電子地図データ更新方法、電子地図データ記憶装置、電子地図更新データ、および、電子地図データ更新システム
【課題】効率の良い地図データの更新を行う技術を提供すること。
【解決手段】ノードおよびリンクを含む地図データを記憶する記憶装置を、世代更新するための更新データは、追加データ部と、仮想ノード部とを備える。追加データ部は、第2の世代において新たに追加すべきノードおよびリンクである追加対象要素を定義する。仮想ノード部は、第1の世代のネットワークのうち、第2の世代における削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードと定義するとき、削除対象ノードと削除対象ノードでない非削除ノードとを接続するリンクである第1の接続リンクの全てに配置され、両世代代に共通するノードである仮想ノードを定義する。追加対象要素は、仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての仮想ノードについて含むと共に、仮想ノード以外に前記第1の世代のネットワークと関連付けられていない。
【解決手段】ノードおよびリンクを含む地図データを記憶する記憶装置を、世代更新するための更新データは、追加データ部と、仮想ノード部とを備える。追加データ部は、第2の世代において新たに追加すべきノードおよびリンクである追加対象要素を定義する。仮想ノード部は、第1の世代のネットワークのうち、第2の世代における削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードと定義するとき、削除対象ノードと削除対象ノードでない非削除ノードとを接続するリンクである第1の接続リンクの全てに配置され、両世代代に共通するノードである仮想ノードを定義する。追加対象要素は、仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての仮想ノードについて含むと共に、仮想ノード以外に前記第1の世代のネットワークと関連付けられていない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図ネットワークデータの更新方法、電子地図データ記憶装置、電子地図更新データ、および、地図データ更新システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、車や歩行者に経路案内を行う技術を始めとして、地表上の施設や道路などの情報を電子機器の表示部に表示することは広く行われている。ところで、現実の世界の道路状況は、随時、整備されて更新されていく。このため、地図データにおいても道路情報を、現実世界の道路状況に応じて、更新することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−90195号公報
【特許文献2】特開2008−96706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような地図データの更新を効率良く行う技術が求められている。
【0005】
本発明は、効率の良い地図データの更新を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]コンピュータが、複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを含む電子地図データを更新する方法であって、
(a)更新前のネットワークにおいて、前記更新によって全体が削除されるリンクである削除対象リンクを設定する工程と、
(b)前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードに設定する工程と、
(c)更新前のネットワークにおいて、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続している削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することにより、前記仮想ノードを設定する工程と、
(d)前記仮想ノードが配置されている前記分離対象接続リンクがある場合には、前記分離対象接続リンクの全てを、前記仮想ノードと前記削除端ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離する工程と、
(e)前記更新によって追加される更新データのノードおよびリンクである追加対象要素を準備する工程であって、前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とするリンクである仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外では更新前のネットワークとの接続を持たないように準備される工程と、
(f)前記更新前のネットワークから前記削除対象リンクと前記削除対象ノードを削除し、前記削除接続リンクが存在する場合には前記削除接続リンクを削除すると共に、前記更新前のネットワークに前記追加対象要素を追加することにより、ネットワークデータを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
【0008】
第1適用例における方法によれば、仮想ノードを介して、追加対象要素を、削除対象リンクと削除対象ノードと第2の接続リンクを入れ替えるだけで容易に地図データの世代更新を実現できる。
【0009】
[適用例2]請求項2に記載の電子地図データの更新方法であって、 前記(c)工程において、削除端ノードの全てについて、前記(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置することにより、仮想ノードを設定する、電子地図データの更新方法。
こうすれば、仮想ノードに接続されたリンクの整合性を確認するだけで確実な世代更新を実現できる。
【0010】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の電子地図データの更新方法であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記方法は、さらに、
(g)前記更新前の前記属性データの中から、前記更新によって削除される前記属性データである削除対象属性データを設定する工程と、
(h)前記更新によって追加される前記属性データである追加属性データを準備する工程と、
(i)前記更新前の属性データベースから前記削除対象属性データを削除すると共に、前記更新前の属性データベースに前記追加属性データを追加することにより、前記更新目の属性データベースを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
こうすれば、属性データについても含めて容易に地図データの世代更新を実現できる。
【0011】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の電子地図データの更新方法であって、
前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクと前記追加対象要素は、同一の識別情報と関連付けられており、
前記(f)工程では、前記同一の識別情報と関連付けられた前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクを削除し、前記同一の識別情報と関連付けられた前記追加対象要素を追加する、電子地図データの更新方法。
こうすれば、識別情報を用いて、世代更新を容易に管理できる。
【0012】
[適用例5]複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを少なくとも含む電子地図データを格納する電子地図データ記憶装置であって、
更新前のネットワークをデータとして記憶する更新前データ記憶部と、
更新時に新たに追加すべきノードおよびリンクである追加対象要素をデータとして記憶する更新データ記憶部と、
を備え、
前記更新前のネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードと前記削除対象ノードでない非削除ノードとを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに配置された仮想ノードを前記更新前のネットワークと前記更新後のネットワークに共通するノードとして記憶し、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない、電子地図データ記憶装置。
【0013】
適用例5における地図データ装置によれば、少ない情報量で複数の世代に亘って、地図データを記憶しておくことができる。さらに、仮想ノードを介して、追加対象要素を、削除対象の要素と入れ替えるだけで容易に地図データの世代更新を実現できる状態で複数の世代に亘る地図データを記憶しておくことができる。
【0014】
[適用例6]適用例5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記更新前のネットワークにおいて、前記分離対象接続リンクは、前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離して記憶されている、電子地図データ記憶装置。
こうすれば、仮想ノードを介して、追加対象要素を、削除対象リンクと削除対象ノードと削除接続リンクを入れ替えるだけで容易に地図データの世代更新を実現できる。
【0015】
[適用例7]適用例5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記更新前データ記憶部は、前記第1の世代のネットワークに関連付けられた前記属性データである更新前属性データを記憶し、
前記更新後データ記憶部は、前記更新時に新たに追加すべき前記属性データを記憶する、地図データ装置。
こうすれば、属性データについても含めて容易に複数の世代に亘って、地図データを記憶しておくことができる。
【0016】
[適用例8]適用例5に記載の地図データ記憶装置は、さらに、
前記削除対象リンクと、前記削除対象接続リンクのうちの前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクを前記更新前データ記憶部から削除すると共に、前記追加対象要素を前記更新前データ記憶部に追加することにより、前記更新前データ記憶部を更新する更新処理部を備える、電子地図データ装置。
こうすれば、更新処理部により世代交代を容易に行うことができる。
【0017】
[適用例9]電子地図更新データを受信する受信部と、
分離対象接続リンクの全てを、受信された前記電子地図更新データに定義された仮想ノードと削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離するリンク分離部と、
削除対象要素と、削除接続リンクを記憶装置から削除すると共に、前記追加対象要素を前記記憶装置に追加することにより、前記記憶装置において更新前のネットワークを更新後のネットワークに更新する更新部と、
を有する前記記憶装置のコンピュータにより使用される
電子地図更新データであって
前記更新後において新たに追加すべきノードおよびリンクである前記追加対象要素を定義した追加データ部と、
前記更新前のネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを前記削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続しているノードを削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することによって設定された前記仮想ノードを定義した仮想ノード部と、
を備え、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない電子地図更新データ。
こうすれば、前記記憶装置のコンピュータは、電子地図更新データを受信して、容易に更新前のネットワークを更新することができる。
【0018】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、更新前のネットワークを含む電子地図データを記憶する受信側情報処理装置と、受信側情報処理装置に対して、電子地図更新データを送信する送信側情報処理装置と、を含む地図データ更新システム、電子地図データ更新プログラム、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例としての地図表示システムの概略構成を示す説明図。
【図2】ナビゲーション装置および凍結地図データサーバに格納されたデータベースの内容を説明する図。
【図3】メイン地図データサーバに格納されたデータベースの内容を概念的に示す第1の図。
【図4】メイン地図データサーバに格納されたデータベースの内容を概念的に示す第2の図。
【図5】メイン地図データサーバに格納されたデータベースの内容を概念的に示す第3の図。
【図6】ネットワークデータのうちノードデータを概念的に示す図。
【図7】ネットワークデータのうちリンクデータを概念的に示す図。
【図8】属性データベースの内容を概念的に示す図。
【図9】整備処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図10】整備と差分データの配信について説明する図。
【図11】差分データの一例を概念的に示す図。
【図12】更新処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
【図13】差分データを用いた更新処理を概念的に示す第1の図。
【図14】差分データを用いた更新処理を概念的に示す第2の図。
【図15】地図更新の一例を示す第1の図。
【図16】地図更新の一例を示す第2の図。
【図17】従来の差分データを用いたネットワークデータの更新について説明する図。
【図18】第1変形例について説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0021】
A.実施例:
・地図表示システムの構成:
図1は、実施例としての地図データ更新システム10の概略構成を示す説明図である。図示するように、実施例の地図データ更新システム10は、メイン地図データサーバ100と、凍結地図データサーバ150と、基地局BSと、地図データを利用するクライアント装置としてのナビゲーション装置200とを含んでいる。メイン地図データサーバ100と、凍結地図データサーバ150と、基地局BSは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。ナビゲーション装置200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、ナビゲーション装置200は、基地局BSを介して、メイン地図データサーバ100と通信を行うことができる。
【0022】
本実施例のナビゲーション装置200は、地図データを記憶する記憶装置として機能すると共に、地図データに基づく地図を表示する地図表示装置として機能することができる。また、ナビゲーション装置200は、GPS受信機201を備えており、これと地図表示機能とを用いて経路案内を行う機能を備えている。ナビゲーション装置200は、車などの移動体に搭載されていても良いし、利用者が持ち歩ける携帯装置であっても良い。
【0023】
ナビゲーション装置200は、GPS受信機201と、表示パネル202と、タッチパネル203と、音声出力部204と、キー入力部205と、無線通信回路206と、地図データ記憶装置として機能する外部記憶装置207と、主制御部210と、を備えている。
【0024】
GPS受信機201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。
【0025】
表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。液晶ディスプレイは、たとえば、480画素×640画素(VGA)の解像度を有する。表示パネル202には、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示装置を採用することが可能である。
【0026】
タッチパネル203は、指やタッチペンによる押圧を検知し、押圧された位置を表す電気信号を主制御部210に対して出力する。タッチパネル203は、無色透明であり、表示パネル202の画像表示面の全体に亘って積層されている。この結果、ナビゲーション装置200の利用者は、例えば、表示パネル202に表示された画面に含まれるアイコンなどのGUI(Graphical User Interface)を指やタッチペンで押圧することで、ナビゲーション装置200の操作を行うことができる。
【0027】
音声出力部204は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などから構成される。
【0028】
キー入力部205は、利用者からナビゲーション装置200に対する要求を受け付ける操作キーなどのキー群から構成される。ナビゲーション装置200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作を行うことができる。
【0029】
無線通信回路206は、基地局BSとの間でデータ通信を行うための回路である。無線通信回路206は、基地局BSを介して、メイン地図データサーバ100からデータの受信を行うデータ受信部として機能する。
【0030】
外部記憶装置207は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶装置207には、地図データとして、画像データベースCD1と経路データベースCD2と属性データベースCD3が格納されている。これらの内容については後述する。
【0031】
ナビゲーション装置200の主制御部210は、ナビゲーション装置200の上述した各部201〜207を制御するためのコンピュータである。主制御部210は、図示しない中央演算回路(CPU)と、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。
【0032】
ナビゲーション装置200の内部記憶装置には、地図表示および経路案内のためナビゲーションプログラムが格納されている。このプログラムは、例えば、凍結地図データサーバ150やメイン地図データサーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。主制御部210は、このプログラムを実行することで、後述する処理/機能を実現する。
【0033】
メイン地図データサーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部105とを備えている。制御部104は、メイン地図データサーバ100の上述した通信部102および記憶部105を制御するためのコンピュータである。通信部102は、独立回線を介して凍結地図データサーバ150と、インターネットINTと基地局BSを介してナビゲーション装置200と、それぞれ通信を行うことができる。記憶部105には、地図データとして、画像データベースMD1と経路データベースMD2と属性データベースMD3が格納されている。これらのデータベースの内容については後述する。
【0034】
凍結地図データサーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶部155とを備えている。記憶部155には、地図データとして、画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3とが格納されている。これらのデータベースの内容については後述する。制御部154は、凍結地図データサーバ150の上述した通信部152および記憶部155を制御するためのコンピュータである。通信部152は、専用の独立回線を介してメイン地図データサーバ100と通信を行うことができる。
【0035】
