説明

電子回路基板、その製造方法及びプリント基板

【課題】下面電極パッドを下面電極ランドに接続するハンダ中に発生するボイドの発生を抑制する。
【解決手段】下面12aに周辺電極パッド20と下面電極パッド22を備えた電子部品12と、周辺電極パッドに第1ハンダ28で接続された周辺電極ランド24、及び下面電極パッドに第2ハンダ30で接続された下面電極ランド26を、上面14aに有するプリント基板14と、周辺電極パッド、周辺電極ランド、第1ハンダ、フラックス16、プリント基板の上面、及び電子部品の下面で囲まれた密閉空間18とを備え、プリント基板の下面電極ランドに、下面電極ランド及びプリント基板を貫通し、かつ、内壁面32aに金属膜が非形成のスルーホール32を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリント基板上に電子部品が実装された電子回路基板、その製造方法及びプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板上に電子部品が実装された電子回路基板の製造に当たっては、典型的には以下のような工程が実施される。
【0003】
(1)印刷工程:プリント基板の上面に設けられた周辺電極ランドに、ハンダ粒子とフラックスとが混練されたソルダーペースト(ハンダペースト)を印刷する。
【0004】
(2)搭載工程:下面の周辺部に周辺電極パッドが設けられた電子部品を、プリント基板の周辺電極ランドに周辺電極パッドの位置を合わせて搭載する。
【0005】
(3)予備加熱工程:予備加熱を行い、基板を均一に加熱する。この際、ソルダーペースト中のフラックスに由来する有機成分の一部を揮発させて取り除く。残りのフラックスの一部はソルダーペーストの印刷領域の周辺に流れ出す。
【0006】
(4)リフロー加熱工程:予備加熱よりも高温の温度でのリフロー加熱によりハンダを溶融し、電子部品の周辺電極パッドとプリント基板の周辺電極ランドとをハンダ付けする。
【0007】
しかしながら、この方法では、(3)の予備加熱や、(4)のリフロー加熱時に発生するフラックス由来の有機成分ガスがハンダ中に残留し、ボイド(泡)が形成されることがあった。ボイドは周辺電極パッド及び周辺電極ランド間の電気的な導通不良の原因となるため好ましくない。
【0008】
有機成分ガス由来のボイドは、周辺電極パッドに囲まれるように電子部品の下面に下面電極パッドを有するQFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)等のパッケージをプリント基板の周辺電極ランド及び周辺電極ランドに囲まれるように設けられた下面電極ランドに固定する際に特に問題となる。
【0009】
以下、図10及び11を参照して、この点について詳述する。図10(A)は、上述の搭載工程(2)における電子部品とプリント基板の配置状態を模式的に示す平面図である。図10(B)は、図10(A)のA−A線に沿って切断した切断端面図である。図11(A)は、上述の予備加熱工程(3)における電子部品とプリント基板との配置状態を模式的に示す平面図である。図11(B)は、図11(A)のA−Aに沿って切断した切断端面図である。
【0010】
図10(A)及び(B)を参照すると、電子部品100は、下面100aの周辺部に複数の周辺電極パッド102,102,・・・を有し、及び、周辺電極パッド102,102,・・・に囲まれて下面100aに設けられた下面電極パッド104を備えている。
【0011】
また、プリント基板120は、周辺電極パッド102,102,・・・に対応する位置に設けられた周辺電極ランド122,122,・・・と、下面電極パッド104に対応する位置に設けられた下面電極ランド124とを上面120aに備えている。
【0012】
周辺電極パッド102,102,・・・と周辺電極ランド122,122,・・・との間には印刷された第1ソルダーペースト140が介在している。同様に、下面電極パッド104と下面電極ランド124との間には第2ソルダーペースト142が介在している。
【0013】
図11(A)及び(B)に示した予備加熱工程において、第1及び第2ソルダーペースト140及び142中のフラックスは、有機成分ガスを発生しながら流動する。その結果、互いに隣接する周辺電極パッド102同士及び周辺電極ランド122同士の間の空間は、流動したフラックス108により隙間なく埋め込まれる。つまり、予備加熱工程により、周辺電極パッド102,102,・・・、周辺電極ランド122,122,・・・、フラックス108、プリント基板120の上面120a、及び電子部品100の下面100aで囲まれた密閉空間106が形成される。従って、下面電極パッド104、下面電極ランド124、及び第2ソルダーペースト142は、この密閉空間106に閉じ込められる。
【0014】
その結果、密閉空間106内に存在する第2ソルダーペースト142から発生する有機成分ガスは、密閉空間の外に逃げることができなくなってしまい、図11(A)に示すように、ボイド108として下面電極パッド104と下面電極ランド124との間のハンダに残留してしまう。
【0015】
この問題を解決するために、下面電極パッド及び下面電極ランドを互いに間隙で隔てられた複数の区画に分割し、(3)及び(4)の工程で発生する有機成分ガスを上述の間隙を介して外界へと逃がす技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2006−303173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、下面電極パッド及び下面電極ランドの形状を予め定められた規格から変更しなければならないために、汎用品に適用することが難しいという問題点がある。また、下面電極は、電子部品の放熱のためにも用いられるが、下面電極パッド及び下面電極ランドを、間隙を挟んで分割すると、下面電極パッドと下面電極ランドとの接触面積が減少し、熱伝導効率が低下する。
【0018】
この発明は、これらの問題点に鑑みなされたものである。従ってこの発明の目的は、周辺電極パッドで囲まれた下面電極パッドを有する電子部品を、ソルダーペーストを用いてプリント基板の周辺電極ランド及び下面電極ランドにそれぞれ実装するにあたり、下面電極パッドを下面電極ランドに接続するハンダ中に発生するボイドの発生を抑制するための電子回路基板、その製造方法及びプリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的の達成を図るために、この発明の、第1の電子回路基板は、下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、周辺電極パッドに囲まれて下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品と、周辺電極パッドに第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続された複数の周辺電極ランド、及び下面電極パッドに第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続された下面電極ランドを、上面に有するプリント基板と、隣り合った周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、プリント基板の上面、並びに電子部品の下面で囲まれた空間に満たされた第1ソルダーペースト由来のフラックスとを備え、さらに、周辺電極パッド、周辺電極ランド、第1ハンダ、フラックス、プリント基板の上面、及び電子部品の下面で囲まれた密閉空間が形成されている。
【0020】
そして、内壁面が非金属膜面で形成されているスルーホールが下面電極ランド及びプリント基板を貫通して形成されている。
【0021】
また、この発明の第1の電子回路基板の製造方法は、上述した第1の電子回路基板を作成するに当たり、内壁面が非金属膜面で形成されているスルーホールが下面電極ランド及びプリント基板を貫通して形成されているプリント基板を用いる。
【0022】
