電子書籍における広告配信方法、広告表示方法及び電子書籍閲覧端末
【課題】閲覧者の書籍の閲覧の妨げになることなく効果的に広告を配信できる広告配信方法、広告表示方法を提供すること。
【解決手段】電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、電子書籍の閲覧時において、広告を表示させるための条件設定を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出するステップと、広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信するステップと、受信した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、を有し、前記対象領域は、少なくとも前記閲覧ページを含むことを特徴とする広告表示方法とする。
【解決手段】電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、電子書籍の閲覧時において、広告を表示させるための条件設定を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出するステップと、広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信するステップと、受信した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、を有し、前記対象領域は、少なくとも前記閲覧ページを含むことを特徴とする広告表示方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ディスプレイを備えたデバイスにおいて電子書籍を閲覧する際に、広告を表示する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のウェブサービスにおける広告表示方法としては、ウェブページ内に広告表示領域を定めておき、広告サーバから要求された広告を表示されるというものが一般的である。ウェブページへの広告表示には、ある固定された広告用の画像や動画を表示するものもあるが、ウェブページの内容を解析し、その内容に合わせた広告を表示させることで、閲覧者の嗜好に合わせた広告を配信することが一般的に行われている。特許文献1では、広告のターゲットとなる情報を特定した上で対象のウェブページの内容を解析し、ウェブページのトピックを抽出し、広告のターゲット情報とウェブページのトピックを比較し、配信する広告を決定する方法が記載されている。
【0003】
一方、近年ディスプレイ上で雑誌や小説等を閲覧する、いわゆる電子書籍が広まりつつある。電子書籍はインターネットを介して配信されることが多く、従来のデスクトップ型パーソナルコンピュータのような据え置き型の端末から、タッチパネル型の携帯端末や、タブレット型情報端末等、さまざまなディスプレイサイズの端末で電子書籍が提供されるようになってきている。
【0004】
このような電子書籍に対して広告の配信を行う場合、次のような問題が生じていた。すなわち、紙媒体の書籍では、紙面サイズが決められており、表示領域が一定であることから、あらかじめ広告の表示位置をレイアウトし、同じ書籍であれば、常に同じ位置に広告が表示されているが、電子書籍の場合、さまざまなディスプレイサイズの端末で広告を表示させる必要があるため、コンテンツに対する広告の位置がずれてしまうというということである。これは、従来のウェブページと比較して、電子書籍ではディスレイに一度に表示できるコンテンツ内容ごとにページが割り振られることから、広告内容をコンテンツに合わせて選択しようとしたときに特に問題となる。
【0005】
また、上述のように端末が多様化し、さまざまなディスプレイサイズの端末で電子書籍が閲覧されるようになってきているが、一般的な電子書籍閲覧端末のディスプレイサイズは、小型であることが多い。このため、表示領域における広告領域の占める割合が必然的に大きくなってしまい、広告の表示が電子書籍の閲覧の妨げになってしまうおそれがあった。この場合、電子書籍の閲覧者が表示された広告に対して誘引よりもかえって不快感を植えつけてしまうことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第04/029758号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような問題点を鑑みて、本発明の課題は、閲覧者の電子書籍の閲覧の妨げになることなく、電子書籍のコンテンツを閲覧しているユーザーに合わせた広告を配信できる広告配信方法及び広告表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために為された第1の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者(ユーザー)の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出するステップと、広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信するステップと、受信した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、を有し、前記対象領域は、少なくとも前記閲覧ページを含むことを特徴とする広告表示方法である。
ここでターゲット情報とは、広告コンテンツを抽出する根拠となるデータであり、典型的にはテキスト情報(キーワード)で示される。
さらに第2の発明は、広告表示方法に係る第1の発明において、広告配信要求が、要求する広告コンテンツの数情報が含まれていることを特徴とするものである。
さらに第3の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、少なくとも前記閲覧ページを含む電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出し、抽出したターゲット情報に基づいて、広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、抽出した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、を含むことを特徴とする広告表示方法である。
さらに第4の発明は、広告表示方法に係る第1〜3の発明において、ターゲット情報が、設定情報に記載された条件に基づいて抽出され、該条件は電子書籍の属性情報に応じて選択されることを特徴とするものである。
さらに第5の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた電子書籍閲覧端末であって、端末利用者の閲覧状態及び端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを少なくとも記録する閲覧履歴記録手段と、端末利用者の閲覧状態が設定条件を満たした場合に広告表示を開始するための広告表示起動手段と、閲覧履歴に記録された、閲覧ページ情報に基づいて電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出する対象領域決定手段と、対象領域からターゲット情報を抽出するための抽出手段と、ターゲット情報に基づいて選択された広告コンテンツを表示するための広告表示手段と、を備えた電子書籍閲覧端末である。
さらに第6の発明は、電子書籍閲覧端末に係る第5の発明において、広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信する送信手段と、受信した広告コンテンツを表示する広告表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
さらに第7の発明は、電子書籍閲覧端末に係る第5の発明において、抽出したターゲット情報に基づいて、所定の広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出手段を備えたことを特徴とするものである。
さらに第8の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた端末に、広告を配信する広告配信方法であって、 端末から電子書籍の特定領域のコンテンツに対応するターゲット情報と、配信する広告コンテンツの件数とを含む広告配信要求を受信するステップと、広告コンテンツのデータベースから、前記ターゲット情報に関連する広告コンテンツを検索し、広告コンテンツの総計が前記配信する広告コンテンツの件数に一致するように抽出するステップと、前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと、を有する広告配信方法である。
さらに第9の発明は、広告配信方法に係る第8の発明において、前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと相前後して、抽出した広告コンテンツの情報を記録するステップと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーの閲覧状態を端末の記憶領域に記憶し、これに基づいて広告表示を行い、さらに閲覧しているページに関する電子書籍のコンテンツに対応した広告コンテンツをユーザーに提供することができるので、ユーザーの閲覧の妨げになることがなく、コンテンツを閲覧しているユーザーに合わせた広告の表示や配信が可能となる。
