説明

電子写真用シームレスベルトとその製造方法、シームレスベルトを用いた中間転写ベルト及び電子写真装置

【課題】環境に配慮した生産性の良好な製造方法により、表面物性が制御され、虫食いなどの異常画像の発生がなく、高品質画像が形成できる電子写真用シームレスベルト(特にフルカラー用中間転写ベルト)及びそれを用いた電子写真装置を提供する。
【解決手段】例えば、遠心成形法によりカーボンブラック(充填材)と(ポリイミド)樹脂を含有するシームレス状のベルト基材を形成し、該ベルト基材を、注入槽4中で低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素に接触させて、前記低分子化合物を該ベルト基材中に注入してシームレスベルトとし、そのベルト表面の水に対する接触角を90度以上に制御する。得られたシームレスベルトを電子写真装置に装備されるベルト構成部に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真に用いられるシームレスベルト及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、表面物性が制御され、虫食いなどの異常画像の発生がなく高品質画像が形成できるシームレスベルトと、環境や生産性に配慮したシームレスベルトの製造方法、並びにシームレスベルトを用いた電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置においては、その装置内においてさまざまな用途でシームレスベルト部材が用いられている。例えば、定着ベルト、転写ベルト、紙搬送ベルトなどが挙げられる。
その中でも、フルカラー電子写真装置において、感光体上に形成された4色のトナー画像を一旦、中間転写ベルトに転写することにより中間転写ベルト上にフルカラー画像を形成し、その後に紙などの転写媒体に一括転写する方式(以下、「本方式」と称することがある。)における中間転写ベルトがある。中間転写ベルトは、複写機のフルカラー化が進み需要が急増している。中間転写ベルトとしては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴムやエラストマーなどの材料が使用されている。
【0003】
しかしながら、本方式においては、高速性を得るため、中間転写ベルトに対向するように各色の色現像装置を直列に配置した方式、いわゆるタンデム方式が主流となっている。
本方式のプロセスに使用される中間転写ベルト基材としては、走行中においてベルト変形による色重ねずれが生じず、繰返し使用に耐えうる高強度のものが要求され、また、難燃性も要求されるため、ポリイミド樹脂やポリアミドイミドが好ましく用いられている。また、ポリイミド樹脂をベースとして、表面特性を改良する目的で積層構成としたものや、ゴムやエラストマーなどの弾性層を積層する構成のものもある。
【0004】
いずれの構成にしても、中間転写ベルトにおいては、その表面にトナー画像を形成し、それを紙などの転写材にトナー画像を移す(転写する)ため、ベルト表面はトナーとの離型性に優れることが求められる。離型性が悪いと、転写時に紙に転写できず、画像の一部が抜けてしまう、中抜け、いわゆる虫食い画像となってしまう。このような虫食い画像を生じない方法として、表面の濡れ性を規定することが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、トナーとの帯電性を適正な帯電列とし、かつ水との接触角を規定している。また、特許文献2あるいは3では、ポリイミド基材上にコート層を設け、接触角を規定している。
さらに、特許文献4あるいは5では、ポリイミド中にフッ素粒子を含有させることにより接触角を規定値にすることが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3の提案ではいずれも表面層を設けるベルト構成としているため、生産性が悪くコスト高となったり、層間接着性による不良が発生する等の点で難点がある。
一方、上記特許文献4または5の提案、すなわち、ポリイミド中にフッ素粒子を直接分散させる方法では、接触角における規定値を実現できるが、フッ素粒子の分散性が良くないため、例えば、電気抵抗を調整するために用いるカーボンブラックの分散性を損なったり、磨耗しやすく耐久性がないといった問題があった。また、ポリイミドを用いる場合、その作製が高温で行われるために、耐熱性の点から使用できるフッ素粒子の材料選定に制約があり限定的であった。
【0007】
【特許文献1】特開平9−230714号公報
【特許文献2】第3613306号公報
【特許文献3】特開2001−242725号公報
【特許文献4】特開平11−231684号公報
【特許文献5】特開2004−157221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、環境に優しく、かつ生産性が良好な製造方法により、濡れ性などの表面物性が制御され、中抜け(虫食い)などの異常画像の発生がなく、高品質画像の形成が実現できる電子写真用シームレスベルト、特にフルカラー用中間転写ベルトを提供すると共に、前記電子写真用シームレスベルトを用いた電子写真装置を提供することを目的とする。なお、シームレスベルトの表面物性における濡れ性(表面の水に対する接触角)として、90°(度)以上を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、充填材を含有する樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)により構成されるシームレス状のベルト基材(例えば、中間転写ベルト用)を、低分子化合物を溶解した超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させることで、ベルト基材中に低分子化合物が注入され、上記目的が効果的に実現できることを見出した。すなわち、以下の〔1〕〜〔12〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0010】
〔1〕:上記課題は、少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトの製造方法であって、前記シームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上であり、かつ、
少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材を、低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させる超臨界流体処理工程と、により前記低分子化合物を該ベルト基材中に注入することを特徴とする電子写真用シームレスベルトの製造方法により解決される。
【0011】
〔2〕:上記〔1〕に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法において、前記低分子化合物が、疎水性基を有する化合物であることを特徴とする。
【0012】
〔3〕:上記〔2〕に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法において、前記疎水性基を有する化合物が、長鎖脂肪族炭化水素基を有する化合物、フルオロ炭化水素基を有する化合物、及び炭化水素置換シロキシ基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする。
【0013】
上記〔2〕、〔3〕によれば、疎水性基を有する化合物が超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を介して容易にベルト基材中に注入され、確実にシームレスベルト表面の水に対する接触角が90度以上に制御される。これにより、トナーとの離型性が好適なものとされて虫食いなどの異常画像の発生が防止され、高品質画像の形成が可能なシームレスベルトを製造することができる。
【0014】
〔4〕:上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法において、前記樹脂が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする。
【0015】
ポリイミド樹脂を用いることにより、耐久性、難燃性、耐熱性、機械的特性に優れた、シームレスベルトを製造することができる。
〔5〕:上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法において、前記充填材が、電気抵抗調整機能を有することを特徴とする。
【0016】
電気抵抗調整機能を有する充填材を用いることにより、例えば、中間転写ベルトを所定の電気抵抗値に調整することができ、要求される転写性能を発揮することができるシームレスベルトを製造することができる。
