説明

電子取引方法

【課題】市場における複数の商品の間のスプレッド取引を容易に行うことができる電子取引方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの電子取引所から、第1の商品を表す第1の市場データを受信するステップと、少なくとも1つの電子取引所から、第2の商品を表す第2の市場データを受信するステップと、スプレッドについて入手可能な最高ビッド価格及び最低アスク価格を、第1の市場データ及び第2の市場データに基づいて計算するステップと、第1の価格レベルに関する第1のインジケータを共通価格軸に沿って動的に表示するステップと、第2の価格レベルに関する第2のインジケータを共通価格軸に沿って動的に表示するステップとを有する。そして、第1のインジケータは、スプレッドについて入手可能な計算された最高ビッド価格に関連付けられ、第2のインジケータは、スプレッドについて入手可能な計算された最低アスク価格に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数量及び/又は価格により取引することができる商品の電子取引方法に関し、特に、同じ又は類似のクラスの商品を同時に又は互いと連動して売買するときに使用される多用途かつ効率的な電子取引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界の取引所が、大声を出して行う売買注文から電子取引に移るにつれて、多くのトレーダーがコンピュータを介して市場に参加するようになった。電子取引所は、コンピュータ及び取引所への接続を有する誰もが取引所において直接取引できるようにすることによって、直接アクセスを拡大している。
【0003】
トレーダーは、専用のインタラクティブな取引画面を自分のデスクトップ上で作成するソフトウェアを用いる。そして、トレーダーが自分の画面上で使用可能な機能の範囲及び品質は、実行中のソフトウェア・アプリケーション次第で変わる。また、取引所の電子戦略の展開においてオープン・インターフェイスが設置されるということは、ユーザが自分の取引スタイル及び内部要件に応じて、取引所にアクセスする手段を選択できることを意味する。
【0004】
この1つに、マーキュリー表示がある(例えば、特許文献1参照)。これは、所与の商品について価格の静的な垂直列を表示し、ビッド及びアスク数量を価格列の側に垂直列において動的に表示し、対応するビッド及びアスク価格と共に並べるというものである。即ち、マーキュリー表示は市場深度を垂直又は水平面上に表示し、この面は、市場価格が変動するとき、面の全体に渡って論理的に上又は下、左又は右に変動する。
【0005】
また、電子取引画面により、トレーダーが注文を入力及び実行し、市場相場を得て、ポジションを作成及び監視すると同時に、以前に取引所のフロアで使用されていた様々な取引戦略を実施することができる。電子市場に組み込まれたこのような戦略は、電子取引のスピード、正確さ、及び最終的には収益性を向上させる。このような取引戦略の1つとして、スプレッド取引がある。
【0006】
スプレッド取引とは、同時に1つの商品を買い、別の商品を売ることである。しかし、スプレッド取引を行うには、ある契約において価格変動を引き起こす状態が、他の契約においても価格変動を引き起こすと信じる根拠が必要である。
【0007】
また、スプレッド取引は、不利な価格変動のリスクを低減するために、関連商品において相殺ポジションを取るものである。例えば、トレーダーは、同じクラスの2つのオプションを異なるストライク価格及び/又は失効日で同時に売り買いする場合がある。
【0008】
通常、スプレッド取引は、市場において「ロング」ポジションを相殺するために取られた「ショート」ポジションを表す。ロング・ポジションは、トレーダーが商品を特定の価格で、その商品をより高い価格で売るつもりで、購入するものである。一方、ショート・ポジションは、トレーダーが商品を最初に、それを後により低い価格で買うつもりで、事実上売るものである。
【0009】
株式を取引するとき、トレーダーは株式を借りて最初に売ることによって、ショート・ポジションを取る。後に、トレーダーは同じ株式を買い戻して、以前に売ったものと置き換える。また、先物を取引する場合、ショート・ポジションは事実上、商品(例えば、とうもろこし、大豆、先物契約自体など)をある(高い)価格で売り、同じ又は比較可能な商品を所与の(より低い)価格で買うための約束を伴う場合がある。
【0010】
また、スプレッド取引を利用して、債券又は他の負債証券についての利回り曲線を作成する場合もある。通常、証券の期間が増すにつれて利回りが比例して増すが、この現象を2軸(価格又は利回り及び時間)上で図示することで、「利回り曲線」を作成することができる。
【0011】
利回り曲線は、通常、最短期間の証券についての利回り率で開始し、より長期の証券に向かって伸びる。これは、暗黙のインフレ/デフレ、流動性、経済並びに金融活動、及び他の市場動向についての市場の見通しを反映する。
【0012】
実際の利回り曲線が不均衡であるとき、トレーダーはロング及びショート・ポジションを異なる満期日で取り、それらのリスクをうまく利用及び管理することができる。利回り曲線は、確定利付き証券の償還までの時間(満期)に対する、それらの現在の利回りをプロットし、投資者が短期、中期及び長期の証券を所与の時間で比較できるようにする。
【0013】
また、短期レートが長期レートより低い場合、これは正の利回り曲線と呼ばれる。逆に、短期レートの方が高い場合、これは負又は逆の利回り曲線と呼ばれる。差がほとんどない場合、横這いの利回り曲線と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第09/590,692号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、従来の電子取引方法では、市場における複数の商品の間のスプレッド取引を容易に行うことはできなかった。
【0016】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、市場における複数の商品の間のスプレッド取引を容易に行うことができる電子取引方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の電子取引方法は、少なくとも1つの電子取引所に接続されるデバイス上で電子的に取引される商品に関係する市場情報を表示する電子取引方法であって、少なくとも1つの電子取引所から、第1の商品を表す第1の市場データを受信するステップと、少なくとも1つの電子取引所から、第2の商品を表す第2の市場データを受信するステップと、スプレッドについて入手可能な最高ビッド価格及び最低アスク価格を、第1の市場データ及び第2の市場データに基づいて計算するステップと、第1の価格レベルに関する第1のインジケータを共通価格軸に沿って動的に表示するステップと、第2の価格レベルに関する第2のインジケータを共通価格軸に沿って動的に表示するステップとを有する。そして、第1のインジケータは、スプレッドについて入手可能な計算された最高ビッド価格に関連付けられ、第2のインジケータは、スプレッドについて入手可能な計算された最低アスク価格に関する。本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、市場における複数の商品の間のスプレッド取引を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態で使用される2つのマーキュリー表示ペインを例示する図である。
【図2】様々なパラメータのユーザ入力を可能にするための、本発明で使用される2つの追加の表示ペインを例示する図である。
【図3】パラメータの追加の表示及び入力のために使用される共通ペインを例示する図である。
【図4(a)】本発明の実施の形態に係る方法を示すフローチャートである。
【図4(b)】本発明の実施の形態に係る方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の完全な表示を例示する図である。
【図6】本発明の範囲インジケータ機能を例示する図である。
【図7】アンカー商品と非アンカー商品の間の価格スプレッドの計算の実施例を例示する図である。
【図8】本発明の機能によるスプレッド市場表示を例示する図である。
【図9】2つの商品の市場深度の一部を例示する図である。
【図10】2つの商品の取引量及び取引価格の一部を例示する図である。
【図11】本発明の機能による、取引スプレッド表示を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る電子取引方法について説明する。この電子取引方法は、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスを使用して、最高ビッド価格及び最低アスク価格を有する内部市場を有する電子取引所における市場で取引される商品に関係する市場情報を電子表示デバイス上で表示し、この商品の取引を容易にするものである。即ち、この電子取引方法は、少なくとも1つの電子取引所に接続されるデバイス上で電子的に取引される商品に関係する市場情報を表示し、電子的に取引される商品についての注文の入力を容易にする。また、この電子取引方法を用いるスプレッド・ツールは、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスであるマーキュリー表示を利用し、更に新しい機能を追加してスプレッド取引を容易に行えるようにしたものである。ただし、スプレッド・ツールはマーキュリー表示に限らず、様々な取引表示と共に用いることができる。
