説明

電子地図整備システム、電子地図整備方法およびプログラム

【課題】本発明は、車両進入口が誤った地物に設定されてしまうのを防止することが可能な技術を提供する。
【解決手段】地図表示システム10は、移動軌跡に基づいて、車両が道路を逸脱した逸脱地点、および降車後に徒歩で到達した到達地点を特定する端末装置20と、到達地点に通じる車両進入口を、逸脱地点に基づいて地図データ80に設定する地図サーバ50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上に道路を表現する地図データを整備する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上に道路を表現するための地図データは、コンピュータで利用可能に電子化され、車載用や携帯用のナビゲーション装置、ウェブサーバ、パーソナルコンピュータなどの装置で利用される。一般的な地図データは、道路上の基準点を示す複数のノードを規定したノードデータと、これら複数のノード間を接続する複数のリンクを規定したリンクデータと、施設や名勝など地上に存在する地物を規定したポリゴンデータとを備える。地図データを利用する装置は、ノードおよびリンクを組み合わせた道路を地物と併せて地図上に表現することによって、道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内などの処理を実行する。
【0003】
実際の道路と地物との関係は、地物に通じる車両進入口の位置関係から、必ずしも地物に近接する道路への経路が、その地物への経路であるとは限らない。そのため、実際の経路探索や経路案内では、目的地に近接する道路への経路よりも、目的地に通じる車両進入口への経路が実用的である。下記特許文献1には、車両が道路を逸脱した地点である逸脱地点を、その周辺に存在する地物へ通じる車両進入口として設定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−256207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、逸脱地点を車両進入口とする地物よりも、その逸脱地点に近い位置に他の地物が存在する場合、何ら関係の無い地物の車両進入口として逸脱地点が誤って設定されてしまう場合があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、車両進入口が誤った地物に設定されてしまうのを防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1] 適用例1の電子地図整備システムは、通信可能に接続されたサーバと複数の携帯端末とを含んで構成されており、ナビゲーション装置で用いられる電子地図データを整備する電子地図整備システムであって、前記携帯端末は、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を前記サーバに送信する送信部とを備えており、前記サーバは、電子地図データを記憶する電子地図記憶部と、前記位置情報に基づいて得られる移動軌跡を記憶する移動軌跡記憶部と、前記携帯端末を携帯する携帯者の移動手段を特定する移動手段特定部と、前記移動手段が車両であると特定された場合において、前記車両の移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、前記車両が道路から逸脱した地点である車両逸脱地点を特定する逸脱地点特定部と、前記車両が駐車されたことを特定する駐車状態特定部と、前記車両逸脱地点が特定された場合であって、前記車両が駐車されたと特定された場合において、前記移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、徒歩による地物への到達を特定する到達特定部と、前記車両逸脱地点に関する情報および前記徒歩による地物への到達に関する情報を関連付けて蓄積する情報蓄積部と、前記情報蓄積部に蓄積された情報に基づいて、前記車両逸脱地点を前記地物の駐車施設への入口として前記電子地図データに設定する駐車施設設定部とを備えることを特徴とする。適用例1の電子地図整備システムによれば、人間が降車して徒歩で到達した到達地点に通じる車両進入口として逸脱地点を設定するため、車両進入口が誤った地点に設定されてしまうのを防止することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1の電子地図整備システムにおいて、前記車両逸脱地点からの逸脱方向を特定する逸脱方向特定部を更に備えており、前記情報蓄積部は、更に、前記逸脱方向に関する情報をも蓄積しても良い。適用例2の電子地図整備システムによれば、経路案内において、最終案内地点からどの方向に曲がれば駐車施設に入れるかを報知することができる。
【0010】
[適用例3] 適用例1または適用例2の電子地図整備システムにおいて、前記到達特定部は、前記地図データに含まれており地図上に地物を表現するための図形データのうち、前記車両が駐車されたと特定された場合において、徒歩による移動の推移を示す移動軌跡が滞留する図形データにおける地点を到達地点として特定しても良い。適用例3の電子地図整備システムによれば、誤った地点を到達地点として特定してしまうことを抑制することができる。
【0011】
[適用例4] 適用例1ないし適用例3のいずれかの電子地図整備システムにおいて、更に、前記地図データに含まれ地図上に地物を表現する図形データのうち、前記駐車施設を囲繞する図形データを、前記到達特定部によって特定された到達地点に利用される駐車施設として前記地図データに設定する既存領域設定部を備えても良い。適用例4の電子地図整備システムによれば、地図データに既に整備されている図形データを、駐車施設として到達地点に関連付けることができる。
【0012】
[適用例5] 適用例1ないし適用例4のいずれかの電子地図整備システムにおいて、更に、前記車両から降車した降車地点を特定する降車特定部と、前記逸脱地点特定部によって特定された車両逸脱地点と、前記降車地点とが基準距離内にある場合、該車両逸脱地点および該降車地点の少なくとも一方が前記地図データに反映されるのを禁止する反映禁止部とを備えても良い。適用例5の電子地図整備システムによれば、路上駐車した場合や、送迎車,タクシーを利用した場合を示す可能性が高い移動軌跡を、地図データに車両進入口を整備するための情報から除外することによって、誤った情報が地図データに設定されてしまうのを防止することができる。
【0013】
[適用例6] 適用例1ないし適用例5のいずれかの電子地図整備システムにおいて、更に、前記移動軌跡記憶部に記憶された移動軌跡に基づいて、前記駐車施設から徒歩で到達地点に到達するのに掛かる負担を表す歩行コストを算出するコスト算出部と、前記コスト算出部によって算出された歩行コストを、前記駐車施設設定部によって前記地図データに設定される入口に関連付けるコスト関連付部とを備えても良い。適用例6の電子地図整備システムによれば、一つの到達地点に対して複数の車両進入口がある場合に経路選択の判断要素として利用可能な歩行コストを地図データに整備することができる。
【0014】
[適用例7] 適用例1ないし適用例6のいずれかの電子地図整備システムにおいて、前記移動軌跡記憶部に記憶された移動軌跡は、検知日,検知時刻,前記人間の個人識別符号,前記車両の運転状態,前記車両の車種の少なくとも一つを示す情報を含むとしても良い。適用例7の地図整備システムによれば、各種情報を車両進入口の整備に利用することができる。
【0015】
他の適用例の地図整備システムは、地図上に道路を表現する地図データを整備する地図整備システムであって、人間が移動した位置の推移を示す移動軌跡を検知する移動検知部と、前記移動検知部によって検知された移動軌跡に基づいて、前記人間が乗車している車両が道路を逸脱した地点である逸脱地点を特定する逸脱特定部と、前記移動検知部によって検知された移動軌跡に基づいて、前記逸脱地点で前記車両が道路を逸脱した後に前記人間が降車して徒歩で到達した地点である到達地点を特定する到達特定部と、前記到達特定部によって特定された到達地点に通じる車両進入口を、前記逸脱特定部によって特定された逸脱地点に基づいて前記地図データに設定する入口設定部とを備えることを特徴とする。この地図整備システムによれば、人間が降車して徒歩で到達した到達地点に通じる車両進入口として逸脱地点を設定するため、車両進入口が誤った地点に設定されてしまうのを防止することができる。
