説明

電子写真現像用キャリアおよびその製造方法、並びに二成分系現像剤

【課題】長期にわたる電子写真現像において高品質な画像形成を維持することのできる電子写真現像用キャリアおよびその製造方法、並びに二成分系現像剤を提供する。
【解決手段】キャリア芯材の表面が、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂から選択される1種類以上の樹脂と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂から選択される1種類以上の樹脂との混合樹脂で被覆されており、当該混合樹脂中に、導電性微粉末が分散されている電子写真現像用キャリアを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分系現像剤に使用される電子写真現像用キャリアおよびその製造方法、並びに当該電子写真現像用キャリアを含む二成分系現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真現像用の二成分系現像剤には、トナーと、電子写真現像用キャリア(以下、単に「キャリア」と記載する場合がある)とが含まれている。このキャリアには、電気特性、摩擦帯電性、耐久性、流動性などの様々な特性が要求されている。また、電子写真現像中の撹拌操作によるキャリア同士の衝突や、現像ユニットとキャリアの間の摩擦などにより、キャリア表面へのトナー成分の融着(スペント化)が生じて帯電不良が起こるのを防止するために、キャリアの表面に樹脂被覆が施される場合がある。
【0003】
このように樹脂被覆が施された、いわゆる樹脂被覆キャリアでは、撹拌操作によるキャリア同士の衝突や、現像ユニットとキャリアの間の摩擦などにより、キャリアの表面の被覆樹脂が剥離することがある。当該剥離が発生すると、キャリア表面にトナー成分が融着して帯電不良が起こる。
【0004】
さらに、このようにキャリアの表面に樹脂被覆を施した、従来の樹脂被覆キャリアを用いた二成分現像剤では、耐刷時の環境の変動により、高温高湿下では帯電量が低下して、トナー飛散、画像かぶり、前引きなどの不具合が生じ、低温低湿時では帯電量が上昇して、画像濃度が不足するという不具合が生じ、この結果、現像剤の寿命が短くなるという問題がある。
【0005】
また、最近では、消費電力を低減させるために、トナーのメインバインダー樹脂として、様々な樹脂の中でも比較的溶融粘度が低く、負帯電性であり、酸価により帯電レベルが調整し易いポリエステル樹脂を使用することが多い。しかし、ポリエステル樹脂を使用すると、トナーの流動性が悪くなる上、高温高湿環境下において吸湿し易く、帯電量が低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するために、キャリアの被覆層表面で帯電量が高くなるよう種々の樹脂を組み合わせ帯電量の調整を行う方法がある。しかしこのように帯電量が高く調整された表面被覆層は、長期間使用されるうちに表面の磨耗、剥離等でキャリアの表面の厚さが変化する。すると、当該表面被覆層の帯電低下が起こり、低温低湿下で画像濃度が低下する不具合が生じ、現像剤の寿命が短くなるという問題がある。また、当該表面被覆層の帯電量を安定化させても、使用時にキャリアの抵抗が変化してしまうと、システム側で設定している電気的な値とのマッチングにずれが生じることで、画像上のかぶりやトナーの飛散が生じる。
【0007】
ここで、トナー飛散及びトナー汚染を発生することなく、複写機の高速化高画質化に耐えるキャリアとして、キャリア芯材の表面の樹脂被覆層にカーボンブラックを含有させると共に、含有するカーボンブラックに、被覆層の厚み方向への濃度勾配を持たせたキャリアが特許文献1に提案されている。
【0008】
また、トナーのスペント化を防止し、良質の画質を長期提供することができるようにするため、特定粒径のグラファイト粉末およびカーボンブラック粉末を分散させた樹脂を用いて、キャリア芯材の表面がコーティングされたキャリアが特許文献2に提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開平8−179570号公報
【特許文献2】特開平2−264268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術に係るキャリアでは、キャリア芯材の表面にカップリング層としてシランカップリング層を設け、さらにそのシランカップリング層上に、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の被覆樹脂層を被覆し、その被覆樹脂層内に導電性微粉末を添加することで、帯電量の調整等を行っていた。