【0021】
このスプレッド・ツールによりトレーダーは、少なくとも1つの市場についての商品の値付けによる取引機会を定義及び管理することができる。このスプレッド・ツールは2つのマーキュリー表示スタイルのペインを並べて配置する。そして、各ペインはスプレッドにおけるレグとして機能する。トレーダーのスプレッドの両方のレグについての市場深度及び市場の変動を示すことによって、トレーダーの取引機会を表示する。
【0022】
また、このスプレッド・ツールは、複数のレグの間の毎日の純変化の差に基づいており、従来のマーキュリー表示ウィンドウと同じ機能性と共に、価格ポイントを示すために使用される市場列が追加されている。
【0023】
そして、スプレッド取引は、2つの部分を比較するポジションを形成し、各部分が反対方向の価格の動きから収益を得ることができる。注文として、これらの部分が入力され、これらを同時に実行することで、(1)リスクを制限すること、又は(2)優勢なスプレッド市場価格より良い価格でレギングすること(ポジション全体の成分の別々の実行)によって価格関係における変化から利益を得ることができる。
【0024】
また、スプレッド取引は、市場がトレーダーのポジションに逆らって動いた場合、トレーダーが市場喪失に対してヘッジできるようにする。本質的に、ヘッジングは、不利な価格変動のリスクを低減するために、関連商品における相殺ポジションを取ることによって行なわれる投資である。スプレッド取引は一般に、トレーダーが商品において取るポジションのリスクを、比較可能な商品を比較可能なレベルで取引することによって制限することができる取引のスタイルである。スプレッドは、トレーダーが被る可能性のある潜在的損失の量を制限するように意図される。しかし、同時に類似の商品を取引(売買)すること、及び従ってロング・ポジションをショート・ポジションにより相殺すること、又はその逆によって、トレーダーはまたそれらの収益性(作成される最大量)を制限する可能性もある。
【0025】
この電子スプレッド取引ツールは、トレーダーが選択した様々な設定を使用して、トレーダーが関連商品の同時の購入及び/又は売却において使用することができる範囲(スプレッド)を計算して、トレーダーにどこで(どの価格で)注文が提出されるべきであるかを示す。このスプレッドの計算において使用される設定には、比率、アンカー、価格ポイント・オン、乗数、決済、及びスプレッド価格ポイント値(2買い及び2売り)が含まれる。
【0026】
トレーダーは1つの商品をアンカーレグとして指定しなければならず、これは売買レベルに基づいて決まるレグである。次に、トレーダーは1つのオプションを「価格ポイント・オン」表示から選択する必要があり、また、各商品の価格の間の比率をも選択する必要がある。加えて、トレーダーは、自分の所望のスプレッド・ポジションについてのスプレッド価格ポイント値を設定する必要がある。
【0027】
また、トレーダーが取引する際の便宜のため、インジケータ(マーカ)をマーキュリー表示上に、各商品についての適切な価格行に自動的に配置する。トレーダーによって入力された、事前に決定された比率及び値により、価格マーカが配置される所が決定される。価格マーカにより、トレーダーは自分の意図したポジションを見ることができ、トレーダーがアンカーにおいて市場に入った所に基づいて、トレーダーの所望のスプレッドを達成するために非アンカーについての注文を出すべきである所がトレーダーに示される。
【0028】
トレーダーは2つ以上の商品を一度に取引してスプレッド取引を行うことができ、無限数の商品をスプレッド取引において取引できるが、一貫性及び読みやすさのために、ここでは2つの商品に関係するスプレッド取引について説明する。
【0029】
また、市場における価格を垂直表示する場合を例に取って説明するが、マーキュリー表示を様々な方法で表示することができるのと同様に、価格を水平又は他の方法で表示することもできる。
【0030】
スプレッド・ツールが最初に呼び出されるとき、図5に示すように、5つのペインからなるウィンドウがトレーダーのワークステーション上に表示される。
【0031】
本発明の電子取引方法は、コンピュータ又は電子端末上で実施される。コンピュータは取引所と直接的又は間接的に(中間デバイスを使用して)通信して、市場、商品及び取引注文情報を受信及び送信することができる。トレーダーがコンピュータを操作して、取引所に送信されるべき取引注文の内容及び特性を生成することもできる。本発明の電子取引方法は、以下に説明する機能を実行するための処理能力を有するいかなる既存又は将来の端末又はデバイス上で実施することもでき、使用される端末又はデバイスのタイプによって限定されない。
【0032】
また、取引注文を出すためのユーザの単一のアクションとして、例えば、マウスのシングル・クリックがある。ただし、ユーザの単一のアクションとして、マウス・ボタンの複数のクリック、キーボードやライト・ペンなどの他の入力デバイス又は様々な他の手段を用いてもよい。
【0033】
また、「市場深度」を表示することで、トレーダーが1つ又は複数の商品の市場深度を見て、商品の市場深度内で取引を実行できる。市場深度は、市場における現在のビッド及びアスクの価格及び数量を有するオーダー・ブックとして定義される。即ち、市場深度は、内部市場に加えて、市場に入力された各ビッド及びアスクである。取引される商品について、「内部市場」は最高ビッド価格及び最低アスク価格である。
【0034】
取引所は価格、注文及び履行情報を、取引所における各トレーダーに送信する。本発明はこの情報を処理し、単純なアルゴリズム及びマッピング・テーブルを通じてこれを理論的グリッド・プログラムにおけるポジションにマップするか、又は、データを画面にマップするための他のいずれかの比較可能なマッピング技術を使用する。このような情報を画面グリッドに物理的にマップすることは、当業者に知られているいずれかの技術によって行うことができる。本発明は、データを画面表示にマップするために使用される方法によって限定されない。
【0035】
市場深度のどの程度までを表示できるかは、どの程度の量の市場深度を取引所が提供するかによって決まる場合がある。いくつかの取引所は無限の市場深度を供給するが、他の取引所は市場深度を提供しないか、又は内部市場から離れた少数の注文のみを提供する。そこで、ユーザは、市場深度のどの程度までを自分の画面上に表示するかを選択することもできる。
【0036】
スプレッド・ツール・ウィンドウを構成する5つのペインを図1〜3に示す。5つのペインのうち2つ(各レグについて1つ)はマーキュリー表示画面を反映し、さらに2つのペインはマーキュリー表示ペインへの付属物としての機能を果たし、様々な入力領域を含み、5番目のペインは共通ヘッダ・ペインとして表示され、全体としてスプレッドに関する注文入力領域を含む。そして、ユーザ入力デバイスの単一のアクションにより、各価格レベルに対応した注文入力領域の各位置の中の特定の位置が選択される。そして、この選択に応じて、商品に関する取引注文についての複数のパラメータを設定し、取引注文を電子取引所に送信する。以下、これらの入力領域について説明する。
【0037】
まず、スプレッドのレグとして取引するために、トレーダーは比較可能な商品、例えば、第1の商品としてFGBM、及び、第2の商品としてFGBLを選択する。そして、少なくとも1つの電子取引所から、FGBMに関する第1の市場データ及びFGBLに関する第2の市場データを受信する。ここで、市場データとは、市場内で現在作業中の注文についてのデータである。この市場データが、図1に示すように、スプレッド・ツール・ウィンドウ内の2つの平行したマーキュリー表示ペイン101及び102上に表示される。
【0038】
ペイン101,102はそれぞれスプレッドの1つのレグを構成し、ビッド列111、112、アスク列131、132、共通価格軸である価格列121、122、最終取引数量についての列141、142、及び、トレーダーの現在のビッド側151、現在のアスク161を指定するための列、及び、価格レベル・インジケータ152、162を含む。
【0039】
図1に示すように、デバイスの表示画面上のウィンドウ内に、価格列122の一部が静的に表示される。そして、価格列122に複数の価格レベル9843〜9875が表示される。価格列121も同様である。
【0040】
次に、商品FGBLについて入手可能な最高ビッド価格及び最低アスク価格を、第1の市場データ及び第2の市場データ、例えば、第1の商品及び第2の商品の価格に基づいて計算する。この際に、最高ビッド価格に関するビッド数量、及び、最低アスク価格に関するアスク数量も計算する。
【0041】
そして、この最高ビッド価格に対応する第1の価格レベルに関する第1のインジケータを価格列122に沿ったビッド列132に動的に表示する。同様に、最低アスク価格に対応する第2の価格レベルに関する第2のインジケータを価格列122に沿ったアスク列132に動的に表示する。即ち、第1のインジケータがビッド表示領域(ビッド列112)における複数の位置のうち1つに表示され、ビッド表示領域における各位置は、価格列122に沿った価格レベルに対応し、第2のインジケータがアスク表示領域(アスク列132)における複数の位置のうち1つに表示され、アスク表示領域における各位置は、価格列122に沿った価格レベルに対応する。また、第1のインジケータは、最高ビッド価格に関するビッド数量(図1では10)を表示し、第2のインジケータは、最低アスク価格に関するアスク数量(図1では15)を表示する。