また、この発明の第1のプリント基板は、下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、周辺電極パッドに囲まれて下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品の周辺電極パッドが第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続される複数の周辺電極ランドと、下面電極パッドが第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続される下面電極ランドとを、上面に備えていて、内壁面が非金属膜面で形成されているスルーホールが下面電極ランド及びプリント基板を貫通して形成されている。
【0023】
この発明の第2の電子回路基板は、第1の電子回路基板と同様の電子部品と、プリント基板と、フラックスとを備えていて、密閉空間が形成され、プリント基板の周辺部に対応する上面に、密閉空間と外界とで気体の流通が可能な連通部が形成されたスペーサが設けられている。
【0024】
この発明の第2の電子回路基板の製造方法は、第1の電子回路基板と同様の電子部品と、プリント基板と、フラックスとを備え、密閉空間が形成された電子回路基板を製造するに当たり、プリント基板の周辺部に対応する上面に、密閉空間と外界とで気体の流通が可能な連通部が形成されたスペーサを設ける。
【0025】
この発明の第2のプリント基板は、下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品の周辺電極パッドが第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続される複数の周辺電極ランドと、下面電極パッドが第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続される下面電極ランドとを、上面に備えていて、電子部品が実装された際に、隣り合った周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、プリント基板の上面、並びに電子部品の下面で囲まれた空間が第1ソルダーペースト由来のフラックスにより満たされるとともに、周辺電極パッド、周辺電極ランド、第1ハンダ、フラックス、プリント基板の上面、及び電子部品の下面で囲まれた密閉空間が形成され、周辺部に対応する上面に、密閉空間と外界とで気体の流通が可能な連通部が形成されたスペーサを設ける。
【0026】
この発明の第3のプリント基板は、第2のプリント基板と同様の周辺電極ランドと下面電極ランドとを備えていて、電子部品が実装された際に、第2のプリント基板と同様の密閉空間が形成され、周辺部に対応する上面に、第1及び第2ソルダーペーストの上面に垂直に測った厚みと同等の厚みを有するハンダからなるハンダスペーサを設ける。
【0027】
この発明の第3の電子回路基板の製造方法は、第1の電子回路基板と同様の電子部品と、プリント基板と、フラックスとを備え、密閉空間が形成された電子回路基板を製造するに当たり、周辺部に対応する上面に、第1及び第2ソルダーペーストの上面に垂直に測った厚みと同等の厚みを有するハンダからなるハンダスペーサを設ける。
【発明の効果】
【0028】
この発明の電子回路基板、その製造方法及びプリント基板は、上述のように構成されているので、周辺電極パッドで囲まれた下面電極パッドを有する電子部品を、電子ソルダーペーストを用いてプリント基板の周辺電極ランド及び下面電極ランドにそれぞれ実装するにあたり、下面電極パッドを下面電極ランドに接続するハンダ中に発生するボイドの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(A)は実施の形態1の電子回路基板の模式的な平面図であり、(B)は、(A)のA−A線に沿って切断した切断端面図であり、及び(C)は、(A)のB−B線に沿って切断した切断端面図である。
【図2】(A)は、実施の形態1の電子回路基板の製造方法において、印刷工程におけるプリント基板の配置状態を模式的に示す平面図であり、(B)は(A)のA−A切断端面図であり、(C)は、搭載工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、及び(D)は(C)のA−A切断端面図である。
【図3】(A)は、実施の形態1の電子回路基板の製造方法において、予備加熱工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、(B)は(A)のA−A切断端面図であり、(C)は、リフロー加熱工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、及び(D)は(C)のA−A切断端面図である。
【図4】(A)は、実施の形態2の電子回路基板の模式的な平面図であり、(B)は、(A)のA−A線に沿って切断した切断端面図であり、及び(C)は、スペーサの斜視図である。
【図5】(A)は、実施の形態2の電子回路基板の製造方法において、搭載工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、(B)は、(A)をA−A線で切断した切断端面図である。
【図6】(A)は、実施の形態2の電子回路基板の製造方法において、予備加熱工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、(B)は、(A)をA−A線で切断した切断端面図であり、(C)は、リフロー加熱工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、及び(D)は、(C)をA−A線で切断した切断端面図である。
【図7】(A)は、実施の形態3のプリント基板の構造を概略的に示す平面図であり、(B)は、(A)をA−A線で切断した切断端面図である。
【図8】(A)は、実施の形態3の電子回路基板の製造方法において、搭載工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、(B)は、(A)をA−A線で切断した切断端面図である。
【図9】(A)は、実施の形態3の電子回路基板の製造方法において、予備加熱工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、(B)は、(A)をA−A線で切断した切断端面図であり、(C)は、リフロー加熱工程におけるプリント基板と電子部品の配置状態を模式的に示す平面図であり、及び(D)は、(C)をA−A線で切断した切断端面図である。
【図10】従来技術の説明に供する図である。
【図11】従来技術の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明の実施の形態が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の実施形態の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
【0031】
<実施の形態1>
図1〜図3を参照して、実施の形態1の電子回路基板、電子回路基板の製造方法及びプリント基板について説明する。
【0032】
(電子回路基板)
図1(A)は、実施の形態1の電子回路基板の模式的な平面図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線に沿って切断した切断端面図である。図1(C)は、図1(A)のB−B線に沿って切断した切断端面図である。
【0033】
図1(A)〜(C)を参照すると、電子回路基板10は、電子部品12と、プリント基板14と、フラックス16とから構成されていて、密閉空間18が形成されている。
【0034】
電子部品12は、ICチップ等を樹脂でモールドした表面実装型のパッケージであり、図1(A)に示す例では、略矩形板状である。電子部品12は、複数の周辺電極パッド20,20,・・・と下面電極パッド22とを備えている。
【0035】
周辺電極パッド20,20,・・・は、電子部品12の周辺部に延在する金属製のいわゆるリード(端子)である。周辺電極パッド20,20,・・・は、電子部品の下面12aの周辺部に互いに一定の間隔を空けて配置されている。周辺電極パッド20,20,・・・は、プリント基板14の周辺電極ランド24,24,・・・に、後述する第1ソルダーペースト38(図2(C)参照)由来の第1ハンダ28により電気的に接続されている。
【0036】