メイン地図データサーバ100の制御部104および凍結地図データサーバ150の制御部154は、それぞれ、図示しないCPUと、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。制御部104および制御部154の内部記憶装置には、地図データを取り扱うプログラムが格納されている。制御部104および記憶部105は、これらのプログラムを実行することにより、後述する様々な処理/機能を実現する。
【0036】
本実施例では、凍結地図データサーバ150とメイン地図データサーバ100とは、専用の独立回線を介して接続されるものとしたが、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して接続されるものとしてもよい。また、メイン地図データサーバ100と凍結地図データサーバ150は、一つのサーバ計算機によって構成されることも可能である。
【0037】
図2は、ナビゲーション装置200および凍結地図データサーバ150に格納されたデータベースの内容を説明する図である。凍結地図データサーバ150に格納された画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3は、第1の時期にメイン地図データサーバ100に格納されていた、第1の時期では最新の状態にある画像データベースMD1と経路データベースMD2と属性データベースMD3に基づいて作成されている。メイン地図データサーバ100に格納されている画像データベースMD1、経路データベースMD2、および、属性データベースMD3は、後述するように、随時、現在または将来の道路状況に応じて整備されている。上述したように、所定の時期では最新の状態にある画像データベースMD1と経路データベースMD2と属性データベースMD3に基づいて、凍結地図データサーバ150に格納された画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3を作成することを「凍結」と呼ぶ。ナビゲーション装置200に格納されている画像データベースCD1と経路データベースCD2と属性データベースCD3は、それぞれ、凍結地図データサーバ150に格納された画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3とをコピーして商品化されたものであり、内容は同一である。図2は、画像データベースCD1、FD1と経路データベースCD2、FD2と、属性データベースCD3、FD3の内容が、それぞれ、概念的に示されている。
【0038】
画像データベースCD1、FD1には、地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0039】
経路データベースCD2、FD2には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路に関する経路データが格納されている。経路データは、交通経路の地表上における配置を示すネットワークを表すデータである。ネットワークデータは、交通経路における要素点N1(ノードと呼ぶ。)を表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分L1(リンクと呼ぶ)を表すリンクデータとを含む。ノードN1は、例えば、交差点、分岐点、終点、始点、駅などの乗降位置などを表している。リンクL1は、例えば、車道、線路、歩行者道などの交通経路を表している。
【0040】
属性データベースCD3、FD3には、属性データが格納されている。属性データは、ノードN1あるいはリンクL1に関連付けられており、その属性を示す情報である。属性データは、ノードN1、リンクL1に関する様々なデータを含む。例えば、リンクL1に関連付けられる属性データは、リンクL1の名称(例えば、道路の名称)、リンクL1の種類(例えば、高速道路であること)、リンクL1に関するその他の情報(例えば、高速道路であれば、区間料金など)、ノードN1の名称(例えば、交差点、駅の名称)を含む。ノードN1に関連付けられる属性データは、関連付けられたノードN1に関する画像を表す画像データ、具体的には、例えば、ノードN1(例えば、交差点、駅)の分岐状況を示す模式図や案内板を示す画像、あるいは、ノードN1の周辺の撮影画像を含んでも良い。1つのノードN1またはリンクL1に関連付けられる属性データは、1つであっても良いし、複数であっても良い。また、属性データベースCD3、FD3は、1つのデータベースである必要はなく、例えば、高速道路に関する属性データと、店舗や駅などの物件に関する属性データとは、別々のデータベースとしても良い。
【0041】
図3は、メイン地図データサーバ100に格納されたデータベースの内容を概念的に示す第1の図である。図4は、メイン地図データサーバ100に格納されたデータベースの内容を概念的に示す第2の図である。図5は、メイン地図データサーバ100に格納されたデータベースの内容を概念的に示す第3の図である。
【0042】
画像データベースMD1は、ナビゲーション装置200および凍結地図データサーバ150に格納されている画像データベースCD1、FD1と同一である。一方、経路データベースMD2は、現行世代データGE1と、第1の次世代データGE2と、第2の次世代データGE3とを含む。現行世代データGE1は、上述した第1の時期において、凍結地図データサーバ150に凍結された経路データベースCD2と同一のリンクL1およびノードN1を含む経路データである。第1の次世代データGE2は、凍結が行われた第1の時期から、第1の時期より後の第2の時期までの期間に変更のあった、または、変更がある予定である交通経路を表すネットワークデータ(ノードN2およびリンクL2からなる)を含む経路データである。第2の次世代データGE3は、第2の時期から、第2の時期より後の第3の時期までの期間に変更のあった、または、変更がある予定である交通経路を表すネットワークデータ(ノードN3およびリンクL3からなる)を含む経路データである。
【0043】
ここで、現行世代データGE1および第1の次世代データGE2および第2の次世代データGE3は、それぞれ、通常のノードN1、N2、N3とは異なる時空間ノードFN1、FN2、FN3を含む。第1の次世代データGE2に含まれる時空間ノードFN2は、それぞれ、図3において破線の矢印で示すように、現行世代データGE1に含まれる時空間ノードFN1と、1対1の関係で対応付けられている。第2の次世代データGE3に含まれる時空間ノードFN3は、それぞれ、図3において破線の矢印で示すように、現行世代データGE1に含まれる時空間ノードFN1と、1対1の関係で対応付けられている。互いに対応する時空間ノードは、地表上の座標、すなわち、緯度および経度(さらに、高度を有する場合は、高度)が、完全に一致している。本実施例における一対の時空間ノードは、特許請求の範囲における仮想ノードに対応している。
【0044】
図4には、第1の次世代データGE2の構成の詳細が、第1の次世代データGE2に関連する現行世代データGE1の構成の詳細と共に示されている。図4では、現行世代データGE1に含まれるノードN1、リンクL1、時空間ノードFN1、および、第1の次世代データGE2に含まれるノードN2、リンクL2、時空間ノードFN2について、さらに、末尾に番号を付して、1つずつを区別して図示している。
【0045】
第1の次世代データGE2の内容は、現行世代データGE1の内容に対して、第2の時期において変更になる部分に関するデータのみを含む差分データである。第1の次世代データGE2は、第2の時期において、追加対象となるノードとして、N201〜N204の4つのノードを含んでいる。第1の次世代データGE2は、4つのノードのうちの2つの間を接続するリンクL202〜L205を含んでいる。さらに、第1の次世代データGE2は、一方の端部が通常のノードに接続され、他方の端部(終端)が時空間ノードに接続されたリンクを有している。具体的には、一方の端部がノードN201に接続され、終端が時空間ノードFN21に接続されたリンクL201と、一方の端部がノードN204に接続され、終端が時空間ノードFN22に接続されたL206を含んでいる。第1の次世代データGE2に含まれるネットワークデータ(ノードとリンク)は、時空間ノードFN21、FN22においてのみ、現行世代データGE1のネットワークデータと関連付けられている。第1の次世代データGE2のネットワークデータの他の要素は、現行世代データGE1のネットワークデータとは関連付けられていない。全ての時空間ノードFN2は、一本のリンクのみが接続された終端となっている。本実施例において、第2の時期において追加対象となるノードN201〜N204、リンクL201〜L206は、特許請求の範囲における追加対象要素に対応する。
【0046】
現行世代データGE1に対して、第1の次世代データGE2のデータが反映されたときに、すなわち、現行世代データGE1を第2の時期の道路状況に更新する世代交代が行われたときに、現行世代データGE1から全体が削除されるリンク(削除対象リンク)は、図4の例では、リンクL103である。リンクL103の両端に接続されているノードN102、および、N103は、自動的に削除対象のノード(削除対象ノード)に設定される。削除対象リンクおよび削除対象ノードは、例えば、第1の次世代データGE2を作成する際に、オペレータによって設定される。
【0047】
一方で、現行世代データGE1において、ノードN101およびN104は、第1の次世代データGE2を用いた世代交代が行われたときに、削除されないノード(非削除ノード)である。非削除ノードと削除対象ノードとを接続するリンクは、全て時空間ノードFN1が配置されるリンク(時空間ノード配置リンク)となる。第1の次世代データGE2が作成する際に、現行世代データGE1において、時空間ノード配置リンクは、時空間ノードFN1が配置され、時空間ノードFN1により2つに分割される。具体的には、図4に示すように、削除対象ノードN102と非削除ノードN101とを接続するリンクには、時空間ノードFN11が配置され、非削除ノードN101と時空間ノードFN11とを接続する非削除側リンクL101と、時空間ノードFN11と削除対象ノードN102とを接続する削除側リンクL102とに分割される。また、図4に示すように、削除対象ノードN103と非削除ノードN104とを接続するリンクには、時空間ノードFN12が配置され、非削除ノードN104と時空間ノードFN12とを接続する非削除側リンクL105と、時空間ノードFN12と削除対象ノードN103とを接続する削除側リンクL104とに分割される。本実施例における非削除側リンクは、特許請求の範囲における残余接続リンクに対応し、本実施例における削除側リンクは、特許請求の範囲における削除接続リンクに対応する。
【0048】
図5には、第2の次世代データGE3の構成の詳細が、第2の次世代データGE3に関連する現行世代データGE1の構成の詳細と共に示されている。図5では、図4と同様に、現行世代データGE1に含まれるノードN1、リンクL1、時空間ノードFN1、および、第2の次世代データGE3に含まれるノードN3、リンクL3、時空間ノードFN3について、さらに、末尾に番号を付して、1つずつを区別して図示している。
【0049】
第2の次世代データGE3の内容は、現行世代データGE1の内容に対して、第3の時期において変更になる部分に関するデータのみを含む差分データである。第2の次世代データGE3は、第3の時期において、追加対象となるノードとして、N301〜N306の6つのノードを含んでいる。第2の次世代データGE3は、6つのノードのうちの2つの間を接続するリンクL307〜L312を含んでいる。さらに、第2の次世代データGE3は、一方の端部が通常のノードに接続され、他方の端部(終端)が時空間ノードに接続されたリンクを有している。具体的には、ノードN301と時空間ノードFN33とを接続するリンクL301と、ノードN302と時空間ノードFN34とを接続するリンクL302と、ノードN303と時空間ノードFN35とを接続するリンクL303と、ノードN304と時空間ノードFN36とを接続するリンクL304と、ノードN305と時空間ノードFN37とを接続するリンクL305と、ノードN306と時空間ノードFN38とを接続するリンクL306とを含んでいる。第2の次世代データGE3に含まれるネットワークデータ(ノードとリンク)は、時空間ノードFN33〜FN38においてのみ、現行世代データGE1のネットワークデータと関連付けられている。第2の次世代データGE3のネットワークデータの他の要素は、現行世代データGE1のネットワークデータとは関連付けられていない。全ての時空間ノードFN3は、一本のリンクのみが接続された終端となっている。本実施例において、第3の時期において追加対象となるノードN301〜N306、リンクL301〜L212は、特許請求の範囲における追加対象要素に対応する。
【0050】
現行世代データGE1に対して、第2の次世代データGE3のデータが反映されたときに、すなわち、現行世代データGE1を第3の時期の道路状況に更新する世代交代が行われたときに、現行世代データGE1から全体が削除される削除対象リンクは、図5の例では、リンクL112である。リンクL112の両端に接続されているノードN108、および、N109は、自動的に削除対象ノードに設定される。削除対象リンクおよび削除対象ノードは、例えば、第2の次世代データGE3を作成する際に、オペレータによって設定される。
【0051】
一方で、現行世代データGE1において、ノードN105〜N107およびN110〜N112は、第2の次世代データGE3を用いた世代交代が行われたときに、削除されない非削除ノードである。非削除ノードと削除対象ノードとを接続するリンクは、全て時空間ノードFN1が配置される時空間ノード配置リンクとなる。第2の次世代データGE3が作成する際に、現行世代データGE1において、時空間ノード配置リンクは、時空間ノードFN1が配置され、時空間ノードFN1により2つに分割される。具体的には、図5に示すように、削除対象ノードN108と非削除ノードN105を接続するリンクには、時空間ノードFN13が配置され、非削除ノードN105と時空間ノードFN13とを接続する非削除側リンクL106と、時空間ノードFN13と削除対象ノードN108とを接続する削除側リンクL107とに分割される。また、図5に示すように、削除対象ノードN108と非削除ノードN106を接続するリンクには、時空間ノードFN14が配置され、非削除ノードN106と時空間ノードFN14とを接続する非削除側リンクL108と、時空間ノードFN14と削除対象ノードN108とを接続する削除側リンクL109とに分割される。図5に示すように、削除対象ノードN108と非削除ノードN112を接続するリンクには、時空間ノードFN18が配置され、非削除ノードN112と時空間ノードFN18とを接続する非削除側リンクL111と、時空間ノードFN18と削除対象ノードN108とを接続する削除側リンクL110とに分割される。同様にして、削除対象ノードN109と非削除ノードN107を接続するリンクには、時空間ノードFN15が配置され、非削除ノードN107と時空間ノードFN15とを接続する非削除側リンクL113と、時空間ノードFN15と削除対象ノードN109とを接続する削除側リンクL114とに分割される。同様にして、削除対象ノードN109と非削除ノードN110を接続するリンクには、時空間ノードFN16が配置され、非削除ノードN110と時空間ノードFN16とを接続する非削除側リンクL118と、時空間ノードFN16と削除対象ノードN109とを接続する削除側リンクL117とに分割される。同様にして、削除対象ノードN109と非削除ノードN111を接続するリンクには、時空間ノードFN17が配置され、非削除ノードN111と時空間ノードFN17とを接続する非削除側リンクL116と、時空間ノードFN17と削除対象ノードN109とを接続する削除側リンクL115とに分割される。
【0052】
図6は、経路データベースMD2の上述した構成に対応するネットワークデータのうち、ノードデータを概念的に示す図である。図6に示すノードデータは、1行に1つのノードに関するデータが記述されている。整理番号は、理解の容易のために、図4および図5に付したノードの符号と同一のものを用いている。実際には省略されても良いし、単なる整数の連番であっても良い。
【0053】
未来系IDは、世代交代に関連するノードに付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代に関連するノードには、未来系IDとして「001」が付されている。具体的には、図4における第1の次世代データGE2に含まれる通常のノードN201〜N204および時空間ノードFN21、FN22には、全て未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN102、N103には、同様に、全て未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2に含まれる時空間ノードFN21、FN22に対応する時空間ノードFN11〜FN12には、同様に、全て未来系IDとして「001」が付されている。
【0054】
同様にして、図5に示した第3の時期の世代交代に関連するノードには、未来系IDとして「002」が付されている。具体的には、図5における第2の次世代データGE3に含まれる通常のノードN301〜N306および時空間ノードFN33〜FN38には、全て未来系IDとして「002」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN108、109には、同様に、全て未来系IDとして「002」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3に含まれる時空間ノードFN33〜FN38に対応する時空間ノードFN13〜FN18には、同様に、全て未来系IDとして「002」が付されている。
【0055】
追加/削除コードは、未来系IDが付された各ノードについて、追加または削除のいずれかが付されている。例えば、図4における第1の次世代データGE2に含まれる通常のノードN201〜N204および時空間ノードFN21、FN22には、「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN102、N103には、「削除」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2に含まれる時空間ノードFN21、FN22に対応する時空間ノードFN11、FN12には、同様に、「削除」が付されている。
【0056】
図5における第2の次世代データGE3に含まれる通常のノードN301〜N306および時空間ノードFN33〜FN38には、「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN108、N109には、「削除」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3に含まれる時空間ノードFN33〜FN38に対応する時空間ノードFN13〜FN18には、「削除」が付されている。
【0057】
種別には、各ノードが通常のノードであるか、時空間ノードであるかが記述されている。緯度、経度には、各ノードの地表上における座標が緯度および経度の値によって記述されている。ここで、互いに対応する一対の時空間ノードは、緯度、および、経度が完全に一致している。例えば、図6に示すように、互いに対応する時空間ノードFN11と時空間ノードFN21とは、同じ緯度、経度である、x13、y13が記述されていることが解る。
【0058】
対応ノードには、各時空間ノードについて、対応する時空間ノードが記述されている。例えば、時空間ノードFN12には、対応ノードとして時空間ノードFN22が記述され、時空間ノードFN22には、対応ノードとして時空間ノードFN12が記述されている。これにより、時空間ノードFN12と時空間ノードFN22とが互いに対応する一対の時空間ノードであることが解る。
【0059】
図7は、経路データベースMD2の上述した構成に対応するネットワークデータのうち、リンクデータを概念的に示す図である。図7に示すリンクデータは、1行に1つのリンクに関するデータが記述されている。整理番号は、理解の容易のために、図4および図5に付したリンクの符号と同一のものを用いている。実際には省略されても良いし、単なる整数の連番であっても良い。
