説明

電子写真装置の定着器

【目的】 定着クリーニングローラを定着回転部材に均等に押し当てる
【構成】 定着ローラ30の両端外周に、表面を粗目に形成した弾性回転部材33を設けるとともに、定着クリーニングローラ40のローラ軸40a両端に、同様に表面を粗目に形成した弾性回転部材41を設ける。そして、付勢バネ42で付勢して定着クリーニングローラ40を定着ローラ30に押し当てるとともに、弾性回転部材41を弾性回転部材33に押し当てる。しかして、弾性回転部材33・41で定着ローラへの駆動力を定着クリーニングローラ40に伝達する回転伝達手段45を構成する。そして、定着時、弾性回転部材33・41を摩擦接触して該駆動力を定着クリーニングローラ40に伝達する一方、その駆動力に基づき定着ローラ30から定着クリーニングローラ40に働く力を、弾性回転部材33・41の弾性である程度吸収する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザを用いた、プリンタ・複写機・ファクシミリなど、電子写真方式(感光体に形成した画像をシートに転写して後その画像を定着して記録を行う方式)によりシートに記録を行う電子写真装置に適用しうる。詳しくは、そのような電子写真装置において、定着ローラや定着ベルト等の定着回転部材を回転して画像転写後シートの画像面と接触し、その画像面上のトナー画像を定着する定着器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の定着器の中には、たとえば図8に示すごとく、加圧ローラ1を付勢バネ2で付勢して定着ローラ3に押し当てるとともに、その定着ローラ3に、オイルを含浸した定着クリーニングローラ4を付勢バネ5・6で付勢して押し当てたものがある。そして、定着クリーニングローラ4は、そのローラ軸4aの一端に、定着ローラ3と一体的な定着ギヤ7と噛み合う回転伝達ギヤ8を取り付け、その噛み合いを介して定着ローラ3への駆動力を伝達して回転自在としていた。
【0003】しかして、この従来の定着器では、定着時、該駆動力を伝達して定着ローラ3とともに定着クリーニングローラ4を回転し、画像転写後シートSを定着ローラ3と加圧ローラ1間に通してシートS上のトナー画像を定着する一方、定着クリーニングローラ4で定着ローラ3の表面にオイルの膜を形成して定着中にトナーが定着ローラ3の表面に付着することを阻止し、その付着したトナーで通紙中のシートSの画像面を汚すことを防止していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従来の定着器では、定着時、定着ギヤ7と回転伝達ギヤ8の噛み合いを介して前記駆動力の上向きの力Fが定着クリーニングローラ4に作用し、その定着クリーニングローラ4の片側を押し上げるため、定着クリーニングローラ4を定着ローラ3に均等に押し当てることができなかった。
【0005】そこで、この発明の目的は、上述のような定着器において、定着ローラに定着クリーニングローラを均等に押し当てることを可能にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのため、この発明は、たとえば以下の図示実施例において示すとおり、定着クリーニングローラ40を付勢して定着ローラ30のような定着回転部材に押し当て、その定着回転部材への駆動力をそれから回転伝達手段45を介して前記定着クリーニングローラ40に伝達し、前記定着回転部材とともにその定着クリーニングローラ40を回転して該定着回転部材の表面を清掃する電子写真装置の定着器20において、前記定着回転部材および定着クリーニングローラ40の両端に、各々前記回転伝達手段45を設けてなることを特徴とする。
【0007】請求項2に記載のものは、たとえば以下の図示実施例に示すごとく、請求項1に記載の定着器20において、前記回転伝達手段45を、摩擦接触する弾性回転部材33・41で構成してなることを特徴とする。
【0008】請求項3に記載のものは、たとえば以下の図示実施例に示すごとく、請求項1に記載の定着器20において、前記回転伝達手段45を、噛み合う弾性回転部材33・41で構成してなることを特徴とする。
【0009】
【作用】そして、定着時、定着回転部材への駆動力を、それから定着回転部材および定着クリーニングローラ40両端の各々の回転伝達手段45を介して定着クリーニングローラ40に伝達する。
【0010】請求項2に記載のものでは、その定着時、弾性回転部材33・41が摩擦接触して定着回転部材への駆動力をそれから定着クリーニングローラ40に伝達する一方、その駆動力に基づき定着回転部材から定着クリーニングローラ40に働く力を、弾性回転部材33・41の弾性によりある程度吸収する。
