説明

電子書籍表示方法、装置及びプログラム

【課題】電子書籍コンテンツを単に表示するだけでなく、必要に応じて当該電子書籍コンテンツに含まれる複数の要素間の関係性を表す情報を表示可能とする。
【解決手段】ユーザによる入力操作データをもとに操作種別を判定する。そして、この判定の結果、操作種別が「マップ操作」であれば、選択されたノードとリンクされている各ノードとの関係性を表すマップ情報がマップ情報データベース31から読み出されて表示デバイス22に表示される。また、その際上記マップ情報に含まれるノードと関連するイベント情報が登録されていれば、このイベント情報がイベント情報データベース32から読み出されて表示デバイス22に表示される。さらに、上記マップ情報に時間軸情報が含まれていれば、ノード間の時系列関係を表す情報も表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザが端末において電子書籍コンテンツを閲覧するために使用する電子書籍表示方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子書籍端末と呼ばれるタブレット型のコンピュータが普及している。タブレット型コンピュータでは、入力インタフェースとして、従来のマウスとキーボードの代わりにタッチパネルが使われており、ユーザは画面上を指で直接操作することにより、直観的かつ簡単な操作が可能となっている。これにより、例えば画面に表示されている電子書籍コンテンツに対し、指の操作により拡大縮小したりページを捲ることができる(例えば非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「アップル−iPad−まったく新しい方法で読書しましょう」、iBooks 、インターネット<URL:http://www.apple.com/jp/ipad/features/ibooks.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記非特許文献に記載された電子書籍端末は、紙媒体の書籍閲覧を模倣したものであり、単に書籍コンテンツをディスプレイに表示するものとなっている。このため、紙媒体の書籍で慣れたページめくりの感覚で操作できる利点はあるものの、電子的に情報が扱える電子書籍の利点を積極的に生かしているとはいえない。
【0005】
具体的には、小説や教科書等、記載内容が複雑で書籍コンテンツ内の構成要素、例えば小説ならシーン、登場人物等の間の関係性が理解しにくい。このため、ユーザは文章を読み進めるのと並行して、頭の中で書籍コンテンツの構成要素間の関係性を理解しようとしなければならない。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、電子書籍コンテンツを単に表示するだけでなく、必要に応じて当該電子書籍コンテンツに含まれる複数の要素間の関係性を表す情報を表示可能とした電子書籍表示方法、装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の1つの観点は、以下のような機能を有するものである。すなわち、ユーザによる入力操作を検出し、その入力操作データをもとに操作種別を判定する。そして、この判定された操作種別が書籍閲覧操作の場合には、当該操作により選択された電子書籍コンテンツのデータを書籍データ記憶手段から読み出して表示手段に表示する。一方、上記判定された操作種別が電子書籍コンテンツに含まれる複数の要素の関係性を表すマップ情報の閲覧操作の場合には、該当するマップ情報をマップ情報記憶手段から読み出し、この読み出されたマップ情報をもとにマップ表示データを生成して上記表示手段に表示する。
したがって、ユーザの操作に応じて、電子書籍コンテンツに含まれる複数の要素の関係性を表すマップ情報が表示される。このため、ユーザは電子書籍コンテンツに含まれる要素を全体的に俯瞰でき、かつ要素間のつながりを視覚的に把握することが可能となる。
【0008】
また、この発明の1つの観点は以下のような態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、上記マップ情報が上記複数の要素の時間情報を含む場合に、上記マップ情報を表示する際に、上記マップ情報記憶手段から読み出されたマップ情報に含まれる各要素の時間情報をもとに当該各要素の時系列の関係を表す時系列表示データを生成して表示手段に表示するものである。
このようにすると、マップ情報だけでなく、電子書籍コンテンツに含まれる各要素の時系列の関係を表す時系列表示データが表示される。例えば、小説に登場する二つのシーンの前後関係、或いは歴史の教科書では登場する人物の生存した期間にどんな出来事が起こったか等の要素間の時間的関係性が、視覚的に理解しやすい形態で表示される。したがって、ユーザは電子書籍コンテンツに含まれる各要素の時間的な前後関係や包含性を容易に理解することが可能となる。