【0016】
他の適用例の地図整備システムにおいて、前記到達特定部は、前記地図データに含まれ地図上に地物を表現する地物ポリゴンのうち、前記人間が降車した後に徒歩で移動した位置の推移を示す移動軌跡が滞留する地物ポリゴンにおける地点を、前記到達地点として特定しても良い。この地図整備システムによれば、誤った地点を到達地点として特定してしまうことを抑制することができる。
【0017】
他の適用例の地図整備システムは、更に、前記移動検知部によって検知された移動軌跡に基づいて、前記逸脱地点で前記車両が道路を逸脱した後に前記人間が降車した地点である降車地点を特定する降車特定部と、前記降車特定部によって特定された降車地点を囲繞する領域を、前記到達特定部によって特定された到達地点に利用される駐車施設として前記地図データに設定する駐車領域設定部とを備えても良い。この地図整備システムによれば、人間の移動軌跡に基づいて、到達地点に利用される駐車施設を地図データに整備することができる。
【0018】
他の適用例の地図整備システムにおいて、前記入口設定部は、前記降車特定部によって特定された降車地点を囲繞する領域に通じる車両進入口を、前記逸脱特定部によって特定された逸脱地点に基づいて前記地図データに設定しても良い。この地図整備システムによれば、駐車施設の整備に併せ、その駐車施設に通じる車両進入口を地図データに整備することができる。
【0019】
他の適用例の地図整備システムにおいて、前記駐車領域設定部は、前記地図データに含まれ地図上に地物を表現する地物ポリゴンのうち、前記降車特定部によって特定された降車地点を囲繞する地物ポリゴンを、前記到達特定部によって特定された到達地点に利用される駐車施設として前記地図データに設定する既存領域設定部を含むとしても良い。この地図整備システムによれば、地図データに既に整備されている地物ポリゴンを、駐車施設として到達地点に関連付けることができる。
【0020】
他の適用例の地図整備システムにおいて、前記駐車領域設定部は、前記降車特定部によって特定された降車地点を囲繞する地物ポリゴンを作成し、前記到達特定部によって特定された到達地点に利用される駐車施設として該地物ポリゴンを前記地図データに設定する新設領域設定部を含むとしても良い。この地図整備システムによれば、到達地点に関連付けられた駐車設備を表現する地物ポリゴンを、地図データに新設することができる。
【0021】
他の適用例の地図整備システムは、更に、前記逸脱特定部によって特定された逸脱地点と、前記降車特定部によって特定された降車地点とが基準距離内にある場合、該逸脱地点および該降車地点の少なくとも一方が前記地図データに反映されるのを禁止する反映禁止部を備えても良い。この地図整備システムによれば、路上駐車した場合や、送迎車,タクシーを利用にした場合を示す可能性が高い移動軌跡を、地図データに車両進入口を整備するための情報から除外することによって、誤った情報が地図データに設定されてしまうのを防止することができる。
【0022】
他の適用例の地図整備システムは、更に、前記移動検知部によって検知された移動軌跡に基づいて、前記人間が降車して徒歩で前記到達地点に到達するのに掛かる負担を表す歩行コストを算出するコスト算出部と、前記コスト算出部によって算出された歩行コストを、前記入口設定部によって前記地図データに設定される車両進入口に関連付けるコスト関連付部とを備えても良い。この地図整備システムによれば、一つの到達地点に対して複数の車両進入口がある場合に経路選択の判断要素として利用可能な歩行コストを地図データに整備することができる。
【0023】
他の適用例の地図整備システムにおいて、前記移動検知部によって検知された移動軌跡は、検知日,検知時刻,前記人間の個人識別符号,前記車両の運転状態,前記車両の車種の少なくとも一つを示す情報を含むとしても良い。この地図整備システムによれば、各種情報を車両進入口の整備に利用することができる。
【0024】
本発明の形態は、地図整備システムに限るものではなく、例えば、携帯型や車載型のナビゲーション装置、ナビゲーション装置にデータを配信するサーバコンピュータ、地図データを整備する地図整備方法、地図データを整備する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムなどの他の形態に適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した地図表示システムについて説明する。
【0026】
A.地図表示システム10の構成:
図1は、地図表示システム10の構成を示す説明図である。地図表示システム10は、携帯端末としての端末装置20と、地図サーバ50と、電子地図記憶部、移動軌跡記憶部、情報蓄積部としての記憶装置60とを備える。地図表示システム10は、記憶装置60に記憶されている地図データ80に基づくデータを地図サーバ50から端末装置20にネットワーク40および基地局装置32を介して配信することによって、端末装置20において道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内などを実行する。地図表示システム10では、端末装置20を所持する人間が移動した位置の推移を示す移動軌跡が端末装置20によって検知され、その移動軌跡に基づいて地図データ80に車両進入口が地図サーバ50によって整備される。すなわち、地図表示システム10は、地図データを整備する電子地図整備システムとしても機能する。本実施例では、端末装置20において移動軌跡から抽出されたデータが、端末装置20からネットワーク40を介して記憶装置60に収集され、抽出蓄積データ74として記憶装置60に記憶される。
【0027】
地図表示システム10の記憶装置60は、地図データ80および抽出蓄積データ74を記憶可能な記憶容量を有する記憶装置である。本実施例では、記憶装置60は、地図サーバ50の外部記憶装置として構成されたハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下、HDDという)であるが、他の実施形態において、記憶装置60は、地図サーバ50に内蔵されても良いし、半導体メモリやDVD(Digital Versatile Disk),CD(Compact Disk)を用いた記憶装置であっても良い。
【0028】
記憶装置60に記憶されている地図データ80は、ノードデータ810と、リンクデータ820と、図形データとしての地物ポリゴンデータ830とを備える。地図データ80のノードデータ810は、道路上の基準点を示す複数のノードを規定する。地図データ80のリンクデータ820は、ノードデータ810に規定された複数のノード間を接続する複数のリンクを規定する。地図データ80の地物ポリゴンデータ830は、建物,駐車場,ランドマークなどの地物を地図上に表現するポリゴンを規定する。
【0029】
図2は、地図データ80によって規定されたノード,リンク,地物ポリゴンを模式的に例示する説明図である。以下の説明では、図中のノードを個別に示す場合には、英文字「N」の後に数字を付した符号を用い(例えば、N1,N2,N3,…)、図中のリンクを個別に示す場合には、英文字「L」の後に数字を付した符号を用い(例えば、L1,L2,L3,…)、図中の地物ポリゴンを個別に示す場合には、英文字「F」の後に数字を付した符号を用いる(例えば、F1,F2,F3,…)。図2には、地図データ80のノードデータ810によって規定された9個のノードN1〜N9が図示され、地図データ80のリンクデータ820によって規定された9個のリンクL1〜L9が図示されている。ノードN1〜N9は、道路や車線における特徴的な基準点、例えば、公差点,分岐点,幅員が変化する地点、道路から外れた地点へと通じる車両進入口などを表現する。図2に示す例では、ノードN1は、地物ポリゴンF1,F2へと通じる車両進入口を表現する。リンクL1〜L9は、ノードN2〜N9の間を接続する道路や車線を表現する。図2に示す例では、リンクL8は、ノードN3とノードN8との間を接続する道路を表現し、車両進入口を表現するノードN1は、リンクL8の途中に配置されている。
【0030】
