説明

電子写真装置用ブレード部材製造方法及び製造装置

【課題】硬化時間の速いポリウレタン組成物を用い高品質な電子写真装置用ブレード部材を連続的に成型する製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】外周面に連続した成型用溝を形成した成型ドラムとエンドレスベルトを用いる電子写真装置用ブレード部材製造方法において、電子写真装置用ブレード部材が粘度が500〜3000mPa・sであるA)〜D)を含むポリウレタン組成物を硬化したポリウレタン樹脂であり、組成物の注入点は成型ドラムとエンドレスベルトが初めに接触する部分からエンドレスベルトの移動方向に対して上流側のエンドレスベルト上の成型用溝に対向する位置にある方法。A)ポリイソシアネートB)数平均分子量が1000〜4000のアジペート系ポリエステルポリオールC)分子量200以下の鎖延長剤D)イソシアヌレート化触媒20〜500ppm、ウレタン化触媒200〜1500ppm。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置に使用されるクリーニングブレード及び現像剤量規制ブレード等の電子写真装置用ブレード部材の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置の画像形成工程における現像装置としては、現像剤(トナー)を蓄える現像剤容器の開口部に、一部を露出して設けられるローラーなどの現像剤担持体と、この現像剤担持体の表面に当接するゴム材などで形成された電子写真装置用ブレード部材を備えた現像剤量規制ブレードとを有するものが多用されている。また、電子写真装置の感光体クリーニング工程におけるクリーニング装置としては、記録用紙に転写を行った後、感光体上に残存するトナーを除去して繰り返し転写を行うために、支持体に電子写真装置用ブレード部材が接合されたクリーニングブレードが多用されている。
【0003】
現像剤量規制ブレードは、一般に、ゴム板、金属性薄板、樹脂板、およびこれらの積層体から形成される。これらの現像剤量規制ブレードは使用する現像剤によって種類が選択される。一般的に使用される現像剤量規制ブレードの一つとして、現像剤担持体に圧接される電子写真装置用ブレード部材と、この電子写真装置用ブレード部材を所定の位置に支持する支持部材とから作製されるものが挙げられる。該電子写真装置用ブレード部材には、耐磨耗性等、機械的特性に優れていることから、ポリウレタン樹脂が通常使用される。
【0004】
クリーニングブレードは、装置等にブレードを貼り付けるための金属製の支持部材と、その支持部材に弾性体からなる電子写真装置用ブレード部材が一体化して形成されており、電子写真装置用ブレード部材は、耐磨耗性や永久歪みに優れていることから、ポリウレタン樹脂が通常使用される。
【0005】
このようなポリウレタン樹脂からなる電子写真装置用ブレード部材を備える電子写真装置用ブレードは、従来下記の製造方法のうちのいずれかの方法によって製造されている。
【0006】
一つは遠心成型法と呼ばれる製造方法で、円筒金型に原料を入れ、高速で回転させて遠心力により内周面に充填させ、加熱硬化させて薄肉円筒状のシートを成型する方法である。こうして得られた円筒状のシートを円筒金型から取り出し、必要に応じて二次架橋を行い所定寸法に切断することにより、電子写真装置用ブレード部材を作製する。それから、電子写真装置用ブレード部材の一側縁部を支持部材に接着剤等によって接着することにより、最終製品としてクリーニングブレードや現像剤量規制ブレードが完成する。
【0007】
二つ目の方法として、型成型法である。あらかじめ接着剤等を塗布した支持部材を分割金型内にセットし、原料を分割金型内に注入し、加熱硬化し支持部材と電子写真装置用ブレード部材を一体に成型する方法である。その後、分割金型を開放して成型体を取り出す。エッジ(稜線)精度を確保するため、成型後に一側面側を切断する場合もある。
【0008】
これらの方法には、次のような改善すべき点がある。まず遠心成型法ではバッチ処理になり、連続自動化が困難である。また、型成型法では、大量生産には相当数の金型を準備する必要があり、硬化炉も必要になる。その結果、装置全体大きさが大きくなり、スペースの確保、装置コストの増加につながる。
【0009】
従来のポリウレタンシートを連続的に成型する方法として、熱硬化型ポリウレタン原料成分であるポリウレタンプレポリマーの液状物と架橋剤の液状物とを混合攪拌し、加熱された断面凹状の連続した金型内に吐出した後、加熱、加圧して一定幅で帯状の電子写真装置用ブレード部材を連続成型する方法がある。この技術では、連続的に電子写真装置用ブレード部材を成型することが可能であり、製造工程の自動化が容易で、簡略化でき設備コストを安くできるとしている。
【0010】
近年、電子写真の技術分野でもコスト競争が加速し、より生産性を向上した製造方法でコストダウンが求められている。ポリウレタン樹脂を使用する電子写真装置用ブレード部材も、より速い硬化時間の処方にすることにより生産効率の向上と、装置の小型化が求められている。
【0011】
しかし、硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂の原材料組成物を使用した場合、加熱された成型ドラムの断面凹状溝内に注入すると、成型ドラムに接触した直後から硬化が開始される。このため、成型ドラムに接触している面から硬化が進行し、その後接触するエンドレスベルト接触面と硬化タイミングに差が生じて硬化ムラが発生する。その結果、ひけ等の外観上の模様発生、気泡の混入等、電子写真装置用ブレード部材としての機能を満足できない成型体になってしまう可能性がある。
【0012】
また、硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂の原材料組成物を使用して、加熱された成型ドラムの断面凹状溝内に注入した場合、エンドレスベルトと挟み込む前に硬化が進行してしまう。このため、硬化が進んだポリウレタン樹脂の原材料組成物をエンドレスベルトで挟み込んでも所定の厚みが得られない可能性がある(例えば、特許文献1)。
【0013】
また、従来のポリウレタン樹脂を使用するシートを連続的に成型する別の方法として、外周面の全周にわたり成型面を形成した成型ドラムと、成型ドラムの外周面の一部に圧接されたエンドレスベルトにより連続的にシートを成型する装置において、エンドレスベルトの背面から背圧ロールによって加圧する熱硬化エラストマー連続成型装置の記載がある。この技術では、連続的に加圧しかつ加圧力が大きいので、加圧ムラのない連続成型装置が可能であり、成型体への気泡混入が防止できるとしている。
【0014】
この方法では、エンドレスベルトの背面に背圧ロールを配設し、エンドレスベルトの高荷重なテンションにより気泡混入を防止するため装置構成が複雑になる。このため、装置の大型化、装置コストの増加、装置設定調整の複雑化が更なる改善課題となる(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第2645980号公報
【特許文献2】特開平10−15967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂を使用して、硬度等物性のムラが少なく、外観上の模様や気泡混入の発生が低減した高品質な電子写真装置用ブレード部材を連続的に成型する製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0017】
