説明

電子写真現像用キャリア芯材、電子写真現像用キャリアおよびその製造方法、並びに電子写真現像剤

【課題】MFP(マルチ ファンクション プリンター)等に適用した場合でも、安定した高画質で高速現像が可能、且つ磁性キャリアの交換寿命が長い電子写真現像剤を製造するためのキャリア芯材およびその製造方法、該キャリア芯材を含む磁性キャリア、該磁性キャリアから製造された電子写真現像剤を提供する。
【解決手段】原材料粉に樹脂粒子、バインダー、分散剤、湿潤剤さらに水を加えて湿式粉砕し乾燥して造粒品を得、該造粒品を仮焼した後、焼成することで、内部に中空構造を有するキャリア芯材を製造し、該キャリア芯材へ樹脂コーティングをおこなって電子写真現像キャリアを得た。そしてこの電子写真現像キャリアとトナーとを混合して電子写真現像剤を製造した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子写真現像に用いられる電子写真現像用キャリアに含まれる電子写真現像用キャリア芯材、該電子写真現像用キャリア芯材を用いた電子写真現像用キャリア、およびそれらの製造方法、並びに該電子写真現像用キャリアを含む電子写真現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の乾式現像法は、現像剤である粉体のトナーを感光体上の静電潜像に付着させ、当該付着したトナーを所定の紙等へ転写して現像する方法である。ここで、電子写真の乾式現像法は、トナーのみを含む1成分系現像剤を用いる1成分系現像法と、トナーと、磁性を有する電子写真現像用キャリア(以下、磁性キャリアと記載する場合がある。)とを含む2成分系現像剤を用いる2成分系現像法とに分けられる。そして、近年はトナーの荷電制御が容易で安定した高画質が得ることができ、高速現像が可能であることから、2成分系現像法が多く用いられている。
【0003】
電子写真現像機は、フルカラー化、高画質化、高速化の傾向にあるが、その達成のためトナーとして小粒径の重合トナーが開発され、該小粒径の重合トナー粒径に合わせて磁性キャリアの粒径も小粒径化が進んでいる。一方、パソコンの普及とともに、電子写真現像機においても、いわゆるMFP(マルチ ファンクション プリンター)市場が拡大し、付属のアプリケーション等により機能が充実すると同時に、ドキュメント出力における出力能力だけでなく、ランニングコストも厳しく評価される様になってきている。
【0004】
電子写真現像機のランニングコストは、トナーや磁性キャリアなどの消耗品のコストに大きく依存する。そして磁性キャリアの多くは、電子写真現像用キャリア芯材(以下、キャリア芯材と記載する場合がある。)として球状のソフトフェライトを用い、該球状のソフトフェライトの表面を樹脂でコーティングしたものであるが、印刷回数が進むことで、該表面の樹脂が、磁性キャリア同士の摩耗で劣化してしまい電子写真現像に耐えられなくなる。そのため多くの電子写真現像機では、カウントしたドキュメント印刷枚数が一定値になると、磁性キャリアをトナーとともに交換することとしている。
【0005】
ここで、特許文献1には、キャリア芯材の原料として炭酸塩原料を使用し、該原料のガス化成分を利用することで、キャリア芯材中に中空構造を発生させ、密度・比重の小さいキャリア芯材を製造する方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭61-7851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、磁性キャリアの交換寿命を延ばすために、キャリア芯材の表面にある樹脂へのストレスを減らすことが肝要であることに想到した。そして、該キャリア芯材の比重を小さくすることで、電子写真現像機内での電子写真現像剤の攪拌混合時に、該キャリア芯材の受けるストレスを削減できることに想到した。しかしながら、本発明者らの検討によれば、例えば、特許文献1に記載された製造方法で製造された磁性キャリアを用いて電子写真現像剤を製造し、該電子写真現像剤を上記MFP等に適用した場合、該磁性キャリアの交換寿命を延長させることが、出来ないことが判明した。
【0008】
ここで本発明者らは、従来技術において、磁性キャリアの交換寿命が延長しなかった原因についてさらに検討を行った。その結果、以下のことが判明した。即ち、キャリア芯材の原料の仮焼時に炭酸塩原料のガス化が進行し、仮焼粉中に中空構造が形成されるが、該中空構造が形成された仮焼粉に対し、仮焼工程後にボールミルによる湿式粉砕工程を行うことで、該中空構造が粉砕されてしまう。ここで、次の焼成工程において、残留した一部の炭酸塩原料のガス化により、焼成粉中に中空構造が形成されることとなるが、該形成は、不十分なものに留まってしまった為であると考えられた。
【0009】
さらに特許文献1は、炭酸塩原料の一部を取り分けておき、これを仮焼後の原料粉に添加して、焼成を行う構成についても記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、該構成を用いた磁性キャリアを含む電子写真現像剤を上記MFP等に適用した場合にも、該磁性キャリアの交換寿命を延長し得ないことが判明した。
【0010】