【0042】
また、商品FGBMについて入手可能な最高ビッド価格に対応する第1の価格レベルに関する第3のインジケータ、及び、商品FGBMについて入手可能な最低アスク価格に対応する第2の価格レベルに関する第4のインジケータをそれぞれ価格軸121に沿ったビッド列111及びアスク列131に動的に表示する。
【0043】
第1及び第2のインジケータは、それぞれ最高ビッド価格及び最低アスク価格が変化するとき、価格列122に沿って移動する。一方、価格レベルは、価格列122に表示され、最高ビッド価格又は最低アスク価格の変化に応答して移動しない。また、図1では、第2の商品に関する最高ビッド価格及び最低アスク価格以外の価格レベルに関する複数の注文数量を計算して、この注文数量を表す複数のインジケータを価格列122に沿って動的に表示している。即ち、第2の商品についての複数のビッド及びアスクを価格軸上の価格レベルに沿って表示している。
【0044】
価格レベル・インジケータは、トレーダーによって入力されるデータを使用して計算され、トレーダーが指定した比率に基づいて視覚的に表現される。本実施の形態では、第3の価格レベルに関する価格レベル・インジケータ(183又は185)、及び、第4の価格レベルに関する第2の価格レベル・インジケータ(184又は186)を価格列122に沿って動的に表示する。そして、ペイン101に係る商品FGBMの価格レベルの変化に応答して、価格レベル・インジケータを価格列122に沿って異なる価格レベルに自動的に移動させる。
【0045】
また、各レグにおいて、ネット・ポジション175、176及び注文数量173、174など、その他の情報を含む列171、172がある。注文数量は、そのレグについての次の注文が入力されるときに使用される数量である。非アンカー数量を手動で入力するか、又はオートロードし、以下のように計算することができる。即ち、(アンカーレグのネット・ポジション/アンカーレグの比率)×(非アンカー比率)−(非アンカーレグのネット・ポジション)である。ネット・ポジションは、所有されているロング証券と支払い義務のあるショート証券の総数の差である。
【0046】
図2に示すペイン(各レグについて1つ)201、202は、マーキュリー表示ペインに付属され、価格レベル・インジケータの計算において使用される入力領域を提供する。前述の入力領域には、アンカー203、204、比率205、206、乗数207、208、変化209、210、引け211、212、決済213、214、及び商品名称215、216が含まれる。
【0047】
トレーダーは、2つの相互排他的なアンカー・チェック・ボックス203、204のうち1つをチェックするだけで、対応するレグをアンカーレグとして選択することができる。そして、売買レベルはアンカーレグに基づいて決まるようになり、スプレッド・ポイント・インジケータの位置は非アンカーレグについて計算されるようになる。また、スプレッド・ツールが最初に呼び出されるとき、ウィンドウの左側に表示される契約がデフォルトのアンカーレグになるようにするのが好ましい。
【0048】
比率205、206は、スプレッドについての比率を入力するためのテキスト・ボックスである。この2つの値はそれぞれ別のレグに適用される。例えば、ユーザが5を第1のレグに、3を第2のレグに入力する場合、比率は5:−3である。この比率は各レグについてのネット・ポジションに適用される。トレーダーは、この比率を維持することを望むなら、例えば、第1のレグについてロングの5契約である場合、第2のレグについてショートの3契約とするべきである。
【0049】
また、商品の価格が短期間内で急に上がるか又は下がる傾向をボラティリティという。そして、トレーダーは、2つの商品の間のボラティリティ関係を得ると自分が思う数量比率を識別することを望む。そのため、トレーダーは、最も安定した商品にこの比率を傾けることを望む。
【0050】
トレーダーは、ティック及び通貨の差に関して複数の商品を均質化するために、乗数207、208を設定する。例えば、ある商品がユーロ単位であり、別の商品が米国ドル単位である場合、乗数機能が使用されて、2つの商品が均一通貨に(例えば、両方とも米国ドルに)換算される。
【0051】
決済213、214は、所与の取引セッションの終了での所与の商品についての最終取引の価格を表示する。決算値が取引所によって提供されない場合、引け値211、212が使用され、各レグにおける引けテキスト・ボックス内に現れる。また、変化209、210は、スプレッドの各レグについての純変化を表示し、決済価格を最終取引(現在)価格から引くことによって計算される。
【0052】
図3に示す共通ペイン301には、取引注文を送信するためのコマンドを受信するための複数の位置を含む注文入力領域を表示される。この注文入力領域によりスプレッドの価格インジケータの位置が決定される。これらの領域には、価格ポイント・オン310、オートロード320、カレント350、及び、スプレッドについてのスプレッド価格ポイント値330が含まれる。
【0053】
価格ポイント・オン310がアンカーレグに適用され、これによりトレーダーが、他のレグについての価格ポイントを決定するために使用される値付け方法を選択することができる。
【0054】
価格ポイント・オン310のオプションには、市場からの最良ビッド/アスク311、アンカーレグからのトレーダーの最良の作業注文を使用して反対のレグについての売買価格ポイントを決定する最良作業312、ユーザがアンカーレグについての買い及び/又は売り価格ポイントを手動で選択するマニュアル313が含まれる。
【0055】
スプレッド価格ポイント値330は、トレーダーにより指示されるスプレッドを買う範囲、売る範囲である。テキスト・ボックス331、332は買いポイント用であり、テキスト・ボックス333、334は売りポイント用である。ここで、買い価格レベルを−15及び1、売り価格レベルを6及び21に設定した場合を例に説明する。−15及び1の価格レベルは、トレーダーがスプレッド価格ポイント値が−15であるときにスプレッドを買うことを望むが、自発的にスプレッドを−1で買うことを示す。こうしてスプレッドを買うことは、アンカーレグを購入することを意味する。同様に、6及び21の価格レベルは、トレーダーがスプレッド価格ポイント値が21であるときにスプレッドを売ることを望むが、自発的にスプレッドを6で売ることを示す。これに関連してスプレッドを売ることは、アンカーレグを売ることを意味する。
【0056】
オートロード320にチェックして、オートロード機能を発揮させると、非アンカーレグの注文数量を、ネット・ポジションにおける変化に基づいて自動的に更新する。また、共通ペイン301のカレント350は、スプレッドの積であり、2つの各レグからの現在情報を使用して計算される。スプレッドの現在価値は2つのレグの純変化に基づいており、第1レグの比率に第1レグの純変化を掛けたものを、第2レグの比率に第2レグの純変化を掛けたものに加算することによって計算される。即ち、以下の公式に従って計算される。
【0057】
(数1)
現在スプレッド価格ポイント値=(第1レグの比率第1レグの純変化)+(第2レグの比率第2レグの純変化)
【0058】
ある契約を買い、別の契約を売るためにトレーダーに使用されるスプレッドを計算することによって、スプレッド取引を容易にする。また、価格レベル・インジケータを計算して表示することで、トレーダーに対して、トレーダーが指定した比率に基づいて取引するべき価格を例示する。価格レベル・インジケータの計算は、トレーダーによって入力される様々なデータに基づいており、これには純変化、スプレッド価格ポイント値及び比率が含まれる。
【0059】
価格レベル・インジケータの計算に用いられる値の1つである純変化は、レグの決済価格をそのレグの理論的最終取引価格から引くことによって計算される。理論的最終取引価格は、「価格ポイント・オン」インジケータが位置する価格に等しい。結果としてアンカーレグ・インジケータの表示となる、「価格ポイント・オン」のオプション(最良ビッド/アスク、最良作業、マニュアル)からの選択において、トレーダーは本質的に「(理論的に)アンカーレグにおいてこの価格で取引した場合、対応するレグのどこで取引したくなるだろうか」という質問を尋ねている。図1〜3からの価格を使用し、トレーダーがアンカー商品のビッド側で市場に入っていると仮定すると、9224の決済価格が、そのレグについての理論的最終取引価格180(価格列121内)の9220から引かれて、合計で−4の純変化となる。この式は以下のようになる。
【0060】
(数2)
レグについての純変化=そのレグの理論的最終取引価格−そのレグの決済価格 (式1)
【0061】
ビッド及びアスクの価格レベル・インジケータの計算は、それぞれスプレッド価格ポイント値に基づいて計算される。再び図1を参照すると、トレーダーは9220の現在価格で市場に入れられる。トレーダーがアンカーレグのビッド側で市場に入るとき、このツールは非アンカーレグにおけるアスク側についての価格レベル・インジケータを計算し、価格レベル・インジケータが、アスク表示領域における位置との対応において表示される。非アンカー価格レベル・インジケータを計算するために使用することができる様々な公式がある。通常、このような公式には、以下の式2で表される因数の1つ又は複数が含まれるようになる。好ましくは、スプレッド価格ポイント値(331〜334)が、アンカーレグの比率(205)にアンカーレグの純変化(式1を参照)を掛けたものから引かれる。次に、この合計が非アンカーレグの比率(206)で除算される。この式は以下のようになる。