【0060】
未来系IDは、世代交代に関連するリンクに付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代に関連するリンクには、未来系IDとして「001」が付されている。具体的には、図4における第1の次世代データGE2に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL202〜N205および時空間ノードFN21、22を終端とするリンクL201、206には、全て未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するリンクのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において全体が削除される削除対象リンクL103には、同様に、未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するリンクのうち、上述した削除側リンクL102、L104には、同様に、全て未来系IDとして「001」が付されている。
【0061】
追加/削除コードは、未来系IDが付された各リンクについて、追加または削除のいずれかが付されている。例えば、図4における第1の次世代データGE2に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL202〜L205および時空間ノードFN21、FN22を終端とするリンクL201、L206には、全て「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される削除対象リンクL103、および、削除側リンクL102、L104には、「削除」が付されている。
【0062】
図5における第2の次世代データGE3に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL307〜L312および時空間ノードFN33、FN38を終端とするリンクL301〜L306には、全て「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される削除対象リンクL112、および、削除側リンクL107、L109、L110、L114、L115、L117には、全て「削除」が付されている。
【0063】
種別には、各リンクがリンクであることが記述されている。第1端ノードには、各リンクの一端が接続しているノードが記述され、第2端ノードには、各ノードの他端が接続しているノードが記述される。例えば、リンクL101は、ノードN101と、時空間ノードFN11とを接続するノードであることが解る。
【0064】
規制情報には、各リンクに規制がある場合に記述される。規制情報には、例えば、リンクが表す経路が一方通行の道路である場合に、その旨が記述される。例えば、リンクL108には、規制情報として、第1端ノードから第2端ノードへと向かう方向にしか車の通行が許されない一方通行であることが記述されている。また、リンクL113には、規制情報として、第2端ノードから第1端ノードへと向かう方向にしか車の通行が許されない一方通行であることが記述されている。規制情報が記述されていないリンクは、両方向に通行可能な普通の道路であることを表している。このようなリンクには、規制情報として「両方通行」と明確に記述することとしても良い。
【0065】
図8は、属性データベースMD3の内容を概念的に示す図である。図7に示す属性データは、1行に1つの属性データが記述されている。整理番号は、理解の容易のために、図1、4および5に付した符号と同一のものを用いている。実際には省略されても良いし、単なる整数の連番であっても良い。
【0066】
未来系IDは、世代交代に関連する属性データに付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代に関連する属性データZ21、Z22には、未来系IDとして「001」が付されている。同様にして、図5に示した第3の時期の世代交代に関連する属性データZ31、Z32、Z13には、未来系IDとして「002」が付されている。
【0067】
追加/削除コードは、未来系IDが付された各属性データについて、追加または削除のいずれかが付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代において追加される属性データZ21、Z22には、および、図5に示した第3の時期の世代交代において追加される関連する属性データZ31、Z32には、「追加」が付されている。現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される属性データ(図4では対象なし)や、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される属性データZ13には、「削除」が付されている。
【0068】
対応要素は、各属性情報が関連付けられているノードまたはリンクが記述されている。例えば、属性データZ13は、リンクL114に関連付けられていることが解る。項目は、属性情報の内容であり、上述したように複数である場合もある。項目としては、上述したようにリンクの名称、種類、その他の情報、ノードの名称、ノードの分岐状況を示す模式図や案内板を示す画像などを含む。
【0069】
ここで、一度、凍結が行われた後に経路データベースMD2(現行世代データGE1のみを含む)に対して、随時に、第1の次世代データGE2や第2の次世代データGE3を加えていく処理(整備処理)について説明する。図9は、整備処理の処理ステップを示すフローチャートである。
【0070】
整備処理は、例えば、時期開通予定の道路などが現実に存在し、そのデータが経路データベースMD2に格納されていないときに行われる。整備処理が開始されると、まず、削除対象リンクが設定される(ステップS110)。例えば、図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、先ず、リンクL103が削除対象リンクに設定される。具体的には、図7に示すリンクデータにおいて、リンクL103の追加/削除コードに「削除」と記述される。削除対象リンクに設定は、例えば、オペレータによって実行される。
【0071】
削除対象リンクが設定されると、削除対象リンクの両端に位置しているノードが削除対象ノードに設定される(ステップS120)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、先ず、リンクL103の両端に位置するノードN103とノードN104が削除対象ノードに設定される。具体的には、図6に示すノードデータにおいて、ノードN103とノードN104の追加/削除コードに「削除」と記述される。削除対象ノードの設定は、例えば、オペレータによって実行されても良いし、コンピュータが自動的に行っても良い。
【0072】
削除対象ノードが設定されると、時空間ノードが配置される(ステップS130)。時空間ノードは、先ず、現行世代データGE1において、時空間ノードFN1が、設定された削除対象ノードと、非削除ノードとを接続する全ての時空間ノード配置リンク上に配置される。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、削除対象ノードN103と非削除ノードN104とを接続する時空間ノード配置リンクに時空間ノードFN12が配置され、削除対象ノードN102と非削除ノードN101とを接続する時空間ノード配置リンクに時空間ノードFN11が配置される。具体的には、図6に示すノードデータにおいて、時空間ノードFN11と時空間ノードFN12のデータが追加される。さらに、現行世代データGE1において配置された時空間ノードに対応する次世代の時空間ノードが配置される。具体的には、図6に示すノードデータにおいて、時空間ノードFN11、FN12とそれぞれ対応する時空間ノードFN12、FN22のデータが追加される。現行世代データGE1に記述された時空間ノードFN11、FN12は追加/削除コードが「削除」と記述され、第1の次世代データGE2に記述された時空間ノードFN21、FN22は追加/削除コードが「追加」と記述される。時空間ノードの配置は、例えば、オペレータによって実行される。
【0073】
時空間ノードが配置されると、現行世代データGE1において時空間ノードが配置された時空間ノード配置リンクが時空間ノードによって分離される(ステップS140)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、削除対象ノードN103と非削除ノードN104とを接続する時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL105と削除側リンクL104に分離される。具体的には、図7に示すリンクデータにおいて、これまで1つのリンクとして記述されていた時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL105と削除側リンクL104とに分けて記述される。また、削除対象ノードN102と非削除ノードN101とを接続する時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL101と削除側リンクL102に分離される。具体的には、図7に示すリンクデータにおいて、これまで1つのリンクとして記述されていた時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL101と削除側リンクL102とに分けて記述される。ここで、削除側リンクL102および削除側リンクL104は、追加/削除コードが「削除」と記述される。
【0074】
次いで、追加対象ノードおよび追加対象リンクが記録される(ステップS150)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、第1の次世代データGE2に含まれる全ての通常のノードN101〜N104が、図6に示すノードデータに記録される。また、第1の次世代データGE2に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL202〜N205および時空間ノードFN21、22を終端とするリンクL201、206が、図7に示すリンクデータに記録される。追加対象ノードおよび追加対象リンクが記録は、例えば、オペレータによって実行される。
【0075】
次いで、削除属性データが設定される(ステップS160)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理では、削除される属性データはないので本ステップは省略される。一方、図5に示す第2の次世代データGE3を追加する整備処理では、属性データZ13が削除属性データに設定される。具体的には、図8に示す属性データにおいて、属性データZ13の追加/削除コードに「削除」と記述される。削除属性データの設定は、例えば、オペレータによって実行される。
【0076】
次いで、追加属性データが設定される(ステップS170)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、図8に示す属性データにおいて、属性データZ21およびZ22が記述される。追加属性データの設定は、例えば、オペレータによって実行される。
【0077】
次いで、上述した各ステップS110〜S170までにおいて設定された削除対象リンク、削除対象ノード、時空間ノード、削除側リンク、追加対象ノード、追加対象リンク、削除属性データ、追加属性データに共通の未来系IDを設定する(ステップS180)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、図6に示すノードデータにおいて削除対象ノードN102、N103、および、時空間ノードFN11、FN12、FN21、FN22、および、追加対象ノードN201〜N204に、未来系ID「001」を付する。同様にして、図7に示すリンクデータにおいて、削除側リンクL102、L104、および、削除対象リンクL103、および追加対象リンクL201〜L206に、同じ未来系ID「001」を付する。さらに、図8に示す属性データにおいて、追加属性データZ21、Z22に、同じ未来系ID「001」を付する。
【0078】
未来系IDを設定すると、整備処理は終了される。なお、ステップS110〜S180までの順序は、任意に入れ替え可能であり、図9に示す順序に限られない。例えば、未来系IDの設定を一番始めに行うこともできる。
【0079】
図10は、整備と差分データの配信について説明する図である。第1の次世代データGE2や第2の次世代データGE3の整備処理は、現実に対象となる経路が開通する前に、道路の整備計画などを活用して先行して行うことが好ましい。例えば、現実に対象となる経路が開通した直後に、その経路を反映した第1の次世代データGE2に基づく差分データを、凍結時のデータである現行世代データGE1の利用装置(例えば、ナビゲーション装置200)に配信することができるからである。
【0080】
図11は、差分データの一例を概念的に示す図である。図11は、現行世代データGE1を利用するナビゲーション装置200に対して、配信される差分データDF001を示している。差分データDF001は、第1の次世代データGE2の内容を、現行世代データGE1に反映させて、世代更新をさせるためのデータである。具体的には、差分データは、ノード差分データと、リンク差分データと、属性差分データを含む。ノード差分データは、図6に示すノードデータのうち、未来系ID「001」が付された行を抽出したデータである。リンク差分データは、図7に示すリンクデータのうち、未来系ID「001」が付された行を抽出したデータである。属性差分データは、図8に示す属性データのうち、未来系ID「001」が付された行を抽出したデータである。このように、第2の時期の内容を現行世代データGE1に反映させるための差分データDF001は、未来系ID「001」を用いて、図6〜図8に示すデータから対象となるデータを抽出するだけであるので容易に作成できる。図示は省略するが、第1の次世代データGE2の内容を、現行世代データGE1に反映させて、世代更新をさせるための差分データDF002は、未来系ID「002」を用いて、図6〜図8に示すデータから対象となるデータを抽出するだけで容易に作成できる。
【0081】
図12は、ナビゲーション装置200において実行される更新処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。更新処理は、差分データを用いて、ナビゲーション装置200が有する経路データベースCD2および属性データベースCD3を更新する処理である。
【0082】
更新処理は、ナビゲーション装置200において、差分データDFが受信された(ステップS210)ときに実行される。差分データDFが受信されると、ナビゲーション装置200の主制御部210は、差分データDFに記述された時空間ノードFN1を現行世代データGE1に配置する(ステップS220)。差分データDFには、時空間ノードFN1の座標(緯度、経度)が記述されているので、その座標を参照することによりナビゲーション装置200は、現行世代データGE1のいずれかのリンク上に時空間ノードFN1を配置することができる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、時空間ノードFN11をノードN101とノードN102とを接続するリンクに配置する。また、主制御部210は、時空間ノードFN12をノードN103とノードN104とを接続するリンクに配置する(図4)。
【0083】
時空間ノードFN1が配置されると、主制御部210は、時空間ノードFN1が配置されたリンクを時空間ノードFN1で分離する(ステップS230)。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、ノードN101とノードN102とを接続するリンクを、リンクL101とリンクL102に分離すると共に、ノードN103とノードN104とを接続するリンクを、リンクL104とリンクL105に分離する。
【0084】
分離を終えると、主制御部210は、経路データベースCD2および属性データベースCD3から削除対象の要素を削除する(ステップS240)。削除対象の要素は、差分データDFにおいて、追加/削除コードが「削除」になっているリンク、ノード、属性データである。したがって、主制御部210は、削除対象の要素を容易に認識できる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、現行世代データGE1に含まれるN102、N103、および、時空間ノードFN11、FN12を経路データベースCD2から削除する。また、主制御部210は、削除対象リンクL103、および、削除側リンクL102、L104を経路データベースCD2から削除する。
【0085】
削除対象の要素を削除すると、主制御部210は、経路データベースCD2、属性データベースCD3に追加対象の要素を追加する(ステップS250)。追加対象の要素は、差分データDFにおいて、追加/削除コードが「追加」になっているリンク、ノード、属性データである。したがって、主制御部210は、追加対象の要素を容易に認識できる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、ノード差分データに含まれるN201〜N204、および、時空間ノードFN21、FN22を経路データベースCD2に追加する。また、主制御部210は、追加対象のリンクL201〜L206を、経路データベースCD2に追加する。さらに、主制御部210は、追加対象の属性データZ21、Z22を属性データベースCD3に追加する。
【0086】
追加対象の要素を追加すると、主制御部210は、追加後の経路データベースCD2において時空間ノードFN2と接続しているリンクの整合性を確認する(ステップS260)。具体的には、時空間ノードFN2には、非削除側リンクと、新たに追加されたリンクの2本が接続されているはずである。そこで、主制御部210は、時空間ノードFN2に接続されている非削除側リンクと、新たに追加されたリンクとの規制情報が一致するか否かを確認する。時空間ノードFN2は、現実には、変化のない一本の道路に対応するリンクに仮想的に配置されるノードであるので、世代更新後において時空間ノードFN2を挟んで規制情報が変化することはない。例えば、世代交代前に時空間ノードFN2において所定の方向に一方通行である場合、時空間ノードFN2に接続されている非削除側リンクと新たに追加されたリンクとの規制情報には、共に同じ方向の一方通行であることが記述されているはずである。このため、世代更新が正常に行われていれば、全ての時空間ノードFN2において、非削除側リンクと、新たに追加されたリンクとの規制情報が一致するはずである。主制御部210は、本ステップの確認によって、世代更新が正常に行われたか否かを判定することができる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、時空間ノードFN21に接続された非削除側リンクL101と、新たに追加されたリンクL201の規制情報が一致するか否かを確認する。また、時空間ノードFN22に接続された非削除側リンクL105と、新たに追加されたリンクL206の規制情報が一致するか否かを確認する。
【0087】
図示は省略するが、主制御部210は、本ステップの確認の結果、いずれかの時空間ノードFN2において、非削除側リンクと、新たに追加されたリンクとの規制情報が一致しない場合は、差分データDFの受信エラーであると判断して、メイン地図データサーバ100に対して差分データDFの再配信を要求して、再び差分データDFを受信して、本更新処理をやり直しても良い。
【0088】