【0011】請求項3に記載のものでは、その定着時、弾性回転部材33・41の噛み合いで定着回転部材への駆動力をそれから定着クリーニングローラ40に伝達する一方、その駆動力に基づき定着回転部材から定着クリーニングローラ40に働く力を、弾性回転部材33・41の弾性によりある程度吸収する。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しつつ、この発明の実施例について説明する。図7は、この発明の一実施例である定着器を備えるレーザプリンタであり、その内部機構の全体概略構成を示す。図中符号10は、装置本体である。装置本体10内には、中央に図中時計方向に回転するドラム状の感光体11を設ける。感光体11のまわりには、その回転方向に順に、帯電器12・光書込み器13・現像器14・転写器15・クリ−ニング器16を配置する。
【0013】一方、装置本体10の図中右側には、シートSを収納した給紙カセット17・17を上下2段にそれぞれ着脱自在に取り付ける。転写器15の右側には、レジストローラ対18を配置する。他方、転写器15を挟んでレジストローラ18と反対の側には、搬送器19とこの発明の定着器20を順に並べて配置する。
【0014】しかして、図示レ−ザ−プリンタでは、給紙ロ−ラ22・22を適宜選択して駆動し、シートSを給紙カセット17内から順次送り出し、レジストロ−ラ18に突き当てて止める。
【0015】他方、感光体11は、図中時計方向に回転しながら帯電器12で表面を順次帯電し、次の光書込み器13でレ−ザ−光を照射してその表面に静電潜像を形成し、続いて現像器14位置を通るときその静電潜像を逐次可視像化する。そして、その像とタイミングを合わせてレジストロ−ラ18を駆動してシートSを感光体11に向けて送り出す。しかして、その感光体11上の可視像を、転写器15でシートSの表面に転写する。転写後、感光体11の表面を、クリ−ニング器16で清掃する一方、シートSを、搬送器19で定着器20へと送り、その定着器20で転写画像を定着する。そして、シート排出路25を通して排紙スタック部26へと排出する。
【0016】ところで、上述した定着器20は、詳しくは図1に示すような構成とする。図中符号30は、定着ローラである。定着ローラ30は、ヒータ(図示省略)を内蔵し、図示しないローラ軸の一端に駆動伝達ギヤ31と噛み合う定着ギヤ32を取り付ける。また、定着ローラ30は、その両端外周に帯状の弾性回転部材33を設ける。弾性回転部材33は、その表面を粗目(摩擦係数が0.8以上)に形成したシリコンゴム等て形成する。
【0017】また、定着器20は、この定着ローラ30の下側に加圧ローラ35を配置し、その加圧ローラ35を付勢バネ36で付勢して定着ローラ30に押し当てる。
【0018】さらに、定着器20は、定着ローラ30の上側に、シリコンオイル等を含浸した定着クリーニングローラ40を配置する。定着クリーニングローラ40は、そのローラ軸40aの両端に円盤状の弾性回転部材41を取り付ける。この弾性回転部材41は、前記弾性回転部材33と同様に外周面を粗目に形成したシリコンゴム等で形成する。そして、定着クリーニングローラ40は、ローラ軸40aの両端において付勢バネ42で付勢して定着ローラ30に押し当てるとともに、弾性回転部材41を定着ローラ30側の弾性回転部材33に押し当ててなる。しかして、互いに摩擦接触する弾性回転部材33・41により回転伝達手段45を構成する。
【0019】しかして、上述した定着器20では、画像定着時、駆動モータの駆動力を駆動伝達ギヤ31と定着ギヤ32の噛み合いを介して伝達して定着ローラ30を回転する。そして、加圧ローラ35を従動回転し、両ローラ30・35間に画像転写後シートSを通してそれに熱と圧力を加えてシートS上のトナー画像を定着する。同時に、定着クリーニングローラ40は、摩擦接触する両弾性回転部材33・41を介して定着ローラ30への前記駆動力が伝達されて回転する。そのとき、この駆動力に基づき定着ローラ30から定着クリーニングローラ40に働く力を、弾性回転部材33・41の弾性によりある程度吸収し、該力で定着クリーニングローラ40を押し上げることを防止する。そして、定着クリーニングローラ40で定着ローラ30の表面にシリコンオイルを塗布してオイルの膜を形成し、この定着中にトナーが定着ローラ30の表面に付着することを防止する。
【0020】ところで、上述した図示実施例では、弾性回転部材33・41を、それぞれ表面を粗目に形成したシリコンゴム等で形成した。しかし、たとえば図2に示すように、そのような弾性回転部材33・41を、それぞれ表面を一様に凹凸にして平目ローレット形状に形成し、弾性をと高める構成とすることもできる。