【0017】
〔6〕:上記課題は、少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトであって、前記シームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上であり、かつ、
前記低分子化合物が、少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材を、低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させる超臨界流体処理工程と、により該ベルト基材中に注入されたものであることを特徴とする電子写真用シームレスベルトにより解決される。
【0018】
〔7〕:上記〔6〕に記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記低分子化合物が、疎水性基を有する化合物であることを特徴とする。
【0019】
〔8〕:上記〔7〕に記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記疎水性基を有する化合物が、長鎖脂肪族炭化水素基を有する化合物、フルオロ炭化水素基を有する化合物、及び炭化水素置換シロキシ基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする。
【0020】
上記〔7〕、〔8〕のシームレスベルトによれば、疎水性基を有する化合物が超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を介して容易にベルト基材中に注入され、確実にシームレスベルト表面の水に対する接触角が90度以上に制御されるため、トナーとの離型性が良好で繰り返し使用においても虫食いなどの異常画像の発生が防止され、高品質画像の形成が可能である。
【0021】
〔9〕:上記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記樹脂が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする。
【0022】
ポリイミド樹脂を用いたシームレスベルトとすることにより、耐久性、難燃性、耐熱性、機械的特性が向上する。
【0023】
〔10〕:上記〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記充填材が、電気抵抗調整機能を有することを特徴とする。
【0024】
電気抵抗調整機能を有する充填材を用いたシームレスベルトとすることにより、例えば、中間転写ベルトを所定の電気抵抗値に調整することができ、要求される転写性能を発揮することができ、繰り返し使用においても高品質画像の形成が可能である。
【0025】
〔11〕:上記課題は、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置に装備される該中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトは、〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトであることを特徴とする中間転写ベルトにより解決される。
【0026】
〔12〕:上記課題は、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する該中間転写ベルトを装備した電子写真装置であって、
前記中間転写ベルトは、〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトであることを特徴とする電子写真装置により解決される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の電子写真用シームレスベルトの製造方法によれば、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を介し(超臨界流体処理工程)、シームレス状のベルト基材に直接低分子化合物を注入するため、溶液法による場合のような分散性の問題もなく、また特性へ悪影響を与えることがなく、シームレスベルト表面の水に対する接触角を90度以上にすることができる。また、超臨界流体処理工程によるため、製造効率が向上し、さらに廃棄物質の削減や省資源化により地球環境への負荷低減を可能にすることができる。
本発明の電子写真用シームレスベルトによれば、上記製造方法により、表面物性が制御されてシームレスベルト表面の水に対する接触角が90度以上とされ、トナーとの離型性に優れ、しかもベルト表面や裏面が平滑で光沢のある良好な表面性を有するものであるため、繰り返し使用においても虫食いなどの異常画像の発生がなく、安定して高品質画像が形成できる。
本発明の中間転写ベルトによれば、高速のフルカラー印刷装置(例えば、タンデム方式の装置)に搭載しても、繰返し使用に耐え、しかもベルト表面はトナーとの離型性に優れるために虫食い画像などの異常画像を生じず安定して高品質画像が形成できる。
本発明の電子写真装置によれば、高速、かつフルカラー印刷においても、長期に渡って虫食いなどの異常画像の発生がない高品質画像が安定して形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
前述のように本発明における、電子写真用シームレスベルトの製造方法は、少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトの製造方法であって、前記シームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上であり、かつ、
少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材を、低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させる超臨界流体処理工程と、により前記低分子化合物を該ベルト基材中に注入することを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明における、電子写真用シームレスベルトは、少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトであって、前記シームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上であり、かつ、
前記低分子化合物が、少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材を、低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させる超臨界流体処理工程と、により該ベルト基材中に注入されたものであることを特徴とするものである。
【0030】
すなわち、本発明においては、シームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材中に低分子化合物を注入する超臨界流体処理工程とにより、少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトを製造し、そのシームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上となるように制御するものである。製造方法においては、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を介し、シームレス状のベルト基材に直接低分子化合物を注入するため、従来のような分散性の問題がなく、また特性へ悪影響を与えることもない。しかも、製造効率を向上し、廃棄物質の削減や省資源化により地球環境への負荷低減を可能にすることができる。以下、詳細を説明する。
【0031】
本発明で用いる電子写真用シームレスベルトに用いる樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ABSやPVdF、ETFE等のフッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、エステル系、オレフィン系、アミド系、ジエン系、シリコン系等の熱可塑性エラストマー、エポキシ系、フェノール系、ウレタン系、イミド系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂、その他、アクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムなどのものが使用される。
この中でも特に中間転写ベルト用途として、耐久性、難燃性の面で優れるフッ素系樹脂、イミド系樹脂が好ましく用いられる。さらに、耐熱性に加え、機械的特性に優れた、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂が好ましく適用される。
