電子式電力量計用ユニットの着脱装置
【課題】ユニットの損傷や落下を防止しつつ、確実に着脱することのできる電子式電力量計用ユニットの着脱装置の提供。
【解決手段】門形の支柱5にガイド板12を設ける。ガイド板12をユニット4に沿わせて位置決めする。支柱5をユニットケース3に固定する。引抜フック8をユニット4の係止部7に係止する。ギヤ機構10で引抜フック8を支柱5の中心軸方向に移動させて引き抜く。ガイド板12により、引抜力の偏心によってユニット4が倒れるのを阻止する。ガイド板12と引抜フック8とが協働して、着脱するユニット4を保持する。
【解決手段】門形の支柱5にガイド板12を設ける。ガイド板12をユニット4に沿わせて位置決めする。支柱5をユニットケース3に固定する。引抜フック8をユニット4の係止部7に係止する。ギヤ機構10で引抜フック8を支柱5の中心軸方向に移動させて引き抜く。ガイド板12により、引抜力の偏心によってユニット4が倒れるのを阻止する。ガイド板12と引抜フック8とが協働して、着脱するユニット4を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット構造を有する電子式電力量計のユニットケースにユニットを着脱するための着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、需用家が使用する電力量を計量するための電力量計として、ユニット型の電子式電力量計が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の電子式電力量計は、ソケット構造によってユニット接合部101に通信端局ユニット102、電力量計ユニット103及び開閉器ユニット104を装着して構成される。また、各ユニット102、103、104は、そのネジ孔付きフランジ部105をユニット接合部101のネジ孔部106に位置合わせされてネジ止め固定される(図11、図12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−170787号公報(段落番号0025、0042、図1、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各ユニットは、その耐用期間に応じて交換する必要があり、その交換の際には、ユニット固定用のネジを完全に緩めた状態で、各ユニットに梃子式の工具を係合させるなどしてユニット接合部から引き抜くことになる。
【0006】
ただ、工具を用いてユニットを引き抜く際に、その引抜力が偏心して作用すると、ユニットが傾いて、取り外すユニット及びユニット接合部のソケットのピンを破壊するおそれがある。また、ユニットが外れた瞬間に、工具を保持したままユニットをも保持する必要があり、しかも、脚立の上などで作業することが多いことから、取り外したユニットを落下させるおそれがある。
【0007】
また、電子式電力量計が垂直な壁面に設置されることが多いことから、ユニットを着脱するには、力を加えにくい水平方向に、ある程度の力を加える必要がある。しかも、各ユニットに衝撃を加えることができないので、ハンマーなどを用いて打ち込むこともできず、ユニットの着脱が難しくなりやすい。
【0008】
本発明は、ユニットの損傷や落下を防止しつつ、確実に着脱することのできる電子式電力量計用ユニットの着脱装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子式電力量計用ユニットの着脱装置は、ソケット構造を有する電子式電力量計のユニットケースにユニットを着脱するためのものであり、門形の支柱と、該支柱をユニットケースに固定するための固定手段と、前記ユニットの係止部に係止可能な引抜フックと、該引抜フックを前記支柱の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段と、前記ユニットをユニットケースに押し込む押え板とを備え、前記支柱に、前記ユニットとその厚さ方向に隣接する位置に配置可能なガイド板と、前記ユニットをユニットケースに押し込む方向に付勢するばねとが設けられ、前記押え板は、引抜フックと一体に設けられたことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ガイド板をユニットに隣接させて配置することができるので、ユニットを引き抜く際、ガイド板により、ユニットが引抜力の偏心によって倒れるのを阻止することができる。また、着脱装置をセットする際、ガイド板をユニットに沿わせて着脱装置を位置決めすることができ、しかも、ガイド板と引抜フックとが協働して、着脱するユニットを保持することができる。
【0011】
しかも、ユニットをユニットケースに押し込む押え板を備え、この押え板と引抜フックとを一体に設けるので、ユニットを装着する際に、押え板でユニットを押し込むと共に、ユニットを取り外す際に、引抜フックでユニットを引き抜くことができ、一つの着脱装置をユニットの押し込み及び引き抜きに兼用することができる。
【0012】
さらに、ばねがユニットをユニットケースに押し込む方向に付勢するので、ユニットの係止部に引抜フックをより強く係止させることができ、ユニットを着脱装置と一体化するように確実に保持して、ユニットの落下を防止することができる。つまり、例えば厚さの薄いユニットは、ガイド板と引抜フックとで保持しようとしても、厚さが薄い分、ガタつきを生じやすいが、ばねで付勢することにより、ユニットを引き抜く引抜フックにユニットの係止部がより強く係止されるので、厚さの薄いユニットであっても、ガタつきを生じることなく保持することができる。
【0013】
また、前記ガイド板に、前記押え板を視認するための窓穴が設けられ、該窓穴の側縁部に、前記支柱の中心軸方向における前記押え板の位置を示す目盛が設けられたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0014】
この構成によれば、ガイド板の窓穴から視認される押え板を窓穴の側縁部の目盛に合わせて位置決めすることができる。これにより、複数種類の電子式電力量計が存在する場合であっても、その種類に対応させて押え板の位置を設定することができ、共通の着脱装置を用いて複数の種類の電子式電力量計にユニットを着脱することができる。
【0015】
