説明

電子書籍類共有システム

【課題】 電子書籍類共有システムに関し、一人のユーザが複数の電子書籍端末を所持する場合に、それらの電子書籍端末間で付加情報を共有可能にするとともに、各ユーザが個別に管理することを可能にする。
【解決手段】 複数の情報端末と、前記複数の情報端末とネットワークを介して接続する電子書籍類共有管理サーバとを設け、前記電子書籍類共有管理サーバは、共有化された電子書籍類の付加情報について、各ユーザ毎にユーザグループ登録を行ってユーザグループ単位で管理を行う機能を持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介したサーバ・クライアントシステムにおける電子書籍類共有システムに関するものであり、例えば、共有化された電子書籍の付加情報のユーザグループ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子書籍共有システムにおいて、共有化された電子書籍に付加された付加情報を、異なるユーザ間で表示させる管理手段が実現されており、それを利用したプレゼンテーションシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これは、ネットワーク上で付加情報を管理する付加情報管理サーバを設け、電子書籍端末が付加情報管理サーバに接続したときに、付加情報管理サーバが電子書籍端末に付加情報を送信することで付加情報の共有を行うものである。
【0004】
また、共有化された電子書籍に対して、ユーザが個別に付加情報の追加・編集・削除を行うことが出来るものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これは、各ユーザの電子書籍端末内部に付加情報保存部を設け、端末内部で付加情報の管理を行うことで、各ユーザが共有の電子書籍に対して個別に付加情報を付加できるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−023423号公報
【特許文献2】特開平09−101971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、付加情報は共有化された電子書籍に対して付加されるため、ユーザが個別に付加情報を付加することが出来ず、他ユーザの付加情報も一緒に表示された状態で電子書籍を閲覧することになるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2の技術によれば、ユーザが個別に付加情報が付加できないという問題点を解決できる。しかし、各電子書籍端末内部に付加情報保存部を持つため、一人のユーザが複数の電子書籍端末を所持している場合、それらの電子書籍端末間で付加情報を共有することができないという問題がある。
【0009】
したがって、本発明は、複数のユーザが存在する共有電子書籍において、一人のユーザが複数の電子書籍端末を所持する場合に、それらの電子書籍端末間で付加情報を共有可能にするとともに、各ユーザが個別に管理することを可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明は、電子書籍類共有システムにおいて、複数の情報端末と、前記複数の情報端末とネットワークを介して接続する電子書籍類共有管理サーバとを有し、前記電子書籍類共有管理サーバは、共有化された電子書籍類の付加情報について、各ユーザ毎にユーザグループ登録を行ってユーザグループ単位で管理を行う機能を有することを特徴とする。
【0011】
このように、共有化された電子書籍類の付加情報について、各ユーザ毎にユーザグループ登録を行ってユーザグループ単位で管理を行う機能を持たせることによって、一人のユーザが複数の電子書籍端末を所持する場合に、それらの電子書籍端末間で付加情報を共有可能にするとともに、各ユーザが個別に管理することが可能になる。
【0012】
(2)また、本発明は、上記(1)において、前記電子書籍類共有管理サーバは、前記共有化された電子書籍類の付加情報に対するアップロード要求或いはダウンロード要求するユーザに対して、ユーザグループ登録の許可/拒否を判定する機能を有することを特徴とする。
【0013】
このように、電子書籍類共有管理サーバにアップロード要求或いはダウンロード要求するユーザに対して、ユーザグループ登録の許可/拒否を判定する機能を持たせることによって、付加情報の重要度に応じた管理が可能になる。
【0014】