【0062】
(数3)
非アンカー価格レベル・インジケータ=(スプレッド価格ポイント値−(アンカーレグ比率アンカーレグ純変化))/非アンカーレグ比率 (式2)
【0063】
インジケータが表示される実際の価格は、上記の式によって決定される価格レベル・インジケータ値を、そのレグの決済価格に加算することによって計算される。従って、上記の例では、(−15−(5−4))/(−3)=−1.6666(およそ−2)である。小数は近似されることに留意されたい(例えば、1.6666は2に近似される)。
【0064】
価格レベル・インジケータは、色の付いたマーカ(185)として、価格軸122に沿って動的に表示される。具体的には、適切な価格レベルの隣の非アンカーレグ上に表示される。この場合、この計算は−2に等しくなったので、価格レベル・インジケータ(185)は9865で現れ、これは非アンカーレグ上の決済価格より2だけ少ない。
【0065】
第2の価格レベル・インジケータ(186)は同じ方法で計算されるが、1つの例外は、−1の「買い」スプレッド価格ポイント値(332)が−15のスプレッド価格ポイント値(331)の代わりに使用される。この第2の価格レベル・インジケータのための計算は、以下のようになる。(−1−(5−4))/−3=−6.3333(およそ−6)
【0066】
第1の価格レベル・インジケータの場合のように、第2のインジケータは同じ色の付いたマーカ(186)として、価格軸122に沿って動的に表示される。ここでは、第2のレグ上の9861で現れ、これは非アンカーレグ上の決済価格(214)より6だけ少ない。従って、この範囲は、図1の列162に示すように、9865と9861の間となる。
【0067】
非アンカーレグのビッド側についての範囲を計算するには、上記で使用されたものと同じ計算が適用され価格レベル・インジケータがビッド表示領域における位置との対応において表示される。ただし、21(333)及び6(334)の「売り」スプレッド価格ポイント値が、式において−15及び1の「買い」スプレッド価格ポイント値に置き換わり、純変化が、アンカーレグのアスク列131からの理論的最終取引価格181を使用して計算され、これは上の例では9221である。図1の列152に示すように、これは結果として9860(183)から9855(184)までの非アンカー商品のビッド側における範囲となる。
【0068】
この電子スプレッド取引ツールは、不利な価格変動のリスクを低減するために、関連商品における相殺ポジションを取ることによって投資が行なわれる場合、トレーダーがポジションを保護するプロセスを支援する。この電子取引方法のフローチャートを図4に示す。まず、スプレッド・ツールが呼び出され、トレーダーが市場を自分のモニタ上に表示させるときに開始する(ステップ402)。この際、少なくとも2つの関連取引ペインをスプレッド・ツール・アプリケーションのウィンドウ内に表示させるべきである。これらのペインの間の関係を、比較可能な商品の表示や、等しいが異なる取引所からの商品の表示等にすることができる。
【0069】
スプレッド取引を開始するため、ステップ404で、トレーダーが1つのレグ(注文)を「アンカー」商品として指定する。次にステップ406で、トレーダーが複数の商品の間の関係を表す比率を入力する。ただし分子はアンカー商品に関し、分母は第2の商品(スプレッド取引の他方のレグ)に関する。
【0070】
次に、ステップ428、430及び408(詳細については以下で論ずる)を経て、ステップ410で、トレーダーが1つのオプションを「価格ポイント・オン」カテゴリから選択し、これにより色の付いたマーカが、トレーダーによって選択されたオプションに応じて、市場における特定の価格に対応するアンカーレグの別々の列(図1の151、161)に配置される。
【0071】
価格ポイント・オン310で最良ビッド/アスクが選択された場合(ステップ412)、マーカが市場における現在の最高ビッド及び市場における現在の最低アスクの隣に現れる(ステップ422)。即ち、商品FGBMの所望の価格レベルは、市場における商品FGBMについての最良のビッド又はアスク価格となる。図1に示すように、「最高ビッド」は9220となり、「最低アスク」は9221となる。
【0072】
価格ポイント・オン310で最良作業が選択された場合(ステップ414)、かつステップ420でトレーダーが作業中注文を有すると判断された場合、マーカは現在の最高ビッド及びアスクの隣に現れる(ステップ424)。即ち、商品FGBMの所望の価格レベルは、そこで現在ユーザについての作業中注文がある、商品FGBMについての最良のビッド又はアスク価格となる。判断された作業中注文がなかった場合(ステップ420)、マーカが最良ビッド/アスクに配置される(ステップ422)。
【0073】
価格ポイント・オン310でマニュアルオプション(ステップ416)は、最良作業が414で選択されなかった場合に使用可能であり、これによりトレーダーがマーカを、市場において入手可能な価格レベルのいずれかの隣に配置することができる(ステップ426)。オートロード機能が起動された場合(ステップ428)、ステップ430で、非アンカーレグの数量が自動的に更新される。起動されなかった場合、ユーザの入力値が使用される。
【0074】
上記のように価格ポイント・オン310でオプションを選択した後、トレーダーが値をスプレッド価格ポイント値330のボックスに入力する(ステップ432)。全部で4つのボックスがあり、そのうち2つが「買い」ポイント331、332として指定され、2つが「売り」ポイント333、334として指定される。ステップ410で選択された価格ポイント・オン310、及び、ステップ432で入力されたスプレッド価格ポイント値330に加えて、トレーダーはまたオートロード・オプションを起動するかどうかを選択することもでき、これをステップ408に示すが、いかなるときにも起動することができる。
【0075】
上述のように、ステップ434で乗数が、異なる通貨(例えば、ユーロ及び米国ドル)又は異なるティック値において取引された複数の商品を、2つの商品を均一通貨(例えば、両方とも米国ドル)又は等しいティック値に換算することによって、均等にするように機能する。この機能が乗数に組み込まれる。また、これを手動又は自動で実施することができる。このように乗数が自動入力機能を有するように、決済213、214、引け211、212、及び変化機能209、210も自動入力機能を有する。決済機能は、所与の取引セッションの終了での最終取引の価格であり、取引所によって提供される。決済が特定の取引所によって提供されない場合、引けの価格(前日からの引け値)が使用される。変化(純変化)もまた上述のように自動的に計算される。
【0076】
共通ペイン(図1)、及びマーキュリー表示に取り付けられた2つのペイン(図2及び3)の入力領域が入力された後、これらの3つのペインからのパラメータを組み込んで、第2のレグにおいて入手可能な商品の買い及び/又は売り側についての価格レベル・インジケータを計算する(ステップ435)。価格レベル・インジケータは非アンカーレグにおいて現れ、2色のマーカとして表示され、価格ポイント・オン選択を指定するために使用されたものによく似ている。これらの2つのインジケータ(マーカ)は、ユーザが第2のレグの取引を試みているときに対象とするべきである価格の範囲を表す。これらのマーカは単にガイドであり、ユーザは指示されたレベル外の価格レベルで取引することができる。
【0077】
「オートロード」機能は、トレーダーが自分で決定する幾つかの契約により市場に入り、次に、これらの契約の特定の量を買うか又は売ることを試みた後に開始される。アンカーレグにおけるユーザのネット・ポジション175が変化するとき、非アンカーレグ(第2のレグにおける)についての注文数量174を数量を、第1の商品についての現在のポジションに基づいて公式を用いて自動的に計算する。即ち、トレーダーによって指定されたスプレッド比率(205、206)に現在のポジションを掛けることで、非アンカーレグの注文数量ウィンドウ174を計算する。トレーダーのネット・ポジションは、選択された商品におけるトレーダーの現在のポジション(購入された契約の数量に関する)である。即ち、トレーダーが、自分が売却した商品をさらに10契約を買った場合、トレーダーのネット・ポジションの値は10となる。同様に、同じトレーダーが、自分が購入したものより10多い契約を売約した場合、トレーダーのネット・ポジションは−10の値となる。そして、第2の商品についての次の注文の数量パラメータを、計算された数量に自動的に設定する。また、計算された数量がコンピュータ・デバイスの表示画面上に表示される
【0078】
また、ユーザ入力デバイスの単一のアクションにより、価格軸上の価格レベルに関するエリアを、ユーザ入力デバイスのポインタにより選択することで、注文についての価格パラメータを設定する。そして、数量パラメータに等しい注文数量値及び価格を含む注文を電子取引所に送信する。ただし、注文の送信は、価格軸上の価格レベルに関するエリア上に位置付けられたポインタによるユーザ・デバイスの単一のアクションを通じて行われる。
