説明

電子写真用記録シート

【課題】 プリンター走行性、耐折り割れ性、耐水性及び画質などに優れた二軸延伸ポリ
プロピレン積層フィルムからなる電子写真用記録シートを提供する。
【解決手段】 プロピレン重合体(a1)に無機化合物粉末(a2)を添加してなるプロ
ピレン重合体組成物(A)から得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層の片面に
、プロピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2)及び低密度ポリエチレン(
b3)を含むエチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層が形成された二軸延伸ポ
リプロピレン積層フィルムからなることを特徴とする電子写真用記録シート。
このシートは、紙基材の少なくとも片面に貼合して用いることも出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用記録シートに関するものであって、とくに、プリンター走行性、
耐折り割れ性、耐水性及び画質などに優れた二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムからな
る電子写真用記録シートに関する。
【背景技術】
【0002】
複写、印刷技術の一つとして、電子写真技術が広く普及している。かかる技術は、感光
ドラム上に形成された静電的な潜像(静電潜像)に電荷を帯びたトナー粉体で、静電潜像
に対応した像を形成させ、形成させたトナー像をそのまま普通紙などの記録シート上に転
写し、熱等で定着させる技術である。感光ドラム上に静電潜像を形成させる主な方法とし
て、文書などの被写体像に応じた電荷を感光ドラムに帯びさせ感光ドラム上に静電潜像を
形成させる所謂普通紙複写方式(PPC)、電子化された被写体像若しくは被写体像を電
子化した後、かかる電子データ(電子信号)をポリゴン・ミラー(回転多面鏡)を用いて
レーザー光を走査しながら電子信号に従ってレーザー光をオン・オフさせて感光ドラム上
に静電潜像を形成させる所謂レーザービームプリンター方式(LBP)が使用されている
。中でも、レーザービームプリンターはPOD(Print On Demand)機と
して注目されている。
【0003】
電子写真用記録シートとしては、一般的には広く紙が使用されているが、屋外宣伝用ポ
スター、飲食店のメニュー、スーパー、コンビニエンスストアあるいは量販店などにおけ
るPOP用などには耐水性が要求されることから、紙基材の両面に1以上の熱可塑性樹脂
層を形成し、少なくとも一方の面の最外層をポリメチルペンテンからなる層を積層した積
層耐水紙(特許文献1)あるいは炭酸カルシウム及び高密度ポリエチレンなどを含むプロ
ピレン単独重合体を主体とする樹脂組成物から得られる二軸延伸積層シートからなる電子
写真用記録シート(特許文献2)などが提案され、かかる電子写真用記録シート等は耐水
性に優れると記載されている。
しかしながら、最外層に熱可塑性樹脂を押出ラミネートしてなる積層耐水紙は多孔質か
らなるクッション層を有せず、また、プロピレン単独重合体を主体とする樹脂組成物から
なる表面層を有する電子写真用記録シートはトナー粉体の密着性が充分ではない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−88573号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2002−62678号公報(実施例)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、プリンター走行性、耐折り割れ性、耐水性及び画質などに優れ、且つ
紙ライクの風合いを有する二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムからなる電子写真用記録
シートを得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プロピレン重合体(a1)に無機化合物粉末(a2)を添加してなるプロピ
レン重合体組成物(A)から得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層の片面に、
プロピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2)及び低密度ポリエチレン(b
3)を含むエチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層が形成された二軸延伸ポリ
プロピレン積層フィルムからなる電子写真用記録シート、好ましくは、表面層の表面粗さ
(三次元中心面平均粗さ;SRa)が0.2〜0.6μm及び光沢度が7〜60%の範囲
にあり、且つ二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの光線透過率が10〜55%及び密度
が0.50〜0.90g/cm3 の範囲にある二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムから
なることを特徴とする電子写真用記録シートを提供するものである。
また、本発明は、上記発明における好ましい態様として、エチレン系重合体組成物(B
)が、プロピレン系重合体(b1)が85〜50質量%、高密度ポリエチレン(b2)が
3〜30質量%及び低密度ポリエチレン(b3)が10〜45質量%(b1+b2+b3
=100質量%)を含む組成物であること、プロピレン系重合体(b1)が、プロピレン
単独重合体(b1−1)とプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体(b1−2)を
含んでなること、ならびにプロピレン重合体組成物(A)が、プロピレン重合体(a1)
55〜92質量%と、平均粒径が0.5〜5μm、80%累積頻度粒径が3μm以下の炭
酸カルシウム0.5〜20質量%及び酸化チタン1〜10質量%からなる無機化合物粉末
(a2)との組成物であることを特徴とする電子写真用記録シートを提供し、かつ、上記
電子写真用記録シートが、紙基材の少なくとも片面に貼合されてなる電子写真用記録シー
トを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムからなる電子写真用記録シートは、プリ
ンター走行性、耐折り割れ性、耐水性及び画質などに優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明についてさらに詳細に説明する。
[プロピレン重合体組成物(A)]
本発明に係るプロピレン重合体組成物(A)は、後述するプロピレン重合体(a1)に
無機化合物粉末(a2)を添加してなる組成物であり、これを二軸延伸することにより二
軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層となるものである。
プロピレン重合体(a1)に対するプロピレン重合体組成物(A)中の無機化合物粉末
(a2)の添加量は、無機化合物の種類、ならびに得られる二軸延伸ポリプロピレン積層
フィルムの曇り度、全光線透過率及び密度をどの程度に設定するかによって異なるが、通
常、1.5〜30質量%、好ましくは3〜25質量%程度が採択される。
この無機化合物粉末(a2)をプロピレン重合体(a1)に添加することにより、二軸
延伸ポリプロピレンフィルム基材層の隠蔽性、密度、曇り度、クッション性及び全光線透
過率を適度なものに調整することが出来る。
【0009】
とくに無機化合物粉末(a2)として炭酸カルシウム、より好ましくは酸化チタンを併
用することにより、密度が0.50〜0.90g/cm3 、より好ましくは0.55〜0
.85g/cm3 、曇り度が90%以上、好ましくは91〜95%で、光線透過率が10
〜55%、好ましくは10〜27%の二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムが得られる。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(A)には、無機化合物粉末(a2)に加えて
、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止
剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の通常ポリオレフィンに添加されることが知られ
ている各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0010】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(A)には、帯電防止剤を添加しておくことが
好ましい。かかる帯電防止剤としては、種々公知の帯電防止剤、例えば、
アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールア
ミン脂肪酸エステルなどのアルキルアミン及びその誘導体;
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアル
コール、ステアリルアルコール若しくはベヘニルアルコールなどの炭素数8〜18の高級
アルコール;
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸などの炭素
数8〜24の高級脂肪酸のグリセリンエステル類;
グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール若しくはペンタエリスリトー
ルなどの多価アルコールの部分的脂肪酸エステル;
下記、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性
界面活性剤などの界面活性剤;
【0011】
〔非イオン性界面活性剤〕
前記高級アルコール、高級脂肪酸(炭素数8〜24)または高級アルキルアミン(炭素
数8〜24)のエチレンオキサイド付加物(数平均分子量150〜200,000):グ
リコールのエチレンオキサイド付加物であるポリアルキレングリコール(数平均分子量1
50〜6,000)の高級脂肪酸エステル:エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタンなどの炭素数2〜18の2価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、高級脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量250〜30,000):高級脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量200〜30,000)及び多価アルコールアルキル(炭素数3〜60)エーテルのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量120〜30,000)などのエチレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤:
多価アルコールの脂肪酸(炭素数3〜60)エステル、多価アルコールのアルキル(炭
素数3〜60)エーテル:
脂肪酸(炭素数3〜60)アルカノールアミドなどの多価アルコ−ル(炭素数3〜60
)型非イオン性界面活性剤;
【0012】
〔アニオン性界面活性剤〕
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸などの炭素
数8〜24の飽和または不飽和脂肪酸及びエーテルカルボン酸などの高級脂肪酸またはア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン(炭素数1〜20
)塩及びアルカノールアミン(炭素数2〜12、例えばモノ−、ジ−及びトリエタノール
アミン)塩などの塩:
前記高級アルコールの硫酸エステル塩及び前記高級アルコールのエチレンオキサイド(
1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩などの高級アルキルエーテル硫酸エステル塩など
の硫酸エステル塩:
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキ
ルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル
型、ハイドロカーボン(例えばアルカン、α−オレフィン)スルホン酸塩及びイゲポンT
型などの炭素数10〜20スルホン酸塩:
前記高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩及びアルキル(炭素数
4〜60)フェノールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩などのリン酸エステル
塩;
【0013】
〔カチオン性界面活性剤〕
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド及びステアリルトリメチルアンモニウム
ブロマイドなどの炭素数4〜100のテトラアルキルアンモニウム塩、ラウリルジメチル
ベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)などの炭素数3〜80トリア
ルキルベンジルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライドなどの炭素数2〜60の
アルキルピリジニウム塩、ポリオキシエチレン・トリメチルアンモニウムクロライドなど
の炭素数2〜4のポリオキシアルキレン・トリアルキルアンモニウム塩及びステアラミド
エチルジエチルメチルアンモニウム・メトサルフェートなどのサパミン型第4級アンモニ
ウム塩などの第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤:
ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン
などの炭素数12〜60の高級脂肪族アミンの塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸などの無機酸
塩または酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン
酸及びアゼライン酸などの炭素数2〜22の有機酸塩、炭素数1〜30の脂肪族アミンの
エチレンオキサイド付加物などの無機酸塩または有機酸塩及びトリエタノールアミンモノ
ステアレート及びステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの炭素数3〜
30の3級アミンの無機酸塩または有機酸塩などのアミン塩型カチオン性界面活性剤;
【0014】
〔両性界面活性剤〕
炭素数8〜24の高級アルキルアミンのプロピオン酸ナトリウムなどのアミノ酸型両性
界面活性剤:
炭素数12〜18のアルキル・ジメチルベタインなどのベタイン型両性界面活性剤:
炭素数8〜24の高級アルキルアミンの硫酸エステルナトリウム塩及びヒドロキシエチ
ルイミダゾリン硫酸エステルナトリウム塩などの硫酸エステル塩型両性界面活性剤:
ペンタデシルスルホタウリン及びイミダゾリンスルホン酸などのスルホン酸塩型両性界
面活性剤:
グリセリン高級脂肪酸エステル化物のリン酸エステルアミン塩などのリン酸エステル塩
型両性界面活性剤;
などが挙げられるが、これら帯電防止剤に限定されることはない。
これら帯電防止剤は1種あるいは2種以上の組み合わせでもよい。帯電防止剤の添加量
は、通常、プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対して、300〜30000
ppm、好ましくは500〜25000ppmである。帯電防止剤の添加量が300pp
m未満では、得られる二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムを電子写真用記録シートとし
て用いた際に印刷時に電子写真用記録シートが帯電しやすくなり、とくに両面印刷する際
に電子写真用記録シートが重送を起こす虞がある。一方、30000ppmを超えると、
得られる電子写真用記録シートの耐水性が損なわれる虞がある。プロピレン系重合体組成
物(A)に上記範囲で帯電防止剤を添加することにより、得られる電子写真用記録シート
の表面層の表面固有抵抗値を1×107 〜1×1013Ωの範囲にすることができる。
【0015】
<プロピレン重合体(a1)>
本発明に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層を構成するプロピレン重合体(a
1)は、一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されているポリオレフィン樹脂であり
、通常、密度が0.890〜0.930g/cm3 、MFR(ASTM D1238 荷
重2160g、温度230℃)が0.5〜60g/10分、好ましくは0.5〜10g/
10分、より好ましくは1〜5g/10分のプロピレンの単独重合体、若しくはプロピレ
ンと、他の少量、例えば、2モル%以下のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン等とのランダム共重合体である。
また、これらプロピレン重合体(a1)は、1種あるいは2種以上の重合体からなる組
成物、例えば、分子量の異なるプロピレンの単独重合体とプロピレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体との組成物であってもよい。これらの中でも、プロピレンの単独重合体、
若しくは1モル%以下のランダム共重合体でアイソタクテシティの高い重合体、特にはプ