【0009】
第2の態様は、マップ情報を表示する際に、上記マップ情報記憶手段から読み出されたマップ情報に含まれる要素に関連するイベント情報をイベント情報記憶手段から読み出し、この読み出されたイベント情報をもとにイベント表示データを生成して表示手段に表示するものである。
このようにすると、架空の物語や歴史上の登場人物や場所に関連するイベントが実世界で開催又は予定されている場合には、当該イベントに関する情報が表示される。したがって、ユーザは書籍の閲覧をきっかけとして当該書籍に登場する人物や場所等の要素に関連するイベントを知ることが可能となる。
【0010】
第3の態様は、上記判定された操作種別がコメントの書込み操作の場合に、上記電子書籍コンテンツに含まれる要素に対応付けて上記ユーザが入力したコメント情報をコメント記憶手段に書き込む処理と、上記判定された操作種別がコメントの読込み操作の場合に、上記コメント記憶手段から上記ユーザが指定した要素に対応付けて記憶されているコメント情報を読み出して上記表示手段に表示する処理を実行するようにしたものである。
このようにすると、書籍に登場する人物や場所、シーン等の要素に対しユーザが感想等のコメントを書き込むことが可能となる。また、書籍に登場する人物や場所、シーン等の要素に対し他のユーザが書き込んだコメントを閲覧することが可能となる。したがって、例えば小説の特定のシーンに対する感想を複数の読者間で共有し閲覧することが可能となる。すなわち、書籍の閲覧を通して、あたかもソーシャルネットワークサービス(SNS)と同様の機能を実現することが可能となる。また、学校の授業では、生徒端末と教師端末の間で、生徒が先生に理解できない要素について質問をする等といった用途にも適用可能となる。
【発明の効果】
【0011】
すなわちこの発明の1つの観点によれば、電子書籍コンテンツのデータを単に表示するだけでなく、必要に応じて当該電子書籍コンテンツに含まれる複数の要素間の関係性を表す情報を表示可能とした電子書籍表示方法、装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態に係る電子書籍表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した電子書籍表示装置の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】図1に示した電子書籍表示装置に設けられるマップ情報データベースの一例を示す図。
【図4】図1に示した電子書籍表示装置に設けられるイベント情報データベースの一例を示す図。
【図5】図1に示した電子書籍表示装置に設けられるコメントデータベースの一例を示す図。
【図6】図1に示した電子書籍表示装置に設けられる書籍データベースの一例を示す図。
【図7】図1に示した電子書籍表示装置において表示されるマップデータのイメージを示す図。
【図8】マップ情報に含まれる要素間の時間的関係の一例を表した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る電子書籍表示装置の構成を示すブロック図である。この電子書籍表示装置は、例えば電子書籍端末やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナル・コンピュータ等の携帯端末からなり、制御ユニット1と、入出力ユニット2と、記憶ユニット3と、無線通信ユニット4を備えている。
【0014】
入出力ユニット2は、操作入力デバイス21と、表示デバイス22を有する。表示デバイス22は、例えば液晶又は有機ELを用いた表示器からなる。操作入力デバイス21は、表示デバイス22の表示画面上に透明なタッチパネルを配置して静電容量の変化により装置位置座標を検出するいわゆるタブレット型の入力デバイスからなる。
【0015】
記憶ユニット3は、例えばNAND型のフラッシュメモリ等の随時書き込み読み出しが可能な不揮発性メモリを用いたもので、この発明の実施形態を実施するために必要なデータベースとして、マップ情報データベース31と、イベント情報データベース32と、コメントデータベース33とび書籍データベース34を備えている。
【0016】
マップ情報データベース31には、各ノードの属性情報やノード間のリンクの有無に関する情報が記憶されている。図3はその一例を示すものである。すなわち、マップ情報は、ノードごとに、そのノードIDに対し、ノード名と、二種類の時間属性と、リンクノードIDを対応付けたものからなる。このうち二種類の時間属性は、例えば該当ノード名が「坂本龍馬」の場合には、その生存期間(1836年1月3日〜1867年12月10日)を表し、「時間t1=1836-01-03、時間t2=1867-12-10」というように生誕日及び死亡日が記憶される。これに対し、例えば「大政奉還」のように該当ノードが時間幅を持たない概念の場合には、その出来事が起きた日付として「時間t1=1867-11-09、時間t2=1867-11-09」のように同じ値が記憶される。なお、ノードの属性としては、時間軸情報以外でも構わない。