しかしながら、本発明者らの検討によると、当該被覆樹脂層内の導電性微粉末の分散は、理想的な均一分散ではない。従って、当該キャリアの使用に伴い、被覆樹脂層が磨耗した場合に、当該摩耗状態によりキャリアの導電性が変化してしまう為、長期にわたる耐刷性や耐久性において安定な効果が得られなかった。
【0011】
例えば、特許文献1に記載された技術では、樹脂被覆中の厚み方向にカーボンブラックの濃度勾配を有しているので、キャリア抵抗を変えずに帯電量の立ち上がり速度を調整できるが、被覆層が磨耗すると、カーボンブラックの濃度が厚さ方向に異なる事で誘電率も変化しその結果帯電量も変化してしまう。
【0012】
また、特許文献2に記載された技術では、攪拌ストレスの大きな現像槽で使用すると、被覆層の磨耗が進行するにつれ、比較的粒径の大きいグラファイト粉末が被覆層から剥離し、その部分でのトナーのスペント化が起きやすくなり、帯電量の安定性が低下し、長期にわたる電子写真現像において高品質画像を維持するのが困難であった。
【0013】
本発明は、上述した状況を背景としてなされたものであり、低温低湿環境および高温高湿環境を含めた様々な環境下における使用に際して、良好な特性を維持できることは勿論、長期にわたる電子写真現像において高品質な画像形成を維持することのできる電子写真現像用キャリアおよびその製造方法、並びに二成分系現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決する為、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、キャリア芯材の表面を被覆する樹脂として、導電性微粉末を含有し易い熱硬化性樹脂と、導電性微粉末を含有し難い熱硬化性樹脂との混合樹脂を用い、さらに、当該混合樹脂において、動粘度と比重との関係を所定範囲に調整することで、当該樹脂被覆層の厚みに関わりなく一定の導電性が得られ、長期にわたる耐刷性や耐久性において安定な効果が得られるとの画期的な知見を得て、本発明を完成した。
【0015】
即ち、課題を解決するための第1の発明は、
キャリア芯材の表面が、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂から選択される1種類以上の樹脂と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂から選択される1種類以上の樹脂との混合樹脂で被覆されており、当該混合樹脂中に、導電性微粉末が分散されている電子写真現像用キャリアである。
但し、前記混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の動粘度をA(mm/sec)、比重をBと表記したとき、0.8≦A/B≦3.5である。
【0016】
第2の発明は、
前記混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された
混合樹脂の動粘度をA(mm/sec)、比重をBと表記したとき、1.2≦A/B≦3.5である第1の発明に記載の電子写真現像用キャリアである。
【0017】
第3の発明は、
前記導電性微粒子がカーボンブラックであり、その平均粒径が8.0nm以上、1μm以下であることを特徴とする第1または第2の発明のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアである。
【0018】
第4の発明は、
前記カーボンブラックの真密度が1.7g/cm以上、1.9g/cm以下であり、且つ、見掛密度が0.3g/cm以上、0.5g/cm以下であることを特徴とする第3の発明に記載の電子写真現像用キャリアである。
【0019】
第5の発明は、
前記キャリア芯材が、ソフトフェライトを含むことを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアである。
【0020】
第6の発明は、
シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂から選択される1種類以上の樹脂と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂から選択される1種類以上の樹脂との混合樹脂であって、当該混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の20℃における動粘度をA(mm/sec)、20℃における比重をBと表記したとき、0.8≦A/B≦3.5となる混合比率を有する混合樹脂を製造する工程と、
前記混合樹脂へ、導電性微粉末を添加する工程と、
前記導電性微粉末を添加した混合樹脂と、カップリング層を設けたキャリア芯材とを混合し、カップリング層を設けたキャリア芯材を、前記導電性微粉末を添加した混合樹脂で被覆する工程と、を有する電子写真現像用キャリアの製造方法である。