図3は、地図データ80におけるノードデータ810の詳細構成を示す説明図である。ノードデータ810は、ノード毎の属性を示すノード属性データ8102を備える。ノード属性データ8102に示されるノードの属性は、ノード番号と、位置座標と、ノード種別と、接続リンク数と、接続リンク番号とを含む。
【0031】
ノード属性データ8102のノード番号は、ノードを識別するための符号を示す。ノード属性データ8102の位置座標は、地図上におけるノードの位置を示す。ノード属性データ8102のノード種別は、ノードが表現する基準点の種別を示す。ノード属性データ8102の接続リンク数は、ノードに接続するリンクの数を示す。ノード属性データ8102の接続リンク番号は、ノードに接続するリンクを識別するための符号を示す。図3に示す例では、ノード番号「N2」が割り当てられたノードN2に関するノード属性データ8102には、ノードN2が座標[Xn2(経度),Yn2(緯度)]上に位置し、ノードN2が「交差点」を表現し、ノードN2に接続するリンクの数が「4」であり、これらのリンク番号が「L1,L2,L4,L9」であることが示されている。
【0032】
図4は、地図データ80におけるリンクデータ820の詳細構成を示す説明図である。リンクデータ820は、リンク毎の属性を示すリンク属性データ8202を備える。リンク属性データ8202に示されるリンクの属性は、リンク番号と、始点ノードと、終点ノードと、道路種別と、補間点座標とを含み、その他、リンク長,幅員区分,車線数なども含む。
【0033】
リンク属性データ8202のリンク番号は、リンクを識別するための符号を示す。リンク属性データ8202の始点ノードは、リンクが始点として接続するノードを識別するための符号を示す。リンク属性データ8202の終点ノードは、リンクが終点として接続するノードを識別するための符号を示す。リンク属性データ8202の道路種別は、リンクが表現する道路や車線の種別を示す。リンク属性データ8202の補間点座標は、リンクが始点ノードから終点ノードまで延びる軌跡の形状を示す。リンク属性データ8202のリンク長は、始点ノードから終点ノードまでのリンクの長さを示す。リンク属性データ8202の幅員区分は、リンクが表現する道路や車線の幅員を示す。リンク属性データ8202の車線数は、リンクが表現する道路や車線に含まれる車線の数を示す。図4に示す例では、リンク番号「L2」が割り当てられたリンクL2に関するリンク属性データ8202には、リンクL2が「始点ノードN2」から「終点ノードN3」へと接続し、リンクL2が表現する道路が「一般国道」であることが示されている。
【0034】
図5は、地図データ80における地物ポリゴンデータ830の詳細構成を示す説明図である。地物ポリゴンデータ830は、地物ポリゴン毎の属性を示す地物属性データ8302を備える。地物属性データ8302に示される地物ポリゴンの属性は、地物番号と、地物種別と、駐車施設と、目的施設と、車両進入口と、ポリゴン描画情報とを含む。
【0035】
地物属性データ8302の地物番号は、地物ポリゴンを識別するための符号を示す。地物属性データ8302の地物種別は、地物ポリゴンが表現する地物の種別を示す。地物属性データ8302の駐車施設は、地物ポリゴンが表現する地物が駐車施設ではない場合に、その地物に利用可能な駐車施設を表現する他の地物ポリゴンを識別するための符号を示す。地物属性データ8302の目的施設は、地物ポリゴンが表現する地物が駐車施設である場合に、その駐車施設を利用可能な他の地物を表現する他の地物ポリゴンを識別するための符号を示す。地物属性データ8302の車両進入口は、地物ポリゴンが表現する地物に通じる車両進入口を表現するノードを識別するための符号を示す。地物属性データ8302のポリゴン描画情報は、地物ポリゴンを描画するための座標点を示す。
【0036】
図5に示す例では、地物番号「F1」が割り当てられた地物ポリゴンF1に関する地物属性データ8302には、地物ポリゴンF1が表現する地物は「デパート」であり、その地物に利用可能な駐車施設は「地物ポリゴンF2」によって表現され、車両進入口は「ノードN1」によって表現される地点であることが示されている。地物番号「F2」が割り当てられた地物ポリゴンF2に関する地物属性データ8302には、地物ポリゴンF2が表現する地物は「専用駐車場」であり、その駐車施設を利用可能な他の地物は「地物ポリゴンF1」によって表現され、車両進入口は「ノードN1」によって表現される地点であることが示されている。
【0037】
図6は、地図表示システム10における端末装置20の構成を主に示す説明図である。地図表示システム10の端末装置20は、携帯用のナビゲーション装置であり、本実施例では、ナビゲーション装置としての機能を有する携帯電話機である。端末装置20は、CPU(Central Processing Unit)210と、メモリ220と、ディスプレイ230と、入力ボタン240と、無線通信部250と、位置情報取得部としてのGPS受信部260と、スピーカ272と、マイク274と、加速度センサ280とを備える。
【0038】
端末装置20のCPU210は、端末装置20の各部を制御する。端末装置20のメモリ220は、CPU210の動作を規定したプログラムや、CPU210によって取り扱われる種々のデータを記憶する。メモリ220に記憶されているプログラムには、電話通信プログラム221と、ナビゲーションプログラム222と、プローブプログラム224とを含む。電話通信プログラム221は、携帯電話網を通じた音声通信およびデータ通信を実行する機能をCPU210に実現させるためのプログラムである。ナビゲーションプログラム222は、道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内を実行する機能をCPU210に実現させるためのプログラムである。プローブプログラム224は、GPS受信部260および加速度センサ280で検知された情報に基づいて、端末装置20を保持する人間が移動した位置の推移を示す移動軌跡を検知する機能をCPU210に実現させるためのプログラムである。
【0039】
端末装置20のディスプレイ230は、CPU210の指示に基づいて道路地図を含む種々の画像を表示する。端末装置20の入力ボタン240は、端末装置20を操作するユーザからのデータの入力を受け付ける。
【0040】
端末装置20の無線通信部250は、地図サーバ50とのデータのやり取りを無線通信で行う。本実施例では、端末装置20の無線通信部250が携帯電話網の基地局装置32と無線通信を行うことによって、端末装置20は、地図サーバ50に接続されたネットワーク40に接続する。ネットワーク40は、インターネット,WAN(Wide Area Network),LAN(Local Area Network),携帯電話網,固定電話網,光通信網などを含むとしても良い。
【0041】
端末装置20のGPS受信部260は、測地衛星90から送信されるGPS(Global Positioning System)信号を受信する。GPS受信部260によって受信されたGPS信号を解析することによって、端末装置20の現在位置を検知することができる。端末装置20の加速度センサ280は、端末装置20が移動する速度および加速度を検知する。
【0042】
端末装置20は、移動検知部211と、逸脱地点特定部212と、降車特定部213と、到達特定部214と、送信部としてのプローブ送信部215とを備える。本実施例では、移動検知部211,逸脱地点特定部212,降車特定部213,到達特定部214,プローブ送信部215の各機能は、CPU210がソフトウェアに基づいて演算処理を実行することによって実現されるが、他の実施形態において、これらの少なくとも一部の機能は、端末装置20の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されるとしても良い。
【0043】
端末装置20の移動検知部211は、GPS受信部260および加速度センサ280によって検知された情報に基づいて、端末装置20を保持する人間の移動軌跡を検知する。移動検知部211によって検知された移動軌跡は、プローブデータ226としてメモリ220に記憶される。
【0044】