【0032】
前述のように、少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材(以降、単に「ベルト基材」と称することがある。)は、少なくとも充填材、樹脂を含有する溶液、例えば、有機極性溶媒中にポリイミド前駆体と充填材を含む溶液を塗工液とし、該塗工液を円筒状等の型に塗布して所定形状のベルト基材に成形されるものが好ましく用いられる。
以下、塗工液の組成分である樹脂として好ましく用いられるポリイミド樹脂を例に挙げて説明する。
【0033】
ポリイミド前駆体の加熱処理(イミド化)により生成するポリイミドについて詳しく説明する。
本発明に用いられるポリイミドは、まず一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。すなわち、ポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンから、まず有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、またはポリアミド酸)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行われ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとする。反応の概略を下記化学反応式(I)に示す。
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、Ar1は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、Ar2は少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を示す。)
【0036】
上記芳香族多価カルボン酸無水物の具体例としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0037】
次に、芳香族多価カルボン酸無水物と反応させる芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
【0038】
上記芳香族多価カルボン酸無水物成分とジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得ることができる。
ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独あるいは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
【0039】
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、まず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種あるいは複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、あるいはスラリー状に拡散させる。この溶液に前記した少なくとも1種の芳香族多価カルボン酸無水物あるいは、その誘導体を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
【0040】
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、まず芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体を有機溶媒に溶解または拡散させておき、この溶液中に前記ジアミンを添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
【0041】
上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と、芳香族ジアミン成分とを、およそ等モルの割合で配合して有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
【0042】
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)は、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態の、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
【0043】
合成あるいは入手したポリアミック酸溶液に、後述する充填材を混合・分散して塗工液が調製される。塗工液を後述のように支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行われ、ベルト基材が形成される。
【0044】
すなわち、ポリアミック酸は、加熱する方法(1)、または化学的方法(2)によってイミド化することができる。
加熱する方法(1)は、ポリアミック酸を200〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。
一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱する方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。
【0045】
しかしながら最近では、(2)の方法の一種であるが、イミダゾールやキノリンなどのアミン類を触媒としてワニスに含有させることによって乾燥時におけるイミド化を促進させる方法がとられることも多い。ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱してイミド化を完結させることが必要であるが、前記触媒を用いると、より低温でイミド化が促進され、機械的耐久性も向上すると言われている。しかし、これらの触媒は極少量であり、乾燥中に分解・昇華するものもあるが、不純物として残留するものもあり好ましくない。
【0046】
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行われているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フ−リエ変換赤外分光法(FT-IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフ−リエ変換赤外分光法(FT-IR法)は最も一般的な方法である。
【0047】
フ−リエ変換赤外分光法(FT-IR法)では、イミド化率を、例えば、次のように定義する。
すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表される。
イミド化率=[(A)/(B)]×100
【0048】
この定義におけるイミド基のモル数は、FT-IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
【0049】
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm-1との吸光度比。
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm-1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比。
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比。
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1とアミド基の特性吸収1,670cm-1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比。
また、3000〜3300cm-1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
【0050】
本発明においては、前記のようなポリイミド前駆体溶液だけでなく、あらかじめイミド化されており、かつ有機極性溶媒に可溶であるいわゆる溶剤可溶ポリイミドを用いることもできる。このようなものとしては、リカコート(新日本理化)、ブロック共重合ポリイミド(ピーアイ技研等がある。
【0051】
本発明の塗工液では、上記ポリイミドのみならず、必要に応じて他の樹脂成分を含有してもよい。また、レベリング剤、滑剤、酸化防止剤、触媒等の種々の添加剤を用いてもよい。
【0052】
次に、本発明においてベルト基材を形成するために用いられる塗工液の組成分として含有される充填材について説明する。