【0021】
第7の発明は、
第1から第5の発明のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと、ポリエステル樹脂を主成分として含有するトナーと、を含むことを特徴とする二成分系現像剤である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電子写真現像用キャリアは、低温低湿環境および高温高湿環境を含めた様々な環境下における長期の電子写真現像の後でも、安定な帯電量を保つことができた。そして、本発明に係る電子写真現像用キャリアは、低温低湿環境および高温高湿環境を含めた様々な環境下における長期の電子写真現像の後でも、画像かぶりやトナー飛散の無い、シャープな画像を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る電子写真現像用キャリアについて説明する。
本発明に係る電子写真現像用キャリアは、キャリア芯材の表面を樹脂で被覆したものである。そして当該樹脂中には、導電性微粉末が分散されている。そして、キャリア芯材の表面を被覆している樹脂は、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂から選択される1種類以上の樹脂(以下、シリコーン樹脂等と記載する場合がある。)と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂から選択される1種類以上の樹脂(以下、アクリル樹脂等と記載する場合がある。)との混合樹脂である。ここで、シリコーン樹脂等は導電性微粉末を分散し易く、アクリル樹脂等は導電性微粉末を分散し難い。
【0024】
本発明者らは、当該構成を有するキャリアが、低温低湿環境および高温高湿環境を含めた様々な環境下における長期の電子写真現像の後でも、安定な帯電量を保つ要件について研究をおこなった。そして、当該混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の動粘度をA(mm/sec)、比重をBと表記したとき、Aの値とBの値とが、0.8≦A/B≦3.5の範囲、より好ましくは1.2≦A/B≦3.5の範囲にあるとき、キャリアが安定的な帯電量を保つという画期的な知見を得た。
【0025】
本発明に係る混合樹脂が上述の範囲内にあるとき、当該混合樹脂を被覆したキャリアが安定的な帯電量を保つ機構の詳細は不明であるが、本発明者らは、次にように推察している。まず、当該混合樹脂を熱硬化させる際、加熱により混合樹脂層内で対流が効果的に発生する。すると、当該樹脂の対流に載せられる形で導電性微粉末が析出・集積し、混合樹脂層内に導電経路を形成するのであると考えている。
つまり、混合樹脂層内にハンマートーン状の多数の導電経路が多数形成され、この多数の導電経路が確保されることにより、被覆層が磨耗しても、残りの被覆層が一定の導電性を維持し、キャリア抵抗が安定しているものと考えられる。
【0026】
そして、当該対流を効果的に起こすのに適した樹脂の物性が、上述した、当該混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の動粘度をA(mm/sec)、比重をBと表記したとき、Aの値とBの値とが、0.8≦A/B≦3.5の範囲、より好ましくは1.2≦A/B≦3.5の範囲にあるのだと考えている。
尚、混合樹脂の動粘度は、B型粘度形と3号のローターを用い、20℃のもとでJIS
Z8809に準拠して測定した値である。
一方、比重は、当該混合樹脂の20℃における比重を測定した値である。
【0027】
シリコーン樹脂等について、具体的に説明する。例として、ストレートシリコンタイプのものが好ましく使用でき、更に好ましくはジメチルタイプのものが適する。具体的には、例えば、SR2410、SR2411、SH804、SH805、SH806A、SH8404(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、X−40−2151、KR350(以上、信越化学株式会社製)、TSR116、TSR144、TSR102、TSR127B(以上、GE東芝シリコーン株式会社製)等が好適に使用できる。
【0028】
アクリル樹脂等について、具体的に説明する。所謂メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルをモノマーとする樹脂であり、一般的に強度に優れているが、その中でも適度な誘電率を有するものがキャリアの被覆材として好適である。例えばS−2060(東亞合成株式会社製)、A−801(大日本インキ株式会社製)等が好適に使用できる。