下面電極パッド22は、周辺電極パッド20,20,・・・に囲まれて電子部品12の下面12aに設けられた、例えば矩形板状の金属板からなる端子である。下面電極パッド22は、プリント基板14の下面電極ランド26に、後述する第2ソルダーペースト40(図2(C)参照)由来の第2ハンダ30により電気的に接続されている。
【0037】
プリント基板14は、集積回路、抵抗器、コンデンサー等の多数の電子部品を表面に固定し、その部品間を配線で接続することで電子回路を構成する板状の部品であり、絶縁性の樹脂を含浸した基板の表面に、銅箔など導電体で回路配線を形成したものである。プリント基板14は、複数の周辺電極ランド24,24,・・・と、下面電極ランド26とを備えていて、スルーホール32,32の下側部分に相当する基板スルーホールが形成されている。
【0038】
周辺電極ランド24,24,・・・は、プリント基板14の上面14aにおいて、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・に1対1で対応する位置に形成された、例えば銅等の金属製の電極である。周辺電極ランド24,24,・・・には、周辺電極パッド20,20,・・・が後述する第1ソルダーペースト38(図2(C)参照)由来の第1ハンダ28により電気的に接続されている。
【0039】
下面電極ランド26は、プリント基板14の上面14aにおいて、電子部品12の下面電極パッド22に対応する位置に形成された、例えば銅等の金属製の電極である。下面電極ランド26には、下面電極パッド22が後述する第2ソルダーペースト40(図2(C)参照)由来の第2ハンダ30により電気的に接続されている。
【0040】
スルーホール32,32の上側部分は、下面電極ランド26に形成されていて、スルーホール32,32の全体で、下面電極ランド26とプリント基板14を貫通する貫通孔を形成しており、この実施の形態に示す例では、互いに隣接して2個設けられている。より詳細には、スルーホール32,32は、下面電極ランド26及びプリント基板14を厚み方向に貫通し、プリント基板の上面14aと下面14bとの間で気体を流通可能にする。スルーホール32,32の内壁面32aには、ハンダ付着によるスルーホール32,32の目詰まりを防止するために、金属膜が形成されていない。つまり、スルーホール32,32の内壁面32aは非金属膜面である。スルーホール32,32の直径は、気体の流通を阻害しないだけの大きさとすることが好ましい。より具体的には、スルーホールの直径は0.6mm〜1.2mmの間の大きさから、設計に応じた好適な値を選択することができる。
【0041】
図1(C)を参照すると、フラックス16は、後述する予備加熱工程により流動した第1ソルダーペースト38由来のフラックス成分の中で、間隙Sに位置するものである。ここで、間隙Sとは、隣り合った周辺電極パッド20A及び20B、周辺電極ランド24A及び24B、プリント基板14の上面14a、及び電子部品12の下面12aに囲まれた空間のことを示す。フラックス16は、この間隙Sを満たして、つまり隙間なく充填している。その結果、間隙Sを挟んで電子部品12の内側の空間と外側の空間とで、気体の流通は実質的に遮断される。
【0042】
再び、図1(A)及び(B)を参照すると、密閉空間18は、周辺電極パッド20,20,・・・、周辺電極ランド24,24,・・・、第1ハンダ28、フラックス16、プリント基板14の上面14a及び電子部品12の下面12aで囲まれた空間である。密閉空間18は、スルーホール32,32を除いて密閉されており、密閉空間18の内部と外界とで気体が流通することはできない。ここで、「外界」とは、密閉空間18を形成している囲いの外側の空間のことを示す。
【0043】
このように、この実施の形態の電子回路基板10は、プリント基板14として、下面電極ランド26に、下面電極ランド26及びプリント基板14を貫通し、かつ、内壁面32aが非金属膜面のスルーホール32,32が形成されているプリント基板14を用いている。その結果、電子回路基板10の製造工程において、密閉空間18内に残留するフラックスから発生する有機成分ガスは、下面電極ランド26と下面電極パッド22との間の第2ソルダーペースト40中を拡散し、スルーホール32,32を介して、外界へと放出させることができる。よって、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できるという作用効果を奏する。
【0044】
(製造方法)
以下、電子回路基板10の製造方法について、電子回路基板10の作用効果と併せて、図面を参照しながら詳述する。
【0045】
電子回路基板10は、背景技術の項で説明したと同様に、印刷工程→搭載工程→予備加熱工程→リフロー加熱工程を経て製造される。
【0046】
図2(A)は、印刷工程におけるプリント基板14の配置状態を模式的に示す平面図である。図2(B)は、図2(A)をA−A線で切断した切断端面図である。図2(C)は、搭載工程におけるプリント基板14と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図2(D)は、図2(C)をA−A線で切断した切断端面図である。図3(A)は、予備加熱工程におけるプリント基板14と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図3(B)は、図3(A)をA−A線で切断した切断端面図である。図3(C)は、リフロー加熱工程におけるプリント基板14と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図3(D)は、図3(C)をA−A線で切断した切断端面図である。なお、図2(A)〜(D)及び図3(A)〜(D)において、図1(A)〜(C)と同様の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0047】
(印刷工程)
図2(A)及び(B)を参照して、印刷工程について説明する。
【0048】
印刷工程においては、プリント基板14に形成された回路パターンの所定の領域に、ハンダ粒子とフラックス成分とが混合されたソルダーペーストが印刷される。より詳細には、従来公知のスクリーン印刷法により、ソルダーペーストがプリント基板14に、好ましくは、例えば約200μmの厚みで印刷される。
【0049】
ここで、プリント基板14に印刷されたソルダーペーストをその印刷領域により、便宜的に第1ソルダーペースト38及び第2ソルダーペースト40と区別して表わすこととする。つまり、第1ソルダーペースト38,38,・・・は、プリント基板14の周辺電極ランド24,24,・・・の上面に印刷されたソルダーペーストとする。第2ソルダーペースト40は、プリント基板14の下面電極ランド26の上面に印刷されたソルダーペーストとする。なお、第1及び第2ソルダーペースト38及び40を総称する場合は、単にソルダーペーストと称する。
【0050】
(搭載工程)
図2(C)及び(D)を参照して、搭載工程について説明する。
【0051】
続いて、ソルダーペーストが印刷されたプリント基板14に、電子部品12を位置合わせして搭載する。より詳細には、第1ソルダーペースト38,38,・・・上に、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・が位置合わせされて搭載される。同様に、第2ソルダーペースト40上に、電子部品12の下面電極パッド22が位置合わせされて搭載される。
【0052】
(予備加熱工程)
続いて、図3(A)及び(B)を参照して、予備加熱工程について説明する。
【0053】
予備加熱工程において、電子部品12とプリント基板14とは、ソルダーペースト中のフラックス成分が融解する温度、好ましくは、例えば100〜150℃の温度まで加熱される。ところで、ソルダーペーストを構成するハンダ粒子とフラックス成分とでは、融解温度が異なっており、ハンダ粒子の融解温度がフラックス成分の融解温度よりも高温である。そのため、予備加熱工程での加熱により、ソルダーペーストでは、フラックス成分のみが有機成分ガスを発生しながら融解して流動する。一方、ソルダーペースト中のハンダ粒子は融解することなく印刷工程において印刷された位置に止まる。
【0054】
以降、第1ソルダーペースト38,38,・・・由来の流動したフラックス成分を第1フラックス42,42,・・・と称する。同様に、第2ソルダーペースト40由来の流動したフラックス成分を第2フラックス44と称する。
【0055】