【0017】
イベント情報データベース32には、各ノードに関連するイベント情報が記憶されている。図4はその一例を示すものである。イベント情報は、該当ノードのIDに対し、ノード名と、イベント名と、当該イベント情報が掲載されたWebページのアドレス(URL;Uniform Resource Locator)と、イベントの開始日と終了日を対応付けたものからなる。なお、これらの情報要素以外に、例えば主催者、イベント開催地、イベント内容を表す情報等のイベント属性を記憶するようにしてもよい。イベントの開始日と終了日を記憶しておくと、例えば開催中のイベントについてはイベント名を黒い文字で、終了したイベントについてはグレーの文字で表示するというように、開催中か否かに応じてイベントの表示形態を異ならせることができる。
【0018】
コメントデータベース33には、操作入力デバイス21によりユーザが入力したコメント情報が記憶される。図5はその一例を示すものである。すなわち、コメント情報は、ノードIDに対し、コメント書き込み者のユーザIDと、書き込み時刻と、書き込み内容を対応付けたものからなる。またコメント情報には、当該コメント情報の他人への公開の可否を表すフラグを含めるようにしてもよい。
【0019】
書籍データベース34には、書籍コンテンツが記憶されている。図6はその一例を示すものである。すなわち、書籍コンテンツは、ノードIDに対しノード名とテキストデータを対応付けたものからなる。なお、書籍コンテンツの本体部分は必ずしもテキストデータでなくてもよく、その他のファイル形式であってもよい。また、本体部分は別ファイルとして記憶し、代わりに当該本体ファイルの所在を表すアドレスを記憶するようにしてもよい。
【0020】
制御ユニット1は、例えば中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)を備えたもので、この発明の実施形態を実施するために必要な制御機能として、操作種別判定部11と、マップ情報読込制御部12と、表示データ生成部13と、イベント情報読込制御部14と、コメント読込・書込制御部15と、書籍データ読込制御部16とを有している。これらの制御機能はいずれも、予め記憶ユニット3内のプログラム格納領域に格納されたアプリケーション・プログラムを、上記CPUに実行させることにより実現される。
【0021】
操作種別判定部11は、前記操作入力デバイス21において入力された操作種別を表す情報をもとに、ユーザが選択した操作種別が「マップ操作」、「書籍閲覧」及び「コメント読み書き」のうちのいずれの処理モードを指定したものかを判定する。例えば,ユーザの操作が表示中のノードに対するシングルタップ操作の場合には「マップ操作」、ダブルタップ操作の場合は「書籍閲覧」、ノードの脇に付与されたアイコンに対するシングルタップ操作の場合には「コメント読み書き」というように判定する。なお、各処理モードに対する操作種別の割り当て関係は、上記した例以外であってもよい。
【0022】
マップ情報読込制御部12は、上記操作種別判定部11により判定された操作種別が「マップ操作」を指定するものだった場合に、マップ情報データベース31から、操作対象となっているノードのノードIDをキーとして当該ノードに関するマップ情報を読込む処理を行う。また、マップ情報がその属性として時間軸情報を含む場合には、この時間軸情報も同時に読込む。
【0023】
イベント情報読込制御部14は、上記操作種別判定部11により判定された操作種別が「マップ操作」を指定するものだった場合に、上記マップ情報の読込処理と並行して、操作対象となっているノードのノードIDをキーとして、当該ノード及び当該ノードとリンクされている他のノードに関するイベント情報をイベント情報データベース32から読込む処理を行う。
【0024】
表示データ生成部13は、上記マップ情報読込制御部12により読込まれたマップ情報と、上記イベント情報読込み制御部14により読込まれたイベント情報とをもとにグラフィカルデータからなる表示データを生成する。そして、この生成された表示データを表示デバイス22へ出力して表示内容を更新する処理を行う。なお、新たにリンク先ノードを表示する際(特に複数のリンク先ノードがある場合)の表示位置の決定手法としては、例えばリンク元のノードを中心に周囲360度を均等に分割して配置するものや、ノードが重ならないようにマップ上の配置位置を自動計算するもの等が考えられる。
【0025】