特に第1の発明によれば、ユーザーが閲覧しているページを含むように対象領域を決めてターゲット情報を抽出し、広告コンテンツがターゲット情報に基づいて抽出した広告コンテンツを表示するので、広告配信サーバの広告コンテンツデータベースの中からユーザーが閲覧しているコンテンツの内容にあった広告コンテンツを表示することが可能である。
さらに第2の発明によれば、広告配信要求に広告コンテンツの数の情報を含んでいるので、送信したターゲット情報の数に拠らず端末に応じた広告数を表示させることができる。
また、第3の発明によれば、ユーザーが閲覧しているページを含むように対象領域を決めてターゲット情報を抽出し、端末において抽出したターゲット情報に基づいて、広告コンテンツを抽出するので、端末がネットワークに接続されていない場合でもユーザーが閲覧しているコンテンツの内容にあった広告コンテンツを表示することが可能である。
さらに、第4の発明によれば、第1〜3の発明においてターゲット情報を電子書籍の属性情報に応じて選択することができるので、よりコンテンツの内容にあった広告コンテンツを表示することが可能になる。
また、第5〜7の発明によれば、上述の広告表示方法に対応する電子書籍閲覧端末を実現することができる。
また、第8の発明によれば、上述の広告表示方法に対応する広告配信方法を実現することができる。
さらに、第9の発明によれば、どのような電子書籍のコンテンツに対してどの広告コンテンツが配信されたかが分かるので電子書籍の属性やコンテンツに合わせて効率的な広告配信をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の広告配信及び広告表示に係るシステムを示す概念図である。
【図2】本発明に係る広告配信システムの端末側の広告表示ステップを示すフロー図である。
【図3】本発明に係る広告配信システムの広告配信サーバ側の広告配信ステップを示すフロー図である。
【図4】本発明に係る広告数(割合)に対するキーワードの重み付けの例を示す表である。
【図5】本発明に係る広告配信サーバに広告属性として格納されている情報の一例である。
【図6】本発明に係る広告表示の様態の一例を示す模式図である。
【図7】本発明に係る広告表示の様態の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係る広告表示の様態の一例を示す模式図である。
【図9】本発明に係る広告表示システムの第二の実施様態を示す概念図である。
【図10】本発明の第二の実施様態に係る広告表示ステップを示すフロー図である。
【図11】本発明に係る広告表示システムの第二の実施様態の別の例を示す概念図である。
【図12】本発明に係る広告表示システムの第二の実施様態の別の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一の実施様態>
図1は、本発明の広告配信及び広告表示に係るシステムを示す概念図である。
端末1は、電子書籍を閲覧するための表示装置3を備えており、単独あるいは別の通信機器を通じて通信を行い、インターネット等のネットワークを介して広告配信サーバ4にアクセスできるようになっている。端末1は、表示装置3に電子書籍のコンテンツを表示するためのコンテンツ表示手段を備えている。表示するコンテンツは、端末の記憶領域に保存された電子書籍データを呼び出し表示しても良いし、ネットワークを介して電子書籍提供サーバから受信しながら閲覧するストリーミング形式でも良い。
【0012】
以下、図1の端末1及び広告配信サーバ4の構成を含め、本発明のシステム全体を広告配信のステップに沿って説明する。図2は、本発明に係る広告配信システムの一様態(第一の実施形態)における端末側の広告表示ステップを示すフロー図であり、図3は同じ広告配信システムの広告配信サーバ側の広告配信ステップを示すフロー図である。
【0013】
まず本発明の第一の実施形態では、電子書籍の閲覧アプリケーションを搭載した端末(以下、端末)は、電子書籍のコンテンツを表示する電子書籍表示手段とともに、ユーザーの閲覧状態等を記録する閲覧履歴記録手段と、閲覧履歴に基づいて広告表示を開始するための広告表示起動手段と、電子書籍のコンテンツ内容に応じて広告コンテンツの内容を決めるために、対象とするコンテンツの範囲を決定する対象領域決定手段と、対象領域から配信する広告コンテンツを決めるためのキーワード情報を抽出する抽出手段とを少なくとも含む。
【0014】
電子書籍表示手段は閲覧履歴記録手段と連動しており、閲覧のアクションに応じて閲覧履歴記録手段に閲覧履歴が記録される。閲覧履歴の例としては、現在表示しているページ(最終閲覧ページ)の情報が記録されている。典型的な様態としては、端末はアプリケーション起動時に記憶領域から最終閲覧ページの情報を読み出す。ユーザーがページを繰るごとに新しい表示ページを最終閲覧ページとして記憶領域のデータを更新する。また、内部作業領域には後述するようにユーザーの閲覧状態を示すデータが記録される。
さらに閲覧履歴には、過去の閲覧した電子書籍の情報や、電子書籍内にユーザーが記したしおり(所定のページを指定)や、マーカー(所定の領域を指定)を記録する。
【0015】
広告表示起動手段は、電子書籍の閲覧時に内部作業領域に記録されるユーザーの電子書籍の閲覧状態を示すデータが、設定された条件に基づいて、条件を満たす場合に図2に示す広告表示ステップを開始する(S11)。広告表示機能の起動条件としては、ユーザーが電子書籍の閲覧状態から離れたことを示す指標によって判断することが好ましい。具体的には、電子書籍のページを繰る間隔を計測しておき、予め設定された所定の期間を超えてページの変更等の操作がなされなかった場合や、ユーザーの平均ページ繰り間隔に対して、一定以上ページの切り替えが行われなかった場合(例えば平均ページ繰り間隔の10倍の時間が経過した場合)に、広告表示起動手段の起動条件を満たすものとする。なおページを繰る間隔は、ユーザーが次ページの表示を要求する動作(例えばクリックやタップ、スライド等)を行った際に時間を記録していくことで計測することができる。ユーザーが電子書籍を閲覧しているか否かを判断できる手段を備えていれば、特に制限はない。例えばユーザーの顔認識が可能なデジタルカメラ、端末の傾きを検知可能な加速度センサ・ジャイロセンサなどを用いて判断しても良い。あるいは、ユーザーが閲覧中断状態であることをポーズボタン等のスイッチで切り替えて示すことにより、広告表示ステップを開始するようにしても良い。これらの起動条件は、任意に組み合わせて用いることができる。
【0016】
広告表示起動手段によって広告表示ステップが開始されると、端末は電子書籍のコンテンツに連動した広告を表示させるために、キーワード抽出の対象となるコンテンツの領域を決定する(S12)。対象領域の決定は、予め端末に記録された設定情報と、閲覧履歴記録手段によってユーザーの電子書籍閲覧に応じて記録された閲覧履歴によって決定される。設定情報は、閲覧アプリケーション起動時に、設定ファイルを読み込むようにすればよい。また、閲覧アプリケーション起動時に電子書籍の属性情報を読み取り、電子書籍の種類に応じて設定ファイルを選択するようにすることも可能である。電子書籍の属性情報は、マークアップ言語で記載された電子書籍フォーマットの場合、例えば<meta name="keywords" content="キーワード1,キーワード2,キーワード3…"/>のような形式で記述することができる。電子書籍の属性情報には、例えば雑誌、小説、ノンフィクション等の大まかな分類から、男性向け週刊誌、ファッション月刊誌等の細かい分類、またコンテンツの方向として、ビジネス、趣味、教養等の大まかな分類から、釣り、数学等の細かい分類を含めることができる。
【0017】
対象領域決定手段は、どの範囲を対象とするかを設定した設定情報を元に、閲覧履歴を参照して具体的な対象領域を決定する。例えば、設定情報には、表示しているページ、しおりのページ及びマーカーの領域を対象領域とするという設定になっている場合には、閲覧履歴に記録されているデータから該当する情報を抽出し、対象領域とする。設定情報は、最終閲覧ページから直近の数ページを対象領域(最終閲覧領域)とするように設定しても良いし、さらにしおりやマーカーについて、その内容が最終閲覧ページと関連している場合(例えば同一の章に属する場合や、メタデータ等で類似の意味づけが為されている場合)にのみ対象領域に含めるように設定しても良い。さらには、閲覧履歴として過去に閲覧した別の電子書籍の情報が含まれている場合、当該電子書籍のしおりやマーカーの領域を対象領域に含めるようにしても良い。また、コンテンツが構造化されており、章分けされている場合には、対象領域を、最終閲覧ページを含む章内、としても良い。
【0018】
次に、決定された対象領域を範囲として、キーワードの抽出を行う(S13)。このキーワードは、閲覧しているコンテンツに関連した広告を配信するために用いるものである。キーワードの抽出方法の例としては以下のものが挙げられる。しかしキーワードの抽出には、先行文献に掲げた特許文献1のようにウェブページにおける広告配信において用いられる種々の方法を採用することができ、以下の例に限られるものではない。
【0019】
(頻出単語の抽出)
電子書籍のコンテンツのテキスト中で繰り返し使用される単語は重要度が高いと考えられるので、出現頻度で順位付けし、上位の単語をキーワードとする。また、単なる出現頻度に加えて、一般的には出現頻度の低い単語に重み付けして順位付けすることにより、抽出の精度を高めることができる。
