説明

電子基板および電子装置

【課題】発熱素子の発熱をより効率よく放熱すること。
【解決手段】電子基板100Hは、板状の基材110と、冷却構造を有している。冷却構造は、基材110上に設けられ、発熱素子120を冷却する。また、冷却構造は、少なくとも第1の放熱部160Fと、熱伝達部5000とを備えている。第1の放熱部160Fは、基材110に搭載される発熱素子120の発熱を放熱する。熱伝達部は、発熱素子120の発熱を第1の放熱部160Fへ伝達する。第1の放熱部160Fは、補強部1600を備えている。この補強部1600は、第1の放熱部160Fを構成する第1の接合面165を含む板のうちで当該第1の接合面165と反対側に設けられた第1の内面166と、この第1の内面166に対向する第2の内面167とを接続している。そして、第1の放熱部160は、第1の接合面165を介して放熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板および電子装置に関し、特に、電子基板の面上に搭載される発熱素子の発熱を放熱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器やパソコンなどの電子装置は、一度に大量の演算を高速に行うなど、高性能化や高機能化が急速に進んできている。これに伴い、電子装置(例えばICT(Information and Communication Technology)装置)に搭載されている部品のうち、特に中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)や集積回路(Multi-chip Module:MCM)などの発熱素子は、非常に高く発熱する傾向にある。
【0003】
このような電子装置において、ヒートパイプを用いて、発熱素子の発熱を放熱する技術が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1には、平板型ヒートパイプおよび発熱素子を含む平板型ヒートパイプモジュールを、放熱器に接続された吸熱板に接触させることにより、発熱素子の発熱を放熱器へ伝達して、発熱素子の発熱を放熱する技術が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の技術では、平板型ヒートパイプと吸熱板は互いに平行するように対向して配置されている。平板型ヒートパイプの一端は、吸熱板に取り付けられた着脱部に装着される。また、平板型ヒートパイプの一端にはテーパー状のテーパーブロックが設けられており、着脱部にはテーパーブロックとは逆テーパー状の面が形成されている。そして、平板型ヒートパイプモジュールを吸熱板に装着した際に、平板型ヒートパイプおよび着脱部のテーパーによって形成される斜面同士が互いに接触し合いながら、平板型ヒートパイプの端部側が吸熱板に向けて押圧されて、平板型ヒートパイプの端部側と吸熱板とが互いに接合する。これにより、発熱素子の発熱が、平板型ヒートパイプの端部側および吸熱板を介して放熱器に伝達され放熱される。
【0005】
特許文献2には、MCMが搭載されたボード(MCM搭載基板)をバックボードに取り付けることにより、MCMの発熱をバックボードに伝熱して、発熱素子の発熱を放熱する技術が開示されている。具体的には、特許文献2に記載の技術では、MCMの発熱を導くヒートパイプがボードに取り付けられており、このヒートパイプとは別に、バックボード側ヒートパイプがバックボードに取り付けられている。また、熱転送部がボード面に対して垂直に突出して設けられ、バックボード側ヒートパイプがバックボード面と平行な面を有している。そして、ボードをバックボード面に対して垂直な方向に挿入すると、ボードの熱転送部がバックボード側ヒートパイプの面に密着する。これにより、発熱素子の発熱が、ヒートパイプ、熱転送部およびバックボード側ヒートパイプを介してバックボード側に伝達され放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−156483号公報(特に、段落0030−段落0033、図3)
【特許文献2】特開平10−209660号公報(特に、段落0027−段落0028、図13−図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、平板型ヒートパイプの端部は、テーパー状に形成されているため機械的な強度が弱い。このため、平板型ヒートパイプモジュールを吸熱板に装着する際に変形するおそれがあった。また、熱的な接続を行う部分がテーパー形状部分に限られるので、接触部分の面積を大きくとることが困難であった。このため、発熱素子の熱を吸熱面に十分に伝達できず、発熱素子の発熱を十分に放熱できないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、熱転送部は、ボードに垂直に突出して形成されているので、機械的な強度が弱い。このため、ボードの熱転送部をバックボード側ヒートパイプの面に取り付ける際に、ボードの熱転送部およびバックボード側ヒートパイプが十分に密着するように加圧すると、ボードの熱転送部やバックボード側ヒートパイプが変形するおそれがあった。また、複数のボードが装着されるため、個々の熱転送部の接続面の面積を大きくとることが困難であった。このため、発熱素子の熱を吸熱面に十分に伝達できず、発熱素子の発熱を十分に放熱できないという問題があった。
【0009】
このように、関連する電子装置では、熱伝達部(熱転送部、熱転送部)の機械的強度が弱く、接続面の面積を大きくとることが困難であるため、発熱素子の発熱を十分に行えないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、発熱素子の発熱をより効率よく放熱することが困難であるという課題を解決する電子基板および電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電子基板は、発熱素子を搭載できる板状の基材と、前記基材上に設けられ、前記発熱素子を冷却する冷却構造とを有し、前記冷却構造は、前記発熱素子の発熱を放熱する第1の放熱部と、前記発熱素子の発熱を前記第1の放熱部へ伝達する熱伝達部とを備え、前記第1の放熱部は、前記第1の放熱部を構成する第1の接合面を含む板のうちで前記第1の接合面と反対側に設けられた第1の内面と、当該第1の内面に対向する第2の内面とを接続する補強部とを備え、前記第1の放熱部は、前記第1の接合面を介して放熱する。
【0012】
本発明の電子装置は、電子基板と、前記電子基板を収容する筐体とを有し、前記電子基板は、発熱素子を搭載できる板状の基材と、前記基材上に設けられ、前記発熱素子を冷却する冷却構造とを有し、前記冷却構造は、前記発熱素子の発熱を放熱する第1の放熱部と、前記発熱素子の発熱を前記第1の放熱部へ伝達する熱伝達部とを備え、前記第1の放熱部は、前記第1の放熱部を構成する第1の接合面を含む板のうちで前記第1の接合面と反対側に設けられた第1の内面と、当該第1の内面に対向する第2の内面とを接続する補強部とを備え、前記筐体は、前記第1の接合面と熱的に接続する第2の放熱部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる電子基板によれば、発熱素子の発熱をより効率よく放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電子装置の構成を示す側面透視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における電子基板と周辺の構成を示す斜視図である。
【図4】図1のA−A切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図5】図1のB−B切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図6】筐体の上面側から視たときの第1および第2の放熱部の接続構造を模式的に示す図である。
【図7】第1および第2の放熱部の接続構造を説明するための斜視図である。
【図8】筐体の上面側から視たときの第1および第2の放熱部の接続構造の別例を模式的に示す図である。
【図9】第1および第2の放熱部の接続構造の別例を説明するための斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における電子基板の変形例の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における電子基板の変形例の構成を示す平面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図14】図13のC−C切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図15】図13のD−D切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図16】図13の矢視Eを示す側面図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図18】図17のF−F切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図19】図17の矢視Gを示す側面図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図21】図20のH−H切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図22】図20のJ−J切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図23】図20の矢視Kを示す側面図である。
【図24】本発明の第6の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図25】図24の矢視Lを示す側面図である。
【図26】図25のM−M切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図27】本発明の第7の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【図28】図27の矢視Nを示す側面図である。
【図29】図28のO−O切断面で切断したときの断面を示す断面図である。
【図30】本発明の第8の実施の形態における電子基板の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における電子装置1000を側面からみた構成を示す透視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態における電子基板100の構成を示す平面図である。図3は、電子基板100と周辺の構成を示す斜視図である。図4は、図1のA−A切断面で切断したときの断面を示す。図5は、図1のB−B切断面で切断したときの断面を示す。なお、図1および図2では、後述の第1の放熱部160の一部を切り欠いた図としている。
【0016】
図1に示されるように、電子装置1000は、少なくとも、電子基板100と、筐体200とを含んで構成されている。筐体200は、電子基板100を収容する。電子基板100は、基材110面とほぼ平行な面に沿って、筐体200に挿抜可能に取り付けられる。図1には、電子基板100の挿抜方向Vを示す。すなわち、基材110面とほぼ平行な面に沿って、電子基板100を筐体200内に挿入することにより、電子基板100を筐体200に取り付けることができる。逆に、基材110面とほぼ平行な面に沿って、電子基板100を筐体200から抜くことにより、電子基板100を筐体200から取り外すことができる。ここでは、まず、筐体200の構成を説明して、その後に電子基板100の構成を説明する。
【0017】
図1に示されるように、筐体200は、排気領域200a、基板搭載領域200bおよび吸気領域200cの3つの領域を有している。排気領域200a内には、ファン部210が取り付けられている。吸気領域220cの前面側(図1紙面の左側)には、複数の吸気口220が形成されている。排気領域200の背面側(図1紙面の右側)には、複数の排気口230が形成されている。また、吸気領域200cおよび基板搭載領域200bの間には、複数の第1の通気口240が形成されている。基板搭載領域200bおよび排気領域200aの間には、複数の第2の通気口250が形成されている。