端末装置20の逸脱地点特定部212は、プローブデータ226および地図データ80に基づいて、端末装置20を保持する人間が乗車している車両が道路を逸脱した地点である逸脱地点を特定する。端末装置20の降車特定部213は、プローブデータ226に基づいて、逸脱地点で車両が道路を逸脱した後に、端末装置20を保持する人間が降車した地点である降車地点を特定する。例えば、プローブデータ226が一定の領域もしくは地点に所定の数だけ存在する場合、その領域もしくは位置が降車地点であると特定される。なお、人間が降車した地点は、車両が駐車された位置であるともいえる。従って、図示しない駐車状態特定部によってプローブデータ226に基づき車両の駐車状態が特定される。端末装置20の到達特定部214は、逸脱地点で車両が道路を逸脱した後に、端末装置20を保持する人間が降車して徒歩で到達した地点である到達地点を特定する。逸脱地点特定部212によって特定された逸脱地点と、到達特定部214によって特定された到達地点とは、関連付けられた状態で抽出データ227としてメモリ220に記憶される。端末装置20のプローブ送信部215は、抽出データ227を地図サーバ50に送信する。なお、端末装置20の動作の詳細については後述する。
【0045】
図7は、地図表示システム10における地図サーバ50の構成を主に示す説明図である。地図サーバ50は、CPU510と、メモリ520と、ネットワークインタフェース532と、ストレージインタフェース534とを備える。
【0046】
地図サーバ50のCPU510は、地図サーバ50の各部を制御する。地図サーバ50のメモリ520は、CPU510の動作を規定したプログラムや、CPU510によって取り扱われる種々のデータを記憶する。メモリ520に記憶されているプログラムには、ナビゲーションプログラム522と、地図整備プログラム524とを含む。ナビゲーションプログラム522は、端末装置20を通じた道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内を実行する機能をCPU510に実現させるためのプログラムである。地図整備プログラム524は、地図データ80を整備する機能をCPU510に実現させるためのプログラムである。
【0047】
地図サーバ50のネットワークインタフェース532は、ネットワーク40とデータ通信可能に接続する。地図サーバ50のストレージインタフェース534は、記憶装置60とデータ通信可能に接続する。
【0048】
地図サーバ50は、プローブ受信部511と、入口設定部516とを備える。本実施例では、プローブ受信部511,入口設定部516の各機能は、CPU510がソフトウェアに基づいて演算処理を実行することによって実現されるが、他の実施形態において、これらの少なくとも一部の機能は、地図サーバ50の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されるとしても良い。
【0049】
地図サーバ50のプローブ受信部511は、端末装置20から送信された抽出データ227を受信する。プローブ受信部511によって受信された抽出データ227は、抽出蓄積データ74として蓄積される。地図サーバ50の入口設定部516は、抽出蓄積データ74に蓄積された到達地点および逸脱地点に基づいて、車両進入口を地図データ80に設定する。なお、地図サーバ50の動作の詳細については後述する。
【0050】
A2.地図表示システム10の動作:
端末装置20の移動検知処理について説明する。本実施例では、端末装置20は、移動検知処理を継続して実行する。本実施例では、移動検知処理は、端末装置20のCPU210がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態として、端末装置20の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
【0051】
地図表示システム10の端末装置20は、電源導入後に、端末装置20のCPU210が移動検知部211として機能することによって、移動検知処理を実行する。移動検知処理において、端末装置20は、GPS受信部260からの出力に基づいて、端末装置20の現在位置を検知する。その後、端末装置20は、加速度センサ280からの出力に基づいて、端末装置20の速度および加速度を検知する。その後、端末装置20は、現在位置,速度,加速度,日時をプローブデータ226としてメモリ220に記録する。プローブデータ226がメモリ220に記録された後、端末装置20は、現在位置の検知からの処理を繰り返し実行する。本実施例では、現在位置の検知において、GPS受信部260でGPS信号を受信できなかった場合、加速度センサ280で検知された速度および加速度に基づいて、先に検出された現在位置からの移動方向および移動距離を算出することによって、現在位置が推測される。
【0052】
図8は、地図表示システム10の端末装置20が実行するプローブ抽出処理(ステップS12)を示すフローチャートである。本実施例では、端末装置20は、メモリ220に記憶されているプローブデータ226のデータ量が閾値を超えた場合に、図8のプローブ抽出処理(ステップS12)を実行する。本実施例では、図8のプローブ抽出処理(ステップS12)は、端末装置20のCPU210がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態として、端末装置20の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
【0053】
地図表示システム10の端末装置20は、プローブ抽出処理(ステップS12)を開始すると、メモリ220に記憶されているプローブデータ226によって表現される移動軌跡が地図上に占める範囲を特定する(ステップS121)。その後、端末装置20は、移動軌跡の範囲を表現する地図データ80を地図サーバ50から取得する(ステップS122)。
【0054】
その後、端末装置20のCPU210が逸脱地点特定部212として機能する。端末装置20は、プローブデータ226によって表現される移動軌跡および地図データ80に基づいて、端末装置20を保持する人間が乗車している車両が道路を逸脱した地点である逸脱地点を特定する(ステップS123)。本実施例では、端末装置20が道路外へ移動した直前に位置する道路上の地点が、逸脱地点として特定される。本実施例では、逸脱地点の特定に併せて、図示しない逸脱方向特定部によって逸脱地点において道路から逸脱した逸脱方向が特定される。
【0055】
逸脱地点が特定された後(ステップS123)、端末装置20のCPU210が降車特定部213として機能することによって、端末装置20は、プローブデータ226によって表現される移動軌跡に基づいて、逸脱地点で車両が道路を逸脱した後に、端末装置20を保持する人間が降車した地点である降車地点(車両の駐車位置)を特定する(ステップS124)。具体的には、例えば、一定期間、一定の場所に滞留した状態であると移動軌跡によって判断された場合には、当該滞留した場所が降車地点(駐車位置)であると特定される。本実施例では、軌跡パターン,速度,加速度に基づいて移動手段特定部が車両による移動であることを判断するが、他の実施形態において、移動検知処理(ステップS10)において車両移動,降車,徒歩移動の少なくとも一つを示す情報をプローブデータに含めて検知しておき、この情報に基づいて車両による移動であることを判断しても良い。
【0056】
降車地点(駐車位置)が特定された後(ステップS124)、端末装置20のCPU210が到達特定部214として機能する。端末装置20は、プローブデータ226によって表現される移動軌跡および地図データ80に基づいて、逸脱地点で車両が道路を逸脱した後に、端末装置20を保持する人間が降車して徒歩で到達した地点である到達地点を特定する(ステップS125)。本実施例では、地図データ80の地物ポリゴンデータ830に規定された地物ポリゴンのうち、端末装置20を保持する人間が降車した後に徒歩で移動した移動軌跡が滞留した地物ポリゴンへの進入地点が、到達地点として特定されるが、他の実施形態において、地物ポリゴンへの進入面が、到達地点として特定されても良い。目的地と駐車場とが一体的に構成された地物(例えば、地下駐車場や屋上駐車場を有する施設)を表現する地物ポリゴンに移動軌跡が滞留した場合には、徒歩で移動した軌跡パターンの重心が到達地点として特定される。本実施例では、ノードデータ810で規定されたノードのうち、目的地と成り得る地物(例えば、石碑,巨木,古木など)を表現するノードの所定範囲(例えば、半径30メートル以内)に移動軌跡が滞留した場合、そのノードが到達地点として特定される。