コメント読込・書込制御部15は以下の処理機能を有する。
(1) 操作種別判定部11により判定された操作種別が「コメント書込み」の場合に、操作入力デバイス21により入力されたコメント内容を表すデータを、ユーザID及び書込み時刻を表すデータと共に、操作対象となっているノードのノードIDに関連付けてコメントデータベース33に書込む処理。
【0026】
なお、コメントの入力手法としては、表示デバイス22の表示画面にソフトウェアキーボードを表示させ、このソフトウェアキーボードに対する操作を操作入力デバイス21で検出するものや、表示デバイス22の表示画面に手書き入力領域を表示させ、この領域上で指やペンデバイスを使って手書き入力した情報を操作入力デバイス21で検出したのち文字認識処理によりテキストデータに変換するものが考えられるが、他にマイクにより入力された音声データを音声認識処理によりテキストデータに変換するものでもよい。
【0027】
(2) 操作種別判定部11により判定された操作種別が「コメント読込み」の場合に、操作対象となっているノードのノードIDをキーにして、当該ノードに関するコメントデータをコメントデータベース33から読込み、この読込まれたコメントデータを表示デバイス22に表示させる処理。
【0028】
書籍データ読込制御部16は、上記操作種別判定部11により判定された操作種別が「書籍閲覧」を指定するものだった場合に、操作対象となっているノードのノードIDをキーとして書籍データベース34から該当する書籍データを読込み、この読み込まれた書籍データを表示デバイス22に表示させる処理を行う。
【0029】
無線通信ユニット4は、例えば携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、WiMAX(登録商標)等の無線通信ネットワークを介して図示しないサーバ装置との間で通信を行うもので、新たな電子書籍データやマップ情報、イベント情報をダウンロードするために用いられる。また、サーバ装置や他の端末との間でコメントデータを送受信する目的にも用いられる。
【0030】
[動作]
次に、以上のように構成された電子書籍表示装置の動作を説明する。図2はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
いま例えば、閲覧候補となる書籍及びその要素に対応するノードが表示デバイス22に表示されているものとする。
【0031】
(1)マップ情報の表示
この状態で、ユーザが所望のノードに関連するマップ情報を閲覧するべく、当該ノードに対しシングルタップ操作を行ったとする。この場合制御ユニット1は、ステップS11において上記操作を検出すると、ステップS12により操作種別判定部11が上記操作の種別を判定する。そして、この判定の結果、操作種別が「マップ操作」であれば、以後マップ情報の表示処理手順を以下のように実行する。
【0032】
すなわち、先ずステップS13においてマップ情報読込制御部12が、上記シングルタップ操作により選択されたノードのノードIDをキーにして、マップ情報データベース31から当該ノードIDに関連付けて記憶されているマップ情報を読込む。例えば、いま「江戸時代」に対応するノードがシングルタップ操作により選択されたとすると、そのノードID=001をキーにして、図3に示すようにノード名「江戸時代」と、リンクノードIDとして{002,013,016,025}が読込まれる。また、マップ情報に時間軸情報が含まれていれば、この時間軸情報として開始時間t1=1603-03-24及び終了時間t2=1868-05-03が読込まれる。
【0033】
次に、イベント情報読込制御部14が、上記シングルタップ操作により選択されたノードに対応するイベント情報がイベント情報データベース32に記憶されているか否かをステップS14により判定する。そして、記憶されている場合には、ステップS15において、上記選択されたノードのノードIDをキーにしてイベント情報データベース32から該当するイベント情報を読込む。
【0034】
続いて、表示データ生成部13がステップS16において、上記マップ情報読込制御部12により読込まれたマップ情報と、上記イベント情報読込み制御部14により読込まれたイベント情報をもとに、グラフィカルデータからなる表示データを生成する。そして、この生成された表示データをステップS17において表示デバイス22へ出力する。この結果、表示デバイス22に表示されている情報は、上記表示データにより表される内容に更新される。
【0035】
例えば、先に述べたように「江戸時代」を表すノードが選択された場合には、このノードとそれに関係する複数のノードとの関連性を表すマップ情報が表示される。図7はそのマップイメージを示す図である。またそれと共に、当該マップ情報に含まれるノードに対応するイベント情報が表示される。さらに、上記マップ情報に含まれる時間軸情報をもとに、当該マップ情報に含まれる各ノード間の時系列的な関係を表す情報が表示される。図8はその表示例を示す図である。