(属性情報の利用)
電子書籍のフォーマットによっては、メタデータとして、キーワードをコンテンツ内に埋め込んでおくことができる。このメタデータは例えば属性情報を示すタグの形で章ごと、ページごと、あるいは記事ごと等の領域属性情報として埋め込んでおけば、対象領域に存在するタグを読み込むことで記載されたキーワードを抽出することができる。また書籍全体の属性情報(書籍属性情報)を示すキーワードを加えても良い。
(見出し語の抽出)
特に雑誌や論文等ではコンテンツが構造化され、見出しが付けられていることが多いので、見出しに用いられている単語の中からキーワードを抽出する。また電子書籍では見出しに対してキーワードの抽出を容易にするために、属性情報を持たせることが考えられる。以下の説明では頻出単語と属性情報によるキーワード抽出を例として説明するが、本発明は属性情報を見出し語に読み替えてキーワード抽出する実施形態も含むものである。
【0020】
各キーワード抽出方法は、任意に組み合わせて用いても良い。電子書籍の属性情報を基づいて、電子書籍の種類ごとにキーワード抽出方法を変更しても良い。さらには、キーワード抽出方法を組み合わせての用いる場合、書籍属性情報、領域属性情報、頻出単語のそれぞれから抽出した単語から、予め設定された割合に基づいてキーワード数を定めることができる。つまり、設定情報中に各キーワードの抽出方法ごとに抽出するキーワードの比重を記録しておき、各キーワード抽出方法から抽出されたキーワードの割合が、その設定された割合に従うようにする。このようにすれば、書籍属性情報に基づいて、電子書籍の種類に応じた設定ファイル(設定情報)を選択することで、電子書籍のコンテンツの種類に合わせた広告の提供が容易になる。
【0021】
例えば、小説では見出しがほとんどなく、ユーザーが直前に読んでいたコンテンツ部分のイメージが重要となってくるため、例えば最終閲覧ページを含む対象領域の頻出単語の抽出によるキーワード抽出の割合を70%、書籍の属性情報によるキーワード抽出の割合を30%、領域属性情報によるキーワード抽出の割合を0%とする。また週刊誌の場合には、記事ごとにコンテンツが異なるため、記事の属性が重要となってくる。従って例えば対象領域の頻出単語の抽出によるキーワード抽出の割合を30%、書籍の属性情報によるキーワード抽出の割合を40%、領域属性情報によるキーワード抽出の割合を30%とする。
【0022】
さらに別の例として、端末側ではキーワード抽出の重み付けを行わず、広告配信側で設定情報に基づいて、キーワードごとに件数の重み付けを行っても良い。
【0023】
上記キーワードの抽出は、広告表示起動手段によって広告表示ステップが開始された場合に行っても良いし、電子書籍の閲覧とともに電子書籍内の全キーワードを抽出して記憶領域に格納しておき、対象領域が決定された際に、その範囲内にあるキーワードのみを二次抽出するようにして広告配信サーバに送信するようにしても良い。また、これらを組み合わせて用いても良い。例えば、しおりやマーカー部分のキーワードについてはユーザーが設定した際にキーワードを抽出しておき、最終閲覧領域については広告表示起動手段によって広告表示ステップが開始されてから行うようにしても良い。
【0024】
また、予め電子書籍のコンテンツ中のキーワードを抽出しておき、コンピュータが認識するための識別子を埋め込んでおけば、対象領域中に含まれる識別された文字列を収集するだけでよいので、キーワードの抽出が容易となる。例えば、マークアップ言語で記載されたコンテンツの場合、文章中にキーワードAが予め識別されているとすると、キーワード用タグの要素名をkeywordとして、・・・<Keyword>キーワードA</Keyword>・・・のように記述できる。キーワード抽出処理による演算負荷を軽減することができる。
【0025】
次に、抽出したキーワードを含む広告配信要求を広告配信サーバに送信する(S14)。送信するデータは、少なくとも抽出したキーワード含めば特に制限はないが、要求する広告コンテンツの件数を指定することが好ましい。要求する広告コンテンツの件数は予め設定情報で設定しておくことができる。あるいは、広告コンテンツの件数を送信する代わりに、端末情報(表示装置の解像度、ディスプレイサイズ等)を送信することにより、表示領域の大きさに合わせて広告配信サーバ側で広告コンテンツの件数を決定するようにしても良い。また、閲覧中の電子書籍の書誌情報等の属性情報を合わせて送信しても良い。
【0026】
また、キーワードあるいはキーワードのグループごとに、抽出する広告コンテンツの割合又は件数を紐付けたデータを、広告配信要求として広告配信サーバに送信してもよい。このようにすれば、端末の設定情報に基づいて、広告配信側でキーワードごとに件数の重み付けを行うこともできる。例えば図4の実施形態では、広告配信要求時に送信されるデータにおいて、キーワードを頻出単語、書籍の属性情報、領域属性情報等の抽出元ごとに重み付けし、さらに対象領域の区分(最終閲覧領域、しおり、マーカー)ごとに重み付けすることで、各キーワードの広告数の割合を算出している。このようなキーワードと広告数の割合のテーブル情報を広告配信サーバに送信する。特に前述のように端末側でキーワード抽出の重み付けを行わない場合、広告サーバ側の処理で広告コンテンツの件数を調整できるため、端末側の処理負荷を軽減することができる。
【0027】
広告配信サーバ4が広告要求を受信すると(S21)、送付されたキーワードに基づいて端末1に送信する広告コンテンツの抽出を行う(S23)。広告配信サーバの広告検索手段は、広告コンテンツのデータベースから、キーワードに関連する広告コンテンツを抽出する。広告コンテンツ抽出方法の一例としては、図5のように広告属性データベースに各広告コンテンツを示す広告IDについてキーワードと紐付けたテーブルが記録されており、各広告について優先度が定められている。キーワードが複数の広告コンテンツに結び付けられていても良い。優先度は、検索によって提示された広告コンテンツの数が要求されている広告コンテンツ数よりも多い場合に、広告コンテンツを優先度が高いものから抽出するためのものである。各広告コンテンツに紐付けられた複数のキーワードのそれぞれに対して優先度を設けるようにしても良い。
【0028】
キーワードに対する広告コンテンツの抽出の一実施形態としては、あるキーワードに対して抽出する件数を定め、そのキーワードの優先度が高い広告コンテンツあるいはキーワードに関連性が高い広告コンテンツから順に定められた件数分、抽出するようにすればよい。例えば端末から送信されるキーワード数が要求されている広告コンテンツの数と等しい場合には、一キーワードに対して一広告コンテンツを抽出する。また前述のように、広告配信サーバが、抽出する広告コンテンツの割合又は件数を紐付けたデータを、広告配信要求として受け取った場合、キーワードごとにその件数(割合の場合は配信予定の総広告コンテンツ数を乗じたもの)分だけ抽出すればよい。
【0029】
さらにキーワードに対して検索により抽出された広告コンテンツの数が、配信予定の広告コンテンツの数よりも少ない場合、キーワードのシソーラスを利用し、単語の上位/下位関係、部分/全体関係、同義関係、類義関係などからキーワードに関連する用語まで検索範囲を広げて要求された広告コンテンツ数を満たすようしてもよい。
【0030】
広告配信サーバ4は抽出した広告コンテンツを送信し、広告配信ステップを完了する(S24)。広告配信サーバが送信するデータは、広告コンテンツ以外に、広告コンテンツに紐付いたキーワード、優先度等の情報を含めても良い。
【0031】
広告配信の料金モデルが、広告コンテンツが表示された回数に応じて定められる場合には、広告コンテンツの抽出後、広告コンテンツの送信と相前後して、端末に送信する/送信された広告コンテンツを広告履歴データベースに記録しても良い。さらに、広告履歴は広告配信の対象となる電子雑誌の属性や、検索もとのキーワードに紐付けて記録しておいても良い。後述するように、配信され、端末上に表示された広告コンテンツに対して、ユーザーがクリック等のアクションを行った際にも広告コンテンツに電子雑誌の属性や検索元のキーワードを紐付けて広告配信サーバの広告履歴データベースに記録しておけば、配信された広告の中で興味をもたれた広告が分かることから、端末側の設定情報や、キーワードに対する広告コンテンツの検索対象を結果に反映して調整し、電子書籍の属性やコンテンツに合わせて効率的な広告配信をすることができる。
【0032】
端末1は、広告配信サーバ4から送信された広告コンテンツを受信する(S15)。広告表示手段は、表示装置3に広告コンテンツを出力・表示する(S16)。図6〜8は本発明に係る広告表示の様態の例を示す模式図である。図6の例では、電子書籍の閲覧画面から、広告画面を切り替えて表示している。図7の例では、電子書籍の閲覧画面上に、上層のレイヤーとして、広告画面を表示している。図8は、特に閲覧ページ内のキーワードを元に広告コンテンツが配信されている場合に、キーワードの抽出元の文字と、広告コンテンツを視覚的に結びつけた様態で広告を表示した例である。しかし本発明に用いることができる広告表示方法は図6〜8に示した例に限られるものではない。
【0033】
