説明

電子商取引システム、電子商取引プログラム及び事業者サーバ

【課題】 事業者、販売代理店及び消費者それぞれの利益を確保し、効率よく商品の流通を図るための商取引システムを提供する。
【解決手段】 在庫管理が必要な商品を提供する事業者と事業者が提供する商品の販売を行う販売代理店と商品の提供を受ける顧客の3者によって行われる商取引形態において、顧客から発注された商品の受注及び納品は事業者が顧客に対して直接行うことを可能にするとともに、顧客を紹介した販売代理店若しくは顧客が任意に選択した販売代理店を顧客に対する担当販売代理店として関連付けることにより、担当販売代理店での顧客管理や担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して顧客が購入した商品の購入金額に応じたキャッシュバックを可能とするために導入される電子商取引システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子商取引システム、電子商取引プログラム及び事業者サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者の商品を取り扱う販売代理店を通じて顧客に商品を提供する従来の商取引形態は、事業者や消費者にとって重要な商取引手段であり、これまでにも、特開2003−099513号公報(特許文献1)に記載されているような、販売代理店によって行われるカタログ販売が知られている。しかし、近年では消費者にとって利便性の高いインターネット等のネットワークを介した電子商取引の利用が急増し、様々な電子商取引が行われている。このような電子商取引システムとしては、特開平11−085841号公報(特許文献2)に記載されているような、電子モールを介して商品の販売を行う電子モールシステム等の新しい商取引方法が提案されている。
【0003】
ところが、事業者が販売代理店を通じて商品等の提供を行う従来の方法では、事業者が販売代理店に商品を納品し販売代理店を通じて消費者に商品等を提供するため、販売代理店による消費者に対する細やかなサービスの提供が可能となる一方で、販売代理店と事業者間の在庫管理が煩雑となる場合も多く、販売代理店に在庫が不足している場合には消費者への納品が遅れたり、販売機会を喪失するといった問題点があった。
【0004】
これに対して、事業者が販売代理店を通さずに直接消費者に商品等の提供を行うオンライン通信による商取引を行う場合には、事業者にとっての在庫管理等の煩雑さはないが、消費者に対して販売代理店が行うような細やかなサービスが不十分となるため、顧客の満足度を低下させたり、アフターサービスが十分になされないことにより、追加商品の販売機会を喪失するなどの問題点が生じる。また、事業者の商品等を取り扱っていた従来の販売代理店にとっては、顧客が商品を購入しても取引上事業者利益として処理され、自己の売上につながらないため、販売意欲の減退といった問題点が生じる。
【0005】
このように、商品を事業者が消費者に対して販売代理店を通じて提供している従来の商取引形態に、販売代理店を介さずに事業者が直接消費者に商品等の提供を行うオンライン通信による商取引システムを導入した場合には、販売代理店が不利益を受けるなど種々の問題点が生じることが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−099513号公報
【特許文献2】特開平11−085841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、商品又は役務を事業者が消費者に対して販売代理店を通じて提供している従来の商取引形態に、販売代理店を介さずに事業者が直接消費者に商品等の提供を行うオンライン通信による商取引システムを導入した場合に、事業者、販売代理店、及び消費者それぞれの利益を確保し、効率よく商品の流通を図るための商取引システムについて検討を行い、本発明を見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、商品を提供する事業者と事業者が提供する商品の販売を行う販売代理店と商品の提供を受ける顧客の3者によって行われる商取引形態において、顧客から発注された商品の受注及び納品は事業者が顧客に対して直接行うことを可能にするとともに、顧客を紹介した販売代理店若しくは顧客が任意に選択した販売代理店を顧客に対する担当販売代理店として関連付けることにより、担当販売代理店での顧客管理並びに担当販売代理店に対して顧客が購入した商品の購入金額に応じたキャッシュバックを可能とする電子商取引システム、電子商取引プログラム及び事業者サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの特徴は、顧客の端末装置及び販売代理店の端末装置と電気通信回線によるネットワークを通じて接続可能な事業者サーバによって行われる電子商取引を支援する電子商取引システムであって、前記事業者サーバが、提供する複数の在庫管理が必要な商品の情報を登録する商品情報登録手段と、複数の販売代理店の情報を登録する代理店情報登録手段と、複数の顧客情報を登録する顧客情報登録手段と、顧客認証の情報を受け付ける認証画面を前記顧客の端末装置に表示させ、当該認証画面に対して入力された顧客情報を受信して顧客認証処理を実行し、前記顧客情報登録手段に登録させる顧客認証手段と、前記商品情報登録手段に登録されている提供商品の情報を前記顧客端末装置に送信して表示させる商品情報提示手段と、顧客により前記端末装置を通じて選択された提供商品の発注の受付処理を実行する発注受付処理手段と、前記発注受付処理手段が前記発注の受付を実行する際に、前記代理店情報登録手段に登録されている複数の販売代理店の販売代理店情報を、前記顧客の端末装置に送信して顧客が選択可能な状態で表示させる代理店情報提示手段と、前記顧客により前記端末装置を通じて選択された販売代理店を識別し、当該販売代理店の情報と前記顧客の情報とを関連付け、前記顧客情報登録手段に登録されている該当顧客情報に、選択された販売代理店を担当販売代理店として追加登録し、前記代理店情報登録手段に登録されている該当販売代理店情報に、前記顧客を担当顧客として追加登録する担当販売代理店情報追加手段と、前記顧客端末からの発注内容を確定した発注情報を受信すると、事業者が前記顧客に当該発注を受けた商品を直接納品するための受注処理を実行する受注処理手段と、前記受注処理がなされた場合、前記担当販売代理店情報追加手段により、前記顧客に関連付けられた担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して、前記顧客が購入した前記商品の購入金額に応じたキャッシュバック金額を算定し、当該キャッシュバック金額を前記代理店情報登録手段の販売代理店情報に追加登録するキャッシュバック処理手段とを具備した電子商取引システムにある。
【0010】
本発明の別の特徴は、顧客の端末装置及び販売代理店の端末装置と電気通信回線によるネットワークを通じて接続し、電子商取引を実行する事業者サーバであって、提供する複数の在庫管理が必要な商品の情報を登録する商品情報登録手段と、複数の販売代理店の情報を登録する代理店情報登録手段と、複数の顧客情報を登録する顧客情報登録手段と、顧客認証の情報を受け付ける認証画面を前記顧客の端末装置に表示させ、当該認証画面に対して入力された顧客情報を受信して顧客認証処理を実行し、前記顧客情報登録手段に登録させる顧客認証手段と、前記商品情報登録手段に登録されている提供商品の情報を前記顧客端末装置に送信して表示させる商品情報提示手段と、顧客により前記端末装置を通じて選択された提供商品の発注の受付処理を実行する発注受付処理手段と、前記発注受付処理手段が前記発注の受付を実行する際に、前記代理店情報登録手段に登録されている複数の販売代理店の販売代理店情報を、前記顧客の端末装置に送信して顧客が選択可能な状態で表示させる代理店情報提示手段と、前記顧客により前記端末装置を通じて選択された販売代理店を識別し、当該販売代理店の情報と前記顧客の情報とを関連付け、前記顧客情報登録手段に登録されている該当顧客情報に、選択された販売代理店を担当販売代理店として追加登録し、前記代理店情報登録手段に登録されている該当販売代理店情報に、前記顧客を担当顧客として追加登録する担当販売代理店情報追加手段と、前記顧客端末からの発注内容を確定した発注情報を受信すると、事業者が前記顧客に当該発注を受けた商品を直接納品するための受注処理を実行する受注処理手段と、前記受注処理がなされた場合、前記担当販売代理店情報追加手段により、前記顧客に関連付けられた担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して、前記顧客が購入した前記商品の購入金額に応じたキャッシュバック金額を算定し、当該キャッシュバック金額を前記代理店情報登録手段の販売代理店情報に追加登録するキャッシュバック処理手段とを具備した事業者サーバにある。
【0011】