更に、硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂を使用した電子写真装置用ブレード部材を高品質で連続して製造でき、生産効率が高く、自動化が容易な構造であり、設備コストも安くできる製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
外周面に連続した成型用溝を形成した成型ドラムと該成型ドラムの外周面に当接されたエンドレスベルトを用いて、混合攪拌工程、注入工程、加熱硬化工程、離型工程、切断工程を有する電子写真装置用ブレード部材製造方法において、
該電子写真装置用ブレード部材は下記(A)から(D)を少なくとも含有するポリウレタン組成物を加熱硬化したポリウレタン樹脂で形成されたものであり、かつ該ポリウレタン組成物の混合攪拌終了後注入前の粘度が500mPa・s以上、3000mPa・s以下であり、該注入工程における該ポリウレタン組成物の配置位置は、該成型ドラムと該エンドレスベルトが初めに接触する位置から該エンドレスベルトの移動方向に対して上流側の該エンドレスベルト上の該成型用溝に対向する位置にあることを特徴とする電子写真装置用ブレード部材製造方法により、その目的を達成する。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が1000〜4000のアジペート系ポリエステルポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)硬化用触媒としてイソシアヌレート化触媒が20ppm以上、500ppm以下であり、かつ、ウレタン化触媒が200ppm以上、1500ppm以下
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、
硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂を使用して、硬度等物性のムラが少なく、外観上の模様や気泡混入の発生が低減した高品質な電子写真装置用ブレード部材を連続的に成型する製造方法及び製造装置を提供することができる。
【0020】
更に、硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂を使用した電子写真装置用ブレード部材を高品質で連続して製造でき、生産効率が高く、自動化が容易な構造であり、設備コストも安くできる製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の電子写真装置用ブレード部材製造装置を示す一例の図である。
【図2】本発明に係る電子写真装置用ブレード部材製造装置における、成型ドラムの成型用溝とエンドレスベルトとに囲まれた空間の一部を示す一例の断面図である。
【図3】本発明に係る電子写真装置用ブレード部材製造装置における、成型ドラムに形成されている成型用溝の一部を示す一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を詳述する。
【0023】
本発明に係る電子写真装置用ブレード部材製造方法は、外周面に連続した成型用溝を形成した成型ドラムと該成型ドラムの外周面に当接されたエンドレスベルトを用いて、混合攪拌工程、注入工程、加熱硬化工程、離型工程、切断工程を有する電子写真装置用ブレード部材製造方法において、
該電子写真装置用ブレード部材は下記(A)から(D)を少なくとも含有するポリウレタン組成物を加熱硬化したポリウレタン樹脂で形成されたものであり、かつ該ポリウレタン組成物の混合攪拌終了後注入前の粘度が500mPa・s以上、3000mPa・s以下であり、該注入工程における該ポリウレタン組成物の配置位置は、該成型ドラムと該エンドレスベルトが初めに接触する位置から該エンドレスベルトの移動方向に対して上流側の該エンドレスベルト上の該成型用溝に対向する位置にあることを特徴とする。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が1000〜4000のアジペート系ポリエステルポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)硬化用触媒としてイソシアヌレート化触媒が20ppm以上、500ppm以下であり、かつ、ウレタン化触媒が200ppm以上、1500ppm以下。
【0024】
[電子写真装置用ブレードの基本構成]
本発明に係る電子写真装置用ブレードは、複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、電子写真製版システムなどの電子写真技術を応用した電子写真装置のクリーニングブレード、現像ブレード等として用いられるブレードである。該ブレードは、ポリウレタン組成物を用いて製造されたポリウレタン樹脂から形成された電子写真装置用ブレード部材と、支持部材とが接合された構成を有している。支持部材および電子写真装置用ブレード部材等の形状は、特に限定されず、使用目的に適した形状とすれば良い。
【0025】
また、支持部材を構成する材料についても、特に限定されず、金属、樹脂、より具体的には、鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛メッキクロメート皮膜鋼板、クロムフリー鋼板等の金属材料、6−ナイロン、6,6−ナイロン等の樹脂材料から作製することができる。支持部材と電子写真装置用ブレード部材の接合方法は、特に限定されず、公知の方法の中から適したものを選択すれば良い。
【0026】
[ポリウレタン組成物]
((A)ポリイソシアネート)
上記ポリウレタン組成物に配合される(A)ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、カルボジイミド変性MDI、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート(PAPI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、リジンジイソシアネートメチルエステル(LDI)、ジメチルジイソシアネート(DDI)等が挙げられる。これらのなかでも、4,4’−MDIを用いることが好ましい。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
((B)アジペート系ポリエステルポリオール)
上記ポリウレタン組成物に配合される(B)ポリオールの具体例としてはポリエチレンアジペートエステルポリオール、ポリブチレンアジペートエステルポリオール、ポリヘキシレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−プロピレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ネオペンチレンアジペートエステルポリオールなどのアジペート系ポリエステルなどが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
上記ポリウレタン組成物に配合される(B)ポリオールは、数平均分子量が1000〜4000のポリオールである。(B)ポリオールとして数平均分子量が1000以下のポリオールを用いると、ポリオール全体の数平均分子量が小さくなるため、得られるポリウレタン樹脂の物性が低くなる傾向があり、好ましくない。また、数平均分子量が4000以上の場合は、表面のひけ模様や硬化ムラ発生しやすくなるため好ましくない。
【0029】
((C)鎖延長剤)