【0021】そして、定着時、それら弾性回転部材33・41の互いの凸部33a・41aを摩擦接触して定着ローラ30への駆動力を定着クリーニングローラ40に伝達する一方、その駆動力に基づき定着ローラ30から定着クリーニングローラ40に働く力を、弾性回転部材33・41の弾性によりある程度吸収する。
【0022】また、図2に示した実施例では、回転伝達手段45を構成する弾性回転部材33・41の各表面を平目ローレット形状に形成した。しかし、たとえば図3に示すように、弾性回転部材33・41の表面の凹凸を比較的大きめに形成し、その凸部33a・41aにそれぞれ穴33b・41bを設けて弾性を一段と高める構成とすることもできる。さらにまた、たとえば図4に示すように、同様な弾性回転部材33・41の穴33b・41bを該凸部33a・41aの少し回転中心寄りに設けてもよい。
【0023】また、上述した図示実施例では、回転伝達手段45を、ともに弾性回転部材33・41で構成した。しかし、たとえば図5に示す実施例のように、定着クリーニングローラ40のローラ軸40aの両端に、ゴムローラ等の弾性体からなる弾性回転部材41を設ける一方、定着ローラ30の両端には、弾性を有しない帯状のローレット面50を設ける構成としてもよい。そして、弾性回転部材41と、それと摩擦接触するローレット面50とで回転伝達手段45を構成する。
【0024】しかして、この他の実施例では、定着時、弾性回転部材41とローレット面50とが摩擦接触して定着ローラ30への駆動力を定着クリーニングローラ40へと伝達する一方、その駆動力に基づき定着ローラ30から定着クリーニングローラ40に働く力を、弾性回転部材41の弾性によってある程度吸収する。
【0025】ところで、以上の図示実施例では、回転伝達手段45を、摩擦接触する弾性回転部材で構成した。しかし、たとえば図6で示す実施例のように、回転伝達手段45を、互いに噛み合う弾性回転部材33・41で構成することもできる。
【0026】この他の実施例において、弾性回転部材33・41には、それぞれの表面に径方向にのびる多数の羽根33c・41cを設ける。そして、定着時には、羽根33c・41cの噛み合いを介して定着ローラ30への駆動力を定着クリーニングローラ40へと伝達する一方、その駆動力に基づき定着ローラ30から定着クリーニングローラ40に働く力を、羽根33c・41cの弾性によってある程度吸収する。
【0027】
【発明の効果】したがって、この発明によれば、定着クリーニングローラを付勢して定着回転部材に押し当て、その定着回転部材への駆動力をそれから回転伝達手段を介して定着クリーニングローラに伝達する定着器において、定着回転部材および定着クリーニングローラの両端に、各々回転伝達手段を設けることから、従来のように該駆動力に基づき定着クリーニングローラの一端側を押し上げることがなく、均等に定着クリーニングローラを定着回転部材に押し当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である定着器の要部の斜視図である。
【図2】その定着器の回転伝達手段の他例を示す構成図である。
【図3】その回転伝達手段の別の他例を示す構成図である。
【図4】その回転伝達手段のさらに別の他例を示す構成図である。
【図5】その回転伝達手段の一方を弾性回転部材で構成したこの発明の他の実施例である定着器の要部の斜視図である。
【図6】その回転伝達手段を、噛み合う弾性回転部材で構成したこの発明のさらなる他の実施例である定着器の要部の斜視図である。
【図7】この発明の定着器を備えるレーザプリンタの内部機構を示す全体概略構成図である。
【図8】従来の定着器の斜視図である。
【符号の説明】
20 定着器
30 定着ローラ(定着回転部材)
33 定着ローラの弾性回転部材
40 定着クリーニングローラ
41 定着クリーニングローラの弾性回転部材
45 回転伝達手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 定着クリーニングローラを付勢して定着回転部材に押し当て、その定着回転部材への駆動力をそれから回転伝達手段を介して前記定着クリーニングローラに伝達し、前記定着回転部材とともにその定着クリーニングローラを回転する電子写真装置の定着器において、前記定着回転部材および定着クリーニングローラの両端に、各々前記回転伝達手段を設けてなる、電子写真装置の定着器。
【請求項2】 前記回転伝達手段を、摩擦接触する弾性回転部材で構成してなる、請求項1に記載の電子写真装置の定着器。
【請求項3】 前記回転伝達手段を、噛み合う弾性回転部材で構成してなる、請求項1に記載の電子写真装置の定着器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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