説明

電子写真現像剤用キャリア芯材とその製造方法、電子写真現像剤用キャリア並びに電子写真現像剤

【課題】 環境規制に対応出来、キャリア付着、キャリア飛散という画質異常を低減し、かつソフトな磁気ブラシを形成でき、高画質を達成できるキャリア芯材を提供する。
【解決手段】 組成式MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記されるマグネシウムフェライトを含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、当該マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数が{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下であり、当該電子写真現像剤用キャリア芯材の外部磁場1000Oe下における磁化率σ1000が30emu/g以上であり、100Vの電圧を印加した際の抵抗値が1.0×10Ω以上である電子写真現像剤用キャリア芯材を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分系電子写真用現像剤において、トナーと混合されて使用される電子写真用現像剤用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いた複写機、プリンター等の装置が広く普及するに従い、その用途も多岐にわたっている。そして、市場において、当該電子写真に関しては高画質化、電子写真用現像剤に関しては長寿命化の要求が高まっている。
【0003】
従来から、二成分系電子写真用現像剤において、使用されているトナーの粒子を小粒径化することにより、電子写真の高画質化が可能であると考えられていた。しかしながら、トナー粒子の小粒径化に伴い、当該トナー粒子の帯電能力が低下することとなる。このトナー粒子の帯電能力の低下に対処する為、二成分系電子写真用現像剤において当該トナーと混合されて用いられているキャリア粒子(以下、「キャリア」と記載する場合がある。)を小粒径化し、比表面積を大きくする対策がとられた。しかし、当該小粒径化されたキャリアは、キャリア付着やキャリア飛散といった異常現象を発生し易いという問題があった。
【0004】
キャリア付着、キャリア飛散の抑制手段としては、たとえば、磁場1000Oeにおける磁化率が67emu/g〜88emu/g、および飛散物と本体との磁化率の差が10emu/g以下に規定されたキャリア芯材を用いることにより、磁気ブラシの保持力を向上させる方法が、特許文献1に提案されている。
【0005】
このような高磁化キャリアを用いることで、電子写真現像装置内の磁気ドラム上に形成される磁気ブラシの保持力は向上される。しかし、当該磁気ブラシが硬くなるため、ソフトな磁気ブラシが形成された場合と比べて画質が低下するという問題が生じる。
【0006】
また、複写機の高速化に伴い現像機内での撹拌負荷が増加し、撹拌ストレスによりキャリア表面の樹脂の剥離が発生する。その結果、キャリア芯材が露出することになり、電荷のリークが生じ、このような電荷のリークは画質劣化の原因の一つである。そのため、キャリア芯材が露出した場合の画質劣化を防ぐためにはキャリア芯材の高抵抗値化が必要である。
【0007】
一方、MnがPTRT法の指定物質になったことから、近年では、環境対策の観点からMnの使用を控える傾向にある。例えば、特許文献2は、環境対応型のキャリアとして主組成を鉄、酸素、マグネシウムで構成したキャリア芯材を提案している。また、特許文献3は、Mg系のフェライト材料へ、微量添加物を添加した適切な飽和磁化と高い絶縁破壊電圧の両者を同時に実現できるキャリア芯材を提案している。
【0008】
【特許文献1】特開2002−296846号公報
【特許文献2】特開2001−154416号公報
【特許文献3】特開2005−162597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、本発明者等の検討によると、特許文献2に記載のキャリア芯材は飽和磁化が高
かった。この為、磁気ブラシの穂が硬くなるため、ソフトな磁気ブラシを形成できず、高画質化が達成できないという問題があった。
一方、マグネシウムフェライトは、化学量論組成において絶縁破壊電圧が高いものの、飽和磁化が低いという問題がある。例えば、特許文献3では、Mg系のフェライト材料を用いたキャリア芯材において、Mgに対してFeの比率が多い領域で微量添加物を添加した場合、適切な飽和磁化と高い絶縁破壊電圧の両者を同時に実現できることが記載されている。しかし、本発明者等の検討によると、特許文献3に記載のキャリア芯材は、キャリア付着、キャリア飛散が発生し易いという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題を解決して、環境規制に対応出来、キャリア付着、キャリア飛散という画質異常が低減され、かつソフトな磁気ブラシを形成でき、高画質を達成できるキャリア芯材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、従来の技術に係るMg系のフェライト材料用いたキャリア芯材に対し、当該キャリア芯材粒子粉に対する組成分析を行った。その結果、マグネシウムフェライト材料を用いたキャリア芯材粒子において、キャリア付着、キャリア飛散が発生した原因は、Mg系フェライト中の鉄元素が有する価数のばらつきによる、との知見に想到した。