【0057】
本実施例では、地物ポリゴンを通過する時間が基準値(例えば、10分)以上である場合や、地物ポリゴン内での総歩行距離とその地物ポリゴンへの進入地点から退出地点までの直線距離との比が基準値(例えば、3:1)以上である場合、地物ポリゴン内での方向角変化の絶対値の積分が基準値(例えば、360度)以上である場合、移動軌跡が地物ポリゴンに滞留したと判断される。本実施例では、移動軌跡が滞留した地物ポリゴンが複数である場合、滞留時間,ポリゴンの大きさ,ポリゴンの種別(例えば、トイレ,コンビニエンスストアでは到達地点としての優先度を下げる)に基づいて、到達地点となる地物ポリゴンが選定される。複数の小さな地物ポリゴンを囲繞する大きな地物ポリゴン(例えば、ショッピングセンタ,アウトレットモール,遊園地などを表現する地物ポリゴン)においては、複数の小さな地物ポリゴンを次々と移動する場合、これらの小さな地物ポリゴンを囲繞する大きな地物ポリゴン上の地点が到達地点として選定される。
【0058】
図9は、逸脱地点,降車地点,到達地点を特定する様子の一例を示す説明図である。図9に示す移動軌跡T11は、道路912を紙面の下方から上方へ直進した後、道路911との交差点を左折する。本実施例では、道路912,911における移動軌跡T11の軌跡パターン,速度,加速度に基づいて、道路912,911上では、端末装置20を保持する人間が乗車中であると判断される。例えば、基準値(10キロメートル毎時)以上の速度,加速度で車道に略沿って軌跡パターンが継続的に移動する場合には、乗車中であると判断される。
【0059】
道路912から道路911へと左折した後、移動軌跡T11は、道路911を紙面の右側から左側へと直進した後、道路914との交差点の手前で右折して道路911を外れ、駐車施設である地物ポリゴンF12へと進入する。本実施例では、移動軌跡T11が地物ポリゴンF12へと進入する直前に位置する道路911上の地点S11aが逸脱地点として特定される(ステップS123)。
【0060】
地物ポリゴンF12へと進入した後、移動軌跡T11は、地物ポリゴンF12内で停滞した後、再び移動する。本実施例では、地物ポリゴンF12における移動軌跡T11の軌跡パターン,速度,加速度に基づいて、移動軌跡T11が停滞した地点S11bが降車地点として特定されると共に、車両が駐車された位置であると特定される(ステップS124)。具体的には、軌跡パターンが停滞した後、基準値に満たない速度,加速度で軌跡パターンが継続的に移動する場合には、軌跡パターンが停滞した地点が降車地点および駐車位置として判断される。
【0061】
地物ポリゴンF12において降車した後、移動軌跡T11は、地物ポリゴンF12を退出する。その後、移動軌跡T11は、デパート等の地物ポリゴンF11に地点S11cから進入した後、地物ポリゴンF11内を10分以上掛けて通過する。本実施例では、移動軌跡T11が地物ポリゴンF11内に滞留したと判断され、移動軌跡T11が地物ポリゴンF11に進入した地点S11cが到達地点として特定される(ステップS125)。
【0062】
図8の説明に戻り、到達地点が選定された後(ステップS125)、端末装置20は、逸脱地点および到達地点をグループ化した抽出データ227を作成し、その抽出データ227をメモリ220に記憶する(ステップS126)。本実施例では、抽出データ227には、逸脱地点に併せて、逸脱地点において道路から逸脱した逸脱方向も共にグループ化される。抽出データ227が作成された後(ステップS126)、端末装置20のCPU210がプローブ送信部215として機能することによって、端末装置20は、メモリ220に記憶されている抽出データ227を地図サーバ50に送信する(ステップS127)。抽出データ227が地図サーバ50に送信された後(ステップS127)、端末装置20は、メモリ220に記憶されているプローブデータ226に含まれる移動軌跡のうち、到達地点までの移動軌跡を削除する(ステップS128)。
【0063】
次に、プローブ収集処理について説明する。本実施例では、地図サーバ50は、端末装置20から抽出データ227が送信された場合に、プローブ収集処理を実行する。本実施例では、プローブ収集処理は、地図サーバ50のCPU510がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態として、地図サーバ50の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
【0064】
地図表示システム10の地図サーバ50は、プローブ収集処理を開始すると、抽出データ227を端末装置20から受信する。その後、地図サーバ50は、端末装置20から受信した抽出データ227を、記憶装置60に記憶されている抽出蓄積データ74に格納する。
【0065】
図10は、抽出蓄積データ74の詳細構成を示す説明図である。抽出蓄積データ74は、端末装置20から受信した抽出データ227の内容を示す抽出データ747を備える。抽出データ747は、逸脱地点および到達地点の座標と、付随情報とを含む。つまり、車両が逸脱した地点に関する情報と、徒歩による地物への到達地点に関する情報とは関連付けられた状態で記憶装置60に記憶されている。抽出データ747の付随情報としては、移動軌跡に基づいて降車地点から到達地点まで歩行する際の困難度を数値化した歩行コスト、逸脱地点および到達地点の各地点が検知された日時、端末装置20を保持する人間を特定する個人識別情報、端末装置20を保持する人間が乗車していた車両の運転状態(例えば、車のエンジンのオンオフ)や車種などの車両に関する車両情報を含むとしても良い。
【0066】
図11は、地図表示システム10の地図サーバ50が実行する入口設定処理(ステップS22)を示すフローチャートである。本実施例では、地図サーバ50は、記憶装置60に記憶されている抽出蓄積データ74のデータ量が基準値を超えた場合に、図11の入口設定処理(ステップS22)を実行する。本実施例では、図11の入口設定処理(ステップS22)は、地図サーバ50のCPU510がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態として、地図サーバ50の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
【0067】
地図表示システム10の地図サーバ50は、入口設定処理(ステップS22)を開始すると、抽出蓄積データ74を記憶装置60から読み出す(ステップS221)。その後、地図サーバ50は、抽出蓄積データ74における複数の抽出データ747に含まれる逸脱地点を、到達地点が位置する地物毎に集計する(ステップS222)。本実施例では、到達地点が位置する地物ポリゴン単位で、逸脱地点が集計される。例えば、一つの地物ポリゴン内に複数の到達地点が位置する場合には、これらの到達地点と抽出データ747でグループ化されている複数の逸脱地点は、その地物ポリゴンに関する逸脱地点として一つに集計される。
【0068】
逸脱地点が集計された後(ステップS222)、地図サーバ50は、到達地点である地物ポリゴン毎に、逸脱地点が所定の閾値以上に密集する地点を、その地物ポリゴンへ通じる車両進入口として地図データ80に設定する(ステップS223,S226,S227)。換言すれば、逸脱地点を地物ポリゴンの駐車施設への入口として地図データ80に設定する。本実施例では、地図データ80におけるノードデータ810においては、車両進入口を表現するノードが新設され、地物ポリゴンデータ830においては、到達地点である地物ポリゴンに関する地物属性データ8302の車両進入口に、新設されたノードが追加される。本実施例では、車両進入口を表現するノードには、抽出データ747に逸脱地点と共にグループ化された逸脱方向が付属情報として関連付けられる。
【0069】