主制御部210は、全ての時空間ノードFN2において、非削除側リンクと新たに追加されたリンクとの規制情報が一致した場合は、時空間ノードFN2を削除する(ステップS270)。すなわち、非削除側リンクと新たに追加されたリンクを一本のリンクとするように、経路データベースCD2を書き換える。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、時空間ノードFN21に接続された非削除側リンクL101と新たに追加されたリンクL201を、非削除ノードN101と新たに追加されたノードN201とを接続する一本のリンクに置き換える。主制御部210は、また、時空間ノードFN22に接続された非削除側リンクL105と新たに追加されたリンクL206を、非削除ノードN104と新たに追加されたノードN204とを接続する一本のリンクに置き換える。時空間ノードFN2は、削除せずに、通常のノードとして経路データベースCD2に残しておいても良い。時空間ノードFN2を削除すると、経路データベースCD2のデータ量の増加を抑制できる。
【0089】
図13は、差分データDF001を用いた更新処理を概念的に示す図である。図13は、時空間ノードFN2を削除する前まで(ステップS260まで)の更新処理を示している。時空間ノードFN1を終端にして、削除された削除対象要素FN1、L1、N1が符号DS1で示されている。削除対象要素DS1に代えて、時空間ノードFN2をつなぎ目として、経路データベースCD2に追加対象要素FN2、N2、L2が追加されていることが解る。また、追加属性データZ21、Z22が追加されていることが解る。
【0090】
図14は、差分データDF002を用いた更新処理を概念的に示す図である。図14は、時空間ノードFN3を削除する前まで(ステップS260まで)の更新処理を示している。時空間ノードFN1を終端にして、削除された削除対象要素FN1、L1、N1、および、削除された属性データZ13が符号DS2で示されている。削除対象要素DS2に代えて、時空間ノードFN3をつなぎ目として、経路データベースCD2に追加対象要素FN3、N3、L2が追加されていることが解る。また、追加属性データZ31、Z32が追加されていることが解る。
【0091】
この更新処理は、網をイメージすると理解しやすい。網を構成する部分のうち、分離対象の紐と結び目を完全に分離するように、分離対象の結び目と分離対象でない結び目を繋ぐ全ての紐を切断する。この結果、分離対象の紐と結び目は、下にポトリと落ちる。そして、新たに追加すべき紐と結び目を、切断した紐の端に接合する紐を全て含むように準備する。そして、切断した紐の端と、準備された紐の端を接合することにより、新たに追加すべき紐と結び目を網に追加する。この切断した紐の端に対応するのが本実施例における時空間ノードFN1であり、切断した紐の端と接合される紐の端に対応するのが本実施例における時空間ノードFN2およびFN3である。
【0092】
上記では、理解の容易のため、削除対象リンクが一本のみの簡単な例について説明したが、本実施例における手法を用いれば、より複雑な地図データの更新を容易に行うことができる。図15は、地図更新の一例を示す第1の図である。図16は、地図更新の一例を示す第2の図である。図15には、ある領域における現在の道路状況と、同一の領域における未来の道路状況を図示している。図16は、図15における現在の道路状況を示すネットワークデータと、現在の道路状況を示すネットワークデータを図15における未来のネットワークデータに更新するための未来整備データを図示している。図15に示す例では、太い実線HWは高速道路を示し、細い実線NOは一般道路を示している。また、点CRは、交差点を示している。図15に示す状況は、高速道路HWのインターチェンジにおいて、高速道路HWに乗り入れる一般道路NOを2条化する典型的な道路整備の一例である。図15に示す道路状況は、図16に示すように、交差点CRに対応するノードNCRと、高速道路HWおよび一般道路NOに対応するリンクLHWおよびLNOで表される。
【0093】
図16の左側に示すように未来の道路状況において削除対象になる道路を表すリンクの両端に位置するノードNCRを削除対象ノードとする。そして、削除対象ノードと非削除対象ノードとを接続するリンク全てに時空間ノードFNを配置する。そして、図16の右側に示すように、時空間ノードを終端とする追加対象リンクを全ての時空間ノードについて含むように、追加対象要素(追加対象のノード、リンク、属性データ)を未来整備データとして準備しておく。そして、未来整備データに未来系IDを付して管理しておけば、容易に現在のネットワークデータと、複数世代の未来整備データを同じ記憶装置で管理できる。さらに、未来整備データの内容について、現在のネットワークデータを更新する際に、削除対象となる現在のネットワークデータの構成要素に削除コードを関連付けると共に、未来整備データに追加コードを関連付けておく。こうすれば、削除コードが関連付けられた構成要素を現在のネットワークデータから削除すると共に、追加コードが関連付けられた未来整備データを現在のネットワークデータに追加することにより、簡単に、ネットワークデータの世代更新を行うことができる。
【0094】
さらには、上述したように、ナビゲーション装置200に記憶された現在のネットワークデータを未来整備データの内容を反映するように更新するための差分データを、未来系IDを用いて簡単に作成できる。図17は、従来の差分データを用いたネットワークデータの更新について説明する図である。従来の整備データベース1050は、現在の道路状況と未来の道路状況を多層化して管理できなかったため、従来の整備データベース1050の更新は、通常、現実に道路状況が変化してから行われていた。このため、整備データベース1050の整備時期が遅れていた。また、従来は、先行して整備データベース1050の整備を行う場合には、整備データベース1050をコピーして保存して、コピー後の整備データベース1050に対して整備を行う必要があった。このため、コピーを格納するための膨大な記憶装置、時間が必要であった。また、従来の整備データベース1050が更新された場合には、更新された整備データベース1050を凍結して最新の凍結データベース1550を作成して、先に凍結された先代の凍結データベース1550と最新の凍結データベース1550とを比較して、差分データDFを作成していた。このため、比較作業に膨大な時間とコストを要していた。これらの問題点を本実施例によれば、解決できる。
【0095】
さらに、従来の差分データDFは、地表の領域を矩形などのメッシュに区切り、メッシュ単位で先代と異なる部分を差分データにしていた。このため、差分データには、変更の無い部分も含まれ、差分データのデータ量が大きくなるという問題もあった。本実施例における差分データDFは、上述の通り、時空間ノードと、追加対象要素と、削除対象要素とを含むため、差分データのデータ量を従来と比較して抑制できる。
【0096】
B.変形例
・第1変形例:
図18は、第1変形例について説明する説明図である。上記実施例では、非削除ノードと削除対象ノードとを接続するリンク(分離対象接続リンク)上に時空間ノードを配置しているが、これに代えて、削除対象ノードのうち、非削除対象ノードとリンクを介して接続されているノード(削除端ノード)を時空間ノードとして利用しても良い。図18に示す例では、現行世代データGE1を構成するリンクL101〜L107のうち、リンクL102〜L104が、世代を更新する際に削除される削除対象リンクである。そして、現行世代データGE1を構成するノードN101〜N108のうち、ノードN101〜N104が世代を更新する際に削除される削除対象ノードである。そして、削除対象ノードのうち、ノードN101と、ノードN104が削除端ノードであり、時空間ノードとして利用されている。この場合、次世代データGE2においては、実施例と同様に、現行世代データGE1における時空間ノードとしてのノードN101、N104と、それぞれ、対応付けられた時空間ノードFN21、時空間ノードFN22が設定される。次世代データGE2においては、実施例と同様にして、世代を更新する際に追加対象となるノードN201〜N204およびリンクL201〜L206を含んでいる。リンクL201、L206は、一方の端部が通常のノードに接続され、他方の端部(終端)が時空間ノードに接続されたリンクである。次世代データGE2に含まれるネットワークデータ(ノードとリンク)は、実施例と同様に、時空間ノードFN21、FN22においてのみ、現行世代データGE1のネットワークデータと関連付けられている。
【0097】
第1変形例では、世代の更新は、削除対象ノードを現行世代データGE1から削除し、次世代データGE2における追加対象ノードと時空間ノードをGE2に追加することによって実行される。
【0098】
本変形例によれば、実施例と同様の作用・効果を得られる。さらに、リンク上に新たに時空間ノードを設定する場合より、現行世代データGE1におけるデータ量を低減できる。また、実施例のように、時空間ノードが配置されたリンクを削除側リンクと非削除側リンクに分離する処理が不要となるため、世代管理および世代更新のための処理量を軽減できる。
【0099】
また、リンク上に配置された時空間ノードと、既存のノードを利用した時空間ノードが混在していても良い。一般的には、全ての削除端ノードについて、
1)削除端ノード自体を仮想ノードとする。
2)削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する。
のいずれかを実行することにより、仮想ノードが設定されていれば良い。
【0100】
・第2変形例:
上記実施例では、差分データDFには、削除対象要素についてのデータも含まれているが、これらは含まれていなくても良い。時空間ノードFN1のそれぞれについて時空間ノードFN1のどちらの側を削除対象とするかを特定できれば、削除対象要素についてはナビゲーション装置200において特定できる。このため、例えば、時空間ノードFN1のそれぞれについて時空間ノードFN1のどちらの側を削除対象とするかを特定するための情報(例えば、方向ベクトル)を差分データDFに含めても良い。こうすれば、削除対象要素についてのデータを差分データDFから削減できるので、差分データDFの大きさをさらに抑制することができる。
【0101】
・第3変形例:
上記実施例では、経路データベースCD2と属性データベースCD3を更新する例を示しているが、これに加えて、画像データベースCD1に記述した画像についても更新することが好ましい。すなわち、追加対象要素および削除対象要素に対応する画像を表す画像データについても差分データDFに含めることが好ましい。この場合は、画像をメッシュに区切り、メッシュ単位で削除/追加コードを付して、削除対象のメッシュと追加対象のメッシュを未来系IDにて多層化することにより、画像データベースMD1において一元管理することが好ましい。そして、未来系IDが付されたメッシュについての画像データは、差分データDFに含めることが好ましい。こうすれば、差分データDFを受信したナビゲーション装置200において、画像データベースCD1に記述した画像についても更新することが容易にできる。
【0102】
・第4変形例:
上記実施例では、未来系IDのみを用いて、ネットワークデータの世代管理を行っているが、現実のネットワークデータの更新は、路線ごとに逐一行うことが困難である場合もある。このような場合は、複数種類の未来系IDが属する未来系グループIDをさらに追加することが好ましい。こうすれば、複数種類の未来系IDが付された複数の更新を、未来系グループIDを用いて抽出することができる。例えば、更新される路線単位で異なる未来系IDを付し、同じ更新時期に更新対象とすべき路線の群について、未来系グループIDを付しても良い。こうすれば、複数の路線について更新するための差分データDFを、未来系グループIDを用いて、容易に作成できる。また、未来系IDを用いて差分データDFを作成することと、未来系グループIDを用いて差分データDFを作成することもできるので、路線単位の更新や、複数の路線をまとめたグループ単位での更新も容易に行うことができる。
【0103】
・第5変形例:
上記メイン地図データサーバ100は、自身の現行世代データGE1を、自身で記憶している第1の次世代データGE2および第2の次世代データGE3を反映するように更新する更新処理部を備えることが好ましい。更新の手法は、図12を用いて説明したナビゲーション装置200における更新処理のステップS240〜S270と同様である。こうすることで、随時に、現行世代データGE1を更新することにより、管理する世代数が増大することを抑制することができる。
【0104】
・第6変形例:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0105】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0106】
10…地図データ更新システム
100…メイン地図データサーバ
102…通信部
104…制御部
105…記憶部
150…凍結地図データサーバ
152…通信部
154…制御部
155…記憶部
200…ナビゲーション装置
201…GPS受信機
202…表示パネル
203…タッチパネル
204…音声出力部
205…キー入力部
206…無線通信回路
207…外部記憶装置
210…主制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図ネットワークデータの更新方法、電子地図データ記憶装置、電子地図更新データ、および、地図データ更新システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、車や歩行者に経路案内を行う技術を始めとして、地表上の施設や道路などの情報を電子機器の表示部に表示することは広く行われている。ところで、現実の世界の道路状況は、随時、整備されて更新されていく。このため、地図データにおいても道路情報を、現実世界の道路状況に応じて、更新することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−90195号公報
【特許文献2】特開2008−96706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような地図データの更新を効率良く行う技術が求められている。
【0005】
本発明は、効率の良い地図データの更新を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]コンピュータが、複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを含む電子地図データを更新する方法であって、
(a)更新前のネットワークにおいて、前記更新によって全体が削除されるリンクである削除対象リンクを設定する工程と、
(b)前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードに設定する工程と、
(c)更新前のネットワークにおいて、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続している削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することにより、前記仮想ノードを設定する工程と、
(d)前記仮想ノードが配置されている前記分離対象接続リンクがある場合には、前記分離対象接続リンクの全てを、前記仮想ノードと前記削除端ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離する工程と、
(e)前記更新によって追加される更新データのノードおよびリンクである追加対象要素を準備する工程であって、前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とするリンクである仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外では更新前のネットワークとの接続を持たないように準備される工程と、
(f)前記更新前のネットワークから前記削除対象リンクと前記削除対象ノードを削除し、前記削除接続リンクが存在する場合には前記削除接続リンクを削除すると共に、前記更新前のネットワークに前記追加対象要素を追加することにより、ネットワークデータを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
【0008】
第1適用例における方法によれば、仮想ノードを介して、追加対象要素を、削除対象リンクと削除対象ノードと第2の接続リンクを入れ替えるだけで容易に地図データの世代更新を実現できる。
【0009】
[適用例2]請求項2に記載の電子地図データの更新方法であって、 前記(c)工程において、削除端ノードの全てについて、前記(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置することにより、仮想ノードを設定する、電子地図データの更新方法。
こうすれば、仮想ノードに接続されたリンクの整合性を確認するだけで確実な世代更新を実現できる。
【0010】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の電子地図データの更新方法であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記方法は、さらに、
(g)前記更新前の前記属性データの中から、前記更新によって削除される前記属性データである削除対象属性データを設定する工程と、
(h)前記更新によって追加される前記属性データである追加属性データを準備する工程と、
(i)前記更新前の属性データベースから前記削除対象属性データを削除すると共に、前記更新前の属性データベースに前記追加属性データを追加することにより、前記更新目の属性データベースを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
こうすれば、属性データについても含めて容易に地図データの世代更新を実現できる。
【0011】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の電子地図データの更新方法であって、
前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクと前記追加対象要素は、同一の識別情報と関連付けられており、
前記(f)工程では、前記同一の識別情報と関連付けられた前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクを削除し、前記同一の識別情報と関連付けられた前記追加対象要素を追加する、電子地図データの更新方法。
こうすれば、識別情報を用いて、世代更新を容易に管理できる。
【0012】
[適用例5]複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを少なくとも含む電子地図データを格納する電子地図データ記憶装置であって、
更新前のネットワークをデータとして記憶する更新前データ記憶部と、
更新時に新たに追加すべきノードおよびリンクである追加対象要素をデータとして記憶する更新データ記憶部と、
を備え、
前記更新前のネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードと前記削除対象ノードでない非削除ノードとを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに配置された仮想ノードを前記更新前のネットワークと前記更新後のネットワークに共通するノードとして記憶し、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない、電子地図データ記憶装置。
【0013】
適用例5における地図データ装置によれば、少ない情報量で複数の世代に亘って、地図データを記憶しておくことができる。さらに、仮想ノードを介して、追加対象要素を、削除対象の要素と入れ替えるだけで容易に地図データの世代更新を実現できる状態で複数の世代に亘る地図データを記憶しておくことができる。
【0014】
[適用例6]適用例5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記更新前のネットワークにおいて、前記分離対象接続リンクは、前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離して記憶されている、電子地図データ記憶装置。