充填材としては、有機、無機の一般的なものが使用可能である。本発明におけるシームレスベルト、特に、中間転写ベルトとして用いる場合には充填材として電気抵抗調整機能を有する電気抵抗調整材(以下、抵抗調整剤と略称する。)を用いる。抵抗調整材は、中間転写ベルトを所定の抵抗値に調整する必要上、添加が欠かせない。
【0053】
抵抗制御剤としては、カーボンブラック、黒鉛、あるいは、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属や、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末などが挙げられる。
また、これらにイオン電導性抵抗制御剤として、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムなどを用いてもよい。また導電性高分子であるポリエーテルアミドやポリエーテルエステルアミド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどを用いてもよい。なお、本発明における抵抗制御剤は、これらの例示化合物に限定されるものではない。
【0054】
本発明においては、上記抵抗制御剤のうち、カーボンブラックが好ましく用いられる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラク、ケッチェンブラック、チャネルブラック、アセチレンブラックなどのものが使用できるが、これらの表面を酸化処理した酸化処理カーボンブラックが好ましい。
また、必要に応じて分散助剤を用いてもよい。さらには、カーボンブラックの表面官能基と、その官能基と反応性を有する有機化合物とを反応させて表面処理したものでもよい。
【0055】
次に、前記ポリイミド前駆体を含む塗工液を用いてシームレス状のベルト基材を製造する工程(シームレス状のベルト基材形成工程)について説明する。
この工程をさらに細分すると、塗工液に必要に応じて抵抗調整剤を分散させる工程、該工程により調製された塗工液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する工程、該支持体に塗布・流延された塗膜中の溶媒を加熱により除去する工程、昇温加熱して塗膜中に含まれる前駆体のイミド化を促進する工程、形成された薄膜を支持体から離型する工程、離型された薄膜をシームレス状のベルト基材とする工程からなる。
ることにより製造される。
【0056】
抵抗調整剤を分散させる工程では、ポリイミド前駆体溶液に直接抵抗制御剤を分散・混合させる方法、または、あらかじめ溶媒に抵抗制御剤を分散させてからポリイミド前駆体溶液と混合させる方法がある。ここでは、抵抗制御剤としてカーボンブラクを分散させる方法を例として説明する。なお、下記は一例でありこれに限定されるものではない。
【0057】
N−メチル−2−ピロリドンにカーボンブラックとポリイミド前駆体少量を混合し、ジルコニアビーズを用いて、ボールミルやペイントシェーカー、ビーズミル等にて所定時間分散させる。ある程度の粒径に分散された後、取り出した液を分散液とする。該分散液にポリイミド前駆体溶液を混合することにより所定のカーボンブラック濃度になるように希釈する。このときの混合方法としては、遠心式攪拌機、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、遊星式攪拌機などを用いて行なうことができる。
必要に応じて、レベリング剤や触媒などの添加剤をこのときに添加することもできる。また、攪拌後は真空脱泡機などを用いて脱泡することが好ましい。
【0058】
次に、上記作製の塗工液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する工程について説明する。まず、支持体として、遠心成形による成形型(遠心成形型)を用いる場合を例として説明する。以下の説明は、一例であり条件などこれに限定されるものではない。
遠心成形型は円筒状の回転体から構成されるものであり、この円筒状の回転体をゆっくりと回転させながら、その円筒内面に塗工液を全体に均一になるように塗布・流延し、塗膜を形成する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持しながら所望の時間、回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで常温に戻し、支持体ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移して、250℃〜400℃程度の高温加熱処理(焼成)を施し、十分にポリイミド前駆体のイミド化を行う。イミド化が完了後、徐冷して薄膜を型から剥離する。このようにしてシームレス状のベルト基材が形成される。なお、型には、薄膜が剥離しやすいようにするため、離型剤または離型層を形成しておくことが好ましい。
【0059】
このようにして作製されるポリイミド樹脂からなるシームレス状のベルト基材における表面エネルギー指標である水に対する接触角(濡れ性)は、一般的に60〜80度程度であり、高い値とは言えず、このままの状態では本発明において課題としている90度以上を満たすことができない。
従って、上記シームレス状のベルト基材をそのまま用いた場合、トナーに対する離型性も不十分であり、転写不良から虫食い画像を発生することがある。
そこで、これを改善するためにフッ素微粒子を含有させる方法もあるが、分散性が悪く、良質なベルトを得ることが難しい。また、シームレス状のベルト基材の表面をフッ素樹脂などの疎水性樹脂で被覆することも考えられるが、これもコスト高となり好ましくない。
また、フッ素系またはシリコン系の樹脂やフッ界面活性剤を含有させることも考えられるが、ポリイミド樹脂との親和性が悪いため、ごく少量しか含有できなかったり、ポリイミド乾燥時の高い温度により熱分解し、効果が得られなかったりする。さらには、含有する抵抗調整剤であるカーボンブラックの分散性に悪影響を及ぼし電気特性を悪化させることもある。さらには、上記のような遠心成形を行うと、フッ素やシリコン系添加剤は、乾燥時に円筒型の内面に形成される薄膜の空気面に偏在しやすくなる。すなわち、転写ベルトとして用いる場合の裏面に相当する部分に偏在し、表面性を改善することができない。
このため、遠心成形のような円筒型の内面を利用して成形するのではなく、円筒型の外周に塗布して成形する方法を採用する必要が生じ、成形を難しくする。
【0060】
本発明においては、前記形成した少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材を、超臨界流体処理工程、いわゆる超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を介する(超臨界二酸化炭素場または亜臨界二酸化炭素場を用いる)ことによって効果的、かつ効率良く処理して、低分子化合物をベルト基材中に注入し、シームレスベルト表面の水に対する接触角を90度以上にするものである。
次に、前述のようにして作製されるシームレスベルトの超臨界二酸化炭素による処理(超臨界流体処理)について説明する。
【0061】
特定の低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素場に前記シームレス状のベルト基材を置き、その流体の種類・圧力・温度条件を調整することによって、ベルト基材中に、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に溶解している低分子化合物を注入させることができる。
【0062】
超臨界流体の中でも臨界温度が常温に近い二酸化炭素が好ましい。超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素処理の好ましい条件としては、温度は、30〜200℃、圧力としては、7.1〜60MPaである。
シームレス状のベルト基材への低分子化合物の注入量は、超臨界二酸化炭素中または亜臨界二酸化炭素中に溶解させる量、圧力、温度、接触時間(流量)などによって適宜制御する。低分子化合物の溶解性や注入性を向上させるために前記超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に加え、必要に応じて他の液体(エントレイナー)を併用することもできる。
【0063】
処理に用いられる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図1の概略構成図に示すような装置が用いられる。
構成としては、図1に示すように、超臨界流体処理を施すための耐圧容器(注入槽)4と、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を供給する加圧ポンプ(高圧送液ポンプ)1と、減圧バルブ7にて減圧後、抽出した残留物を含むガスを抽出物とガスとに分離する分離槽9と、を備えた装置が好適に挙げられる。