【0018】
筐体200内では、まず、ファン部210を動作させると、吸気口220から筐体200外の空気が吸い込まれる。次に、吸気口220から吸い込まれた空気は、第1の通気口240を介して基板搭載領域220bに入り(矢印P)、さらに第2の通気口250を介して排気領域200aに入る(矢印Q)。そして、排気領域200a内の空気が、排気口230を介して、筐体200の背面側に排出される(矢印R)。このようにして、電子装置1000は、ファン部210を動作させることにより、筐体200外の空気を筐体200の前面側から吸い入れて、吸い入れた空気を吸気領域200c、基板搭載領域200bおよび排気領域200aを介して筐体200の背面側に排出する。これにより、筐体200内に収容された電子基板100などの熱を筐体200外の空気を用いて冷却している。
【0019】
また、図1に示されるように、基板搭載領域200bのうち、筐体200内の背面側には、第2の放熱部260が取り付けられている。この第2の放熱部260は、例えば、アルミや銅などの熱伝導性部材により形成されており、より好ましくは熱抵抗が少ない材料により形成される。
【0020】
さらに、第2の接合面265が、第2の放熱部260を構成する面として、第2の放熱部260の一端部に形成されている。この第2の接合面265は、後述するように、電子基板100の第1の放熱部160に形成された第1の接合面165と接続して、電子基板100上の電子部品の発熱を放熱する。
【0021】
図5に示されるように、複数の板状の筐体側フィン部261が、第2の放熱部260に設けられている。筐体側フィン部261は、後で詳細に説明するように、第1の接合面165と第2の接合面265とが互いに接続することによって、第1の放熱部160から伝達される熱を放熱する。なお、ここでは、筐体側フィン部261の形状を板形状にすると説明した。しかしながら、筐体側フィン部261は、熱を拡散する機能を果たすために、表面積が広ければよく、例えば剣山形状、棒形状、蛇腹形状に形成されてもよい。
【0022】
コネクタ270が、筐体200の基板搭載領域200b内に取り付けられている。このコネクタ270は、後述のコネクタ170a、170bと互いに嵌合することにより、電子基板100と筐体200内の回路(不図示)との間を電気的に接続する。
【0023】
次に、電子基板100の構成について、図に基づいて説明する。
【0024】
図2および図3に示されるように、電子基板100は、基材110と、発熱素子120と、沸騰受熱部130と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150と、第1の放熱部160と、コネクタ170a、170bと、正面板180と、ネジ取り付け部190とを含んで構成される。なお、発熱素子120は、電子基板100に対して、取り付けおよび取り外しをすることができる。
【0025】
電子基板100の各構成の説明の前に、沸騰受熱部130および第1の放熱部160の間に冷媒を相変化(液相←→気相)させながら循環させることにより、発熱素子120の発熱を放熱する冷却構造(沸騰冷却構造と呼ばれる。)について、基本的な説明する。
【0026】
図2および図3に示されるように、沸騰受熱部130および第1の放熱部160の間は、蒸気用チューブ140および液用チューブ150により接続されている。沸騰受熱部130および第1の放熱部160は、後で詳細に説明するように、内部は中空状に形成されており、空洞となっている。また、沸騰受熱部130および第1の放熱部160の内部空洞と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150とにより形成される閉鎖空間内に、冷媒(不図示)が密閉された状態で閉じこめられている。
【0027】
この冷媒は、密閉された状態で、沸騰受熱部130および第1の放熱部160の間を、蒸気用チューブ140および液用チューブ150を介して、循環する。冷媒は、例えば高分子材料などにより構成されており、高温になると気化し、低温になると液化する特性を有している。
【0028】
前記閉鎖空間内に冷媒を充填する方法について説明する。まず、沸騰受熱部130および第1の放熱部160の内部空洞と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150とにより形成される閉鎖空間内に冷媒を注入する。次に、真空ポンプ(不図示)などを用いて、前記閉鎖空間内から空気を排除して、この当該閉鎖空間内に冷媒を密閉する。これにより、前記空間内の圧力が大気圧以下となり、前記閉鎖空間内に密閉された冷媒の沸点が室温近傍となる。電子基板1000が室温の環境下に置かれたとき、沸騰受熱部130が発熱素子120に接していると、発熱素子120の発熱開始とほぼ同時に冷媒が沸騰し、蒸気が発生する。この結果、少なくとも沸騰受熱部130、第1の放熱部160、蒸気用チューブ140および液用チューブ150を含む冷却構造が、冷却モジュールとして機能し、発熱素子120の発熱を冷却し始める。
【0029】
なお、少なくとも、沸騰受熱部130、蒸気用チューブ140は、本発明の熱伝達部を構成する。この熱伝達部は、発熱素子120の発熱を第1の放熱部160に伝達する機能を果たす。
【0030】
次に、電子基板100を構成する各部材について、具体的に説明する。基材110は、板状に形成されたプリント配線基板である。基材の材料には、例えばガラスエポキシなどの難燃性部材が用いられる。
【0031】
発熱素子120は、例えばCPUやMCMなど、動作すると高い熱を発する素子である。また、図4に示されるように、発熱素子120は、発熱素子用ソケット121を介して、基材110に取り付けられている。
【0032】
沸騰受熱部130は、発熱素子120の発熱を受熱する冷媒を貯蔵する。図4に示されるように、沸騰受熱部130は、発熱素子120上に取り付けられている。なお、沸騰受熱部130の材料は、例えばアルミニウムや銅などの伝熱性部材により形成されている。沸騰受熱部130は、本発明の受熱部に対応する。
【0033】
また、沸騰受熱部130は、その内部空間に冷媒沸騰部134を有する。冷媒沸騰部134内では、冷媒が、発熱素子120の発熱により沸騰して気化する。さらに、複数の板状の沸騰受熱部側フィン部131が、沸騰受熱部130の冷媒沸騰部134内に設けられている。沸騰受熱部側フィン部131は、発熱素子120の発熱を拡散することによって、当該発熱素子120の温度を下げる。なお、ここでは、沸騰受熱部側フィン部131の形状を板形状にすると説明した。しかしながら、沸騰受熱部側フィン部131は、熱を拡散する機能を果たすために、表面積が広ければよく、例えば剣山形状、棒形状、蛇腹形状に形成されてもよい。
【0034】
また、沸騰受熱部130は、図2および図3に示されるように、蒸気管132と、液管133とをさらに備えている。蒸気管132は、沸騰受熱部130および蒸気用チューブ140の結合部にあたる。液管133は、沸騰受熱部130および液用チューブ150の結合部にあたる。図4では、液管133の断面が示され、蒸気管132の端面を形成する開口132aが示されている。蒸気管132は、蒸気用チューブ140を介して、第1の放熱部160に接続されている。液管133は、液用チューブ150を介して、第1の放熱部160に接続されている。なお、蒸気管132および液管133は、沸騰受熱部130と同じ材料により一体に形成してもよいし、沸騰受熱部130とは別の材料により別体で形成してもよい。
【0035】
蒸気用チューブ140および液用チューブ150は、沸騰受熱部130および第1の放熱部160の間で、冷媒を循環するために用いられる。蒸気用チューブ140および液用チューブ150の材料には、選択する冷媒によって変質や変形などが生じないように、耐性のある部材を用いる。蒸気用チューブ140は、沸騰受熱部130に貯蔵される冷媒を第1の放熱部160へ輸送する。なお、蒸気用チューブ140は、本発明の輸送管に相当する。
【0036】
第1の放熱部160は、図2および図3に示されるように、基材110の端部側に取り付けられている。第1の放熱部160は、沸騰受熱部130から蒸気用チューブ140を介して流入する冷媒の気体を冷却することにより、発熱素子120の発熱を放熱する。第1の放熱部160の材料には、例えばアルミニウムや銅などの伝熱性部材により形成されている。第1の接合面165は、第1の放熱部160を構成する面である。そして、第1の接合面165は、後述するように、第2の放熱部260の第2の接合面265に接続する。
【0037】
また、第1の放熱部160は、図5に示されるように、中空状に形成されており、その内部空間に凝縮部164を有する。凝縮部164内では、発熱素子120の発熱により気化した冷媒が、冷却されて液化する。なお、凝縮部164は、第1の放熱部160の中空内部に相当する。
【0038】
さらに、図2および図5に示されるように、第1の放熱部160には、補強柱161が設けられている。この補強柱161は、第1の接合面165に対してほぼ垂直な方向に延びるように、第2の放熱部160の凝縮部164(中空内部)内に形成されている。補強柱161は、円柱や多角柱などの柱状に形成されている。また、補強柱161は、第1の放熱部160を構成する第1の接合面165を含む板のうちで当該第1の接合面165と反対側に設けられた第1の内面166と、この第1の内面に対向する第2の内面167とを接続する。すなわち、補強柱161は、第1の放熱部160の2つの内面166、167を接続するように、設けられている。これにより、第1の放熱部160の剛性を高めることができる。補強柱161は、前述の沸騰受熱部側フィン部131と同じ機能も果たす。すなわち、沸騰受熱部130から蒸気用チューブ140を介して流入する冷媒の気体の熱を補強柱161の側面から拡散することによって、発熱素子120の発熱を放熱する。なお、補強柱161は、本発明の補強部に対応する。
【0039】
第1の放熱部160は、図2および図3に示されるように、蒸気管162と、液管163とをさらに備えている。蒸気管162は、蒸気用チューブ140(本発明の熱伝達部を構成)および第1の放熱部160の結合部に相当する。蒸気管162は、蒸気用チューブ140を介して、沸騰受熱部130に接続されている。液管163は、液用チューブ150および第1の放熱部160の結合部に相当する。液管163は、液用チューブ150を介して、沸騰受熱部130に接続されている。なお、蒸気管162および液管163は、第1の放熱部160と同じ材料により一体に形成してもよいし、第1の放熱部160とは別の材料により別体で形成してもよい。蒸気管162は、第1の放熱部160に冷媒を流入する管であって、本発明の冷媒流入管に相当する。液管163は、第1の放熱部160から冷媒を流出する管であって、本発明の冷媒流出管に相当する。
【0040】
図2および図5に示されるように、第1の接合面165が第1の放熱部160の一端面を構成している。第1の接合面165は、基材110面に対してほぼ直交するように、第1の放熱部160に形成されている。また、第1の接合面165は、第2の放熱部260に形成された第2の接合面265に対向するように設けられており、当該第2の接合面265に接合する。
【0041】
コネクタ170a、170bは、基材110上に実装されており、当該基材110上に形成された電極パターン(不図示)に電気的に接続されている。また、コネクタ170a、170bは、筐体200に取り付けられたコネクタ270に嵌合されることにより、電子基板100と筐体200内の電子回路(不図示)との間を電気的に接続する。
【0042】
図1〜図3に示されるように、正面板180は、基材110のうち、第1の放熱部160が設けられた端部に対して反対側の端部に、取り付けられている。正面板180は、基材110面に対してほぼ垂直な方向に、当該基材110の端面に沿って設けられている。電子基板100が筐体200に収容されたとき、正面板180は、電子装置100の前面(図1の紙面左側)を構成する。また、正面板180には、取り付けネジ部190が取り付けられている。取り付けネジ部190用のネジ穴(不図示)が、筐体200の前面側(図1の紙面左側)であって取り付けネジ部190に対応する位置に形成されている。そして、取り付けネジ部190を筐体200の前面側のネジ穴に取り付けた後、当該取り付けネジ部190をねじ締めすることにより、電子基板100の正面板180が筐体200の前面側に保持される。