【0029】
混合樹脂のAの値とBの値とを調整する為に、前記混合樹脂へ調整用のエポキシ樹脂を添加するのも好ましい構成である。
当該エポキシ樹脂等について、具体的に説明する。当該エポキシ樹脂等として、いわゆるBPA型、例えば、アデカレジンEP4100(旭電化株式会社製)が好ましく使用できる。また、ノボラック型だけでなくシリコン変性タイプ(エポキシ変性シリコーン樹脂)も好ましく使用できる。具体的には、SR2115、SR2145(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、TSR194(GE東芝シリコーン株式会社製)等が好適に使用できる。
【0030】
次に、導電性微粉末について説明する。
本発明に係る導電性微粉末としては、平均粒径が80nm以上で1μm以下のカーボンブラックを用いるのが好ましい。
さらに、その真密度が1.7g/cm以上、1.9g/cm以下であり且つ見掛密度が0.3g/cm以上、0.5g/cm以下であることが好ましい。これは、導電性微粉末が当該性状を有するとき、上述した樹脂対流へ効果的に載せられる為ではないかと考えられる。
【0031】
導電性微粉末について、具体的に説明する。例えば、VULCAN XC72R、REGAL330R、MONARCH120(以上、キャボット株式会社製)、#2700、MA100、MA7、#52(以上、三菱化学株式会社製)等が使用できる。
【0032】
本発明に係るキャリアにおいて、キャリア芯材には、ソフトフェライトを含むものを使用するのが好ましい。具体的には、Mnフェライト、マグネタイト等のいわゆるモノフェライト、磁力と電気抵抗を別個に調整することが容易なMn−Mg系フェライト、Cu−Znフェライト等の多成分系のフェライトも用いることができる。
【0033】
以上説明した本発明に係るキャリアと、ポリエステル樹脂を主成分として含有する適宜なトナーとを混合することで、低温低湿環境および高温高湿環境を含めた様々な環境下における長期の電子写真現像の後でも、画像かぶりやトナー飛散の無い、シャープな画像を得ることができる二成分系現像剤を製造することが出来る。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
《実施例1》
キャリア芯材として、窒素雰囲気中で焼成した、平均粒径50μmのMn−Mg系フェライト粉末を準備した。
次に、カップリング処理剤として、アミノシランとグリシドキシルシランとを1:1の比率で混合し撹拌し、有機溶剤に溶かしたものを準備した。
前記キャリア芯材に対する、アミノシランとグリシドキシルシランとの総重量割合が0.3重量%になるように、Mn−Mg系フェライト粉末とカップリング処理剤とを混合した後、加熱撹拌して有機溶剤を除去し、カップリング処理後のキャリア芯材を得た。
【0035】
ここで、シリコーン樹脂(SR2410(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製))(固形分20%)100部と、アクリル樹脂S-2060(東亜合成株式会社製)
)(固形分20%)150部とを混合し、動粘度と比重とを測定した。
当該混合樹脂の動粘度は、当該混合樹脂10mlを100mlビーカーにとり、B型粘度形(ブルックフィールド株式会社製、LVT)と#3のローターとを用い、20℃のもとでJIS Z8809に準拠して測定した。すると、当該動粘度の測定値は2.1mm/secであった。
一方、ピクノメーターを用いて、当該混合樹脂の20℃における比重を測定した。すると、当該比重の測定値は0.90であった。
従って、当該混合樹脂における(動粘度/比重)の値は、2.3であることが判明した。
次に、当該混合樹脂溶液へ、真密度が1.8g/cmで見掛密度が0.4g/cmのカーボンブラックを7部添加し、導電性微粉末入りの混合樹脂溶液を調製した。
そして、カップリング処理後のキャリア芯材表面への、導電性微粉末入り樹脂被覆層の重量割合が3.0%となるように、当該導電性微粉末入りの混合樹脂溶液と、前記カップリング処理後のキャリア芯材とを混合し、浸漬法により被覆した。その後、樹脂層が被覆されたキャリア芯材を、100℃で30分、加熱撹拌して溶剤を除去し、さらに、250℃、2時間で樹脂層を硬化させ、当該樹脂層中に導電性微粉末による電流経路が形成された実施例1に係るキャリアを得た。
尚、上述したカップリング層の配合、被覆樹脂層の配合、被覆樹脂の性状を表1に記載
した。以下実施例2から4、比較例1、2も同様である。
【0036】
当該実施例1に係るキャリア93重量部と、ポリエステル樹脂を主成分として含有するトナー7重量部とを混合して、実施例1に係る二成分系現像剤を製造した。