予備加熱工程は、第1フラックス42による間隙Sの充填状況に応じて、流動初期段階と流動後期段階とに分類することができる。
【0056】
流動初期段階は、予備加熱の初期に対応しており、典型的には図3(A)に示すように、第1フラックス42,42,・・・が間隙Sを完全には密閉していない段階である。つまり、流動初期段階では、間隙Sには隙間Dが空いており、隙間Dの両側で気体が流通することができる。その結果、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、この隙間Dを介して、外界へと放出される。従って、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間に、有機成分ガス由来のボイドが発生することはない。
【0057】
流動後期段階は、予備加熱の後期に対応しており、典型的には図3(C)に示すように、第1フラックス42,42,・・・が間隙Sを完全に密閉した後の段階、つまり、密閉空間18が形成された後の段階である。つまり、流動後期段階では、間隙Sは、第1フラックス42,42,・・・で完全に充填される(満たされる)。結果として、間隙Sに流動した第1フラックス42,42,・・・により、間隙Sを完全に充填するフラックス16が形成され、密閉空間18が完成する。
【0058】
流動後期段階においては、密閉空間18内に延在する第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、間隙Sから逃げることができない。しかし、プリント基板14には、密閉空間18と外界とを連通するスルーホール32,32が形成されているので、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、このスルーホール32,32を介して外界へと放出される。従って、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間に、有機成分ガス由来のボイドが発生することはない。
【0059】
(リフロー加熱工程)
続いて、図3(C)及び(D)を参照して、リフロー加熱工程について説明する。
【0060】
リフロー加熱工程において、電子部品12とプリント基板14とは、ソルダーペースト中のハンダ粒子が融解する温度、好ましくは、例えば200〜220℃の温度まで加熱される。その結果、周辺電極ランド24,24,・・・及び周辺電極パッド20,20,・・・の間に介在する第1ソルダーペースト38,38,・・・中のハンダ粒子が溶融して第1ハンダ28となり、周辺電極ランド24,24,・・・及び周辺電極パッド20,20,・・・を電気的及び機械的に接続する。
【0061】
同様に、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ソルダーペースト40中のハンダ粒子が融解して第2ハンダ30となり、下面電極ランド26及び下面電極パッド22を電気的及び機械的に接続する。なお、スルーホール32,32の内壁面は金属膜で被覆されていない、つまり、金属膜が非形成の面であるので、第2ハンダ30は、スルーホール32,32中に侵入することはない。
【0062】
ソルダーペーストのフラックスに由来する有機成分ガスは、ほとんどが予備加熱工程で放出される。しかし、予備加熱工程よりも少量ではあるが、リフロー加熱工程においてもフラックスから有機成分ガスが放出される。リフロー加熱工程において、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、ハンダ粒子が完全に融解する前、つまり、ハンダ粒子間に隙間がある間に、この隙間を通って、プリント基板14に設けられたスルーホール32,32から外界へと放出される。また、ハンダ粒子が完全に溶解した後は、有機成分ガスは、溶解したハンダ中を拡散し、やはりスルーホール32,32から外界へと放出される。これらの結果、リフロー加熱工程において、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間の第2ハンダ30中における有機成分ガス由来のボイドの発生を抑制できる。
【0063】
このように、この実施の形態の電子回路基板10の製造方法では、プリント基板14として、下面電極ランド26及びプリント基板14を貫通し、かつ、スルーホール32,32の内壁面32aに金属膜が非形成の当該スルーホール32,32を有するものを用いている。その結果、電子回路基板10の製造工程において、密閉空間18内に残留するフラックスから発生する有機成分ガスを、スルーホール32,32を介して、外界へと放出させることができる。よって、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できる。
【0064】
また、スルーホール32,32として、内壁面が非金属膜面であるものを用いている。その結果、第2ハンダ30のスルーホール32,32への侵入を防止することができる。これにより、リフロー加熱工程で第2フラックス44から発生する有機成分ガスを、スルーホール32,32からより効率的に外界へと放出することができ、結果として、第2ハンダ30中におけるボイドの発生をより一層抑制できる。
【0065】
発明者らは、(1)内壁面に金属膜を形成した結果、ハンダで埋め込まれたスルーホールを有する電子回路基板(以下、比較基板と称する。)と、(2)この実施形態のスルーホール32を有する電子回路基板10とで、第2ハンダ30中に残留するボイドの数をX線透過法で評価した。その結果、内壁面に金属膜が非形成のスルーホール32を有するこの実施の形態の電子回路基板10におけるボイドの数は、比較基板の50%以下の個数であった。
【0066】
(プリント基板)
続いて、図1(A)を参照して、実施の形態1のプリント基板14について説明する。
【0067】
実施の形態1のプリント基板14は、下面12aの周辺部に複数の周辺電極パッド20,20,・・・を有し、及び、周辺電極パッド20,20,・・・に囲まれて下面12aに設けられた下面電極パッド22を備えた電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・が第1ソルダーペースト38由来の第1ハンダ28で接続される周辺電極ランド24,24,・・・と、下面電極パッド22が第2ソルダーペースト40由来の第2ハンダ30で接続される下面電極ランド26とを、上面14aに備えていて、プリント基板12の下面電極ランド26及びプリント基板12を貫通し、かつ、内壁面32aが非金属膜面とされているスルーホール32,32が形成されている。その結果、上述した理由により、電子回路基板10の製造工程において、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できる。
【0068】
<実施の形態2>
続いて、図4〜図6を参照して、実施の形態2の電子回路基板、電子回路基板の製造方法及びプリント基板について説明する。
【0069】
(電子回路基板)
図4(A)は、実施の形態2の電子回路基板の模式的な平面図である。図4(B)は、図4(A)のA−A線に沿って切断した切断端面図である。図4(C)は、スペーサ52の斜視図である。なお、図4(A)及び(B)において、図1(A)及び(B)と同様の構成要素には同符号を付し、その説明を省略することがある。
【0070】
図4(A)及び(B)を参照すると、実施の形態2の電子回路基板50は、(1)プリント基板54にスペーサ52が設けられている点、及び(2)プリント基板54にスルーホール32,32が設けられていない点が実施の形態1の電子回路基板10と異なっているのみである。従って、以下の記述では、主にこの相違点について説明する。
【0071】
電子回路基板50は、電子部品12と、プリント基板54と、フラックス56と、スペーサ52とから構成されていて、密閉空間18が形成されている。
【0072】
プリント基板54は、周辺電極ランド24,24,・・・と、下面電極ランド26と、スペーサ52とを備えている。
【0073】
図4(C)を参照すると、スペーサ52には、密閉空間18と外界とで気体の流通を可能とする連通部すなわちスリット52aが形成されている。スペーサ52は、プリント基板54に搭載される電子部品12の周辺部に対応するプリント基板54の上面54aに設けられている。この実施の形態に示す例では、スペーサ52は、スリット52aが形成された略正方形の板状の部品である。スペーサ52は、電子部品12の下面12aと、プリント基板54の上面54aとの間に介在するように、上面54aに接着剤等で固定されている。スペーサ52は、絶縁体、例えば、エポキシ樹脂等の耐熱性樹脂やセラミックスで形成されている。