ここでも本発明者らは、磁性キャリアの交換寿命が延長しなかった原因について検討を行った。その結果、該構成の場合では、炭酸塩原料から発生するガスの量に不足があり、やはり、焼成工程における中空構造形成が不十分なものに留まってしまう為、該磁性キャリアの交換寿命を延長し得ないものと考えられた。
【0011】
そこで本発明が解決しようとする課題は、電子写真現像機としてMFP等を用いた場合でも、安定した高画質で高速現像が可能、且つ磁性キャリアの交換寿命が長い電子写真現像剤を製造するためのキャリア芯材、該キャリア芯材を含む磁性キャリアおよびその製造方法、該磁性キャリアから製造された電子写真現像剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、電子写真現像機としてMFP等を用いた場合でも、安定した高画質で高速現像が可能、且つ磁性キャリアの交換寿命が長い電子写真現像剤を製造するため、磁性キャリアが満たすべき構造、物性について研究をおこなった。その結果、磁性キャリアが、単に中空構造を有しているだけでは足らず、該磁性キャリアに含まれるキャリア芯材の見掛け密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、且つ、該見掛け密度が2.0g/cm3以下の要件を満たすことが必要であることに想到した。そして、本発明者らは、該要件を満たすキャリア芯材の製造方法にも想到し、本発明を完成したものである。
【0013】
即ち、課題を解決するための第1の手段は、
電子写真現像剤用キャリアに用いられるキャリア芯材であって、
該キャリア芯材の見掛け密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、且つ、見掛け密度が2.0g/cm以下であることを特徴とする電子写真現像用キャリア芯材である。
【0014】
第2の手段は、
該キャリア芯材において、BET法で測定した比表面積の値をBET(0)、湿式分散型粒度分布測定機より求められるcs値を真密度で割り返して求めた球形換算比表面積の値をBET(D)としたとき、
BET(0)≧0.07m/g、且つ、3.0≦BET(0)/BET(D)≦10.0であることを特徴とする第1の手段に記載の電子写真現像用キャリア芯材である。
【0015】
第3の手段は、
該キャリア芯材が、磁性酸化物と、真比重3.5以下の非磁性酸化物とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0016】
第4の手段は、
該磁性酸化物が、ソフトフェライトであることを特徴とする第3の手段に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材である。
【0017】
第5の手段は、
該キャリア芯材中に、前記非磁性酸化物が1wt%以上、50wt%以下含有されていることを特徴とする第3または第4の手段に記載の電子写真現像用キャリア芯材である。
【0018】
第6の手段は、
第1から第5の手段のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材を、樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリアである。
【0019】
第7の手段は、
前記樹脂の被覆量が、前記キャリア芯材の0.1wt%以上、20.0wt%以下であることを特徴とする第6の手段に記載の電子写真現像用キャリアである。
【0020】
第8の手段は、
平均粒径が、25μm以上、50μm以下であることを特徴とする第6または第7の手段に記載の電子写真現像剤用キャリアである。
【0021】
第9の手段は、
1wt%以上、50wt%以下のシリカを含むことを特徴とする第6から第8の手段のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリアである。
【0022】
第10の手段は、
第6から第9の手段いずれかに記載の電子写真現像剤用キャリアを含むことを特徴とする電子写真現像剤である。
【0023】
第11の手段は、
1種または2種以上の金属元素Mの、炭酸塩、酸化物、水酸化物から選択される1種または2種以上と、Feとを混合し、粒径1μmまで粉砕して粉砕物を得る工程と、
該粉砕物へ、樹脂粒子と、水と、バインダーと、分散剤と、を加えてスラリーとした後、湿式粉砕し、さらに乾燥させて、造粒粉を得る工程と、
該造粒粉を仮焼して、仮焼品を得る工程と、
該仮焼品を焼成して、焼成物を得る工程と、
該焼成物を粉砕してキャリア芯材を得る工程と、を有することを特徴とする電子写真現像用キャリア芯材の製造方法である。
【0024】
第12の手段は、
該粉砕物へ加える樹脂粒子として、シリコンを含有する樹脂粒子を用いることを特徴とする第11の手段に記載の電子写真現像用キャリア芯材の製造方法である。
【0025】
第13の手段は、
1種または2種以上の金属元素Mの、炭酸塩、酸化物、水酸化物から選択される1種または2種以上とFeとを混合し、粉砕して粉砕物を得る工程と、
該粉砕物へ、シリカ粒子と、水と、バインダーと、分散剤とを加えてスラリーとした後、湿式粉砕し、さらに乾燥させて、造粒粉を得る工程と、
該造粒粉を焼成して、焼成物を得る工程と、
該焼成物を粉砕してキャリア芯材を得る工程と、を有することを特徴とする電子写真現像用キャリア芯材の製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