【0079】
図5は、上述のスプレッド取引ツールの5つのすべての表示ペインを例示し、図1〜3に関して列挙された要素を含む。このオートロード機能を例示するため、要素510として示す100のFGBM契約を購入しようと試みているトレーダーを考察する。FGBL216は、FGBM215におけるトレーダーのアンカーに対する非アンカー商品としての機能を果たす関連商品である。FGBM/FGBLスプレッドは現在、要素205及び206に示す5:3の比率で設定されており、トレーダーはいずれの契約においてもポジションを保持しない。100の所望の契約のうち50契約が市場においてマッチされ、履行される場合(ヒット、要素173を参照)、このシステムは、この場合は205及び206に設定された5:3の比率を維持するようにFGBL数量を計算し、これを自動的に30に設定し(要素174を参照)、従って、トレーダーが次の非アンカーレグ取引を行うための重要な時間を節約し、これは、その取引についての数量を手動で設定する必要がなく、ユーザは自分の注文を単一のマウス・クリックのみで出すことができるからである。残りの50のFGBM契約が履行されるべきであった場合、この機能は自動的にFGBLの注文数量を30から60に変更し、それにより、ユーザにロングの100のFGBMポジションを相殺するための準備をさせ、ユーザの次の非アンカー注文の後に5:3の比率のスプレッドを満たす。
【0080】
オートロード機能はまた、非アンカー注文数量における部分的数量もロードする。これらの部分的数量は、アンカー側についての比率の整数の倍数ではない数量である。これは、トレーダーが最終的に極度のスプレッドを得る助けとなる。また、極度のスプレッドは、所望の比率が完全に損なわれていないものである。極度のスプレッドは、トレーダーが部分的数量ではなく全比率数量を累積するときに生じる。例えば、所望の比率が5:3であるとき、極度のスプレッドは、50のロング:30のショート、又は25のロング:15のショートとなる。オートロード機能が、トレーダーがアンカー側において全比率数量を累積するまで待っていたのでは、トレーダーは自分のポジションをヘッジする機会を損なってしまう。そこで、より多くの即時量を提供して、トレーダーが自分のポジションをヘッジする助けとする。
【0081】
例えば、トレーダーが数値を比率ボックス205及び206に入力して4:3の比率を実施する場合、オートロード機能では、非アンカー注文数量を計算する前に、トレーダーはアンカーレグについての4のネット・ポジションを得る必要がない。トレーダーがアンカーにおいて4契約を作業中であり、3契約の数量において履行された場合、この機能は、1つの追加の注文が履行されることを必要とせず、むしろ、非アンカーの注文数量を計算し、アンカーにおける3つの履行に基づいて比例した量によってウィンドウ174を計算する。表1は、部分的履行がアンカーレグにおいて生じるとき、非アンカー注文数量が履行される例を示す。以下に示すように、非アンカー注文数量は、設定された比率に従ってアンカー商品における現在のネット・ポジションに比例し、最も近い整数に修正される。
【0082】
【表1】

【0083】
このオートロード機能では、取引は必ずしも第2のレグで起こるとは限らない。また、注文は自動的に市場に送信されず、その代わりに、スプレッドの各レグについての注文数量が単に計算され、注文数量ウィンドウ174に入れられる。実際の注文(計算された数量での注文)を市場に送信させるには、トレーダーはマーキュリー表示アプリケーションの注文入力機能性を使用する。
【0084】
「価格レベル・インジケータ」機能により、トレーダーは、スプレッドについての売買価格ポイントを設定することができる。再び図5を参照すると、価格レベル・インジケータは、色の付いたマーカ511〜516として表示され、各契約において、「ビッド」111、112、「アスク」131、132及び「価格」121、122の列とは別の列に現れる。アンカーレグにおけるマーカの位置に応じて、非アンカーレグ(レグ)におけるマーカの配置を決定する。これらの位置は、選択される「価格ポイント・オン」310に基づいて具体的に決定される。
【0085】
最良ビッド/アスク311が選択され、新しい注文が出されて履行されるときに市場における注文が変化し続ける場合、マーカ511、512は、最良ビッド/アスク価格を追跡し、それと共に移動する。最良作業312が選択された場合、アンカーレグにおけるマーカ511、512は、市場内にあるトレーダーの最良作業ビッド及びアスクに留まるようになる。マニュアル313が選択された場合、ユーザは自分で選んだ売買価格ポイントを手動で選択できるようになる。
【0086】
この方法にかかわらず、マーカ511及び512に対応するアンカー価格ポイントを使用して、非アンカーレグにおける価格レベル・インジケータの位置513〜516を計算する。例えば、トレーダーが最良作業312を選択して市場に入り、アンカーレグのビッド側151において履行される場合、マーカ511は、トレーダーが履行された価格で、かつ、対応するレグのアスク側162において計算された価格レベル・インジケータの価格515又は516の各端で表示される。同様に、トレーダーがあるレグのアスク側161において市場に入る場合、マーカは、トレーダーが市場に入ったポイント512で、かつ、対応する契約のビッド側152における各スプレッド価格513又は514のポイントで表示される。
【0087】
価格レベル・インジケータの位置は、トレーダーによって選択される「価格ポイント・オン」310オプションに基づいており、トレーダーがアンカーレグにおいて完全にヘッジされたポジションを有するか否かによって決まる。即ち、価格レベル・インジケータは、トレーダーの指定した比率が維持される場合、最良ビッド/アスク311、最良作業312又はマニュアル313にのみ留まる。例えば、トレーダーが5:3の比率を205/206で設定しており、5契約を買う(履行する)場合、このシステムは、完全にヘッジされる(従って、マーカを「価格ポイント・オン」価格で保つ)ためにトレーダーが3契約を売ることが必要となると計算する。同様に、そのトレーダーが10契約を買う場合、6契約を売ることが必要となる。
【0088】
トレーダーが注文を比率の一方の側のみで履行する場合、トレーダーはヘッジされず、価格レベル・インジケータ511、512の位置が「価格ポイント・オン」310の価格に存在しなくなるが、その代わりに、履行され、ヘッジされていないポジションの最終取引価格の平均価格に存在するようになる。例えば、トレーダーが最高ビッド/アスク311を選択しており、最高ビッドが価格列121における9221の価格である場合、マーカ511は9221に存在するようになる。205、206におけるこのトレーダー(5:3の比率を有する)が5契約を9224の価格で買うが、非アンカーにおいていずれも売らない場合、マーカ511は価格列121における9224の価格に存在するようになる。加えて、トレーダーが多数の契約を買うと同時にまったく売らない状態を維持することもできる。このような場合、価格レベル・インジケータは、これらの履行された買い注文の平均価格レベルに存在するようになる。例えば、上述のトレーダーは、5契約を価格列121における9222の価格で買うことによって開始することができる。次に、トレーダーは別の5契約を価格列121における9224の価格で買い、さらに別の5契約を9226の価格で買うことができる。次に、価格レベル・インジケータ511は、これらの3つの別々の買い注文の、重み付けされた平均価格に存在するようになり、これは9224となる。即ち、商品FGBMの所望の価格レベルは、商品FGBMの、ユーザにヘッジされていない履行済注文の価格レベルの重み付けされた平均となる。例えば、これらの3つの買い注文を履行した後、トレーダーが非アンカー商品における3の数量についての売り注文を履行すると仮定する。次に、これは第1の注文(9222)をヘッジし、重み付けされた平均を計算して、価格レベル・インジケータ511がこのとき、他の2つの注文である9224及び9226の重み付けされた平均で存在するようにし、これは9225となる。
【0089】
上述のように、比率、価格ポイント・オン選択、純変化、及びスプレッド価格ポイント値といった要素が使用されて、価格レベル・インジケータが計算され、これにより非アンカーレグにおけるマーカの配置が決定される。
【0090】
トレーダーに2つの異なる「買い」レベル331、332及び2つの異なる「売り」レベル333、334を設定させ、これらにより、トレーダーがスプレッドを買い、売ることを望む価格範囲を構成する。例えば、トレーダーが「買い」スプレッド価格ポイント値を−15及び1に、331及び332で設定し、「売り」スプレッド価格ポイント値を21及び6に、333及び334で設定すると仮定する。「−15」及び「−1」の「買い」スプレッド価格ポイント値331、332は、理想的にはトレーダーが、スプレッド価格ポイント値が−15であるときにスプレッドを買うことを望むが、自発的にスプレッドを−1で買うことを示す。これに関連してスプレッドを買うことは、アンカーレグを購入することを意味する。同様に、「21」及び「6」の「売り」スプレッド価格ポイント値333又は334は、理想的にはトレーダーが、スプレッド価格ポイント値が21であるときにスプレッドを売ることを望むが、自発的にスプレッドを6で売ることを示す。これに関連してスプレッドを売ることは、アンカーレグを売ることを意味する。