【0043】
ここで、電子基板100は、図2および図5に示されるように、押圧部300を有している。押圧部300は、第1の接合面165と第2の接合面265とを熱的に接続するように、第1の放熱部160を第2の放熱部260に向けて押圧する。なお、第1の接合面165と第2の接合面265とを熱的に接続するとは、第1の接合面165側の熱と第2の接合面265側の熱とが互いに移動することができることを意味する。
【0044】
図5に示されるように、押圧部300は、押し付けネジ部310を少なくとも有している。押し付けネジ部310は、ネジガイド320およびネジガイド固定ビス330を介して、基板110の面上に取り付けられている。具体的には、ネジガイド320が、ネジガイド固定ビス330によって、基材110に保持される。ネジガイド320には、ネジ穴320aが、第1の接合面165および第2の接合面265に対してほぼ垂直な方向に、基材110面に沿って、形成されている。そして、押し付けネジ部310がネジガイド320のネジ穴320aに取り付けられると、押し付けネジ部310の中心軸CLが第1の接合面165および第2の接合面265に対してほぼ垂直な方向に配置される。
【0045】
また、図3および図5に示されるように、第1の放熱部用カバー169が、第1の放熱部160の一部およびネジガイド320を覆うように設けられている。図3に示されるように、第1の放熱部用カバー169は、第1の放熱部160の3面(図3の紙面手前側の面、紙面上側の面および紙面下側の面)を囲うことにより、当該第1の放熱部160が基材110面および電子基板100の挿抜方向に対してほぼ平行な方向に移動できるように規制している。第1の放熱部用カバー169は、ネジガイド320に固定されている。また、第1の放熱部160は、前述の通り、蒸気用チューブ140および液用チューブ150によって沸騰受熱部130に接続されているので、第1の放熱部160の一部が第1の放熱部用カバー169の内側に必ず配置されるように、蒸気用チューブ140および液用チューブ150の長さ等を設定することで、第1の放熱部160は基材110から外れることなく保持される。
【0046】
そして、押し付けネジ部310を締めることにより、押し付けネジ部310の先端部310aが第1の放熱部160を第2の放熱部260に向けて押圧する。これにより、第1の接合面165と第2の接合面265とが互いに密着する。この結果、第1の放熱部160の熱を第2の放熱部260に効率よく伝熱することができる。
【0047】
このとき、押圧部としての押し付けネジ部310の先端部310aは、補強柱161に対応した位置に配置されている。したがって、押し付けネジ部310を締めることにより、押し付けネジ部310の先端部310aが、補強柱161を介して、第1の接合面165に対して略垂直方向に、第1の接合面165を第2の放熱部260に向けて押圧する。このとき、第1の放熱部160の機械的強度が補強柱161により増大しているので、当該第1の放熱部160が変形することを効果的に抑制することができる。また、本発明では、中空状の第1の放熱部160が、当該第1の放熱部160の第1の接続面165を介して、直接、筐体200の第2の放熱部260に熱的に接続している。すなわち、本発明では、特許文献2に記載の熱転送部のように別部材を設けて、第1の放熱部160と第2の放熱部260とを熱的に接続する必要はない。また、本発明では、第1の放熱部160と第2の放熱部260との接続を第1の接合面165を介して行っているので、特許文献1および特許文献2に記載の技術と比較して、接続面の面積を大きくとることができる。この結果、本発明では、特許文献1、2と比較して、効率よく発熱素子120の発熱を放熱することができる。
【0048】
次に、電子基板100の発熱素子120から発する熱を、沸騰受熱部130、第1の放熱部160および第2の放熱部260などを用いて、放熱する仕組みについて、具体的に説明する。なお、ここでは、既に、第1の放熱部160の第1の接合面165と第2の放熱部160の第2の接合面165とが、互いに押圧されながら密着している状態にあるとする。すなわち、この状態では、第1の放熱部160と第2の放熱部260とが第1および第2の各接合面165、265を介して互いに熱的に接続している。
【0049】
まず、図4に示されるように、沸騰受熱部130は、発熱素子120の発熱を受熱する冷媒を貯蔵する。これにより、沸騰受熱部130の冷媒沸騰部134内の冷媒が沸騰して気化する。また、沸騰受熱部130内では蒸気用チューブ140、冷媒沸騰部側フィン部131が、発熱素子120から直接受ける熱を冷媒に効率よく伝達するので、発熱素子120の温度が下がる。
【0050】
次に、図2に示されるように、気化した冷媒が、蒸気用チューブ140を通って、第1の放熱部160内に流入する。第1の放熱部160の凝縮部164内では、補強柱161の側面および第1の放熱部160の各内面を通じて、流入した冷媒の気体の熱が放熱される。これにより、冷媒が液化され、発熱素子120の発熱が放熱される。液化された冷媒は、液用チューブ150を通って、再び沸騰受熱部130内に流入する。
【0051】
このようにして、電子基板100では、沸騰受熱部130内で気化した冷媒を、第1の放熱部160内で冷却して液化し、この液化した冷媒を再び沸騰受熱部130内に流入させている。これにより、冷媒が相変化(気相←→液相)しながら電子基板100内で循環され、効率よく発熱素子120の発熱を放熱できる。併せて、沸騰受熱部130および第1の放熱部160内には、沸騰受熱部側フィン部131および補強柱161がそれぞれ設けられているので、発熱素子120の熱を更に効率よく受熱し、放熱することができる。
【0052】
また、本発明では、さらに、押圧部300が設けられており、第1の放熱部160の第1の接合面165と第2の放熱部260の第2の接合面265とが、互いに押圧されながら密着している。このため、冷媒を介して第1の放熱部160内に流入された発熱素子120の熱が、第2の放熱部260に伝熱する。この結果、発熱素子120の発熱をさらに効率よく放熱することができる。
【0053】
図6は、筐体200の上面側から視たときの第1および第2の放熱部160、260の接続構造を模式的に示す。また、図7は、第1および第2の放熱部160、260の接続構造を説明するための斜視図である。なお、図面を作成する便宜上、図7では、電子基板100は2枚のみ示している。
【0054】
図6および図7に示されるように、筐体200には、複数の第2の放熱部260が取り付けられている。また、複数の第1の放熱部160が、複数の第2の放熱部260の各々に対向するように配置されている。このとき、第1の放熱部160の第1の接合面165と第2の放熱部260の第2の接合面265は、押圧部300(図6にて不図示。図2、図5を参照。)によって押圧されることにより、互いに接触している。これにより、1つの筐体200内で、複数の第1の放熱部160の各々と複数の第2の放熱部260の各々とが第1の接合面165および第2の接合面265の各々にて互いに熱的に接続する。この結果、複数の電子基板100上の各発熱素子110の発熱を1つの筐体200内で効率よく放熱することができる。
【0055】
図8は、筐体200の上面側から視たときの第1および第2の放熱部160、260の接続構造の別例を模式的に示す。また、図9は、第1および第2の放熱部160、260の接続構造の別例を説明するための斜視図である。なお、図面を作成する便宜上、図9では、電子基板100は2枚のみ示している。
【0056】
図6、7と図8、9を対比する。図6および図7では、第1の放熱部160と第2の放熱部260とが1対1で互いに接触するように構成されている。これに対して、図8および図9では、複数の第1の放熱部160が1つの第2の放熱部260に接触するように構成されている。すなわち、図8および図9に示されるように、第2の接合面265は、複数の第1の接合面165と接合できるように、第2の放熱部260に形成されている。また、複数の第1の接合面165と、1つの第2の接合面265とが、押圧部300(図8にて不図示。図2、図5を参照。)によって押圧されることにより、互いに密着し、熱的に接続している。これにより、第1の放熱部160と第2の放熱部260とを1対1で設ける必要がなくなり、より簡単に電子装置を構成できる。
【0057】
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における電子基板100は、板状の基材110と、冷却構造を有している。冷却構造は、基材110上に設けられ、発熱素子120を冷却する。また、冷却構造は、少なくとも第1の放熱部160と、熱伝達部(沸騰受熱部130、蒸気用チューブ140など)とを備えている。第1の放熱部160は、基材110に搭載される発熱素子120の発熱を放熱する。熱伝達部は、発熱素子120の発熱を第1の放熱部160へ伝達する。第1の放熱部160は、補強部(補強柱161)を備えている。この補強部(補強柱161)は、第1の放熱部160を構成する第1の接合面165を含む板のうちで当該第1の接合面165と反対側に設けられた第1の内面166と、この第1の内面に対向する第2の内面167とを接続している。そして、第1の放熱部160は、第1の接合面165を介して放熱する。
【0058】
このように、本発明の第1の実施の形態における電子基板100では、発熱素子120の発熱は、熱伝達部により第1の放熱部160に伝達される。そして、第1の放熱部160が、第1の接合面165を介して放熱する。このようにして、発熱素子120の発熱を放熱している。このとき、第1の放熱部160には、補強部(補強柱161)が設けられている。これにより、中空状の第1の放熱部160に剛性を持たせることができる。また、この補強部(補強柱161)は、第1の接合面165と反対側の面である第1の内面166と第2の内面167を接続しているので、特に、第1の接合面165に加わる力に対する剛性が強くなる。したがって、第1の接合面165に強い力が加わったとしても、例えば特許文献1および特許文献2に記載の技術でヒートパイプなどが変形したり破壊したりするように、第1の放熱部160が変形したり破壊したりすることは回避される。したがって、第1の接合面165に別部材(本実施の形態では、第2の放熱部160を例示)を接続しても、第1の放熱部160の剛性は補強部(補強柱161)により保たれるので、発熱素子120の発熱を、第1の接合面165を介して、別部材に確実に伝熱でき、効率よく放熱することができる。さらに、本発明では、第1の放熱部160と別部材(本実施の形態では、第2の放熱部260を例示)との接続を第1の接合面165を介して行っているので、特許文献1および特許文献2に記載の技術と比較して、接続面の面積を大きくとることができる。
【0059】
また、本発明の第1の実施の形態における電子基板100において、押圧部300がさらに設けられている。この押圧部300は、補強部(補強柱161)を介して、第1の接合面165を押圧する。このとき、第1の放熱部160では、補強部(補強柱161)によって剛性が高くなっている。このため、押圧部300により第1の接合面165を押圧するに際して、補強部(補強柱161)を介して押圧することで、当該第1の放熱部160が変形することをより効果的に回避できる。
【0060】
また、本発明の第1の実施の形態における電子基板100において、熱伝熱部は、受熱部(沸騰受熱部130)と、輸送管(蒸気用チューブ140)とを有する。受熱部(沸騰受熱部130)は、発熱素子120の発熱を受熱する冷媒を貯蔵する。輸送管(蒸気用チューブ140)は、冷媒を輸送する。このように、冷媒を用いることにより、発熱素子120の発熱を効率よく第1の放熱部160に伝達できる。
【0061】
本発明の第1の実施の形態における電子装置1000において、押圧部300は、補強部(補強柱161)と対向する位置に配置している。これにより、押圧部300による押圧力によって、第1の放熱部160が変形したり破壊したりすることをより好適に回避できる。
【0062】