(3)また、本発明は、上記(1)または(2)において、前記電子書籍類共有管理サーバは、各ユーザ毎及び各付加情報毎に閲覧制限を設ける機能を有することを特徴とする。
【0015】
このように、電子書籍類共有管理サーバに各ユーザ毎及び各付加情報毎に閲覧制限を設ける機能を持たせることによって、付加情報を共有するユーザのグレードに応じた情報管理が可能になる。
【0016】
(4)また、本発明は、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記電子書籍類共有管理サーバは、前記ネットワークとの間でアップロード要求情報及びダウンロード要求情報の授受を行う入出力処理部と、アップロード要求或いはダウンロード要求した各ユーザをユーザグループ毎に管理するユーザグループ管理部と、ユーザグループ情報を保存するユーザグループ情報保存部と、アップロード要求された付加情報の保存とダウンロード要求された付加情報の取り出しを行うデータ処理部と、アップロード要求された付加情報を保存する付加情報保存部とを少なくとも有することを特徴とする。
【0017】
このように、電子書籍類共有管理サーバに、アップロード要求或いはダウンロード要求した各ユーザをユーザグループ毎に管理するユーザグループ管理部と、ユーザグループ情報を保存するユーザグループ情報保存部とを設けることによって、ユーザをユーザグループ単位で管理することが可能になる。
【0018】
(5)また、本発明は、上記(4)において、前記ユーザグループ情報保存部は、前記各ユーザ毎の閲覧制限情報を保存すると共に、前記付加情報保存部が、アップロードされた各付加情報に前記閲覧制限情報を付加して保存することを特徴とする。
【0019】
このように、ユーザグループ情報保存部に各ユーザ毎の閲覧制限情報を保存すると共に、付加情報保存部にアップロードされた各付加情報に前記閲覧制限情報を付加して保存することによって、閲覧制限機能を実現することができる。
【0020】
(6)また、本発明は、上記(5)において、前記電子書籍類共有管理サーバは、アップロード要求された付加情報を付加する電子書籍類毎に、閲覧制限を設けるか否かの閲覧制限情報を保存する電子書籍類閲覧制限情報保存部をさらに有していることを特徴とする。
【0021】
このように、電子書籍類閲覧制限情報保存部を設けることによって、電子書籍類に対する閲覧制限情報の付加処理が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
開示の電子書籍類共有システムによれば、ユーザが複数の電子書籍端末を所持している場合でも、電子書籍類の付加情報を各ユーザ毎に個別に管理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の電子書籍類共有システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の電子書籍類共有システムにおけるユーザグループ情報の管理フローである。
【図3】拒否ステップを設けた場合のユーザグループ情報の管理フローである。
【図4】ユーザグループ登録許可/拒否フローである。
【図5】本発明の実施例1の電子書籍類共有システムにおける付加情報のアップロードにおける情報処理フローの説明図である。
【図6】本発明の実施例1の電子書籍類共有システムにおける付加情報のダウンロードにおける情報処理フローの説明図である。
【図7】実施例1の電子書籍類共有システムを教育機関に適用した場合の概念的システム構成図である。
【図8】本発明の実施例2の電子書籍類共有システム構成図である。
【図9】本発明の実施例2の電子書籍類共有システムにおける付加情報のアップロードにおける情報処理フローの説明図である。
【図10】本発明の実施例2の電子書籍類共有システムにおける付加情報のダウンロードにおける情報処理フローの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態の電子書籍類共有システムを説明する。図1は本発明の実施の形態の電子書籍類共有システムのシステム構成図であり、複数の情報端末11〜11と、複数の情報端末11〜11とネットワーク12を介して接続する電子書籍類共有管理サーバ20とからなり、電子書籍類共有管理サーバ20は複数の情報端末11〜11をユーザグループとして管理する機能を持たせる。
【0025】