ロピレンの単独重合体が高剛性で且つ耐熱性に優れた二軸延伸ポリプロピレン積層フィル
ムが得られるので好ましい。
このプロピレン重合体(a1)は、無機化合物粉末(a2)とブレンドされて二軸延伸
されて、本発明の二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの二軸延伸フィルム基材層を形成
する。
【0016】
<無機化合物粉末(a2)>
本発明に係る無機化合物粉末(a2)とは、炭酸カルシウム、クレー(カオリン)、焼
成クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酸化チタン
等の粉末で、通常、平均粒径が5μm以下、好ましくは0.1〜1.5μmの範囲のもの
である。これら無機化合物粉末の中でも、炭酸カルシウム及び酸化チタンが、むらのない
白色度に優れた二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムが得られる点で好ましい。
また、炭酸カルシウム、好ましくは炭酸カルシウムと酸化チタンを併用することにより
、密度が0.50〜0.90g/cm3 、より好ましくは0.55〜0.85g/cm3
、光線透過率が10〜55%、好ましくは12〜50%の二軸延伸ポリプロピレン積層フ
ィルムが得られる。上記炭酸カルシウムは、好ましくは平均粒径が0.5〜5μm、より
好ましくは1〜1.5μmの範囲にある。また、その最大粒子径は、好ましくは5μm以
下である。なお、炭酸カルシウムの粒径は、レーザー回折散乱法にて測定した値である。
プロピレン重合体(a1)に添加する炭酸カルシウム及び酸化チタンを併用する場合は
その配合量は、炭酸カルシウムが好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜1
5質量%であり、酸化チタンが好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜10
質量%である〔プロピレン重合体(a1)+炭酸カルシウム+酸化チタン=100質量%
〕。
炭酸カルシウムの配合量が0.5質量%未満では、得られる二軸延伸ポリプロピレン積
層フィルムの隠蔽性が劣る虞があり、一方、20質量%を越えると二軸延伸ポリプロピレ
ン積層フィルムの外観が損なわれる虞がある。また、酸化チタンの配合量が1質量%未満
では、得られる二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの隠蔽性、白色度がやや劣る虞があ
り、一方、10質量%を越えると二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの外観が損なわれ
る虞がある。
また本発明に係る炭酸カルシウムは、好ましくは粒径が3μm以下の炭酸カルシウム粒
子が、炭酸カルシウム全体の80質量%(80%累積頻度粒径)以上、好ましくは90質
量%(90%累積頻度粒径)以上占める粒度分布を有する。かかる粒度分布と平均粒径と
を有する炭酸カルシウムを用いると、炭酸カルシウム粒子によるフィルム内のボイドの大
きさが均一となるため、むらのない隠蔽力ならびに白色度に優れるフィルムが得られる。
また、フィルム内ボイドの大きさが均一でかつ、隠蔽力、白色度に優れたフィルムを得
るために、使用する炭酸カルシウムの水分が0.5質量%以下であることがより好ましい
。炭酸カルシウムの水分は、JIS K 5101に準じて測定した値である。
さらに、本発明に係る炭酸カルシウムは、その粒子表面を、例えば高級脂肪酸、好まし
くは炭素原子数10〜28の高級脂肪酸で表面処理されていてもよい。かかる高級脂肪酸
でその粒子表面が処理されていることにより、炭酸カルシウムの2次凝集による異物、フ
ィッシュアイ等の発生を防止することができ、良好な外観を呈する二軸延伸ポリプロピレ
ン積層フィルムが得られる。
高級脂肪酸としては、具体的には、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデシル
酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノ
ナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸等の
飽和高級脂肪酸[CH3 (CH2)nCOOH、n=8〜26];オレイン酸(cis)、
エライジン酸(trans)、セトレイン酸、エルカ酸(cis)、ブラシジン酸(tr
ans)、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和高級脂肪酸等が挙げられ、
中でも、飽和高級脂肪酸、特にステアリン酸が好ましい。
上記酸化チタンは、好ましくは平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲にある。酸化チ
タンは、チタンホワイトとも呼ばれており、ルチル型とアナターゼ型があるが、ルチル型
が隠蔽力に優れるので好ましい。また、本発明にかかる酸化チタンは、その表面がアルミ
ナ処理されているものを用いると、得られる二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの外観
が優れ、さらにL*値が90以上の二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムを用いた電子写
真用記録シートは、高級感が出ると共に、濃淡のある画像を記録する際に、濃淡がより明
確に表現出来る点で好ましい。L*値とは、白紙上にフィルム10枚を重ね合わせ、Sp
ectro Eye(Gretag Macbeth社製)を使用して測定した値である
。なお、酸化チタンの粒子径は、光散乱法により測定した値である。
【0017】
[エチレン系重合体組成物(B)]
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)は、後述するプロピレン系重合体(b1)
、高密度ポリエチレン(b2)及び低密度ポリエチレン(b3)を含む組成物、好ましく
はプロピレン系重合体(b1)が85〜50質量%、より好ましくは80〜55質量%、
好ましくは高密度ポリエチレン(b2)が3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量
%及び好ましくは低密度ポリエチレン(b3)が10〜45質量%、より好ましくは15
〜40質量%(b1+b2+b3=100質量%)の範囲にある組成物であり、前記プロ
ピレン重合体組成物(A)から得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層の表面層
を形成する組成物である。
かかるエチレン系重合体組成物(B)は、通常、示差走査熱量計(DSC)に基づく結
晶融解曲線から求められるピーク温度(Tp)が、低温側から低密度ポリエチレン(b3
)、高密度ポリエチレン(b2)及びプロピレン系重合体(b1)に相当する、95〜1
25℃、120〜138℃及び125〜170℃の範囲にそれぞれ一個〜複数個有する。
エチレン系重合体組成物(B)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−123
8 荷重;2160g、温度;230℃)はフィルム形成能を有する限りとくに限定はさ
れないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲にある。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)は、上記プロピレン系重合体(b1)、高
密度ポリエチレン(b2)及び低密度ポリエチレン(b3)の三成分を含むものであり、
何れか一成分が欠けた組成物を表面層とした場合は、トナー密着性に劣る場合がある。
本発明に係わるエチレン系重合体組成物(B)の成分の一つであるプロピレン系重合体
(b1)として、プロピレン単独重合体(b1−1)とプロピレン・α―オレフィンラン
ダム共重合体(b1−2)を併用することにより、よりトナー密着性に優れた表面層が得
られるので好ましい。プロピレン単独重合体(b1−1)とプロピレン・α―オレフィン
ランダム共重合体(b1−2)を併用する場合は、その比率〔(b1−1)/(b1−2
);重量比〕は好ましくは95/5〜60/40の範囲にある。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)は、得られる電子写真用記録シートの耐熱
性の観点から、プロピレン系重合体(b1)が主成分であり、且つプロピレン系重合体(
b1)においても、プロピレン単独重合体(b1−1)が主成分であることが好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)は、本発明に係る二軸延伸ポリプロピレン
積層フィルムを製造する際に、プロピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2