なお、図1において符号2はストップバルブ、3はフィルター、5はスターラー、6はフィルター、7は減圧バルブ、8は流量計、Tは温度計、Pは圧力計を示す。
【0064】
上記装置を用いた処理方法としては、まず、前記耐圧容器にシームレス状のベルト基材と超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に溶解可能な低分子化合物を仕込む。次に、該耐圧容器内に加圧ポンプにより前記超臨界二酸化炭素を供給し、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に低分子化合物を溶解し、これをベルト基材に接触させ、低分子化合物をベルト基材中に注入させる。
この時の圧力・温度条件は、前述した範囲の条件にて、低分子化合物がシームレスベルト中に効果的に注入する条件を選んで超臨界流体処理を実施する。前記超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を、常温及び常圧下に戻し、耐圧容器内から充填材、樹脂、及び低分子化合物を含むシームレスベルトを取り出す。
【0065】
上記方法によれば、ベルト基材中に効果的に低分子化合物を注入することができる。この低分子化合物、特に疎水性基を有する化合物を適宜選択することにより、シームレスベルト、特にポリイミドシームレスベルト表面の水に対する接触角を90度以上にすることが可能である。また、本超臨界流体処理では、ベルトの表面だけでなく裏面からも処理が行われるため、より効果的である。
【0066】
前記低分子化合物としては、吸湿膨張を防止する化合物であることが好ましい。このような吸湿膨張を防止する低分子化合物としては、数平均分子量として1万以下の化合物で、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に溶解し、ポリイミドに浸透するものであればよいが、水の接触角を90度以上にするものとしては疎水性基(以下、「疎水基」と称することがある。)を有する化合物が好ましい。
疎水性基を有する化合物としては、具体的には、長鎖脂肪族炭化水素基やフッ素基、シロキサン基を有するもの、すなわち、長鎖脂肪族炭化水素基を有する化合物、フルオロ炭化水素基を有する化合物、及び炭化水素置換シロキシ基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
【0067】
長鎖脂肪族炭化水素基を有する化合物(長鎖脂肪族炭化水素基含有化合物)としては、例えば、天然ワックスとして、フィッシャー・トロプシュワックス、亜麻蝋、カンデリラ蝋、パーム蝋、ヌカ蝋、ジョジョバ蝋、木蝋、綿蝋、サトウキビ蝋等の植物系ワックスや、たとえば蜜蝋、鯨蝋、ラノリン、セラック蝋等の動物系ワックスや、たとえばオゾケライト、セレシン、モンタンワックス等の鉱物系ワックスや、たとえばミクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ペデロラタム等の石油ワックスなどを挙げることができる。
【0068】
また、合成ワックスとして、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを挙げることができる。
また、変性ワックスとしては、例えば、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、ミクロクリスタンワックス誘導体等の鉱物系ワックスまたは石油ワックスの変性物や硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体、脂肪酸アミド、脂肪酸一価アルコールエステル、脂肪酸高アルコールエステル、脂肪酸アミン、ワックス状ジアルキルケトン等の動物系油脂の変性物などを挙げることができる。
また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸類なども適用可能である。さらに、長鎖脂肪族炭化水素基を導入した誘導体を用いることもできる。
【0069】
炭化水素置換シロキシ基を有する化合物(シリコン系化合物)としては、例えば、シリコンオイル、変性シリコンオイル、シリコン系界面活性剤、シリコンワックス、シリコン樹脂、シリコンゴムなどがある。この他ポリジメチルシロキサン基を有する誘導体を用いることができる。
フルオロ炭化水素基を有する化合物(フッ素系化合物)としては、フッ素系界面活性剤、フッ素樹脂、フッ素ゴム、フッ素変性化合物などがある。
また、フッ素化シリコン樹脂などのように両方の官能基を有している化合物でもよい。
【0070】
上記長鎖脂肪族炭化水素基含有化合物、シリコン系化合物、フッ素系化合物の中から適宜選択される少なくとも一種を超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に溶解し、これに少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材を接触(超臨界流体処理工程)させることにより、ポリイミド樹脂中に注入し固定化する。
例えば、あまりに低分子量で液状の化合物では、シームレスベルトの長期使用において、次第にブリードアウトし、感光体などの接触部材を汚染し好ましくないため、常温において固体である化合物の方が好ましい。
【0071】
前述において、本発明のシームレスベルトは、充填材、樹脂、及び低分子化合物を含有する単層構成について説明しているが、これに限定されるものではなく、単層構成のシームレスベルト(例えば、ポリイミド樹脂を用いたシームレスベルト)を基材として、これに種々の樹脂、ゴム、エラストマーを複数層積層した構成のものに対しても、本発明の製造方法が同様に適用できる。
すなわち、本発明の超臨界流体処理手法によれば、幅広い材料構成のものに対して、表面の水に対する接触角を90°以上のものとすることができるため、非常に汎用的かつ効果的な手段として適用できる。
【0072】
本発明のシームレスベルトは特に中間転写ベルトとして好適に用いられるが、このようなシームレスベルトは、例えば、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置に装備されるベルト構成部に用いられる。
本発明における電子写真装置に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であってこれに限定されるものではない。
【0073】
図2の模式図に、ベルト構成部等を装備した電子写真装置の要部概略構成を示す。
図2に示すベルト構成部である中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
【0074】
また、位置検知用マークが中間転写ベルト501の外周面あるいは内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード504の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている1次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
【0075】
この中間転写ベルト501は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、2次転写対向ローラ510,クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ507には、定電流または定電圧制御された1次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
【0076】
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。
このベルト構成部である中間転写ベルト501は、通常、半導体、または絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明のシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
【0077】
2次転写手段である2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
【0078】
レジストローラ610は、2次転写バイアスローラ605と2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙Pを送り込む。また、2次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。該クリーニングブレード608は、2次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
【0079】