当該実施例1に係る二成分系現像剤を用いて、実機にて10K枚の画像を出力したところ、現像時間が経過しても、当該実施例1に係るキャリアの電気抵抗値の変化がなく、安定した画像を得ることができた。
そして、当該キャリアの静抵抗値、二成分系現像剤の実機試験評価結果を表2に記載した。
以下、実施例2から4、比較例1についても同様である。
【0037】
《実施例2》
実施例1と同様の操作を行って、カップリング処理後のフェライト粒子を得た。
ここで、シリコーン樹脂(SR2410(東レダウコーニンング・シリコーン株式会社製))(固形分20%)100部と、アクリル樹脂S-2060(東亜合成株式会社製)(固形分20%)230部とを混合し、動粘度と比重との比率を3.3に調整した混合樹脂溶液を調整した。
次に、当該混合樹脂溶液へ、実施例1と同様にカーボンブラックを添加し、導電性微粉末入りの混合樹脂溶液を調製した。
【0038】
そして、カップリング処理後のキャリア芯材表面への、導電性微粉末入り樹脂被覆層の重量割合が3.0%となるように、当該導電性微粉末入りの混合樹脂溶液と、前記カップリング処理後のキャリア芯材とを混合し、浸漬法により被覆した。その後、樹脂層が被覆されたキャリア芯材を、100℃30分、加熱撹拌して溶剤を除去し、さらに、250℃、2時間で樹脂層を硬化させ、当該樹脂層中に導電性微粉末による電流経路が形成された実施例2に係るキャリアを得た。
【0039】
当該実施例2に係るキャリア93重量部と、ポリエステル樹脂を主成分として含有するトナー7重量部とを混合して、実施例2に係る二成分系現像剤を製造した。
当該実施例2に係る二成分系現像剤を用いて、実機にて10K枚の画像を出力したところ、現像時間が経過しても、当該実施例2に係るキャリアの電気抵抗値の変化がなく、安定した画像を得ることができた。
【0040】
《実施例3》
実施例1と同様の操作を行って、カップリング処理後のフェライト粒子を得た。
ここで、シリコーン樹脂(SR2410(東レダウコーニンング・シリコーン株式会社製)(固形分20%)100部と、アクリル樹脂S-2060(東亜合成株式会社製))(固形分20%)30部とを混合し、動粘度と比重との比率を3.3に調整した混合樹脂溶液を調整した。
次に、当該混合樹脂溶液へ、実施例1と同様にカーボンブラックを添加し、導電性微粉末入りの混合樹脂溶液を調製した。
【0041】
そして、カップリング処理後のキャリア芯材表面への、導電性微粉末入り樹脂被覆層の重量割合が3.0%となるように、当該導電性微粉末入りの混合樹脂溶液と、前記カップリング処理後のキャリア芯材とを混合し、浸漬法により被覆した。その後、樹脂層が被覆されたキャリア芯材を、100℃、30分間、加熱撹拌して溶剤を除去し、さらに、250℃、2時間で樹脂層を硬化させ、当該樹脂層中に導電性微粉末による電流経路が形成された実施例3に係るキャリアを得た。
【0042】
当該実施例3に係るキャリア93重量部と、ポリエステル樹脂を主成分として含有する
トナー7重量部とを混合して、実施例3に係る二成分系現像剤を製造した。
当該実施例3に係る二成分系現像剤を用いて、実機にて10K枚の画像を出力したところ、現像時間が経過しても、当該実施例に係るキャリアの電気抵抗値の変化がなく、安定した画像を得ることができた。
【0043】
《実施例4》
実施例1と同様の操作を行って、カップリング処理後のフェライト粒子を得た。
ここで、シリコーン樹脂(SR2410(東レダウコーニンング・シリコーン株式会社製)(固形分20%)100部と、アクリル樹脂S-2060(東亜合成株式会社製))
(固形分20%)150部とを混合し、動粘度と比重との比率を1.8に調整した混合樹脂溶液を調整した。
次に、当該混合樹脂溶液へ、実施例1と同様にカーボンブラックを添加し、導電性微粉末入りの混合樹脂溶液を調製した。
【0044】
そして、カップリング処理後のキャリア芯材表面への、導電性微粉末入り樹脂被覆層の重量割合が3.0%となるように、当該導電性微粉末入りの混合樹脂溶液と、前記カップリング処理後のキャリア芯材とを混合し、浸漬法により被覆した。その後、樹脂層が被覆されたキャリア芯材を、100℃30分間、加熱撹拌して溶剤を除去、加熱撹拌して溶剤を除去し、さらに、250℃、2時間で樹脂層を硬化させ、当該樹脂層中に導電性微粉末による電流経路が形成された実施例4に係るキャリアを得た。
【0045】
当該実施例4に係るキャリア93重量部と、ポリエステル樹脂を主成分として含有するトナー7重量部とを混合して、実施例4に係る二成分系現像剤を製造した。
当該実施例4に係る二成分系現像剤を用いて、実機にて10K枚の画像を出力したところ、現像時間が経過しても、当該実施例に係るキャリアの電気抵抗値の変化がなく、安定した画像を得ることができた。
【0046】
《比較例1》
実施例1と同様の操作を行って、カップリング処理後のフェライト粒子を得た。