電子書籍類共有管理サーバ20は、入出力処理部21、ユーザグループ管理部22、ユーザグループ情報保存部23、データ処理部24、付加情報保存部25及び電子書籍類保存部26を備えている。入出力処理部21は、ネットワーク12を介して各情報端末11〜11との間で情報の授受を行う。ユーザグループ管理部22は、入出力処理部21を介して入力された各情報端末11〜11のユーザグループ情報を管理する。
【0026】
ユーザグループ情報の管理としては、入力された所定の情報端末11が既に所定のユーザグループに登録されているか否かを確認すると共に、さらに、新規に別のユーザグループに登録するか否かの処理を行う。また、必要に応じて既設のユーザグループに加入することを認めるか否かの認定を行う機能を付与しても良い。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態の電子書籍類共有システムにおけるユーザグループ情報の管理フローであり、所定の情報端末11がユーザグループ登録要求をした時、ユーザグループ管理部22においては、ユーザグループ情報保存部23を参照して、ユーザグループ登録要求をした情報端末11がユーザグループ登録されているかどうかを確認する。
【0028】
ユーザグループ登録されている場合は、別のユーザグループに登録するかしないかをユーザに確認し、登録しない場合は、ユーザグループ登録処理を終了する。別のユーザグループに登録する場合は、ユーザグループ登録されていない場合と同じ手順でユーザ登録を行う。
【0029】
ユーザグループ登録されていない場合、ユーザグループ管理部22は、新規にユーザグループを作成するか或いは既に存在するユーザグループに登録するかをユーザに確認する。新規にユーザグループを作成する場合は、ユーザグループに登録するためのユーザネーム及びパスワード等の認証手段を設定することでユーザグループが作成される。
【0030】
既に存在するユーザグループに登録する場合、ユーザグループ管理部22は、ユーザグループ作成時に設定した認証手段によってユーザ登録を行う。この時、電子書籍類の種別に応じて既に存在するユーザグループに登録することを拒否するステップを設けても良い。例えば、電子書籍類が通常の電子書籍である場合には、拒否するステップを設ける必要はないが、電子書籍類が通知表やテスト用紙等の帳票或いは文書である場合には、第三者からの閲覧に制限を設けるために登録を拒否するステップを設けても良い。
【0031】
図3は、拒否ステップを設けた場合のユーザグループ情報の管理フローであり、所定の情報端末11がユーザグループ登録要求をした時、ユーザグループ管理部22においては、ユーザグループ情報保存部23を参照して、ユーザグループ登録要求をした情報端末11がユーザグループ登録されているかどうかを確認する。
【0032】
ユーザグループ登録されている場合は、別のユーザグループに登録するかしないかをユーザに確認し、登録しない場合は、ユーザグループ登録処理を終了する。
【0033】
別のユーザグループに登録する場合は、ユーザグループ登録許可/拒否判定を行い、登録拒否の場合にはユーザグループ登録を終了する。一方、登録許可の場合には、そのままされていない場合と同じ手順でユーザ登録を行う。
【0034】
ユーザグループ登録されていない場合、ユーザグループ管理部22は、新規にユーザグループを作成するか或いは既に存在するユーザグループに登録するかをユーザに確認する。新規にユーザグループを作成する場合は、ユーザグループに登録するためのユーザネーム及びパスワード等の認証手段を設定することでユーザグループが作成される。
【0035】
図4は、ユーザグループ登録許可/拒否フローであり、まず、認証されたユーザグループに他のユーザが存在するか否かを確認し、ユーザが存在しない場合には、登録を許可する。
【0036】
他のユーザが存在する場合には、ユーザグループ管理部22は、当該ユーザグループのユーザグループ管理者に登録要求を送信する。登録要求を受信したユーザグループ管理者は登録の許可/拒否を判断して、その結果をユーザグループ管理部22へ回答する。ユーザグループ管理者の回答が許可の場合には登録を許可し、登録拒否の場合には、登録拒否の回答を所定端末11のユーザに送信してユーザグループ登録処理を終了する。
【0037】
これによって、ユーザグループ管理者は、不都合な第三者の登録を拒否することにより個人情報等の漏洩を防止することができる。なお、ユーザグループ管理者には、新規のユーザグループを作成したユーザ或いは登録したユーザグループに他のユーザが存在しない場合に当該ユーザグループに登録したユーザが登録される。