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、該感光体ドラム200上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、1次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
【0080】
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。
図2において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
【0081】
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201で清掃される。この感光体ドラム200側では、Bk画像形成工程の次にY画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるY画像データの読み取りが始まり、そのY画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にY静電潜像を形成する。
【0082】
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つT静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、Y現像機231Yが現像位置にセットされ、Y静電潜像がYトナーで現像される。以後、Y静電潜像領域の現像を続けるが、Y静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機231Kの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のC現像機231Cを現像位置に移動させる。これもやはり次のC静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。
なお、C及びMの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Yの工程と同様であるので説明は省略する。
【0083】
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、Y,C、Mのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。
一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ610のニップで待機している。
【0084】
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
【0085】
このようにして、転写紙Pが2次転写部を通過すると、2次転写電源802によって2次転写バイアスローラ605に印可された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(2次転写)される。
【0086】
この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる(図2参照)。そして、この転写紙Pは、定着装置270の定着ローラ271、272のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
【0087】
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード504によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
【0088】
このベルトクリーニングブレード504の上記中間転写ベルト501の移動方向上流側には、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材503が設けられている。このトナーシール部材503は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード504から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材503は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード504とともに、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離される。
【0089】
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。該潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。
また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト501のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
【0090】
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(M)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。
【0091】
以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
【0092】
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図3に示すような複数の感光体ドラムを一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図3は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK,21Y,21M,21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
【0093】
図3において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部12、画像形成部13、給紙部14、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y),シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部12に送信する。画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部913の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)21BK、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
【0094】
画像形成部13は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体21BK、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体21BK、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、上記書込部12からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20BK、20M、20Y、20C、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23C、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。
なお、上記現像装置20BK、20M、20Y、20Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト22は、各感光体21BK、21M、21Y、21Cと、各1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0095】
一方、転写紙Pは、給紙部14から給紙された後、レジストローラ16を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト50に坦持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、上記中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ60により2次転写(一括転写)される。
【0096】
これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
【0097】
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置25によって中間転写ベルト22から除去される。
