樹脂粒子分散液を調製した。次いで、硫酸ニッケル六水和物20g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤)25g/L、乳酸(錯化剤)27g/L、プロピオン酸(錯化剤)2.5g/Lよりなる基本めっき液中に、樹脂粒子分散液を添加して、pH4.8のめっき液を調製した。
【0067】
<成形用金型の作製>
内径12mmの円筒形金型基材の型内面に、上記めっき液を用いて、めっき液温度90℃、めっき時間60分の条件で、無電解めっきを行った(めっき厚み15μm)。その後、めっき膜に取り込まれたアクリル粒子をアセトンにて溶解除去することにより、型内面に多数の凹部を有する成形用金型を得た。
【0068】
<ゴム弾性層組成物の調製>
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「X34−270A/B」)をスタティックミキサにて混合し、ゴム弾性層組成物を調製した。
【0069】
<被覆層組成物の調製>
ウレタン樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製)100重量部に対して、カーボンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)10重量部をボールミルを用いて混練した後、MEK400重量部を加えて混合・攪拌することにより、被覆層組成物を調製した。
【0070】
<現像ロールの作製>
上記成形用金型に導電性シャフト(φ6mm、長さ270mm)を同軸にセットし、金型内に上記ゴム弾性層組成物を注入し、190℃で30分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、導電性シャフトの外周に厚さ3mmのゴム弾性層を形成した。このゴム弾性層の外周面には、上記成形用金型の型内面に形成された多数の凹部に対応する多数の凸部が型転写により形成されている。次いで、このゴム弾性層の外周面に、ロールコート法により、上記被覆層組成物をコーティングした後、170℃で60分熱処理して、厚さ6μmの被覆層を形成した。以上のようにして、実施例1に係る現像ロールを作製した。
【0071】
(実施例2〜7)
めっき液に添加するアクリル粒子の平均粒子径および配合量、被覆層の厚みを表1に記載の値にし、実施例1と同様にすることにより、実施例2〜7に係る現像ロールを作製した。
【0072】
(比較例1〜4)
めっき液に添加するアクリル粒子の平均粒子径および配合量、被覆層の厚みを表1に記載の値にし、実施例1と同様にすることにより、比較例1〜4に係る現像ロールを作製した。
【0073】
(比較例5)
<めっき浴の調製>
硫酸ニッケル六水和物を20g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤)を25g/L、乳酸(錯化剤)を27g/L、プロピオン酸(錯化剤)を2.5g/L、PTFE製分散粒子(平均粒径0.2μm)を5g/L、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン性界面活性剤)を0.1g/L配合して、pH4.8のめっき浴を調製した。
【0074】
<成形用金型の作製>
上記めっき浴に、内径12mmの円筒形金型基材を浸漬することにより、金型基材の内周面に、不良の無電解複合めっきを行い、多数のピットが均一に分布形成された無電解複合めっき層の表面を型面とする比較例5に係る成形用金型を得た。このとき、めっき浴の温度を90℃、めっき時間を120分間とし、無電解複合めっき層を厚み22μmに形成した。
【0075】
比較例5に係る成形用金型を用いた点以外、実施例1と同様にして、比較例5に係る現像ロールを作製した。
【0076】
なお、表1に記載の各アクリル粒子には、根上工業製のものを用いた。具体的には、アートパールGR600(平均粒径10μm)、アートパールGR800(平均粒径6μm)、アートパールJ4PY(平均粒径2μm)、アートパールGR400(平均粒径14μm)を用いた。
【0077】
各現像ロールについて、ゴム弾性層の表面を観察したときの凸部の径(φ)と、凸部と凸部との間の部分における被覆層の厚み(t)と、ゴム弾性層表面における凸部の面積割合(Ap)と、をそれぞれ測定した。また、各現像ロールについて、層形成ブレードへのトナー粒子の固着性について評価を行った。測定方法および評価方法は以下に示す。また、測定結果およ評価結果を表1に示す。
【0078】
(凸部の径(φ)の測定方法)
被覆層を形成する前のゴム弾性層の外周表面の任意の位置を、Nakaden製「Mx−1200E」で拡大観察することにより、凸部の径(φ)を測定した。
【0079】
(凸部の面積割合(Ap)の測定方法)