上記ポリウレタン組成物に配合される(C)鎖延長剤としては、例えば、グリコールが使用される。このようなグリコールとしては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4−ブタンジオール(1,4BD)、ヘキサンジオール(HD)、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール(テレフタリルアルコール)、トリエチレングリコール等が挙げられる。また、上記グリコールの他に、その他の多価アルコールを使用することができる。このような多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
(C)鎖延長剤の分子量は、200以下であるものを用いる。(C)鎖延長剤の分子量が200を超えると、ハードセグメントの凝集が少なくなり、物性が低下するため電子写真装置用ブレード部材として必要な特性を得られない可能性がある。
【0031】
((D)イソシアヌレート化触媒及びウレタン化触媒)
上記ポリウレタン組成物に配合される(D)硬化用触媒としては、イソシアヌレート化触媒が20ppm以上、500ppm以下であり、かつ、ウレタン化触媒が200ppm以上、1500ppm以下である。なお、本発明においてppmとは質量基準である。
【0032】
イソシアヌレート化触媒によって、反応硬化時間の短縮を図り、成型装置の小型化、装置コストダウン、生産効率の向上が可能になる。また、感温性を持たせることによって、室温では反応を遅らせ、加温によって硬化を進行させて効率的な硬化反応を進める。さらに、ウレタン化触媒を併用することにより、電子写真装置用ブレード部材として必要な特性を有しているウレタン樹脂を得ることが可能になる。
【0033】
イソシアヌレート化触媒が20ppm未満であると、ポリウレタン組成物が硬化するまでに長時間を要し、装置の大型化・装置のコスト増加につながる。また、イソシアヌレート化触媒が500ppmより多いとポリウレタン組成物を混合攪拌している最中から硬化が始まり、ポリウレタン組成物の吐出口の汚れが発生し、異物の混入、模様の発生等、電子写真装置用ブレード部材としての不具合が発生する。また、硬化反応が速くなるため、注入後成形溝内に充分に広がりきらず成形不良等が発生する可能性がある。ポリウレタン組成物中におけるイソシアヌレート化触媒の配合量は、50ppm以上、300ppm以下であることが好ましい。
【0034】
更に、ウレタン化触媒が200ppm未満であると、ポリウレタン組成物中のウレタン化反応の割合減少し、電子写真装置用ブレード部材として必要な物性が得られなくなってしまう。また、反応ムラが生じ、表面に模様が発生してしまう。ウレタン化触媒が1500ppmより多いとポリウレタン組成物を混合攪拌している最中に硬化が始まり、吐出口のポリウレタン組成物の汚れが発生し、異物の混入、模様の発生等、電子写真装置用ブレード部材としての不具合が発生する。ポリウレタン組成物中におけるウレタン化触媒の配合量は、300ppm以上、1000ppm以下が、より好ましい。
【0035】
イソシアヌレート化触媒としては、例えば、N−エチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−エチルモルフォリン等の第3級アミンなどが挙げられる。また、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、吉草酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸等のカルボン酸の金属塩の中の1種類、またはその混合物なども挙げられる。このなかでは、加温によって硬化反応が開始される感温性を持ち、成型後にブルームして他のパーツに影響を及ぼすことのないカルボン酸の金属塩が好ましい。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
また、ウレタン化触媒としては、一般に用いられるポリウレタン硬化用の触媒を使用することができ、例えば三級アミン触媒が挙げられる。その他にジメチルエタノールアミンなどのアミノアルコール、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミンなどのテトラアルキルジアミン、トリエチレンジアミン、ピペラジン系、トリアジン系などが例示できる。また、通常、ウレタンに用いられる金属触媒でもよく、ジブチル錫ジラウレートなどを例示することができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
(粘度)
また、ポリウレタン組成物は混合攪拌終了後注入前の粘度が500mPa・s以上、3000mPa・s以下である。
【0038】
粘度が500mPa・s未満ではエンドレスベルト上に配置する時点で、ポリウレタン組成物の流動性が高すぎる。このため、エンドレスベルト上で流れ広がってしまい、後に成型ドラムと接触しても成型ドラムの成型溝を充満できず、電子写真装置用ブレード部材として必要な大きさ、厚みを得られなくなってしまう。一方、粘度が3000mPa・sより大きいとポリウレタン組成物の流動性が低すぎるため、成型溝へ広がらず、これもまた電子写真装置用ブレード部材として必要な大きさ、厚みが得られない。エンドレスベルト上での流れ性、成型ドラムへの充填性の観点から、ポリウレタン組成物の粘度がより良好なのは、ポリウレタン組成物の混合攪拌後の粘度は800mPa・s以上、2000mPa・s以下である。
【0039】
((E)ポリオール)
上記ポリウレタン組成物は、(C)分子量200以下の鎖延長剤と(B)数平均分子量1000〜4000のポリオールという分子量の差があるものを(A)ポリイソシアネートと反応させるため、反応が不均一になる場合がある。反応が不均一になった結果、硬化ムラ等による表面模様が発生する可能性がある。
【0040】
そこで、上記ポリウレタン組成物は、(B)ポリオールの数平均分子量より小さく、上記(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有する(E)ポリオールを含有することがより好ましい。上記(B)ポリオールと上記(C)鎖延長剤の間の数平均分子量をもつ(E)ポリオールを導入することにより、分子量の差が多段階的になる。このため、感温性触媒を使用し反応がより急激な場合でも、収縮ムラからくる表面模様の発生を抑制できる電子写真装置用ブレード部材を得ることができる。
【0041】
上記(E)ポリオールとしては、ポリエチレンアジペートエステルポリオール、ポリブチレンアジペートエステルポリオール、ポリヘキシレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−プロピレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ネオペンチレンアジペートエステルポリオールなどのポリエステルが挙げられる。これらのポリオールは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルを用いることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
((B)アジペート系ポリエステルポリオールと(E)ポリオールの比、混合物の分子量)