)及び低密度ポリエチレン(b3)を所望の割合でドライブレンド等により混合して成形
機に投入してもよいし、予め、溶融混練して用いてもよい。また、一連の重合系で、プロ
ピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2)及び低密度ポリエチレン(b3)
を重合してエチレン系重合体組成物(B)としてもよいし、これら方法を組み合わせても
よい。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)あるいはエチレン系重合体組成物(B)に
含まれる成分であるプロピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2)及び低密
度ポリエチレン(b3)には、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ
剤、核剤、ブロッキング防止剤、無機化合物粉末、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の
通常ポリオレフィンに添加されることが知られている各種添加剤を、本発明の目的を損な
わない範囲で添加してもよい。
【0018】
<プロピレン系重合体(b1)>
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)に含まれる成分の一つであるプロピレン系
重合体(b1)は、プロピレンの単独重合体(b1−1)、プロピレンとエチレン、1−
ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の他のα−オレフィンとのランダム共重合体ある
いはブロック共重合体(b1−2)である。プロピレン系重合体(b1)は、単独でも二
種以上の重合体を用いてもよいが、好ましくはプロピレン単独重合体(b1−1)とプロ
ピレン・α―オレフィンランダム共重合体(b1−2)とを用いることが好ましい。
プロピレン単独重合体(b1−1)は、通常、DSCに基づく結晶融解曲線から求めら
れるピーク温度(Tp)を160〜170℃の範囲に有する。
プロピレン・α―オレフィンランダム共重合体(b1−2)としては、好ましくは、D
SCに基づく結晶融解曲線から求められるピーク温度(Tp)を125〜158℃の範囲
に有する。
本発明に係るプロピレン系重合体(b1)のMFR(メルトフローレート;ASTM
D−1238 荷重2160g、温度230℃)は後述の高密度ポリエチレン(b2)及
び低密度ポリエチレン(b3)と混合した組成物がフィルム形成能を有する限りとくに限
定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲に
ある。
【0019】
<高密度ポリエチレン(b2)>
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)に含まれる成分の一つである高密度ポリエ
チレン(b2)は、エチレンの単独重合体若しくはエチレンとプロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の他のα−オ
レフィンとの共重合体で、通常、密度が0.945〜0.970g/cm3 のエチレン系
重合体であり、一般的に高密度ポリエチレン(HDPE)として製造・販売されているも
の、若しくは重合系で得られるものである。
高密度ポリエチレン(b2)は、通常、DSCに基づく結晶融解曲線から求められるピ
ーク温度(Tp)を120〜138℃の範囲に有する。
本発明に係わる高密度ポリエチレン(b2)のMFR(メルトフローレート;ASTM
D−1238 荷重2160g、温度190℃)は、前述のプロピレン系重合体(b1
)及び後述の低密度ポリエチレン(b3)と混合した組成物がフィルム形成能を有する限
りとくに限定はされないが、通常、0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜35g
/10分の範囲にある。
【0020】
<低密度ポリエチレン(b3)>
本発明に係るエチレン系重合体組成物(B)に含まれる成分の一つである低密度ポリエ
チレン(b3)は、エチレンの単独重合体若しくはエチレンとプロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の他のα−オ
レフィンとの共重合体で、通常、密度が0.905〜0.935g/cm3 のエチレン系
重合体であり、一般的に高圧法低密度ポリエチレン(HP−LDPE)及び線状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)として製造・販売されているもの、若しくは重合系で得られる
ものである。
低密度ポリエチレン(b3)は、通常、DSCに基づく結晶融解曲線から求められるピ
ーク温度(Tp)を95〜125℃の範囲に有する。
本発明に係る低密度ポリエチレン(b3)のMFR(メルトフローレート;ASTM
D−1238 荷重2160g、温度190℃)は前述のプロピレン系重合体(b1)及
び前述の高密度ポリエチレン(b2)と混合した組成物がフィルム形成能を有する限りと
くに限定はされないが、通常、0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜35g/1
0分の範囲にある。
【0021】
[電子写真用記録シート]
本発明の電子写真用記録シートは、プロピレン重合体(a1)に無機化合物粉末(a2
)を添加してなるプロピレン重合体組成物(A)から得られる二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルム基材層の片面に、プロピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2)及び
低密度ポリエチレン(b3)を含むエチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層が
形成されてなり、好ましくは、表面層の表面粗さ(三次元中心面平均粗さ;SRa)が0
.2〜0.6μm、光沢度が7〜60%及び表面固有抵抗値が1×107 〜1×1013Ω
の範囲にあり、且つ二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの光線透過率が10〜55%及
び密度が0.5〜0.9g/cm3 の範囲にある二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムか
らなる。
【0022】
本発明の電子写真用記録シートの二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層の他の片面(
エチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層が形成されていない面;裏面層)は、
とくに限定はされず、基材層のままでもよいが、二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの
製造のし易さ、得られる二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの取り扱いのし易さ及び電
子写真用記録シートとして用いる際、あるいは電子写真用記録シートの裏面に紙などを貼
り合せる際の作業性などから、裏面層を形成させておくことが好ましい。かかる裏面層を
構成する重合体はフィルム形成能がある限り、とくに限定はされず、前記、二軸延伸ポリ
プロピレンフィルム基材層を構成する成分であるプロピレン重合体(a1)あるいはエチ
レン系重合体組成物(B)などを用いることができる。
【0023】
表面層の表面粗さは光沢度と関係があり、表面粗さが0.6μmを超える電子写真用記
録シートは、トナーの転写効率が低下し、画像の欠陥となることがある。全光線透過率が
55%を超える電子写真用記録シートは、隠蔽性が劣り、裏面画像が透けて見えることが
ある。密度が0.50g/cm3 未満の電子写真用記録シートは成形が極めて不安定とな
り、延伸時に切断したり、幅方向での物性にバラツキが生じたりして、均質な電子写真用
記録シートが得られない虞があり、一方、密度が0.90g/cm3 を超える電子写真用
記録シートは、耐折れ割れ性が低下する虞がある。
本発明の電子写真用記録シートは、少なくとも片面、即ち、画像が形成されるエチレン
系重合体組成物(B)から得られる表面層を表面に有する限り、前記二軸延伸ポリプロピ
レン積層フィルムのみの構成であっても、その厚みあるいは用途によって芯材層と貼り合
わせた構成であってもよい。
【0024】
前記二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムのみからなる電子写真用記録シートは、通常
、基材層の厚さは40〜380μm、好ましくは45〜280μm、表面層の厚さは0.