第1から第5の手段のいずれかに記載の電子写真現像用キャリア芯材を用いて製造された電子写真現像用キャリアは、電子写真現像機内における電子写真現像剤の混合攪拌時に受けるストレスに耐久性が高く、交換寿命の長い電子写真現像用キャリアとなる。
【0027】
第6から第9の手段のいずれかに記載の電子写真現像用キャリアは、電子写真現像機内における電子写真現像剤の混合攪拌時に受けるストレスに耐久性が高く、交換寿命の長い電子写真現像用キャリアとなる。
【0028】
第10の手段に記載の電子写真現像剤は、MFP等に適用した場合でも、安定した高画質で高速現像が可能で、且つ、交換寿命の長い電子写真現像剤である。
【0029】
第11から第13の手段のいずれかに記載の電子写真現像用キャリア芯材の製造方法によれば、電子写真現像機内における電子写真現像剤の混合攪拌時に受けるストレスに耐久性が高く、交換寿命の長い電子写真現像用キャリアの原料である電子写真現像用キャリア芯材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明に係るキャリア芯材は、常温での、見掛け密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、且つ、見掛け密度が2.0g/cm以下である。ここで見掛け密度は、例えばJISZ2504に準拠して測定される。一方、真密度は、真密度測定装置(例えば、後述するピクノメーター)によって測定するのが便宜である。
この構成を有するキャリア芯材をふくむ磁性キャリアを用いて製造された電子写真現像剤は、MFP等に適用した場合でも、安定した高画質で高速現像が可能、且つ磁性キャリアの交換寿命が長いという優れた特徴を発揮するものである。
【0031】
該キャリア芯材を用いることで、電子写真現像剤が上述した優秀な特徴を発揮する詳細な理由は不明だが、前記Aが所定範囲にあることで、MFP等の電子写真現像機内において、該電子写真現像剤が攪拌される際の攪拌トルクが小さくて済み、安定した高画質で高速現像が可能になると同時に、磁性キャリアへの衝撃が軽減されてダメージも軽減されるため、磁性キャリアの交換寿命も長くなるのではないかと考えられる。
【0032】
そして、本発明に係るキャリア芯材が、BET法で測定した比表面積の値をBET(0)、球形換算比表面積の値をBET(D)としたとき、BET(0)≧0.07m/g、且つ、3.0≦BET(0)/BET(D)≦10.0であると、該キャリア芯材に形成される中空構造が、微細な中空構造の集合体であり、且つ、十分な量の中空構造が形成されているからである。ここで、BET法で測定した比表面積の値であるBET(0)とは、通常のBET法で測定した比表面積の値のことである。一方、球形換算比表面積の値BET(D)は、例えば、湿式分散型粒度分布測定器であるマイクロトラックを用いてcs値(Calculated Specific Surfaces Area)を求め、該cs値を前記真密度で割り返して算定される。この構成を有するキャリア芯材は、中空構造が、微細な中空構造の集合体である為、機械的に強固である。この結果、該キャリア芯材を有する磁性キャリアも衝撃に対して耐久性があるので、磁性キャリアの交換寿命も長くなるのではないかと考えられる。
【0033】
そして、上述の構成を有する磁性キャリアを用いて製造された電子写真現像剤を、MFP等に適用した場合、安定した高画質で高速現像が可能で、且つ、交換寿命が従来品と比較して50%以上長いという優れた特徴を発揮するものである。
【0034】
さらに、本発明に係るキャリア芯材が、磁性酸化物と、真比重3.5g/cm3以下の非磁性酸化物との複合構造を有する構成とすることも好ましい。該構成をとり中空部分を非磁性酸化物で埋めることで、上述したA値やBET(0)/BET(D)値を所定範囲に納めながら、中空容量を減らすことができ、該キャリア芯材の機械的強度を向上させることができるものである。ここで、真比重3.5g/cm3以下の非磁性酸化物の好適な例として、SiO、Al、Al(OH)、B等を挙げることができる。そして、キャリア芯材における該非磁性酸化物の含有量が1wt%以上、50wt%以下、さらに好ましくは5wt%以上、40wt%以下であると、キャリア芯材としての磁気的特性と機械的特性とが両立でき好ましい構成である。また、磁性酸化物としてM2+O・FeまたはM2+・Feの一般式で示されるスピネル型フェライト(M2+にはMn、Mg、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等)、M2+O・6Fe、M2+・6Fe1219の一般式で示されるマグネトプランバイト型フェライト(M2+にはBa、Sr、Pb等)、3M3+・5FeまたはM3+Fe12の一般式で示されるガーネット型フェライト(M3+にはSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)、ペロブスカイト型フェライトおよびイルメナイト型フェライト等が挙げられ、特にスピネル型フェライトとして知られるM2+O・FeでM2+がMn、Mg、Feの少なくとも1種を有する所謂ソフトフェライトを用いることが好ましい。これは、ソフトフェライトを用いることでトナーとキャリアとの撹拌性が良くなり、高画質の画像を得ることができるという利点が有るからである。