【0012】
本発明者らは、環境保護の観点から、キャリア芯材の材料として、環境規制物質を含まない一般式:MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表されるマグネシウムフェライトが適していると判断した。そして、上述した、キャリア付着、キャリア飛散の発生原因である、マグネシウムフェライト中の鉄元素が有する価数のばらつきを抑制させることを考えた。
当該マグネシウムフェライト中の鉄元素が有する価数のばらつきを抑制させる為、本発明者らは、まず、キャリア芯材中の鉄元素の価数を、簡便且つ正確に評価する評価方法を開発した。
そして、本発明者らは、当該評価方法を用いて、キャリア芯材中のマグネシウムフェライトが単一相を形成し、化学量論組成に近い領域において、当該マグネシウムフェライトの鉄元素の価数の制御による、当該キャリア芯材の磁化率と抵抗値との制御方法に関して研究を行った。
その結果、本発明者らは、キャリア芯材中の酸素量を鉄元素の価数で評価したとき、当該鉄元素の価数をある範囲内に制御することで、マグネシウムフェライト中の鉄元素が有する価数のばらつきが抑制され、且つ、当該キャリア芯材の磁化率と抵抗値とを制御することが可能であるという画期的な知見を得た。
当該知見に基づき、本発明者らは、鉄元素の価数が所定範囲内に制御されたマグネシウムフェライトの合成条件について鋭意検討を行った。
【0013】
従来、マグネシウムフェライトは大気中で焼成することで得られていた。しかし、大気中で焼成されたマグネシウムフェライトは飽和磁化が20〜25emu/gと低いため、キャリア飛散やキャリア付着という画像劣化の問題を解決できなかった。
また、従来の技術に係るマグネシウムフェライト合成条件では、当該合成されたマグネシウムフェライトに含まれる、鉄元素の価数のばらつきが大きかった。つまり、当該従来技術で合成されたマグネシウムフェライトは、単一相を形成してはいるものの、鉄元素の価数は、理論価数に近い値に制御することが出来ていなかったものであると考えられた。
【0014】
本発明者らは、マグネシウムフェライトに含まれる鉄元素の価数を、理論価数を挟む所定範囲に制御出来る製造方法を見出した。そして当該製造方法により、鉄元素の価数が理論価数を挟む所定範囲内に制御されたキャリア芯材を得て、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、課題を解決するための第1の発明は、
組成式MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記されるマグネシウムフェライトを含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、
当該マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数が{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下であり、
当該電子写真現像剤用キャリア芯材の外部磁場1000Oe下における磁化率σ1000が30emu/g以上であり、
当該電子写真現像剤用キャリア芯材へ100Vの電圧を印加した際の抵抗値が1.0×10Ω以上である、ことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0016】
第2の発明は、
平均粒子径が10μm以上、80μm以下であることを特徴とする第1の発明に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0017】
第3の発明は、
一般式:MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記される組成のソフトフェライトが生成するように成分調整されたFe原料およびMg原料と、1wt%以下の還元剤と、水とを混合してスラリーを得る工程と、
前記スラリーを噴霧乾燥させて造粒物を得る工程と、
前記造粒物を酸素濃度1%以下の雰囲気中で、温度1000℃以上、1400℃以下にて焼成し、磁性相を有する焼成物を得る工程と、
得られた焼成物に解粒処理を行って粉末化し、その後に所定の粒度分布を持たせる工程とを、有することを特徴とする第1または第2の発明のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法である。
【0018】
第4の発明は、
一般式:MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記される組成のソフトフェライトが生成するように成分調整されたFe原料およびMg原料を混合してスラリーを得る工程と、
前記スラリーを噴霧乾燥させて造粒物を得る工程と、