このベルトクリーニング装置25の下流側には、潤滑剤塗布装置(表示略)が配設されている。この潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。該導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
【0098】
なお、本発明におけるシームレスベルトは、上述したような中間転写ベルト501または22を装備した中間転写ベルト方式の画像形成装置に好適に適用できる他、該中間転写ベルト501または22の代りに転写搬送ベルトを装備した転写搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用できる。さらに、転写搬送ベルト方式の画像形成装置の場合においても、前記1感光体ドラム方式あるいは4感光体ドラム方式の何れにも適用可能である。
【0099】
上記のような電子写真装置においては、感光体より中間転写ベルトに転写されたカラートナー画像を紙へもれなく転写することが重要であるが、中間転写ベルト表面の離型性が良くないとベルト上に一部トナーが転写されずに残留してしまう現象が発生する。このため、例えば、図4の模式図に示すように画像の一部が抜けてしまう(中抜け)ような画像、いわゆる虫食い画像となってしまう。
しかしながら、本発明では、前述の手段によりベルト表面の水に対する接触角を90度以上のものとすることにより、これを防止することができるものである。
【実施例】
【0100】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
【0101】
(実施例1)
以下の手順で塗工液(塗布液)を調製し、これを用いてシームレスベルト基材の作製、シームレスベルト基材の超臨界流体処理(以下、「超臨界二酸化炭素処理」と称する。)を順次行って中間転写ベルトを作製した。
[塗布液の調製]
まず、下記に示す各構成材料(組成分)を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、カーボン分散液を作製した。
<カーボン分散液の組成分>
ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産;固形分18%): 2重量部
カーボンブラックSpecialblack4(デグサ): 10重量部
N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 88重量部
【0102】
次いで、上記カーボン分散液を用いて、下記の構成材料(組成分)を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
<塗布液の組成分>
上記カーボンブラック分散液: 50重量部
ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産;固形分18wt%): 50重量部
ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング):0.01重量部
【0103】
[シームレスベルト基材の作製]
次に、内径100mm、長さ300mmの内面を鏡面仕上げした金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗布液を円筒内面に均一に流延するように流して塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜が万遍なく広がった時点で、回転数を500rpmに上げ、熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度5℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度3℃/分で320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
所定時間処理して加熱を停止した後、常温まで徐冷してから型を取り出し、形成された塗膜を円筒内面から剥離し、膜厚70μmのシームレスベルト基材を得た。
【0104】
[シームレスベルト基材の超臨界二酸化炭素処理]
製作したシームレスベルト基材と低分子化合物〔モディパーF600:日本油脂社製フッ素グラフトポリマー〕0.7gを図1に示した装置の耐圧容器(注入槽)4(内容積700ml)の耐圧セルに投入した後、耐圧セルを封止した。
【0105】
次いで、二酸化炭素を供給ボンベにより前記耐圧セルに供給し、加圧ポンプ(高圧送液ポンプ)1と温度調整手段で30MPa、40℃に調節し、温度および圧力が安定した後は耐圧セルを封じきり、1時間静置した。静置後、温度は40℃に保ったまま圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま加圧ポンプと背圧弁を使用して、流量8l/minで30分間二酸化炭素を流すことによって、シームレスベルトに注入されなかった余分な化合物を耐圧セルから除去した。除去後、温度・圧力を徐々に大気雰囲気まで低下させることによって、本発明に記載したシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト表面及び裏面とも、光沢のある平滑で良好な表面性を有するものであった。
【0106】
(実施例2)
実施例1における超臨界二酸化炭素処理に用いる低分子化合物を、以下のものに変える他は実施例1と同じにして本発明に記載したシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト表面及び裏面とも、光沢のある良好な表面性を有するものであった。
低分子化合物:メガファックF493(大日本インキ社製フッ素界面活性剤)
【0107】
(実施例3)
実施例1における超臨界二酸化炭素処理に用いる低分子化合物を、以下のものに変える他は実施例1と同じにして本発明に記載したシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト表面及び裏面とも、光沢のある良好な表面性を有するものであった。
低分子化合物:HNP−51(日本精蝋社製パラフィンワックス)
【0108】
(実施例4)
実施例1における超臨界二酸化炭素処理に用いる低分子化合物を、以下のものに変える他は実施例1と同じにして本発明に記載したシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト表面及び裏面とも、光沢のある良好な表面性を有するものであった。
低分子化合物:AMS−C30Wax(東レダウコーニング社製シリコーンワックス)
【0109】
(比較例1)
実施例1における超臨界二酸化炭素処理を実施しない他は実施例1と同じにして本発明に記載したシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト表面及び裏面とも、光沢のある良好な表面性を有するものであった。
【0110】
(比較例2)
以下の手順で塗工液(塗布液)を調製し、この塗布液を用いて中間転写ベルトを作製した。
[塗布液の調製]
まず、下記に示す各構成材料(組成分)を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、カーボン分散液を作製した。
<カーボン分散液の組成分>
ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産;固形分18%): 2重量部
カーボンブラックSpecialblack4(デグサ): 10重量部
N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 88重量部
【0111】
上記分散液を用いて、下記の構成材料(組成分)を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
<塗布液の組成分>
上記カーボンブラック分散液: 50重量部
ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産;固形分18wt%): 50重量部
モディパーF600(日本油脂社製): 5重量部
ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング):0.01重量部
【0112】
[シームレスベルトの作製]
次に、内径100mm、長さ300mmの内面を鏡面仕上げした金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒内面に均一に流延するように流して塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を500rpmに上げ、熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度5℃/分で100℃まで昇温して60分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度5℃/分で320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