【0035】
次に、上述したキャリア芯材を、樹脂で被覆することで磁性キャリアを得ることができる。ここで被覆樹脂としては、例えばシリコーン樹脂が好適に用いられる。被覆量は、キャリア芯材の0.1wt%以上あれば、磁性キャリアとして好ましい機械的特性と耐久性とを発揮することができ、キャリア芯材の20.0wt%以下であれば、磁性キャリア同士が凝集してしまうといった事態を回避することができ、さらに12wt%以下であればキャリアの抵抗が高くなりすぎるといった事態を回避することができることから一層好ましい。
【0036】
上記構成を有する磁性キャリアと、粉砕法または重合法で製造される粒径10μm程度のトナーとを混合することで電子写真現像剤を製造することができる。該電子写真現像剤は、MFP等に適用した場合でも、安定した高画質で高速現像が可能で、且つ、交換寿命が、従来品と比較して50%以上長いという優れた特徴を発揮するものである。
【0037】
次に本発明に係るキャリア芯材、および該キャリア芯材を含む磁性キャリアの製造方法について、1.樹脂添加法と、2.シリカ粒子添加法と、の2法について説明する。
【0038】
1.樹脂添加法
[秤量・混合]
本発明に係る磁性キャリアが含むキャリア芯材に用いられる磁性酸化物(好ましくはソフトフェライト)は、一般式:MO・Feであらわされる。ここでMとしては、例えば、Fe、Mn、Mg等の金属が挙げられる。Fe、Mn、Mgは、単独使用も可能だが混合組成とすることで、キャリア芯材における磁気的特性の制御可能範囲が広くなり好ましい。
【0039】
そして、Mの原料としては、FeであればFeが好適に使用できる。MnであればMnCOが好適に使用できるが、これに限られることなくMn等も使用可能であり、MgであればMgCOが好適に使用できるが、これに限られることなくMg(OH)等も好適に使用できる。そして、これらの原料の配合比を、該磁性酸化物の目的組成と一致させて秤量し混合して、金属原料混合物を得る。
【0040】
次に、該金属原料混合物へ樹脂粒子を添加する。ここで、ポリエチレン、アクリル等の炭素系の樹脂粒子を添加する構成と、シリコーン樹脂等のシリコンを含有する樹脂の粒子を添加する構成とがある。該炭素系の樹脂粒子およびシリコンを含有する樹脂粒子とも、後述する仮焼工程にて燃焼し、該燃焼時に発生するガスによって、仮焼粉中に中空構造を生成させる点では、同一である。しかし、該燃焼後に、炭素系の樹脂粒子は仮焼粉中に中空構造を生成させるのみであるが、シリコンを含有する樹脂粒子は、燃焼後にSiOとなり生成した中空構造中に残留する。該樹脂粒子の粒径および添加量は、炭素系およびシリコン系とも、平均粒径2μm〜8μmが好ましく、添加量は全原料粉中の0.1wt%以上、20wt%以下が好ましく、最も好ましくは12wt%である。
【0041】
[粉砕・造粒]
秤量・混合したMおよびFe等の金属原料混合物および樹脂粒子を、振動ミル等の粉砕機中に導入し、粒径2μm〜0.5μm、好ましくは1μmまで粉砕する。次いで、この粉砕物に水、バインダー0.5〜2wt%、分散剤0.5〜2wt%を加えることで、固形分濃度が50〜90wt%のスラリーとし、該スラリーをボールミル等で湿式粉砕する。ここで、バインダーとしては、ポリビニルアルコール等が好ましく、分散剤としては、ポリカルボン酸アンモニウム系等が好ましい。
【0042】
造粒工程では、該湿式粉砕されたスラリーを噴霧乾燥機に導入して温度100℃〜300℃の熱風中に噴霧して乾燥させ、粒径10μm〜200μmの造粒粉を得る。得られた造粒粉は、製品最終粒径を考慮して、それに外れる粗粒および微粉を、振動ふるいで除外して粒度調整する。詳細な理由は後述するが、製品最終粒径は25μm以上、50μm以下であることが好ましいことから、当該造粒粉の粒径は15μm〜100μmに調整しておくことが好ましい。
【0043】
[仮焼]
金属原料混合物と樹脂粒子との混合造粒物を、800℃〜1000℃に加熱した炉に投入し、大気下で仮焼して仮焼品とする。このとき、樹脂粒子が燃焼し発生するガスにより造粒粉中に中空構造が形成される。樹脂粒子としてシリコンを含有する樹脂を用いた場合は、該中空構造中に非磁性酸化物であるSiOが生成する。
【0044】
[焼成]
次に、該中空構造が形成された仮焼品を、1100℃〜1250℃に加熱した炉に投入して焼成してフェライト化し焼成物とする。該焼成時の雰囲気は、金属原料の種類により適宜選択される。例えば、金属原料がFeとMn(モル比100:0〜50:50)の場合は窒素雰囲気が求められ、Fe、Mn、Mgの場合は窒素雰囲気や酸素分圧調製雰囲気が好ましく、Fe、Mn、Mgの場合であってMgのモル比が30%を超える場合は大気雰囲気でもよい。
【0045】
[解砕、分級]
得られた焼成物をハンマーミル解粒等で粗粉砕し、次に気流分級機で1次分級した。さらに振動ふるいまたは超音波ふるいにて粒度をそろえた後、磁場選鉱機にかけ、非磁性成分を除去し、キャリア芯材とした。
【0046】
[コーティング]