本発明のさらに別の特徴は、コンピュータにインストールすることによって、顧客の端末装置及び販売代理店の端末装置と電気通信回線によるネットワークを通じて接続して当該コンピュータを電子商取引を実行する事業者サーバとして動作させる電子商取引プログラムであって、提供する複数の在庫管理が必要な商品の情報を商品情報登録手段に登録する処理と、複数の販売代理店の情報を代理店情報登録手段に登録する処理と、任意の顧客から端末装置を通じたアクセスを受け付ける処理と、顧客認証の情報を受け付ける認証画面を前記顧客の端末装置に表示させ、当該認証画面に対して入力された顧客情報を受信して顧客認証処理を実行し、顧客情報登録手段に登録する処理と、前記商品情報登録手段に登録されている提供商品の情報を前記顧客の端末装置に送信して表示させる処理と、前記顧客により前記端末装置を通じて選択された提供商品の発注を受け付ける処理と、前記発注の受付を実行する際に、前記代理店情報登録手段に登録されている複数の販売代理店の販売代理店情報を、前記顧客の端末装置に送信して顧客が選択可能な状態で表示させる処理と、前記顧客により前記端末装置を通じて選択された販売代理店を識別し、当該販売代理店の情報と前記顧客の情報とを関連付け、前記顧客情報登録手段に登録されている該当顧客情報に、選択された販売代理店を担当販売代理店として追加登録し、前記代理店情報登録手段に登録されている該当販売代理店情報に、前記顧客を担当顧客として追加登録する担当販売代理店情報追加処理と、前記顧客端末からの発注内容を確定した発注情報を受信すると、事業者が前記顧客に当該発注を受けた商品を直接納品するための受注処理と、前記受注処理がなされた場合、前記担当販売代理店情報追加処理により、前記顧客に関連付けられた担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して、前記顧客が購入した前記商品の購入金額に応じたキャッシュバック金額を算定し、当該キャッシュバック金額を前記代理店情報登録手段の販売代理店情報に追加登録するキャッシュバック処理とをコンピュータに実行させる電子商取引プログラムにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子商取引システムによれば、事業者が販売代理店を経由せずに直接顧客に対して商品の受注や納品を行うことができるため、販売代理店と事業者間の在庫管理が煩雑となることがなく、販売代理店に在庫がない場合に生じる顧客の喪失を防ぐことができる。また、顧客にとっては、販売代理店に在庫がない場合にも、事業者から直接商品が発送されてくるため、時間をかけずに商品を入手することができ、担当販売代理店による十分なアフターサービスを受けることが可能であり、安心感を得ることができる。さらに、販売代理店にとっては、従来生じていた在庫管理の負担軽減が図られると同時に、担当顧客の管理が容易となり、担当顧客に売上が生じた場合には、一定のキャッシュバックを受けることもできるため、販売意欲が減退することもない。
【0013】
また、本発明の電子商取引プログラムによれば、これをコンピュータにインストールすることによって当該コンピュータにて上記の優れた電子商取引方法を実行させることができる。
【0014】
また、本発明の事業者サーバによれば、これを顧客の端末装置、販売代理店の端末装置とネットワーク接続することで、上記の優れた電子商取引システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1つの実施の形態の電子商取引システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】上記の実施の形態の電子商取引システムにおける事業者サーバの機能構成を示すブロック図である。
【図3】上記の実施の形態の電子商取引システムによる受注処理を示すフローチャートである。
【図4】上記の実施の形態の電子商取引システムにおいて事業者サーバが顧客端末に表示させる商品選択画面の内容を示す説明図である。
【図5】上記の実施の形態の電子商取引システムにおいて事業者サーバが顧客端末に表示させる販売代理店選択画面の内容を示す説明図である。
【図6】上記の実施の形態の電子商取引システムにおいて事業者サーバが顧客端末に表示させる商品発注確認画面の内容を示す説明図である。
【図7】上記の実施の形態の電子商取引システムにおける事業者サーバが管理する顧客データベースの内容を示す説明図である。
【図8】上記の実施の形態の電子商取引システムにおける事業者サーバが管理する販売代理店データベースの内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。本発明の電子商取引システムは、商品を提供する事業者と事業者が提供する商品の販売を行う販売代理店と商品の提供を受ける顧客の3者によって行われる商取引形態において、顧客から発注された商品の受注及び納品を事業者が顧客に対して直接行うことを可能とするとともに、顧客を紹介した販売代理店若しくは顧客が任意に選択した販売代理店を顧客に対する担当販売代理店として関連付けることにより、担当販売代理店での顧客管理や担当販売代理店へのキャッシュバックを可能とするものであり、インターネット又はパソコン通信等のオンラインに接続可能な顧客端末装置、販売代理店端末装置、そして商品を提供する事業者サーバによって構成される。