こうすれば、仮想ノードを介して、追加対象要素を、削除対象リンクと削除対象ノードと削除接続リンクを入れ替えるだけで容易に地図データの世代更新を実現できる。
【0015】
[適用例7]適用例5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記更新前データ記憶部は、前記第1の世代のネットワークに関連付けられた前記属性データである更新前属性データを記憶し、
前記更新後データ記憶部は、前記更新時に新たに追加すべき前記属性データを記憶する、地図データ装置。
こうすれば、属性データについても含めて容易に複数の世代に亘って、地図データを記憶しておくことができる。
【0016】
[適用例8]適用例5に記載の地図データ記憶装置は、さらに、
前記削除対象リンクと、前記削除対象接続リンクのうちの前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクを前記更新前データ記憶部から削除すると共に、前記追加対象要素を前記更新前データ記憶部に追加することにより、前記更新前データ記憶部を更新する更新処理部を備える、電子地図データ装置。
こうすれば、更新処理部により世代交代を容易に行うことができる。
【0017】
[適用例9]電子地図更新データを受信する受信部と、
分離対象接続リンクの全てを、受信された前記電子地図更新データに定義された仮想ノードと削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離するリンク分離部と、
削除対象要素と、削除接続リンクを記憶装置から削除すると共に、前記追加対象要素を前記記憶装置に追加することにより、前記記憶装置において更新前のネットワークを更新後のネットワークに更新する更新部と、
を有する前記記憶装置のコンピュータにより使用される
電子地図更新データであって
前記更新後において新たに追加すべきノードおよびリンクである前記追加対象要素を定義した追加データ部と、
前記更新前のネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを前記削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続しているノードを削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することによって設定された前記仮想ノードを定義した仮想ノード部と、
を備え、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない電子地図更新データ。
こうすれば、前記記憶装置のコンピュータは、電子地図更新データを受信して、容易に更新前のネットワークを更新することができる。
【0018】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、更新前のネットワークを含む電子地図データを記憶する受信側情報処理装置と、受信側情報処理装置に対して、電子地図更新データを送信する送信側情報処理装置と、を含む地図データ更新システム、電子地図データ更新プログラム、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例としての地図表示システムの概略構成を示す説明図。
【図2】ナビゲーション装置および凍結地図データサーバに格納されたデータベースの内容を説明する図。
【図3】メイン地図データサーバに格納されたデータベースの内容を概念的に示す第1の図。
【図4】メイン地図データサーバに格納されたデータベースの内容を概念的に示す第2の図。
【図5】メイン地図データサーバに格納されたデータベースの内容を概念的に示す第3の図。
【図6】ネットワークデータのうちノードデータを概念的に示す図。
【図7】ネットワークデータのうちリンクデータを概念的に示す図。
【図8】属性データベースの内容を概念的に示す図。
【図9】整備処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図10】整備と差分データの配信について説明する図。
【図11】差分データの一例を概念的に示す図。
【図12】更新処理の処理ルーチンを示すフローチャート。
【図13】差分データを用いた更新処理を概念的に示す第1の図。
【図14】差分データを用いた更新処理を概念的に示す第2の図。
【図15】地図更新の一例を示す第1の図。
【図16】地図更新の一例を示す第2の図。
【図17】従来の差分データを用いたネットワークデータの更新について説明する図。
【図18】第1変形例について説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0021】
A.実施例:
・地図表示システムの構成:
図1は、実施例としての地図データ更新システム10の概略構成を示す説明図である。図示するように、実施例の地図データ更新システム10は、メイン地図データサーバ100と、凍結地図データサーバ150と、基地局BSと、地図データを利用するクライアント装置としてのナビゲーション装置200とを含んでいる。メイン地図データサーバ100と、凍結地図データサーバ150と、基地局BSは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。ナビゲーション装置200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、ナビゲーション装置200は、基地局BSを介して、メイン地図データサーバ100と通信を行うことができる。
【0022】
本実施例のナビゲーション装置200は、地図データを記憶する記憶装置として機能すると共に、地図データに基づく地図を表示する地図表示装置として機能することができる。また、ナビゲーション装置200は、GPS受信機201を備えており、これと地図表示機能とを用いて経路案内を行う機能を備えている。ナビゲーション装置200は、車などの移動体に搭載されていても良いし、利用者が持ち歩ける携帯装置であっても良い。
【0023】
ナビゲーション装置200は、GPS受信機201と、表示パネル202と、タッチパネル203と、音声出力部204と、キー入力部205と、無線通信回路206と、地図データ記憶装置として機能する外部記憶装置207と、主制御部210と、を備えている。
【0024】
GPS受信機201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。
【0025】
表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。液晶ディスプレイは、たとえば、480画素×640画素(VGA)の解像度を有する。表示パネル202には、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示装置を採用することが可能である。
【0026】
タッチパネル203は、指やタッチペンによる押圧を検知し、押圧された位置を表す電気信号を主制御部210に対して出力する。タッチパネル203は、無色透明であり、表示パネル202の画像表示面の全体に亘って積層されている。この結果、ナビゲーション装置200の利用者は、例えば、表示パネル202に表示された画面に含まれるアイコンなどのGUI(Graphical User Interface)を指やタッチペンで押圧することで、ナビゲーション装置200の操作を行うことができる。
【0027】
音声出力部204は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などから構成される。
【0028】
キー入力部205は、利用者からナビゲーション装置200に対する要求を受け付ける操作キーなどのキー群から構成される。ナビゲーション装置200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作を行うことができる。
【0029】
無線通信回路206は、基地局BSとの間でデータ通信を行うための回路である。無線通信回路206は、基地局BSを介して、メイン地図データサーバ100からデータの受信を行うデータ受信部として機能する。
【0030】
外部記憶装置207は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶装置207には、地図データとして、画像データベースCD1と経路データベースCD2と属性データベースCD3が格納されている。これらの内容については後述する。
【0031】
ナビゲーション装置200の主制御部210は、ナビゲーション装置200の上述した各部201〜207を制御するためのコンピュータである。主制御部210は、図示しない中央演算回路(CPU)と、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。
【0032】
ナビゲーション装置200の内部記憶装置には、地図表示および経路案内のためナビゲーションプログラムが格納されている。このプログラムは、例えば、凍結地図データサーバ150やメイン地図データサーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。主制御部210は、このプログラムを実行することで、後述する処理/機能を実現する。
【0033】
メイン地図データサーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部105とを備えている。制御部104は、メイン地図データサーバ100の上述した通信部102および記憶部105を制御するためのコンピュータである。通信部102は、独立回線を介して凍結地図データサーバ150と、インターネットINTと基地局BSを介してナビゲーション装置200と、それぞれ通信を行うことができる。記憶部105には、地図データとして、画像データベースMD1と経路データベースMD2と属性データベースMD3が格納されている。これらのデータベースの内容については後述する。
【0034】
凍結地図データサーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶部155とを備えている。記憶部155には、地図データとして、画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3とが格納されている。これらのデータベースの内容については後述する。制御部154は、凍結地図データサーバ150の上述した通信部152および記憶部155を制御するためのコンピュータである。通信部152は、専用の独立回線を介してメイン地図データサーバ100と通信を行うことができる。
【0035】
メイン地図データサーバ100の制御部104および凍結地図データサーバ150の制御部154は、それぞれ、図示しないCPUと、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。制御部104および制御部154の内部記憶装置には、地図データを取り扱うプログラムが格納されている。制御部104および記憶部105は、これらのプログラムを実行することにより、後述する様々な処理/機能を実現する。
【0036】
本実施例では、凍結地図データサーバ150とメイン地図データサーバ100とは、専用の独立回線を介して接続されるものとしたが、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して接続されるものとしてもよい。また、メイン地図データサーバ100と凍結地図データサーバ150は、一つのサーバ計算機によって構成されることも可能である。
【0037】
図2は、ナビゲーション装置200および凍結地図データサーバ150に格納されたデータベースの内容を説明する図である。凍結地図データサーバ150に格納された画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3は、第1の時期にメイン地図データサーバ100に格納されていた、第1の時期では最新の状態にある画像データベースMD1と経路データベースMD2と属性データベースMD3に基づいて作成されている。メイン地図データサーバ100に格納されている画像データベースMD1、経路データベースMD2、および、属性データベースMD3は、後述するように、随時、現在または将来の道路状況に応じて整備されている。上述したように、所定の時期では最新の状態にある画像データベースMD1と経路データベースMD2と属性データベースMD3に基づいて、凍結地図データサーバ150に格納された画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3を作成することを「凍結」と呼ぶ。ナビゲーション装置200に格納されている画像データベースCD1と経路データベースCD2と属性データベースCD3は、それぞれ、凍結地図データサーバ150に格納された画像データベースFD1と経路データベースFD2と属性データベースFD3とをコピーして商品化されたものであり、内容は同一である。図2は、画像データベースCD1、FD1と経路データベースCD2、FD2と、属性データベースCD3、FD3の内容が、それぞれ、概念的に示されている。
【0038】
画像データベースCD1、FD1には、地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0039】
経路データベースCD2、FD2には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路に関する経路データが格納されている。経路データは、交通経路の地表上における配置を示すネットワークを表すデータである。ネットワークデータは、交通経路における要素点N1(ノードと呼ぶ。)を表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分L1(リンクと呼ぶ)を表すリンクデータとを含む。ノードN1は、例えば、交差点、分岐点、終点、始点、駅などの乗降位置などを表している。リンクL1は、例えば、車道、線路、歩行者道などの交通経路を表している。
【0040】
属性データベースCD3、FD3には、属性データが格納されている。属性データは、ノードN1あるいはリンクL1に関連付けられており、その属性を示す情報である。属性データは、ノードN1、リンクL1に関する様々なデータを含む。例えば、リンクL1に関連付けられる属性データは、リンクL1の名称(例えば、道路の名称)、リンクL1の種類(例えば、高速道路であること)、リンクL1に関するその他の情報(例えば、高速道路であれば、区間料金など)、ノードN1の名称(例えば、交差点、駅の名称)を含む。ノードN1に関連付けられる属性データは、関連付けられたノードN1に関する画像を表す画像データ、具体的には、例えば、ノードN1(例えば、交差点、駅)の分岐状況を示す模式図や案内板を示す画像、あるいは、ノードN1の周辺の撮影画像を含んでも良い。1つのノードN1またはリンクL1に関連付けられる属性データは、1つであっても良いし、複数であっても良い。また、属性データベースCD3、FD3は、1つのデータベースである必要はなく、例えば、高速道路に関する属性データと、店舗や駅などの物件に関する属性データとは、別々のデータベースとしても良い。
【0041】
図3は、メイン地図データサーバ100に格納されたデータベースの内容を概念的に示す第1の図である。図4は、メイン地図データサーバ100に格納されたデータベースの内容を概念的に示す第2の図である。図5は、メイン地図データサーバ100に格納されたデータベースの内容を概念的に示す第3の図である。
【0042】
画像データベースMD1は、ナビゲーション装置200および凍結地図データサーバ150に格納されている画像データベースCD1、FD1と同一である。一方、経路データベースMD2は、現行世代データGE1と、第1の次世代データGE2と、第2の次世代データGE3とを含む。現行世代データGE1は、上述した第1の時期において、凍結地図データサーバ150に凍結された経路データベースCD2と同一のリンクL1およびノードN1を含む経路データである。第1の次世代データGE2は、凍結が行われた第1の時期から、第1の時期より後の第2の時期までの期間に変更のあった、または、変更がある予定である交通経路を表すネットワークデータ(ノードN2およびリンクL2からなる)を含む経路データである。第2の次世代データGE3は、第2の時期から、第2の時期より後の第3の時期までの期間に変更のあった、または、変更がある予定である交通経路を表すネットワークデータ(ノードN3およびリンクL3からなる)を含む経路データである。
【0043】
ここで、現行世代データGE1および第1の次世代データGE2および第2の次世代データGE3は、それぞれ、通常のノードN1、N2、N3とは異なる時空間ノードFN1、FN2、FN3を含む。第1の次世代データGE2に含まれる時空間ノードFN2は、それぞれ、図3において破線の矢印で示すように、現行世代データGE1に含まれる時空間ノードFN1と、1対1の関係で対応付けられている。第2の次世代データGE3に含まれる時空間ノードFN3は、それぞれ、図3において破線の矢印で示すように、現行世代データGE1に含まれる時空間ノードFN1と、1対1の関係で対応付けられている。互いに対応する時空間ノードは、地表上の座標、すなわち、緯度および経度(さらに、高度を有する場合は、高度)が、完全に一致している。本実施例における一対の時空間ノードは、特許請求の範囲における仮想ノードに対応している。
【0044】
図4には、第1の次世代データGE2の構成の詳細が、第1の次世代データGE2に関連する現行世代データGE1の構成の詳細と共に示されている。図4では、現行世代データGE1に含まれるノードN1、リンクL1、時空間ノードFN1、および、第1の次世代データGE2に含まれるノードN2、リンクL2、時空間ノードFN2について、さらに、末尾に番号を付して、1つずつを区別して図示している。
【0045】
第1の次世代データGE2の内容は、現行世代データGE1の内容に対して、第2の時期において変更になる部分に関するデータのみを含む差分データである。第1の次世代データGE2は、第2の時期において、追加対象となるノードとして、N201〜N204の4つのノードを含んでいる。第1の次世代データGE2は、4つのノードのうちの2つの間を接続するリンクL202〜L205を含んでいる。さらに、第1の次世代データGE2は、一方の端部が通常のノードに接続され、他方の端部(終端)が時空間ノードに接続されたリンクを有している。具体的には、一方の端部がノードN201に接続され、終端が時空間ノードFN21に接続されたリンクL201と、一方の端部がノードN204に接続され、終端が時空間ノードFN22に接続されたL206を含んでいる。第1の次世代データGE2に含まれるネットワークデータ(ノードとリンク)は、時空間ノードFN21、FN22においてのみ、現行世代データGE1のネットワークデータと関連付けられている。第1の次世代データGE2のネットワークデータの他の要素は、現行世代データGE1のネットワークデータとは関連付けられていない。全ての時空間ノードFN2は、一本のリンクのみが接続された終端となっている。本実施例において、第2の時期において追加対象となるノードN201〜N204、リンクL201〜L206は、特許請求の範囲における追加対象要素に対応する。
【0046】
現行世代データGE1に対して、第1の次世代データGE2のデータが反映されたときに、すなわち、現行世代データGE1を第2の時期の道路状況に更新する世代交代が行われたときに、現行世代データGE1から全体が削除されるリンク(削除対象リンク)は、図4の例では、リンクL103である。リンクL103の両端に接続されているノードN102、および、N103は、自動的に削除対象のノード(削除対象ノード)に設定される。削除対象リンクおよび削除対象ノードは、例えば、第1の次世代データGE2を作成する際に、オペレータによって設定される。
【0047】