得られたキャリア芯材に対して樹脂コーティングを施し、磁性キャリアを製造する。コーティング樹脂としては、KR251(信越化学社製)のようなシリコーン系樹脂が好ましい。当該コーティング樹脂を適宜な溶剤(トルエン等)に、20から40wt%溶解させ、樹脂溶液を調製する。ここで、当該樹脂溶液の濃度により、キャリア芯材への被覆樹脂料を制御することができる。そして調製された樹脂溶液とキャリア芯材とを重量比で、キャリア芯材:樹脂溶液=10:1から5:1の割合にて混合した後、150℃〜250℃にて加熱撹拌して、樹脂被覆されたキャリア芯材を得る。ここで被覆される樹脂の量は、
前記キャリア芯材の0.1wt%以上、20.0wt%以下であることが好ましい。
【0047】
この樹脂被覆されたキャリア芯材を、さらに加熱して該被覆樹脂層を硬化させ、当該コーティング樹脂が被覆されたキャリア芯材である磁性キャリアを製造することができる。
ここで、磁性キャリアの最終粒径は25μm以上、50μm以下であることが好ましい。、これは当該粒径が25μm以上あれば、キャリア付着が少なく、高画質を得ることができるという観点から好ましく、50μm以下あれば、キャリア粒子のトナー保持能力が高く、べた画像の均一さ、トナー飛散量の低減、カブリが少ないという観点から好ましいからである。
さらに、該磁性キャリアと、適宜な粒径を有するトナーとを混合することで電子写真現像剤を製造することができる。
【0048】
2.シリカ粒子添加法
[秤量・混合]
本発明に係る磁性キャリアが含むキャリア芯材に用いられる磁性酸化物(好ましくはソフトフェライト)も、1.樹脂添加法で説明したものと同様であり、同様の原料と配合とを用いて金属原料混合物を得る。
【0049】
次に、該金属原料混合物へシリカ粒子を添加する。ここで、該シリカ粒子は、1.樹脂添加法で説明した樹脂粒子とは異なり、燃焼してガスを発生するとはないが、後述する焼成工程において、フェライト化する焼成物中に取り込まれる。すると、該シリカ粒子を取り込んだ焼成物は、1.樹脂添加法で説明した、「中空構造中にSiOが残留した焼成物」と類似の構造を有することとなる。ここで、本発明者らの検討によれば、該シリカ粒子の平均粒径が1μm〜10μmであり、添加量が全原料粉中の1wt%〜50wt%であると、後工程で得られるキャリア芯材において、該キャリア芯材の見掛け密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、且つ、該見掛け密度が2.0g/cm3以下となり、さらに、該キャリア芯材を用いて製造した電子写真現像剤による電子写真現像に悪影響を与えないことに想到したものである。
【0050】
[粉砕・造粒]
秤量・混合したMおよびFe等の金属原料混合物およびシリカ粒子を、振動ミル等の粉砕機中に導入し、1.樹脂添加法で説明したものと同様に粉砕し、スラリー化し、湿式粉砕した後、造粒して粒径10μm〜200μmの造粒粉を得る。1.にて説明したように、当該製造方法においても、製品最終粒径は25μm以上、50μm以下であることが好ましいことから、当該造粒粉の粒径は15μm〜100μmに調整しておくことが好ましい。
【0051】
[仮焼]
金属原料混合物とシリカ粒子との混合造粒物へは、仮焼することなく次工程の焼成を施す。
【0052】
[焼成]
金属原料混合物とシリカ粒子との混合造粒物を、1100℃〜1250℃に加熱した炉に投入して焼成してフェライト化し焼成物とする。該焼成時の雰囲気は、1.樹脂添加法で説明したものと同様である。該焼成により、シリカ粒子が取り込まれた焼成物が生成する。
【0053】
[解砕、分級]
得られた焼成物を、1.樹脂添加法で説明したものと同様に解砕、分級し、キャリア芯材とした。
【0054】
[コーティング]
得られたキャリア芯材に対して、1.樹脂添加法で説明したものと同様に樹脂コーティングを施し、該被覆樹脂層を硬化させ、磁性キャリアを製造する。
さらに、該磁性キャリアと、適宜な粒径を有するトナーとを混合することで電子写真現像剤を製造することができる。
【0055】
以上、1.樹脂添加法、および、2.シリカ粒子添加法の2法による磁性キャリアの製造について説明したが、いずれの製造においてもシリコーン樹脂またはシリカ粒子を添加した場合、該磁性キャリア中に1wt%以上、50wt%以下のシリカ分を含有することになる。この結果、磁性キャリアに含まれるキャリア芯材の見掛け密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、且つ、該見掛け密度が2.0g/cm3以下の要件を満たす多孔質低密度のキャリアを得ることができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
キャリア芯材の原料として、微粉砕したFeとMgCOとを準備する。そしてモル比でFe:MgO=80:20となるように秤量する。一方、水中へ全原料に対して10wt%に相当する平均粒径5μmのポリエチレン樹脂粒子(住友精化製LE−1080)と、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を1.5wt%、湿潤剤としてサンノプコ(株)SNウェット980を0.05wt%、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.02wt%、添加したものを準備し、ここへ先程、秤量したFe、MgCOを投入・攪拌し、濃度75wt%のスラリーを得た。このスラリーを湿式ボールミルにて湿式粉砕し、しばらく攪拌した後、スプレードライヤーにて該スラリーを噴霧し、粒径10μm〜200μmの乾燥造粒品を製造した。この造粒品から、網目61μmの篩網を用いて粗粒を分離した後、大気中で900℃に加熱して仮焼し、樹脂粒子成分を分解させた。その後1160℃、窒素雰囲気下で5時間焼成し、フェライト化させた。このフェライト化した焼成品をハンマーミルで解砕し、風力分級機を用いて微粉を除去し、網目54μmの振動ふるいで粒度調整してキャリア芯材を得た。