本発明の第1の実施の形態における電子基板100において、押圧部300は、第1の接合面165の中央領域を押圧する位置に配置している。これにより、押圧部300による荷重を効率よく第1の接合面165に加えることできる。
【0063】
本発明の第1の実施の形態における電子基板100において、押圧部300は、少なくともネジ部310を有している。このネジ部310は、基材面110上に取り付けられている。また、ネジ部310は、ネジ部310の中心軸CLが第1の接合面165に対して略垂直方向に配置されている。そして、ネジ部310は、第1の放熱部160を押圧する。これにより、第1の接合面165を確実に押圧することができる。
【0064】
本発明の第1の実施の形態における電子基板100において、第1の接合面165は、平面であることがより好ましい。これにより、第1の接合面165と、これに接合する別部材(本実施の形態では、第2の放熱部260)との間に間隙が形成されることを抑止でき、第1の接合面165を別部材に密着させることができる。
【0065】
本発明の第1の実施の形態における電子装置1000において、筐体200は、複数の電子基板100を収容できるように形成されている。さらに、第2の放熱部260は、
複数の第1の接合面165と熱的に接続する第2の接合面265を備えている。この場合は、第1の放熱部160と第2の放熱部260とを一対一で設ける必要がなくなり、より簡単に電子装置を構成できる。
【0066】
次に、本発明の第1の実施の形態における電子基板100の変形例の構成を説明する。
図10は、本発明の第1の実施の形態における電子基板100の変形例の構成を示す断面図であって、図5に相当する図である。
【0067】
図5と図10を対比すると、図10では、第1の接合面165および第2の接合面265の間に、熱伝導性部材400が介在している点で、図5と相違する。
【0068】
ここで、熱伝導性部材400は、第1の接合面165および第2の接合面265の間の熱抵抗を低減する材料により形成されている。ここでは、熱伝導性部材400の材料には、例えばシリコン系コンパウンドまたはポリマー樹脂などが含まれる。なお、熱導電性部材400は、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれることがある。
【0069】
このように、本発明の第1の実施の形態における電子基板100において、第1の接合面165には、熱伝導性部材400が設けられている。これにより、第1の接合面165と、これに接続する別部材(本実施の形態では第2の接合面265)との間の熱抵抗が低減する。また、熱伝導性部材400を用いることにより、第1の接合面165および別部材(第2の接合面265)の間に間隙が形成されることを抑止でき、第1の接合面165と第2の接合面265を互いに密着させることができる。この結果、発熱素子120の発熱を、第1の放熱部160から第2の放熱部260へ、より効率よく伝達することができる。
【0070】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態における電子基板100Aについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Aは、図1に示される筐体200に取り付けることができる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板110Aを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0071】
図11は、電子基板100Aの構成を示す。なお、図11では、図1〜10に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図10に示した符号と同等の符号を付している。また、図11では、後述の第1の放熱部160Aの一部を切り欠いた図としている。
【0072】
ここで、図2と図11を対比する。図2では、第1の放熱部160の内面166、167の間には、補強柱161のみが設けられている。一方、図11では、前記2つの内面166、167の間には、補強柱161に加えて、ブロック部168が設けられている。このように、図2と図11とでは、ブロック部168が新たに設けられている点で異なる。なお、補強柱161およびブロック部168は、本発明の補強部に対応する。
【0073】
図11に示されるように、補強柱161は、第1の放熱部160Aの第1の内面166および第2の内面の間に配置されている。補強柱161は、第1の接合面165に対してほぼ垂直な方向に延在するように設けられている。補強柱161は、第1の放熱部160の内面166に接続する。また、ブロック部168は、第1の放熱部160の第2の内面167に接続する。補強柱161およびブロック部168は、互いに対応する位置に設けられている。そして、図11に示されるように、補強柱161とブロック部168とが当接する。
【0074】
次に、本発明の第2の実施の形態における電子基板の変形例100Bについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Bは、図1に示される筐体200に取り付けることができる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板100Bを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0075】
図12は、電子基板100Bの構成を示す。なお、図12では、図2および図11に示した各構成要素と同等の構成要素には、図2および図11に示した符号と同等の符号を付している。また、図12では、後述の第2の放熱部160Bの一部を切り欠いた図としている。
【0076】
ここで、図11と図12を対比する。図11では、補強柱161は第1の放熱部160Aの第1の内面166に接続され、ブロック部168は第1の放熱部160Aの内面167に接続されると説明した。一方、図12では、補強柱161は、第1の放熱部160Bの第2の内面167に接続し、ブロック部168は、第1の放熱部160Bの第1の内面166に接続している。このように、図11と図12とでは、補強柱161およびブロック部168が接続する面がそれぞれ異なる。なお、補強柱161とブロック部168は、互いに当接している。
【0077】
以上のように、本発明の第2の実施の形態における電子基板100Aとその変形例100Bでは、補強部は、補強柱161と、ブロック部168とを備えている。補強柱161は、第1の放熱部160の第1の内面166と第2の内面167との間に配置されている。また、ブロック部168は、第1の内面166または第2の内面167のいずれか一方に接続されている。そして、補強柱161とブロック部168とが当接している。
【0078】
このように、本発明の第2の実施の形態における電子基板100A、100Bでは、補強部を補強柱161とブロック部168で構成している。このため、補強柱161およびブロック部168の2つの部材を用いて、押圧部300による押圧力などの外力を受けるので、第1の放熱部160に加わる応力が分散しやすい。この結果、第1の放熱部160A、160Bの機械的な強度を高めることができる。また、補強柱161の高さが決まっている場合でも、ブロック部168の高さを調整することにより、補強柱161をブロック部168に簡単に当接させることができる。なお、第2の実施の形態における電子基板100A、100Bは、第1の実施の形態における電子基板100の効果と同様の効果も奏する。
【0079】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態における電子基板100Cについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Cは、図1に示される筐体200に取り付けることができる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板110Cを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0080】
図13は、電子基板100Cの構成を示す。図14は、図13のC−C切断面で切断したときの断面を示す。図15は、図13のD−D切断面で切断したときの断面を示す。図16は、図13の矢視Eを示す。なお、図13では、後述の第1の放熱部160Aの一部を切り欠いた図としている。このとき、図13では、後述の複数の平板状の補強柱161Aの中心に沿って切断した面を示している。図14は、蒸気管162の中心軸に沿って、電子基板100Cを切った際の切断面を示している。液管163の中心軸に沿って、電子基板100Aを切った際の切断面については、図に示される構成要素は異なるものの、図14と同等の構成であるため、図の作成を省略する。図15は、第1の放熱部160Cのほぼ中央部を切断したときの切断面を示す。また、図14および図15では、説明の便宜上、第2の放熱部260も2点鎖線で示している。なお、図13〜図15では、図1〜図12に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図12に示した符号と同等の符号を付している。
【0081】
図13に示されるように、電子基板100Cは、基材110と、発熱素子120と、沸騰受熱部130と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150と、第1の放熱部160Cと、コネクタ170a、170bと、正面板180と、ネジ取り付け部190と、ワッシャー部510a、510bと、バネ部520a、520bとを含んで構成される。ワッシャー部510a、510bは、本発明の可動部に相当する。バネ部520a、520bは、本発明の付勢部に相当する。
【0082】
ここで、図2と図13を対比する。図2では、補強柱161は、円柱または多角柱などの柱形状であった。これに対して、図13では、補強柱161Aは、断面が長方形の板状の柱である。また、図2では、第1の放熱部160の第1の内面166と第2の内面167の間には、補強柱161のみが設けられている。一方、図13では、第1の放熱部160Cの内面166、167の間には、補強柱161Aに加えて、ブロック部168Aが設けられている。このように、図2と図13とでは、ブロック部168Aが新たに設けられている点と、補強柱161Aの形状で異なる。なお、本発明の補強部は、補強柱161Aおよびブロック部168により構成される。
【0083】
また、図2では、第1の放熱部160のうち、蒸気管162および液管163の間の中央領域に、押圧部300が設けられている。これに対して、図13では、ワッシャー部510aおよびバネ部520aが、蒸気管162に取り付けられている。同様に、ワッシャー部510bおよびバネ部520bが、液管163に取り付けられている。このように、図2と図13とでは、押圧部の構成が異なる。
【0084】
第1の放熱部160Cは、第1の実施の形態における第1の放熱部160と同様に、その内部空間を凝縮部164として機能させる。凝縮部164内では、発熱素子120の発熱により気化した冷媒が、冷却されて液化する。
【0085】
さらに、図13〜図15に示されるように、複数の板状の補強柱161Aが、第1の放熱部160Cの凝縮部164内に設けられている。補強柱161Aは、第1の接合面165に対してほぼ垂直に延在するように配置されている。また、補強柱161Aは、第1の内面166と第2の内面167との間に配置されている。補強柱161Aは第1の内面166に接続され、ブロック部168Aは第2の内面167に接続されている。なお、これとは逆に、補強柱161Aが第2の内面167に接続され、ブロック部168Aが第1の内面166に接続されてもよい。また、補強柱161Aとブロック部168Aは当接している。
【0086】
図13、図15および図16に示されるように、このブロック部168Aは、補強柱161Aが形成されている領域の中央部(図13、図16の紙面上下方向の中央部)に対応した位置に形成されている。すなわち、ブロック部168Aは、蒸気管162および液管163以外の領域に形成されている。これにより、冷媒の流入出が妨げられることはない。この条件を満たせば、補強柱161Aおよびブロック部168Aは、第1の放熱部160内に自由に設けることができる。また、この補強柱161Aは、放熱フィン部と同じ機能を果たす。すなわち、沸騰受熱部130から蒸気用チューブ140を介して流入する冷媒の気体の熱を補強柱161Aの側面を通して拡散することによって、発熱素子120の温度を下げている。