一方で、現行世代データGE1において、ノードN101およびN104は、第1の次世代データGE2を用いた世代交代が行われたときに、削除されないノード(非削除ノード)である。非削除ノードと削除対象ノードとを接続するリンクは、全て時空間ノードFN1が配置されるリンク(時空間ノード配置リンク)となる。第1の次世代データGE2が作成する際に、現行世代データGE1において、時空間ノード配置リンクは、時空間ノードFN1が配置され、時空間ノードFN1により2つに分割される。具体的には、図4に示すように、削除対象ノードN102と非削除ノードN101とを接続するリンクには、時空間ノードFN11が配置され、非削除ノードN101と時空間ノードFN11とを接続する非削除側リンクL101と、時空間ノードFN11と削除対象ノードN102とを接続する削除側リンクL102とに分割される。また、図4に示すように、削除対象ノードN103と非削除ノードN104とを接続するリンクには、時空間ノードFN12が配置され、非削除ノードN104と時空間ノードFN12とを接続する非削除側リンクL105と、時空間ノードFN12と削除対象ノードN103とを接続する削除側リンクL104とに分割される。本実施例における非削除側リンクは、特許請求の範囲における残余接続リンクに対応し、本実施例における削除側リンクは、特許請求の範囲における削除接続リンクに対応する。
【0048】
図5には、第2の次世代データGE3の構成の詳細が、第2の次世代データGE3に関連する現行世代データGE1の構成の詳細と共に示されている。図5では、図4と同様に、現行世代データGE1に含まれるノードN1、リンクL1、時空間ノードFN1、および、第2の次世代データGE3に含まれるノードN3、リンクL3、時空間ノードFN3について、さらに、末尾に番号を付して、1つずつを区別して図示している。
【0049】
第2の次世代データGE3の内容は、現行世代データGE1の内容に対して、第3の時期において変更になる部分に関するデータのみを含む差分データである。第2の次世代データGE3は、第3の時期において、追加対象となるノードとして、N301〜N306の6つのノードを含んでいる。第2の次世代データGE3は、6つのノードのうちの2つの間を接続するリンクL307〜L312を含んでいる。さらに、第2の次世代データGE3は、一方の端部が通常のノードに接続され、他方の端部(終端)が時空間ノードに接続されたリンクを有している。具体的には、ノードN301と時空間ノードFN33とを接続するリンクL301と、ノードN302と時空間ノードFN34とを接続するリンクL302と、ノードN303と時空間ノードFN35とを接続するリンクL303と、ノードN304と時空間ノードFN36とを接続するリンクL304と、ノードN305と時空間ノードFN37とを接続するリンクL305と、ノードN306と時空間ノードFN38とを接続するリンクL306とを含んでいる。第2の次世代データGE3に含まれるネットワークデータ(ノードとリンク)は、時空間ノードFN33〜FN38においてのみ、現行世代データGE1のネットワークデータと関連付けられている。第2の次世代データGE3のネットワークデータの他の要素は、現行世代データGE1のネットワークデータとは関連付けられていない。全ての時空間ノードFN3は、一本のリンクのみが接続された終端となっている。本実施例において、第3の時期において追加対象となるノードN301〜N306、リンクL301〜L212は、特許請求の範囲における追加対象要素に対応する。
【0050】
現行世代データGE1に対して、第2の次世代データGE3のデータが反映されたときに、すなわち、現行世代データGE1を第3の時期の道路状況に更新する世代交代が行われたときに、現行世代データGE1から全体が削除される削除対象リンクは、図5の例では、リンクL112である。リンクL112の両端に接続されているノードN108、および、N109は、自動的に削除対象ノードに設定される。削除対象リンクおよび削除対象ノードは、例えば、第2の次世代データGE3を作成する際に、オペレータによって設定される。
【0051】
一方で、現行世代データGE1において、ノードN105〜N107およびN110〜N112は、第2の次世代データGE3を用いた世代交代が行われたときに、削除されない非削除ノードである。非削除ノードと削除対象ノードとを接続するリンクは、全て時空間ノードFN1が配置される時空間ノード配置リンクとなる。第2の次世代データGE3が作成する際に、現行世代データGE1において、時空間ノード配置リンクは、時空間ノードFN1が配置され、時空間ノードFN1により2つに分割される。具体的には、図5に示すように、削除対象ノードN108と非削除ノードN105を接続するリンクには、時空間ノードFN13が配置され、非削除ノードN105と時空間ノードFN13とを接続する非削除側リンクL106と、時空間ノードFN13と削除対象ノードN108とを接続する削除側リンクL107とに分割される。また、図5に示すように、削除対象ノードN108と非削除ノードN106を接続するリンクには、時空間ノードFN14が配置され、非削除ノードN106と時空間ノードFN14とを接続する非削除側リンクL108と、時空間ノードFN14と削除対象ノードN108とを接続する削除側リンクL109とに分割される。図5に示すように、削除対象ノードN108と非削除ノードN112を接続するリンクには、時空間ノードFN18が配置され、非削除ノードN112と時空間ノードFN18とを接続する非削除側リンクL111と、時空間ノードFN18と削除対象ノードN108とを接続する削除側リンクL110とに分割される。同様にして、削除対象ノードN109と非削除ノードN107を接続するリンクには、時空間ノードFN15が配置され、非削除ノードN107と時空間ノードFN15とを接続する非削除側リンクL113と、時空間ノードFN15と削除対象ノードN109とを接続する削除側リンクL114とに分割される。同様にして、削除対象ノードN109と非削除ノードN110を接続するリンクには、時空間ノードFN16が配置され、非削除ノードN110と時空間ノードFN16とを接続する非削除側リンクL118と、時空間ノードFN16と削除対象ノードN109とを接続する削除側リンクL117とに分割される。同様にして、削除対象ノードN109と非削除ノードN111を接続するリンクには、時空間ノードFN17が配置され、非削除ノードN111と時空間ノードFN17とを接続する非削除側リンクL116と、時空間ノードFN17と削除対象ノードN109とを接続する削除側リンクL115とに分割される。
【0052】
図6は、経路データベースMD2の上述した構成に対応するネットワークデータのうち、ノードデータを概念的に示す図である。図6に示すノードデータは、1行に1つのノードに関するデータが記述されている。整理番号は、理解の容易のために、図4および図5に付したノードの符号と同一のものを用いている。実際には省略されても良いし、単なる整数の連番であっても良い。
【0053】
未来系IDは、世代交代に関連するノードに付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代に関連するノードには、未来系IDとして「001」が付されている。具体的には、図4における第1の次世代データGE2に含まれる通常のノードN201〜N204および時空間ノードFN21、FN22には、全て未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN102、N103には、同様に、全て未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2に含まれる時空間ノードFN21、FN22に対応する時空間ノードFN11〜FN12には、同様に、全て未来系IDとして「001」が付されている。
【0054】
同様にして、図5に示した第3の時期の世代交代に関連するノードには、未来系IDとして「002」が付されている。具体的には、図5における第2の次世代データGE3に含まれる通常のノードN301〜N306および時空間ノードFN33〜FN38には、全て未来系IDとして「002」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN108、109には、同様に、全て未来系IDとして「002」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3に含まれる時空間ノードFN33〜FN38に対応する時空間ノードFN13〜FN18には、同様に、全て未来系IDとして「002」が付されている。
【0055】
追加/削除コードは、未来系IDが付された各ノードについて、追加または削除のいずれかが付されている。例えば、図4における第1の次世代データGE2に含まれる通常のノードN201〜N204および時空間ノードFN21、FN22には、「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN102、N103には、「削除」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2に含まれる時空間ノードFN21、FN22に対応する時空間ノードFN11、FN12には、同様に、「削除」が付されている。
【0056】
図5における第2の次世代データGE3に含まれる通常のノードN301〜N306および時空間ノードFN33〜FN38には、「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される削除対象ノードN108、N109には、「削除」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3に含まれる時空間ノードFN33〜FN38に対応する時空間ノードFN13〜FN18には、「削除」が付されている。
【0057】
種別には、各ノードが通常のノードであるか、時空間ノードであるかが記述されている。緯度、経度には、各ノードの地表上における座標が緯度および経度の値によって記述されている。ここで、互いに対応する一対の時空間ノードは、緯度、および、経度が完全に一致している。例えば、図6に示すように、互いに対応する時空間ノードFN11と時空間ノードFN21とは、同じ緯度、経度である、x13、y13が記述されていることが解る。
【0058】
対応ノードには、各時空間ノードについて、対応する時空間ノードが記述されている。例えば、時空間ノードFN12には、対応ノードとして時空間ノードFN22が記述され、時空間ノードFN22には、対応ノードとして時空間ノードFN12が記述されている。これにより、時空間ノードFN12と時空間ノードFN22とが互いに対応する一対の時空間ノードであることが解る。
【0059】
図7は、経路データベースMD2の上述した構成に対応するネットワークデータのうち、リンクデータを概念的に示す図である。図7に示すリンクデータは、1行に1つのリンクに関するデータが記述されている。整理番号は、理解の容易のために、図4および図5に付したリンクの符号と同一のものを用いている。実際には省略されても良いし、単なる整数の連番であっても良い。
【0060】
未来系IDは、世代交代に関連するリンクに付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代に関連するリンクには、未来系IDとして「001」が付されている。具体的には、図4における第1の次世代データGE2に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL202〜N205および時空間ノードFN21、22を終端とするリンクL201、206には、全て未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するリンクのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において全体が削除される削除対象リンクL103には、同様に、未来系IDとして「001」が付されている。また、現行世代データGE1に属するリンクのうち、上述した削除側リンクL102、L104には、同様に、全て未来系IDとして「001」が付されている。
【0061】
追加/削除コードは、未来系IDが付された各リンクについて、追加または削除のいずれかが付されている。例えば、図4における第1の次世代データGE2に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL202〜L205および時空間ノードFN21、FN22を終端とするリンクL201、L206には、全て「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される削除対象リンクL103、および、削除側リンクL102、L104には、「削除」が付されている。
【0062】
図5における第2の次世代データGE3に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL307〜L312および時空間ノードFN33、FN38を終端とするリンクL301〜L306には、全て「追加」が付されている。また、現行世代データGE1に属するノードのうち、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される削除対象リンクL112、および、削除側リンクL107、L109、L110、L114、L115、L117には、全て「削除」が付されている。
【0063】
種別には、各リンクがリンクであることが記述されている。第1端ノードには、各リンクの一端が接続しているノードが記述され、第2端ノードには、各ノードの他端が接続しているノードが記述される。例えば、リンクL101は、ノードN101と、時空間ノードFN11とを接続するノードであることが解る。
【0064】
規制情報には、各リンクに規制がある場合に記述される。規制情報には、例えば、リンクが表す経路が一方通行の道路である場合に、その旨が記述される。例えば、リンクL108には、規制情報として、第1端ノードから第2端ノードへと向かう方向にしか車の通行が許されない一方通行であることが記述されている。また、リンクL113には、規制情報として、第2端ノードから第1端ノードへと向かう方向にしか車の通行が許されない一方通行であることが記述されている。規制情報が記述されていないリンクは、両方向に通行可能な普通の道路であることを表している。このようなリンクには、規制情報として「両方通行」と明確に記述することとしても良い。
【0065】
図8は、属性データベースMD3の内容を概念的に示す図である。図7に示す属性データは、1行に1つの属性データが記述されている。整理番号は、理解の容易のために、図1、4および5に付した符号と同一のものを用いている。実際には省略されても良いし、単なる整数の連番であっても良い。
【0066】
未来系IDは、世代交代に関連する属性データに付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代に関連する属性データZ21、Z22には、未来系IDとして「001」が付されている。同様にして、図5に示した第3の時期の世代交代に関連する属性データZ31、Z32、Z13には、未来系IDとして「002」が付されている。
【0067】
追加/削除コードは、未来系IDが付された各属性データについて、追加または削除のいずれかが付されている。例えば、図4に示した第2の時期の世代交代において追加される属性データZ21、Z22には、および、図5に示した第3の時期の世代交代において追加される関連する属性データZ31、Z32には、「追加」が付されている。現行世代データGE1に属するノードのうち、第1の次世代データGE2を用いて行う世代交代において削除される属性データ(図4では対象なし)や、第2の次世代データGE3を用いて行う世代交代において削除される属性データZ13には、「削除」が付されている。
【0068】
対応要素は、各属性情報が関連付けられているノードまたはリンクが記述されている。例えば、属性データZ13は、リンクL114に関連付けられていることが解る。項目は、属性情報の内容であり、上述したように複数である場合もある。項目としては、上述したようにリンクの名称、種類、その他の情報、ノードの名称、ノードの分岐状況を示す模式図や案内板を示す画像などを含む。
【0069】
ここで、一度、凍結が行われた後に経路データベースMD2(現行世代データGE1のみを含む)に対して、随時に、第1の次世代データGE2や第2の次世代データGE3を加えていく処理(整備処理)について説明する。図9は、整備処理の処理ステップを示すフローチャートである。
【0070】
整備処理は、例えば、時期開通予定の道路などが現実に存在し、そのデータが経路データベースMD2に格納されていないときに行われる。整備処理が開始されると、まず、削除対象リンクが設定される(ステップS110)。例えば、図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、先ず、リンクL103が削除対象リンクに設定される。具体的には、図7に示すリンクデータにおいて、リンクL103の追加/削除コードに「削除」と記述される。削除対象リンクに設定は、例えば、オペレータによって実行される。
【0071】
削除対象リンクが設定されると、削除対象リンクの両端に位置しているノードが削除対象ノードに設定される(ステップS120)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、先ず、リンクL103の両端に位置するノードN103とノードN104が削除対象ノードに設定される。具体的には、図6に示すノードデータにおいて、ノードN103とノードN104の追加/削除コードに「削除」と記述される。削除対象ノードの設定は、例えば、オペレータによって実行されても良いし、コンピュータが自動的に行っても良い。
【0072】
削除対象ノードが設定されると、時空間ノードが配置される(ステップS130)。時空間ノードは、先ず、現行世代データGE1において、時空間ノードFN1が、設定された削除対象ノードと、非削除ノードとを接続する全ての時空間ノード配置リンク上に配置される。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、削除対象ノードN103と非削除ノードN104とを接続する時空間ノード配置リンクに時空間ノードFN12が配置され、削除対象ノードN102と非削除ノードN101とを接続する時空間ノード配置リンクに時空間ノードFN11が配置される。具体的には、図6に示すノードデータにおいて、時空間ノードFN11と時空間ノードFN12のデータが追加される。さらに、現行世代データGE1において配置された時空間ノードに対応する次世代の時空間ノードが配置される。具体的には、図6に示すノードデータにおいて、時空間ノードFN11、FN12とそれぞれ対応する時空間ノードFN12、FN22のデータが追加される。現行世代データGE1に記述された時空間ノードFN11、FN12は追加/削除コードが「削除」と記述され、第1の次世代データGE2に記述された時空間ノードFN21、FN22は追加/削除コードが「追加」と記述される。時空間ノードの配置は、例えば、オペレータによって実行される。
【0073】
時空間ノードが配置されると、現行世代データGE1において時空間ノードが配置された時空間ノード配置リンクが時空間ノードによって分離される(ステップS140)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、削除対象ノードN103と非削除ノードN104とを接続する時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL105と削除側リンクL104に分離される。具体的には、図7に示すリンクデータにおいて、これまで1つのリンクとして記述されていた時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL105と削除側リンクL104とに分けて記述される。また、削除対象ノードN102と非削除ノードN101とを接続する時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL101と削除側リンクL102に分離される。具体的には、図7に示すリンクデータにおいて、これまで1つのリンクとして記述されていた時空間ノード配置リンクは、非削除側リンクL101と削除側リンクL102とに分けて記述される。ここで、削除側リンクL102および削除側リンクL104は、追加/削除コードが「削除」と記述される。