また、引抜フックを移動させる引抜フック移動手段について、前記引抜フック移動手段は、ギヤ機構とされたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0016】
この構成によれば、例えば門形支柱の幅方向両側に設けた2つの引抜フックを簡単な機構によって連動させて同時に移動させることができ、ユニットの幅方向両側に引抜フックを係止して、安定して引き抜くことができる。なお、引抜フック移動手段としては、レバーや、チェーン、ベルト、リンク機構を用いたものなど、どのようなものであってもよく、個々の引抜フック毎に、あるいは複数の引抜フックを連動させて移動させることができる。
【0017】
また、前記固定手段は、ユニットケースの開口縁に接触する支柱の先端縁と、ユニットケースの開口内側に差し込み可能に支柱の先端部から突出する差し込み板部と、ユニットケースの開口縁から外向きに突出する鍔に係止可能な固定爪とからなることを特徴とする構成も採用可能である。
【0018】
この構成によれば、支柱の先端縁と差し込み板部と固定爪との三方締めにより、支柱をユニットケースに確実に固定することができる。
【0019】
また、前記引抜フックは、支柱に対して揺動自在に設けられると共に、ユニットの係止部に係止する方向に弾性的に付勢され、当該引抜フックに、前記係止部に向けて押し込まれることにより、前記係止部に対してスライドしながら、当該引抜フックを付勢力に抗して揺動させる傾斜面が形成されたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0020】
この構成によれば、揺動自在な引抜フックを弾性的に付勢すると共に、引抜フックに傾斜面を形成するので、引抜フックは、一旦、係止部に対する傾斜面のスライドに伴って付勢力に抗して揺動した後、付勢力によって係止部に係止する。これにより、着脱装置を傾けることなくユニットケースに真っ直ぐに押し込んで装着するだけで、自動的に引抜フックを係止部に係止することができ、しかも、その係止状態を付勢力によって維持することができる。
【0021】
また、前記支柱は、本体ベースの両側にスタンドをヒンジ結合してなる門形に構成され、両スタンドの先端部の間隔を所定の範囲内で調節可能なよう、前記ガイド板及び前記スタンドのうち、一方に長孔が形成され、他方に前記長孔に挿入される突起が設けられたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0022】
この構成によれば、ガイド板及びスタンドのうちの一方に長孔を形成して、他方に設けた突起を挿入するので、その突起を長孔の長径方向に移動させながら、両スタンドを本体ベースとのヒンジ結合部を揺動軸として揺動させることができる。これにより、ユニットケースの幅の大きさに応じて、両スタンドの先端部の間隔を調節することができ、一種類の着脱装置を、大きさが異なる複数種類のユニットケースへのユニットの着脱に用いることができる。
【0023】
さらに、前記ユニットケースは、電子式電力量計ボックスの前面側が開放された容器状のボックス本体に収容され、前記支柱は、両側のスタンドを前記ボックス本体に収容可能な大きさに設定されたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0024】
この構成によれば、支柱の両側のスタンドをボックス本体に収容可能な大きさに設定するので、ユニットケースの外側のボックスが着脱装置の設置の邪魔になるのを防止することができる。ここで、支柱の両側のスタンドをボックス本体に収容可能な大きさに設定するには、両スタンドの外面間距離をボックス本体の内面間の幅よりも小さく設定すればよく、さらに、スタンドの外面に着脱装置の操作用の突起がある場合には、その操作用の突起の位置をボックス本体の深さよりも高い位置に設ければよい。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によると、ユニットケースに固定する門形の支柱に、ユニットと隣接する位置に配置可能なガイド板を設けるようにしている。これにより、ガイド板により、着脱装置を位置決めすると共に、ユニットが傾くことによる損傷を防止することができ、しかも、ガイド板と引抜フックとが協働してユニットを保持するので、ユニットの損傷や落下を防止しつつ、ユニットを確実に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電子式電力量計用ユニットの着脱装置の斜視図
【図2】着脱装置の正面図
【図3】着脱装置の平面図
【図4】着脱装置の側面図
【図5】ユニット型の電子式電力量計の斜視図
【図6】ユニット型の電子式電力量計に装着した着脱装置の斜視図
【図7】ユニット型の電子式電力量計に装着した着脱装置の要部断面図
【図8】支柱先端部とユニットケースとの固定状態を示す模式図
【図9】引抜フックの模式図
【図10】ギヤ機構の斜視図
【図11】従来技術が示すユニット型の電子式電力量計の正面図
【図12】従来技術が示す電子式電力量計用ユニットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る電子式電力量計用ユニットの着脱装置を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0028】
図1〜図4に示すように、着脱装置1は、ソケット構造を有するユニット型の電子式電力量計2のユニットケース3にユニット4を着脱するためのものであり、門形の支柱5と、支柱5をユニットケース3に固定するための固定手段6と、ユニット4の係止部7に係止可能な引抜フック8と、引抜フック8と一体に設けられてユニットケース3にユニット4を押し込む押え板9と、引抜フック8を支柱5の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段としてのギヤ機構10と、ユニット4を保持するためのホールド用ばね11とを備え、その支柱5に、ユニット4とその厚さ方向に隣接する位置に配置可能なガイド板12が設けられている。
【0029】
図5、図6に示すように、電子式電力量計2は、ソケット構造を介して、ユニットケース3に、通信ユニット4a、電力量計測ユニット4b及び開閉器ユニット4cなどのユニット4を装着した構成とされ、例えば10年程度の使用期間で各ユニット4が定期的に交換される。