【0036】
したがって、ユーザは書籍データに含まれる人物や場所、出来事等のノードを全体的に俯瞰することが可能となり、かつノード間のつながりを視覚的に把握することが可能となる。また、登場人物の生存した期間にどんな出来事が起こったか等のノード間の時間的関係性を容易に理解することが可能となる。さらに、上記登場人物や場所、出来事等のノードに関連するイベントがどのような要領で行われるのかを知ることが可能となる。
【0037】
(2)コメントの読み書き
閲覧候補となる書籍及びその要素に対応するノードが表示デバイス22に表示されている状態で、ユーザが所望のノードについてコメントの書込み又は閲覧をするべく、当該ノードの脇に付与されたアイコンに対しシングルタップ操作を行ったとする。
この場合制御ユニット1は、ステップS12により操作種別判定部11が上記操作の種別を判定する。そして、その判定の結果操作種別が「コメントの読み書き」であれば、コメント読込・書込制御部15が先ずステップS19により、上記操作が「コメントの読込み」を要求するものか、又は「コメントの書込み」を要求するものかを判定する。
【0038】
この判定の結果、「コメントの書込み」であれば、ステップS21において、先ず表示デバイス22の表示画面にソフトウェアキーボード又は手書き入力領域を表示させる。そして、この状態でユーザが入力したコメント内容を表すデータを、ユーザID及び書込み時刻を表すデータと共に、操作対象となっているノードのノードIDに関連付けてコメントデータベース33に書込む。
【0039】
この結果、例えばいまユーザaaaが「坂本龍馬」を示すノードに付属するアイコンをシングルタップ操作により選択したのちコメントを入力すると、コメントデータベース33には図5に示すように、ユーザIDとしての「ユーザaaa」と、書込み時刻2011-02-21-10:45と、入力したコメント内容がテキストデータにより書き込まれる。
【0040】
一方、上記ステップS19による判定の結果、「コメントの読込み」であれば、ステップS20において、操作対象となっているノードのノードIDをキーにして、当該ノードに関するコメントデータをコメントデータベース33から読込み、この読込まれたコメントデータをステップS17により表示デバイス22へ出力する。この結果、表示デバイス22には所望のノードに対するコメントデータが表示される。
【0041】
例えばいまユーザaaaが「坂本龍馬」を示すノードを選択してその読込みを要求すると、コメントデータベース33から、上記「坂本龍馬」に対応付けて記憶されているユーザbbb,cccのコメント内容がその書込時刻と共に読み出されて、表示デバイス22に表示される。
【0042】
したがって、ユーザは所望の書籍に登場する人物や場所、シーン等の要素に対しユーザが感想等のコメントを書き込むことが可能となる。また、書籍に登場する人物や場所、シーン等の要素に対し他のユーザが書き込んだコメントを閲覧することが可能となる。この結果、例えば小説の特定のシーンに対する感想を複数の読者間で共有し閲覧することが可能となる。すなわち、書籍の閲覧を通して、あたかもソーシャルネットワークサービス(SNS)と同様の機能を実現することが可能となる。また、学校の授業では、生徒端末と教師端末の間で、生徒が先生に理解できない要素について質問をする等といった用途にも適用可能となる。
【0043】
(3)書籍データの表示
閲覧候補となる書籍及びその要素に対応するノードが表示デバイス22に表示されている状態で、ユーザが所望の書籍を閲覧するべく、当該書籍に対応するノードに対しダブルタップ操作を行ったとする。
この場合制御ユニット1は、ステップS12により操作種別判定部11が上記操作の種別を判定する。そして、その判定の結果操作種別が「書籍閲覧」であれば、書籍データ読込み制御部16が、先ずステップS18において操作対象となっている書籍ノードのノードIDをキーとして書籍データベース34から該当する書籍データを読込む。そして、この読み込まれた書籍データをステップS17により表示デバイス22へ出力する。この結果表示デバイス22には、例えば図6に示すような「江戸時代」に関する書籍のテキストデータが表示される。
かくしてユーザは、所望の書籍データを任意に選択して閲覧することが可能となる。
【0044】
以上詳述したようにこの実施形態では、ユーザによる入力操作データをもとに操作種別を判定する。そして、この判定の結果、操作種別が「マップ操作」であれば、選択されたノードとリンクされている各ノードとの関係性を表すマップ情報がマップ情報データベース31から読み出されて表示デバイス22に表示される。また、その際上記マップ情報に含まれるノードと関連するイベント情報が登録されていれば、このイベント情報がイベント情報データベース32から読み出されて表示デバイス22に表示される。さらに、上記マップ情報に時間軸情報が含まれていれば、ノード間の時系列関係を表す情報も表示される。