【0074】
次いで、追加対象ノードおよび追加対象リンクが記録される(ステップS150)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、第1の次世代データGE2に含まれる全ての通常のノードN101〜N104が、図6に示すノードデータに記録される。また、第1の次世代データGE2に含まれる全てのリンク、すなわち、通常のリンクL202〜N205および時空間ノードFN21、22を終端とするリンクL201、206が、図7に示すリンクデータに記録される。追加対象ノードおよび追加対象リンクが記録は、例えば、オペレータによって実行される。
【0075】
次いで、削除属性データが設定される(ステップS160)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理では、削除される属性データはないので本ステップは省略される。一方、図5に示す第2の次世代データGE3を追加する整備処理では、属性データZ13が削除属性データに設定される。具体的には、図8に示す属性データにおいて、属性データZ13の追加/削除コードに「削除」と記述される。削除属性データの設定は、例えば、オペレータによって実行される。
【0076】
次いで、追加属性データが設定される(ステップS170)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、図8に示す属性データにおいて、属性データZ21およびZ22が記述される。追加属性データの設定は、例えば、オペレータによって実行される。
【0077】
次いで、上述した各ステップS110〜S170までにおいて設定された削除対象リンク、削除対象ノード、時空間ノード、削除側リンク、追加対象ノード、追加対象リンク、削除属性データ、追加属性データに共通の未来系IDを設定する(ステップS180)。図4に示す第1の次世代データGE2を追加する整備処理を例に説明すると、図6に示すノードデータにおいて削除対象ノードN102、N103、および、時空間ノードFN11、FN12、FN21、FN22、および、追加対象ノードN201〜N204に、未来系ID「001」を付する。同様にして、図7に示すリンクデータにおいて、削除側リンクL102、L104、および、削除対象リンクL103、および追加対象リンクL201〜L206に、同じ未来系ID「001」を付する。さらに、図8に示す属性データにおいて、追加属性データZ21、Z22に、同じ未来系ID「001」を付する。
【0078】
未来系IDを設定すると、整備処理は終了される。なお、ステップS110〜S180までの順序は、任意に入れ替え可能であり、図9に示す順序に限られない。例えば、未来系IDの設定を一番始めに行うこともできる。
【0079】
図10は、整備と差分データの配信について説明する図である。第1の次世代データGE2や第2の次世代データGE3の整備処理は、現実に対象となる経路が開通する前に、道路の整備計画などを活用して先行して行うことが好ましい。例えば、現実に対象となる経路が開通した直後に、その経路を反映した第1の次世代データGE2に基づく差分データを、凍結時のデータである現行世代データGE1の利用装置(例えば、ナビゲーション装置200)に配信することができるからである。
【0080】
図11は、差分データの一例を概念的に示す図である。図11は、現行世代データGE1を利用するナビゲーション装置200に対して、配信される差分データDF001を示している。差分データDF001は、第1の次世代データGE2の内容を、現行世代データGE1に反映させて、世代更新をさせるためのデータである。具体的には、差分データは、ノード差分データと、リンク差分データと、属性差分データを含む。ノード差分データは、図6に示すノードデータのうち、未来系ID「001」が付された行を抽出したデータである。リンク差分データは、図7に示すリンクデータのうち、未来系ID「001」が付された行を抽出したデータである。属性差分データは、図8に示す属性データのうち、未来系ID「001」が付された行を抽出したデータである。このように、第2の時期の内容を現行世代データGE1に反映させるための差分データDF001は、未来系ID「001」を用いて、図6〜図8に示すデータから対象となるデータを抽出するだけであるので容易に作成できる。図示は省略するが、第1の次世代データGE2の内容を、現行世代データGE1に反映させて、世代更新をさせるための差分データDF002は、未来系ID「002」を用いて、図6〜図8に示すデータから対象となるデータを抽出するだけで容易に作成できる。
【0081】
図12は、ナビゲーション装置200において実行される更新処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。更新処理は、差分データを用いて、ナビゲーション装置200が有する経路データベースCD2および属性データベースCD3を更新する処理である。
【0082】
更新処理は、ナビゲーション装置200において、差分データDFが受信された(ステップS210)ときに実行される。差分データDFが受信されると、ナビゲーション装置200の主制御部210は、差分データDFに記述された時空間ノードFN1を現行世代データGE1に配置する(ステップS220)。差分データDFには、時空間ノードFN1の座標(緯度、経度)が記述されているので、その座標を参照することによりナビゲーション装置200は、現行世代データGE1のいずれかのリンク上に時空間ノードFN1を配置することができる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、時空間ノードFN11をノードN101とノードN102とを接続するリンクに配置する。また、主制御部210は、時空間ノードFN12をノードN103とノードN104とを接続するリンクに配置する(図4)。
【0083】
時空間ノードFN1が配置されると、主制御部210は、時空間ノードFN1が配置されたリンクを時空間ノードFN1で分離する(ステップS230)。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、ノードN101とノードN102とを接続するリンクを、リンクL101とリンクL102に分離すると共に、ノードN103とノードN104とを接続するリンクを、リンクL104とリンクL105に分離する。
【0084】
分離を終えると、主制御部210は、経路データベースCD2および属性データベースCD3から削除対象の要素を削除する(ステップS240)。削除対象の要素は、差分データDFにおいて、追加/削除コードが「削除」になっているリンク、ノード、属性データである。したがって、主制御部210は、削除対象の要素を容易に認識できる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、現行世代データGE1に含まれるN102、N103、および、時空間ノードFN11、FN12を経路データベースCD2から削除する。また、主制御部210は、削除対象リンクL103、および、削除側リンクL102、L104を経路データベースCD2から削除する。
【0085】
削除対象の要素を削除すると、主制御部210は、経路データベースCD2、属性データベースCD3に追加対象の要素を追加する(ステップS250)。追加対象の要素は、差分データDFにおいて、追加/削除コードが「追加」になっているリンク、ノード、属性データである。したがって、主制御部210は、追加対象の要素を容易に認識できる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、ノード差分データに含まれるN201〜N204、および、時空間ノードFN21、FN22を経路データベースCD2に追加する。また、主制御部210は、追加対象のリンクL201〜L206を、経路データベースCD2に追加する。さらに、主制御部210は、追加対象の属性データZ21、Z22を属性データベースCD3に追加する。
【0086】
追加対象の要素を追加すると、主制御部210は、追加後の経路データベースCD2において時空間ノードFN2と接続しているリンクの整合性を確認する(ステップS260)。具体的には、時空間ノードFN2には、非削除側リンクと、新たに追加されたリンクの2本が接続されているはずである。そこで、主制御部210は、時空間ノードFN2に接続されている非削除側リンクと、新たに追加されたリンクとの規制情報が一致するか否かを確認する。時空間ノードFN2は、現実には、変化のない一本の道路に対応するリンクに仮想的に配置されるノードであるので、世代更新後において時空間ノードFN2を挟んで規制情報が変化することはない。例えば、世代交代前に時空間ノードFN2において所定の方向に一方通行である場合、時空間ノードFN2に接続されている非削除側リンクと新たに追加されたリンクとの規制情報には、共に同じ方向の一方通行であることが記述されているはずである。このため、世代更新が正常に行われていれば、全ての時空間ノードFN2において、非削除側リンクと、新たに追加されたリンクとの規制情報が一致するはずである。主制御部210は、本ステップの確認によって、世代更新が正常に行われたか否かを判定することができる。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、時空間ノードFN21に接続された非削除側リンクL101と、新たに追加されたリンクL201の規制情報が一致するか否かを確認する。また、時空間ノードFN22に接続された非削除側リンクL105と、新たに追加されたリンクL206の規制情報が一致するか否かを確認する。
【0087】
図示は省略するが、主制御部210は、本ステップの確認の結果、いずれかの時空間ノードFN2において、非削除側リンクと、新たに追加されたリンクとの規制情報が一致しない場合は、差分データDFの受信エラーであると判断して、メイン地図データサーバ100に対して差分データDFの再配信を要求して、再び差分データDFを受信して、本更新処理をやり直しても良い。
【0088】
主制御部210は、全ての時空間ノードFN2において、非削除側リンクと新たに追加されたリンクとの規制情報が一致した場合は、時空間ノードFN2を削除する(ステップS270)。すなわち、非削除側リンクと新たに追加されたリンクを一本のリンクとするように、経路データベースCD2を書き換える。図11に示す差分データDF001が受信された場合について説明すると、主制御部210は、時空間ノードFN21に接続された非削除側リンクL101と新たに追加されたリンクL201を、非削除ノードN101と新たに追加されたノードN201とを接続する一本のリンクに置き換える。主制御部210は、また、時空間ノードFN22に接続された非削除側リンクL105と新たに追加されたリンクL206を、非削除ノードN104と新たに追加されたノードN204とを接続する一本のリンクに置き換える。時空間ノードFN2は、削除せずに、通常のノードとして経路データベースCD2に残しておいても良い。時空間ノードFN2を削除すると、経路データベースCD2のデータ量の増加を抑制できる。
【0089】
図13は、差分データDF001を用いた更新処理を概念的に示す図である。図13は、時空間ノードFN2を削除する前まで(ステップS260まで)の更新処理を示している。時空間ノードFN1を終端にして、削除された削除対象要素FN1、L1、N1が符号DS1で示されている。削除対象要素DS1に代えて、時空間ノードFN2をつなぎ目として、経路データベースCD2に追加対象要素FN2、N2、L2が追加されていることが解る。また、追加属性データZ21、Z22が追加されていることが解る。
【0090】
図14は、差分データDF002を用いた更新処理を概念的に示す図である。図14は、時空間ノードFN3を削除する前まで(ステップS260まで)の更新処理を示している。時空間ノードFN1を終端にして、削除された削除対象要素FN1、L1、N1、および、削除された属性データZ13が符号DS2で示されている。削除対象要素DS2に代えて、時空間ノードFN3をつなぎ目として、経路データベースCD2に追加対象要素FN3、N3、L2が追加されていることが解る。また、追加属性データZ31、Z32が追加されていることが解る。
【0091】
この更新処理は、網をイメージすると理解しやすい。網を構成する部分のうち、分離対象の紐と結び目を完全に分離するように、分離対象の結び目と分離対象でない結び目を繋ぐ全ての紐を切断する。この結果、分離対象の紐と結び目は、下にポトリと落ちる。そして、新たに追加すべき紐と結び目を、切断した紐の端に接合する紐を全て含むように準備する。そして、切断した紐の端と、準備された紐の端を接合することにより、新たに追加すべき紐と結び目を網に追加する。この切断した紐の端に対応するのが本実施例における時空間ノードFN1であり、切断した紐の端と接合される紐の端に対応するのが本実施例における時空間ノードFN2およびFN3である。
【0092】
上記では、理解の容易のため、削除対象リンクが一本のみの簡単な例について説明したが、本実施例における手法を用いれば、より複雑な地図データの更新を容易に行うことができる。図15は、地図更新の一例を示す第1の図である。図16は、地図更新の一例を示す第2の図である。図15には、ある領域における現在の道路状況と、同一の領域における未来の道路状況を図示している。図16は、図15における現在の道路状況を示すネットワークデータと、現在の道路状況を示すネットワークデータを図15における未来のネットワークデータに更新するための未来整備データを図示している。図15に示す例では、太い実線HWは高速道路を示し、細い実線NOは一般道路を示している。また、点CRは、交差点を示している。図15に示す状況は、高速道路HWのインターチェンジにおいて、高速道路HWに乗り入れる一般道路NOを2条化する典型的な道路整備の一例である。図15に示す道路状況は、図16に示すように、交差点CRに対応するノードNCRと、高速道路HWおよび一般道路NOに対応するリンクLHWおよびLNOで表される。
【0093】
図16の左側に示すように未来の道路状況において削除対象になる道路を表すリンクの両端に位置するノードNCRを削除対象ノードとする。そして、削除対象ノードと非削除対象ノードとを接続するリンク全てに時空間ノードFNを配置する。そして、図16の右側に示すように、時空間ノードを終端とする追加対象リンクを全ての時空間ノードについて含むように、追加対象要素(追加対象のノード、リンク、属性データ)を未来整備データとして準備しておく。そして、未来整備データに未来系IDを付して管理しておけば、容易に現在のネットワークデータと、複数世代の未来整備データを同じ記憶装置で管理できる。さらに、未来整備データの内容について、現在のネットワークデータを更新する際に、削除対象となる現在のネットワークデータの構成要素に削除コードを関連付けると共に、未来整備データに追加コードを関連付けておく。こうすれば、削除コードが関連付けられた構成要素を現在のネットワークデータから削除すると共に、追加コードが関連付けられた未来整備データを現在のネットワークデータに追加することにより、簡単に、ネットワークデータの世代更新を行うことができる。
【0094】
さらには、上述したように、ナビゲーション装置200に記憶された現在のネットワークデータを未来整備データの内容を反映するように更新するための差分データを、未来系IDを用いて簡単に作成できる。図17は、従来の差分データを用いたネットワークデータの更新について説明する図である。従来の整備データベース1050は、現在の道路状況と未来の道路状況を多層化して管理できなかったため、従来の整備データベース1050の更新は、通常、現実に道路状況が変化してから行われていた。このため、整備データベース1050の整備時期が遅れていた。また、従来は、先行して整備データベース1050の整備を行う場合には、整備データベース1050をコピーして保存して、コピー後の整備データベース1050に対して整備を行う必要があった。このため、コピーを格納するための膨大な記憶装置、時間が必要であった。また、従来の整備データベース1050が更新された場合には、更新された整備データベース1050を凍結して最新の凍結データベース1550を作成して、先に凍結された先代の凍結データベース1550と最新の凍結データベース1550とを比較して、差分データDFを作成していた。このため、比較作業に膨大な時間とコストを要していた。これらの問題点を本実施例によれば、解決できる。
【0095】
さらに、従来の差分データDFは、地表の領域を矩形などのメッシュに区切り、メッシュ単位で先代と異なる部分を差分データにしていた。このため、差分データには、変更の無い部分も含まれ、差分データのデータ量が大きくなるという問題もあった。本実施例における差分データDFは、上述の通り、時空間ノードと、追加対象要素と、削除対象要素とを含むため、差分データのデータ量を従来と比較して抑制できる。
【0096】
B.変形例
・第1変形例:
図18は、第1変形例について説明する説明図である。上記実施例では、非削除ノードと削除対象ノードとを接続するリンク(分離対象接続リンク)上に時空間ノードを配置しているが、これに代えて、削除対象ノードのうち、非削除対象ノードとリンクを介して接続されているノード(削除端ノード)を時空間ノードとして利用しても良い。図18に示す例では、現行世代データGE1を構成するリンクL101〜L107のうち、リンクL102〜L104が、世代を更新する際に削除される削除対象リンクである。そして、現行世代データGE1を構成するノードN101〜N108のうち、ノードN101〜N104が世代を更新する際に削除される削除対象ノードである。そして、削除対象ノードのうち、ノードN101と、ノードN104が削除端ノードであり、時空間ノードとして利用されている。この場合、次世代データGE2においては、実施例と同様に、現行世代データGE1における時空間ノードとしてのノードN101、N104と、それぞれ、対応付けられた時空間ノードFN21、時空間ノードFN22が設定される。次世代データGE2においては、実施例と同様にして、世代を更新する際に追加対象となるノードN201〜N204およびリンクL201〜L206を含んでいる。リンクL201、L206は、一方の端部が通常のノードに接続され、他方の端部(終端)が時空間ノードに接続されたリンクである。次世代データGE2に含まれるネットワークデータ(ノードとリンク)は、実施例と同様に、時空間ノードFN21、FN22においてのみ、現行世代データGE1のネットワークデータと関連付けられている。
【0097】
第1変形例では、世代の更新は、削除対象ノードを現行世代データGE1から削除し、次世代データGE2における追加対象ノードと時空間ノードをGE2に追加することによって実行される。
【0098】
本変形例によれば、実施例と同様の作用・効果を得られる。さらに、リンク上に新たに時空間ノードを設定する場合より、現行世代データGE1におけるデータ量を低減できる。また、実施例のように、時空間ノードが配置されたリンクを削除側リンクと非削除側リンクに分離する処理が不要となるため、世代管理および世代更新のための処理量を軽減できる。
【0099】
また、リンク上に配置された時空間ノードと、既存のノードを利用した時空間ノードが混在していても良い。一般的には、全ての削除端ノードについて、
1)削除端ノード自体を仮想ノードとする。
2)削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する。
のいずれかを実行することにより、仮想ノードが設定されていれば良い。
【0100】
・第2変形例:
上記実施例では、差分データDFには、削除対象要素についてのデータも含まれているが、これらは含まれていなくても良い。時空間ノードFN1のそれぞれについて時空間ノードFN1のどちらの側を削除対象とするかを特定できれば、削除対象要素についてはナビゲーション装置200において特定できる。このため、例えば、時空間ノードFN1のそれぞれについて時空間ノードFN1のどちらの側を削除対象とするかを特定するための情報(例えば、方向ベクトル)を差分データDFに含めても良い。こうすれば、削除対象要素についてのデータを差分データDFから削減できるので、差分データDFの大きさをさらに抑制することができる。