【0074】
スペーサ52の、上面54aに垂直な方向に測った長さ、すなわち厚みは、後述する印刷工程で周辺電極ランド24,24,・・・及び下面電極ランド26に印刷されるソルダーペーストの厚み(〜200μm)よりも小さい値とする。この実施の形態に示す例では、スペーサ52の厚みは、約150μmとする。スペーサ52の厚みを上述のような値とすることにより、スペーサ52は、後述するリフロー加熱工程における電子部品12とプリント基板54とのハンダ付けを阻害することがない。
【0075】
スペーサ52は、この実施の形態に示す例では、矩形状の電子部品12の4個の角部に対応する領域に、周囲の周辺電極パッド20,20,・・・と干渉しないように配置されている。より詳細には、スペーサ52は、電子部品12の4個の角部に一部領域がオーバーラップするように配置されている。スペーサ52の配置位置は、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・と干渉しないことを条件として、設計に応じて任意好適に選択することができる。この実施の形態の場合には、電子部品12の角部に周辺電極パッド20,20,・・・が設けられていないことから、スペーサ52を電子部品12の角部に対応する位置に配置している。
【0076】
スペーサ52の大きさ、すなわち、上面54aに平行な方向の一辺の長さは、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・と干渉しない大きさであることを条件として、設計に応じて任意好適な大きさを選択することができる。この実施の形態では、スペーサ52の一辺の長さは、電子部品12の一辺の長さの5〜20%の範囲の値とする。スペーサ52の一辺の長さを電子部品12の一辺の長さの5%以上とすることにより、スペーサ52は充分な面積を有することとなり、後述する予備加熱工程で、流動するフラックスでスリット52aが埋まってしまうことがない。また、スペーサ52の一辺の長さを電子部品12の一辺の長さの20%以下とすることにより、QFPやSOPのような一般的な電子部品の場合には、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・とスペーサ52との干渉が防止される。また、この実施の形態では、スペーサ52の個数を4個としているが、スペーサ52の個数は、後述するように密閉空間18から外界へとスリット52aを介して、必要充分な量の有機成分ガスを放出することができれば、4個には限定されない。
【0077】
スリット52aは、スペーサ52の上面に形成された溝であり、密閉空間18の内側と外界とで、気体を流通可能に接続している。
【0078】
スリット52aは、下面電極ランド26の中心を通る直線に沿ってスペーサ52に形成されている。より具体的には、スリット52aは、略正方形状のスペーサ52の2本の対角線のうち、密閉空間18を横断し、下面電極ランド26の中心を通過する一方の対角線に沿って設けられている。スリット52aをこのような位置に形成することにより、密閉空間18に存在する第2フラックス44から放出される有機成分ガスがスリット52aを通過する際の流通抵抗が最も小さくなる。つまり、有機成分ガスは、最もスムースに密閉空間18から外界へと放出される。
【0079】
スリット52aの大きさ、すなわち溝の横断面の半径は、密閉空間18の内部で発生する有機成分ガスを外界へとスムースに放出できる大きさであれば、特に限定はない。この実施の形態に示す例では、スリット52aの半径は、好ましくは、例えば約100μmとする。
【0080】
また、スリット52aの横断面形状は、密閉空間18の内部で発生する有機成分ガスを外界へとスムースに放出できる形状であれば、半円形には限定されない。例えば、矩形状の断面であってもよい。
【0081】
この実施の形態に示す例では、1個のスペーサ52につき1個のスリット52aを形成した例を示したが、1個のスペーサ52当たりに形成されるスリット52aの個数は1個に限定されない。例えば、2個以上であってもよい。
【0082】
このように、この実施の形態の電子回路基板50は、プリント基板54として、密閉空間18と外界とで気体の流通が可能な連通部すなわちスリット52aが形成されたスペーサ52を備えたものを用いている。その結果、電子回路基板50の製造工程において、密閉空間18内に残留するフラックスから発生する有機成分ガスを、スリット52aを介して、外界へと放出させることができる。よって、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できるという作用効果を奏する。
【0083】
(製造方法)
以下、電子回路基板50の製造方法について、電子回路基板50の作用効果と併せて、図面を参照しながら詳述する。
【0084】
図5(A)は、搭載工程におけるプリント基板54と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図5(B)は、図5(A)をA−A線で切断した切断端面図である。図6(A)は、予備加熱工程におけるプリント基板54と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図6(B)は、図6(A)をA−A線で切断した切断端面図である。図6(C)は、リフロー加熱工程におけるプリント基板54と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図6(D)は、図6(C)をA−A線で切断した切断端面図である。なお、図5(A)〜(B)及び図6(A)〜(D)において、図4(A)〜(B)と同様の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0085】
(印刷工程)
印刷工程は、既に説明した実施の形態1の印刷工程と同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
(搭載工程)
図5(A)及び(B)を参照して、搭載工程について説明する。
【0087】
この実施の形態の搭載工程は、電子部品12のプリント基板54への搭載に先立ち、スペーサ52のプリント基板54への固定が行われる点が、実施の形態1の搭載工程と異なっている。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0088】
すなわち、搭載工程においては、まず始めに、従来公知の部品搭載用のロボットを用いて、プリント基板54の周辺部に対応する上面54aに、接着剤が下面に印刷されたスペーサ52が配置される。より詳細には、次の工程でプリント基板54に搭載される電子部品12の4隅に対応する位置に、この4隅とオーバーラップするように、4個のスペーサ52が固定される。
【0089】
続いて、電子部品12が実施の形態1で既に説明したと同様にした、プリント基板54へと搭載される。
【0090】
(予備加熱工程)
続いて、図6(A)及び(B)を参照して、予備加熱工程について説明する。
【0091】
この実施の形態の予備加熱工程は、流動後期段階において、第2フラックス44から発生した有機成分ガスが、スペーサ52のスリット52aを介して外界に放出される点が実施の形態1の予備加熱工程と異なっている。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0092】
流動初期段階は、予備加熱の初期に対応しており、典型的には図6(A)に示すように、第1フラックス42,42,・・・が間隙Sを完全には密閉していない段階である。つまり、流動初期段階では、間隙Sには隙間Dが空いており、隙間Dの両側で気体が流通することができる。その結果、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、この隙間Dを介して、外界へと放出される。
【0093】