所定時間処理して加熱を停止した後、常温まで徐冷してから型を取り出し、形成された塗膜を円筒内面から剥離し、膜厚70μmのシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト裏面が白濁した光沢のない状態であった。
【0113】
(比較例3)
比較例2で作製した塗布液を、外径100mm、長さ300mmの外面を鏡面仕上げした金属円筒の外周面にディスペンサーによって付着量を制御し、回転させながら塗布した。塗布後、ヒーターにて外周を表面温度が120℃になるように加熱し、60分乾燥した。
次いで、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度5℃/分で320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。所定時間処理して加熱を停止した後、常温まで徐冷してから型を取り出し、形成された塗膜を円筒内面から剥離し、膜厚70μmのシームレスベルトを得た。得られたシームレスベルトは、ベルト表面が白濁した光沢のない状態であった。
【0114】
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した各シームレスベルトについて、ベルト表面の水に対する接触角を、CA-W型接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて測定した。結果を下記表1に示す。
【0115】
また、上記実施例1〜4、比較例1〜3で作製した各シームレスベルトを図3に示す電子写真装置の中間転写ベルトとして搭載し、初期画像と1万枚プリント出力後のフルカラー画像における虫食い画像を以下のようなランクにて評価を行った。結果を下記表1に示す。
ランク3 ; 虫食い画像無し
ランク2 ; 虫食い画像が数箇所ある。
ランク1 ; 虫食い画像が非常に多数見受けられる。
【0116】
【表1】

【0117】
上記表1に示す通り、本発明ではポリミド樹脂のような樹脂に対しても低分子化合物を高い生産性で注入することができ、容易にベルト表面物性を制御してベルト表面の水に対する接触角を90度以上にすることができる。しかも、フルカラー電子写真装置による多数枚印刷後(1万枚プリント出力後)においてもランク3で虫食い画像を発生せず、長期に渡り安定して良好な画像を提供することができる。
一方、本発明における超臨界流体処理を適用しない比較例では、いずれも1万枚プリント出力後のフルカラー画像における虫食い画像ランクは1であり、本発明との差は明確である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明におけるベルト基材に超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素を介して低分子化合物を注入するために用いられる装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電子写真装置のベルト構成部に用いられるシームレスベルトと装置を説明するための要部模式図である。
【図3】本発明に係る電子写真装置のベルト構成部に配備される1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設されている一構成例を示す要部模式図である。
【図4】本発明における解決課題の一つである異常画像(虫食い)を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0119】
(図1)
1 高圧送液ポンプ
2 ストップバルブ
3 フィルター
4 抽出槽
5 スターラー
6 フィルター
7 減圧バルブ
8 流量計
9 分離槽
10 抽出物
11 抽出ガス
T 温度計
P 圧力計
(図2)
P 転写紙
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 トナー画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
503 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションコントローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図3)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
(図4)
41 色画像部
42 虫食い部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトの製造方法であって、前記シームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上であり、かつ、
少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材を、低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させる超臨界流体処理工程と、により前記低分子化合物を該ベルト基材中に注入することを特徴とする電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項2】
前記低分子化合物が、疎水性基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項3】
前記疎水性基を有する化合物が、長鎖脂肪族炭化水素基を有する化合物、フルオロ炭化水素基を有する化合物、及び炭化水素置換シロキシ基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項5】
前記充填材が、電気抵抗調整機能を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項6】
少なくとも充填材、樹脂、及び低分子化合物を含む電子写真用シームレスベルトであって、前記シームレスベルトにおける表面の水に対する接触角が90度以上であり、かつ、
前記低分子化合物が、少なくとも充填材、樹脂を含有するシームレス状のベルト基材形成工程と、該ベルト基材を、低分子化合物を溶解させた超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素に接触させる超臨界流体処理工程と、により該ベルト基材中に注入されたものであることを特徴とする電子写真用シームレスベルト。
【請求項7】
前記低分子化合物が、疎水性基を有する化合物であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項8】
前記疎水性基を有する化合物が、長鎖脂肪族炭化水素基を有する化合物、フルオロ炭化水素基を有する化合物、及び炭化水素置換シロキシ基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項9】
前記樹脂が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項10】
前記充填材が、電気抵抗調整機能を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項11】
像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置に装備される該中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトは、請求項6〜10のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトであることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項12】
像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する該中間転写ベルトを装備した電子写真装置であって、
前記中間転写ベルトは、請求項6〜10のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトであることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−307804(P2008−307804A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158310(P2007−158310)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】