ポリウレタン組成物に含有される(E)ポリオールの質量に対する(B)ポリオールの質量の比率(E)/(B)は0.02〜0.60であることが好ましい。0.02以上とすると、(E)ポリオールにより(C)鎖延長剤と(B)ポリオールとの間の分子量の差を効果的に段階的にできるため収縮ムラに起因する表面模様を抑制する効果がより向上する。一方、0.60以下とすると、(B)ポリオールに比べて数平均分子量が小さい(E)ポリオールの比率が好適であるため、得られるポリウレタン樹脂の物性が電子写真装置用ブレード部材としてより好適な物性を有する傾向になる。
【0043】
また、上記(B)ポリオールと上記(E)ポリオールを合わせたポリオール全体での数平均分子量は1000〜3000であることが好ましい。1000以上であると、得られるポリウレタン樹脂が、電子写真装置用ブレード部材としてより好適な物性を有する。また、3000以下とすると、プレポリマーの粘度が低くなり、成型ドラムの成型溝とエンドレスベルトによって形成される空間への流れ性がより良くなる。
【0044】
[電子写真装置用ブレード部材製造方法、製造装置]
以下、本発明の製造方法の実施の形態を製造装置と併せて図面に基づいて説明する。図1は電子写真装置用ブレード部材製造装置の一例を示す概略図である。
【0045】
(計量・混合・攪拌)
初めに、ポリウレタン組成物を計量、混合攪拌して混合物を調製する。図1に示すようにポリウレタン組成物を混合攪拌する装置は、少なくとも2台のタンク10及び11を備える。また、各タンク出口から計量ポンプ12及び13を介してミキシングヘッド16に接続され、吐出・循環用配管14及び15によってミキシングヘッド16とタンク10及び11を接続している。さらにミキシングヘッド16は液状物の導入口と吐出口を備えたチャンバー内に攪拌用回転子を備えた公知の構造からなり、ポリウレタン組成物を高精度に吐出できる。このような定量混合機を用い、計量ポンプにより一定量ミキシングヘッドに供給し、均一に混合攪拌を行う。
【0046】
(注入)
次に、成型装置は、外周面に回転方向に電子写真装置用ブレード部材の連続した成型溝を有した成型ドラム18と、成型ドラム18の外周面の一部に該成型用溝を覆うように配置されたエンドレスベルト19を配設する構成をしている。また、成型ドラム18に内蔵または近接した位置、或いは、成型ドラム18とエンドレスベルト19の圧接された部分のエンドレスベルト19側に密接または近接に配置された加熱手段を備える。該加熱手段により、図2に示す成型ドラム18上の成型用溝とエンドレスベルト19とに囲まれた空間部23内で、成型用溝内に注液されたポリウレタン組成物を加熱硬化することができる。
【0047】
成型ドラム18は、例えば、硬質アルミニウム、鉄、ステンレス等からなり、成型ドラムの中心部は、水平な回転軸17により回転自在に支持され、駆動装置により所定速度で回転する。
【0048】
成型ドラム18の外周面に連続して形成されている成型用溝の形状としては、製造される電子写真装置用ブレード部材の形状に合わせて適宜選択される。例えば、図3(a)に示すように断面が長方形の形状であってもよく、図3(b)に示すように断面が台形の形状であってもよい。
【0049】
またエンドレスベルト19は、例えばステンレス等の金属帯板からなる。ステンレス以外の樹脂ベルトなどでも機構は、可能であるが、その時には、樹脂ベルトの外側から加熱可能な手段を用いることが好ましい。
【0050】
エンドレスベルト19は、成型ドラム18とは別の駆動機構をもつ駆動ロール20、エンドレスベルト走行を調整するガイドロール21、エンドレスベルト19に張力を付与するテンションロール22に掛け渡されている。成型ドラム18とエンドレスベルト19は同等の周速で回転する。
【0051】
また、成型ドラム18とエンドレスベルト19の駆動手段を別にすることが、エンドレスベルト19のテンションの低荷重化を図ることができるため好ましい。駆動手段としては、例えばモータ、クラッチ、ブレーキなどの組み合わせを行うことが考えられる。しかし、成型ドラム18の周速に合わせて、成型ドラム18とエンドレスベルト19のテンションを一定化するために、成型ドラム18は、モータによる駆動、エンドレスベルト19はパウダーブレーキとモータによる駆動が好ましい。尚、エンドレスベルト19のキズ、成型品の模様などを考慮しながら、成型ドラム18周速とエンドレスベルト19周速を設定することが好ましい。
【0052】
エンドレスベルト19に張力を付与するテンションロール22のテンションは、エンドレスベルト19駆動間テンションへの影響、エンドレスベルト19の折れなどを考慮しながらエンドレスベルト19が成型ドラム18に押し当てるテンションに対して同等以下にすることが好ましい。
【0053】
前記加熱手段の加熱方法としては、外部または成型ドラム18内部からの加熱方法があるが、外部からでは、外乱(室温など)に影響を受けたりするために、成型ドラム18を直接加熱する内部加熱が好ましい。内部加熱を行う手段としては、ヒータ、オイル、水などの手段があるが、省スペース、温度管理の面から、ヒータが最適である。成型品への外観異常等を考慮しながら、所定温度±5度以内にすることが望ましい。
【0054】
図1に示す装置において、原料配置手段であるミキシングヘッド16にはポリウレタン組成物を所定速度で吐出できる吐出口が設けられている。ミキシングヘッド16内のポリウレタン組成物は、該吐出口より吐出され、エンドレスベルト19上に配置される。この時、成型ドラム18およびエンドレスベルト19は所定の速度で回転しており、成型ドラム18とエンドレスベルト19によって形成される空間部(溝)に対応する必要量が連続的に注入される。なお、本発明において該吐出口の位置を吐出位置とする。
【0055】
本発明に係る方法では、成型ドラム18とエンドレスベルト19とが初めに接触する位置からエンドレスベルト19の移動方向に対して上流側のエンドレスベルト19上であって、成型用溝に対向する位置にポリウレタン組成物を配置する。なお、本発明において該位置を配置位置とする。
【0056】
ここで、定量混合機のミキシングヘッド16の吐出口位置(吐出位置)はポリウレタン組成物配置位置から垂直方向上方に5mm以上、200mm以下のエンドレスベルト19上空に配置することが好ましい。5mm未満であると吐出口が吐出されたポリウレタン組成物と接触しやすくなり、吐出口が汚れてしまう場合があり、その結果、注入したポリウレタン組成物に異物が混入し、高品質な電子写真装置用ブレード部材が得られなくなってしまう可能性がある。200mmより高い位置から吐出すると、吐出口周辺の空気の流れ等、周囲環境の影響を受けやすく、吐出液の揺らぎ等が生じる。このため、成型用溝に対応するエンドレスベルト19上の適正位置にポリウレタン組成物がずれて配置されたり、ポリウレタン組成物への気泡の混入が発生してしまう場合がある。
【0057】
また、ポリウレタン組成物の配置位置は、成型ドラム18とエンドレスベルト19が初めに接触する部分からエンドレスベルト19の移動方向に対して上流側5mm以上、350mm以下のエンドレスベルト19上であって、前記成型用溝に対向する位置であることが好ましい。上記位置が5mm未満であると吐出されたポリウレタン組成物は、注入時の気泡混入や注入ムラが発生してしまうため所望の電子写真装置用ブレード部材が得られない場合がある。また、350mmより大きいと、吐出されたポリウレタン組成物が上記空間部(溝)の幅を超えて流れ広がってしまい、所望の電子写真装置用ブレード部材の大きさ(厚み)が得られない場合がある。本発明の配置位置は、エンドレスベルト19上の成型用溝に対向する位置に調整し、調整方法はシリンダー、NC、メカストッパー等、公知技術の中から選択すれば良い。
【0058】