前記造粒物を大気雰囲気下で、温度1000℃以上、1400℃以下にて焼成し、磁性相を有する焼成物を得る工程と、
得られた焼成物に解粒処理を行って粉末化し、その後に所定の粒度分布を持たせる工程と、
さらに、得られた焼成物を、酸素濃度が10-30atm以上、10-0.6atm以下の雰囲気中で、温度400℃以上、1200℃以下で熱処理する価数調整工程とを、有することを特徴とする第1または第2の発明のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法である。
【0019】
第5の発明は、
第1または第2の発明のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材を、樹脂で被覆したものであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリアである。
【0020】
第6の発明は、
第5の発明に記載の電子写真現像剤用キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、規制物質を含有しておらず環境規制に対応できるキャリア芯材であって、当該キャリア芯材から製造したキャリアを、複写機、プリンター等の電子写真現像剤
の成分として使用した際、電子写真現像剤機中の磁気ドラム上にソフトな磁気ブラシを形成すると伴に、キャリア付着等の異常現象が抑制された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について、1.電子写真現像剤用キャリア芯材、2.電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法、3.電子写真現像剤用キャリア、4.電子写真現像剤、5.マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数の導出方法、の順で説明する。
【0023】
1.電子写真現像剤用キャリア芯材
<組成>
本発明に関するキャリア芯材となる物質は、一般式:MgFe3−x(但し0.8≦ x≦1)で表されるマグネシウムフェライトである。Xが0.8以上であることで、マグネシウムフェライトの単一相において、磁化率と抵抗値とを広い範囲で制御できる。
一方、Xが1以下であることで、マグネシウムフェライトが2相に分離しないので好ましい。本発明に係るマグネシウムフェライトは、粉末XRDで分析した結果から、単一相であることを確認している。
本発明に関するキャリア芯材に含まれるマグネシウムフェライト中の鉄元素の価数は{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下の範囲内、さらに好ましくは{(8−2×x)/(3−x)−0.3}以上、3以下の範囲内にある。本発明に関するキャリア芯材において、鉄元素の価数が上記の範囲を満たすことで、後述のとおり磁気特性と絶縁性の両者を高い水準で満たすことを可能とした。マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数の導出方法に関しては、後述する。
【0024】
<磁気特性>
本発明に関するキャリア芯材は、外部磁場1000Oe下における磁化率:σ1000が、30emu/g以上である。キャリア芯材の磁化率が当該範囲を満たすとき、電子写真現像の際、当該キャリア芯材が形成する磁気ブラシの保持力が強くなり、キャリア付着現象が抑制されるからである。
一方、本発明に関するキャリア芯材のσ1000は、80emu/g以下である。キャリア芯材の磁化率が当該範囲を満たすとき、電子写真現像の際、当該キャリア芯材が形成する磁気ブラシの穂がソフトになり、高画質を達成できるからである。
【0025】
<抵抗値>
本発明に係るキャリア芯材へ100Vの電圧を印加した際の抵抗値は、1.0×10Ω以上である。キャリア芯材の抵抗値が1.0×10Ω以上であれば、当該キャリア芯材を樹脂被覆して製造されたキャリアを長期使用し、当該樹脂被覆がはがれた場合であっても、キャリア芯材の抵抗値が高いので、電荷のリーク発生を抑制出来るからである。
一方、本発明に関するキャリア芯材の抵抗値は、6.0×10Ω以下であるので、電子写真現像の際、高抵抗値による画質濃度の低下を起こさない。
尚、印加電圧100Vにおけるキャリア芯材の抵抗値の測定方法は、後述する実施例にて説明する。
【0026】
<粒径>
本発明に関するキャリア芯材は、平均粒径10μm以上、80μm以下であることが好
ましい。キャリア芯材の粒径が10μm以上あれば、キャリア粒子ひとつひとつの磁化が確保されキャリア付着現象が抑制され好ましい。また粒径が80μm以下であれば電子写真現像した際に、所望の画質特性が得られ好ましい。
【0027】
2.電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法
キャリア芯材の製造方法について、キャリア芯材の原料、造粒工程、焼成工程、価数調整工程の順に説明する。
尚、本発明に係るキャリア芯材には、2様の製造方法がある。第1の製造方法は、上述した焼成工程を厳密に制御する一方で、上述した価数調整工程を省くものである。第2の製造方法は、上述した焼成工程を緩やかに制御する一方で、上述した価数調整工程を実施するものである。