流動後期段階は、予備加熱の後期に対応しており、典型的には図6(C)に示すように、第1フラックス42,42,・・・が間隙Sを完全に密閉した後の段階、つまり、密閉空間18が形成された後の段階である。つまり、流動後期段階では、間隙Sは、第1フラックス42,42,・・・で完全に充填される(満たされる)。結果として、間隙Sに流動した第1フラックス42,42,・・・により、間隙Sを充填するフラックス16が形成される。また、フラックス16が形成されることにより、密閉空間18が形成される。
【0094】
流動後期段階においては、密閉空間18内に延在する第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、間隙Sから逃げることができない。しかし、プリント基板14は、密閉空間18と外界とを連通するスリット52aが形成されたスペーサ52を備えている。その結果、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、このスリット52aを介して外界へと放出される。従って、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間に介在する第2ハンダ30中に、有機成分ガス由来のボイドが発生することはない。
【0095】
(リフロー加熱工程)
続いて、図6(C)及び(D)を参照して、リフロー加熱工程について説明する。
【0096】
この実施の形態のリフロー加熱工程は、第2フラックス44から発生した有機成分ガスが、スペーサ52のスリット52aを介して外界に放出される点が実施の形態1のリフロー加熱工程と異なっている。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0097】
リフロー加熱工程において、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、スペーサ52に設けられたスリット52aから外界へと放出される。これらの結果、リフロー加熱工程において、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間に介在する第2ハンダ30中における有機成分ガス由来のボイドの発生を抑制できる。
【0098】
また、上述のように、スペーサ52の厚みは、第1及び第2ソルダーペースト38及び40よりも小さい(図5(B)参照)ので、第1及び第2ソルダーペースト38及び40に含まれるハンダ粒子が融解するに当たり、周辺電極パッド20,20,・・・と周辺電極ランド24,24,・・・との間、及び下面電極パッド22と下面電極ランド26との間を確実に接続することができる。
【0099】
このように、この実施の形態の電子回路基板50の製造方法では、プリント基板54として、密閉空間18と外界とで気体の流通が可能な連通部すなわちスリット52aが形成されたスペーサ52を備えたものを用いている。その結果、電子回路基板50の製造工程において、密閉空間18内に残留するフラックスから発生する有機成分ガスを、スリット52aを介して、外界へと放出させることができる。よって、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できるという作用効果を奏する。
【0100】
(プリント基板)
続いて、図4(A)を参照して、実施の形態2のプリント基板54について説明する。
【0101】
実施の形態2のプリント基板54は、下面12aの周辺部に複数の周辺電極ランド20,20,・・・を有し、及び、周辺電極パッド20,20,・・・に囲まれて下面12aに設けられた下面電極パッド22を備えた電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・が第1ソルダーペースト38由来の第1ハンダ28で接続される周辺電極ランド24,24,・・・と、下面電極パッド22が第2ソルダーペースト40由来の第2ハンダ30で接続される下面電極ランド26とを、上面54aに備えていて、プリント基板54の周辺部に対応する上面54aに、密閉空間18と外界とで気体の流通が可能なスリット52aを有するスペーサ52が設けられている。その結果、上述した理由により、電子回路基板50の製造工程において、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できる。
【0102】
<実施の形態3>
続いて、図7〜図9を参照して、実施の形態3のプリント基板及び電子回路基板の製造方法について説明する。
【0103】
(プリント基板)
図7(A)は、この実施の形態のプリント基板の構造を概略的に示す平面図である。図7(B)は、図7(A)をA−A線で切断した切断端面図である。なお、図7(A)において、図1(A)と同様の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。また、図7(A)及び(B)においては、図面の理解を助けるために、電子部品12を仮想線で示してある。
【0104】
この実施の形態のプリント基板60は、実施の形態2のスペーサ52に替えてハンダスペーサ62が設けられている点が、実施の形態2のプリント基板54と異なっている。従って、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0105】
プリント基板60では、電子部品12の周辺部に対応する、プリント基板60の上面60aに、第1及び第2ソルダーペースト38及び40の上面60aに垂直に測った厚みと同等の厚みを有するハンダからなるハンダスペーサ62が設けられている。
【0106】
プリント基板60は、周辺電極ランド24,24,・・・と、下面電極ランド26と、ダミーランド66と、ハンダスペーサ62とを備えている。
【0107】
ダミーランド66は、プリント基板60に搭載される電子部品12の周辺部に対応するプリント基板60の上面60aの領域に設けられているランドである。ダミーランド66には、ハンダスペーサ62が設けられている。ダミーランド66は、ハンダスペーサ62を固定するためだけに設けられており、そのため、他の電気部品とは電気的に接続されていない。
【0108】
ハンダスペーサ62は、ダミーランド66上に設けられている。この実施の形態に示す例では、ハンダスペーサ62は、第3ハンダ64製の略正方形の板状の部品である。ハンダスペーサ62は、電子部品12の下面12aと、プリント基板60の上面60aとの間に介在するように、ダミーランド66に設けられている。
【0109】
ハンダスペーサ62の、上面60aに垂直な方向に測った長さ、すなわち厚みは、ダミーランド66の厚みを含んだ状態で、後述する印刷工程で周辺電極ランド24,24,・・・及び下面電極ランド26に印刷されるソルダーペーストの厚み(〜200μm)と同等すなわち実質的に等しい大きさとする。つまり、この実施の形態に示す例では、ハンダスペーサ62(ダミーランド66を含む)の厚みは、約200μmとする。ハンダスペーサ62の厚みがソルダーペーストの厚みよりも大きい場合、後述するリフロー工程において、第1及び第2ソルダーペースト38及び40に含まれるハンダの粘着力が弱くなり、電子部品12とプリント基板60とを充分にハンダ付けできなくなるために好ましくない。また、ハンダスペーサ62の厚みがソルダーペーストの厚みよりも小さい場合、後述する予備加熱工程及びリフロー加熱工程において、第2ソルダーペースト40から発生する有機成分ガスを密閉空間18中から充分に逃がすことができなくなるために好ましくない。
【0110】
ハンダスペーサ62は、この実施の形態に示す例では、矩形状の電子部品12の4個の角部に対応する領域に、周囲の周辺電極パッド20,20,・・・と干渉しないように配置されている。より詳細には、ハンダスペーサ62は、電子部品12の4個の角部に一部領域がオーバーラップするように配置されている。ハンダスペーサ62の配置位置は、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・と干渉しないことを条件として、設計に応じて任意好適に選択することができる。この実施の形態の場合には、電子部品12の角部に周辺電極パッド20,20,・・・が設けられていないことから、ハンダスペーサ62を電子部品12の角部に配置している。
【0111】