本発明に係るポリウレタン組成物は、加熱によって硬化反応が促進されるが、ポリウレタン組成物は、加熱機構を持たないエンドレスベルト19上に注入されるので、熱で加速されるウレタン重合反応が進まない。エンドレスベルト19は加熱された成型ドラムと接触後、接触表面が即座に昇温し、エンドレスベルト19上に注入されたポリウレタン組成物は、成型ドラム18上の成型用溝に移動充填されると加熱かつ加圧され、ウレタン重合反応が開始される。これにより、ポリウレタン組成物をムラなく均一に硬化することができる。成型ドラム18上の溝部分にポリウレタン組成物を注入すると、初めに接触した面から硬化が進行するため、加熱された成型ドラム18接触面のみ先行して硬化が進行し、エンドレスベルト19接触面と硬化ムラによる表面模様、物性の不均一性が発生してしまう。成型ドラム18と接触していない部分にエンドレスベルト19を冷却する冷却機構を設けても良い。
【0059】
(硬化)
次に成型ドラム18の成型用溝とエンドレスベルト19により構成される空間部23にポリウレタン組成物を充満させながら所定の時間を加熱硬化する。これにより、ポリウレタン組成物のウレタン重合反応が成型ドラム18とエンドレスベルト19から離型可能な程度まで完了し、必要な幅と厚みおよび表面性を備えた電子写真装置用ブレード部材原型体が連続的に形成される。なお、図1に示す製造装置を用いた本実施形態においては、加熱温度は80〜200℃程度が好ましく、ウレタン重合反応の進行により、ポリウレタン組成物が成型ドラム18とエンドレスベルト19から離型可能な程度までかかる時間は20秒から90秒である。しかし、成型ドラム18とエンドレスベルト19から離型可能な程度までに硬化が終了していれば、離型を行うことが可能であるため、加熱温度、加熱時間はポリウレタン組成物の組成、製造装置の構成に合わせて適宜選択することができる。
【0060】
(離型・切断)
こうして加熱硬化終了したポリウレタン樹脂を、成型ドラム18とエンドレスベルト19から離型手段24により離型される。
【0061】
離型されたポリウレタン樹脂を、搬送機構25により搬送し、切断機構26により所定の寸法に切断する。切断は刃物によるNC切断、プレス抜き型等公知の方法から適したものを選択すれば良い。
【0062】
(離型処理)
成型ドラム18は少なくともポリウレタン組成物が接触する部分、例えば、成型用溝に離型処理を施すことが望ましい。離型処理は、離型剤処理装置等を用い、型表面に離型剤を塗布する方法、成型ドラム18の表面にPTFE、フッ素含有メッキ等のメッキ処理を行う方法、シリコン等離型性のある樹脂をコーティングする方法等が挙げられる。しかし、ウレタン樹脂の離型が可能であれば適したものを選択すれば良い。
【0063】
また、エンドレスベルト19についても、少なくともポリウレタン組成物が、接触する部分に離型処理を施すことが望ましい。離型処理の方法としては、前記成型ドラム18に対して行う離型処理と同様の方法により行うことができる。
【0064】
(粗面処理)
本発明に係る電子写真装置用ブレード部材を現像剤量規制ブレードに用いる場合、電子写真装置用ブレード部材は、少なくとも現像剤担持体に当接される部分において、電子写真装置用ブレード部材が接触する部分に粗面化部分を形成することが望ましい。なお、現像剤量規制ブレードは、電子写真装置内において現像剤担持体との間で現像剤を摩擦帯電させつつ均一薄層状に現像剤量を規制するブレードである。
【0065】
近年、電子写真プロセスは、より高画質化、高速度化が進み、いかに現像剤粒子を均一に帯電し搬送するかが現像剤量規制ブレードの重要なポイントとなっている。特に現像剤量規制ブレードの表面性は現像剤の搬送力、帯電量の双方に与える影響が大きく特に重要である。従来、現像剤粒子を均一に帯電し搬送するには、この現像剤量規制ブレードの電荷制御面を滑らかにするほど良いと考えられてきた。ところが、近年電荷制御面の平坦性が、現像剤の均一な帯電及び搬送に与える影響を詳細に研究したところ、現像剤制御面をある程度粗面化した方が、現像剤の均一な帯電及び搬送を実現でき、画像スジ及び画像ムラ等の画像不良を抑制することが見出された。従って、本発明に係る成型ドラム18の成型用溝の長手方向に対して直行する断面の、底面の少なくとも1角に粗面化部分が形成されていることが好ましい。これにより、現像剤量規制ブレードに用いた場合、少なくとも該現像剤担持体に当接される部分が粗面化されるため、現像剤の均一な帯電及び搬送を実現できる。
【0066】
粗面化部分の形成方法としては、例えば、物理的手法により粗面化する方法が挙げられる。物理的手法の具体例としては、サンドペーパー・粗しフィルムを用い、成型ドラム18表面を粗面化する方法、または成型用溝内に設置する方法、その他、サンドブラスト法等のショットブラスト法が挙げられる。また、化学的手法により粗面化することもできる。化学的手法の具体例としては、エッチング法、粗面化微粒子を含む被膜を形成する方法などを挙げることができる。粗面化の程度としては、十点平均粗さ(RzJIS)で2μmから25μm程度が好ましい。
【実施例】
【0067】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0068】
[実施例1](PBA2000)
(熱硬化性ポリウレタン組成物の調製)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)32.0質量部と、分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)61.0質量部を80℃窒素雰囲気下3時間反応させ、NCO8.8%のプレポリマーを得た。一方、1,4−ブタンジオール(14BD)3.9質量部、トリメチロールプロパン(TMP)3.2質量部及びウレタン硬化用触媒を混合し、硬化剤を得た。硬化用触媒にはイソシアヌレート化触媒と、ウレタン化触媒とを用いた。ポリウレタン硬化用触媒としては、イソシアヌレート化触媒として商品名「P15」(酢酸カリウムのエチレングリコール(EG)溶液、エアプロダクツジャパン製)を用いた。この時、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が80ppmとなるようにした。また、ウレタン化触媒としてトリエチレンジアミン(商品名「DABCO crystal」;エアプロダクツ ジャパン製)を用い、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が340ppmになるように調整した。
【0069】
なお、MDIとしては、商品名「ミリオネートMT」(日本ポリウレタン工業(株)社製)を用いた。分子量2000のPBAは、商品名「ニッポラン4010」(日本ポリウレタン工業(株)社製)を用いた。14BDは、三菱化学(株)製を用いた。TMPは三菱ガス化学(株)製を用いた。
【0070】
PBAの分子量は、下記式により算出した。また、式中の水酸基価は、JIS−K1557−1に準じて算出した。
【0071】
【数1】

【0072】
本実施例においては、図1に示す製造装置を用いて電子写真装置用ブレード部材を製造した。前記プレポリマーと硬化剤とをそれぞれタンク10、11に投入し、計量ポンプ12、13により計量しながらミキシングヘッド16に供給した。ミキシングヘッド16で均一に攪拌・混合しながら、ポリウレタン組成物を調整した。この時の粘度を表1に示す。
【0073】
成型ドラム18はステンレス製であり、回転軸17により回転自在に支持され、概略水平に支持されている。成型装置の成型ドラム18は、回転方向に電子写真装置用ブレード部材の原型体となる幅20mm、深さ1mmの連続した成型溝を有しており、成型ドラムの外周部にはフッ素含有メッキ処理が施されている。本実施例においては、成型ドラム18を駆動装置により、1.5rpmで回転させた。