【0091】
図6に示す「範囲指示」は、市場の価格の垂直表示をトレーダーに提供すると同時に、複数の価格レベルをそれぞれの価格レベルで取引している量に基づいて区分けして表示する。垂直レイアウトはスプレッドの両方のレグに適用され、商品の両方についての契約についての価格をペインの最上部から最下部まで表示する。価格列640に表示された価格は列の最上部の最大価格645で開始し、価格レベルが減るにつれて下がる。
【0092】
毎日のボリュームの大部分の割合が取引されている価格ポイントを、ほとんどのボリュームが取引されていない価格ポイントから区別するため、色分けしている。特定の色がトレーダーによって選択され、価格ポイントを差別化する。色は、特定の価格で取引されている毎日のボリュームの割合を表すために使用される。各価格は、特定の価格又は価格のグループで取引される数量に応じて色付けされる。色の代わりに、又は色に加えて、他の方法を使用して価格ポイントを区別することができる。例えば、価格の背景色を異なる色にすることができ、又はある他の好都合な視覚的インジケータを適切な価格グループで、又はこれに隣接して使用することができる。例えば、異なるフォント、下線又は円で囲むタイプの使用などがある。
【0093】
図6に示す範囲指示を使用したサンプル表示において、トレーダーは特定の商品の毎日の取引ボリュームを見ることを望む場合や、このボリュームを複数、例えば、3つの、その日に最も多量に取引されたボリュームから最も少なかったボリュームまでの範囲に渡る、容易に区別可能な価格のグループなどに分割して見ることも望む場合がある。そこで、トレーダーが、価格のグループをどの程度大きくしたいか、及び、どの色又は他の視覚的指示で各グループを描くことを望むかを決定するオプションを設定する。
【0094】
図6に例示するように、トレーダーは毎日の取引ボリュームを3つの価格グループ、即ちA)70%、B)20%、及びC)10%に分割することを選択することができる。グループA(要素610)は、取引ボリュームの70%がその日に生じた価格を表す。グループB(要素620)は、価格640のうちその日で次に大量の取引を有した20%を表し、グループC(要素630)は、価格640のうち最低量の取引が見られた10%を表す。各グループを市場深度の全体に渡って分散させることもできる。例えば、グループAには9217及び9233の価格レベルが含まれる可能性があり、グループBは9221の価格レベルである可能性があり、グループCは9227から9231の価格レベルである。取引のボリュームは必ずしも真の「釣鐘曲線」になるとは限らない。最も取引された価格が共にグループ化される。その代わりに、ボリュームは頻繁に市場において様々な価格で変化する。好ましくは、価格がボリュームによって降順で配列され、パーセンタイル・グループ化が、ユーザによって選択されたパーセンタイルに値を累積することによって行なわれる。しかし、トレーダーに示されるとき、価格は数値順で表示される。アプリケーションを操作中のトレーダーは、色又は他の視覚的インジケータを決定し、これらが列640に表示された価格に適用される。
【0095】
トレーダーに、アプリケーションが開いている間、価格へのアクセスが提供される。ただし、アプリケーションがその日の途中に開かれる場合、その日の初めからの価格情報は入手できない。しかし、設計上の選択であり、これは変えることができる。
【0096】
「ドラッグ・アンド・ドロップ」機能は、図5の価格レベル・インジケータ511〜516をある価格レベルから別の価格レベルへドラッグ・アンド・ドロップする能力である。この機能は、図5に示すマーキュリー表示ペイン101又は102のいずれにおいても実行され、好ましくは、ユーザがマウスの左ボタンをクリックすることによって実行される。左マウス・ボタンを押し下げている間、トレーダーは価格レベル・インジケータ511〜516を異なる価格列121、122にドラッグし、マーカが自分の所望の価格レベルの横に沿ったところにあるとき、左マウス・ボタンを離す。「ドラッグ・アンド・ドロップ」機能はまた、トレーダーのキーボード上で指定されたキーストロークによって、又は、トレーダーによって実行された他のアクションを通じても実施することができる。
【0097】
アンカーレグ101において、「ドラッグ・アンド・ドロップ」機能を行うトレーダーは、自分がマニュアル313を価格ポイント・オンのオプション310から選択しているのと同じ機能を実行するようになる。価格レベル・インジケータ511、512の配置もまた、マニュアル313が選択されたかのように計算される。
【0098】
トレーダーはまた、1つ又は複数の価格レベル・インジケータを非アンカーレグ102上で「ドラッグ・アンド・ドロップ」するように選択することもできる。このようなアクションが実行されるとき、移動された特定のインジケータ513〜516に関するスプレッド価格ポイント値が変更される。上の式2に記載したように、価格レベル・インジケータは以下のように計算される。
【0099】
(数4)
非アンカー価格レベル・インジケータ=(スプレッド価格ポイント値−(アンカーレグ比率アンカーレグ純変化))/非アンカーレグ比率
【0100】
価格レベル・インジケータ513〜516を非アンカーレグ102上でドラッグ・アンド・ドロップすることによって、トレーダーは本質的に、価格レベル・インジケータを定義しており、スプレッド価格ポイント値330を決定されるように残している。価格レベル・インジケータは、以下の計算によって定義され、トレーダーがインジケータ513〜516をドラッグ・アンド・ドロップしている価格レベルである。例えば、トレーダーがインジケータを2100の価格から2120の価格までドラッグ・アンド・ドロップするとき、価格レベル・インジケータの価格レベルは2120となる。加えて、アンカー・スプレッド・ポイント・インジケータ511、512は、アンカーレグにおいて価格インジケータが静止中である価格レベルを指す。例えば、ユーザが1000、1200及び1400で履行している(各価格で1ロット)場合、アンカー・スプレッド・ポイント・インジケータ511又は512は1200(これらの履行の平均価格)で静止する。スプレッド価格ポイント値を計算するために様々な公式を使用することができる。通常、このような公式には、以下の式3で表される因数の1つ又は複数が含まれる。例として、以下の計算は、価格レベル・インジケータ513〜516が分かっているときにスプレッド価格ポイント331〜334の値を決定する。
【0101】
(数5)
スプレッド価格ポイント値=(価格レベル・インジケータ非アンカーレグ比率)+(アンカーレグ比率アンカーレグ・スプレッド・ポイント・インジケータ) (式3)
【0102】
「スプレッド市場表示」機能はトレーダーに、現在のスプレッドが取引中である所を例示すると同時に、そのスプレッドに関する市場深度をも表示するウィンドウ表示を提供する。市場深度は、内部市場ではない市場に入れられた各ビッド及びアスクを表す(最高ビッド価格及び数量、ならびに最低アスク価格及び数量)。この機能は、レグ710及び720のからの市場深度を使用し、例えば、図7のように、あるレグ720を別のレグ710から引くことによってスプレッド730を計算する。様々なスプレッド価格を指すラベルA〜F(731〜736)は、以下に説明する実施例A〜Fに対応する。
【0103】
このようなスプレッド市場表示の一例を図8に示す。中央の列810がスプレッド価格である。この価格のリストは市場深度でもある。左の列820はビッド列であり、(そのスプレッドが取引中である)市場において、そのスプレッド価格について現在入手可能なビッド数量を表示する。右の列830はアスク列であり、(そのスプレッドが取引中である)市場において、そのスプレッド価格について現在入手可能なアスク数量を表示する。中央の列の上のボックス840は商品をリストし、ボックス840の右側のボックス850はトレーダーの比率を表示する。図8の表示に示された実際の数は、本明細書で説明する実施例に対応しており、これに関連して説明される。
【0104】
現在の市場スプレッドは、トレーダーが現在取引中である商品についての最良価格ポイントによって決まる。市場にビッド側で入るトレーダーは、市場における最低アスク価格で買おうとしているのに対して、市場にアスク側で入るトレーダーは、市場における最高ビッド価格について売ろうとしている。スプレッド市場表示機能は、常に最高ビッド及び最低アスクで開始し、両方に基づいたスプレッドを計算する。例えば、再び図7を参照すると、上で計算したように、9861のFGBL価格(最高ビッド)列710で市場に入れられるトレーダーは、対応するレグ(FGBM)列720が最低アスク(9221)で入手可能な数量を有するとき、640のスプレッドにおいて取引する(列730を参照)。注文が履行され、市場における価格レベルが「ゼロ設定」されるとき、最高ビッド及び及び最低アスク価格が変化し(ビッド価格はゼロ設定されるときに低くなり、アスク価格は高くなる)、これが結果としてスプレッドにおける変化となる。「ゼロ設定」は、以前に市場内で特定の商品について特定の価格であった数量のすべてが買われているか又は売られており、0(ゼロ)の数量が残ることを意味する。スプレッドの計算において、かつ最終的には市場深度において使用される契約からの価格を近似して、トレーダーがどの値を選択しようとも(例えば、ハーフ・ティック)その値で表示することができる。
【0105】