【0087】
ワッシャー部510aは、蒸気管162に沿って移動できるように設けられている。このとき、蒸気管162は、第1および第2の接合面165、265に対してほぼ垂直な方向に、基板110面に沿うように、設けられている。ワッシャー部510bは、液管163に沿って移動できるように設けられている。このとき、液管163は、第1および第2の接合面165、265に対してほぼ垂直な方向に、基板110面に沿うように、設けられている。これらのワッシャー部510a、510bは、図14に示されるように、ワッシャー部保持用ビス530によって、基材110に固定されている。なお、ワッシャー部保持用ビス530は、本発明の可動部保持部に相当する。
【0088】
バネ部520aは、ワッシャー部510aと蒸気管162の根元部側(図14紙面の右側)の間に、取り付けられている。同様に、バネ部520bは、ワッシャー部510bと液管163の根元部側(図14紙面の右側)の間に、取り付けられている。バネ部520a、520bの材料は、例えばリン青銅などの弾性材料により構成されている。なお、バネ部520a、520bは、本実施の形態の付勢部に相当する。
【0089】
ここで、少なくともバネ部520aは、本発明の押圧部を構成する。同様に、少なくともバネ部520bは、本発明の押圧部を構成する。すなわち、これら押圧部を構成する各構成要素は、電子基板100Cを筐体200に取り付けた際に、第1および第2の接合面165、265が互いに接触するように押圧する。
【0090】
具体的には、図14に示されるように、ワッシャー部510aがワッシャー部保持用ビス530により基材110上に固定されているので、第1の接続面165を、矢印Xの方向に移動させることができる。同様に、ワッシャー部510bがワッシャー部保持用ビス530により基材110上に固定されているので、第1の接続面165を、矢印Xの方向に移動させることができる。このとき、第1の放熱部160は、各ワッシャー部510a、510bによって保持される。また、各ワッシャー部510a、510bの軸方向(図14紙面の左右方向)の長さや、各ワッシャー部510a、510bの内径と各管162、163の外径との隙間などを適切な長さに調整することによって、第1の放熱部160の移動が矢印Xの方向に制御される。
【0091】
電子基板100Cが筐体200に取り付けられると、図14に示されるように、第1の接合面165が第2の接合面265に対向しながら互いに接触するように配置される。そして、バネ部520aが、ワッシャー部510aおよび第1の接合面165の間で、第1の放熱部160Cを第2の放熱部260に向けて付勢する。同様に、バネ部520bが、ワッシャー部510bおよび第1の接合面165の間で、第1の放熱部160Cを第2の放熱部260に向けて付勢する。これにより、第1の接合面165と第2の接合265とが互いに接触する。このため、第1の放熱部160C内に伝達された発熱素子120の発熱が第2の放熱部260に効率よく伝熱する。
【0092】
以上のように、本発明の第3の実施の形態における電子基板100Cにおいて、押圧部は、熱伝達部(沸騰受熱部130、蒸気用チューブ140など)と第1の放熱部160とが接続する結合部(蒸気管162など)に設けられている。これにより、第1の実施の形態で述べた効果と同様の効果を奏するとともに、押圧部の設置場所を省スペース化できる。
【0093】
また、本発明の第3の実施の形態における電子基板100Cにおいて、結合部は、配管(蒸気管162、液管163)であって、第1の接合面165に対して略垂直方向に延在するように設けられている。前記押圧部は、可動部(ワッシャー部510a、510b)と、可動部保持部(ワッシャー部保持用ビス530)と、付勢部(バネ部520a、520b)を含んで構成されている。ワッシャー部510a、510bの各々は、蒸気管162および液管163に沿って、それぞれ移動できるように設けられている。ワッシャー部保持用ビス530は、ワッシャー部510a、510bのそれぞれを、基材110に固定する。バネ部520aは、ワッシャー部510aおよび第1の接合面165の間に配置しており、第1の放熱部160Cを付勢する。同様に、バネ部520bは、ワッシャー部510bおよび第1の接合面165の間に配置しており、第1の放熱部160Cを付勢する。このように、付勢部としてバネ部520a、520bを設けて、このバネ部520a、520bにより第1の放熱部160Cを付勢する。これにより、安定した付勢力が第1の放熱部160Cに加わり、第1の接合面165と第2の放熱部260とをより確実に互いに密着させ、熱的に接続させることができる。この結果、第1の放熱部160Cに伝達された発熱素子120の発熱を第2の放熱部260に伝熱することができるので、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。
【0094】
また、本発明の第3の実施の形態における電子基板100Cにおいて、配管は、第1の放熱部160に冷媒を流入する冷媒流入管(蒸気管162)と、第1の放熱部160から冷媒を流出する冷媒流出管(液管163)である。これにより、蒸気管162および液管163は、押圧部の設置場所としての機能に加えて、冷媒を流入または流出させる冷媒流入出用管としての機能も果たすことができる。
【0095】
本発明の第3の実施の形態における電子基板100Cにおいて、付勢部(バネ部520a、520b)は、弾性部材(例えばりん青銅など)により構成されている。これにより、付勢部としてのバネ部520a、520bの付勢力を安定させることができる。
【0096】
また、本発明の第3の実施の形態では、電子基板100Cは、補強部を補強柱161Aとブロック部168Aで構成している。このため、第2の実施の形態で説明した効果と同様の効果を奏する。すなわち、補強柱161Aおよびブロック部168Aの2つの部材を用いて、押圧部300による押圧力などの外力を受けるので、第1の放熱部160Cに加わる応力が分散しやすい。この結果、第1の放熱部160Cの機械的な強度を高めることができる。また、補強柱161Aの高さが決まっている場合でも、ブロック部168Aの高さを調整することにより、補強柱161Aをブロック部168Aに簡単に当接させることができる。このとき、ブロック部168Aは、蒸気管162および液管163以外の領域に形成されている。この条件下で、補強柱161Aおよびブロック部168Aは、第1の放熱部160内に自由に設けることができる。
【0097】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態における電子基板100Dについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Dは、基材110とほぼ平行な面に沿って、図1に示される筐体200に、挿抜可能に取り付けることができる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板110Dを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0098】
図17は、電子基板100Dの構成を示す平面図である。図18は、図17のF−F切断面で切断したときの断面を示す。図19は、図17の矢視Gを示す。なお、図17では、後述の第1の放熱部160Dの一部を切り欠いた図としている。このとき、図17では、後述の複数の補強柱161Bの中心線を含む面に沿って切断した断面を示している。図18は、第1の放熱部160Dのほぼ中央部を切断したときの切断面を示す。このとき、図18では、図17と同様に、後述の複数の補強柱161Bの中心線を含む面に沿って切断した断面を示している。また、図18では、説明の便宜上、第2の放熱部260も2点鎖線で示している。なお、図17〜19では、図1〜図16に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図16に示した符号と同等の符号を付している。また、蒸気管132、液管133の中心軸を含む面で切断した切断面は、補強柱の断面形状以外において、図14と同様であるので省略する。
【0099】
ここで、図13と図17を対比する。図13では、複数の補強柱161Aは、板状の柱に形成されていた。これに対して、図17では、複数の補強柱161Bは、円柱または多角柱などの柱形状である。このように、図13と図17とでは、複数の補強部の形状が異なる。
【0100】
図17〜図19に示されるように、複数の補強柱161Bが、第1の放熱部160Dの凝縮部164内に設けられている。補強柱161Bは、第1の放熱部160Aの内部(凝縮部164)内に形成されている。また、補強柱161Bは、第1の放熱部160Dの第1の内面166と第2の内面167との間に配置する。この補強柱161Bは、第1の接合面165に対してほぼ垂直な方向に延びるように、設けられている。
【0101】
また、図17に示されるように、ブロック部168Bは、第1の放熱部160Cの第1の内面166に接続している。また、補強柱161Bとブロック部168Bは当接している。
【0102】
なお、図17〜図19では、補強部161Bは第1の放熱部160Cの第1の内面166に接続し、ブロック部168Bは第1の放熱部160Cの第2の内面168Bに接続していた。しかしながら、補強部161Bが第1の放熱部160Cの第2の内面167に接続して、ブロック部168Bが第1の放熱部160Cの第1の内面166に接続してもよい。
【0103】
また、図17〜図19に示されるように、このブロック部168Bは、補強柱161Bが形成されている領域の中央部(図17、図19の紙面上下方向の中央部)に対応した位置に形成されている。すなわち、ブロック部168Bは、蒸気管162および液管163以外の領域に形成されている。これにより、冷媒の流入出が妨げられることはない。この条件を満せば、補強柱161Bおよびブロック部168Bは、第1の放熱部160D内に自由に設けることができる。また、この補強柱161Bは、放熱フィンと同じ機能を果たす。すなわち、沸騰受熱部130から蒸気用チューブ140を介して流入する冷媒の気体の熱を補強柱161Bの側面を通して拡散することによって、発熱素子120の温度を下げている。
【0104】
本発明の第4の実施の形態における電子基板100Dであっても、前述した各実施の形態と同様に、第1の放熱部160D内に伝達された発熱素子120の発熱を第2の放熱部260に伝熱することができるので、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。また、補強柱161Bはブロック部168Bに当接しているので、第2および第3の実施の形態で示した効果と同様の効果も奏する。
【0105】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態における電子基板100Eについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Eは、基材110面とほぼ平行な面に沿って、図1に示される筐体200に、挿抜可能に取り付けられる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板110Eを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0106】
図20は、電子基板100Eの構成を示す平面図である。図21は、図20のH−H切断面で切断したときの断面を示す。図22は、図20のJ−J切断面で切断したときの断面を示す。図23は、図20の矢視Kを示す。なお、図20では、第1の放熱部160Cの一部を切り欠いた図としている。このとき、図20では、複数の板状の補強柱161Aの中心を補強柱161Aに沿って切断した面を示している。図21は、蒸気管162の中心軸を含む面に沿って、電子基板100Eを切った際の切断面を示している。液管163の中心軸を含む面に沿って、電子基板100Eを切った際の切断面については、図に示される構成要素は異なるものの、図21と同等の構成であるため、図の作成を省略する。図22は、第1の放熱部160Cのほぼ中央部を切断したときの切断面を示す。また、図21および図22では、説明の便宜上、第2の放熱部260も2点鎖線で示している。なお、図20〜23では、図1〜図19に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図19に示した符号と同等の符号を付している。