ハンダスペーサ62の大きさ、すなわち、上面60aに平行な方向の一辺の長さは、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・と干渉しない大きさであることを条件として、設計に応じて任意好適な大きさを選択することができる。この実施の形態では、ハンダスペーサ62の一辺の長さは、電子部品12の一辺の長さの5〜20%の範囲の値とする。ハンダスペーサ62の一辺の長さを電子部品12の一辺の長さの5%以上とすることにより、ハンダスペーサ62は、電子部品12を支持するために充分な面積を有する。また、ハンダスペーサ62の一辺の長さを電子部品12の一辺の長さの20%以下とすることにより、QFPやSOPのような一般的な電子部品の場合には、電子部品12の周辺電極パッド20,20,・・・とハンダスペーサ62との干渉が防止される。また、この実施の形態では、ハンダスペーサ62の個数を4個としているが、ハンダスペーサ62の個数は4個には限定されない。
【0112】
このように、この実施の形態のプリント基板60は、第1及び第2ソルダーペースト38及び40と同等の厚みを有する第3ハンダ64からなるハンダスペーサ62を設けている。その結果、電子回路基板の製造工程において、電子部品12とプリント基板60との間に隙間が確保される。その結果、予備加熱工程及びリフロー加熱工程で第2フラックス44から発生する有機成分ガスは、この隙間を介して外界へと放出される。よって、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できるという作用効果を奏する。
【0113】
(製造方法)
以下、電子回路基板70の製造方法について、プリント基板60の作用効果と併せて、図面を参照しながら詳述する。
【0114】
図8(A)は、搭載工程におけるプリント基板60と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図8(B)は、図8(A)をA−A線で切断した切断端面図である。図9(A)は、予備加熱工程におけるプリント基板60と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図9(B)は、図9(A)をA−A線で切断した切断端面図である。図9(C)は、リフロー加熱工程におけるプリント基板60と電子部品12の配置状態を模式的に示す平面図である。図9(D)は、図9(C)をA−A線で切断した切断端面図である。なお、図8(A)〜(B)及び図9(A)〜(D)において、図4(A)〜(B)と同様の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0115】
(印刷工程)
印刷工程は、既に説明した実施の形態1の印刷工程と同様であるので、その説明を省略する。
【0116】
(搭載工程)
図8(A)及び(B)を参照して、搭載工程について説明する。
【0117】
この実施の形態の搭載工程は、電子部品12のプリント基板60への搭載に先立ち、ハンダスペーサ62のプリント基板60への固定が行われる点が、実施の形態1の搭載工程と異なっている。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0118】
すなわち、搭載工程においては、まず始めに、プリント基板60の周辺部に対応する上面60aのダミーランド66に、従来公知のディップ法により4個のハンダスペーサ62が固定される。より詳細には、次の工程でプリント基板60へと搭載される電子部品12の4隅に対応する位置に、この4隅とオーバーラップするように、4個のハンダスペーサ62が固定される。
【0119】
続いて、電子部品12が実施の形態1で既に説明したと同様にしてプリント基板60へと搭載される。
【0120】
(予備加熱工程)
続いて、図9(A)及び(B)を参照して、予備加熱工程について説明する。
【0121】
この実施の形態の予備加熱工程は、流動後期段階において、第2フラックス44から発生した有機成分ガスが、ハンダスペーサ62により形成されたガス放出用間隙Cを介して外界に放出される点が実施の形態1の予備加熱工程と異なっている。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0122】
流動初期段階は、予備加熱の初期に対応しており、典型的には図9(A)に示すように、第1フラックス42,42,・・・が間隙Sを完全には密閉していない段階である。つまり、流動初期段階では、間隙Sには隙間Dが空いており、隙間Dの両側で気体が流通することができる。その結果、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、この隙間Dを介して、外界へと放出される。
【0123】
流動後期段階は、予備加熱の後期に対応しており、典型的には図9(C)に示すように、第1フラックス42,42,・・・が間隙Sを完全に密閉した後の段階である。つまり、流動後期段階では、間隙Sは、第1フラックス42,42,・・・で完全に充填される(満たされる)。結果として、間隙Sに流動した第1フラックス42,42,・・・により、間隙Sを充填するフラックス16が形成される。
【0124】
また、流動後期段階では、ガス放出用間隙Cが形成される。すなわち、図9(D)に示すように、第1ソルダーペースト38は、第1フラックス42,42が流動することにより、その厚みが小さくなる。一方、ハンダスペーサ62は、予備加熱工程においては融解しないので、その厚みは変化しない。これらの結果、流動後期段階において、電子部品12の下面12aとフラックス16の上端部との間には、気体が流通可能なガス放出用間隙Cが形成される。
【0125】
その結果、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、このガス放出用間隙Cを介して外界へと放出される。従って、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間に介在する第2ハンダ30中に、有機成分ガス由来のボイドが発生することはない。
【0126】
(リフロー加熱工程)
続いて、図9(C)及び(D)を参照して、リフロー加熱工程について説明する。
【0127】
この実施の形態のリフロー加熱工程は、第2フラックス44から発生した有機成分ガスが、ガス放出用間隙Cを介して外界に放出される点が実施の形態1のリフロー加熱工程と異なっている。よって、以下の説明では、この相違点について主に説明する。
【0128】
リフロー加熱工程において、第2フラックス44から発生した有機成分ガスは、ハンダスペーサ62が完全に融解するまでの間、ガス放出用間隙Cから外界へと放出される。これらの結果、リフロー加熱工程において、下面電極パッド及び下面電極ランド22及び26の間に介在する第2ハンダ30中における有機成分ガス由来のボイドの発生を抑制できる。
【0129】
このように、この実施の形態の電子回路基板70の製造方法では、プリント基板60として、ハンダスペーサ62を備えたものを用いている。その結果、電子回路基板70の製造工程において、第2フラックス44から発生する有機成分ガスを、ガス放出用間隙Cを介して、外界へと放出させることができる。よって、下面電極ランド26及び下面電極パッド22の間に介在する第2ハンダ30中でのボイドの発生を抑制できるという作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0130】
10,50,70 電子回路基板
12 電子部品
12a,14b 下面
14,54,60 プリント基板
14a,54a,60a 上面
16,56 フラックス
18密閉空間
20 周辺電極パッド
22 下面電極パッド
24 周辺電極ランド
26 下面電極ランド
28 第1ハンダ
30 第2ハンダ
32 スルーホール
32a 内壁面
38 第1ソルダーペースト
40 第2ソルダーペースト
42 第1フラックス
44 第2フラックス
52 スペーサ
52a スリット
62 ハンダスペーサ
64 第3ハンダ
66 ダミーランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品と、
前記周辺電極パッドに第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続された複数の周辺電極ランド、及び前記下面電極パッドに第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続された下面電極ランドを、上面に有するプリント基板と、
隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、並びに前記電子部品の前記下面で囲まれた空間に満たされた前記第1ソルダーペースト由来のフラックスとを備え、
前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成されており、
内壁面が非金属膜面で形成されているスルーホールが前記下面電極ランド及び前記プリント基板を貫通して形成されていることを特徴とする電子回路基板。
【請求項2】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品と、
前記周辺電極パッドに第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続された複数の周辺電極ランド、及び前記下面電極パッドに第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続された下面電極ランドを、上面に有するプリント基板と、
隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、並びに前記電子部品の前記下面で囲まれた空間に満たされた前記第1ソルダーペースト由来のフラックスとを備え、
前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成された電子回路基板を製造するに当たり、
内壁面が非金属膜面で形成されているスルーホールが前記下面電極ランド及び前記プリント基板を貫通して形成されている当該プリント基板を用いることを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【請求項3】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品の前記周辺電極パッドが第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続される複数の周辺電極ランドと、前記下面電極パッドが第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続される下面電極ランドとを、上面に備えていて、
内壁面が非金属膜面で形成されているスルーホールが前記下面電極ランド及び前記プリント基板を貫通して形成されていることを特徴とするプリント基板。
【請求項4】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品と、
前記周辺電極パッドに第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続された複数の周辺電極ランド、及び前記下面電極パッドに第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続された下面電極ランドを、上面に有するプリント基板と、
隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、並びに前記電子部品の前記下面で囲まれた空間に満たされた前記第1ソルダーペースト由来のフラックスとを備え、
前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成されており、
前記プリント基板の前記周辺部に対応する前記上面に、前記密閉空間と外界とで気体の流通が可能な連通部が形成されたスペーサが設けられていること特徴とする電子回路基板。
【請求項5】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品と、
前記周辺電極パッドに第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続された複数の周辺電極ランド、及び前記下面電極パッドに第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続された下面電極ランドを、上面に有するプリント基板と、
隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、並びに前記電子部品の前記下面で囲まれた空間に満たされた前記第1ソルダーペースト由来のフラックスとを備え、
前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成された電子回路基板を製造するに当たり、
前記プリント基板の前記周辺部に対応する前記上面に、前記密閉空間と外界とで気体の流通が可能な連通部が形成されたスペーサを設けることを特徴とする電子回路基板の製造方法。
【請求項6】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品の前記周辺電極パッドが第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続される複数の周辺電極ランドと、前記下面電極パッドが第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続される下面電極ランドとを、上面に備えていて、
前記電子部品が実装された際に、隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた空間が前記第1ソルダーペースト由来のフラックスにより満たされるとともに、前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成され、
前記周辺部に対応する前記上面に、前記密閉空間と外界とで気体の流通が可能な連通部が形成されたスペーサを設けることを特徴とするプリント基板。
【請求項7】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品の前記周辺電極パッドが第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続される複数の周辺電極ランドと、前記下面電極パッドが第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続される下面電極ランドとを、上面に備えていて、
前記電子部品が実装された際に、隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた空間が前記第1ソルダーペースト由来のフラックスにより満たされるとともに、前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成され、
前記周辺部に対応する前記上面に、前記第1及び第2ソルダーペーストの前記上面に垂直に測った厚みと同等の厚みを有するハンダからなるハンダスペーサを設けることを特徴とするプリント基板。
【請求項8】
下面の周辺部に複数の周辺電極パッドを有し、及び、該周辺電極パッドに囲まれて前記下面に設けられた下面電極パッドを備えた電子部品と、
前記周辺電極パッドに第1ソルダーペースト由来の第1ハンダでそれぞれ接続された複数の周辺電極ランド、及び前記下面電極パッドに第2ソルダーペースト由来の第2ハンダで接続された下面電極ランドを、上面に有するプリント基板と、
隣り合った前記周辺電極パッド同士及び周辺電極ランド同士、前記プリント基板の前記上面、並びに前記電子部品の前記下面で囲まれた空間に満たされた前記第1ソルダーペースト由来のフラックスとを備え、
前記周辺電極パッド、前記周辺電極ランド、前記第1ハンダ、前記フラックス、前記プリント基板の前記上面、及び前記電子部品の前記下面で囲まれた密閉空間が形成された電子回路基板を製造するに当たり、
前記周辺部に対応する前記上面に、前記第1及び第2ソルダーペーストの前記上面に垂直に測った厚みと同等の厚みを有するハンダからなるハンダスペーサを設けることを特徴とする電子回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−54723(P2011−54723A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201742(P2009−201742)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591020663)長野沖電気株式会社 (9)
【Fターム(参考)】