【0017】
図1は、本発明の1つの実施の形態の電子商取引システムのネットワーク接続構成を示している。本実施の形態の電子商取引システムは、電子商取引を管理する事業者サーバ100と、顧客が使用する複数の顧客端末101a,101b,…(以下、個別に識別する必要がない場合、「101」で代表させる)と、販売代理店が使用する代理店端末102a,102b,…(以下、個別に識別する必要がない場合、「102」で代表させる)とがインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワーク200を介して互いに接続されている。これらのネットワーク200は、双方向性の通信が可能であればどのようなものでもよい。
【0018】
顧客端末101、代理店端末102、そして事業者サーバ100は、上記ネットワーク200に接続可能なコンピュータシステムであれば特に限定されないが、そのシステムキーボードに応じたハードウェアを備えたものである。例えば、CPUを中心として作業領域となるRAM、制御プログラム等を記憶するROM、オペレーションソフト,アプリケーションソフトや各種データを記憶するハードディスク、情報の入力を行うためのキーボードやマウスのようなポインティングデバイス、情報を出力するためのモニタやプリンタを備え、また通信を行うために内蔵、外付けを問わず、ルータもしくはターミナルアダプタやデータサービスユニット、モデムのようなネットワーク接続制御装置300を備えている。
【0019】
図2は、事業者サーバ100の機能構成を示している。事業者サーバ100としての機能は、それにインストールされる電子商取引プログラムを実行させることによって発揮されるものであるが、機能的に分割して示せば、メイン制御部21、新規顧客登録処理を実行するための顧客登録処理部22、販売代理店の抽出処理を行うための販売代理店抽出処理部23、顧客と販売代理店を関連付ける処理を行う顧客・販売代理店関連付け処理部24、商品の受注処理を行う商品受注処理部25、販売代理店毎のキャッシュバックの処理を行うキャッシュバック処理部26を備えている。事業者サーバ100はまた、データベースとして、顧客情報により構成される顧客データベース27、販売代理店に関する情報により構成される販売代理店データベース28、当該システムで提供される提供商品に関する商品データベース29を備えている。また、事業者サーバ100は、これらデータベース群27〜29を管理するために、顧客情報管理部31、代理店情報管理部32、商品情報管理部33を備え、さらに、ネットワーク通信を制御する通信制御部35、表示装置への表示出力、キーボードやポインティングデバイスからの入力、その他の信号入出力を制御する入出力制御部36を備えている。
【0020】
図3は、本実施の形態に係る電子商取引システムによる受注処理を示すフローチャートである。同図では、顧客端末101aと事業者サーバ100との間で受発注が行われるものとするが、顧客端末101b,101cと事業者サーバ100との間でそれぞれ受発注が行われてもよいことはいうまでもない。
【0021】
顧客が事業者の提供する商品等の提供を受ける場合には、顧客端末101aからネットワーク200を通じて事業者サーバ100にアクセスし、事業者サーバ100から送信される対顧客画面を表示する。そして当該顧客は、顧客端末101aに表示された対顧客画面から例えば顧客登録ボタンを選択し、それに続いて表示される顧客登録要求画面で用意されている顧客IDやパスワード等の入力窓に顧客情報の入力を行う。顧客は入力を完了すれば、顧客端末101aから事業者サーバ100に対して入力された顧客情報を送信する(ステップS301)。
【0022】
事業者サーバ100は、顧客端末101aから顧客認証要求を受信すると(ステップS321)、図2に示す顧客データベース27を参照して、顧客認証要求とともに受信した顧客情報が顧客データベース27に登録されている情報と合致するか否かにより顧客登録の有無を判別する(ステップS322)。顧客データベース27は、顧客に関する各種情報から成るデータベースであり、事業者サーバ100内のハードディスク200に記憶保存されている。顧客データベース27の内容を図7に例示したように、各顧客の情報として、氏名、年齢、性別、住所、郵便番号、電話番号、担当販売代理店、その他様々な情報が含まれる。その内容に特に制限はない。
【0023】
ステップS322の判別の結果、顧客登録が無かった場合は(ステップS322でNO)、事業者サーバ100は新規顧客登録を行い(ステップS323)、顧客端末101aに対して新規のIDやパスワード等の通知送信を行う(ステップS324)。
【0024】