【0074】
エンドレスベルト19は金属製であり、成型ドラム18上の成型溝を覆うように配置されている。エンドレスベルト19のポリウレタン組成物が接触する部分には、フッ素含有メッキ処理が施されている。このエンドレスベルト19は、成型ドラム18とは別の駆動機構をもつ駆動ロール20、エンドレスベルト走行を調整するガイドロール21、エンドレスベルトに張力を付与するテンションロール22、に掛け渡されている。また、成型ドラムの周速にあわせて回転させた。
【0075】
成型ドラム18とエンドレスベルト19の駆動は別に構成した。また、成型ドラム18の周速に合わせて、成型ドラム18とエンドレスベルト19全体のテンションを一定化するために、成型ドラム18は、モータ、エンドレスベルト19は、パウダーブレーキ+モータによる駆動を行った。
【0076】
ポリウレタン組成物の配置位置は、成型ドラム18とエンドレスベルト19が初めに接触する部分からエンドレスベルト19の移動方向に対して上流側に5mm離れたエンドレスベルト19上であって、成型用溝に対向する位置とした。また、ポリウレタン組成物の吐出位置は該配置位置から垂直方向に5mm上部の位置とした。
【0077】
注入したポリウレタン組成物を、成型ドラム18の成型用溝内において成型ドラム18に内蔵したカートリッジヒータを用いて135℃に温度調整し、所定の時間(40秒)加熱硬化した。その後、硬化物を離型し、トムソン刃による抜き型で所定寸法に切断し、厚み1mmの電子写真装置用ブレード部材を得た。
【0078】
こうして得られた電子写真装置用ブレード部材と、支持部材としてウレタン変性オレフィン樹脂及びアクリル変性オレフィン樹脂を含む非クロム表面処理層を有する電気亜鉛メッキ鋼板ジンコート21(商品名:新日本製鐵(株)製)を、接着剤としてフィルム状ホットメルト接着剤エルファン−UH(商品名:日本マタイ(株)製)を使用し加熱接着して、現像剤量規制ブレードを得た。
【0079】
こうして得られた現像剤量規制ブレードのゴム硬度・ゴム硬度差、硬化ムラによる表面模様、気泡・異物の混入、画像評価について下記方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0080】
(粘度)
粘度は、エー・アンド・ディ社製「SV型粘度計」SV−10を用い、測定環境25℃にて測定した。
【0081】
(ゴム硬度・ゴム硬度差の測定)
国際ゴム硬度(IRHD)の測定はウォーレス(H.W,WALLACE)社製ウォーレス微小硬度計を用い、JIS K 6253に基づいて行った。測定は成型した電子写真装置用ブレード部材の原形体を500mm毎に5箇所測定し、それらの平均値をゴム硬度とし、それらの最大値と最小値の差を硬度差として示した。
【0082】
(表面の硬化ムラ)
表面の硬化ムラは、電子写真装置用ブレード部材の表面を目視により確認し、以下の基準で評価した。
○:表面模様が無い。
△:外観上識別できる表面模様が有る。
×:画像不良が発生するレベルの表面模様が有る。
【0083】
(気泡・異物の混入)
気泡の混入、異物の混入は、それぞれ電子写真装置用ブレード部材の表面を目視により確認し、以下の基準で評価した。
○:気泡・異物の混入が無い。
×:気泡・異物の混入が有る。
【0084】
(画像評価)
作製した現像剤量規制ブレードを「LASER SHOT−LBP」(商品名、キヤノン社製)用カートリッジに組み込み、ゴースト、画像スジについて以下の基準で評価した。
・ゴースト
○:ゴーストの発生が無い。
△:僅かにゴーストが確認される。
×:はっきりゴーストが確認される。
・画像スジ
○:画像スジの発生がない。
△:画像スジが画像上の僅かな変化として確認される。
×:画像スジが画像上の大きな変化として確認される。
【0085】
[実施例2](PBA2000とPBA1000)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)27.7質量部と、分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)52.7質量部を80℃窒素雰囲気下3時間反応させ、NCO8.8%のプレポリマーを得た。一方、分子量1000のPBA(商品名「ニッポラン4009」(日本ポリウレタン工業(株)製))14.9質量部、1,4−ブタンジオール(14BD)2.6質量部、トリメチロールプロパン(TMP)2.1質量部及び実施例1同様の硬化用触媒を混合した。これにより硬化剤を調製した。硬化用触媒の配合量は実施例1と同様にした。こうして得られたポリウレタン組成物を実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0086】
なお、前記ポリウレタン組成物における(B)ポリオールに該当する数平均分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)と(E)ポリオールに該当する数平均分子量1000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)の質量の比率(D)/(E)の値及びこれらを混合したポリオールの数平均分子量を表1に示す。
【0087】
[実施例3](PEA2000)
(B)ポリオールとして数平均分子量2000のポリエチレンアジペートポリオール(PEA)(商品名「ニッポラン4040」(日本ポリウレタン工業(株)社製))を用いた。また、仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。また、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0088】
[実施例4]
(B)ポリオールとして数平均分子量4000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)を試作した原料を用い、仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0089】
[実施例5]
(B)ポリオールとして数平均分子量1000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)(商品名「ニッポラン4009」(日本ポリウレタン工業(株)製))を用いた。また、仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。また、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0090】
[実施例6](粘度500mPa・s)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35.9質量部と、分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)34.7質量部を80℃窒素雰囲気下3時間反応させ、NCO15%のプレポリマーを得た。一方、分子量1000のPBA22.3質量部、1,4−ブタンジオール(14BD)3.9質量部、トリメチロールプロパン(TMP)3.2質量部及び実施例1同様の硬化用触媒を混合し、硬化剤を調製した。硬化用触媒の配合量は実施例1と同様にした。この時の混合したポリウレタン組成物の粘度は500mPa・sであった。
【0091】
その他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0092】