【0030】
ユニットケース3は、例えば鉄板を前面側が開口された容器状に形成してなり、その開口縁に、外向きに突出する鍔13が形成されている。このユニットケース3は、前面側が開放された容器状のボックス本体3aを備えた電子式電力量計ボックスに収容されている(図7参照)。
【0031】
各ユニット4は、幅方向両側の基端部がユニット固定用ねじ14によってユニットケース3に固定され、そのねじ孔の近傍に係止部7が形成されている。
【0032】
支柱5は、断面コ字型の本体ベース15の両側に断面コ字型のスタンド16をヒンジ結合してなる門形に構成されている。支柱5の両スタンド16は、その外面間距離(B)を例えば190mm以下に設定すると共に、固定爪18(後述)の爪部19(後述)からの固定爪操作ノブ21(後述)の高さ(H)を例えば65mm以上に設定することにより、ボックス本体3aに収容可能とされている。
【0033】
本体ベース15の正面側には、ねじ12aによってガイド板12が固定され、このガイド板12に形成された長孔12bに、スタンド16に設けられた突起としてのねじ16aが挿入されている。これにより、ねじ16aを長孔12bの長径方向に移動させながら、両スタンド16を本体ベースとのヒンジ結合部を揺動軸として揺動させることができ、ユニットケース3の幅の大きさに応じて、両スタンド16の先端部の間隔を所定の範囲内で調節可能とされている。
【0034】
図7、図8に示すように、固定手段6は、ユニットケース3の開口縁に接触する支柱5のスタンド16の先端縁16aと、ユニットケース3の開口内側に差し込み可能にスタンド16の先端部内側から突出する差し込み板部17と、ユニットケース3の開口縁の鍔13に係合可能な固定爪18とからなり、これらの三方締めにより、支柱5をユニットケース3に強固に固定するようになっている。
【0035】
固定爪18は、断面コ字型のスタンド16の内部に揺動自在に設けられ、先端の爪部19の近傍に設けられた圧縮ばね20によって、爪部19がユニットケース3の鍔13から離れて係合を解除する方向に付勢されている。
【0036】
固定爪18の基端側は、スタンド16の基端付近に設けられた固定爪操作ノブ21の先端に連結され、固定爪操作ノブ21を回転操作して固定爪18を揺動させることにより、鍔13に対して爪部19が係脱自在とされる。なお、鍔13と爪部19との係合は、スタンド16に形成された窓22から確認できるようになっている。また、固定爪操作ノブ21とスタンド16との間には、皿ばね23が介装され、固定爪操作ノブ21の緩みを防止する。
【0037】
図9に示すように、引抜フック8は、引抜フック支持体24の背面側に揺動自在に設けられ、その先端側のフック部25がユニット4の係止部7に背面側から係止するよう、引抜フック8の基端側が圧縮ばね26によって付勢されている。引抜フック支持体24は、ギヤ機構10によって移動自在とされ、引抜フック支持体24が引抜フック8と共に支柱5の基端側に移動することにより、ユニット4を引き抜くようになっている。
【0038】
フック部25の先端面は傾斜面とされ、着脱装置1を押し込んで装着することにより、一旦、フック部25の先端面がユニット4の係止部7に対してスライドしながら、圧縮ばね26の付勢力に抗して引抜フック8が揺動して、その後、圧縮ばね26の付勢力によって自動的にフック部25が係止するようになっている。
【0039】
押え板9は、支柱5の基端側の本体ベース15に対向する側が開放されたコ字形板とされ、両側の引抜フック支持体24の基端側の面に掛け渡されている。この押え板9は、引抜フック支持体24が支柱5の先端側に移動することにより、ユニット4を押し込むようになっている。
【0040】
図10に示すように、ギヤ機構10は、互いに噛み合う複数のギヤ27a、27b、27c、27d、27eと、引抜フック支持体24の基端側に突設されたねじ28とからなり、両端のギヤ27a、27eにねじ28が螺合されている。
【0041】
ギヤ27a、27b、27c、27d、27eは、支柱5の本体ベース15にボールベアリングなどを介して回転自在に支持されると共に、本体ベース15よりも基端側のギヤボックス29で覆い隠され、ギヤボックス29から基端側に突出する引き押し操作ノブ30を回転操作して中央のギヤ27cを回転させるようになっている。中央のギヤ27cを回転させることにより、両端のギヤ27a、27eが回転し、これに螺合されたねじ28の移動に伴って、両側の引抜フック支持体24が連動して支柱5の中心軸方向に移動するようになっている。
【0042】
ホールド用ばね11は、支柱5の本体ベース15に、ギヤ27b、27dの軸を取り囲むように設けられ、その先端部が押え板9を貫通自在とされている。このホールド用ばね11は、押え板9を貫通した状態で、ユニット4をユニットケース3に押し込む方向に付勢し、引抜フック8のフック部24とでユニット4を挟持するようになっている。
【0043】
ガイド板12は、着脱装置1をセットする際の位置決めとなるよう、ユニット4同士の隙間に挿入可能な厚さの板とされ、支柱5の本体ベース15の正面側にねじ止めされる。このガイド板12は、ユニット4の正面側に位置して、ユニット4の係止部7に背面側から係止した引抜フック8からユニット4が外れるのを阻止すると共に、ユニット4を引き抜くときの引抜力の偏心によってユニット4が倒れるのを阻止する倒れ止めとして機能する。また、ガイド板12には、押え板9を視認するための窓穴12cが形成され、この窓穴12cの側縁部に、支柱5の中心軸方向における押え板9の位置を示して、引抜フック8のセット位置を決めるための目盛ライン12dが設けられている。
【0044】
次に、着脱装置を用いてユニットケースからユニットを取り外す手順を説明する。まず、ユニット4のユニット固定用ねじ14を完全に緩めると共に、着脱装置1の引き押し操作ノブ30を回して、ガイド板12の目盛ライン12dのうちのユニット4を取り外す電子式電力量計2に対応するラインに、押え板9に設けられた指示線を合わせる。
【0045】
次いで、ガイド板12が正面側となるよう着脱装置1を配置し、着脱装置1の中心をユニットケース3の中心に合わせつつ、ガイド板12をユニット4間の隙間に挿入して着脱装置1を位置決めし、ユニットケース3の開口内側とユニット4との隙間に、スタンド16の先端の差し込み板部17を差し込む。これにより、スタンド16の先端縁16aがユニットケース3の開口縁に接触すると共に、引抜フック8のフック部25の先端面がユニット4の係止部7に対してスライドしながら、引抜フック8が揺動して、自動的に係止部7に引抜フック8が係止する。