【0057】
次に、シリコーン系樹脂(商品名:KR251、信越化学製)をトルエンに溶解させてコーティング樹脂溶液を準備した。そして、前記キャリア芯材と該樹脂溶液とを重量比でキャリア芯材:樹脂溶液=9:1の割合にて撹拌機に導入し、樹脂溶液にキャリア芯材を3時間浸漬しながら150℃〜250℃にて加熱撹拌した。これにより、該樹脂がキャリア芯材重量に対し1.0wt%の割合でコーティングされた。この樹脂被覆されたキャリア芯材を熱風循環式加熱装置に設置し、250℃で5時間加熱を行い、該被覆樹脂層を硬化させて、実施例1に係る磁性キャリアを得た。
【0058】
(実施例2)
ポリエチレン樹脂粒子を全原料に対して0.1wt%添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る磁性キャリアを得た。
【0059】
(実施例3)
ポリエチレン樹脂粒子を全原料に対して20wt%添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る磁性キャリアを得た。
【0060】
(実施例4)
キャリア芯材の原料として微粉砕したFeとMgCO以外にMnCOを加え、モル比でFe:MnO:MgO=52:34:14となるように秤量した以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る磁性キャリアを得た。
【0061】
(実施例5)
ポリエチレン樹脂粒子を、シリコンを含有する樹脂である平均粒径2.4μmのシリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン(株)製トスパール120)に変更し、焼成温度を1200℃で行なった以外は、実施例2と同様にして、実施例5に係る磁性キャリアを得た。
【0062】
(実施例6)
キャリア芯材の原料としてMgCOを省き、微粉砕したFeとMnCOを加え、モル比でFe:MnO=65:35となるように秤量し、焼成温度を1160℃で行なった以外は、実施例5と同様にして、実施例6に係る磁性キャリアを得た。
【0063】
(実施例7)
ポリエチレン樹脂粒子を、シリコンを含有する樹脂である平均粒径2.4μmのシリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン(株)製トスパール120)に変更し、焼成温度を1180℃で行なった以外は、実施例4と同様にして、実施例7に係る磁性キャリアを得た。
【0064】
(実施例8)
キャリア芯材の原料としてMgCOを省き、微粉砕したFeとMn4を加え、モル比でFe:MnO=65:35となるように秤量し、焼成温度を1130℃で行なった以外は、実施例3と同様にして、実施例8に係る磁性キャリアを得た。
【0065】
(実施例9)
ポリエチレン樹脂粒子を、シリコンを含有する樹脂である平均粒径2.4μmのシリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン(株)製トスパール120)に変更し、焼成温度を1160℃で行なった以外は、実施例8と同様にして、実施例9に係る磁性キャリアを得た。
【0066】
(実施例10)
キャリア芯材の原料として微粉砕したFeとMn以外にMg(OH)を加え、モル比でFe:MnO:MgO=52:34:14となるように秤量し、焼成温度条件を1180℃とした以外は、実施例9と同様にして、実施例10に係る磁性キャリアを得た。
【0067】
(実施例11)
キャリア芯材の原料として、微粉砕したFeとMg(OH)とを準備する。そしてモル比でFe:MgO=80:20となるように秤量する。一方、水中へ全原料に対して20wt%に相当する平均粒径4μmのシリカ粒子(SIBELCO社製 SIKRON M500)と、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を1.5wt%、湿潤剤としてサンノプコ(株)SNウェット980を0.05wt%、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.02wt%、添加したものを準備し、ここへ先程、秤量したFe、Mg(OH)を投入・攪拌し、濃度75wt%のスラリーを得た。このスラリーを湿式ボールミルにて湿式粉砕し、しばらく攪拌した後、スプレードライヤーにて該スラリーを噴霧し、粒径10μm〜200μmの乾燥造粒品を製造した。この造粒品から、網目25μmの篩網を用いて粗粒を分離した後、1150℃、窒素雰囲気下で5時間焼成し、フェライト化させた。このフェライト化した焼成品をハンマーミルで解砕し、風力分級機を用いて微粉を除去し、網目54μmの振動ふるいで粒度調整してキャリア芯材を得た。
【0068】
次に、該キャリア芯材へ、実施例1と同様にして、シリコーン系樹脂をコーティングし、硬化させて実施例11に係る磁性キャリアを得た。