[実施例7](粘度3000mPa・s)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)21.4質量部と、分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)66.4質量部を80℃窒素雰囲気下3時間反応させ、NCO5%のプレポリマーを得た。一方、分子量1000のPBA9.3質量部、1,4−ブタンジオール(14BD)1.6質量部、トリメチロールプロパン(TMP)1.3質量部及び実施例1同様の硬化用触媒を混合し、硬化剤を調製した。硬化用触媒の配合量は実施例1と同様にした。この時の混合したポリウレタン組成物の粘度は3000mPa・sであった。
【0093】
その他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0094】
[実施例8]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が20ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が200ppmになるように調整した。
【0095】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0096】
[実施例9]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が20ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が1500ppmになるように調整した。
【0097】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0098】
[実施例10]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が500ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が200ppmになるように調整した。
【0099】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0100】
[実施例11]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が500ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が1500ppmになるように調整した。
【0101】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0102】
[比較例1]
(B)ポリオールとして数平均分子量800のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)を用いた。また、表2に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0103】
[比較例2]
(B)ポリオールとして数平均分子量4500のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)を用いた。また、表2に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0104】
[比較例3]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)41.2質量部と、分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)23.1質量部を80℃窒素雰囲気下3時間反応させ、NCO20%のプレポリマーを得た。一方、分子量1000のPBA27.1質量部、1,4−ブタンジオール(14BD)4.7質量部、トリメチロールプロパン(TMP)3.9質量部及び実施例1同様の硬化用触媒を混合し、硬化剤を調製した。硬化用触媒の配合量は実施例1と同様にした。この時の混合したポリウレタン組成物の粘度は420mPa・sであった。
【0105】
その他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0106】
[比較例4]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)21.4質量部と、分子量2000のポリブチレンアジペートポリエステルポリオール(PBA)66.4質量部を80℃窒素雰囲気下3時間反応させ、NCO5%のプレポリマーを得た。一方、分子量1000のPBA9.3質量部、1,4−ブタンジオール(14BD)1.6質量部、トリメチロールプロパン(TMP)1.3質量部及び実施例1同様の硬化用触媒を混合し、硬化剤を調製した。硬化用触媒の配合量は実施例1と同様にした。以上のようにして得られた材料を、2液定量混合注型機に投入し、ミキシングヘッドで均一に攪拌・混合しながら、吐出時のポリウレタン組成物の粘度が3800mPa・sになるまでミキシングヘッド内でポリウレタン組成物を滞留させるよう調整した。
【0107】
その他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0108】
[比較例5]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が15ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が180ppmになるように調整した。
【0109】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0110】
[比較例6]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が600ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が180ppmになるように調整した。
【0111】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0112】
[比較例7]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が15ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が1520ppmになるように調整した。
【0113】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0114】
[比較例8]
実施例2におけるポリウレタン硬化用触媒として、ポリウレタン組成物におけるイソシアヌレート化触媒の配合量が600ppmとなるように調整した。また、ポリウレタン組成物におけるウレタン化触媒の配合量が1520ppmになるように調整した。
【0115】
その他のポリウレタン組成物の配合比は実施例2と同様にして電子写真装置用ブレード部材を作製し、他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。こうして得られた現像剤量規制ブレードを実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0116】
[比較例9]
実施例2と同様にして調製したポリウレタン組成物の配置位置を図1における成型ドラム18の頂点27とし、吐出位置を該配置位置から垂直方向に5mm上部の位置とした。その他は実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0117】