【0045】
したがって、先に述べたようにユーザは、書籍データに含まれる人物や場所、出来事等のノードを全体的に俯瞰することが可能となり、かつノード間のつながりを視覚的に把握することが可能となる。また、ノード間の時間的関係性を容易に理解することが可能となる。さらに、上記登場人物や場所、出来事等のノードに関連するイベントがどのような要領で行われるのかを知ることが可能となる。
【0046】
また、ノードに対応付けてコメントの読み書きを行えるようにしたので、例えば小説の特定のシーンに対する感想を複数の読者間で共有し閲覧することが可能となる。また、書籍の閲覧を通してあたかもソーシャルネットワークサービス(SNS)と同様の機能を実現することが可能となる。
【0047】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、マップ情報データベース31、イベント情報データベース32、コメントデータベース33及び書籍データベース34を端末内に設けた場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず、上記各データベースは例えばWebサーバ等のサーバ装置に配置し、必要時に端末が上記データベースにアクセスしてダウンロードするようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態ではタブレット型の電子書籍端末においてタッチパネル上の指操作を検出するようにしたが、ペン操作を検出するようにしても、またタブレット型以外のコンピュータのようにマウス等のポインティングデバイスの操作を検出するようにしてもよい。
【0049】
また、前記実施形態ではスマートフォンや電子書籍端末等の携帯端末を例にとって説明したが、カーナビゲーション用の端末やゲーム機器、テレビジョン受信機又は据え置き型のパーソナル・コンピュータ等の固定的に設置して使用する端末にもこの発明は適用可能である。
その他、操作種別の判定方法、マップデータの構成やその表示形式、端末の種類やその構成、通信インタフェースの種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…制御ユニット、2…入出力ユニット、3…記憶ユニット、4…無線通信ユニット、11…操作種別判定部、12…マップ情報読込み制御部、13…表示データ生成部、14…イベント情報読込み制御部、15…コメント読込み・書込み制御部、16…書籍データ読み制御部、21…操作入力デバイス、22…表示デバイス、31…マップ情報データベース、32…イベント情報データベース、33…コメントデータベース、34…書籍データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子書籍表示装置が、書籍データ記憶手段から電子書籍コンテンツのデータを選択的に読み出してユーザが閲覧可能に表示手段に表示する電子書籍表示方法であって、
前記ユーザによる入力操作を検出しその入力操作データをもとに操作種別を判定する操作種別判定過程と、
前記判定された操作種別が書籍閲覧操作の場合に、当該操作により選択された電子書籍コンテンツのデータを前記書籍データ記憶手段から読み出し、この読み出された電子書籍コンテンツのデータを前記表示手段に表示する書籍表示過程と、
前記判定された操作種別がマップ操作の場合に、前記電子書籍コンテンツに含まれる各要素について少なくともその要素識別情報と要素名と関連性を有する他の要素とのリンク情報とにより表されるマップ情報をマップ情報記憶手段から読み出し、この読み出されたマップ情報をもとにマップ表示データを生成して前記表示手段に表示するマップ情報表示過程と
を具備することを特徴とする電子書籍表示方法。
【請求項2】
前記マップ情報が前記複数の要素の時間情報を含む場合に、
前記マップ情報表示過程は、前記マップ情報記憶手段から読み出されたマップ情報に含まれる各要素の時間情報をもとに当該各要素の時系列の関係を表す時系列表示データを生成し、前記表示手段に表示する過程を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の電子書籍表示方法。
【請求項3】
前記マップ情報表示過程により前記マップ情報記憶手段から読み出されたマップ情報に含まれる要素識別情報に基づいて、当該要素識別情報と要素名とイベント名と当該イベントに関する情報を閲覧するためのアドレス情報と当該イベントの開催期間とを有するイベント情報をイベント情報記憶手段から読み出し、この読み出されたイベント情報をもとにイベント表示データを生成して前記表示手段に表示する過程を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の電子書籍表示方法。