【0101】
・第3変形例:
上記実施例では、経路データベースCD2と属性データベースCD3を更新する例を示しているが、これに加えて、画像データベースCD1に記述した画像についても更新することが好ましい。すなわち、追加対象要素および削除対象要素に対応する画像を表す画像データについても差分データDFに含めることが好ましい。この場合は、画像をメッシュに区切り、メッシュ単位で削除/追加コードを付して、削除対象のメッシュと追加対象のメッシュを未来系IDにて多層化することにより、画像データベースMD1において一元管理することが好ましい。そして、未来系IDが付されたメッシュについての画像データは、差分データDFに含めることが好ましい。こうすれば、差分データDFを受信したナビゲーション装置200において、画像データベースCD1に記述した画像についても更新することが容易にできる。
【0102】
・第4変形例:
上記実施例では、未来系IDのみを用いて、ネットワークデータの世代管理を行っているが、現実のネットワークデータの更新は、路線ごとに逐一行うことが困難である場合もある。このような場合は、複数種類の未来系IDが属する未来系グループIDをさらに追加することが好ましい。こうすれば、複数種類の未来系IDが付された複数の更新を、未来系グループIDを用いて抽出することができる。例えば、更新される路線単位で異なる未来系IDを付し、同じ更新時期に更新対象とすべき路線の群について、未来系グループIDを付しても良い。こうすれば、複数の路線について更新するための差分データDFを、未来系グループIDを用いて、容易に作成できる。また、未来系IDを用いて差分データDFを作成することと、未来系グループIDを用いて差分データDFを作成することもできるので、路線単位の更新や、複数の路線をまとめたグループ単位での更新も容易に行うことができる。
【0103】
・第5変形例:
上記メイン地図データサーバ100は、自身の現行世代データGE1を、自身で記憶している第1の次世代データGE2および第2の次世代データGE3を反映するように更新する更新処理部を備えることが好ましい。更新の手法は、図12を用いて説明したナビゲーション装置200における更新処理のステップS240〜S270と同様である。こうすることで、随時に、現行世代データGE1を更新することにより、管理する世代数が増大することを抑制することができる。
【0104】
・第6変形例:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0105】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0106】
10…地図データ更新システム
100…メイン地図データサーバ
102…通信部
104…制御部
105…記憶部
150…凍結地図データサーバ
152…通信部
154…制御部
155…記憶部
200…ナビゲーション装置
201…GPS受信機
202…表示パネル
203…タッチパネル
204…音声出力部
205…キー入力部
206…無線通信回路
207…外部記憶装置
210…主制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを含む電子地図データを更新する方法であって、
(a)更新前のネットワークにおいて、前記更新によって全体が削除されるリンクである削除対象リンクを設定する工程と、
(b)前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードに設定する工程と、
(c)更新前のネットワークにおいて、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続している削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することにより、前記仮想ノードを設定する工程と、
(d)前記仮想ノードが配置されている前記分離対象接続リンクがある場合には、前記分離対象接続リンクの全てを、前記仮想ノードと前記削除端ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離する工程と、
(e)前記更新によって追加される更新データのノードおよびリンクである追加対象要素を準備する工程であって、前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とするリンクである仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外では更新前のネットワークとの接続を持たないように準備される工程と、
(f)前記更新前のネットワークから前記削除対象リンクと前記削除対象ノードを削除し、前記削除接続リンクが存在する場合には前記削除接続リンクを削除すると共に、前記更新前のネットワークに前記追加対象要素を追加することにより、ネットワークデータを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子地図データの更新方法であって、
前記(c)工程において、削除端ノードの全てについて、前記(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置することにより、前記仮想ノードを設定する、電子地図データの更新方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子地図データの更新方法であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記方法は、さらに、
(g)更新前の前記属性データの中から、前記更新によって削除される前記属性データである削除対象属性データを設定する工程と、
(h)前記更新によって追加される前記属性データである追加属性データを準備する工程と、
(i)前記更新前の属性データベースから前記削除対象属性データを削除すると共に、前記更新前の属性データベースに前記追加属性データを追加することにより、前記更新前の属性データベースを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子地図データの更新方法であって、
前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクと前記追加対象要素は、同一の識別情報と関連付けられており、
前記(f)工程では、前記同一の識別情報と関連付けられた前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクを削除し、前記同一の識別情報と関連付けられた前記追加対象要素を追加する、電子地図データの更新方法。
【請求項5】
複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを少なくとも含む電子地図データを格納する電子地図データ記憶装置であって、
更新前のネットワークをデータとして記憶する更新前データ記憶部と、
更新時に新たに追加すべきノードおよびリンクである追加対象要素をデータとして記憶する更新データ記憶部と、
を備え、
前記更新前ネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続しているノードを削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することによって設定された前記仮想ノードを前記更新前のネットワークと前記更新後のネットワークに共通するノードとして記憶し、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない電子地図データ記憶装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記更新前のネットワークにおいて、前記分離対象接続リンクは、前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離して記憶されている、電子地図データ記憶装置。
【請求項7】
請求項5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記第更新前データ記憶部は、前記更新前のネットワークに関連付けられた前記属性データである更新前属性データを記憶し、
前記更新後データ記憶部は、更新後に新たに追加すべき前記属性データを記憶する、電子地図データ装置。
【請求項8】
請求項5に記載の地図データ記憶装置は、さらに、
前記削除対象リンクと、前記削除対象接続リンクのうちの前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクを前記更新前データ記憶部から削除すると共に、前記追加対象要素を前記更新前データ記憶部に追加することにより、前記更新前データ記憶部を更新する更新処理部を備える、電子地図データ装置。
【請求項9】
電子地図更新データを受信する受信部と、
分離対象接続リンクの全てを、受信された前記電子地図更新データに定義された仮想ノードと削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離するリンク分離部と、
削除対象要素と、削除接続リンクを記憶装置から削除すると共に、前記追加対象要素を前記記憶装置に追加することにより、前記記憶装置において更新前のネットワークを更新後のネットワークに更新する更新部と、
を有する前記記憶装置のコンピュータにより使用される
電子地図更新データであって
前記更新後において新たに追加すべきノードおよびリンクである前記追加対象要素を定義した追加データ部と、
前記更新前のネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを前記削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続しているノードを削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することによって設定された前記仮想ノードを定義した仮想ノード部と、
を備え、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない電子地図更新データ。
【請求項10】
更新前のネットワークを含む地図データを記憶する受信側情報処理装置と、
前記更新前の受信側情報処理装置に対して、請求項8に記載の電子地図更新データを送信する送信側情報処理装置と、を含む地図データ更新システムであって、
前記受信側情報処理装置は、
前記電子地図更新データを受信する受信部と、
前記分離接続リンクの全てを、受信された前記更新データに定義された前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離するリンク分離部と、
前記削除対象要素と、前記削除接続リンクを前記記憶装置から削除すると共に、前記追加対象要素を前記記憶装置に追加することにより、前記記憶装置において前記更新前のネットワークを前記更新後のネットワークに更新する更新部と、
を備える、電子地図データ更新システム。
【請求項1】
コンピュータが、複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを含む電子地図データを更新する方法であって、
(a)更新前のネットワークにおいて、前記更新によって全体が削除されるリンクである削除対象リンクを設定する工程と、
(b)前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードに設定する工程と、
(c)更新前のネットワークにおいて、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続している削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することにより、前記仮想ノードを設定する工程と、
(d)前記仮想ノードが配置されている前記分離対象接続リンクがある場合には、前記分離対象接続リンクの全てを、前記仮想ノードと前記削除端ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離する工程と、
(e)前記更新によって追加される更新データのノードおよびリンクである追加対象要素を準備する工程であって、前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とするリンクである仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外では更新前のネットワークとの接続を持たないように準備される工程と、
(f)前記更新前のネットワークから前記削除対象リンクと前記削除対象ノードを削除し、前記削除接続リンクが存在する場合には前記削除接続リンクを削除すると共に、前記更新前のネットワークに前記追加対象要素を追加することにより、ネットワークデータを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子地図データの更新方法であって、
前記(c)工程において、削除端ノードの全てについて、前記(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置することにより、前記仮想ノードを設定する、電子地図データの更新方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子地図データの更新方法であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記方法は、さらに、
(g)更新前の前記属性データの中から、前記更新によって削除される前記属性データである削除対象属性データを設定する工程と、
(h)前記更新によって追加される前記属性データである追加属性データを準備する工程と、
(i)前記更新前の属性データベースから前記削除対象属性データを削除すると共に、前記更新前の属性データベースに前記追加属性データを追加することにより、前記更新前の属性データベースを更新する工程と、
を含む、電子地図データの更新方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子地図データの更新方法であって、
前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクと前記追加対象要素は、同一の識別情報と関連付けられており、
前記(f)工程では、前記同一の識別情報と関連付けられた前記削除対象リンクと前記削除対象ノードと前記削除接続リンクを削除し、前記同一の識別情報と関連付けられた前記追加対象要素を追加する、電子地図データの更新方法。
【請求項5】
複数のノードおよび前記ノード間を接続するリンクから成るネットワークを少なくとも含む電子地図データを格納する電子地図データ記憶装置であって、
更新前のネットワークをデータとして記憶する更新前データ記憶部と、
更新時に新たに追加すべきノードおよびリンクである追加対象要素をデータとして記憶する更新データ記憶部と、
を備え、
前記更新前ネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである削除対象リンクの両端に配置されているノードを削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続しているノードを削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することによって設定された前記仮想ノードを前記更新前のネットワークと前記更新後のネットワークに共通するノードとして記憶し、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない電子地図データ記憶装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記更新前のネットワークにおいて、前記分離対象接続リンクは、前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離して記憶されている、電子地図データ記憶装置。
【請求項7】
請求項5に記載の電子地図データ記憶装置であって、
前記電子地図データは、前記ノードまたはリンクに関連付けられた属性データを格納する属性データベースを含み、
前記第更新前データ記憶部は、前記更新前のネットワークに関連付けられた前記属性データである更新前属性データを記憶し、
前記更新後データ記憶部は、更新後に新たに追加すべき前記属性データを記憶する、電子地図データ装置。
【請求項8】
請求項5に記載の地図データ記憶装置は、さらに、
前記削除対象リンクと、前記削除対象接続リンクのうちの前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクを前記更新前データ記憶部から削除すると共に、前記追加対象要素を前記更新前データ記憶部に追加することにより、前記更新前データ記憶部を更新する更新処理部を備える、電子地図データ装置。
【請求項9】
電子地図更新データを受信する受信部と、
分離対象接続リンクの全てを、受信された前記電子地図更新データに定義された仮想ノードと削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離するリンク分離部と、
削除対象要素と、削除接続リンクを記憶装置から削除すると共に、前記追加対象要素を前記記憶装置に追加することにより、前記記憶装置において更新前のネットワークを更新後のネットワークに更新する更新部と、
を有する前記記憶装置のコンピュータにより使用される
電子地図更新データであって
前記更新後において新たに追加すべきノードおよびリンクである前記追加対象要素を定義した追加データ部と、
前記更新前のネットワークのうち、前記更新後において全体が削除されるべきリンクである前記削除対象リンクの両端に配置されているノードを前記削除対象ノードと定義するとき、前記削除対象ノードのうち、前記削除対象ノードでない非削除ノードとリンクを介して接続しているノードを削除端ノードの全てについて、
(1)前記削除端ノードを仮想ノードとする
(2)前記削除端ノードと非削除ノードを接続するリンクである分離対象接続リンクの全てに仮想ノードを配置する
のいずれかを実行することによって設定された前記仮想ノードを定義した仮想ノード部と、
を備え、
前記追加対象要素は、前記仮想ノードを終端とする仮想ノード終端リンクを全ての前記仮想ノードについて含むと共に、前記仮想ノード以外に前記更新前のネットワークと関連付けられるノードおよびリンクを含まない電子地図更新データ。
【請求項10】
更新前のネットワークを含む地図データを記憶する受信側情報処理装置と、
前記更新前の受信側情報処理装置に対して、請求項8に記載の電子地図更新データを送信する送信側情報処理装置と、を含む地図データ更新システムであって、
前記受信側情報処理装置は、
前記電子地図更新データを受信する受信部と、
前記分離接続リンクの全てを、受信された前記更新データに定義された前記仮想ノードと前記削除対象ノードとを接続する削除接続リンクと、前記仮想ノードと前記非削除ノードとを接続する残余接続リンクとに分離するリンク分離部と、
前記削除対象要素と、前記削除接続リンクを前記記憶装置から削除すると共に、前記追加対象要素を前記記憶装置に追加することにより、前記記憶装置において前記更新前のネットワークを前記更新後のネットワークに更新する更新部と、
を備える、電子地図データ更新システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−230810(P2010−230810A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76037(P2009−76037)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
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