各広告コンテンツの広告表示領域(図6〜8の例では広告のテキストが枠線で囲まれた領域)に対して、ユーザーがタッチパネルの接触やマウスの操作等を行った場合に、広告コンテンツの詳細情報の表示や、広告コンテンツの変化、ウェブサイトへの移行等のアクションを行うようにしても良い。このとき、前述のように広告コンテンツを示す広告IDに電子雑誌の属性や検索元のキーワードを紐付けたデータを、広告配信サーバに送信し、広告履歴データベースに記録することにより、ユーザーが興味を持った広告を記録するようにしても良い。
【0034】
広告の表示は、ユーザーの広告表示停止を示唆する操作によって終了する。例えば、スイッチの操作、広告表示領域以外の領域でのタッチパネルの接触やマウスの操作等である。広告表示が終了すると、電子書籍の最終閲覧ページが表示され、閲覧が再開できる。
【0035】
本発明を適用することができる電子書籍は、コンテンツ内容の少なくとも一部がテキストとして読取可能であればフォーマットや種類に制限はない。これは文章がテキストとして埋め込まれている場合だけではなく、画像や動画にその内容を表す属性情報としてテキストが埋め込まれているものも含まれる。従って、雑誌、写真集、絵本、小説等、コンテンツ内容にも制限はない。
【0036】
<第二の実施様態>
図9は、本発明の広告表示に係るシステムの別の実施様態(第二の実施様態)を示す概念図である。第一の実施様態と同じ機能を有する項目には同一の名称を付している。以下の説明では、第一の実施様態と異なる動作について述べ、それ以外の項目については、第一の実施様態に記載された事項を採用できることが自明であるので、重複する説明は省略する。
【0037】
第二の実施様態では、電子書籍を閲覧するための端末1が、ネットワークに接続されていない場合の広告を表示する方法を実現する端末を示している。第二の実施様態では、抽出されたキーワードに応じた広告を配信するための広告検索手段を端末に備えている点で第一の実施様態と異なる。
【0038】
図9の構成では、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースが端末内に格納されており、端末内に格納された広告コンテンツの中から広告表示のための抽出を行う。広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースは、例えば端末に電子書籍をダウンロードする際に、同時にダウンロードする。図9の様態における広告表示の各ステップは、図10に示したように、端末−広告配信サーバ間の送受信のステップがないこと以外は第一の実施様態と同様の構成を採ることができるため、説明は省略する。
【0039】
図11は第二の実施様態の応用例であり、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースは電子書籍のコンテンツとともにパッケージ化されており、端末の広告検索手段が電子書籍パッケージ5中の広告コンテンツを抽出するという点で図9の構成と異なるが、広告表示のステップは変わらない。この場合、予め電子書籍コンテンツ中のキーワードを抽出し、キーワードに広告コンテンツを紐付ける識別子を埋め込んでおいても良い。端末でのキーワード抽出処理における演算負荷を軽減することができる。例えばXML形式のコンテンツの場合、文章中にキーワードBが予め識別され、広告IDが10001の広告コンテンツに紐付ける場合、キーワード用タグの要素名をkeyword、広告IDの属性名をad_idとすると、・・・<Keyword ad_id="10001">キーワードB</Keyword>・・・のように記述することができる。キーワードを抽出するコンテンツ中の対象領域が決定された後、その範囲内で識別子により紐付けられた広告コンテンツを抽出し、広告を表示させることができるので、図10で示されている広告表示のステップS33とS34を同時に処理することができる。
【0040】
図12は第二の実施様態の別の応用例であり、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースが電子書籍のコンテンツとともにパッケージ化された電子書籍パッケージ5から、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースの内容を端末1の記憶領域に記憶し、広告検索手段は端末内に記憶された広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースにより広告コンテンツを抽出している。このようにすることにより、端末がネットワークに接続可能な時に端末内の広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースを更新したり、新たな電子書籍を読み込んだ際に広告コンテンツを追加・更新し、共有したりすることができる。
【0041】
上記で示した第二の実施様態は、第一の実施様態と組み合わせて採用することが可能である。すなわち、広告表示起動手段によって、広告表示のステップが開始された際に、端末がネットワークに接続することが許可されており、接続可能な確認し、接続が可能な場合には第一の実施様態で説明したように広告配信サーバ4に広告配信要求を行い、配信された広告コンテンツを表示し、ネットワークへの接続ができない場合には、第二の実施様態に従って、電子書籍パッケージ内又は端末内に格納された広告コンテンツを表示する。
【0042】
以上のように、本発明によれば、ユーザーの閲覧状態を端末の記憶領域に記憶し、これに基づいて広告表示を行い、さらに閲覧しているページに関する電子書籍のコンテンツに対応した広告コンテンツをユーザーに提供することができるので、ユーザーの閲覧の妨げになることがなく、コンテンツを閲覧しているユーザーに合わせた広告の表示や配信が可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・電子書籍閲覧端末
3・・・表示装置
4・・・広告配信サーバ
5・・・電子書籍パッケージ
【技術分野】
【0001】
ディスプレイを備えたデバイスにおいて電子書籍を閲覧する際に、広告を表示する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のウェブサービスにおける広告表示方法としては、ウェブページ内に広告表示領域を定めておき、広告サーバから要求された広告を表示されるというものが一般的である。ウェブページへの広告表示には、ある固定された広告用の画像や動画を表示するものもあるが、ウェブページの内容を解析し、その内容に合わせた広告を表示させることで、閲覧者の嗜好に合わせた広告を配信することが一般的に行われている。特許文献1では、広告のターゲットとなる情報を特定した上で対象のウェブページの内容を解析し、ウェブページのトピックを抽出し、広告のターゲット情報とウェブページのトピックを比較し、配信する広告を決定する方法が記載されている。
【0003】
一方、近年ディスプレイ上で雑誌や小説等を閲覧する、いわゆる電子書籍が広まりつつある。電子書籍はインターネットを介して配信されることが多く、従来のデスクトップ型パーソナルコンピュータのような据え置き型の端末から、タッチパネル型の携帯端末や、タブレット型情報端末等、さまざまなディスプレイサイズの端末で電子書籍が提供されるようになってきている。
【0004】
このような電子書籍に対して広告の配信を行う場合、次のような問題が生じていた。すなわち、紙媒体の書籍では、紙面サイズが決められており、表示領域が一定であることから、あらかじめ広告の表示位置をレイアウトし、同じ書籍であれば、常に同じ位置に広告が表示されているが、電子書籍の場合、さまざまなディスプレイサイズの端末で広告を表示させる必要があるため、コンテンツに対する広告の位置がずれてしまうというということである。これは、従来のウェブページと比較して、電子書籍ではディスレイに一度に表示できるコンテンツ内容ごとにページが割り振られることから、広告内容をコンテンツに合わせて選択しようとしたときに特に問題となる。
【0005】
また、上述のように端末が多様化し、さまざまなディスプレイサイズの端末で電子書籍が閲覧されるようになってきているが、一般的な電子書籍閲覧端末のディスプレイサイズは、小型であることが多い。このため、表示領域における広告領域の占める割合が必然的に大きくなってしまい、広告の表示が電子書籍の閲覧の妨げになってしまうおそれがあった。この場合、電子書籍の閲覧者が表示された広告に対して誘引よりもかえって不快感を植えつけてしまうことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第04/029758号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような問題点を鑑みて、本発明の課題は、閲覧者の電子書籍の閲覧の妨げになることなく、電子書籍のコンテンツを閲覧しているユーザーに合わせた広告を配信できる広告配信方法及び広告表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために為された第1の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者(ユーザー)の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出するステップと、広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信するステップと、受信した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、を有し、前記対象領域は、少なくとも前記閲覧ページを含むことを特徴とする広告表示方法である。