【請求項4】
前記判定された操作種別がコメントの書込み操作の場合に、前記電子書籍コンテンツに含まれる要素に対し前記書込み操作によりユーザが入力したコメントの内容を表す情報と、当該ユーザの識別情報と、書込み時刻を表す情報とを含むコメント情報を、前記対象となる要素の識別情報と関連付けてコメント記憶手段に書き込む過程と、
前記判定された操作種別がコメントの読込み操作の場合に、当該読込み操作により前記ユーザが指定入力した要素の識別情報に関連付けて記憶されているコメント情報を、前記コメント記憶手段から読み出して前記表示手段に表示する過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子書籍表示方法。
【請求項5】
操作入力手段及び表示手段を備え、操作入力手段によるユーザの操作に応じて電子書籍コンテンツのデータをユーザが閲覧可能に前記表示手段に表示する電子書籍表示装置であって、
前記電子書籍コンテンツのデータを記憶する書籍データ記憶手段と、
前記電子書籍コンテンツに含まれる各要素について、少なくともその要素IDと要素名と関連性を有する他の要素とのリンク情報とにより表されるマップ情報を記憶するマップ情報記憶手段と、
前記操作入力手段により入力された入力操作データをもとに操作種別を判定する操作種別判定手段と、
前記操作種別判定手段により判定された操作種別が書籍閲覧操作の場合に、当該操作により選択された電子書籍コンテンツのデータを前記書籍データ記憶手段から読み出し、この読み出された電子書籍コンテンツのデータを前記表示手段に表示させる書籍表示制御手段と、
前記判定された操作種別がマップ操作の場合に、前記電子書籍コンテンツに関連するマップ情報を前記マップ情報記憶手段から読み出し、この読み出されたマップ情報をもとにマップ表示データを生成して前記表示手段に表示させるマップ情報表示制御手段と
を具備することを特徴とする電子書籍表示装置。
【請求項6】
前記マップ情報が前記複数の要素の時間情報を含む場合に、
前記マップ情報表示制御手段は、前記マップ情報記憶手段から読み出されたマップ情報に含まれる各要素の時間情報をもとに当該各要素の時系列の関係を表す時系列表示データを生成して前記表示手段に表示させる手段を、さらに備えることを特徴とする請求項5記載の電子書籍表示装置。
【請求項7】
前記マップ情報記憶手段に記憶されたマップ情報に含まれる要素識別情報に関連付けて、当該要素識別情報と要素名とイベント名と当該イベントに関する情報を閲覧するためのアドレス情報と当該イベントの開催期間とを有するイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、
前記マップ情報記憶手段から読み出されたマップ情報に含まれる要素識別情報に基づいて、当該要素識別情報に関連付けられたイベント情報を前記イベント情報記憶手段から読み出し、この読み出されたイベント情報をもとにイベント表示データを生成して前記表示手段に表示させる手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項5又は6記載の電子書籍表示装置。
【請求項8】
前記電子書籍コンテンツに含まれる要素に対し前記ユーザが入力したコメント内容を表す情報と、当該ユーザの識別情報と、書込み時刻を表す情報とを含むコメント情報を、前記対象となる要素の識別情報と関連付けて記憶するコメント記憶手段と、
前記操作種別判定手段により判定された操作種別がコメントの書込み操作の場合に、当該書込み操作により前記ユーザが入力したコメント内容を表す情報を、当該ユーザの識別情報及び書込み時刻を表す情報と共に、前記対象となる要素の識別情報と関連付けて前記コメント記憶手段に書き込む手段と、
前記判定された操作種別がコメントの読込み操作の場合に、当該読込み操作により前記ユーザが指定入力した要素の識別情報に関連付けて記憶されているコメント情報を前記コメント記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の電子書籍表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子書籍表示方法を前記電子書籍表示装置が備えるコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173787(P2012−173787A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32232(P2011−32232)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】