【0107】
図20に示されるように、電子基板100Eは、基材110と、発熱素子120と、沸騰受熱部130と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150と、第1の放熱部160Cと、コネクタ170a、170b、正面板180、ネジ取り付け部190と、ワッシャー部610a、610bと、バネ部620とを含んで構成される。なお、発熱素子120は、電子基板100Eに対して取り付け取り外しできる。ワッシャー部610a、610bは、本発明の可動部に相当する。バネ部620は、本発明の付勢部に相当する。なお、ワッシャー部610a、610bは、図13および図17に示されるワッシャー部510a、510bと同様の機能を有する。
【0108】
ここで、図2と、図20とを対比する。図2では、第1の放熱部160のうち、蒸気管162および液管163の間のほぼ中央部に、押圧部300が設けられている。これに対して、図20では、ワッシャー部610aおよびバネ部620が、蒸気管162に取り付けられている。同様に、ワッシャー部610bおよびバネ部620が、液管163に取り付けられている。
【0109】
また、図13と、図20とを対比する。図13では、ワッシャー部520aおよびつるまき状のバネ部520aが、蒸気管162に取り付けられている。同様に、ワッシャー部510bおよびつるまき状のバネ部520が、液管163に取り付けられている。これに対して、図20では、ワッシャー部620aおよび板状のバネ部620が、蒸気管162に取り付けられている。同様に、ワッシャー部610bおよび板状のバネ部620が、液管163に取り付けられている。
【0110】
ワッシャー部610aは、蒸気管162に沿って移動できるように設けられている。このとき、蒸気管162は、第1および第2の接合面165、265に対してほぼ垂直な方向に、基材110面に沿うように、設けられている。ワッシャー部610bは、液管163に沿って移動できるように設けられている。このとき、液管163は、第1および第2の接合面165、265に対してほぼ垂直な方向に、基板110面に沿うように、設けられている。これらのワッシャー部610a、610bは、図21に示されるように、ワッシャー部保持用ビス630によって、基材110に固定されている。なお、ワッシャー部保持用ビス630は、本発明の可動部保持部に相当する。
【0111】
図21に示されるように、バネ部620は、ワッシャー部610aと蒸気管162の根元部側(図20紙面の右側)の間に、取り付けられている。同様に、バネ部620は、ワッシャー部620bと液管163の根元部側(図20紙面の右側)の間に、取り付けられている。図20、図21および図23に示されるように、バネ部620の両端部は、蒸気管162および液管163に取り付けられている。バネ部620の中央部は、第1の放熱部160Cのうち、第1の接合面165と反対側の面のほぼ中央部に、配置されている。なお、バネ部620の材料は、例えばリン青銅などの弾性材料により構成されている。
【0112】
ここで、少なくともバネ部620と、ワッシャー部610a、610bと、蒸気管162と、液管163は、本発明の押圧部を構成する。すなわち、押圧部を構成する各構成要素は、電子基板100Eを筐体200に取り付けた際に、第1および第2の接合面165、265が互いに接触するように押圧する。
【0113】
具体的には、図21に示されるように、ワッシャー部610aがワッシャー部保持用ビス630により基材110上に固定されているので、第1の放熱部160Cの第1の接合面165を矢印Yの方向に移動させることができる。同様に、ワッシャー部610bがワッシャー部保持用ビス630により基材110上に固定されているので、第1の放熱部160Bの第1の接合面165を、矢印Yの方向に移動させることができる。電子基板100Eが筐体200に取り付けられると、図21に示されるように、第1の接合面165が第2の接合面265に対向しながら互いに接触するように配置される。そして、バネ部620が、ワッシャー部610a、610bおよび第1の接合面165の間で、第1の放熱部160Cを第2の放熱部260に向けて付勢する。このとき、バネ部620の中央部は、第1の放熱部160Cのうち、第1の接合面165と反対側の面のほぼ中央部に配置されている。したがって、バネ部620の中央部が、当該バネ部620の付勢力により、第1の放熱部160Cを第2の放熱部260に向けて押圧する。これにより、第1の接合面165と第2の接合面265とが互いに接触する。このため、第1の放熱部160C内に伝達された発熱素子120の発熱が第2の放熱部260に伝熱する。この結果、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。
【0114】
以上のように、本発明の第5の実施の形態における電子基板100Eにおいて、押圧部は、軸部(蒸気管162および液管163)と、可動部(ワッシャー部610a、610b)と、可動部保持部(ワッシャー部保持用ビス630)と、付勢部(板状のバネ部620)を含んで構成されている。このように、付勢部として、つるまき状のバネ部520a、520bに代えて、板状のバネ部620を設けても、このバネ部620により第1の放熱部160Cを第2の放熱部260に向けて付勢することができる。これにより、安定した付勢力が第1の放熱部160Cに加わり、第1および第2の接合面165、265をより安定して互いに接触させることができる。この結果、前述した効果と同様に、第1の放熱部160C内に伝達された発熱素子120の発熱を第2の放熱部260に伝熱することができるので、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。また、補強柱161Aおよびブロック部168Aの構成は、第3の実施の形態と同様である。すなわち、補強部161Aはブロック部168Aに当接しているので、第3の実施の形態で示した効果と同様の効果も奏する。
【0115】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態における電子基板100Fについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Fは、基材110面とほぼ平行な面に沿って、図1に示される筐体200に、挿抜可能に取り付けられる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板110Fを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0116】
図24は、電子基板100Fの構成を示す平面図である。図25は、図24の矢視Lを示す。ただし、便宜上、図25では、第1の放熱部160Dの構成のみを示す。図26は、図25のM−M切断面で切断したときの断面を示す。なお、図24では、第1の放熱部160Dの一部を切り欠いた図としている。このとき、図24では、補強柱161Cの中心軸を含む切断面で切断した断面を示している。また、図24および図26では、説明の便宜上、第2の放熱部260Aも示している。図24では第2の放熱部260Aを2点鎖線で示し、図26では第2の放熱部260Aを実線で示している。なお、図24〜26では、図1〜図23に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図23に示した符号と同等の符号を付している。
【0117】
図24に示されるように、電子基板100Fは、基材110と、発熱素子120と、沸騰受熱部130と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150と、第1の放熱部160Dと、コネクタ170a、170b、正面板180、ネジ取り付け部190と、ピン700と、ピン用バネ部800とを含んで構成される。なお、発熱素子120は、電子基板100Fに対して取り付け取り外しできる。ピン用バネ部800は、本発明の付勢部に相当する。
【0118】
ここで、図2と、図24とを対比する。図2では、第1の放熱部160のうち、蒸気管162および液管163の間のほぼ中央部に、押圧部300が設けられている。これに対して、図24では、第1の放熱部160Dのうち、蒸気管162および液管163の間に、2本のピン700が設けられている。また、本実施の形態では、このピン700が、補強柱161C内に設けられている。
【0119】
また、図24では、熱伝導性部材400が設けられている点で、図2と相違する。なお、本実施の形態では、熱伝導性部材400を設けた例を説明するが、これを設けなくてもよい。すなわち、第1の放熱部160Cと第2の放熱部260Aの間に、熱伝導性部材400を介在させなくてもよい。
【0120】
図24〜図26に示されるように、2本の補強柱161Cが、第1の放熱部160Dの凝縮部164内に設けられている。これら補強柱161Cは、第1の放熱部160Dのうち、蒸気管162および液管163の間に、設けられている。補強柱161Cは、第1の放熱部160Dの第1の内面166と第2の内面166との間に設けられている。また、補強柱161Cは、第1の接合面165に対してほぼ垂直な方向に延びるように形成されている。補強柱161Cの両端は、第1の放熱部160の第1の内面166と第2の内面167に接続する。これにより、第1の放熱部160Dの剛性を高めることができる。なお、補強柱161Cは、本発明の補強部に対応する。また、図11および図12を用いて説明したように、補強柱161Cに加えて、ブロック部(図24および図26にて不図示)を設けても良い。この場合は、補強柱161Cとブロック部とにより本発明の補強部が構成される。
【0121】
図24〜図26に示されるように、ピン700は、2本の補強柱161C内に設けられている。図25に示されるように、第1の放熱部160Dには、補強柱161Cの中心を貫くように、貫通穴1690が形成されている。ピン700は、この貫通穴1690に挿入される。なお、ピン700は、本発明の押圧部を構成する。
【0122】
図26に示されるように、ピン700は、棒状の軸部710を有している。この軸部710は、第1の接合面165に対してほぼ垂直に設けられている。また、引っ掛け部720a、720bが軸部710の先端部に形成されている。このとき、ピン700の軸部710には、図26に示されるように、くさび状の裂け目が設けられている。これにより、引っ掛け部710a、710bが、軸部710の中心線から離れる方向または近づく方向に移動可能となり、引っ掛け部710a、710bに弾性が加わる。図26に示されるように、第2の放熱部260には、引っ掛け部710a、710bの形状に対応した引っ掛け部用穴263が形成されている。ピン700が貫通穴1690に挿入され、引っ掛け部720a、720bが引っ掛け部用穴263に押し込まれると、図26に示されるように、引っ掛け部720a、720bは、開いた状態で、第2の放熱部260Aの引っ掛け部用穴263の中に保持される。これにより、引っ掛け部720a、720bが第2の放熱部260Aに固定される。
【0123】
図26に示されるように、フランジ部730は、ピン700の軸部710の先端部と逆の端部に形成されている。このフランジ部730は、軸部710の中心軸から離れる方向に広がるように形成されており、軸部710の半径よりも大きい半径を有する。すなわち、このフランジ部730は、軸部710の半径よりも大きい半径を有する。
【0124】
ピン用バネ部800は、図26に示されるように、ピン700の軸部710に当該軸部710の軸方向に沿って取り付けられている。また、ピン用バネ部800は、フランジ部730および第1の放熱部160Dとの間に設けられ、引っ掛け部720a、720bとフランジ部730との間で第1の放熱部160Dを第2の放熱部260に向けて付勢する。なお、ピン用バネ部800の材料は、例えばリン青銅などの弾性材料により構成されている。
【0125】