【0069】
(実施例12)
キャリア芯材の原料としてMg(OH)を省き、微粉砕したMnを加え、モル比でFe:MnO=80:20となるように秤量した以外は、実施例11と同様にして、実施例12に係る磁性キャリアを得た。
【0070】
(実施例13)
シリカ粒子を全原料に対して40wt%添加した以外は、実施例12と同様にして、実施例13に係る磁性キャリアを得た。
【0071】
(実施例14)
焼成温度を1110℃とした以外は、実施例11と同様にして、実施例14に係る磁性キャリアを得た。
【0072】
(実施例15)
焼成温度を1140℃とした以外は、実施例11と同様にして、実施例15に係る磁性キャリアを得た。
【0073】
(実施例16)
Mg(OH)をMgCOに代替し、焼成温度を1170℃とした以外は、実施例11と同様にして、実施例16に係る磁性キャリアを得た。
【0074】
(実施例17)
キャリア芯材の原料としてMg(OH)を省き、微粉砕したMnを加え、モル比でFe:MnO=57:43となるように秤量し、シリカ粒子を全原料に対して5wt%添加し、焼成温度を1100℃とした以外は、実施例11と同様にして、実施例17に係る磁性キャリアを得た。
【0075】
(実施例18)
シリカ粒子を全原料に対して10wt%添加し、焼成温度を1070℃とした以外は、実施例17と同様にして、実施例18に係る磁性キャリアを得た。
【0076】
(実施例19)
シリカ粒子を全原料に対して20wt%添加し、焼成温度を1170℃とした以外は、実施例17と同様にして、実施例19に係る磁性キャリアを得た。
【0077】
(実施例20)
シリカ粒子を全原料に対して40wt%添加し、焼成温度を1140℃とした以外は、実施例17と同様にして、実施例20に係る磁性キャリアを得た。
【0078】
(実施例21)
シリカ粒子を全原料に対して60wt%添加し、焼成温度を1130℃とした以外は、実施例17と同様にして、実施例20に係る磁性キャリアを得た。
【0079】
(比較例1)
ポリエチレン樹脂粒子を添加せず、且つ、仮焼をしない以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る磁性キャリアを得た。
【0080】
(比較例2)
キャリア芯材の原料として微粉砕したFeとMgCOとを、モル比でFe:MgO=75:25となるように秤量した以外は、比較例1と同様にして、比較例2に係る磁性キャリアを得た。
【0081】
(比較例3)
ポリエチレン樹脂粒子を添加せず、且つ、仮焼をしない以外は、実施例4と同様にして、比較例3に係る磁性キャリアを得た。
【0082】
(比較例4)
ポリエチレン樹脂粒子を添加しない以外は、実施例4と同様にして、比較例4に係る磁性キャリアを得た。
【0083】
(比較例5)
シリコーン樹脂粒子を添加しない以外は、実施例10と同様にして、比較例5に係る磁性キャリアを得た。
【0084】
(比較例6)
シリコーン樹脂粒子を添加せず、仮焼をせず、焼成温度を1160℃で行なった以外は、実施例9と同様にして、比較例6に係る磁性キャリアを得た。
【0085】
(実施例1〜21、比較例1〜6のまとめ)
上記実施例および比較例の製造条件の一覧表を表1に示し、製造された各キャリア芯材の物性値の一覧表を表2に示した。
但し、見掛け密度測定は、JIS−Z2504:2000に準拠して行った。真密度測定は、QUANTA CHROME製ピクノメータ1000を用いて測定した。比表面積BET(0)は、ユアサアイオニクス製ソーブU2を用いて測定した。球形換算比表面積BET(D)は、まず、日機装(株)製マイクロトラックHRAを用いてcs値(Calculated Specific Surfaces Area)を測定し、該cs値を真密度で割り返して算定した。尚、表2において、BET(0)/BET(D)の値を指標Bとして示した。平均粒径は、日機装(株)製マイクロトラックHRAにより測定した。飽和磁化および保持力は、室温専用振動試料型磁力計(VSM)(東英工業株式会社製)により測定した。非磁性分(シリカ)分は、JIS規格(JIS G 1212)に準じた方法により測定した。
【0086】
さらに、各実施例および比較例にかかる磁性キャリアと、粒径1μm程度の市販トナーとを混合して電子写真現像剤を製造し、該電子写真現像剤を用いて画像評価試験を行った。その結果を表3に記載する。尚、評価において、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は使用可能なレベル、×は使用不可なレベルとした。
【0087】
表2において、指標Aが低いほど、キャリア芯材の密度が低減できているといえ、指標Bが3.0以上であれば、見掛けの粒径から計算される比表面積より実際の比表面積が大きいことになるので、キャリア内部に、微細な中空構造が形成され、10以下であれば十分な量の中空構造が形成されているといえる。従って、実施例1〜10は、比較例1〜6に比較して指標Aの値が低いことから、原料組成の違いを超えてキャリア芯材の密度が低減できていることがわかる。また、指標Bの値についても実施例1〜21は、比較例1〜6に比較して好ましい範囲に収まっており、原料組成の違いを超えてキャリア芯材の内部に微細な中空構造が十分に形成されていることが判明した。
【0088】