【0046】
左右の固定爪操作ノブ21を回転操作し、左右の固定爪18を圧縮ばね20の付勢力に抗して揺動させて、その爪部19をユニットケース3の開口縁の鍔13に外側から係合させる。これにより、差し込み板部17、スタンド16の先端縁16a、及び爪部19による三方締めによって、支柱5の両側のスタンド16をユニットケース3に強固に固定する。
【0047】
引き押し操作ノブ30を回して両側の引抜フック8を支柱5の中心軸方向で基端側に移動させ、ガイド板12で、引抜力の偏心によるユニット4の傾きを阻止しつつ、ユニット4を引き抜く。引抜フック8を移動させるのに伴って、引抜フック8と一体に移動する押え板9からホールド用ばね11が突出し、このホールド用ばね11と引抜フック8及びガイド板12によってユニット4が保持される。
【0048】
その後、左右の固定爪操作ノブ21を緩めて、着脱装置1と共にユニット4を取り外し、例えば安定した台の上などで、引抜フック8の基端側を押して揺動させて、係止部7への引抜フック8の係止を解除し、着脱装置1からユニット4を取り外す。
【0049】
次に、着脱装置を用いてユニットケースにユニットを取り付ける手順を説明する。まず、着脱装置1の引き押し操作ノブ30を回して、引抜フック8及び押え板9を支柱5の中心軸方向で基端側に移動させ、押え板9からホールド用ばね11を突出させる。
【0050】
次いで、ガイド板12が正面側となるよう着脱装置1を配置し、ホールド用ばね11を押し返すようにして、ユニット4をガイド板12に沿わせて押し込むことにより、引抜フック8を自動的に揺動させてユニット4の係止部7に係止する。
【0051】
着脱装置1をユニットケース3の所定の位置に配置し、スタンド16の先端の差し込み板部17をユニットケース3の開口内側に差し込んで、スタンド16の先端縁16aをユニットケース3の開口縁に接触させる。さらに、着脱装置1を片手で押し支えたまま、左右の固定爪操作ノブ21を回転操作して左右の固定爪18をユニットケース3の鍔13に係合させることにより、支柱5の両側のスタンド16をユニットケース3に強固に固定する。
【0052】
引き押し操作ノブ30を回転操作して、手応えがあるまで押え板9を支柱5の中心軸方向で先端側に移動させることにより、ユニット4を押え板9でユニットケース3に押し込んで装着する。
【0053】
その後、引き押し操作ノブ30を反対方向に回転させて、固定爪18に作用する反力を軽減させ、左右の固定爪操作ノブ21を回転操作して、固定爪18をユニットケース3の鍔13から外す。左右の引抜フック8の基部を指で押えて、ユニット4の係止部7への引抜フック8の係止を解除し、ユニットケース3及びユニット4から着脱装置1を取り外して、ユニット4の取り付けが完了する。
【0054】
上記構成によれば、引き押し操作ノブ30を回転操作するだけで、ユニット4を引き抜き又は押し込むことができるので、例えば取付高さが約2mの梯子、脚立上での高所作業であっても、さらに、狭い隣家屋との間に設置されて作業間隔が限定される場合であっても、ユニット4を容易に着脱することができる。また、一つの着脱装置1によって、ユニット4の引き抜き及び押し込みを行うことができ、簡単な操作により、短時間でユニット4を交換することができる。
【0055】
また、ユニットケース3を設置することの多いL字型ブラケットは、ユニット4を着脱するのに加える力に対する強度が不十分になりやすいが、ユニットケース3に着脱装置1の支柱5を固定してユニット4を着脱するので、L字型ブラケットを破損させることなく、ユニット4を着脱することができる。
【0056】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、引抜フック8を支柱5の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段としては、ベルトやチェーン、リンク機構など、ギヤ機構10以外にも種々の機構を用いることができる。また、ホールド用ばね11を設けることなく、引抜フック8とガイド板12とでユニット4を保持することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 着脱装置
2 電子式電力量計
3 ユニットケース
3a ボックス本体
4 ユニット
5 支柱
6 固定手段
7 係止部
8 引抜フック
9 押え板
10 ギヤ機構
11 ホールド用ばね
12 ガイド板
12b 長孔
12c 窓穴
12d 目盛ライン
13 鍔
15 本体ベース
16 スタンド
16a ねじ
17 差し込み板部
18 固定爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット構造を有する電子式電力量計のユニットケースにユニットを着脱するための着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、需用家が使用する電力量を計量するための電力量計として、ユニット型の電子式電力量計が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の電子式電力量計は、ソケット構造によってユニット接合部101に通信端局ユニット102、電力量計ユニット103及び開閉器ユニット104を装着して構成される。また、各ユニット102、103、104は、そのネジ孔付きフランジ部105をユニット接合部101のネジ孔部106に位置合わせされてネジ止め固定される(図11、図12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−170787号公報(段落番号0025、0042、図1、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各ユニットは、その耐用期間に応じて交換する必要があり、その交換の際には、ユニット固定用のネジを完全に緩めた状態で、各ユニットに梃子式の工具を係合させるなどしてユニット接合部から引き抜くことになる。
【0006】