この機能は、スプレッド取引ツールの一部として動作し、それ自体の市場深度及びスプレッドを2つの類似の契約から作成するものであり、図8のスプレッド市場表示ウィンドウ800を見るためにトレーダーが市場に入る必要はない。図7〜9の例示は、図9における2つの類似の契約であるFGBM及びFGBL920及び910の表示、ならびに、サンプル・スプレッド計算表示(図7を参照)を示し、以下に続く実施例の参照として提示される。
【0106】
実施例A、B及びCは、FGBLレグ910のビッド側912で、9861の最高ビッド価格(列914)で市場に入るトレーダーに基づいている。
【0107】
以下の実施例は、市場に入っているトレーダーが参照することができる。しかし、スプレッド市場表示情報は、このアプリケーションを実行中のいかなるトレーダーも使用することができ、そのトレーダーが図8のスプレッド市場表示ウィンドウ800を見るために市場に入る必要はない。従って、これらを参照するのは一例に過ぎない。スプレッド取引ツールは、市場スプレッド840を計算し、トレーダーが実際に市場に関係しているかどうかにかかわらず、これらを市場の深度820、830と共に表示する。
【0108】
[実施例A]
上述のように、スプレッド取引ツールは常に最高ビッド及び最低アスクで開始する(そして、両方に基づいたスプレッドを計算する)。従って、最高ビッド価格911(9861)で市場に入るトレーダーは、その価格を最低アスク価格921とマッチさせるようになる。この実施例では、その最低アスク価格が9221となる。最低アスク(9221)が最高ビッド価格(9861)から引かれて、それにおいてトレーダーが取引するようになるスプレッド(640)が決定される。図7の線A731を参照されたい。FGBLレグ910上でトレーダーが市場に入った価格ポイント911に表示された100のビッド数量913は、トレーダーが対応するFGBMレグ920からの100契約の数量を買うことに関心があったことを示唆する。この機能は最高ビッド及び最低アスクで開始するので、アプリケーションは、対応するFGBMレグ920上の最低アスク価格921(9221)でマッチさせようとする。FGBM最低アスク価格(9221)は現在入手可能な65契約923を有しており、従って、対応するビッド及びアスクが存在するので、マッチが生じる。このマッチの結果として、すべての65のFGBM最低アスク(9221)の契約923が売られ(ゼロ設定され)、新しいFGBM最低アスク価格が確立され(9222)、所望の数量である100(9861の最高ビッド価格)が35契約に減らされる。
【0109】
[実施例B]
実施例Aで説明した市場の変化、詳細には最低アスク価格における9221から9222への変化の結果として、この機能は自動的に新しいスプレッドを計算する。スプレッド(639)は、最低アスク(9222)を最高ビッド(9861)から引くことによって決定される。図7の線B732を参照されたい。図9に表示するように、最低アスク価格925(9222)は現在、入手可能な30契約の数量927を有する。トレーダーはなお市場に入っており、なお35契約を売ろうとしており、30契約927が新しい最低アスク価格で入手可能となるので、もう1つのマッチが生じる。このマッチの結果として、最低アスク価格925(9222)のすべての30契約がゼロ設定され、従って、トレーダーの所望のビッド数量が35から5契約に減らされ、第3の新しい最低アスク価格の9223が作成される。
【0110】
[実施例C]
実施例Bで説明した活動の結果生じる市場の変化、詳細には最低アスク価格における9222から9223への変化の結果として、スプレッド取引ツールは自動的に新しいスプレッドを計算する。スプレッド(638)は、最低アスク(9223)を最高ビッド(9861)から引くことによって決定される。図7の線C733を参照されたい。図9に表示するように、最低アスク価格928(9223)は現在、入手可能な50契約の数量929を有する。しかし、トレーダーは市場において最高ビッド価格911(9861)にあり、自分の最初のビッドから残りの5契約のみを買おうと(履行しようと)する。対応する最低アスク価格928で50契約が入手可能929であり、トレーダーが市場に最高ビッド価格で入力したビッドを有しているので、マッチが生じ、その結果には、最高ビッド価格911(9861)がゼロ設定されることが含まれる。加えて、前述の市場活動の結果として、最低アスク価格928(9223)は最低アスクのまま残るが、50から45契約に減らされ、最高ビッド価格は9860となる(次に最大の入手可能なビッド価格915)。
【0111】
再び図8を参照すると、実施例Aでは、トレーダーは640のスプレッド価格で取引しており、数量をゼロ設定した。従って、図8のように、640のスプレッド価格(列840)は、列820において表示された数量を有していない(ゼロ)。実施例Bでは、30契約がゼロ設定されたので同じことが起こったが、実施例Cでは、50契約のうち5契約のみが売られ、45の数量が残された。従って、45が、638のスプレッド価格(列840)の隣の列820に表示される。
【0112】
実施例D、E及びFは、FGBLレグ910のアスク側916で、9862の最低アスク価格917で市場に入るトレーダーに基づいている。
【0113】
再度、トレーダーがスプレッド市場表示ウィンドウ800を見るために市場に入れられる必要はなく、従って、これらの参照は一例に過ぎない。この機能は市場スプレッド840を計算し、トレーダーが実際に市場に関係しているかどうかにかかわらず、これらを市場の深度820、830と共に表示する。
【0114】
[実施例D]
トレーダーが最高ビッドで価格で市場に入るときにこの機能な動作する方法と同様に、最低アスク価格で市場に入るトレーダーは、その価格を、対応するレグにおける最高ビッド価格でマッチさせるようになる。この実施例では、この最低アスク価格917が9862となる。最高ビッド930(9220)が最低アスク価格917(9862)から引かれて、それにおいてトレーダーが取引するようになるスプレッド(642)が決定される。図7の線D734を参照されたい。FGBLレグ910上でトレーダーが市場に入った価格ポイント917に表示された100のアスク数量918は、トレーダーが100契約を売ることを望んだことを示唆する。再度、スプレッド取引ツールは最高ビッド及び最低アスクで開始するので、アプリケーションは、対応するFGBMレグ920上の最高ビッド価格930(9220)でマッチさせようとする。FGBM最高ビッド価格930(9220)で、トレーダーは25契約932を買うことに関心を有しており、従って、対応するビッド及びアスクが存在するので、マッチが生じる。このマッチの結果として、すべての25のFGBM最高ビッド(9220)の契約932がゼロ設定され、新しいFGBM最高ビッド価格931が確立され(9219)、100の所望のFGBL売り数量918が75契約に減らされる。
【0115】
[実施例E]
実施例Dで説明した市場の変化、詳細には最高ビッド価格における9220から9219への変化の結果として、新しいスプレッドが計算される。643のスプレッドは、9219(最高ビッド)を9862(最低アスク)から引くことによって計算される。図7の線F735を参照されたい。トレーダーは9862(最低アスク価格917)で市場に入っており、自分の100アスク契約918のうち25契約を履行しており、75契約の注文が残るようになる。対応するFGBMレグ920において、新しい最高ビッド価格(9219)で、トレーダーは100契約のビッド注文933を有しており、これが75のFGBL契約とマッチされる。前述のマッチの結果として、最低アスク917(9862)がゼロ設定され、最高ビッド価格931(9219)が100から25契約に減らされる。加えて、新しい最低アスク価格919が9863となる(最低の入手可能なアスク価格)。
【0116】
[実施例F]
実施例Eで説明した活動の結果生じた市場の変化、詳細には最低アスク価格における9862から9863への変化の結果として、新しいスプレッドが計算される。スプレッド(644)は、最高ビッド(9219)を最低アスク(9863)から引くことによって決定される。図7の線F736を参照されたい。トレーダーは最低アスク価格919(9863)で市場に入っており、現在は市場において15契約についての注文909を有している。対応するレグ920において、トレーダーは最高ビッド価格931(9219)で入っており、現在は市場において25契約の注文を有している。一致する最高ビッド及び最低アスク価格931及び919で契約が入手可能であるので、マッチが生じ、結果として、最低アスク価格919(9863)がゼロ設定され、最高ビッド価格931(9219)が25から10契約に減らされる。
【0117】
再び図8を参照すると、実施例Dでは、642のスプレッド価格(列840)がゼロ設定された。従って、642のスプレッド価格の隣に数量は表示されない。実施例Eでは、同じことが起こった。従って、643のスプレッド価格(列840)の隣に数量は表示されない。しかし、実施例Fでは、644のスプレッド価格(列810)で10契約が残っており(列830)、従って図8(列830)では644のスプレッド価格の隣に表示される。
【0118】