ここで、シリコーン樹脂(SR2410(東レダウコーニンング・シリコーン株式会社製)(固形分20%)100部と、アクリル樹脂(S-2060(東亜合成株式会社製)
)(固形分20%)300部とを混合し、動粘度と比重との比率を4.0に調整した混合樹脂溶液を調整した。
次に、当該混合樹脂溶液へ、実施例1と同様にカーボンブラックを2部添加し、導電性微粉末入りの混合樹脂溶液を調製した。
【0047】
そして、カップリング処理後のキャリア芯材表面への、導電性微粉末入り樹脂被覆層の重量割合が3.0%となるように、当該導電性微粉末入りの混合樹脂溶液と、前記カップリング処理後のキャリア芯材とを混合し、浸漬法により被覆した。その後、樹脂層が被覆されたキャリア芯材を、100℃、30分間、加熱撹拌して溶剤を除去し、さらに250℃、2時間で樹脂層を硬化させ、比較例1に係るキャリアを得た。
【0048】
当該比較例1に係るキャリア93重量部と、ポリエステル樹脂を主成分として含有するトナー7重量部とを混合して、比較例1に係る二成分系現像剤を製造した。
当該比較例1に係る二成分系現像剤を用いて、実機にて10K枚の画像を出力したところ、初期の抵抗が高くなり、ライフでの抵抗が低下する度合いが顕著となった。そして、得られた電子写真もかぶりの多い画像となった。
【0049】
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア芯材の表面が、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂から選択される1種類以上の樹脂と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂から選択される1種類以上の樹脂との混合樹脂で被覆されており、当該混合樹脂中に、導電性微粉末が分散されている電子写真現像用キャリア。
但し、前記混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の動粘度をA(mm/sec)、比重をBと表記したとき、0.8≦A/B≦3.5である。
【請求項2】
前記混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の動粘度をA(mm/sec)、比重をBと表記したとき、1.2≦A/B≦3.5である請求項1に記載の電子写真現像用キャリア。
【請求項3】
前記導電性微粒子がカーボンブラックであり、その平均粒径が8.0nm以上、1μm以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子写真現像用キャリア。
【請求項4】
前記カーボンブラックの真密度が1.7g/cm以上、1.9g/cm以下であり、且つ、見掛密度が0.3g/cm以上、0.5g/cm以下であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真現像用キャリア。
【請求項5】
前記キャリア芯材が、ソフトフェライトを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子写真現像用キャリア。
【請求項6】
シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂から選択される1種類以上の樹脂と、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂から選択される1種類以上の樹脂との混合樹脂であって、当該混合樹脂をトルエンによって希釈して不揮発分を20%に調整し、当該調整された混合樹脂の20℃における動粘度をA(mm/sec)、20℃における比重をBと表記したとき、0.8≦A/B≦3.5となる混合比率を有する混合樹脂を製造する工程と、
前記混合樹脂へ、導電性微粉末を添加する工程と、
前記導電性微粉末を添加した混合樹脂と、カップリング層を設けたキャリア芯材とを混合し、カップリング層を設けたキャリア芯材を、前記導電性微粉末を添加した混合樹脂で被覆する工程と、を有する電子写真現像用キャリアの製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアと、ポリエステル樹脂を主成分として含有するトナーと、を含むことを特徴とする二成分系現像剤。

【公開番号】特開2009−98348(P2009−98348A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268970(P2007−268970)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【出願人】(000224802)DOWA IPクリエイション株式会社 (96)
【Fターム(参考)】