ここでターゲット情報とは、広告コンテンツを抽出する根拠となるデータであり、典型的にはテキスト情報(キーワード)で示される。
さらに第2の発明は、広告表示方法に係る第1の発明において、広告配信要求が、要求する広告コンテンツの数情報が含まれていることを特徴とするものである。
さらに第3の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、少なくとも前記閲覧ページを含む電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出し、抽出したターゲット情報に基づいて、広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、抽出した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、を含むことを特徴とする広告表示方法である。
さらに第4の発明は、広告表示方法に係る第1〜3の発明において、ターゲット情報が、設定情報に記載された条件に基づいて抽出され、該条件は電子書籍の属性情報に応じて選択されることを特徴とするものである。
さらに第5の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた電子書籍閲覧端末であって、端末利用者の閲覧状態及び端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを少なくとも記録する閲覧履歴記録手段と、端末利用者の閲覧状態が設定条件を満たした場合に広告表示を開始するための広告表示起動手段と、閲覧履歴に記録された、閲覧ページ情報に基づいて電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出する対象領域決定手段と、対象領域からターゲット情報を抽出するための抽出手段と、ターゲット情報に基づいて選択された広告コンテンツを表示するための広告表示手段と、を備えた電子書籍閲覧端末である。
さらに第6の発明は、電子書籍閲覧端末に係る第5の発明において、広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信する送信手段と、受信した広告コンテンツを表示する広告表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
さらに第7の発明は、電子書籍閲覧端末に係る第5の発明において、抽出したターゲット情報に基づいて、所定の広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出手段を備えたことを特徴とするものである。
さらに第8の発明は、電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた端末に、広告を配信する広告配信方法であって、 端末から電子書籍の特定領域のコンテンツに対応するターゲット情報と、配信する広告コンテンツの件数とを含む広告配信要求を受信するステップと、広告コンテンツのデータベースから、前記ターゲット情報に関連する広告コンテンツを検索し、広告コンテンツの総計が前記配信する広告コンテンツの件数に一致するように抽出するステップと、前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと、を有する広告配信方法である。
さらに第9の発明は、広告配信方法に係る第8の発明において、前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと相前後して、抽出した広告コンテンツの情報を記録するステップと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーの閲覧状態を端末の記憶領域に記憶し、これに基づいて広告表示を行い、さらに閲覧しているページに関する電子書籍のコンテンツに対応した広告コンテンツをユーザーに提供することができるので、ユーザーの閲覧の妨げになることがなく、コンテンツを閲覧しているユーザーに合わせた広告の表示や配信が可能となる。
特に第1の発明によれば、ユーザーが閲覧しているページを含むように対象領域を決めてターゲット情報を抽出し、広告コンテンツがターゲット情報に基づいて抽出した広告コンテンツを表示するので、広告配信サーバの広告コンテンツデータベースの中からユーザーが閲覧しているコンテンツの内容にあった広告コンテンツを表示することが可能である。
さらに第2の発明によれば、広告配信要求に広告コンテンツの数の情報を含んでいるので、送信したターゲット情報の数に拠らず端末に応じた広告数を表示させることができる。
また、第3の発明によれば、ユーザーが閲覧しているページを含むように対象領域を決めてターゲット情報を抽出し、端末において抽出したターゲット情報に基づいて、広告コンテンツを抽出するので、端末がネットワークに接続されていない場合でもユーザーが閲覧しているコンテンツの内容にあった広告コンテンツを表示することが可能である。
さらに、第4の発明によれば、第1〜3の発明においてターゲット情報を電子書籍の属性情報に応じて選択することができるので、よりコンテンツの内容にあった広告コンテンツを表示することが可能になる。
また、第5〜7の発明によれば、上述の広告表示方法に対応する電子書籍閲覧端末を実現することができる。
また、第8の発明によれば、上述の広告表示方法に対応する広告配信方法を実現することができる。
さらに、第9の発明によれば、どのような電子書籍のコンテンツに対してどの広告コンテンツが配信されたかが分かるので電子書籍の属性やコンテンツに合わせて効率的な広告配信をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の広告配信及び広告表示に係るシステムを示す概念図である。
【図2】本発明に係る広告配信システムの端末側の広告表示ステップを示すフロー図である。
【図3】本発明に係る広告配信システムの広告配信サーバ側の広告配信ステップを示すフロー図である。
【図4】本発明に係る広告数(割合)に対するキーワードの重み付けの例を示す表である。
【図5】本発明に係る広告配信サーバに広告属性として格納されている情報の一例である。
【図6】本発明に係る広告表示の様態の一例を示す模式図である。
【図7】本発明に係る広告表示の様態の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係る広告表示の様態の一例を示す模式図である。
【図9】本発明に係る広告表示システムの第二の実施様態を示す概念図である。
【図10】本発明の第二の実施様態に係る広告表示ステップを示すフロー図である。
【図11】本発明に係る広告表示システムの第二の実施様態の別の例を示す概念図である。
【図12】本発明に係る広告表示システムの第二の実施様態の別の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一の実施様態>
図1は、本発明の広告配信及び広告表示に係るシステムを示す概念図である。
端末1は、電子書籍を閲覧するための表示装置3を備えており、単独あるいは別の通信機器を通じて通信を行い、インターネット等のネットワークを介して広告配信サーバ4にアクセスできるようになっている。端末1は、表示装置3に電子書籍のコンテンツを表示するためのコンテンツ表示手段を備えている。表示するコンテンツは、端末の記憶領域に保存された電子書籍データを呼び出し表示しても良いし、ネットワークを介して電子書籍提供サーバから受信しながら閲覧するストリーミング形式でも良い。
【0012】
以下、図1の端末1及び広告配信サーバ4の構成を含め、本発明のシステム全体を広告配信のステップに沿って説明する。図2は、本発明に係る広告配信システムの一様態(第一の実施形態)における端末側の広告表示ステップを示すフロー図であり、図3は同じ広告配信システムの広告配信サーバ側の広告配信ステップを示すフロー図である。
【0013】
まず本発明の第一の実施形態では、電子書籍の閲覧アプリケーションを搭載した端末(以下、端末)は、電子書籍のコンテンツを表示する電子書籍表示手段とともに、ユーザーの閲覧状態等を記録する閲覧履歴記録手段と、閲覧履歴に基づいて広告表示を開始するための広告表示起動手段と、電子書籍のコンテンツ内容に応じて広告コンテンツの内容を決めるために、対象とするコンテンツの範囲を決定する対象領域決定手段と、対象領域から配信する広告コンテンツを決めるためのキーワード情報を抽出する抽出手段とを少なくとも含む。
【0014】
電子書籍表示手段は閲覧履歴記録手段と連動しており、閲覧のアクションに応じて閲覧履歴記録手段に閲覧履歴が記録される。閲覧履歴の例としては、現在表示しているページ(最終閲覧ページ)の情報が記録されている。典型的な様態としては、端末はアプリケーション起動時に記憶領域から最終閲覧ページの情報を読み出す。ユーザーがページを繰るごとに新しい表示ページを最終閲覧ページとして記憶領域のデータを更新する。また、内部作業領域には後述するようにユーザーの閲覧状態を示すデータが記録される。
さらに閲覧履歴には、過去の閲覧した電子書籍の情報や、電子書籍内にユーザーが記したしおり(所定のページを指定)や、マーカー(所定の領域を指定)を記録する。
【0015】