上記の結果より、実施例では、硬化速度の速いポリウレタン組成物を使用しても、硬度等物性のムラが減少し、外観上の模様や気泡混入の発生が低減し、画像評価も良好な結果が得られた。これに対して、比較例では、硬化後のポリウレタン樹脂の硬度差が大きく、表面に硬化ムラ模様が発生し、気泡・異物の混入が発生し画像不良が発生した。
【0118】
なお、実施例で使用した以外のポリイソシアネート、アジペート系ポリエステルポリオール、鎖延長剤、イソシアヌレート化触媒及びウレタン化触媒についても、前述した原材料を使用した場合は同様の結果が得られた。
【0119】
また、深さ2mmの連続した成型用溝が形成されている成型ドラムを用い、実施例と同様にして厚み2mmの電子写真装置用ブレード部材を作成し、実施例1と同様に支持部材に接着し、クリーニングブレードを得た。得られたクリーニングブレードを「LASER SHOT−LBP」(商品名、キヤノン社製)用カートリッジに組み込み、クリーニング不良による画像スジの確認を行った。その結果、実施例では良好なクリーニング機能が得られ、良好な画像が得られた。しかし、比較例では、電子写真装置用ブレード部材エッジ部での欠け・すり抜けによるクリーニング不良により、画像スジが発生した。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、
硬化時間の速いポリウレタン組成物を使用して、硬度等物性のムラが少なく、外観上の模様や気泡混入の発生が低減した高品質な電子写真装置用ブレード部材を連続的に成型する製造方法及び製造装置を提供することができる。
【0123】
さらに、硬化時間の速いポリウレタン組成物からなるポリウレタン樹脂を使用した電子写真装置用ブレード部材を、高品質で連続して製造することができ、生産効率が高く、自動化が容易な構造であり、設備コストも安くできる製造装置を提供することができる。
【0124】
更に、電子写真技術分野に限らず、ブレードを使用する分野に対しても高品質なブレードを安価に提供することができる。
【符号の説明】
【0125】
10、11 タンク
12、13 計量ポンプ
14、15 吐出・循環用配管
16 ミキシングヘッド
17 成型ドラム駆動回転軸
18 成型ドラム
19 エンドレスベルト
20 ベルト駆動ロール
21 ガイドロール
22 テンションロール
23 成型ドラムとエンドレスベルトにより構成される空間部
24 成型ドラムからの離型機構
25 搬送機構
26 切断機構
27 成型ドラムの頂点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に連続した成型用溝を形成した成型ドラムと該成型ドラムの外周面に当接されたエンドレスベルトを用いて、混合攪拌工程、注入工程、加熱硬化工程、離型工程、切断工程を有する電子写真装置用ブレード部材製造方法において、
該電子写真装置用ブレード部材は下記(A)から(D)を少なくとも含有するポリウレタン組成物を加熱硬化したポリウレタン樹脂で形成されたものであり、かつ該ポリウレタン組成物の混合攪拌終了後注入前の粘度が500mPa・s以上、3000mPa・s以下であり、該注入工程における該ポリウレタン組成物の配置位置は、該成型ドラムと該エンドレスベルトが初めに接触する位置から該エンドレスベルトの移動方向に対して上流側の該エンドレスベルト上の該成型用溝に対向する位置にあることを特徴とする電子写真装置用ブレード部材製造方法。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が1000〜4000のアジペート系ポリエステルポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)硬化用触媒としてイソシアヌレート化触媒が20ppm以上、500ppm以下であり、かつ、ウレタン化触媒が200ppm以上、1500ppm以下
【請求項2】
該ポリウレタン組成物の配置位置が、該成型ドラムと該エンドレスベルトとが初めに接触する位置から該エンドレスベルトの移動方向に対して上流側に5mm以上、350mm以下の該エンドレスベルト上であって、該成型用溝に対向する位置であり、かつ該ポリウレタン組成物の吐出位置が、該配置位置から垂直方向に上方に5mm以上、200mm以下である請求項1に記載の電子写真装置用ブレード部材製造方法。
【請求項3】
該ポリウレタン組成物が、該(B)アジペート系ポリエステルポリオールの数平均分子量より小さく、該(C)鎖延長剤の分子量よりも大きい数平均分子量を有する(E)ポリオールを含有する請求項1又は2に記載の電子写真装置用ブレード部材製造方法。
【請求項4】
該ポリウレタン組成物に含まれる該(B)アジペート系ポリエステルポリオールの質量に対する該(E)ポリオールの質量の比率(E)/(B)が、0.02〜0.60であり、かつ、(B)アジペート系ポリエステルポリオールと(E)ポリオールを混合したポリオールの数平均分子量が1000〜3000である請求項3に記載の電子写真装置用ブレード部材製造方法。
【請求項5】
該成型ドラムは少なくとも該ポリウレタン組成物が接触する部分に離型処理が施されている請求項1から4のいずれか一項に記載の電子写真装置用ブレード部材製造方法。
【請求項6】
該エンドレスベルトは少なくとも該ポリウレタン組成物が接触する部分に離型処理が施されている請求項1から5のいずれか一項に記載の電子写真装置用ブレード部材製造方法。
【請求項7】
該成型ドラムの該成型用溝の底面を成す角の少なくとも1角に粗面化部分が形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の電子写真装置用ブレード部材製造方法。
【請求項8】
外周面に連続した成型用溝を形成した成型ドラムと該成型ドラムの外周面に当接されたエンドレスベルトを用いたもので、混合攪拌手段、注入手段、加熱硬化手段、離型手段、切断手段を有する電子写真装置用ブレード部材製造装置において、
該電子写真装置用ブレード部材は下記(A)から(D)を少なくとも含有するポリウレタン組成物を加熱硬化したポリウレタン樹脂であり、かつ該ポリウレタン組成物の混合攪拌終了後注入前の粘度が500mPa・s以上、3000mPa・s以下のものであり、
該注入手段は該エンドレスベルトの上方に配置されており、該ポリウレタン組成物を該成型ドラムと該エンドレスベルトが初めに接触する部分から該エンドレスベルトの移動方向に対して上流側の該エンドレスベルト上の該成型用溝に対向する位置に配置することを特徴とする電子写真装置用ブレード部材製造装置。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が1000〜4000のアジペート系ポリエステルポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)ウレタン硬化用触媒としてイソシアヌレート化触媒が20ppm以上、500ppm以下であり、かつ、ウレタン化触媒が200ppm以上、1500ppm以下

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−221489(P2011−221489A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256854(P2010−256854)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】