図12は、地物ポリゴンに複数の車両進入口が設定される様子の一例を示す説明図である。図12に示す例の道路および地物ポリゴンの構成は、図9に示した構成と同様である。図12に示す例では、地物ポリゴンF11に関して集計された逸脱地点から閾値以上に密集した三つの逸脱地点S11a,S12a,S13aが特定され、これら三つの逸脱地点S11a,S12a,S13aをそれぞれ経由する代表する三つの移動軌跡T11,T12,T13が例示されている。逸脱地点S11aは、地物ポリゴンF12に接する道路911上に位置する。逸脱地点S12aは、地物ポリゴンF12に接する道路914上に位置する。逸脱地点S13aは、地物ポリゴンF13に接する道路911上に位置する。図14に示す例では、地図データ80におけるノードデータ810においては、逸脱地点S11a,S12a,S13aをそれぞれ表現する三つのノードが、車両進入口として新設され、地物ポリゴンデータ830においては、到達地点である地物ポリゴンF11に関する地物属性データ8302の車両進入口に、新設された三つのノードが追加される。
【0070】
A3.効果:
以上説明した地図表示システム10によれば、人間が降車して徒歩で到達した到達地点に通じる車両進入口として逸脱地点を設定するため(ステップS226)、車両進入口が誤った地点に設定されてしまうのを防止することができる。また、地物ポリゴンにおける地点を到達地点として特定するため(ステップS125)、誤った地点を到達地点として特定してしまうことを抑制することができる。
【0071】
A4.第1変形例:
前述した実施例の地図表示システム10では、逸脱地点および到達地点が地図データ80の整備に利用するとしたが、逸脱地点および到達地点に加え降車地点を地図データ80の整備に利用しても良い。
【0072】
図13は、第1変形例における抽出蓄積データ74の詳細構成を示す説明図である。第1変形例の抽出蓄積データ74は、逸脱地点および到達地点の座標に加え降車地点の座標を含む点以外は、前述した実施例の抽出蓄積データ74と同様である。第1変形例では、端末装置20において逸脱地点,降車地点,到達地点が抽出データ227としてグループ化される。
【0073】
図14は、第1変形例における入口設定処理(ステップS24)を示すフローチャートである。本実施例では、地図サーバ50は、記憶装置60に記憶されている抽出蓄積データ74のデータ量が基準値を超えた場合に、図14の入口設定処理(ステップS24)を実行する。本実施例では、図14の入口設定処理(ステップS24)は、地図サーバ50のCPU510がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態として、地図サーバ50の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
【0074】
地図表示システム10の地図サーバ50は、入口設定処理(ステップS24)を開始すると、逸脱地点,降車地点,到達地点を含む抽出蓄積データ74を記憶装置60から読み出す(ステップS241)。その後、地図サーバ50は、抽出蓄積データ74における複数の抽出データ747に含まれる降車地点,逸脱地点を、到達地点が位置する地物毎に集計する(ステップS242)。本実施例では、到達地点が位置する地物ポリゴン単位で、降車地点,逸脱地点が集計される。
【0075】
降車地点,逸脱地点が集計された後(ステップS242)、地図サーバ50は、降車地点と逸脱地点とが予め設定されている基準距離内(例えば、10メートル以内)にある場合、図示しない反映禁止部は、これらの降車地点および逸脱地点を集計されたデータから削除し、これらの降車地点および逸脱地点が地図データ80に反映されるのを禁止する(ステップS243)。路上駐車した場合や、送迎車,タクシーを利用にした場合には、降車地点と逸脱地点とが略同じ位置になる可能性が高い。そのため、降車地点と逸脱地点とが略同じ位置にあるデータは、車両入口の整備に誤りを引き起こす可能性が高いことから、これらの降車地点,逸脱地点は集計されたデータから削除される。
【0076】
略同じ位置にある降車地点および逸脱地点が削除された後(ステップS243)、地図サーバ50は、到達地点である地物ポリゴン毎に、駐車施設および車両進入口を地図データ80に設定する(ステップS244,S245,S246,S247)。地図サーバ50は、駐車領域設定処理(ステップS245)において、到達地点である地物ポリゴン毎に、降車地点が閾値以上に密集する領域を、その地物ポリゴンに利用可能な駐車施設として地図データ80に設定する。その後、地図サーバ50は、到達地点である地物ポリゴン毎に、逸脱地点が所定の閾値以上に密集する地点を、その地物ポリゴンへ通じる車両進入口として地図データ80に設定する。本実施例では、地図データ80におけるノードデータ810においては、車両進入口を表現するノードが新設される。地物ポリゴンデータ830においては、到達地点である地物ポリゴンに関する地物属性データ8302の駐車施設および車両進入口が変更されると共に、駐車施設を表現する地物ポリゴンに関する地物属性データ8302の目的施設および車両進入口が変更される。
【0077】
図15は、地図表示システム10の地図サーバ50が実行する駐車領域設定処理(ステップS245)を示すフローチャートである。地図サーバ50は、駐車領域設定処理(ステップS245)を開始すると、降車位置が閾値以上に密集する領域を囲繞する地物ポリゴンを特定する(ステップS2452)。降車位置が閾値以上に密集する領域に地物ポリゴンが存在しない場合には、地図サーバ50は、降車位置が閾値以上に密集する領域を囲繞する地物ポリゴンを作成する(ステップS2453)。
【0078】
図16は、降車位置を囲繞する地物ポリゴンの一例を示す説明図である。図16に示す例の道路および地物ポリゴンの構成は、図9に示した構成と同様である。図16上における複数の丸印は、到着地点である地物ポリゴンF11に関して集計された降車位置を示す。図16に示す例では、駐車領域設定処理(ステップS245)において、降車位置が閾値以上に密集する領域を囲繞する地物ポリゴンF12,F13が特定される(ステップS2452)。図16に示す例では、道路911と道路912で区画された角地に降車位置が閾値以上に密集する領域があるが、この領域を囲繞する地物ポリゴンが存在しないため、図示しない既存領域設定部によって新たに駐車施設としての地物ポリゴンF21が作成される(ステップS2453)。
【0079】
降車位置が密集する地物ポリゴンが特定および作成された後(ステップS2452,S2453)、地図サーバ50は、降車位置が密集する地物ポリゴンを、到達地点である地物ポリゴンに利用される駐車施設として地図データ80に設定する(ステップS2455,S2456,S2457,S2458,S2459)。本実施例では、到達地点である地物ポリゴンへの利用頻度が閾値以上である場合(ステップS2456:「YES」)、地図サーバ50は、降車位置が密集する地物ポリゴンを、到達地点のために整備された専用駐車施設として地図データ80に設定する(ステップS2457)。一方、到達地点である地物ポリゴンへの利用頻度が閾値以上でない場合(ステップS2456:「NO」)、地図サーバ50は、降車位置が密集する地物ポリゴンを、到達地点に利用可能な一般駐車施設として地図データ80に設定する(ステップS2458)。本実施例では、到達地点への利用頻度を判断するために、地物ポリゴンデータ830には、駐車施設を表現する地物ポリゴンに関するデータとして、到達地点ごとに降車地点の数が集計されている。
【0080】
以上説明した第1変形例の地図表示システム10によれば、人間が降車して徒歩で到達した到達地点に通じる車両進入口として逸脱地点を設定するため(ステップS246)、車両進入口が誤った地点に設定されてしまうのを防止することができる。また、人間の移動軌跡に基づいて、到達地点に利用される駐車施設を地図データ80に整備することができる(ステップS245)。また、駐車施設の整備に併せ、その駐車施設に通じる車両進入口を地図データ80に整備することができる(ステップS246)。また、路上駐車した場合や、送迎車,タクシーを利用にした場合を示す可能性が高い移動軌跡を、地図データ80に車両進入口を整備するための情報から除外することによって、誤った情報が地図データ80に設定されてしまうのを防止することができる(ステップS243)。
【0081】
A5.第2変形例:
抽出蓄積データ74に含まれる付随情報は、図示しないコスト算出部によってプローブデータ226から算出された歩行コストを含み、入口設定処理(ステップS22,S24)において複数の車両進入口が特定された場合に、車両進入口を地図データ80に設定する優先順位を、歩行コストに基づいて決定しても良いし、経路案内時に駐車施設を案内する車両進入口を、歩行コストに基づいて地図データ80に設定しても良い。また、第1変形例における抽出蓄積データ74に含まれる付随情報は、歩行コストを含み、駐車領域設定処理(ステップS245)において複数の駐車施設が特定された場合に、駐車施設を地図データ80に設定する優先順位を、歩行コストに基づいて決定しても良いし、経路案内時に駐車施設を案内する優先順位を、歩行コストに基づいて地図データ80に設定しても良い。なお、コスト関連付部によって、歩行コストは地図データ80に設定される車両進入口に関連付けられる。
【0082】
A6.第3変形例:
抽出蓄積データ74に含まれる付随情報は、各地点が検知された日付を含み、入口設定処理(ステップS22,S24)において、特定曜日や特定日で利用状況が変化する様子を示す情報を地図データ80に設定しても良い。これによって、特定曜日で利用状況が変化する施設(例えば、ショッピングセンタ,遊園地など)や、特定日で利用状況が変化する施設(例えば、プロ野球の開催球技場,花火大会の開催地など)への経路案内において、特定曜日や特定日を考慮して車両進入口や駐車施設を案内することができる。
【0083】
A7.第4変形例:
抽出蓄積データ74に含まれる付随情報は、各地点が検知された時刻を含み、入口設定処理(ステップS22,S24)において、時間帯で利用状況が変化する様子を示す情報を地図データ80に設定しても良い。これによって、時間帯で利用状況が変化する施設(例えば、夜間割引を行う施設、夜間に閉鎖される施設など)への経路案内において、時刻を考慮して車両進入口や駐車施設を案内することができる。また、抽出蓄積データ74に含まれる付随情報に、各地点が検知された時刻を含む場合において、逸脱地点よりも降車地点の方が先の時刻である場合には、車による送迎やタクシーを利用した軌跡パターンであると判断して、この軌跡パターンに基づく情報が地図データ80に反映されるのを禁止しても良い。
【0084】
A8.第5変形例:
また、抽出蓄積データ74に含まれる付随情報は、端末装置20を保持する人間を特定する個人識別情報を含み、入口設定処理(ステップS22,S24)において、駐車施設の利用態様を示す情報を地図データ80に設定しても良い。例えば、少数の特定者に利用される駐車施設は、個人宅の駐車場として設定され、特定者の数が増えるに従って、契約駐車場、従業員駐車場、顧客駐車場として設定されるとしても良い。これによって、利用態様に応じて駐車施設を地図データ80に設定することができる。
【0085】
A9.第6変形例:
端末装置20によって検知されるプローブデータ226には、端末装置20を保持する人間が乗車していた車両の運転状態や車種などの車両に関する車両情報を含み、プローブ抽出処理(ステップS12)において、車両情報を考慮して逸脱地点,降車地点,到達地点を特定しても良い。これによって、逸脱地点,降車地点,到達地点を誤って特定してしまうのを抑制することができる。また、抽出蓄積データ74に含まれる付随情報は、車両情報を含み、入口設定処理(ステップS22,S24)において、車両情報を考慮して車両進入口や駐車施設を地図データ80に設定しても良い。これによって、車両進入口や駐車施設を誤って設定してしまうのを抑制することができる。
【0086】
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、複数の異なる車両逸脱地点を、単一の駐車施設への入口として地図データ80に設定しても良い。また、単一の車両逸脱地点を、複数の異なる駐車施設への入口として地図データ80に設定しても良い。
【0087】
また、本実施例では、地図表示システム10の端末装置20は、携帯電話機であるが、無線ローカルエリアネットワーク(Local Area Network, LAN)の端末装置であっても良いし、地図表示専用の携帯端末であっても良いし、車載のカーナビゲーション装置であっても良い。また、本実施例では、地図データ80に基づくデータを地図サーバ50が端末装置20にネットワーク40などを介して配信する構成としたが、他の実施形態において、端末装置20に記憶装置60を内蔵または外付けして、端末装置20が地図データ80を直接的に取り扱うとしても良い。また、端末装置20が地図データ80を直接的に取り扱う場合、地図サーバ50は、地図データ80の修正前後の差分データを端末装置20へと配信するとしても良い。
【0088】
また、実施例では、端末装置20においてプローブデータ226から抽出データ227が作成されるとしたが、他の実施形態において、端末装置20から地図サーバ50にプローブデータ226を転送し、地図サーバ50においてプローブデータ226から抽出データ227が作成されるとしても良い。図17は、他の実施形態における地図サーバ50および記憶装置60の構成を主に示す説明図である。図19の地図サーバ50は、逸脱特定部512と、降車特定部513と、到達特定部514とを備える点、プローブ受信部511がプローブデータ226を端末装置20から受信した後、そのプローブデータ226を記憶装置60にプローブ蓄積データ72として蓄積する点以外は、前述の実施例と同様である。
【0089】
地図サーバ50の逸脱特定部512は、プローブ蓄積データ72に基づいて、端末装置20を保持する人間が乗車している車両が道路を逸脱した地点である逸脱地点を特定する。地図サーバ50の降車特定部513は、プローブ蓄積データ72に基づいて、逸脱地点で車両が道路を逸脱した後に、端末装置20を保持する人間が降車した地点である降車地点を特定する。地図サーバ50の到達特定部514は、逸脱地点で車両が道路を逸脱した後に、端末装置20を保持する人間が降車して徒歩で到達した地点である到達地点を特定する。逸脱特定部512によって特定された逸脱地点と、到達特定部514によって特定された到達地点とは、抽出蓄積データ74として記憶装置60に蓄積される。
【0090】
また、実施例では、地図サーバ50において地図データ80が整備されるとしたが、他の実施形態において、端末装置20においてプローブデータ226の検知から地図データ80の整備までの処理を実行しても良い。図18は、他の実施形態における端末装置20の構成を主に示す説明図である。図18の端末装置20は、入口設定部216を備える点、地図データ80をメモリ220に記憶している点以外は、前述の実施例と同様である。端末装置20の入口設定部216は、抽出データ227に含まれる到達地点および逸脱地点に基づいて、車両進入口を地図データ80に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】地図表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】地図データによって規定されたノード,リンク,地物ポリゴンを模式的に例示する説明図である。
【図3】地図データにおけるノードデータの詳細構成を示す説明図である。
【図4】地図データにおけるリンクデータの詳細構成を示す説明図である。
【図5】地図データにおける地物ポリゴンデータの詳細構成を示す説明図である。
【図6】地図表示システムにおける端末装置の構成を主に示す説明図である。
【図7】地図表示システムにおける地図サーバの構成を主に示す説明図である。
【図8】地図表示システムの端末装置が実行するプローブ抽出処理を示すフローチャートである。
【図9】逸脱地点,降車地点,到達地点を特定する様子の一例を示す説明図である。
【図10】抽出蓄積データの詳細構成を示す説明図である。
【図11】地図表示システムの地図サーバが実行する入口設定処理を示すフローチャートである。
【図12】地物ポリゴンに複数の車両進入口が設定される様子の一例を示す説明図である。
【図13】第1変形例における抽出蓄積データの詳細構成を示す説明図である。
【図14】第1変形例における入口設定処理を示すフローチャートである。
【図15】地図表示システムの地図サーバが実行する駐車領域設定処理を示すフローチャートである。
【図16】降車位置を囲繞する地物ポリゴンの一例を示す説明図である。
【図17】他の実施形態における地図サーバおよび記憶装置の構成を主に示す説明図である。