広告表示起動手段は、電子書籍の閲覧時に内部作業領域に記録されるユーザーの電子書籍の閲覧状態を示すデータが、設定された条件に基づいて、条件を満たす場合に図2に示す広告表示ステップを開始する(S11)。広告表示機能の起動条件としては、ユーザーが電子書籍の閲覧状態から離れたことを示す指標によって判断することが好ましい。具体的には、電子書籍のページを繰る間隔を計測しておき、予め設定された所定の期間を超えてページの変更等の操作がなされなかった場合や、ユーザーの平均ページ繰り間隔に対して、一定以上ページの切り替えが行われなかった場合(例えば平均ページ繰り間隔の10倍の時間が経過した場合)に、広告表示起動手段の起動条件を満たすものとする。なおページを繰る間隔は、ユーザーが次ページの表示を要求する動作(例えばクリックやタップ、スライド等)を行った際に時間を記録していくことで計測することができる。ユーザーが電子書籍を閲覧しているか否かを判断できる手段を備えていれば、特に制限はない。例えばユーザーの顔認識が可能なデジタルカメラ、端末の傾きを検知可能な加速度センサ・ジャイロセンサなどを用いて判断しても良い。あるいは、ユーザーが閲覧中断状態であることをポーズボタン等のスイッチで切り替えて示すことにより、広告表示ステップを開始するようにしても良い。これらの起動条件は、任意に組み合わせて用いることができる。
【0016】
広告表示起動手段によって広告表示ステップが開始されると、端末は電子書籍のコンテンツに連動した広告を表示させるために、キーワード抽出の対象となるコンテンツの領域を決定する(S12)。対象領域の決定は、予め端末に記録された設定情報と、閲覧履歴記録手段によってユーザーの電子書籍閲覧に応じて記録された閲覧履歴によって決定される。設定情報は、閲覧アプリケーション起動時に、設定ファイルを読み込むようにすればよい。また、閲覧アプリケーション起動時に電子書籍の属性情報を読み取り、電子書籍の種類に応じて設定ファイルを選択するようにすることも可能である。電子書籍の属性情報は、マークアップ言語で記載された電子書籍フォーマットの場合、例えば<meta name="keywords" content="キーワード1,キーワード2,キーワード3…"/>のような形式で記述することができる。電子書籍の属性情報には、例えば雑誌、小説、ノンフィクション等の大まかな分類から、男性向け週刊誌、ファッション月刊誌等の細かい分類、またコンテンツの方向として、ビジネス、趣味、教養等の大まかな分類から、釣り、数学等の細かい分類を含めることができる。
【0017】
対象領域決定手段は、どの範囲を対象とするかを設定した設定情報を元に、閲覧履歴を参照して具体的な対象領域を決定する。例えば、設定情報には、表示しているページ、しおりのページ及びマーカーの領域を対象領域とするという設定になっている場合には、閲覧履歴に記録されているデータから該当する情報を抽出し、対象領域とする。設定情報は、最終閲覧ページから直近の数ページを対象領域(最終閲覧領域)とするように設定しても良いし、さらにしおりやマーカーについて、その内容が最終閲覧ページと関連している場合(例えば同一の章に属する場合や、メタデータ等で類似の意味づけが為されている場合)にのみ対象領域に含めるように設定しても良い。さらには、閲覧履歴として過去に閲覧した別の電子書籍の情報が含まれている場合、当該電子書籍のしおりやマーカーの領域を対象領域に含めるようにしても良い。また、コンテンツが構造化されており、章分けされている場合には、対象領域を、最終閲覧ページを含む章内、としても良い。
【0018】
次に、決定された対象領域を範囲として、キーワードの抽出を行う(S13)。このキーワードは、閲覧しているコンテンツに関連した広告を配信するために用いるものである。キーワードの抽出方法の例としては以下のものが挙げられる。しかしキーワードの抽出には、先行文献に掲げた特許文献1のようにウェブページにおける広告配信において用いられる種々の方法を採用することができ、以下の例に限られるものではない。
【0019】
(頻出単語の抽出)
電子書籍のコンテンツのテキスト中で繰り返し使用される単語は重要度が高いと考えられるので、出現頻度で順位付けし、上位の単語をキーワードとする。また、単なる出現頻度に加えて、一般的には出現頻度の低い単語に重み付けして順位付けすることにより、抽出の精度を高めることができる。
(属性情報の利用)
電子書籍のフォーマットによっては、メタデータとして、キーワードをコンテンツ内に埋め込んでおくことができる。このメタデータは例えば属性情報を示すタグの形で章ごと、ページごと、あるいは記事ごと等の領域属性情報として埋め込んでおけば、対象領域に存在するタグを読み込むことで記載されたキーワードを抽出することができる。また書籍全体の属性情報(書籍属性情報)を示すキーワードを加えても良い。
(見出し語の抽出)
特に雑誌や論文等ではコンテンツが構造化され、見出しが付けられていることが多いので、見出しに用いられている単語の中からキーワードを抽出する。また電子書籍では見出しに対してキーワードの抽出を容易にするために、属性情報を持たせることが考えられる。以下の説明では頻出単語と属性情報によるキーワード抽出を例として説明するが、本発明は属性情報を見出し語に読み替えてキーワード抽出する実施形態も含むものである。
【0020】
各キーワード抽出方法は、任意に組み合わせて用いても良い。電子書籍の属性情報を基づいて、電子書籍の種類ごとにキーワード抽出方法を変更しても良い。さらには、キーワード抽出方法を組み合わせての用いる場合、書籍属性情報、領域属性情報、頻出単語のそれぞれから抽出した単語から、予め設定された割合に基づいてキーワード数を定めることができる。つまり、設定情報中に各キーワードの抽出方法ごとに抽出するキーワードの比重を記録しておき、各キーワード抽出方法から抽出されたキーワードの割合が、その設定された割合に従うようにする。このようにすれば、書籍属性情報に基づいて、電子書籍の種類に応じた設定ファイル(設定情報)を選択することで、電子書籍のコンテンツの種類に合わせた広告の提供が容易になる。
【0021】
例えば、小説では見出しがほとんどなく、ユーザーが直前に読んでいたコンテンツ部分のイメージが重要となってくるため、例えば最終閲覧ページを含む対象領域の頻出単語の抽出によるキーワード抽出の割合を70%、書籍の属性情報によるキーワード抽出の割合を30%、領域属性情報によるキーワード抽出の割合を0%とする。また週刊誌の場合には、記事ごとにコンテンツが異なるため、記事の属性が重要となってくる。従って例えば対象領域の頻出単語の抽出によるキーワード抽出の割合を30%、書籍の属性情報によるキーワード抽出の割合を40%、領域属性情報によるキーワード抽出の割合を30%とする。
【0022】
さらに別の例として、端末側ではキーワード抽出の重み付けを行わず、広告配信側で設定情報に基づいて、キーワードごとに件数の重み付けを行っても良い。
【0023】
上記キーワードの抽出は、広告表示起動手段によって広告表示ステップが開始された場合に行っても良いし、電子書籍の閲覧とともに電子書籍内の全キーワードを抽出して記憶領域に格納しておき、対象領域が決定された際に、その範囲内にあるキーワードのみを二次抽出するようにして広告配信サーバに送信するようにしても良い。また、これらを組み合わせて用いても良い。例えば、しおりやマーカー部分のキーワードについてはユーザーが設定した際にキーワードを抽出しておき、最終閲覧領域については広告表示起動手段によって広告表示ステップが開始されてから行うようにしても良い。
【0024】
また、予め電子書籍のコンテンツ中のキーワードを抽出しておき、コンピュータが認識するための識別子を埋め込んでおけば、対象領域中に含まれる識別された文字列を収集するだけでよいので、キーワードの抽出が容易となる。例えば、マークアップ言語で記載されたコンテンツの場合、文章中にキーワードAが予め識別されているとすると、キーワード用タグの要素名をkeywordとして、・・・<Keyword>キーワードA</Keyword>・・・のように記述できる。キーワード抽出処理による演算負荷を軽減することができる。
【0025】
次に、抽出したキーワードを含む広告配信要求を広告配信サーバに送信する(S14)。送信するデータは、少なくとも抽出したキーワード含めば特に制限はないが、要求する広告コンテンツの件数を指定することが好ましい。要求する広告コンテンツの件数は予め設定情報で設定しておくことができる。あるいは、広告コンテンツの件数を送信する代わりに、端末情報(表示装置の解像度、ディスプレイサイズ等)を送信することにより、表示領域の大きさに合わせて広告配信サーバ側で広告コンテンツの件数を決定するようにしても良い。また、閲覧中の電子書籍の書誌情報等の属性情報を合わせて送信しても良い。
【0026】
また、キーワードあるいはキーワードのグループごとに、抽出する広告コンテンツの割合又は件数を紐付けたデータを、広告配信要求として広告配信サーバに送信してもよい。このようにすれば、端末の設定情報に基づいて、広告配信側でキーワードごとに件数の重み付けを行うこともできる。例えば図4の実施形態では、広告配信要求時に送信されるデータにおいて、キーワードを頻出単語、書籍の属性情報、領域属性情報等の抽出元ごとに重み付けし、さらに対象領域の区分(最終閲覧領域、しおり、マーカー)ごとに重み付けすることで、各キーワードの広告数の割合を算出している。このようなキーワードと広告数の割合のテーブル情報を広告配信サーバに送信する。特に前述のように端末側でキーワード抽出の重み付けを行わない場合、広告サーバ側の処理で広告コンテンツの件数を調整できるため、端末側の処理負荷を軽減することができる。
【0027】