5〜50μm、好ましくは2〜40μm、裏面層を有する場合は、裏面層の厚さは0.5
〜50μm、好ましくは1〜40μmで、全層の厚さは40〜400μm、好ましくは5
0〜300μmの範囲にある。表面層の厚さが0.5μm未満の場合は、トナーの密着性
が低下する虞がある。一方、表面層の厚さが50μm以上の場合は、電子写真用記録シー
トとして用いる際に、プリンターの定着ロールで貼り付きを生じる虞がある。また厚さが
400μmを越えると、得られた電子写真用記録シートの厚みが過大となり、画質の低下
やプリンターの用紙供給部に供給される枚数が減少する不都合が生じ、また経済的にも不
利となる。
【0025】
前記二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムを紙基材などの芯材層の片面あるいは両面に
貼り合わせて用いる場合は、通常、基材層の厚さは10〜65μm、好ましくは15〜5
0μm、表面層の厚さは0.5〜15μm、好ましくは2〜10μm、裏面層を有する場
合は、裏面層の厚さは0.5〜15μm、好ましくは1〜10μmで、全層の厚さは15
〜80μm、好ましくは25〜60μmの範囲にある。全層の厚さが15μm未満では、
機械的、熱的強度が不十分となり、定着ロールの熱による貼り付きの原因となる虞がある

本発明における表面層の粗さは、小坂研究所製、三次元表面粗さ測定器SE−30KS
と解析装置TDA−21で測定し、平均粗さを求めた値(三次元中心面平均粗さSRa)
である。
【0026】
本発明の電子写真用記録シートは、エチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層
は耐水性、トナー密着性に優れ、且つ、印刷層の画質も良好であるので、とくに表面処理
を行う必要はないが、トナー密着性を更に改良するために表面層上にポリエステル樹脂や
スチレン系樹脂等のトナー成分と親和性の高い樹脂を塗布してもよいが、塗布剤の種類に
よっては耐水性が低下する虞がある。
本発明の電子写真用記録シートは、エチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層
を有しているので、二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層であるプロピレン重合体組成
物(A)に帯電防止剤を添加して、表面層の表面固有抵抗値を1×107 〜1×1013Ω
、好ましくは1×108 〜1×1012Ωの範囲にすることができる。表面層を形成する重
合体をプロピレン系重合体(b1)のみ、あるいはプロピレン系重合体(b1)に高密度
ポリエチレン(b2)を加えた重合体組成物を表面層とした場合は、基材層に帯電防止剤
を添加しても表面層の表面固有抵抗値が1×1013Ω以下にならない虞がある。
表面電気抵抗値が、1×107 Ω未満の電子写真用記録シート場合は、トナー転写中に
表面が定着ロールなど導電性部材に接触したとき、転写電流のバランスが崩れるためトナ
ー転写効率が低下する虞がある。一方、1×1013Ωを超える場合は、電子写真用記録シ
ート同士が、静電気による密着により、給紙時に重送が発生しやすくなる虞がある。
本発明の電子写真用記録シートは、表面層の表面固有抵抗値が1×107 〜1×1013
Ωの範囲にある限り、表面層上にとくに帯電防止剤を塗布する必要がない。
【0027】
本発明の電子写真用記録シートに用いられる芯材層としては、セルロースパルプを主成
分とする上質紙、コート紙、アート紙、キャスト塗被紙等の紙類、少なくとも一方に熱可
塑性樹脂層を設けたラミネート紙等の加工紙等の紙基材が好ましく用いられる。このうち
、コート紙やアート紙が芯材層としては、特に好ましい。上質紙では、紙表面の粗さが、
貼合後の二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの表面層の高平滑な外観を損なう場合があ
る。キャスト塗被紙では、そのキャスト塗被層の有無の表裏差が定着時にカールの発生原
因となりうる場合がある。ラミネート紙は、定着時の熱履歴により塗工層や熱可塑性樹脂
層が膨れや二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの剥がれの原因となる場合がある。芯材
層は通常50〜200μmの厚さを有することが好ましい。厚さが50μm未満であると
、二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムと貼り合わせてなる電子写真用記録シートの機械
的強度が不十分となり、かつ変形に対する反発力が不十分となり、印画の際に生じる電子
写真用記録シートのカールを十分に防止できないことがある。また厚さが200μmを越
えると、電子写真用記録シートの厚みが増加しプリンターの用紙供給部に供給される枚数
が減少する不都合や、芯材層の凹凸による画質の低下や転写シートの風合いが劣ることが
ある。
【0028】
本発明の電子写真用記録シートは、必要に応じて片面あるいは両面をコロナ処理、火炎
処理等の表面処理をしてもよい。また、用途により、ヒートシール性を付与するために高
圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、結晶性あるいは低結晶性のエチレン
と炭素数3〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体あるいはプロピレンとエチレン
若しくは炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体、ポリブテン、エチレン・
酢酸ビニル共重合体等の低融点のポリマーを単独あるいはそれらの組成物からなるフィル
ムを裏面層に積層してもよい。さらに、他の物質との接着性を向上させるために、延伸フ
ィルムの表面をイミン、ウレタン等の接着剤でアンカー処理してもよいし、無水マレイン
酸変性ポリオレフィンを積層してもよい。
【0029】
<電子写真用記録シートの製造方法>
本発明の電子写真用記録シートは、例えば、基材層となるプロピレン重合体組成物(A
)、表面層となるエチレン系重合体組成物(B)及び必要に応じて裏面層となる重合体と
を、自体公知の方法で共押出し成形して得た多層シートを、同時二軸延伸法あるいは逐次
二軸延伸法等の二軸延伸フィルム成形方法によって面倍率(縦方向×横方向)で通常45
〜65倍、好ましくは50〜60倍に延伸することにより得られうる。
面倍率が45倍未満の場合は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層の剛性及び耐熱
性が上がらず、電子写真用記録シートとして用いた際に、記録シートが熱により収縮する
虞がある。
一方、面倍率が65倍を超える電子写真用記録シートは、延伸時にフィルムが切断する
虞があり、安定した品質の電子写真用記録シートが得られない虞がある。
【0030】
本発明の電子写真用記録シートの成形方法を逐次二軸延伸法で製造する場合の具体例を
説明すると、縦方向に70〜140℃、好ましくは90〜120℃の温度で、4.5〜7
.5倍、好ましくは5〜7倍の範囲で延伸後、次いで横方向に120〜190℃、好まし
くは140〜180℃の温度範囲で、7〜12倍、好ましくは8〜11倍で且つ面倍率(
縦方向×横方向)で45〜65倍、好ましくは50〜60倍に延伸した後、110〜18
0℃、好ましくは125〜170℃の温度範囲で熱固定することにより得られる。
縦方向の延伸温度が70℃未満では、多層シートが均一に延伸されない虞があり、一方