顧客端末101aは、事業者サーバよりIDやパスワードを受信する(ステップS302)。顧客は顧客端末101aにて受信したIDやパスワードを確認し、これを当該顧客端末101aに入力して送信する(ステップS303)。なお、既にIDやパスワードを取得している顧客は、上記ステップS301〜S302を経る必要がなく、ステップS303から開始することもできる。
【0025】
事業者サーバ100は、顧客のIDやパスワードを受信すると顧客認証を行い、顧客端末101aに対して図4に示すような商品等選択画面500を顧客端末101aに送信する(ステップS325,S325’)。商品等選択画面500に表示される商品等は、商品データベース29に基づいて表示されるものである。商品データベース29は、商品に関する各種情報から成るデータベースであり、事業者サーバ100内のハードディスク200に記憶保存されている。商品データベース29の内容は、商品に関する種々の情報からなるものであり、商品名、商品番号、商品価格、商品の特徴、その他様々な情報を入力したものである。また、顧客側で希望商品を選択するための選択ボタン、選択された商品の個数の入力窓、その他、商品の注文に必要な情報を入力するためのツールも用意されている。ただし、特にその内容に制限はない。
【0026】
ステップS325で事業者サーバ100から送信された商品等選択画面500は、顧客端末101a上に表示される(ステップS304)。商品等選択画面500上には、事業者の提供する商品情報が提示され、顧客がキーボードやマウスのようなポインティングデバイスの入力機器を操作し、商品等選択画面500上から商品の選択や数量等の入力を行うことにより商品の発注をする(ステップS305)。
【0027】
顧客が商品等選択画面500上から商品発注を行うと、事業者サーバ100は商品の発注を受け付るとともに(ステップS326)、顧客端末101aに顧客が利用可能な図5に示すような販売代理店選択画面600を送信する(ステップS327)。
【0028】
ステップS327により送信された販売代理店選択画面600は、顧客端末101aにより受信・表示される(ステップS306)。販売代理店選択画面600に表示される販売代理店は、販売代理店データベース28に基づいて表示されるものである。ここで、販売代理店データベース28は、図5に示すように、販売代理店に関する各種情報から成るデータベースであり、事業者サーバ100内のハードディスク200に記憶保存されている。販売代理店データベース28は、各販売代理店の情報として、販売代理店名、店主の氏名、年齢、性別、住所、郵便番号、電話番号、販売員構成、担当エリア、担当顧客、売上規模、その他様々な情報を入力したものである。特に内容に制限はない。
【0029】
図5に示すように、ステップS306で表示される販売代理店選択画面600は、顧客が任意に選択可能な形で表示されるものであればよく、販売代理店のポータルサイトとして表示してもよい。また、顧客の選択を容易にするために販売代理店名、販売代理店の住所、店舗特徴、販売員構成等の販売代理店情報に基づく並び替え等が可能であることが望ましい。このような、販売代理店の抽出や並び替えは、事業者サーバ100における販売代理店抽出処理部23にて行う。あるいは送信先の顧客端末101aにてアプレットによって行えるようにすることもできる。
【0030】
顧客は、顧客端末101aにステップS306で受信・表示された販売代理店選択画面600からキーボードやマウス等の入力機器を操作することにより、販売代理店を任意に選択する(ステップS307)。この場合、顧客によって行われる販売代理店の選択は、任意であり特に制限はないが、特定の販売代理店が事業者の提供する商品を紹介し誘引した場合などは、その販売代理店を選択することが望ましい。また、顧客の意志で販売代理店を指定させる以外の場合、顧客の住所地に近いこと、顧客の年齢に相応したスタッフが所属していること、顧客の発注した商品を取り扱っていること等の絞り込み条件を提示して顧客に選択させる。あるいは、上記の絞り込み条件で自動的に担当販売代理店候補を抽出して顧客に推薦するようにすることもできる。
【0031】
顧客が販売代理店選択画面600上から販売代理店選択を行うと、事業者サーバは販売代理店選択情報として情報を受け付け、顧客と販売代理店とを関連付け、担当販売代理店として登録を行うとともに(ステップS328,S328’)、顧客端末101aに図6に示すような発注確認画面700を送信する(ステップS329)。ステップS328,S328’で行われる担当販売代理店登録は、顧客の販売代理店選択情報に基づき、事業者サーバ100における顧客・販売代理店関連付け処理部24が行い、関連付けられた顧客と担当販売代理店の情報は、顧客データベース27と販売代理店データベース28に追加登録される。図7に顧客データベース27の登録内容、図8に販売代理店データベース28の登録内容が例示してある。これによれば、「○山一郎」に対して「東京都○区A店」が関連付けられ、「○川花子」には「東京都○区C店」が関連付けられている。