どちらの製造方法を選択するかは、装置条件、工程能力等を考慮して判断すれば良い。
【0028】
<キャリア芯材の原料>
本発明に係るキャリア芯材の組成は、金属鉄またはその酸化物と、金属マグネシウムまたはその酸化物であればよい。具体的には、常温常圧下で安定に存在するFe23およびMgOなどが好適に用いられる。
但し、MgOを水と混合してスラリー化した場合、MgOと水とが反応してMg(OH)となり、スラリー粘度が増加するという問題がある。当該問題を回避したい場合は、スラリー化する前に、FeとMgOとを大気中にて300〜1500℃で仮焼してMgFeを合成し、これをスラリー原料として用いても良い。
【0029】
本発明では、鉄元素の価数制御のため、上述したスラリー原料へ、さらに還元剤を添加してもよい。当該還元剤としては、カーボン粉末やポリカルボン酸系有機物、ポリアクリル酸系有機物、マレイン酸、酢酸、ポリビニルアルコール系有機物、及びそれらの混合物が好適に用いられる。例えば、還元剤としてカーボンを用いた場合、カーボンの添加量が1wt%以下であれば良く、より好ましくは0.5wt%以下である。カーボンの添加量が1wt%以下であれば、還元過剰とならず、価数が最適な範囲に入るため好ましい。また、当該還元剤の最適添加量は、製造装置の形式、規模により最適値を求めることが好ましい。当該最適値を求めるには、後述するマグネシウムフェライト中の鉄元素の価数の導出方法を用いて、還元剤添加量とマグネシウムフェライト中の鉄元素の価数との相関関係を求め、決定すれば良い。
これらスラリー原料に水を加え、後工程である造粒工程に好適な粘度となるよう濃度を調整する。
【0030】
<造粒工程>
造粒は、上記スラリーを噴霧乾燥機に導入することによって好適に実施できる。尚、混合攪拌して得られたスラリーに対し、さらに湿式粉砕を施すことも好ましい。
噴霧乾燥時の雰囲気温度は100〜300℃程度とすればよい。これにより、概ね、粒子径が10〜200μmの造粒粉を得ることができる。得られた造粒粉は製品最終粒径を考慮し、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去することにより粒度調整することが望ましい。
【0031】
<厳密に制御された焼成工程>
得られた造粒粉を1000〜1400℃程度に加熱した炉に投入して焼成することにより、目的とするマグネシウムフェライトを生成させる。
ここで、焼成工程で鉄元素の価数を目的の範囲に調整するためには、前述の<キャリア芯材の原料>で示したように、原料にカーボン単体や有機系の還元剤を添加しているが、炉内の酸素濃度が高すぎると、還元剤が有効に作用せず、所望の鉄元素価数を持った芯材を得ることが困難となる。このため焼成炉内の酸素濃度を好ましくは1%以下、より好ましくは0.3%以下となるよう導入ガスの酸素濃度を調整し、焼成を行う必要がある。
【0032】
焼成温度に関しては、先の還元剤の調整によりフェライト化に必要な還元雰囲気に到達できるが、工業化時に十分な生産性を確保できる反応速度を得るため1000℃以上の温度が必要である、また1400℃以上の温度では、粒子同士の過剰焼結が起こり、粉体の
形態で焼成物を得ることが難しくなる。当該観点からは、焼成温度は1000〜1400℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは1100℃〜1300℃である。
当該焼成により、鉄元素の価数が{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下の範囲となるマグネシウムフェライトを生成させることが出来る。
また、焼成時間は1〜24時間の範囲にあることが好ましい。1時間以上であれば焼結に必要な時間を確保でき、24時間以下であれば粒子同士の焼結が進まないので好ましい。
【0033】
得られた焼成物は、この時点で粒度調整することが望ましい。例えば、焼成物をハンマーミル等で粗解粒し、振動篩等にかけることで、焼成後の粒子が十分な強度を発揮する良好な形態とすることが出来る。この後、焼成後の粒子に対し、分級を行うことにより、所望の粒径を持った本発明に係るキャリア芯材粒子を得ることができる。
【0034】
<緩やかに制御された焼成工程>
緩やかに制御された焼成工程においては、上述した厳密に制御された焼成工程と異なり、焼成炉内の酸素濃度は20%以下であれば良い。即ち、大気雰囲気下においても焼成を行うことが出来るものである。
その他の条件である温度条件、時間条件は、上述した厳密に制御された焼成工程と同様に行う。
【0035】
<価数調整工程>
当該価数調整工程は、焼成工程において、緩やかに制御された焼成工程を採用した場合に実施する工程である。
価数調整工程は、焼成工程から得られた粒子を、温度400〜1200℃、酸素濃度10-30atm以上、10-0.6atm以下に制御した炉に投入して30分間〜24時間の所定時間の熱処理を実施し、鉄元素の価数が{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下の範囲となるマグネシウムフェライトを生成させる。
