説明

電子常磁性共鳴スペクトロメータに対する寒剤を使用しない冷却システム

【課題】電子常磁性共鳴スペクトロメータに対する寒剤を使用しない冷却システムを提供する。
【解決手段】電子常磁性共鳴スペクトロメータにおいて、閉サイクルクライオ冷却器が、サンプル周囲を循環し、サンプルを直接伝導によって冷却する、気体ヘリウムを冷却するために使用される。サンプルは冷却装置に機械的に接続されていないため、冷却装置からはいかなる振動も伝達せず、サンプルはすばやく取り除かれ、交換させられることが出来る。冷却されたヘリウムは、さらにヘリウムを冷却するために、ジュールトムソン(Joule−Thomson)膨張デバイスを通過し、その後にサンプル周囲を循環されることが出来る。加えて、真空ポンプが、サンプル周りを循環した後のヘリウムの出口に接続されることができ、ジュールトムソン膨張デバイスを跨いだ圧力の違いを増加させ、さらにヘリウムを冷却する。冷却されたヘリウムの温度を上昇させるために、ヒーターが冷却されたヘリウムのラインのサンプルからの上流に設置されることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子常磁性共鳴スペクトロメータに対する寒剤を使用しない冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子常磁性共鳴(EPR)または電子スピン共鳴(ESR)分光法は、遷移金属イオンを含む有機および無機フリーラジカルまたは無機錯体などの、1または複数の対になっていない電子を有する化学種を研究するための手法である。量子論によると、電子は、磁気モーメントを生む角運動量として理解されるスピンを有する。電子が磁場中に位置するとき、磁気モーメントは磁場に沿って並ぶ傾向を示す。しかしながら、量子効果により、電子は2つの状態のみを取りうる:1つ目は磁気モーメントが印加場に平行に整列する状態であり、2つ目は磁気モーメントが印加場に反平行に整列する状態である。これら2つの状態のそれぞれは異なるエネルギーレベルを有する。電磁放射が2つのエネルギーレベルの距離間隔に対応した周波数で印加されると、エネルギーが電磁場から吸収され、この吸収は計測されることが出来る。EPRスペクトルは、電磁放射周波数又は印加磁場強度を変えて、エネルギーの吸収を測定することによって得られる。実際のところ、後者が通常は変えられる。
【0003】
最も安定な分子は、有している電子が全て対になっており、EPR現象はこれらの分子内では通常観測されない。常磁性分子として知られるいくつかの分子は、明らかに対にはなりえない奇数個の電子を有する。通常EPR手法によって研究されるのはこれらの分子である。通常の化学溶媒および基質はEPRスペクトルを生じないことから、常磁性種に限定することは、EPR手法が特異であることを意味する。
【0004】
多くのEPR実験において、EPRサンプルを非常に低い温度(4−10K)において測定することが有利であったり、必要であったりする。低温で行う利点は、室温において緩和時間が非常に短いサンプルからの信号レベルが増加することと、相転移を研究できることを含む。
【0005】
数ケルビンの範囲にサンプルを冷却する方法はいくつかある。最も広く使用されている方法は、サンプルを液体ヘリウムのバスに浸すことである。しかし、この方法はいくつかの欠点を有する。液体ヘリウム自体が比較的高価であり、液体ヘリウムを作業場まで運ばなければいけない場合、必然的に蒸発損による液体ヘリウムの減少があり、液体ヘリウムをさらに高価なものにする。さらに、ヘリウムが蒸発すると、ガスは通常大気中に発散し失われ、典型的な実験は毎回数リットルの液体ヘリウムを使用する。ヘリウムの蒸発損は連続的であることから、実験の合間、EPR装置を低温のままにしておくことは経済的ではなく、よって実験は出来るだけすばやく行われなければならず、ヘリウムを浪費しないように計画立てられなければならない。液体ヘリウムの温度からかけ離れたサンプル温度を変化させることは困難であり、ヘリウムの圧力を変化させることのみによって達成される。
【0006】