広告配信サーバ4が広告要求を受信すると(S21)、送付されたキーワードに基づいて端末1に送信する広告コンテンツの抽出を行う(S23)。広告配信サーバの広告検索手段は、広告コンテンツのデータベースから、キーワードに関連する広告コンテンツを抽出する。広告コンテンツ抽出方法の一例としては、図5のように広告属性データベースに各広告コンテンツを示す広告IDについてキーワードと紐付けたテーブルが記録されており、各広告について優先度が定められている。キーワードが複数の広告コンテンツに結び付けられていても良い。優先度は、検索によって提示された広告コンテンツの数が要求されている広告コンテンツ数よりも多い場合に、広告コンテンツを優先度が高いものから抽出するためのものである。各広告コンテンツに紐付けられた複数のキーワードのそれぞれに対して優先度を設けるようにしても良い。
【0028】
キーワードに対する広告コンテンツの抽出の一実施形態としては、あるキーワードに対して抽出する件数を定め、そのキーワードの優先度が高い広告コンテンツあるいはキーワードに関連性が高い広告コンテンツから順に定められた件数分、抽出するようにすればよい。例えば端末から送信されるキーワード数が要求されている広告コンテンツの数と等しい場合には、一キーワードに対して一広告コンテンツを抽出する。また前述のように、広告配信サーバが、抽出する広告コンテンツの割合又は件数を紐付けたデータを、広告配信要求として受け取った場合、キーワードごとにその件数(割合の場合は配信予定の総広告コンテンツ数を乗じたもの)分だけ抽出すればよい。
【0029】
さらにキーワードに対して検索により抽出された広告コンテンツの数が、配信予定の広告コンテンツの数よりも少ない場合、キーワードのシソーラスを利用し、単語の上位/下位関係、部分/全体関係、同義関係、類義関係などからキーワードに関連する用語まで検索範囲を広げて要求された広告コンテンツ数を満たすようしてもよい。
【0030】
広告配信サーバ4は抽出した広告コンテンツを送信し、広告配信ステップを完了する(S24)。広告配信サーバが送信するデータは、広告コンテンツ以外に、広告コンテンツに紐付いたキーワード、優先度等の情報を含めても良い。
【0031】
広告配信の料金モデルが、広告コンテンツが表示された回数に応じて定められる場合には、広告コンテンツの抽出後、広告コンテンツの送信と相前後して、端末に送信する/送信された広告コンテンツを広告履歴データベースに記録しても良い。さらに、広告履歴は広告配信の対象となる電子雑誌の属性や、検索もとのキーワードに紐付けて記録しておいても良い。後述するように、配信され、端末上に表示された広告コンテンツに対して、ユーザーがクリック等のアクションを行った際にも広告コンテンツに電子雑誌の属性や検索元のキーワードを紐付けて広告配信サーバの広告履歴データベースに記録しておけば、配信された広告の中で興味をもたれた広告が分かることから、端末側の設定情報や、キーワードに対する広告コンテンツの検索対象を結果に反映して調整し、電子書籍の属性やコンテンツに合わせて効率的な広告配信をすることができる。
【0032】
端末1は、広告配信サーバ4から送信された広告コンテンツを受信する(S15)。広告表示手段は、表示装置3に広告コンテンツを出力・表示する(S16)。図6〜8は本発明に係る広告表示の様態の例を示す模式図である。図6の例では、電子書籍の閲覧画面から、広告画面を切り替えて表示している。図7の例では、電子書籍の閲覧画面上に、上層のレイヤーとして、広告画面を表示している。図8は、特に閲覧ページ内のキーワードを元に広告コンテンツが配信されている場合に、キーワードの抽出元の文字と、広告コンテンツを視覚的に結びつけた様態で広告を表示した例である。しかし本発明に用いることができる広告表示方法は図6〜8に示した例に限られるものではない。
【0033】
各広告コンテンツの広告表示領域(図6〜8の例では広告のテキストが枠線で囲まれた領域)に対して、ユーザーがタッチパネルの接触やマウスの操作等を行った場合に、広告コンテンツの詳細情報の表示や、広告コンテンツの変化、ウェブサイトへの移行等のアクションを行うようにしても良い。このとき、前述のように広告コンテンツを示す広告IDに電子雑誌の属性や検索元のキーワードを紐付けたデータを、広告配信サーバに送信し、広告履歴データベースに記録することにより、ユーザーが興味を持った広告を記録するようにしても良い。
【0034】
広告の表示は、ユーザーの広告表示停止を示唆する操作によって終了する。例えば、スイッチの操作、広告表示領域以外の領域でのタッチパネルの接触やマウスの操作等である。広告表示が終了すると、電子書籍の最終閲覧ページが表示され、閲覧が再開できる。
【0035】
本発明を適用することができる電子書籍は、コンテンツ内容の少なくとも一部がテキストとして読取可能であればフォーマットや種類に制限はない。これは文章がテキストとして埋め込まれている場合だけではなく、画像や動画にその内容を表す属性情報としてテキストが埋め込まれているものも含まれる。従って、雑誌、写真集、絵本、小説等、コンテンツ内容にも制限はない。
【0036】
<第二の実施様態>
図9は、本発明の広告表示に係るシステムの別の実施様態(第二の実施様態)を示す概念図である。第一の実施様態と同じ機能を有する項目には同一の名称を付している。以下の説明では、第一の実施様態と異なる動作について述べ、それ以外の項目については、第一の実施様態に記載された事項を採用できることが自明であるので、重複する説明は省略する。
【0037】
第二の実施様態では、電子書籍を閲覧するための端末1が、ネットワークに接続されていない場合の広告を表示する方法を実現する端末を示している。第二の実施様態では、抽出されたキーワードに応じた広告を配信するための広告検索手段を端末に備えている点で第一の実施様態と異なる。
【0038】
図9の構成では、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースが端末内に格納されており、端末内に格納された広告コンテンツの中から広告表示のための抽出を行う。広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースは、例えば端末に電子書籍をダウンロードする際に、同時にダウンロードする。図9の様態における広告表示の各ステップは、図10に示したように、端末−広告配信サーバ間の送受信のステップがないこと以外は第一の実施様態と同様の構成を採ることができるため、説明は省略する。
【0039】
図11は第二の実施様態の応用例であり、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースは電子書籍のコンテンツとともにパッケージ化されており、端末の広告検索手段が電子書籍パッケージ5中の広告コンテンツを抽出するという点で図9の構成と異なるが、広告表示のステップは変わらない。この場合、予め電子書籍コンテンツ中のキーワードを抽出し、キーワードに広告コンテンツを紐付ける識別子を埋め込んでおいても良い。端末でのキーワード抽出処理における演算負荷を軽減することができる。例えばXML形式のコンテンツの場合、文章中にキーワードBが予め識別され、広告IDが10001の広告コンテンツに紐付ける場合、キーワード用タグの要素名をkeyword、広告IDの属性名をad_idとすると、・・・<Keyword ad_id="10001">キーワードB</Keyword>・・・のように記述することができる。キーワードを抽出するコンテンツ中の対象領域が決定された後、その範囲内で識別子により紐付けられた広告コンテンツを抽出し、広告を表示させることができるので、図10で示されている広告表示のステップS33とS34を同時に処理することができる。
【0040】
図12は第二の実施様態の別の応用例であり、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースが電子書籍のコンテンツとともにパッケージ化された電子書籍パッケージ5から、広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースの内容を端末1の記憶領域に記憶し、広告検索手段は端末内に記憶された広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースにより広告コンテンツを抽出している。このようにすることにより、端末がネットワークに接続可能な時に端末内の広告コンテンツのデータベース及び広告属性のデータベースを更新したり、新たな電子書籍を読み込んだ際に広告コンテンツを追加・更新し、共有したりすることができる。
【0041】
上記で示した第二の実施様態は、第一の実施様態と組み合わせて採用することが可能である。すなわち、広告表示起動手段によって、広告表示のステップが開始された際に、端末がネットワークに接続することが許可されており、接続可能な確認し、接続が可能な場合には第一の実施様態で説明したように広告配信サーバ4に広告配信要求を行い、配信された広告コンテンツを表示し、ネットワークへの接続ができない場合には、第二の実施様態に従って、電子書籍パッケージ内又は端末内に格納された広告コンテンツを表示する。
【0042】
以上のように、本発明によれば、ユーザーの閲覧状態を端末の記憶領域に記憶し、これに基づいて広告表示を行い、さらに閲覧しているページに関する電子書籍のコンテンツに対応した広告コンテンツをユーザーに提供することができるので、ユーザーの閲覧の妨げになることがなく、コンテンツを閲覧しているユーザーに合わせた広告の表示や配信が可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・電子書籍閲覧端末