【0036】
得られたマグネシウムフェライトは、この時点で粒度調整することが望ましい。例えば、焼成物をハンマーミル等で粗解粒し、振動篩等にかけることで、焼成後の粒子が十分な強度を発揮する良好な形態とすることが出来る。この後、焼成後の粒子に対し、分級を行うことにより、所望の粒径を持った本発明に係るキャリア芯材粒子を得ることができる。
【0037】
3.電子写真現像剤用キャリア
得られた本発明に係るキャリア芯材をシリコーン系樹脂等で被覆し、帯電性の付与および耐久性の向上させることで電子写真現像剤用キャリアを得ることが出来る。当該シリコーン系樹脂等の被覆方法は、公知の手法により行えば良い。
【0038】
4.電子写真現像剤
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアと適宜なトナーとを混合することで、本発明に係る電子写真現像剤を得ることが出来る。
【0039】
5.マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数の導出方法
当該導出方法は酸化還元滴定の応用であり、(1)Fe2+の定量、(2)総Fe量の定量、(3)Fe平均価数の算出、からなる。
以下に具体的方法を示す。
【0040】
(1)Fe2+の定量
まず、マグネシウムフェライトを炭酸ガスのバブリング中で還元性の酸である塩酸(HCl)水に溶解させる。その後、この溶液中のFe2+イオンの量を過マンガン酸カリウ
ム溶液で電位差滴定することにより定量分析し、(I)滴定量を求めた。
当該分析の際 Al,Si,Mg,Ca,Ba,Sr,Li,Na etcのように、イオン価数を1つしか有しない元素は、この分析法では検出されない。加えて本発明に関するキャリア芯材の構成元素であるMg2+のイオンもこの滴定方法では検出されない。このため、結果としてキャリア芯材中のFe2+の濃度だけが選択的に定量される。
【0041】
(2)総Fe量の定量
マグネシウムフェライトを「(1)Fe2+定量」の際と同量秤量し、塩酸と硝酸の混酸水に溶解させた。この溶液を蒸発乾固させたのち、硫酸水を添加して再溶解し過剰な塩酸と硝酸を揮発させる。この溶液に固体Alを添加して液中のFe3+をFe2+に還元する。
続いてこの溶液を「(1)Fe2+定量」で用いた方法と同一の分析手段により測定し、(II)滴定量を求めた。
【0042】
(3)Fe平均価数の算出
上述した(I)滴定量はFe2+量を表し、((II)滴定量−(I)滴定量)はFe3+量を表すので、以下の計算式によりFeの平均価数を算出した。
Fe平均価数={3×((II)滴定量−(I)滴定量)+2×(I)滴定量}/(II)滴定量
上述した方法以外にも、鉄元素の価数を定量する方法として、異なる酸化還元滴定法が考えられるが、本分析に用いる反応は単純であり、得られた結果の解釈が容易なこと、一般に用いられる試薬および分析装置で十分な精度が出ること、分析者の熟練を要しないことなどから優れていると考えられる。また、固体スペクトル分析法のXPS(ESCA)やメスバウアー分光法でも固体中の鉄元素の価数を定量した事例が報告されているが、これら分析方法は高価な分析機器を必要とし、分光スペクトルとの相対分析であるため、上記湿式化学分析法と比較して分析精度・感度・再現性の面で問題があると考えられる。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明に係る電子写真用キャリア芯材の製造方法について、実施例を参照しながら具体的に説明する。
本発明の実施例を示すにあたり、まず、各物性値の測定方法について記述する。
【0044】
<粒度分布>
キャリア芯材の粒度分布は、マイクロトラック(日機装(株)製、Model:9320−X100)を用いて測定した。得られた粒度分布より、体積率50%までの積算粒径D50を算出した。尚、本発明においてはこのD50の値を芯材の平均粒径として記述した。
【0045】
<磁気特性>
キャリア芯材の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化率の測定を行い、外部磁場1000Oeにおける磁化率σ1000(emu/g)を得た。
【0046】
<抵抗値>
印加電圧100Vにおけるキャリア芯材の抵抗値は以下のようにして測定を行った。
水平に置かれた絶縁板(例えばテフロン(登録商標)でコートされたアクリル板)の上に、電極として表面を電解研磨した板厚2mmの真鍮板2枚を、電極間距離が2mmとなるように配置する。この時、2枚の電極板はその法線方向が水平方向となるようにする。2枚の電極板の間の空隙に被測定粉体200±1mgを装入したのち、それぞれの電極板の背後に断面積240mmの磁石を配置して電極間に被測定粉体のブリッジを形成させ
る。この状態で電極間に100Vの直流電圧を印加し、被測定粉体を流れる電流値を4端子法により測定し、電気抵抗値を算出する。その電気抵抗値と、電極間距離2mmおよび断面積240mmから、被測定粉体の抵抗値を算出する(但し、抵抗値=電気抵抗値×断面積÷電極間距離)。なお、使用する磁石は、粉体がブリッジを形成できる限り種々のものが使用できる。後述する実施例では、表面磁束密度が1000ガウス以上の永久磁石(フェライト磁石)を使用している。