ただ、工具を用いてユニットを引き抜く際に、その引抜力が偏心して作用すると、ユニットが傾いて、取り外すユニット及びユニット接合部のソケットのピンを破壊するおそれがある。また、ユニットが外れた瞬間に、工具を保持したままユニットをも保持する必要があり、しかも、脚立の上などで作業することが多いことから、取り外したユニットを落下させるおそれがある。
【0007】
また、電子式電力量計が垂直な壁面に設置されることが多いことから、ユニットを着脱するには、力を加えにくい水平方向に、ある程度の力を加える必要がある。しかも、各ユニットに衝撃を加えることができないので、ハンマーなどを用いて打ち込むこともできず、ユニットの着脱が難しくなりやすい。
【0008】
本発明は、ユニットの損傷や落下を防止しつつ、確実に着脱することのできる電子式電力量計用ユニットの着脱装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子式電力量計用ユニットの着脱装置は、ソケット構造を有する電子式電力量計のユニットケースにユニットを着脱するためのものであり、門形の支柱と、該支柱をユニットケースに固定するための固定手段と、前記ユニットの係止部に係止可能な引抜フックと、該引抜フックを前記支柱の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段と、前記ユニットをユニットケースに押し込む押え板とを備え、前記支柱に、前記ユニットとその厚さ方向に隣接する位置に配置可能なガイド板と、前記ユニットをユニットケースに押し込む方向に付勢するばねとが設けられ、前記押え板は、引抜フックと一体に設けられたことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ガイド板をユニットに隣接させて配置することができるので、ユニットを引き抜く際、ガイド板により、ユニットが引抜力の偏心によって倒れるのを阻止することができる。また、着脱装置をセットする際、ガイド板をユニットに沿わせて着脱装置を位置決めすることができ、しかも、ガイド板と引抜フックとが協働して、着脱するユニットを保持することができる。
【0011】
しかも、ユニットをユニットケースに押し込む押え板を備え、この押え板と引抜フックとを一体に設けるので、ユニットを装着する際に、押え板でユニットを押し込むと共に、ユニットを取り外す際に、引抜フックでユニットを引き抜くことができ、一つの着脱装置をユニットの押し込み及び引き抜きに兼用することができる。
【0012】
さらに、ばねがユニットをユニットケースに押し込む方向に付勢するので、ユニットの係止部に引抜フックをより強く係止させることができ、ユニットを着脱装置と一体化するように確実に保持して、ユニットの落下を防止することができる。つまり、例えば厚さの薄いユニットは、ガイド板と引抜フックとで保持しようとしても、厚さが薄い分、ガタつきを生じやすいが、ばねで付勢することにより、ユニットを引き抜く引抜フックにユニットの係止部がより強く係止されるので、厚さの薄いユニットであっても、ガタつきを生じることなく保持することができる。
【0013】
また、前記ガイド板に、前記押え板を視認するための窓穴が設けられ、該窓穴の側縁部に、前記支柱の中心軸方向における前記押え板の位置を示す目盛が設けられたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0014】
この構成によれば、ガイド板の窓穴から視認される押え板を窓穴の側縁部の目盛に合わせて位置決めすることができる。これにより、複数種類の電子式電力量計が存在する場合であっても、その種類に対応させて押え板の位置を設定することができ、共通の着脱装置を用いて複数の種類の電子式電力量計にユニットを着脱することができる。
【0015】
また、引抜フックを移動させる引抜フック移動手段について、前記引抜フック移動手段は、ギヤ機構とされたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0016】
この構成によれば、例えば門形支柱の幅方向両側に設けた2つの引抜フックを簡単な機構によって連動させて同時に移動させることができ、ユニットの幅方向両側に引抜フックを係止して、安定して引き抜くことができる。なお、引抜フック移動手段としては、レバーや、チェーン、ベルト、リンク機構を用いたものなど、どのようなものであってもよく、個々の引抜フック毎に、あるいは複数の引抜フックを連動させて移動させることができる。
【0017】
また、前記固定手段は、ユニットケースの開口縁に接触する支柱の先端縁と、ユニットケースの開口内側に差し込み可能に支柱の先端部から突出する差し込み板部と、ユニットケースの開口縁から外向きに突出する鍔に係止可能な固定爪とからなることを特徴とする構成も採用可能である。
【0018】
この構成によれば、支柱の先端縁と差し込み板部と固定爪との三方締めにより、支柱をユニットケースに確実に固定することができる。
【0019】
また、前記引抜フックは、支柱に対して揺動自在に設けられると共に、ユニットの係止部に係止する方向に弾性的に付勢され、当該引抜フックに、前記係止部に向けて押し込まれることにより、前記係止部に対してスライドしながら、当該引抜フックを付勢力に抗して揺動させる傾斜面が形成されたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0020】
この構成によれば、揺動自在な引抜フックを弾性的に付勢すると共に、引抜フックに傾斜面を形成するので、引抜フックは、一旦、係止部に対する傾斜面のスライドに伴って付勢力に抗して揺動した後、付勢力によって係止部に係止する。これにより、着脱装置を傾けることなくユニットケースに真っ直ぐに押し込んで装着するだけで、自動的に引抜フックを係止部に係止することができ、しかも、その係止状態を付勢力によって維持することができる。
【0021】
また、前記支柱は、本体ベースの両側にスタンドをヒンジ結合してなる門形に構成され、両スタンドの先端部の間隔を所定の範囲内で調節可能なよう、前記ガイド板及び前記スタンドのうち、一方に長孔が形成され、他方に前記長孔に挿入される突起が設けられたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0022】