【0032】
ステップS329において事業者サーバ100より送信された発注確認画面700は、顧客端末101aにより受信・表示される(ステップS308)。図6に示すように、ステップS308で表示される発注確認画面700は、顧客が発注内容の確認と確定ができる形式で表示されるものであればよく、商品名、商品の数量、価格、担当販売代理店、発送予定日、選択した販売代理店情報等が顧客に認識可能な状態で表示されている。また、発注内容を確定するためのラジオボタンも用意されている。顧客は発注確認画面700上で商品、数量、発注内容等の確認と確定を行う。発注内容を確定すると、作成した発注情報を事業者サーバ100に送信する(ステップS309)。
【0033】
事業者サーバ100は、顧客端末101aからの発注情報を受信すると、商品の受注処理を行う(ステップS330)。ステップS330で行われる受注処理は、事業者サーバ100における受注処理部25の商品受注処理プログラム等を用いて行うことができる。受注処理を受けた事業者は、配達等の一般的な手段により顧客に商品等の納品を行う。
【0034】
さらに、事業者サーバ100は、顧客の商品等の購入金額と販売代理店実績等に基づいて、顧客と関連付けられた販売代理店へのキャッシュバック金額をキャッシュバック処理部26により算定し、販売代理店データベース28に記憶する(ステップS331)。キャッシュバックの算定基準となる販売代理店実績等は、例えば特定期間における販売代理店の売上等に基づいて決定する。これは、事業者と販売代理店の契約によって自由に定められ、その契約内容に基づく計算式によりキャッシュバック処理部26が算定し、該当販売代理店の情報に追加登録する。また、一定期間内に加算された販売代理店に対するキャッシュバック金額は、定期的に対象となる販売代理店にキャッシュバック処理がなされる。これらの期間は、すべて任意に設定する。キャッシュバックの方法としては、販売代理店の銀行口座への振込み等によって行う。また、キャッシュバックは、金銭以外にも商品券や種々の特典によるもので行うことも可能である。
【0035】
以上、本発明の実施の形態を例示したが、本願発明に係る電子商取引システムにおける事業者サーバは、顧客認証の情報を受け付ける認証部を顧客の端末装置に表示して顧客の認証を行う顧客認証手段と、認証された顧客の顧客情報登録手段と、提供する商品の情報登録手段と、提供商品の情報を顧客端末装置に表示する表示手段と、販売代理店の情報登録手段と、顧客により選択された提供商品の発注の受付を行う際に販売代理店情報を顧客が任意に選択可能な状態で表示する表示手段と、顧客により選択された販売代理店と顧客とを関連付けて顧客情報と販売店情報に新たに追加する担当販売代理店追加手段と、提供商品の受注処理手段とを少なくとも具備していればよく、受注処理がなされた場合には担当販売代理店に対して、購入金額と販売代理店実績に基づいたキャッシュバック金額を算定するキャッシュバック金額算定手段と、算定されたキャッシュバック金額を登録するキャッシュバック金額登録手段とをさらに具備していてもよい。
【0036】
事業者サーバは、商品を提供する事業者と事業者が提供する商品の販売を行う販売代理店と商品の提供を受ける顧客の3者によって行われる商取引形態において、顧客から発注された商品の受注及び納品は事業者が顧客に対して直接行うことを可能にするとともに、顧客を紹介した販売代理店若しくは顧客が任意に選択した販売代理店を顧客に対する担当販売代理店として関連付けることにより、担当販売代理店での顧客管理並びに担当販売代理店に対して顧客が購入した商品の購入金額に応じたキャッシュバックを可能とする。担当販売代理店は、上位階層者としてさらに上位販売代理店を有している場合もあり、上位者となる特定の販売代理店にも顧客の商品購入金額や自己の販売実績等に基づくキャッシュバック等の特典を上記と同様の手段により付与することもできる。また、担当販売代理店との取引を希望しない顧客は、上記と同様の手段により事業者から直接商品等の購入を行うこともできる。この場合には、事業者が担当販売代理店としての役割を果たすため、キャッシュバックの必要はない。
【0037】