【0047】
(実施例1)
Fe(平均粒径:0.6μm)3.7kg、MgO(平均粒径:0.9μm)1.3kgを純水3kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。原料の混合比は、マグネシウムフェライトの組成式MgFe3−xにおいて、x=0.94となるよう算出したものである。
このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒粉を得た。尚、このとき、粒径が100μmを超えるような造粒粉は、篩により除去した。
この造粒粉を、電気炉に投入し1250℃で3時間焼成し焼成物を得た。このとき電気炉内には、酸素濃度が0.09%となるよう調整した、窒素と大気との混合ガスをフローした。
得られた焼成物を解粒後に篩を用いて分級して平均粒径35μmとし、実施例1に係る電子写真現像剤用キャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0048】
(実施例2)
上記混合物へ、還元剤としてカーボンを0.2wt%添加した以外は、実施例1と同様の処理を行い、実施例2に関するキャリア芯材を得た。
実施例2に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0049】
(実施例3)
上記混合物へ、還元剤としてカーボンを0.5wt%添加した以外は、実施例1と同様の処理を行い、実施例3に関するキャリア芯材を得た。
実施例3に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0050】
(実施例4)
上記混合物へ、 還元剤としてカーボンを1wt%添加した以外は、実施例1と同様上記混合物へ、処理を行い、実施例4に関するキャリア芯材を得た。
実施例4に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0051】
(実施例5)
上記焼成条件を焼成温度1200℃、酸素濃度0.3%とした以外は、実施例1と同様の処理を行い、実施例5に係るキャリア芯材を得た。
実施例5に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0052】
(実施例6)
上記混合物へ、還元剤としてカーボンを0.5wt%添加した以外は、実施例5と同様の処理を行い、実施例6に係るキャリア芯材を得た。
実施例6に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0053】
(実施例7)
上記混合物へ、還元剤としてカーボンを1wt%添加した以外は、実施例5と同様の処
理を行い、実施例7に係るキャリア芯材を得た。
実施例7に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0054】
(実施例8)
Fe(平均粒径:0.6μm)3.7kg、MgO(平均粒径:0.9μm)1.3kgを純水3.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60gを添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、FeとMgOとの混合スラリーを得た。原料の混合比は、マグネシウムフェライトの組成式MgFe3−xにおいて、x=0.94となるよう算出したものである。
このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒粉を得た。尚、このとき、粒径が100μmを超えるような造粒粉は、篩により除去した。
この造粒粉を、電気炉に投入し1250℃で3時間焼成し焼成物を得た。このとき電気炉内には、大気をフローした。
得られた焼成物を粉砕後に篩を用いて分級し、平均粒径35μmとした。
次に、得られた焼成物へ、価数調整工程として、酸素濃度20%、温度600℃で1時間処理を行い実施例8に係るキャリア芯材を得た。
実施例8に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0055】
(実施例9)
上記価数調整工程の処理条件を、酸素濃度20%、温度800℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例9に係るキャリア芯材を得た。
実施例9に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0056】
(実施例10)
上記価数調整工程の処理条件を、酸素濃度20%、温度1150℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例10に係るキャリア芯材を得た。
実施例10に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0057】
(実施例11)