これらの困難を克服するために、液体ヘリウムを使用しないシステムが開発された。これらのシステムは通常、金属「コールドヘッド」を所望の温度に冷却するための、従来型のギボードマクマーン(Gifford−McMahon、GM)冷却器、またはパルスチューブ冷却器といった、閉サイクル冷却装置を使用する。冷却するサンプルはコールドヘッドに乗せられ、直接伝導によって冷却される。これらのシステムも欠点を有する。第1に、サンプルは機械的にコールドヘッドに接しているため、冷却装置から生み出されるいかなる振動もサンプルに伝わる。これらの振動は通常1−2ヘルツのオーダーであり、EPR実験において問題を生じかねない。第2に、コールドヘッドとサンプルを絶縁するために、これらの後者の要素は通常、真空にされるハウジングに封入される。よって、サンプルを変える前に、コールドヘッドの温度を高くし、ハウジングはベントされなければならない。サンプルを変えた後、ハウジングは排気され、コールドヘッドは正しい温度に下げられなければならず、これらはどちらも時間を浪費する作業である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の本質に従って、閉サイクルクライオ冷却器が、サンプル周囲を循環し、サンプルを直接伝導によって冷却する、気体ヘリウムを冷却するために使用される。サンプルはクライオ冷却器に機械的に接続されていないため、クライオ冷却器からはいかなる振動も伝達せず、サンプルはすばやく取り除かれ、交換させられることが出来る。気体ヘリウムがサンプルを冷却するために使用されるため、液体ヘリウムは要求されない。
【0008】
一実施形態において、クライオ冷却器の冷却されたヘリウムは、さらにヘリウムを冷却するために、ジュールトムソン(Joule−Thomson)膨張デバイスを通過し、その後にサンプル周囲を循環する。
【0009】
他の実施形態において、真空ポンプが、サンプル周りを循環した後のヘリウムの出口に接続され、ジュールトムソン膨張デバイスを跨いだ圧力の違いを増加させ、さらにヘリウムを冷却する。
【0010】
さらに他の実施形態において、ヒーターが冷却されたヘリウムのラインのサンプルからの上流に設置され、冷却されたヘリウムの温度を上昇させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】冷却システムの部分的な断面概略図である。
【図2】サンプルチャンバの部分的な断面概略図である。
【図3】EPRスペクトルメータの主な構成要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の本質に従って構築されたクライオ冷却器の、部分的に切り取った概略図である。クライオ冷却器は、従来の閉サイクルクライオ冷却器102を使用している。これは、従来のギボードマクマーンクライオ冷却器、またはパルスチューブ冷却器であってよい。このタイプの冷却器の構造および操作は良く知られているため、ここでは冷却器については深く議論しない。本発明で使用するのに適したクライオ冷却器は、スミトモクライオジェニックスオブアメリカ(Sumitomo Cryogenics of America,Inc. 1833 Vultee Street Allentown, PA18103−4783)が製造し、販売しているモデルRDK408D2である。
【0013】
冷却器102は回転対称であり、典型的に、上部に真空ハウジング106(切断された状態が示されている)が接続されたウォームフランジ(warm flange)104を有する。冷却部品を絶縁するため、真空ハウジングの内側は排気される。真空ハウジング106は、往復ピストン(図示されていない)を内側に有する冷却器本体108、冷却第1コールドステージ110および冷却第2コールドステージ112を封入する。動作時、冷却器102に、ヘリウムコンプレッサ114から、ライン118を通って気体ヘリウムが供給される。ヘリウムは冷却器102からヘリウムコンプレッサ114へリターンライン116を通って戻る。
【0014】
動作時、冷却器102の第1コールドステージ110は典型的に30−35K(ケルビン)に保たれ、第2コールドステージ112は4Kに保たれる。ヘリウムソース120からの室温の(およそ300K)ヘリウムガスは、流入ヘリウム圧を制御する圧力バルブ122にライン124を通って供給される。最初にこの圧力は10−20psiに設定され、後に、システムがクールダウンしたあと、60−70psiに増加される。
【0015】
圧力バルブ122から、ヘリウムガスはライン126を流れて、熱を交換し、ライン130を通ってサンプルチャンバから戻ってくる冷却されたヘリウムガスによって冷却される(以下に詳細を述べる)、熱交換機128に流入する。
【0016】
熱交換機128から出た冷却されたヘリウムガスは、ライン132を通り、クライオ冷却器第1コールドステージ110を取り巻く熱交換器134に入る。熱交換器134において、ガスは約40Kまで冷やされる。熱交換器134から、冷却されたヘリウムガスはライン136を通り、クライオ冷却器第2コールドステージ112に接している第2の熱交換器138に入り、ガスは約4K―10Kに冷やされる。