、140℃を超える場合は、フィルム内に空隙を形成し難い虞がある。また、縦方向の延
伸倍率が4.5倍未満では多層シートが均一に延伸されない虞があり、7.5倍を超える
場合はフィルム成形性が低下する虞がある。
横方向の延伸温度が120℃未満では、多層シートが均一に延伸されない虞があり、1
90℃を超える場合は、フィルム内に空隙を形成しにくい虞がある。また、横方向の延伸
倍率が7倍未満では多層シートが均一に延伸されない虞があり、12倍を超えるとフィル
ム成形性が低下する虞がある。
【0031】
さらに熱固定温度が110℃未満では、電子写真用記録シートにカールが生じ、加工適
性が低下する虞があり、180℃を超えると、フィルム内に空隙を形成し難い虞がある。
芯材層を有する電子写真用記録シートを得るには、前記二軸延伸ポリプロピレン積層フ
ィルムと芯材とを種々公知の方法で貼り合わせうる。芯材層の片面あるいは両面に、二軸
延伸ポリプロピレン積層フィルムを貼り合わせる(接着・積層する)方法としては、特に
限定されるものではないが、ウェットラミネート法、エキストルージョンラミネート法、
ドライラミネート法、ワックスラミネート法等の公知の技術が用いられる。なお一般的に
はドライラミネート法が広く用いられており、このとき使用される高分子樹脂としてはポ
リエーテル系、ポリエステル系などの高分子接着成分にポリイソシアネート系、エポキシ
系等の硬化剤を配合したものが用いられることが多い。接着剤の塗工量は、1〜30g/
2 の範囲が望ましく、また、カールバランスを保つために、芯材層の表面層及び裏面層
の接着剤の塗工量を同一にするのが好ましい。高画質化のためにエキストルージョンラミ
ネート法も好ましく用いられる。芯材層を有する電子写真用記録シートの厚さは、通常、
100〜500μmの範囲にあることが好ましい。
【実施例】
【0032】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその技術思想を超え
ない限り、これらの実施例に制約されるものではない。なお、本実施例において、特に断
りがない限り、「%」及び「部」は、溶剤に関するものを除き、「質量%」及び「質量部
」を意味する。
【0033】
<物性値の評価>
実施例及び比較例における物性値等は、以下の評価方法により求めた値である。
(1)曇り度(ヘイズ)(%)
Haze Meter(日本電色工業社製 NDH−300A)を使用して、二軸延伸
積層ポリプロピレンフィルム1枚の光線透過率をJIS K 7105に準拠して測定し
た。
(2)光線透過率(%)
Haze Meter(日本電色工業社製 NDH−300A)を使用して、二軸延伸
積層ポリプロピレンフィルム1枚の光線透過率をJIS K 7105に準拠して測定し
た。
(3)光沢度(%)
Haze Meter(日本電色工業社製 VGS−1D−300A)を使用して、入
射角60°でJIS K 7105に準拠して測定した。
(4)表面粗さ(μm)
三次元表面粗さ測定器(小坂研究所製 SE−30KS)及び解析装置(小坂研究所製
TDA−21)を使用して三次元中心面平均粗さSRaを測定した。
(5)密度(g/cm3
フィルムの厚さ及び1m2 当たりの質量を測定することにより算出した。
(6)表面固有抵抗(Ω)
アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340A、レジスティビティ・
チェンバR12704を用いJIS K 6911に準じ測定した。
(7)色調(−)
白紙上に二軸延伸ポリプロピレン積層フィルム10枚を重ね合わせ、Spectro
Eye(Gretag Macbeth社製)を使用してL*値を測定した。
(8)融解ピーク温度(℃)
重合体約5mgを秤量し、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計(DSC Q1
00)を用いて、昇温速度;10℃/分で240℃まで昇温し、240℃で5分間保持し
た後、降温速度;10℃/分で−50℃まで冷却し、再度、昇温速度;10℃/分で−5
0℃〜240℃まで昇温したときの融解曲線を測定し、かかる融解曲線からピ−ク温度(
Tp)を求めた。
(9)電子写真適性〔電子写真用記録シートの記録適性の評価〕
電子写真用記録シートを、23℃、50%RHに10時間保存した後、A4サイズにて
カラーレーザープリンターLBP2410(キヤノン社製)を用いてISO標準画像「名
称:N3A 果物かご」の出力を行い、走行性、画質再現性及び折り割れを以下の方法で
評価した。
(イ)走行性
○:10枚連続に印刷して、紙詰まりなし
×:10枚連続に印刷して、重送や紙詰まりが発生
(ロ)画質再現性
○:原画像の再現状態が良
×:トナー転写不良により原画像を再現していない
(ハ)耐折り割れ性
受像面が凸になるように一旦、折り目をつけ、その後、折り目を開き、折り筋に沿って
指で擦り、トナー層の剥離を観察する。
○:トナー層の剥離がない
×:トナー層の剥離がある
(10)耐水性
水1mlを受像面上に滴下し、1分間後、ぬれた部分を指で擦る。トナーの剥がれの程
度を下記の評価基準で目視評価した。
○:トナー剥がれが無い。
×:トナー剥がれがある。
【0034】
実施例1
<基材層:プロピレン重合体組成物(A)層>
プロピレン単独重合体(a 1−1):プロピレン単独重合体(PP−1;融点:162
℃、MFR:2.0g/10分)に、耐熱安定剤として、テトラキス[メチレン−3−(
3’,5’−ジ−t−ブチル−4’ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(日本
チバガイギー社製品 製品名「イルガノックス1010」)1000ppm及びステアリ
ン酸カルシウム(日本油脂製)1000ppmを加えたプロピレン単独重合体。
前記プロピレン単独重合体(a 1−1)及び前記プロピレン単独重合体(a 1−1)に
炭酸カルシウム粉末[平均粒子径:1.2μm、最大粒子径:5μm、90%累積頻度粒
径が2.5μm、水分量:400ppm以下(カールフィッシャー法、200℃で測定)
]を混練して得た炭酸カルシウム組成物をドライブレンドして、プロピレン単独重合体(
a1−1)を97.2%及び炭酸カルシウムを2.8%含むプロピレン重合体組成物(A
−1)を用意した。なお、プロピレン重合体組成物には、プロピレン重合体組成物100
質量部に対して、帯電防止剤として、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを主な
成分とする帯電防止剤の混合物を8500ppm加えた。
<表面層及び裏面層:エチレン系重合体組成物(B)層>
プロピレン単独重合体成分(b1−1−1;MFR:20g/10分、Tp:160℃
):40%、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体成分(b1−2−1;
MFR:7g/10分、Tp:139.7℃):20%、高密度ポリエチレン成分(b2
−1;MFR:0.33g/10分、密度:0.964g/cm3 、Tp:128.1℃
):10%及び高圧法低密度ポリエチレン成分(b3−1;MFR:0.35g/10分
、密度:0.919g/cm3 、Tp:109.8℃):30%からなり、耐熱安定剤と
して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタン(日本チバガイギー社製品 製品名「イルガノックス10
10」)1000ppm及びステアリン酸カルシウム(日本油脂製)1000ppmを含
むエチレン系重合体組成物(B−1)(Tp:109.8℃、128.1℃及び156.