【図18】他の実施形態における端末装置の構成を主に示す説明図である。
【符号の説明】
【0092】
10…地図表示システム
20…端末装置
32…基地局装置
40…ネットワーク
50…地図サーバ
60…記憶装置
72…プローブ蓄積データ
74…抽出蓄積データ
80…地図データ
90…測地衛星
210…CPU
211…移動検知部
212…逸脱地点特定部
213…降車特定部
214…到達特定部
215…プローブ送信部
216…入口設定部
220…メモリ
221…電話通信プログラム
222…ナビゲーションプログラム
224…プローブプログラム
226…プローブデータ
227…抽出データ
230…ディスプレイ
240…入力ボタン
250…無線通信部
272…スピーカ
274…マイク
280…加速度センサ
510…CPU
511…プローブ受信部
512…逸脱特定部
513…降車特定部
514…到達特定部
516…入口設定部
520…メモリ
522…ナビゲーションプログラム
524…地図整備プログラム
532…ネットワークインタフェース
534…ストレージインタフェース
747…抽出データ
810…ノードデータ
820…リンクデータ
830…地物ポリゴンデータ
911,912,914…道路
8102…ノード属性データ
8202…リンク属性データ
8302…地物属性データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能に接続されたサーバと複数の携帯端末とを含んで構成されており、ナビゲーション装置で用いられる電子地図データを整備する電子地図整備システムであって、
前記携帯端末は、
位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を前記サーバに送信する送信部と
を備えており、
前記サーバは、
電子地図データを記憶する電子地図記憶部と、
前記位置情報に基づいて得られる移動軌跡を記憶する移動軌跡記憶部と、
前記携帯端末を携帯する携帯者の移動手段を特定する移動手段特定部と、
前記移動手段が車両であると特定された場合において、前記車両の移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、前記車両が道路から逸脱した地点である車両逸脱地点を特定する逸脱地点特定部と、
前記車両が駐車されたことを特定する駐車状態特定部と、
前記車両逸脱地点が特定された場合であって、前記車両が駐車されたと特定された場合において、前記移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、徒歩による地物への到達を特定する到達特定部と、
前記車両逸脱地点に関する情報および前記徒歩による地物への到達に関する情報を関連付けて蓄積する情報蓄積部と、
前記情報蓄積部に蓄積された情報に基づいて、前記車両逸脱地点を前記地物の駐車施設への入口として前記電子地図データに設定する駐車施設設定部と
を備える電子地図整備システム。
【請求項2】
前記車両逸脱地点からの逸脱方向を特定する逸脱方向特定部を更に備えており、
前記情報蓄積部は、更に、前記逸脱方向に関する情報をも蓄積することを特徴とする請求項1に記載の電子地図整備システム。
【請求項3】
前記到達特定部は、前記地図データに含まれており地図上に地物を表現するための図形データのうち、前記車両が駐車されたと特定された場合において、徒歩による移動の推移を示す移動軌跡が滞留する図形データにおける地点を到達地点として特定する請求項1または請求項2に記載の電子地図整備システム。
【請求項4】
更に、前記地図データに含まれ地図上に地物を表現する図形データのうち、前記駐車施設を囲繞する図形データを、前記到達特定部によって特定された到達地点に利用される駐車施設として前記地図データに設定する既存領域設定部を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子地図整備システム。
【請求項5】
更に、前記車両から降車した降車地点を特定する降車特定部と、
前記逸脱地点特定部によって特定された車両逸脱地点と、前記降車地点とが基準距離内にある場合、該車両逸脱地点および該降車地点の少なくとも一方が前記地図データに反映されるのを禁止する反映禁止部と
を備える請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子地図整備システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子地図整備システムであって、更に、
前記移動軌跡記憶部に記憶された移動軌跡に基づいて、前記駐車施設から徒歩で到達地点に到達するのに掛かる負担を表す歩行コストを算出するコスト算出部と、
前記コスト算出部によって算出された歩行コストを、前記駐車施設設定部によって前記地図データに設定される入口に関連付けるコスト関連付部と
を備える電子地図整備システム。
【請求項7】
前記移動軌跡記憶部に記憶された移動軌跡は、検知日,検知時刻,前記人間の個人識別符号,前記車両の運転状態,前記車両の車種の少なくとも一つを示す情報を含む請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電子地図整備システム。
【請求項8】
ナビゲーション装置で用いられる電子地図データを整備する電子地図整備方法であって、
コンピュータが、電子地図データを記憶装置に記憶する工程と
コンピュータが、複数の携帯端末で取得された位置情報に基づいて得られる移動軌跡を記憶装置に記憶する工程と、
コンピュータが、前記携帯端末を携帯する携帯者の移動手段を特定する工程と、
コンピュータが、前記移動手段が車両であると特定された場合において、前記車両の移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、前記車両が道路から逸脱した地点である車両逸脱地点を特定する工程と、
コンピュータが、前記車両が駐車されたことを特定する工程と、
コンピュータが、前記車両逸脱地点が特定された場合であって、前記車両が駐車されたと特定された場合において、前記移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、徒歩による地物への到達を特定する工程と、
コンピュータが、前記車両逸脱地点に関する情報および前記徒歩による地物への到達に関する情報を関連付けて情報蓄積部に蓄積する工程と、
コンピュータが、前記蓄積された情報に基づいて、前記車両逸脱地点を前記地物の駐車施設への入口として前記電子地図データに設定する工程と
を備える電子地図整備方法。
【請求項9】
ナビゲーション装置で用いられる電子地図データを整備する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
電子地図データを記憶装置に記憶する機能と
複数の携帯端末で取得された位置情報に基づいて得られる移動軌跡を記憶装置に記憶する機能と、
前記携帯端末を携帯する携帯者の移動手段を特定する機能と、
前記移動手段が車両であると特定された場合において、前記車両の移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、前記車両が道路から逸脱した地点である車両逸脱地点を特定する機能と、
前記車両が駐車されたことを特定する機能と、
前記車両逸脱地点が特定された場合であって、前記車両が駐車されたと特定された場合において、前記移動軌跡および前記電子地図データに基づいて、徒歩による地物への到達を特定する機能と、
前記車両逸脱地点に関する情報および前記徒歩による地物への到達に関する情報を関連付けて情報蓄積部に蓄積する機能と、
前記蓄積された情報に基づいて、前記車両逸脱地点を前記地物の駐車施設への入口として前記電子地図データに設定する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−96890(P2010−96890A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266209(P2008−266209)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】