3・・・表示装置
4・・・広告配信サーバ
5・・・電子書籍パッケージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、
端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、
電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出するステップと、
広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信するステップと、
受信した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、
を有し、前記対象領域は、少なくとも前記閲覧ページを含むことを特徴とする広告表示方法。
【請求項2】
前記広告配信要求には、要求する広告コンテンツの数情報が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の広告表示方法。
【請求項3】
電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、
端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、
少なくとも前記閲覧ページを含む電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出し、抽出したターゲット情報に基づいて、広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、
抽出した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、
を含むことを特徴とする広告表示方法。
【請求項4】
前記ターゲット情報は、設定情報に記載された条件に基づいて抽出され、該条件は電子書籍の属性情報に応じて選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の広告表示方法。
【請求項5】
電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた電子書籍閲覧端末であって、
端末利用者の閲覧状態及び端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを少なくとも記録する閲覧履歴記録手段と、
端末利用者の閲覧状態が設定条件を満たした場合に広告表示を開始するための広告表示起動手段と、
閲覧履歴に記録された、閲覧ページ情報に基づいて電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出する対象領域決定手段と、
対象領域からターゲット情報を抽出するための抽出手段と、
ターゲット情報に基づいて選択された広告コンテンツを表示するための広告表示手段と、
を備えた電子書籍閲覧端末。
【請求項6】
広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信する送信手段と、
受信した広告コンテンツを表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電子書籍閲覧端末。
【請求項7】
抽出したターゲット情報に基づいて、所定の広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電子書籍閲覧端末。
【請求項8】
電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた端末に、広告を配信する広告配信方法であって、
端末から電子書籍の特定領域のコンテンツに対応するターゲット情報と、配信する広告コンテンツの件数とを含む広告配信要求を受信するステップと、
広告コンテンツのデータベースから、前記ターゲット情報に関連する広告コンテンツを検索し、広告コンテンツの総計が前記配信する広告コンテンツの件数に一致するように抽出するステップと、
前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと、を有する広告配信方法。
【請求項9】
前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと相前後して、抽出した広告コンテンツの情報を記録するステップと、を有することを特徴とする請求項8に記載の広告配信方法。
【請求項1】
電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、
端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、
電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出するステップと、
広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信するステップと、
受信した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、
を有し、前記対象領域は、少なくとも前記閲覧ページを含むことを特徴とする広告表示方法。
【請求項2】
前記広告配信要求には、要求する広告コンテンツの数情報が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の広告表示方法。
【請求項3】
電子書籍を閲覧するための表示装置及び記憶領域を備えた端末に、広告を表示させる広告表示方法であって、端末使用者の電子書籍の閲覧状態を示すデータが、広告を表示させるための条件を満たした場合に広告を表示するためのステップとして、
端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを記憶領域に記録するステップと、
少なくとも前記閲覧ページを含む電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出し、抽出したターゲット情報に基づいて、広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、
抽出した広告コンテンツを表示装置に表示するステップと、
を含むことを特徴とする広告表示方法。
【請求項4】
前記ターゲット情報は、設定情報に記載された条件に基づいて抽出され、該条件は電子書籍の属性情報に応じて選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の広告表示方法。
【請求項5】
電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた電子書籍閲覧端末であって、
端末利用者の閲覧状態及び端末に表示されている電子書籍の閲覧ページを少なくとも記録する閲覧履歴記録手段と、
端末利用者の閲覧状態が設定条件を満たした場合に広告表示を開始するための広告表示起動手段と、
閲覧履歴に記録された、閲覧ページ情報に基づいて電子書籍中の対象領域を特定し、対象領域内に含まれるターゲット情報を抽出する対象領域決定手段と、
対象領域からターゲット情報を抽出するための抽出手段と、
ターゲット情報に基づいて選択された広告コンテンツを表示するための広告表示手段と、
を備えた電子書籍閲覧端末。
【請求項6】
広告配信サーバに対してターゲット情報を含む広告配信要求を送信する送信手段と、
受信した広告コンテンツを表示する広告表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電子書籍閲覧端末。
【請求項7】
抽出したターゲット情報に基づいて、所定の広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電子書籍閲覧端末。
【請求項8】
電子書籍を閲覧するための表示装置を備えた端末に、広告を配信する広告配信方法であって、
端末から電子書籍の特定領域のコンテンツに対応するターゲット情報と、配信する広告コンテンツの件数とを含む広告配信要求を受信するステップと、
広告コンテンツのデータベースから、前記ターゲット情報に関連する広告コンテンツを検索し、広告コンテンツの総計が前記配信する広告コンテンツの件数に一致するように抽出するステップと、
前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと、を有する広告配信方法。
【請求項9】
前記端末に抽出した広告コンテンツを送信するステップと相前後して、抽出した広告コンテンツの情報を記録するステップと、を有することを特徴とする請求項8に記載の広告配信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−29578(P2013−29578A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164140(P2011−164140)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
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