上記価数調整工程の処理条件を、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度1%、温度600℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例11に係るキャリア芯材を得た。
実施例11に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0058】
(実施例12)
上記価数調整工程の処理条件を、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度1%、温度800℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例12に係るキャリア芯材を得た。
実施例12に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0059】
(実施例13)
上記価数調整工程の処理条件を、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度1%、温度1150℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例13に係るキャリア芯材を得た。
実施例13に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0060】
(実施例14)
上記価数調整工程の処理条件を、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素
濃度0.003%、温度600℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例14に係るキャリア芯材を得た。
実施例14に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0061】
(実施例15)
上記価数調整工程の処理条件を、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度0.003%、温度800℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例15に係るキャリア芯材を得た。
実施例15に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0062】
(実施例16)
上記価数調整工程の処理条件を、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度0.003%、温度1150℃で1時間とした以外は、実施例8と同様に処理を行い、実施例16に係るキャリア芯材を得た。
実施例16に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0063】
(比較例1)
上記混合物へ、還元剤としてカーボンを5wt%添加し、焼成条件を、焼成温度1250℃、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度0.09%とした以外は、実施例1と同様に処理を行い、比較例1に係るキャリア芯材を得た。
比較例1に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0064】
(比較例2)
上記混合物へ、還元剤としてカーボンを5wt%添加し、焼成条件を、焼成温度1200℃、窒素と酸素との混合ガスをフローすることにより酸素濃度0.3%とした以外は、実施例1と同様に処理を行い、比較例2に係るキャリア芯材を得た。
比較例2に係るキャリア芯材の特性を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
(実施例1〜16および比較例1、2のまとめ)
表1に、実施例1〜16および比較例1、2に係るキャリア芯材の組成分析結果、磁気特性、電気特性を示す。
組成分析結果には、Fe元素とMg元素との分析値より算出される、一般式:Mg
3−xにおけるxの実測値を記してある。分析結果より算出されたxの実測値は、原料の仕込み段階でのxの値とほぼ同等であることが確認された。
また、表1には、鉄元素の価数の実測した分析値と、前述のxの値から算出される理論的な価数の値、[鉄元素の価数の測定値−鉄元素の価数の理論値]の値(以下、A値と記載する場合がある。)を記載した。
【0067】
実施例1〜16および比較例1、2に係るキャリア芯材における、上記A値と、磁化率σ1000の関係を図1に示す。図1は、縦軸に磁化率σ1000をとり、横軸にA値をとったグラフで、実施例1〜16に関するキャリア芯材の値を○で、比較例1、2に関するキャリア芯材の値を△でプロットしたものである。
図1より、−0.4≦Aを満たすとき、σ1000が30emu/g以上となり、キャリア芯材として好ましい磁気特性を示すことが判明した。
【0068】
次に、実施例1〜16に係るキャリア芯材における、A値と抵抗値との関係を図2に示す。図2は、縦軸に抵抗値の対数値をとり、横軸にA値をとったグラフで、実施例1〜16に関するキャリア芯材の値を○でプロットしたものである。