8℃、MFR:4.5g/10分)を用意した。
<二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの製造>
表面層及び裏面層としてエチレン系重合体組成物(B−1)及び基材層としてプロピレ
ン重合体組成物(A−1)を、表面層/基材層/裏面層の押出比が(1/12/1.5)
になるように各々スクリュー押出機を用いて溶融し、マルチマニホールドタイプT−ダイ
を用いて押出し、冷却ロール上にて急冷し、厚さ約1.5mmの多層シートを得た。この
シートを110℃で加熱しフィルムの流れ方向(縦方向)に5.0倍延伸した。この5.
0倍延伸したシートを160℃で加熱し、流れ方向に対して直交する方向(横方向)に1
0倍延伸(面倍率;50倍)して、基材層の厚さ:29μm、表面層の厚さ:3.6μm
及び裏面層の厚さ:2.4μm(合計厚さ:35μm)の二軸延伸ポリプロピレン積層フ
ィルムを得た。二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの表面層及び裏面層には、コロナ処
理を施した。得られた二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムの物性等を前記記載の方法で
測定した。
次いで得られた二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムを、厚さ67μmの上質紙(OK
上質紙52.3g/m2 、王子製紙製)の両面に、ポリウレタン系接着剤(商標:AD−
593、東洋モートン社製)を用いて、接着剤量として塗工量5g/m2 で貼り合わせて
電子写真用記録シートを得た。得られた電子写真用記録シートの物性等を前記記載の方法
で測定した
評価結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン単独重合体(
a1−1)及び炭酸カルシウム組成物並びに実施例1で用いたプロピレン単独重合体(a
1−1)にアルミナ処理されたルチル型酸化チタン[平均粒子径:0.2μm、水分量:
400ppm以下(カールフィッシャー法、200℃で測定)]を混練した酸化チタン組
成物をドライブレンドし、プロピレン単独重合体(a1−1)を92.7%、炭酸カルシ
ウムを3.0%及び酸化チタンを4.3%含むプロピレン重合体組成物(A−2)を用い
、表面層/基材層/裏面層の押出比を(2/31.5/1.5)となるようにする以外は
、実施例1と同様に行い基材層の厚さ:31.5μm、表面層の厚さ:2.0μm及び裏
面層の厚さ:1.5μm(合計厚さ:35μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム
及び上質紙と貼り合わせた電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例3
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を94.0%、炭酸カルシウム
を3.0%及び酸化チタンを3.0%含むプロピレン重合体組成物(A−3)を用い、裏
面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて、
プロピレン単独重合体(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃)を用い、表
面層/基材層/裏面層の押出比を(0.5/5.1/0.4)となるようにする以外は、
実施例1と同様に行い基材層の厚さ:25.5μm、表面層の厚さ:2.5μm及び裏面
層の厚さ:2.0μm(合計厚さ:30μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム及
び上質紙と貼り合わせた電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例4
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を84.1%、炭酸カルシウム
を11.5%及び酸化チタンを4.4%含むプロピレン重合体組成物(A−4)を用い、
裏面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて
、プロピレン単独重合体(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃)を用い、
表面層/基材層/裏面層の押出比を(1.1/14.5/1.1)となるようにする以外
は、実施例1と同様に行い基材層の厚さ:21.7μm、表面層の厚さ:1.65μm及
び裏面層の厚さ:1.65μm(合計厚さ:25μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフ
ィルム及び上質紙と貼り合わせた電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0038】
実施例5
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を83.8%、炭酸カルシウム
を12.0%及び酸化チタンを4.2%含むプロピレン重合体組成物(A−5)を用い、
表面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に実施例
1で用いた炭酸カルシウム粉末を3%添加した組成物を用い、且つ実施例1で用いた裏面
層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて、プ
ロピレン単独重合体(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃)を用い、表面
層/基材層/裏面層の押出比を(1.5/10/1)となるようにする以外は、実施例1
と同様に行い基材層の厚さ:20μm、表面層の厚さ:3.0μm及び裏面層の厚さ:2
.0μm(合計厚さ:25μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム及び上質紙と貼
り合わせた電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0039】
実施例6
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を75.0%、炭酸カルシウム
を20.0%及び酸化チタンを5.0%含むプロピレン重合体組成物(A−6)を用い、
裏面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて
、プロピレン単独重合体(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃)を用い、
表面層/基材層/裏面層の押出比を(8/17/8)となるようにする以外は、実施例1
と同様に行い基材層の厚さ:77.2μm、表面層の厚さ:36.4μm及び裏面層の厚
さ:36.4μm(合計厚さ:150μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムから
なる電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を86.8%、炭酸カルシウム
を6.0%及び酸化チタンを7.2%含むプロピレン重合体組成物(A−6)を用い、表
面層及び裏面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)
に代えて、プロピレン単独重合体(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃)
を用い、表面層/基材層/裏面層の押出比を(1/18/1)となるようにする以外は、
実施例1と同様に行い基材層の厚さ:27.0μm、表面層の厚さ:1.5μm及び裏面
層の厚さ:1.5μm(合計厚さ:30μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム及
び上質紙と貼り合わせた電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を88.0%、炭酸カルシウム