また、本発明に係る電子商取引方法は、事業者サーバにおいて、顧客認証手段により顧客認証を行う顧客認証ステップと、顧客登録手段により顧客登録を行う顧客登録ステップと、提供商品の情報登録手段に登録されている提供商品の情報を顧客端末装置に表示する表示手段により表示するステップと、販売代理店の情報登録手段に登録されている販売代理店情報を顧客端末装置に表示する表示手段により表示するステップと、顧客により選択された販売代理店と顧客とを関連付けて記憶するステップと、提供商品の発注を受け付ける手段により商品の受注を行うステップとを有する電子商取引方法であればよく、さらに顧客の購入金額と販売代理店実績に基づいてキャッシュバック金額を算出する手段によりキャッシュバック金額を算出するステップと、算出されたキャッシュバック金額をキャッシュバック金額登録手段に登録するステップとを有していてもよい。なお、各ステップの順序は、本発明の実施の形態を例示したものに過ぎず、特に順序を定めたものではない。
【0038】
商品を提供する事業者と事業者が提供する商品の販売を行う販売代理店と商品の提供を受ける顧客の3者によって行われる商取引形態に、上記の電子商取引方法を導入することにより、顧客から発注された商品の受注及び納品は事業者が顧客に対して直接行うことが可能になるとともに、顧客を紹介した販売代理店若しくは顧客が任意に選択した販売代理店を顧客に対する担当販売代理店として関連付けることにより、担当販売代理店での顧客管理や担当販売代理店に対して顧客が購入した商品の購入金額に応じたキャッシュバックを容易に行うことが可能となる。担当販売代理店は、上位階層者としてさらに上位販売代理店を有している場合もあり、上位者となる特定の販売代理店にも顧客の商品購入金額や自己の販売実績等に基づくキャッシュバック等の特典を上記と同様の方法により付与することもできる。また、担当販売代理店との取引を希望しない顧客は、上記と同様の方法により事業者から直接商品等の購入を行うこともできる。この場合には、事業者が担当販売代理店としての役割を果たすため、キャッシュバックの必要はない。
【符号の説明】
【0039】
21 メイン制御部
22 顧客登録処理部
23 販売代理店抽出処理部
24 顧客・販売代理店関連付け処理部
25 受注処理部
26 キャッシュバック処理部
27 顧客データベース
28 販売代理店データベース
29 商品データベース
31 顧客情報管理部
32 販売代理店情報管理部
33 商品情報管理部
35 通信制御部
36 入出力制御部
100 事業者サーバ
101a,101b,… 顧客端末
102a,102b,… 代理店端末
200 ネットワーク
300,301,302 通信制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の端末装置及び販売代理店の端末装置と電気通信回線によるネットワークを通じて接続可能な事業者サーバによって行われる電子商取引を支援する電子商取引システムであって、
前記事業者サーバは、
提供する複数の在庫管理が必要な商品の情報を登録する商品情報登録手段と、
複数の販売代理店の情報を登録する代理店情報登録手段と、
複数の顧客情報を登録する顧客情報登録手段と、
顧客認証の情報を受け付ける認証画面を前記顧客の端末装置に表示させ、当該認証画面に対して入力された顧客情報を受信して顧客認証処理を実行し、前記顧客情報登録手段に登録させる顧客認証手段と、
前記商品情報登録手段に登録されている提供商品の情報を前記顧客端末装置に送信して表示させる商品情報提示手段と、
顧客により前記端末装置を通じて選択された提供商品の発注の受付処理を実行する発注受付処理手段と、
前記発注受付処理手段が前記発注の受付を実行する際に、前記代理店情報登録手段に登録されている複数の販売代理店の販売代理店情報を、前記顧客の端末装置に送信して顧客が選択可能な状態で表示させる代理店情報提示手段と、
前記顧客により前記端末装置を通じて選択された販売代理店を識別し、当該販売代理店の情報と前記顧客の情報とを関連付け、前記顧客情報登録手段に登録されている該当顧客情報に、選択された販売代理店を担当販売代理店として追加登録し、前記代理店情報登録手段に登録されている該当販売代理店情報に、前記顧客を担当顧客として追加登録する担当販売代理店情報追加手段と、
前記顧客端末からの発注内容を確定した発注情報を受信すると、事業者が前記顧客に当該発注を受けた商品を直接納品するための受注処理を実行する受注処理手段と、
前記受注処理がなされた場合、前記担当販売代理店情報追加手段により、前記顧客に関連付けられた担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して、前記顧客が購入した前記商品の購入金額に応じたキャッシュバック金額を算定し、当該キャッシュバック金額を前記代理店情報登録手段の販売代理店情報に追加登録するキャッシュバック処理手段と、
を具備したことを特徴とする電子商取引システム。
【請求項2】
顧客の端末装置及び販売代理店の端末装置と電気通信回線によるネットワークを通じて接続し、電子商取引を実行する事業者サーバであって、