以上のように、本発明の第6の実施の形態における電子基板100Fにおいて、押圧部は、少なくともピン700を有している。このピン700は、棒状の軸部710と、軸部710の一端に引っ掛け部720a、720bを有する。そして、引っ掛け部720a、720bを第2の放熱部260Aに固定し、ピン用バネ部800の弾性により、第1の放熱部160Dを第2の放熱部260Aに向けて押圧する。
【0126】
このように、電子基板100Fでは、ピン700を用いて、第1の放熱部160Dを第2の放熱部260Aに向けて押圧するので、第1および第2の接合面165、265を互いに接触させることができる。この結果、前述した効果と同様に、第1の放熱部160D内に伝達された発熱素子120の発熱を第2の放熱部260Aに伝熱することができるので、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。
【0127】
また、補強部(補強柱161C)が、第1の放熱部160Dを構成する第1の接合面165に対してほぼ垂直に、第1の放熱部160Dの中空内部(凝縮部164)に設けられている。一方、押圧部は、第1の接合面165と第2の接合面165とが互いに熱的に接続するように、第1の放熱部160Dを第2の放熱部260Aに向けて押圧する。したがって、補強部(補強柱161C)は、押圧部が第1の放熱部160Dを第2の放熱部260Aに押圧する方向に沿うように配置され、押圧部の押圧方向に対して特に剛性が強くなる。したがって、押圧部による押圧力によって、第1の放熱部160Dが変形したり破壊したりすることを回避できる。これにより、発熱素子120の発熱は、第1の放熱部160Dから第2の放熱部260Aへ確実に伝達され、発熱素子の発熱をより効率よく放熱することができる。
【0128】
本発明の第1の実施の形態における電子基板100Fにおいて、押圧部は、補強部(補強柱161C)が設けられた位置に対応するように設けられている。これにより、押圧部による押圧力によって、第1の放熱部160Dが変形したり破壊したりすることをより好適に回避できる。
【0129】
また、本発明の第6の実施の形態における電子基板100Fにおいて、ピン700は、フランジ部730を有する。このフランジ部730は、軸部710の半径よりも大きい半径を有する。また、フランジ部730は、軸部710の他端部(引っ掛け部720a、720bが形成された端部に対して逆側の端部)側に形成されている。また、軸部710は、第1の接合面165に対してほぼ垂直に延在し、引っ掛け部720a、720bは、第1の接合面165に対向する第2の放熱部260Aに固定されている。そして、電子基板100Fでは、軸部710に軸方向に沿って取り付けられた付勢部(ピン用バネ部800)によって、引っ掛け部720a、720bとフランジ部730の間で第1の接合面165を第2の放熱部260Aに向けて付勢する。
【0130】
このように、ピン700の軸部710は、第1の接合面165に対してほぼ垂直に設けられ、付勢部(ピン用バネ部800)が、ピン700の軸部710に沿って、引っ掛け部720a、720bとフランジ部730の間で、第1の放熱部160Dを第2の放熱部260Aに向けて付勢する。すなわち、付勢部(ピン用バネ部800)の押圧力により、効率よく第1の放熱部160Cを第2の放熱部260Aに向けて押圧するので、第1および第2の接合面165を第2の接合面265に接続させることができる。この結果、前述した効果と同様に、第1の放熱部160D内に伝達された発熱素子120の発熱を第2の放熱部260に伝熱することができるので、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。
【0131】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態における電子基板100Gについて、図に基づいて説明する。なお、電子基板100Gは、基材110面とほぼ平行な面に沿って、図1に示される筐体200に、挿抜可能に取り付けられる。すなわち、図1に示される電子基板100の代わりに、電子基板110Gを取り付けることにより、電子装置が構成される。
【0132】
図27は、電子基板100Gの構成を示す平面図である。図28は、図27の矢視Nを示す。すなわち、図28は、図27の矢印Nから視た側面図である。なお、便宜上、図28では、第1の放熱部160Eの構成のみを示す。図29は、図28のO−O切断面で切断したときの断面を示す。なお、図27では、第1の放熱部160Eの一部を切り欠いた図としている。このとき、図27では、補強柱161C、161Dの中心軸を含む切断面で切断した断面を示している。また、図27および図29では、説明の便宜上、第2の放熱部260Bも示している。図27では第2の放熱部260Bを2点鎖線で示し、図29では第2の放熱部260Bを実線で示している。なお、図27〜29では、図1〜図26に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図26に示した符号と同等の符号を付している。
【0133】
図27に示されるように、電子基板100Gは、基材110と、発熱素子120と、沸騰受熱部130と、蒸気用チューブ140と、液用チューブ150と、第1の放熱部160Eと、コネクタ170a、170b、正面板180、ネジ取り付け部190と、ピン900とを含んで構成される。なお、発熱素子120は、電子基板100Gに対して取り付け取り外しできる。
【0134】
ここで、図24、図26と、図27、図29とを対比する。図24および図26では、第1の放熱部160Dのうち、蒸気管162および液管163の間に、2本のピン700が設けられている。また、このピン700は、補強柱161C内に貫通するように設けられている。これに対して、図27および図29では、第1の放熱部160Eのうち、蒸気管162および液管163の間に、2本のピン900が設けられている。また、補強柱161Cに加えて、補強柱161Dが2本の補強柱161Cの間に設けられている。また、図24、図26と、図27、図29とでは、ピン700、900の形状や構成が互いに異なる。
【0135】
図27〜図29に示されるように、補強柱161Cおよび補強柱161Dが、第1の放熱部160Eの凝縮部164内に設けられている。これら補強柱161C、161Dは、第1の放熱部160Eのうち、蒸気管162および液管163の間に、設けられている。補強柱161C、161Dは、第1の放熱部160Eの第1の内面167と第2の内面166の間に、第1の接合面165に対してほぼ垂直な方向に延在するように、形成されている。また、補強柱161C、161Dの両端は、第1の放熱部160Eの第1の内面166および第2の内面167に接続する。これにより、第1の放熱部160Eの剛性を高めることができる。補強柱161C、161Dは、本発明の補強部に対応する。また、図11および図12を用いて説明したように、補強柱161C、161Dに加えて、ブロック部(図27および図29にて不図示)を設けても良い。この場合は、補強柱161C、161Dとブロック部とにより本発明の補強部が構成される。
【0136】
図27〜図29に示されるように、ピン900は、2本の補強柱161Cを貫通するように設けられている。図28に示されるように、第1の放熱部160Eには、補強柱161Cの中心を貫くように、貫通穴1690が形成されている。ピン900は、この貫通穴1690に挿入される。なお、ピン900は、本発明の押圧部を構成する。
【0137】
図27および図29に示されるように、ピン900は、棒状の軸部910を有している。この軸部910は、第1の接合面165に対してほぼ垂直に設けられている。また、引っ掛け部920が軸部910の先端部に形成されている。このとき、ピン900の軸部910には、図27および図29に示されるように、くさび状の裂け目が設けられている。これにより、引っ掛け部920に弾性が加わる。一方、ピン900の軸部910の根元部930(先端部と反対側の端部)は、第2の放熱部260Bに予め取り付けられている。すなわち、第2の放熱部260Bには、予め、ピン900の軸径に合った穴264が形成されている。そして、ピン900の根元部930をこの穴264に挿入して、ピン900の根元部930を接着剤などにより第2の放熱部260Bに貼り付ける。これにより、ピン900が、第2の放熱部260Bに固定される。このとき、ピン900の軸部910は、第1の放熱部160Eの第1の接合面165に対してほぼ垂直に配置されている。
【0138】
また、図27および図29に示されるように、第1の放熱部160Eの貫通穴1690に第2の放熱部260Bに固定されたピン900を通すことにより、第1の放熱部160Eが第2の放熱部260Bに熱伝導性部材400を介して密着する。なお、本実施の形態では、第1の放熱部160Eおよび第2の放熱部260Bの間に熱伝導性部材400を介在させた。しかしながら、第1の放熱部160Eおよび第2の放熱部260Bの間に熱伝導性部材400を介在させなくてもよい。
【0139】
このとき、図27および図29に示されるように、ピン700の先端部の引っ掛け部920の爪が、第1の放熱部160Eのうち、第1の接合面165と反対側の面に、固定される。これにより、ピン900の引っ掛け部920と根元部930との間で、ピン900の引っ掛け部920が第1の接合面165を第2の放熱部260Bへ押圧する。なお、第1の放熱部160Eを第2の放熱部260Bへ押圧する押圧力が十分となるように、第1の放熱部160Eの厚み(図27、図29の紙面の左右方向)またはピン900の長さを調整する。すなわち、当該押圧力は、第2の放熱部260Bの第2の接合面265とピン900の引っ掛け部920との間の長さと、第1の放熱部160Eの前記厚みとの相対関係で、調整することができる。
【0140】
以上のように、本発明の第7の実施の形態における電子基板100Gにおいて、ピン900は、軸部910の他端(根元部930)が、第1の接合面165に対向する第2の放熱部260Bに固定されている。また、引っ掛け部930が第1の放熱部160Eに固定されている。ピン900の軸部910は、第1の放熱部160Eの第1の接合面165に対してほぼ垂直に延在している。そして、電子基板100Gでは、引っ掛け部920と軸部910の他端(根元部930)により、引っ掛け部920が第1の接合面165を第2の放熱部260Bに向けて押圧する。
【0141】
このように、ピン900の軸部910は、第1の接合面165に対してほぼ垂直に設けられ、引っ掛け部920がピン900の軸部910に沿って、引っ掛け部920と軸部910の他端部(根元部930)により、第1の接合面165を第2の放熱部260Bに向けて押圧する。すなわち、引っ掛け部920の押圧力により、効率よく第1の放熱部160Cを第2の放熱部260Aに向けて押圧するので、第1および第2の接合面165、265を互いに接触させることができる。この結果、前述した効果と同様に、第1の放熱部160E内に伝達された発熱素子120の発熱を第2の放熱部260Bに伝熱することができるので、発熱素子120の発熱をより効率よく放熱することができる。
【0142】
また、補強部(補強柱161C)が、第1の放熱部160Dの第1の内面166と第2の内面167の間に設けられている。この補強柱161Cは、第1の放熱部160Dの第1の内面166および第2の内面167に接続されている。これにより、第1の放熱部160Eの剛性が高まる。また、補強柱161Cは、第1の接合面165に対してほぼ垂直に延びるように、第1の放熱部160Eの中空内部(凝縮部164)に設けられている。押圧部は、第1の接合面165と第2の接合面265とが互いに熱的に接続するように、第1の放熱部160Eを第2の放熱部260Bに向けて押圧する。したがって、補強部(補強柱161C)は、押圧部が第1の放熱部160Eを第2の放熱部260Bに押圧する方向に沿うように配置され、押圧部の押圧方向に対して特に剛性が強くなる。これにより、押圧部による押圧力によって、第1の放熱部160Eが変形したり破壊したりすることを抑制できる。
【0143】
本発明の第1の実施の形態における電子基板100Gにおいて、押圧部(ピン900)は、補強部(補強柱161C)が設けられた位置に対応するように設けられている。これにより、押圧部による押圧力によって、第1の放熱部160Eが変形したり破壊したりすることをより好適に抑制できる。
【0144】
<第8の実施の形態>