この構成によれば、ガイド板及びスタンドのうちの一方に長孔を形成して、他方に設けた突起を挿入するので、その突起を長孔の長径方向に移動させながら、両スタンドを本体ベースとのヒンジ結合部を揺動軸として揺動させることができる。これにより、ユニットケースの幅の大きさに応じて、両スタンドの先端部の間隔を調節することができ、一種類の着脱装置を、大きさが異なる複数種類のユニットケースへのユニットの着脱に用いることができる。
【0023】
さらに、前記ユニットケースは、電子式電力量計ボックスの前面側が開放された容器状のボックス本体に収容され、前記支柱は、両側のスタンドを前記ボックス本体に収容可能な大きさに設定されたことを特徴とする構成も採用可能である。
【0024】
この構成によれば、支柱の両側のスタンドをボックス本体に収容可能な大きさに設定するので、ユニットケースの外側のボックスが着脱装置の設置の邪魔になるのを防止することができる。ここで、支柱の両側のスタンドをボックス本体に収容可能な大きさに設定するには、両スタンドの外面間距離をボックス本体の内面間の幅よりも小さく設定すればよく、さらに、スタンドの外面に着脱装置の操作用の突起がある場合には、その操作用の突起の位置をボックス本体の深さよりも高い位置に設ければよい。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によると、ユニットケースに固定する門形の支柱に、ユニットと隣接する位置に配置可能なガイド板を設けるようにしている。これにより、ガイド板により、着脱装置を位置決めすると共に、ユニットが傾くことによる損傷を防止することができ、しかも、ガイド板と引抜フックとが協働してユニットを保持するので、ユニットの損傷や落下を防止しつつ、ユニットを確実に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電子式電力量計用ユニットの着脱装置の斜視図
【図2】着脱装置の正面図
【図3】着脱装置の平面図
【図4】着脱装置の側面図
【図5】ユニット型の電子式電力量計の斜視図
【図6】ユニット型の電子式電力量計に装着した着脱装置の斜視図
【図7】ユニット型の電子式電力量計に装着した着脱装置の要部断面図
【図8】支柱先端部とユニットケースとの固定状態を示す模式図
【図9】引抜フックの模式図
【図10】ギヤ機構の斜視図
【図11】従来技術が示すユニット型の電子式電力量計の正面図
【図12】従来技術が示す電子式電力量計用ユニットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る電子式電力量計用ユニットの着脱装置を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0028】
図1〜図4に示すように、着脱装置1は、ソケット構造を有するユニット型の電子式電力量計2のユニットケース3にユニット4を着脱するためのものであり、門形の支柱5と、支柱5をユニットケース3に固定するための固定手段6と、ユニット4の係止部7に係止可能な引抜フック8と、引抜フック8と一体に設けられてユニットケース3にユニット4を押し込む押え板9と、引抜フック8を支柱5の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段としてのギヤ機構10と、ユニット4を保持するためのホールド用ばね11とを備え、その支柱5に、ユニット4とその厚さ方向に隣接する位置に配置可能なガイド板12が設けられている。
【0029】
図5、図6に示すように、電子式電力量計2は、ソケット構造を介して、ユニットケース3に、通信ユニット4a、電力量計測ユニット4b及び開閉器ユニット4cなどのユニット4を装着した構成とされ、例えば10年程度の使用期間で各ユニット4が定期的に交換される。
【0030】
ユニットケース3は、例えば鉄板を前面側が開口された容器状に形成してなり、その開口縁に、外向きに突出する鍔13が形成されている。このユニットケース3は、前面側が開放された容器状のボックス本体3aを備えた電子式電力量計ボックスに収容されている(図7参照)。
【0031】
各ユニット4は、幅方向両側の基端部がユニット固定用ねじ14によってユニットケース3に固定され、そのねじ孔の近傍に係止部7が形成されている。
【0032】
支柱5は、断面コ字型の本体ベース15の両側に断面コ字型のスタンド16をヒンジ結合してなる門形に構成されている。支柱5の両スタンド16は、その外面間距離(B)を例えば190mm以下に設定すると共に、固定爪18(後述)の爪部19(後述)からの固定爪操作ノブ21(後述)の高さ(H)を例えば65mm以上に設定することにより、ボックス本体3aに収容可能とされている。
【0033】
本体ベース15の正面側には、ねじ12aによってガイド板12が固定され、このガイド板12に形成された長孔12bに、スタンド16に設けられた突起としてのねじ16aが挿入されている。これにより、ねじ16aを長孔12bの長径方向に移動させながら、両スタンド16を本体ベースとのヒンジ結合部を揺動軸として揺動させることができ、ユニットケース3の幅の大きさに応じて、両スタンド16の先端部の間隔を所定の範囲内で調節可能とされている。
【0034】
図7、図8に示すように、固定手段6は、ユニットケース3の開口縁に接触する支柱5のスタンド16の先端縁16aと、ユニットケース3の開口内側に差し込み可能にスタンド16の先端部内側から突出する差し込み板部17と、ユニットケース3の開口縁の鍔13に係合可能な固定爪18とからなり、これらの三方締めにより、支柱5をユニットケース3に強固に固定するようになっている。
【0035】
固定爪18は、断面コ字型のスタンド16の内部に揺動自在に設けられ、先端の爪部19の近傍に設けられた圧縮ばね20によって、爪部19がユニットケース3の鍔13から離れて係合を解除する方向に付勢されている。
【0036】
固定爪18の基端側は、スタンド16の基端付近に設けられた固定爪操作ノブ21の先端に連結され、固定爪操作ノブ21を回転操作して固定爪18を揺動させることにより、鍔13に対して爪部19が係脱自在とされる。なお、鍔13と爪部19との係合は、スタンド16に形成された窓22から確認できるようになっている。また、固定爪操作ノブ21とスタンド16との間には、皿ばね23が介装され、固定爪操作ノブ21の緩みを防止する。