【0017】
熱交換器138から出た冷却されたヘリウムガスは、出力ライン140を通って、従来のジュールトムソン膨張デバイス142に供給される。ガスが膨張デバイス142を通過するとき、ガスはライン144を通って、サンプルチャンバ(図2に示す)に進出する。この時点で冷却されたヘリウムガスは約4Kである。
【0018】
図2はサンプルチャンバ200の切り取った図を示す。チャンバ200はEPRスペクトロメータの磁石(図示せず)の間に設置されている。サンプルチャンバ200は、壁202および204によって形成された2重壁カバーを有する。壁202および204の間の空間206は真空ハウジング106に接続されており、その中の真空はガス配送装置208と、サンプルホルダー212内のサンプル(図示せず)を絶縁している。
【0019】
ホルダー212は、電子常磁性共鳴(EPR)で通常使用されるクオーツのサンプルチューブであり、オーリング216を介してホルダー212によって密閉されている穴214を通ってデバイスに挿入されている。
【0020】
クライオ冷却器装置100からの冷却されたヘリウムガスはライン144を通ってサンプルチャンバ200に入り、矢印210によって概略的に示されるようにサンプルチャンバ208に流される。サンプルホルダー212の周囲を流れ、サンプルホルダー212およびサンプルを直接伝導によって冷却したあと、冷却されたガスは、矢印218によって概略的に示されるようにサンプル冷却器208から出て、ライン130を通って、冷却器ユニット100に戻る。
【0021】
冷却されたヘリウムガスは、ガス導入ライン144を取り囲むヒーター220によって、サンプルホルダー208に入る前に加熱されることが出来る。このヒーターは典型的には、リード線222によって表されるような電気抵抗ヒーターであるが、他の典型的な構造であっても良い。ヒーターによってガスの温度は上昇することが出来、よって必要に応じてサンプルの温度を上昇させる。この配置を使用すると、サンプルの温度を約4Kから室温300Kまで制御することが出来る。ヒーター220内の温度センサ(図示せず)はヒーター220を制御し、サンプルチャンバ208内の所望の温度を維持するために使用されることが出来る。
【0022】
空間206は壁204によって、圧力が膨張したヘリウムガスの圧力であるサンプルチャンバ200の内部224から分離されていることに注目されたい。よって、サンプルはバルブ122によってヘリウムガスを抑制し、サンプルホルダー212をオーリング216をとおって引き抜くことによって容易に交換できる。よって新しいサンプルホルダーを挿入でき、新しい実験が、バルブ122からのヘリウムの流入を増やすことで行われることができる。真空ハウジング106をベントする必要も、サンプルを変えるために、まずクライオ冷却器を、次にコールドステージ110、112を温める必要もない。
【0023】
EPRスペクトロメータにおいて、サンプルホルダー208は従来、空洞226として概略的に説明されている共鳴空洞に置かれる。典型的にはマイクロ波領域にある、RFエネルギーは空洞226に導波管(図2には図示されず)によって供給される。
【0024】
熱交換器128の排出146に真空ポンプ148を設置することにより、冷却ヘリウムの温度を低下させることも可能である。真空ポンプ148はサンプルチャンバ200内部の圧力を減少させ、よってジュールトムソン膨張デバイス142にわたる圧力差を増加させる。サンプル側のヘリウムの圧力を減少させることにより、サンプル冷却器208内部の冷却ヘリウムガスの温度は3Kまたはそれ以下に下げられることが出来る。
【0025】
冷却気体ヘリウムは典型的にライン146または真空ポンプ148により、大気中に放出されるが、本発明のシステムは従来の液体ヘリウム冷却システムよりもずっと少ないヘリウムを使用する。これは1リットルの液体ヘリウムは768リットルの気体ヘリウムに膨張するからである。さらに、気体ヘリウムは損失無しにタンク内で容易に運ぶことが出来る。本発明のシステムは、実験と実験の間、注入口126におけるヘリウム圧をバルブ122によって2−10psiに抑制することによって、冷却システムを室温まで暖めることなく効率的に空運転を行うことが出来る。このヘリウムの流れは、実験と実験の間、必要以上にヘリウムを損なうことなく、サンプル冷却器208内の冷却ヘリウムの温度を約10−12Kに保つ。
【0026】