次に、本発明の第8の実施の形態における電子基板100Hについて、図に基づいて説明する。図30は、電子基板100Hの構成を示す平面図である。図30では、説明の便宜上、電子基板100Hを収容する筐体200を2点鎖線で示している。なお、図30では、図1〜図29に示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜図29に示した符号と同等の符号を付している。
【0145】
図30に示されるように、電子基板100Hは、板状の基材110と、冷却構造(後で詳細に説明する)とを有している。板状の基材110には、発熱素子120を搭載することができる。冷却構造は、発熱素子120を冷却する。なお、図30では、発熱素子120を点線で示している。
【0146】
基材110は、基材110面とほぼ平行な方向で、筐体200に挿抜可能である。図30には、電子基板100Hの挿抜方向Wを示す。すなわち、基材110面とほぼ平行な方向で、基材110を筐体200内に挿入することにより、電子基板100Hを筐体200に取り付けることができる。逆に、基材110面とほぼ平行な方向で、基材110を筐体200から抜くことにより、電子基板100Hを筐体200から取り外すことができる。
【0147】
冷却構造は、基材100に設けられている。冷却構造は、第1の放熱部160Fと、熱伝達部5000とを含んで構成されている。
【0148】
第1の放熱部160Fは、中空状に形成されており、板状の基材110上に設けられている。また、第1の放熱部160Fは、基材110に搭載される発熱素子120の発熱を放熱する。第1の放熱部160Fは、基材110面に対してほぼ垂直な面である第1の接合面165を備えている。
【0149】
この第1の接合面165は、第1の放熱部160Fを構成する面である。第1の接合面165は、第2の放熱部260を構成する第2の接合面265に対向するように設けられている。さらに、第1の接合面165は、電子基板100Hの挿抜方向W(図30を参照)に対してほぼ垂直である。第1の放熱部160Fは、図30に示されるように、第1の接合面165を介して放熱する。
【0150】
補強部1600は、第1の接合面165を含む板のうちで第1の接合面165と反対側に設けられた第1の内面166と、当該第1の内面166に対向する第2の内面167とを接続する。
【0151】
熱伝達部5000は、基材110に搭載される発熱素子120の発熱を第1の放熱部160に伝達する。
【0152】
以上の通り、本発明の第8の実施の形態における電子基板100Hは、板状の基材110と、冷却構造を有している。冷却構造は、基材110上に設けられ、発熱素子120を冷却する。また、冷却構造は、少なくとも第1の放熱部160Fと、熱伝達部5000とを備えている。第1の放熱部160Fは、基材110に搭載される発熱素子120の発熱を放熱する。熱伝達部は、発熱素子120の発熱を第1の放熱部160Fへ伝達する。第1の放熱部160Fは、補強部1600を備えている。この補強部1600は、第1の放熱部160Fを構成する第1の接合面165を含む板のうちで当該第1の接合面165と反対側に設けられた第1の内面166と、この第1の内面166に対向する第2の内面167とを接続している。そして、第1の放熱部160は、第1の接合面165を介して放熱する。
【0153】
このように、本発明の第1の実施の形態における電子基板100では、発熱素子120の発熱は、熱伝達部により第1の放熱部160Fに伝達される。そして、第1の放熱部160Fが、第1の接合面165を介して放熱する。このようにして、発熱素子120の発熱を放熱している。このとき、第1の放熱部160Fには、補強部1600が設けられている。これにより、第1の放熱部160Fに剛性を持たせることができる。また、この補強部1600は、第1の放熱部160Fの第1の内面166と第2の内面167を接続しているので、特に、第1の接合面165に加わる力に対する剛性が強くなる。したがって、第1の接合面165に強い力が加わったとしても、例えば特許文献1および特許文献2に記載の技術でヒートパイプなどが変形したり破壊したりするように、第1の放熱部160Fが変形したり破壊したりすることは回避される。したがって、第1の接合面165に別部材(本実施の形態では、第2の放熱部160を例示)を接続しても、第1の放熱部160Fの剛性は補強部(補強柱161)により保たれるので、発熱素子120の発熱を、第1の接合面165を介して、別部材に確実に伝熱でき、効率よく放熱することができる。さらに、本発明では、第1の放熱部160Fと別部材(本実施の形態では、第2の放熱部260を例示)との接続を第1の接合面165を介して行っているので、特許文献1および特許文献2に記載の技術と比較して、接続面の面積を大きくとることができる。
【0154】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0155】
なお、前述の実施の形態の説明では、筐体200は、排気領域200a、基板搭載領域200bおよび吸気領域200cの3つの領域を有していると説明した。しかしながら、例えば電子装置の大きさが小さい場合や、発熱素子の発熱量が小さい場合などでは、基板搭載領域200bのみで筐体200を構成してもよい。
【符号の説明】
【0156】
100、100A〜100H 電子基板
110 基材
120 発熱素子
130 沸騰受熱部
131 沸騰受熱部側フィン部
132 蒸気管
133 液管
134 冷媒沸騰部
140 蒸気用チューブ
150 液用チューブ
160、160A〜160F 第1の放熱部
161、161A〜161D 補強柱
162 蒸気管
163 液管
164 凝縮部
165 第1の接合面
166、167 内面
168、168A、168B ブロック部
169 第1の放熱部用カバー
1690 貫通穴
200 筐体
200a 排気領域
200b 基板搭載領域
200c 吸気領域
210 ファン部
220 吸気口
230 排気口
240 第1の通気口
250 第2の通気口
260、260A、260B 第2の放熱部
265 第2の接合面
300 押圧部
310 押し付けネジ部
320 ネジガイド
330 ネジガイド固定ビス
400 熱伝導性部材
510a、510b ワッシャー部
520a、520b バネ部
530 ワッシャー部保持用ビス
610a、610b ワッシャー部
620 バネ部
630 ワッシャー部保持用ビス
700 ピン
800 ピン用バネ部
900 ピン
1000 電子装置
1600 補強部
5000 熱伝達部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子を搭載できる板状の基材と、前記基材上に設けられ、前記発熱素子を冷却する冷却構造とを有し、
前記冷却構造は、
前記発熱素子の発熱を放熱する第1の放熱部と、
前記発熱素子の発熱を前記第1の放熱部へ伝達する熱伝達部とを備え、
前記第1の放熱部は、
前記第1の放熱部を構成する第1の接合面を含む板のうちで前記第1の接合面と反対側に設けられた第1の内面と、当該第1の内面に対向する第2の内面とを接続する補強部とを備え、
前記第1の放熱部は、前記第1の接合面を介して放熱する電子基板。
【請求項2】
押圧部をさらに有し、
前記押圧部は、前記補強部を介して、前記第1の接合面を押圧する請求項1に記載の電子基板。
【請求項3】
前記熱伝達部は、前記発熱素子の発熱を受熱する冷媒を貯蔵する受熱部と、前記冷媒を輸送する輸送管とを備え、
前記第1の放熱部は、前記発熱素子の発熱により気化した冷媒を凝縮させることにより放熱する請求項1または2に記載の電子基板。
【請求項4】
前記押圧部は、前記補強部と対向する位置に配置している請求項2または3に記載の電子基板。
【請求項5】
前記押圧部は、前記第1の接合面の中央領域を押圧する位置に配置している請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項6】
前記押圧部は、前記熱伝達部と前記第1の放熱部とが接続する結合部に配置している請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項7】
前記押圧部は、
前記基材面上に取り付けられ、中心軸が前記第1の接合面に対して略垂直方向に配置したネジ部を有し、
前記ネジ部は、前記第1の放熱部を押圧する請求項2〜5のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項8】
前記結合部は、
前記第1の接合面に対して略垂直方向に延在する配管であり、
前記押圧部は、
前記配管に沿って移動できるように設けられた可動部と、
前記可動部を前記基材に固定する可動部保持部と、
前記可動部および前記第1の接合面の間に配置し、前記第1の放熱部を付勢する付勢部とを有する請求項6に記載の電子基板。
【請求項9】
前記配管は、前記第1の放熱部に前記冷媒を流入する冷媒流入管と、前記第1の放熱部から前記冷媒を流出する冷媒流出管を含む請求項8に記載の電子基板。
【請求項10】
前記補強部は、前記第1の内面および前記第2の内面の間に配置する補強柱と、
前記第1の内面または第2の内面のいずれか一方に接続するブロック部とを備え、
前記補強柱と前記ブロック部とが当接する請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項11】
前記押圧部は、
棒状の軸部と、前記軸部の一端に引っ掛け部を備えたピンを有し、
前記引っ掛け部を前記第1または第2の放熱部に固定することにより、前記第1の接合面を押圧する請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項12】
前記ピンは、前記軸部の他端部に前記軸部の半径よりも大きい半径を有するフランジ部をさらに有し、
前記軸部は、前記第1の接合面に対して略垂直に延在し、
前記引っ掛け部は、前記第1の接合面に対向する第2の放熱部に固定され、
前記軸部の軸方向に沿って取り付けられた付勢部によって、前記引っ掛け部と前記フランジ部の間で前記第1の接合面を前記第2の放熱部に向けて付勢する請求項11に記載の電子基板。
【請求項13】
前記ピンは、前記軸部の他端が前記第1の接合面に対向する前記第2の放熱部に固定され、前記引っ掛け部が前記第1の放熱部に固定され、
前記軸部は、前記第1の接合面に対してほぼ垂直に延在し、
前記引っ掛け部と前記軸部の他端により、前記引っ掛け部が前記第1の接合面を前記第2の放熱部に向けて押圧する請求項11に記載の電子基板。
【請求項14】
前記付勢部は、弾性部材により構成される請求項8または9に記載の電子基板。
【請求項15】
前記第1の接合面に、熱伝導性部材が設けられた請求項1〜14のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項16】
前記第1の接合面は、平面である請求項1〜15のいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項17】
電子基板と、前記電子基板を収容する筐体とを有し、
前記電子基板は、
発熱素子を搭載できる板状の基材と、前記基材上に設けられ、前記発熱素子を冷却する冷却構造とを有し、
前記冷却構造は、
前記発熱素子の発熱を放熱する第1の放熱部と、
前記発熱素子の発熱を前記第1の放熱部へ伝達する熱伝達部とを備え、
前記第1の放熱部は、
前記第1の放熱部を構成する第1の接合面を含む板のうちで前記第1の接合面と反対側に設けられた第1の内面と、当該第1の内面に対向する第2の内面とを接続する補強部とを備え、
前記筐体は、前記第1の接合面と熱的に接続する第2の放熱部を備える電子装置。
【請求項18】
前記筐体は、複数の前記電子基板を収容できるように形成され、
前記第2の放熱部は、複数の前記第1の接合面と熱的に接続する第2の接合面を備える請求項17に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−69995(P2013−69995A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209223(P2011−209223)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 総務省、「グリーンネットワーク基盤技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】