「取引スプレッド表示」は、スプレッドが取引された可能性のある所を具体的に例示する履歴データをトレーダーに提供する。スプレッド・ツールを操作するトレーダーは、2つの対応する取引画面である101及び102(レグ)を有し、これらはトレーダーのワークステーションのモニタ上に表示される。これらの画面から、トレーダーは商品を同時に売り買いすることができる。この機能に関する情報の表示は、市場における最良価格に基づいており、この機能は、スプレッド価格、及び、そのスプレッド価格で取引された合計数量を表示する。機能を例示するため、図10に示す表示を使用し、これはスプレッドのレグとして使用される2つの市場1010及び1020を表す。
【0119】
「取引スプレッド表示」機能の一例を図11に示し、これはトレーダーに、一日中でスプレッドが取引された所を例示する追加のウィンドウ表示1100を提供する。具体的には、このウィンドウはスプレッド価格1110及び取引数量列1120を、それらが市場において取引されるときに表示する。
【0120】
スプレッド価格は、あるレグ1020において図10に示す価格ポイントを、他のレグ1010における価格ポイントから引くことによって決定される。この計算は最初に、各レグについての最高ビッド又は各レグについての最低アスクのいずれかを組み込む。図10では、ビッドがある色で表示され、アスク/アスクが別の色で表示される。
【0121】
そして、価格がゼロ設定されるとき、新しい最良価格が作成され、スプレッドが、新しい最高ビッド又は最低アスク価格のいずれかを使用して再計算される。価格は、その価格に関する数量全体が買われるか又は売られるとき、ゼロ設定され、ゼロの合計数量が残される。このように第1の商品についての現在のポジションが変化するとき、数量を自動的に再計算する。さらに、第2の商品についての次の注文についての数量パラメータを、再計算された数量に設定する。
【0122】
表示された取引数量列1120は、一日中に各特定のスプレッド価格で取引された契約の総数である。「取引スプレッド表示」1100は、これらの適用可能な各スプレッド価格についての数量の現在高を維持するようになる。例えば、スプレッドが340の価格レベル(列1110)で、15の数量(取引数量列1120)で取引される場合、この取引が記録され、「取引スプレッド表示」1100に表示される。1時間後、このスプレッドが再度340で取引されるようになり、今度は12の数量で取引される場合、この表示は取引数量列1120について15から27に変化する。
【0123】
図10では、契約A1013が9859の最高ビッド価格1014、及び9860の最低アスク価格1015を有し、契約B1023が9517の最高ビッド価格1024、及び9518の最低アスク価格1025を有しており、スプレッド価格1110及び取引数量列1120の計算及び表示をさらに例示する。例えば、10契約が契約A1013の9859のビッド価格において取引される場合、買い手は10契約を契約B1023における9517のビッド価格で売ることができる。この場合、スプレッドは342の価格で10回取引されるようになる(9859−9517)。例えば、すべての50契約1016が9859の価格(1014)で取引されている場合、買い手は35契約のみを9517価格(1024)で売っている可能性があり、これは、35が契約B1023においてその価格1024で入手可能な最大数量1026であるためである。このシナリオでは、表示1100の列1110及び1120に示すように、スプレッドは342で35回取引されるようになる。次に、トレーダーは8契約を9516で売ることができ、これについては列1021及び1022を参照されたい。また、スプレッドは343で8回取引され、これについては列1110及び1120を参照されたい(9859−9516)。最後に、トレーダーの残りの7契約を9515の価格で売ることについては、列1021及び1022を参照されたい。これにより、トレーダーの注文をゼロ設定することができ、結果としてスプレッドが344で7回取引され(9859−9515)、これについては列1110及び1120を参照されたい。上述した全ての50のスプレッドを、3つの異なる価格レベル342及び344(列1110及び1120を参照)で取引することができる。
【0124】
図11は、「取引スプレッド表示」ウィンドウが上のシナリオに基づいてどのように見えるかを示す。列1110に表示された価格は市場におけるいかなる個別の商品の価格でもないが、その代わりにスプレッド価格(契約Aのビッド価格−契約Bのビッド価格、又は、契約Aのアスク価格−契約Bのアスク価格)であることが、繰り返されるべきである。加えて、この機能では取引数量列1120に表示される数量は、現在市場において存在する数量ではなく、いかなる特定の商品の数量でもなく、むしろこれらの数量は、どのくらいの数のスプレッドがその特定の価格レベルで一日中に取引されているかの測度を構成する。最後に、このウィンドウにおける情報は、トレーダーがアプリケーションをオープンにしている長さによって制限される。これは、以前の取引情報を格納するデータベースが現在はウィンドウに接続されていないからである。
【0125】
上記の電子取引方法を、スプレッドシートの態様を使用して、かつ/又は、いずれかの標準のルール・ベースのロジック、もしくは適切な表示数及びインジケータを決定するための他の好都合なロジックによって、実施することができる。多数の修正及び変形を、本明細書で説明及び例示した電子商取引方法に、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行なうことができる。従って、本明細書で説明した電子商取引方法は例示的でしかなく、本発明の範囲において限定していない。
【符号の説明】
【0126】
101 マーキュリー表示ペイン(アンカーレグ)
102 マーキュリー表示ペイン(非アンカーレグ)
111,112 ビッド列
121,122 価格列(共通価格軸)
131,132 アスク列
141,142 最終取引数量についての列
151 トレーダーの現在のビッド側
152,162 価格レベル・インジケータ
161 トレーダーの現在のアスク側
171,172 その他の情報を含む列
173,174 注文数量
175,176 ネット・ポジション
180,181 理論的最終取引価格
203,204 アンカー・チェック・ボックス
205,206 比率
207,208 乗数
209,210 変化
211,212 引け
213,214 決済
215,216 商品名称
301 共通ペイン
310 価格ポイント・オン(オプション)
311 最良ビッド/アスク
312 最良作業
313 マニュアル
320 オートロード
330-334 スプレッド価格ポイント値
350 カレント
511-516 価格レベル・インジケータ(マーカ,ポイント)
511 アンカー・スプレッド・ポイント・インジケータ
640 価格列
645 最大価格
730 スプレッド
800 スプレッド市場表示ウィンドウ
820 深度
840 市場スプレッド
911,930,931,1014,1024 最高ビッド価格
912 ビッド側
913 ビッド数量
915 ビッド価格
916 アスク側
918 アスク数量
918,1016 契約
917,919,921,925,928,931 最低アスク価格
933 ビッド注文
1010 市場
1025 最低アスク価格
1026 最大数量
1100 ウィンドウ表示
1110 スプレッド価格
1120 取引数量列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子取引所に接続されるコンピュータ上で電子的に第1の商品と第2の商品を同時に又は連動して売買するために、第1、第2の商品に関係する市場情報を表示する電子取引方法であって、
前記少なくとも1つの電子取引所から、第1の商品に関する第1の複数の価格及び各価格に対応するビッド数量またはアスク数量、並びに該第1の複数の価格内における最高ビッド価格及び最低アスク価格を含む第1の市場データを受信し、記憶部に保持するステップと、
前記少なくとも1つの電子取引所から、第2の商品に関する第2の複数の価格及び各価格に対応するビッド数量またはアスク数量、並びに該第2の複数の価格内における最高ビッド価格及び最低アスク価格を含む第2の市場データを受信し、該記憶部に保持するステップと、
保持された第1の市場データと第2の市場データを該記憶部から読み出し、演算部において読み出した第1の市場データに含まれる第1の複数の価格内における最高ビッド価格と第2の市場データに含まれる第2の複数の価格内における最低アスク価格の差を減算演算によって求めると共に、第1の市場データに含まれる第1の複数の価格内における最低アスク価格と第2の市場データに含まれる第2の複数の価格内における最高ビッド価格の差を減算演算によって求めるステップと、
前記差に基づいてスプレッド価格を作成し、表示部において表示するステップと、
を有することを特徴とする電子取引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−248898(P2011−248898A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−119514(P2011−119514)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2010−17112(P2010−17112)の分割
【原出願日】平成14年5月31日(2002.5.31)
【出願人】(502317459)トレーディング テクノロジーズ インターナショナル インコーポレイテッド (23)