図3は非常に概略的な形式で、EPRスペクトロメータ300の主要な構成要素を説明する。マイクロ波ソース302はマイクロ波RF放射線を生成し、矢印302によって概略的に示されているように、アッテネーター306に放射線を加える。アッテネーター306は、放射線を実験を実行するために適したレベルまで減衰させ、減衰した放射線をサーキュレーター310に供給する。サーキュレーター310は放射線を導波管316によってサンプルを取り囲む(図示されず)共鳴空洞318に向かわせる非線形デバイスである。共鳴空洞318は、磁石のポール320、322の間に設置されている。
【0027】
空洞318を励起するエネルギーは、導波管316により、サーキュレーター310に戻される。次に、サーキュレーター310は、矢印312によって概略的に示されているように、エネルギーを、サンプルによって吸収されたエネルギーを検出する検出器314に向かわせる。
【0028】
本発明は多くの実施形態を参照して示され、説明されたが、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形式のさまざまな変更を加えることが出来ることが当業者に認識されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを冷却するための、寒剤を使用しない冷却システムであって、
コールドステージを有する閉サイクルクライオ冷却器と、
前記コールドステージ上に取り付けられた第1の熱交換機と、
ジュールトムソン膨張デバイスと、
前記サンプルを取り囲むサンプルチャンバと、
気体ヘリウムを、ヘリウムソースから前記熱交換器を通って、前記熱交換器から前記拡張デバイスへ、および前記拡張デバイスから前記サンプルチャンバへ、冷却された気体ヘリウムが前記サンプルチャンバ内の前記サンプルの周りを循環し、伝導によって前記サンプルを直接冷却するように、導くパイプと、
を含むことを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記クライオ冷却器は、第1コールドステージと第2コールドステージとを有し、前記第1の熱交換器は前記第1のコールドステージ上に取り付けられ、第2の熱交換器は前記第2のコールドステージ上に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記パイプは、気体ヘリウムを、前記ヘリウムソースから前記第1の熱交換器を通って前記第2の熱交換器へ、および前記第2の熱交換器から前記ジュールトムソン膨張デバイスへ導くことを特徴とする請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記クライオ冷却器、前記熱交換器および前記膨張デバイスを取り囲み、前記サンプルチャンバの周囲をカバーとして伸びている真空ハウジングをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記第1の熱交換器に入る前に、前記ヘリウムソースからの気体ヘリウムが通る第2の熱交換器をさらに含み、前記ヘリウムは前記第2の熱交換器内の熱を、前記サンプルチャンバから出るヘリウムと交換することを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記膨張デバイスにわたる圧力差を大きくするために前記熱交換器に接続された真空ポンプをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記サンプルチャンバは、前記サンプルを取り囲む開口のサンプル冷却器を内側に有し、前記膨張デバイスから冷却された気体ヘリウムが流れ込む閉じた空間を含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記閉じた空間は、前記サンプルチャンバ内に前記サンプルを挿入することが出来る開口を有することを特徴とする請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記サンプルは、前記開口を通って前記サンプルチャンバに挿入され、前記開口を取り囲むオーリングによって密閉されているサンプルホルダーに収容されることを特徴とする請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
サンプルの温度を上げるために、前記膨張デバイスを出る冷却された気体ヘリウムを熱するためのヒーターをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項11】
サンプルを冷却する方法であって、
(a)コールドステージを有する閉サイクルクライオ冷却器と、前記コールドステージ上に取り付けられた第1の熱交換機と、ジュールトムソン膨張デバイスと、前記サンプルを取り囲むサンプルチャンバとを有する、寒剤を使用しない冷却システムを提供するステップと、