図2より、−0.4≦Aであるときキャリア芯材の抵抗値は1.0×10以上となり、キャリア芯材として良好な絶縁性を有することが判明した。一方、比較例1、2に関するキャリア芯材は、100Vの電圧を印加した段階でブレークダウン(B.D)状態となり、抵抗値を測定することが出来なかった。
【0069】
実施例1〜16の結果であるA値が−0.4≦Aの範囲を満たすとき、すなわち、鉄元素の価数が{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上であるとき、磁気特性に優れたキャリア芯材を得ることが可能である。
一方、MgFe3−xにおいて、X=1のとき、Mgは2価(+2)、Oは2価(−2)、Feは3価(+3)である。また、X=0.8のとき、Feは2.9価(+2.9)である。従って、0.8≦X≦1においてFeの価数は3以下となる。
以上のことから、実施例1〜16においてマグネシウムフェライト中の鉄元素の価数は{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下である。
【0070】
また、実施例1〜16において、還元剤の添加量、焼成工程での酸素濃度制御または価数調整工程での処理条件を精密に制御することが、マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数を調整して、キャリア芯材の物性を制御する上で重要な点となっている。
【0071】
以上の結果より、一般式:MgFe3−x(但し0.8<x≦1)で表されるキャリア芯材において、鉄元素の価数を調整して最適範囲とすることで磁気特性および絶縁性に優れたキャリア芯材を製造可能であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材における鉄元素の価数(A値)と磁化率との関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材における鉄元素の価数(A値)と抵抗値との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記されるマグネシウムフェライトを含む電子写真現像剤用キャリア芯材であって、
当該マグネシウムフェライト中の鉄元素の価数が{(8−2×x)/(3−x)−0.4}以上、3以下であり、
当該電子写真現像剤用キャリア芯材の外部磁場1000Oe下における磁化率σ1000が30emu/g以上であり、
当該電子写真現像剤用キャリア芯材へ100Vの電圧を印加した際の抵抗値が1.0×10Ω以上である、ことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項2】
平均粒子径が、10μm以上、80μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項3】
一般式:MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記される組成のソフトフェライトが生成するように成分調整されたFe原料およびMg原料と、1wt%以下の還元剤と、水とを混合してスラリーを得る工程と、
前記スラリーを噴霧乾燥させて造粒物を得る工程と、
前記造粒物を酸素濃度1%以下の雰囲気中で、温度1000℃以上、1400℃以下にて焼成し、磁性相を有する焼成物を得る工程と、
得られた焼成物に解粒処理を行って粉末化し、その後に所定の粒度分布を持たせる工程とを、有することを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
【請求項4】
一般式:MgFe3−x(但し、0.8≦x≦1)で表記される組成のソフトフェライトが生成するように成分調整されたFe原料およびMg原料を混合してスラリーを得る工程と、
前記スラリーを噴霧乾燥させて造粒物を得る工程と、
前記造粒物を大気雰囲気下で、温度1000℃以上、1400℃以下にて焼成し、磁性相を有する焼成物を得る工程と、
得られた焼成物に解粒処理を行って粉末化し、その後に所定の粒度分布を持たせる工程と、
さらに、得られた焼成物を、酸素濃度が10-30atm以上、10-0.6atm以下の雰囲気中で、温度400℃以上、1200℃以下で熱処理する価数調整工程とを、有することを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材を、樹脂で被覆したものであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
【請求項6】
請求項5に記載の電子写真現像剤用キャリアと、トナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−2519(P2010−2519A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159781(P2008−159781)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【出願人】(000224802)DOWA IPクリエイション株式会社 (96)
【Fターム(参考)】