被覆層を形成する前のゴム弾性層の外周表面の任意の位置を、Nakaden製Mx−1200Eで拡大し、0.5×0.4mmの領域を1280×1024dpiの解像度で取り込んだ。次いで、得られた画像をモノクロ変換し、画像上の照度むらを平滑化するために平滑フィルタでノイズ除去した。次いで、ナノシステム株式会社製NanoHunter NS2K−Pro/Ltを用いて、判別分析法により二値化処理した。次いで、二値化した画像を白黒反転処理し、画像中で白色となっている凸部内のノイズを除去(白色部分の内部にある黒色部分を穴埋めした)した後、この白色部分の面積を計測した。この白色部分が凸部である。
【0080】
(被覆層の厚みの測定方法)
各現像ロールのロール中央部の3箇所について各3点の膜厚を測定し、合計9点の膜厚の平均値を被覆層の厚みとした。より具体的には、ロール中央部で周方向に切断した断面を、Nakaden製「Mx−1200E」で1000倍に拡大して観察し、測定した。
【0081】
(トナー固着性)
各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター((株)リコー社製、「IPSIO SP C310」)に組み込み、28℃×80%RHの環境下にて、マゼンタで画像出しを通紙5000枚(A4サイズ)行い、耐久後の層形成ブレードへのトナー粒子の固着具合を判定した。固着箇所が1箇所以下の場合を(○)固着箇所が2〜4箇所の場合を(△)、固着箇所が5箇所以上の場合を(×)とした。
【0082】
【表1】

【0083】
比較例1および4では、Apの値が特定範囲よりも小さいため、トナー粒子の平均粒子径の大きさよりもゴム弾性層の平坦部が広くなっている。そのため、層形成ブレードへのトナーの固着が多かった。比較例2では、凸部の径が特定範囲よりも大きいため、トナー粒子の平均粒子径の大きさよりもゴム弾性層の凸部の径が大きくなっている。そのため、層形成ブレードへのトナーの固着が多かった。比較例3では、被覆層の厚みが特定範囲よりも厚いため、ゴム弾性層の凸部が埋まりすぎて、トナー粒子の平均粒子径の大きさよりもロール表面の平坦部が広くなっている。そのため、層形成ブレードへのトナーの固着が多かった。
【0084】
比較例5では、めっき反応中に発生する水素ガスを利用して型内面にめっきの欠陥による凹部を形成した成形用金型を用いてゴム弾性層を成形しているため、ゴム弾性層の凸部の径はトナーの平均粒子径よりも大きくなっている。また、Apの値は特定範囲よりも小さく、トナー粒子の平均粒子径の大きさよりもゴム弾性層の平坦部が広くなっている。そのため、層形成ブレードへのトナーの固着が多かった。
【0085】
これに対し、実施例では、層形成ブレードへのトナーの固着が少なく、トナー固着性が改善されていることが確認できた。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 電子写真機器用現像ロール
12 軸
14 ゴム弾性層
14a 凸部
16 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、前記軸体の外周に型成形されたゴム弾性層と、前記ゴム弾性層の外周に形成された被覆層と、を備えた電子写真機器用現像ロールであって、
前記ゴム弾性層の表面には、型転写により形成された多数の凸部が存在し、
下記の式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする電子写真機器用現像ロール。
1≦φ≦10 ・・・(1)
t≦8 ・・・(2)
t≦φ ・・・(3)
30≦Ap≦78.5 ・・・(4)
但し、
φ(μm):ゴム弾性層の表面を観察したときの凸部の径
t(μm):凸部と凸部との間の部分における被覆層の厚み
Ap(%):ゴム弾性層表面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凸部の面積割合
【請求項2】
電子写真機器用現像ロールのゴム弾性層の型成形に用いる成形用金型の製造方法であって、
円筒状の成形用金型基材の内周面に、樹脂粒子を含有する無電解めっき層を形成した後、前記無電解めっき層内の樹脂粒子を溶解除去して、前記無電解めっき層の表面に多数の凹部を形成することを特徴とする成形用金型の製造方法。
【請求項3】
電子写真機器用現像ロールのゴム弾性層の型成形に用いる成形用金型であって、
型内面に、下記の式(5)〜(6)を満たす凹部が多数形成されていることを特徴とする成形用金型。
1≦φ≦10 ・・・(5)
30≦Ap≦78.5 ・・・(6)
但し、
φ(μm):型内面を観察したときの凹部の径
Ap(%):型内面の撮影画像を判別分析法を用いて二値化したときの凹部の面積割合

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175005(P2011−175005A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37453(P2010−37453)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】