【0037】
図9に示すように、引抜フック8は、引抜フック支持体24の背面側に揺動自在に設けられ、その先端側のフック部25がユニット4の係止部7に背面側から係止するよう、引抜フック8の基端側が圧縮ばね26によって付勢されている。引抜フック支持体24は、ギヤ機構10によって移動自在とされ、引抜フック支持体24が引抜フック8と共に支柱5の基端側に移動することにより、ユニット4を引き抜くようになっている。
【0038】
フック部25の先端面は傾斜面とされ、着脱装置1を押し込んで装着することにより、一旦、フック部25の先端面がユニット4の係止部7に対してスライドしながら、圧縮ばね26の付勢力に抗して引抜フック8が揺動して、その後、圧縮ばね26の付勢力によって自動的にフック部25が係止するようになっている。
【0039】
押え板9は、支柱5の基端側の本体ベース15に対向する側が開放されたコ字形板とされ、両側の引抜フック支持体24の基端側の面に掛け渡されている。この押え板9は、引抜フック支持体24が支柱5の先端側に移動することにより、ユニット4を押し込むようになっている。
【0040】
図10に示すように、ギヤ機構10は、互いに噛み合う複数のギヤ27a、27b、27c、27d、27eと、引抜フック支持体24の基端側に突設されたねじ28とからなり、両端のギヤ27a、27eにねじ28が螺合されている。
【0041】
ギヤ27a、27b、27c、27d、27eは、支柱5の本体ベース15にボールベアリングなどを介して回転自在に支持されると共に、本体ベース15よりも基端側のギヤボックス29で覆い隠され、ギヤボックス29から基端側に突出する引き押し操作ノブ30を回転操作して中央のギヤ27cを回転させるようになっている。中央のギヤ27cを回転させることにより、両端のギヤ27a、27eが回転し、これに螺合されたねじ28の移動に伴って、両側の引抜フック支持体24が連動して支柱5の中心軸方向に移動するようになっている。
【0042】
ホールド用ばね11は、支柱5の本体ベース15に、ギヤ27b、27dの軸を取り囲むように設けられ、その先端部が押え板9を貫通自在とされている。このホールド用ばね11は、押え板9を貫通した状態で、ユニット4をユニットケース3に押し込む方向に付勢し、引抜フック8のフック部24とでユニット4を挟持するようになっている。
【0043】
ガイド板12は、着脱装置1をセットする際の位置決めとなるよう、ユニット4同士の隙間に挿入可能な厚さの板とされ、支柱5の本体ベース15の正面側にねじ止めされる。このガイド板12は、ユニット4の正面側に位置して、ユニット4の係止部7に背面側から係止した引抜フック8からユニット4が外れるのを阻止すると共に、ユニット4を引き抜くときの引抜力の偏心によってユニット4が倒れるのを阻止する倒れ止めとして機能する。また、ガイド板12には、押え板9を視認するための窓穴12cが形成され、この窓穴12cの側縁部に、支柱5の中心軸方向における押え板9の位置を示して、引抜フック8のセット位置を決めるための目盛ライン12dが設けられている。
【0044】
次に、着脱装置を用いてユニットケースからユニットを取り外す手順を説明する。まず、ユニット4のユニット固定用ねじ14を完全に緩めると共に、着脱装置1の引き押し操作ノブ30を回して、ガイド板12の目盛ライン12dのうちのユニット4を取り外す電子式電力量計2に対応するラインに、押え板9に設けられた指示線を合わせる。
【0045】
次いで、ガイド板12が正面側となるよう着脱装置1を配置し、着脱装置1の中心をユニットケース3の中心に合わせつつ、ガイド板12をユニット4間の隙間に挿入して着脱装置1を位置決めし、ユニットケース3の開口内側とユニット4との隙間に、スタンド16の先端の差し込み板部17を差し込む。これにより、スタンド16の先端縁16aがユニットケース3の開口縁に接触すると共に、引抜フック8のフック部25の先端面がユニット4の係止部7に対してスライドしながら、引抜フック8が揺動して、自動的に係止部7に引抜フック8が係止する。
【0046】
左右の固定爪操作ノブ21を回転操作し、左右の固定爪18を圧縮ばね20の付勢力に抗して揺動させて、その爪部19をユニットケース3の開口縁の鍔13に外側から係合させる。これにより、差し込み板部17、スタンド16の先端縁16a、及び爪部19による三方締めによって、支柱5の両側のスタンド16をユニットケース3に強固に固定する。
【0047】
引き押し操作ノブ30を回して両側の引抜フック8を支柱5の中心軸方向で基端側に移動させ、ガイド板12で、引抜力の偏心によるユニット4の傾きを阻止しつつ、ユニット4を引き抜く。引抜フック8を移動させるのに伴って、引抜フック8と一体に移動する押え板9からホールド用ばね11が突出し、このホールド用ばね11と引抜フック8及びガイド板12によってユニット4が保持される。
【0048】
その後、左右の固定爪操作ノブ21を緩めて、着脱装置1と共にユニット4を取り外し、例えば安定した台の上などで、引抜フック8の基端側を押して揺動させて、係止部7への引抜フック8の係止を解除し、着脱装置1からユニット4を取り外す。
【0049】
次に、着脱装置を用いてユニットケースにユニットを取り付ける手順を説明する。まず、着脱装置1の引き押し操作ノブ30を回して、引抜フック8及び押え板9を支柱5の中心軸方向で基端側に移動させ、押え板9からホールド用ばね11を突出させる。
【0050】
次いで、ガイド板12が正面側となるよう着脱装置1を配置し、ホールド用ばね11を押し返すようにして、ユニット4をガイド板12に沿わせて押し込むことにより、引抜フック8を自動的に揺動させてユニット4の係止部7に係止する。
【0051】
着脱装置1をユニットケース3の所定の位置に配置し、スタンド16の先端の差し込み板部17をユニットケース3の開口内側に差し込んで、スタンド16の先端縁16aをユニットケース3の開口縁に接触させる。さらに、着脱装置1を片手で押し支えたまま、左右の固定爪操作ノブ21を回転操作して左右の固定爪18をユニットケース3の鍔13に係合させることにより、支柱5の両側のスタンド16をユニットケース3に強固に固定する。
【0052】
引き押し操作ノブ30を回転操作して、手応えがあるまで押え板9を支柱5の中心軸方向で先端側に移動させることにより、ユニット4を押え板9でユニットケース3に押し込んで装着する。