を6.0%及び酸化チタンを6.0%含むプロピレン重合体組成物(A−7)を用い、表
面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて、
プロピレン単独重合体成分(b1−1−2;Tp:160℃):40%、プロピレン・エ
チレンランダム共重合体成分(b1−2−2;Tp:135.3℃):30%及び低密度
ポリエチレン成分(b3−2;密度:0.919g/cm3 、Tp:109.8℃):3
0%からなる重合体組成物(C−1;Tp:109.0℃、144.3℃及び152.5
℃、MFR:5.0g/10分)を用い、且つ、裏面層用の重合体として、実施例1で用
いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて、プロピレン単独重合体(PP−1;M
FR:3g/10分、Tp:158℃)を用い、表面層/基材層/裏面層の押出比を(1
.5/12.5/1)となるようにする以外は、実施例1と同様に行い基材層の厚さ:2
5.0μm、表面層の厚さ:3.0μm及び裏面層の厚さ:2.0μm(合計厚さ:30
μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム及び上質紙と貼り合わせた電子写真用記録
シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例3
基材層用のプロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物
(A−1)に代えて、プロピレン単独重合体(a1−1)を83.8%、炭酸カルシウム
を12.0%及び酸化チタンを4.2%含むプロピレン重合体組成物(A−8)を用い、
表面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1)に代えて
、プロピレン単独重合体成分(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃)を9
6.5%及び高密度ポリエチレン成分(b2−2;MFR:5.2g/10分、密度:0
.968g/cm3 、Tp:134.9℃)を3.5%含むエチレン系重合体組成物を用
い、且つ、裏面層用の重合体として、実施例1で用いたエチレン系重合体組成物(B−1
)に代えて、プロピレン単独重合体(PP−1;MFR:3g/10分、Tp:158℃
)を用い、表面層/基材層/裏面層の押出比を(1.5/10/1)となるようにする以
外は、実施例1と同様に行い基材層の厚さ:20.0μm、表面層の厚さ:3.0μm及
び裏面層の厚さ:2.0μm(合計厚さ:25μm)の二軸延伸積層ポリプロピレンフィ
ルム及び上質紙と貼り合わせた電子写真用記録シートを得た。
評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

表1の記載から明らかなように、プロピレン系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(
b2)及び低密度ポリエチレン(b3)を含むエチレン系重合体組成物(B)から得られ
る表面層を有する二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムからなることを特徴とする電子写
真用記録シート(実施例1〜6)は、隠蔽性を有し、表面層の光沢度が低く、表面粗さも
良好で、且つ表面固有抵抗値も1×1013Ω以下を示し、走行性、画質再現性及び耐折り
割れ性に優れ、耐水性も良好である。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層を構
成するプロピレン重合体組成物(A)として、炭酸カルシウム粉末と酸化チタン粉末を添
加した組成物を用いた電子写真用記録シート(実施例2〜6)は、さらに隠蔽性が良好で
、光沢度も低く、且つ白色度に優れている。
一方、表面層がプロピレン系重合体のみからなる電子写真用記録シート(比較例1)、
プロピレン系重合体と低密度ポリエチレンからなる表面層を有する電子写真用記録シート
(比較例2)及びプロピレン系重合体と高密度ポリエチレンからなる表面層を有する電子
写真用記録シート(比較例3)は、何れも、耐折り割れ性に劣っている。さらに、プロピ
レン系重合体のみからなる表面層を有する電子写真用記録シート(比較例1)及びプロピ
レン系重合体と高密度ポリエチレンからなる表面層を有する電子写真用記録シート(比較
例3)は、光沢度が高く、且つ帯電防止剤を基材層に添加しても表面固有抵抗値が1.8
〜2.7×1015Ωと走行性や画質再現性にも劣ることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の電子写真用記録シートは、電子写真方法を用いた記録方式により記録するため
のシートとして極めて有用である。また、本発明の電子写真用記録シートは、特に電子写
真プリンターの用紙に限らず、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、溶剤型オフセッ
ト印刷、紫外線硬化型オフセット印刷などにも有効に適用することができる。また、本発
明の電子写真用記録シートは、シートのまま記録する方式の印刷にも、ロール状の輪転方
式の印刷にも適用することができる。
本発明の電子写真用記録シートに印刷された印刷物は、耐水性に優れており、かかる特
徴を活かして、屋外、冷凍食品関連での宣伝用ポスター、看板、標識、タグや、使用方法
や注意書きを記した製造管理用カードに利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン重合体(a1)に無機化合物粉末(a2)を添加してなるプロピレン重合体
組成物(A)から得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層の片面に、プロピレン
系重合体(b1)、高密度ポリエチレン(b2)及び低密度ポリエチレン(b3)を含む
エチレン系重合体組成物(B)から得られる表面層が形成された二軸延伸ポリプロピレン
積層フィルムからなることを特徴とする電子写真用記録シート。
【請求項2】
二軸延伸ポリプロピレン積層フィルムが、表面層の表面粗さ(三次元中心面平均粗さ;
SRa)が0.2〜0.6μm及び光沢度が7〜60%の範囲にあり、且つ二軸延伸ポリ
プロピレン積層フィルムの光線透過率が10〜55%及び密度が0.50〜0.90g/
cm3 の範囲にある請求項1記載の電子写真用記録シート。
【請求項3】
エチレン系重合体組成物(B)が、プロピレン系重合体(b1)が85〜50質量%、
高密度ポリエチレン(b2)が3〜30質量%及び低密度ポリエチレン(b3)が10〜
45質量%(b1+b2+b3=100質量%)を含む組成物である請求項1記載の電子
写真用記録シート。
【請求項4】
プロピレン系重合体(b1)が、プロピレン単独重合体(b1−1)とプロピレン・α
―オレフィンランダム共重合体(b1−2)を含んでなる請求項1又は3に記載の電子写
真用記録シート。
【請求項5】
プロピレン重合体組成物(A)が、プロピレン重合体(a1)55〜92質量%と、平
均粒径が0.5〜5μm、80%累積頻度粒径が3μm以下の炭酸カルシウム0.5〜2
0質量%及び酸化チタン1〜10質量%からなる無機化合物粉末(a2)との組成物であ
る請求項1記載の電子写真用記録シート。
【請求項6】
紙基材の少なくとも片面に請求項1〜5のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリプロピレ
ン積層フィルムが貼合されてなる電子写真用記録シート。

【公開番号】特開2007−33871(P2007−33871A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217173(P2005−217173)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000220099)東セロ株式会社 (177)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】