提供する複数の在庫管理が必要な商品の情報を登録する商品情報登録手段と、
複数の販売代理店の情報を登録する代理店情報登録手段と、
複数の顧客情報を登録する顧客情報登録手段と、
顧客認証の情報を受け付ける認証画面を前記顧客の端末装置に表示させ、当該認証画面に対して入力された顧客情報を受信して顧客認証処理を実行し、前記顧客情報登録手段に登録させる顧客認証手段と、
前記商品情報登録手段に登録されている提供商品の情報を前記顧客端末装置に送信して表示させる商品情報提示手段と、
顧客により前記端末装置を通じて選択された提供商品の発注の受付処理を実行する発注受付処理手段と、
前記発注受付処理手段が前記発注の受付を実行する際に、前記代理店情報登録手段に登録されている複数の販売代理店の販売代理店情報を、前記顧客の端末装置に送信して顧客が選択可能な状態で表示させる代理店情報提示手段と、
前記顧客により前記端末装置を通じて選択された販売代理店を識別し、当該販売代理店の情報と前記顧客の情報とを関連付け、前記顧客情報登録手段に登録されている該当顧客情報に、選択された販売代理店を担当販売代理店として追加登録し、前記代理店情報登録手段に登録されている該当販売代理店情報に、前記顧客を担当顧客として追加登録する担当販売代理店情報追加手段と、
前記顧客端末からの発注内容を確定した発注情報を受信すると、事業者が前記顧客に当該発注を受けた商品を直接納品するための受注処理を実行する受注処理手段と、
前記受注処理がなされた場合、前記担当販売代理店情報追加手段により、前記顧客に関連付けられた担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して、前記顧客が購入した前記商品の購入金額に応じたキャッシュバック金額を算定し、当該キャッシュバック金額を前記代理店情報登録手段の販売代理店情報に追加登録するキャッシュバック処理手段と、
を具備したことを特徴とする事業者サーバ。
【請求項3】
コンピュータにインストールすることによって、顧客の端末装置及び販売代理店の端末装置と電気通信回線によるネットワークを通じて接続して当該コンピュータを電子商取引を実行する事業者サーバとして動作させる電子商取引プログラムであって、
提供する複数の在庫管理が必要な商品の情報を商品情報登録手段に登録する処理と、
複数の販売代理店の情報を代理店情報登録手段に登録する処理と、
任意の顧客から端末装置を通じたアクセスを受け付ける処理と、
顧客認証の情報を受け付ける認証画面を前記顧客の端末装置に表示させ、当該認証画面に対して入力された顧客情報を受信して顧客認証処理を実行し、顧客情報登録手段に登録する処理と、
前記商品情報登録手段に登録されている提供商品の情報を前記顧客の端末装置に送信して表示させる処理と、
前記顧客により前記端末装置を通じて選択された提供商品の発注を受け付ける処理と、
前記発注の受付を実行する際に、前記代理店情報登録手段に登録されている複数の販売代理店の販売代理店情報を、前記顧客の端末装置に送信して顧客が選択可能な状態で表示させる処理と、
前記顧客により前記端末装置を通じて選択された販売代理店を識別し、当該販売代理店の情報と前記顧客の情報とを関連付け、前記顧客情報登録手段に登録されている該当顧客情報に、選択された販売代理店を担当販売代理店として追加登録し、前記代理店情報登録手段に登録されている該当販売代理店情報に、前記顧客を担当顧客として追加登録する担当販売代理店情報追加処理と、
前記顧客端末からの発注内容を確定した発注情報を受信すると、事業者が前記顧客に当該発注を受けた商品を直接納品するための受注処理と、
前記受注処理がなされた場合、前記担当販売代理店情報追加処理により、前記顧客に関連付けられた担当販売代理店及び当該担当販売代理店の上位階層者である販売代理店に対して、前記顧客が購入した前記商品の購入金額に応じたキャッシュバック金額を算定し、当該キャッシュバック金額を前記代理店情報登録手段の販売代理店情報に追加登録するキャッシュバック処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする電子商取引プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−283018(P2009−283018A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204532(P2009−204532)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【分割の表示】特願2005−255431(P2005−255431)の分割
【原出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)