(b)気体ヘリウムを、ヘリウムソースから前記熱交換器を通って、前記熱交換器から前記拡張デバイスへ、および前記拡張デバイスから前記サンプルチャンバへ、冷却された気体ヘリウムが前記サンプルチャンバ内の前記サンプルの周りを循環し、伝導によって前記サンプルを直接冷却するように、導くステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記クライオ冷却器は、第1コールドステージと第2コールドステージとを有し、前記第1の熱交換器は前記第1のコールドステージ上に取り付けられ、第2の熱交換器は前記第2のコールドステージ上に取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(b)は、気体ヘリウムを、前記ヘリウムソースから前記第1の熱交換器を通って前記第2の熱交換器へ、および前記第2の熱交換器から前記ジュールトムソン膨張デバイスへ導くステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)は、前記クライオ冷却器、前記熱交換器および前記膨張デバイスを取り囲み、前記サンプルチャンバの周囲をカバーとして伸びている真空ハウジングを提供するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(a)は、前記第1の熱交換器に入る前に、前記ヘリウムソースからの気体ヘリウムが通る第2の熱交換器を提供するステップを含み、前記ヘリウムは前記第2の熱交換器内の熱を、前記サンプルチャンバから出るヘリウムと交換することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記膨張デバイスにわたる圧力差を大きくするために前記熱交換器に真空ポンプを接続するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(a)は、前記サンプルチャンバ内に、前記サンプルを取り囲む開口のサンプル冷却器を内側に有し、前記膨張デバイスから冷却された気体ヘリウムが流れ込む閉じた空間を提供するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記閉じた空間は、前記サンプルチャンバ内に前記サンプルを挿入することが出来る開口を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルはサンプルホルダーに収容され、前記方法はさらに、前記開口を通って前記サンプルホルダーを前記サンプルチャンバに挿入するステップと、前記サンプルホルダーの周りの密閉を提供するための前記開口を取り囲むオーリングを使用するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
サンプルの温度を上げるために、前記膨張デバイスを出る冷却された気体ヘリウムを熱するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項21】
サンプルの実験を実行するための電子常磁性共鳴スペクトロメータであって、
2つのポールを有する磁石と、
コールドステージを有する閉サイクルクライオ冷却器と、
前記コールドステージ上に取り付けられた第1の熱交換機と、
ジュールトムソン膨張デバイスと、
前記サンプルを取り囲み、前記2つの磁石ポールの間に設置されたサンプルチャンバと、
気体ヘリウムを、ヘリウムソースから前記熱交換器を通って、前記熱交換器から前記拡張デバイスへ、および前記拡張デバイスから前記サンプルチャンバへ、冷却された気体ヘリウムが前記サンプルチャンバ内の前記サンプルの周りを循環し、伝導によって前記サンプルを直接冷却するように、導くパイプと、
RF放射線を前記サンプルに照射する手段と、
前記サンプルによって吸収されたRF放射線を検出するための検出器と
を含むことを特徴とする電子常磁性共鳴スペクトロメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−24554(P2013−24554A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−161439(P2012−161439)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(512190549)コールドエッジ テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)