さらに、実施例5〜7、9、10においては、シリコーン樹脂粒子を加えているため、仮焼時に該シリコーン樹脂中のSi成分がSiO粒子となり、該SiO粒子がフェライト組成と複合化された結果、キャリア芯材の真比重において、さらに低いものが製造できた。また、実施例11〜21においても、シリカ粒子がフェライト組成に取り込まれて複合化された結果、キャリア芯材の真比重において低いものが製造できた。
【0089】
表3に示した画像評価試験結果より、次のことが判明した。
まず、初期画像特性においては、比較例1の画質を除き、実施例・比較例ともに非常に良好または良好なレベルであった。そして、50K枚において、実施例は、非常に良好または良好なレベルを維持したが、比較例1〜6ではレベルが低下し始めた。100K枚においては、実施例にも一部レベルの低下が見られたが、比較例1〜6では、全ての例において、いずれかの項目において使用不可レベルとなり、交換時期を超過していることが判明した。さらに、150K枚において、実施例1〜21に使用不可レベルのものはなかったが、比較例1〜6は使用不可レベルにあることが判明した。
【0090】
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真現像剤用キャリアに用いられるキャリア芯材であって、
該キャリア芯材の見掛け密度/真密度=Aとしたとき、0.25≦A≦0.40であり、且つ、見掛け密度が2.0g/cm以下であることを特徴とする電子写真現像用キャリア芯材。
【請求項2】
該キャリア芯材において、BET法で測定した比表面積の値をBET(0)、湿式分散型粒度分布測定機より求められるcs値を真密度で割り返して求めた球形換算比表面積の値をBET(D)としたとき、
BET(0)≧0.07m/g、且つ、3.0≦BET(0)/BET(D)≦10.0であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像用キャリア芯材。
【請求項3】
該キャリア芯材が、磁性酸化物と、真比重3.5以下の非磁性酸化物とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項4】
該磁性酸化物が、ソフトフェライトであることを特徴とする請求項3に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
【請求項5】
該キャリア芯材中に、前記非磁性酸化物が1wt%以上、50wt%以下含有されていることを特徴とする請求項3または4に記載の電子写真現像用キャリア芯材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材を樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリア。
【請求項7】
前記樹脂の被覆量が、前記キャリア芯材の0.1wt%以上、20.0wt%以下であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真現像用キャリア。
【請求項8】
平均粒径が、25μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真現像剤用キャリア。
【請求項9】
1wt%以上、50wt%以下のシリカを含むことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【請求項10】
請求項6から9のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリアを含むことを特徴とする電子写真現像剤。
【請求項11】
1種または2種以上の金属元素Mの、炭酸塩、酸化物、水酸化物から選択される1種または2種以上と、Feとを混合し、粉砕して粉砕物を得る工程と、
該粉砕物へ、樹脂粒子と、水と、バインダーと、分散剤とを加えてスラリーとした後、湿式粉砕し、さらに乾燥させて、造粒粉を得る工程と、
該造粒粉を仮焼して、仮焼品を得る工程と、
該仮焼品を焼成して、焼成物を得る工程と、
該焼成物を粉砕してキャリア芯材を得る工程と、を有することを特徴とする電子写真現像用キャリア芯材の製造方法。
【請求項12】
該粉砕物へ加える樹脂粒子として、シリコンを含有する樹脂粒子を用いることを特徴とする請求項11に記載の電子写真現像用キャリア芯材の製造方法。
【請求項13】
1種または2種以上の金属元素Mの、炭酸塩、酸化物、水酸化物から選択される1種または2種以上とFeとを混合し、粉砕して粉砕物を得る工程と、
該粉砕物へ、シリカ粒子と、水と、バインダーと、分散剤とを加えてスラリーとした後、湿式粉砕し、さらに乾燥させて、造粒粉を得る工程と、
該造粒粉を焼成して、焼成物を得る工程と、
該焼成物を粉砕してキャリア芯材を得る工程と、を有することを特徴とする電子写真現像用キャリア芯材の製造方法。

【公開番号】特開2007−34249(P2007−34249A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285652(P2005−285652)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【出願人】(000224802)DOWA IPクリエイション株式会社 (96)
【Fターム(参考)】