【0053】
その後、引き押し操作ノブ30を反対方向に回転させて、固定爪18に作用する反力を軽減させ、左右の固定爪操作ノブ21を回転操作して、固定爪18をユニットケース3の鍔13から外す。左右の引抜フック8の基部を指で押えて、ユニット4の係止部7への引抜フック8の係止を解除し、ユニットケース3及びユニット4から着脱装置1を取り外して、ユニット4の取り付けが完了する。
【0054】
上記構成によれば、引き押し操作ノブ30を回転操作するだけで、ユニット4を引き抜き又は押し込むことができるので、例えば取付高さが約2mの梯子、脚立上での高所作業であっても、さらに、狭い隣家屋との間に設置されて作業間隔が限定される場合であっても、ユニット4を容易に着脱することができる。また、一つの着脱装置1によって、ユニット4の引き抜き及び押し込みを行うことができ、簡単な操作により、短時間でユニット4を交換することができる。
【0055】
また、ユニットケース3を設置することの多いL字型ブラケットは、ユニット4を着脱するのに加える力に対する強度が不十分になりやすいが、ユニットケース3に着脱装置1の支柱5を固定してユニット4を着脱するので、L字型ブラケットを破損させることなく、ユニット4を着脱することができる。
【0056】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、引抜フック8を支柱5の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段としては、ベルトやチェーン、リンク機構など、ギヤ機構10以外にも種々の機構を用いることができる。また、ホールド用ばね11を設けることなく、引抜フック8とガイド板12とでユニット4を保持することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 着脱装置
2 電子式電力量計
3 ユニットケース
3a ボックス本体
4 ユニット
5 支柱
6 固定手段
7 係止部
8 引抜フック
9 押え板
10 ギヤ機構
11 ホールド用ばね
12 ガイド板
12b 長孔
12c 窓穴
12d 目盛ライン
13 鍔
15 本体ベース
16 スタンド
16a ねじ
17 差し込み板部
18 固定爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット構造を有する電子式電力量計のユニットケースにユニットを着脱するための着脱装置であって、
門形の支柱と、該支柱をユニットケースに固定するための固定手段と、前記ユニットの係止部に係止可能な引抜フックと、該引抜フックを前記支柱の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段と、前記ユニットをユニットケースに押し込む押え板とを備え、
前記支柱に、前記ユニットとその厚さ方向に隣接する位置に配置可能なガイド板と、前記ユニットをユニットケースに押し込む方向に付勢するばねとが設けられ、
前記押え板は、引抜フックと一体に設けられたことを特徴とする電子式電力量計用ユニットの着脱装置。
【請求項2】
前記固定手段は、ユニットケースの開口縁に接触する支柱の先端縁と、ユニットケースの開口内側に差し込み可能に支柱の先端部から突出する差し込み板部と、ユニットケースの開口縁から外向きに突出する鍔に係止可能な固定爪とからなることを特徴とする請求項1に記載の電子式電力量計用ユニットの着脱装置。
【請求項3】
前記引抜フックは、支柱に対して揺動自在に設けられると共に、ユニットの係止部に係止する方向に弾性的に付勢され、当該引抜フックに、前記係止部に向けて押し込まれることにより、前記係止部に対してスライドしながら、当該引抜フックを付勢力に抗して揺動させる傾斜面が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子式電力量計用ユニットの着脱装置。
【請求項1】
ソケット構造を有する電子式電力量計のユニットケースにユニットを着脱するための着脱装置であって、
門形の支柱と、該支柱をユニットケースに固定するための固定手段と、前記ユニットの係止部に係止可能な引抜フックと、該引抜フックを前記支柱の中心軸方向に移動させる引抜フック移動手段と、前記ユニットをユニットケースに押し込む押え板とを備え、
前記支柱に、前記ユニットとその厚さ方向に隣接する位置に配置可能なガイド板と、前記ユニットをユニットケースに押し込む方向に付勢するばねとが設けられ、
前記押え板は、引抜フックと一体に設けられたことを特徴とする電子式電力量計用ユニットの着脱装置。
【請求項2】
前記固定手段は、ユニットケースの開口縁に接触する支柱の先端縁と、ユニットケースの開口内側に差し込み可能に支柱の先端部から突出する差し込み板部と、ユニットケースの開口縁から外向きに突出する鍔に係止可能な固定爪とからなることを特徴とする請求項1に記載の電子式電力量計用ユニットの着脱装置。
【請求項3】
前記引抜フックは、支柱に対して揺動自在に設けられると共に、ユニットの係止部に係止する方向に弾性的に付勢され、当該引抜フックに、前記係止部に向けて押し込まれることにより、前記係止部に対してスライドしながら、当該引抜フックを付勢力に抗して揺動させる傾斜面が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子式電力量計用ユニットの着脱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−68028(P2012−68028A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210511(P2010−210511)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(390010744)新幹工業株式会社 (15)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(390010744)新幹工業株式会社 (15)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
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