【0038】
再び、図1を参照すると、ユーザグループ管理部22で所定の確認処理或いは登録処理を行った後、所定の情報端末11からのアップロード要求或いはダウンロード要求に応じて、データ処理部24において、アップロード要求或いはダウンロード要求された付加情報を付加情報保存部25に保存したり或いは付加情報を取り出したりする。この場合の付加情報としては、典型的には書籍に対するアンダーライン、コメント或いは付箋等であるが、通知表やテスト用紙等の帳票或いは文書等の場合には、回答、解説、評価結果等になる。
【0039】
このように、本発明の実施の形態においては、複数の情報端末をユーザグループとして管理しているので、一人のユーザが自宅と職場で異なった情報端末を操作する場合にも、各情報端末を同じユーザグループに登録しておくことで、所定の電子書籍の付加情報を共有することができる。
【0040】
また、講師、生徒及び親権者等の異なったユーザが互いに異なった情報端末を操作する場合にも、各情報端末を同じユーザグループに登録しておくことで、所定の通知表或いはテスト用紙の付加情報を共有することができる。
【0041】
この時、既設のユーザグループに登録要求があった場合に、拒否するステップを付加しておくことで、不特定の第三者にテスト結果や通知表の評価点等の個人情報の無断漏洩することを防止することができる。
【0042】
また、同じユーザグループに登録されたユーザ間で、各ユーザがアクセスすることのできる付加情報にグレードを設けることで、ユーザの地位等に応じて付加情報を管理することが可能になる。例えば、生徒や部下がアップロードした付加情報は、講師や上司を含めた同一のユーザグループに登録した全てのユーザがダウンロードできるが、講師や上司がアップロードした付加情報は、付加情報の重要度等のレベルに応じてダウンロードの制限を設けるようにすることができる。
【実施例1】
【0043】
次に、図2或いは図3に示したユーザグループ管理フローを前提として、図5乃至図7を参照して、本発明の実施例1の電子書籍共有システムを説明する。図5は、本発明の実施例1の電子書籍類共有システムにおける付加情報のアップロードにおける情報処理フローの説明図である。まず、
a.所定のユーザが情報端末11iを操作して所定の電子書籍に対する付加情報を入力する。
b.情報端末11は、入力された付加情報を、要求内容(新規登録要求、既設のユーザグループに加入要求、付加情報のアップロード要求)、書籍データ名及びユーザ名(情報端末番号)と共に送信情報としてネットワーク12に送信する。
c.ネットワーク12は指定されたアドレスの電子書籍類共有管理サーバ20へ送信情報を送信する。
d.電子書籍類共有管理サーバ20の入出力処理部21は、ネットワーク12を介して所定の情報端末11からの送信情報を受信する。
e.ユーザグループ管理部22は、ユーザグループ情報保存部23を参照して、送信情報を送信した電子書籍端末11が所属するユーザグループを検索する。なお、新規登録要求や既設のユーザグループへの加入要求がある場合には、図2の管理フローに従って、登録処理を行う。
【0044】
f.ユーザグループ管理部22は、検出されたユーザグループ情報を付加情報に付加してデータ処理部24に出力する。
g.データ処理部24は入力された付加情報を電子書籍データ、ユーザ名及びユーザグループ名と共に付加情報保存部25に格納する。
【0045】
図6は、本発明の実施例1の電子書籍類共有システムにおける付加情報のダウンロードにおける情報処理フローの説明図である。まず、
a.所定のユーザは所定の情報端末11を操作して、所定の書籍Aに関する付加情報のダウンロード要求を入力する。
b.情報端末11は所定の書籍Aに関する付加情報のダウンロード要求を書籍データ名及びユーザ名と共にダウンロード要求情報としてネットワーク12に送信する。
c.ネットワーク12は、指定されたアドレスの電子書籍類共有管理サーバ20へダウンロード要求情報を送信する。
d.電子書籍類共有管理サーバ20の入出力処理部21は、ネットワーク12を介して所定の情報端末11からのダウンロード要求情報を受信する。
e.ユーザグループ管理部22は、ユーザグループ情報保存部23を参照して、ダウンロード要求情報を送信した電子書籍端末11が所属するユーザグループを検索する。
【0046】
f.ユーザグループ管理部22は、検出されたユーザグループが一つのとき、検出されたユーザグループ情報をダウンロード要求情報に付加してデータ処理部24へ出力する。また、情報端末11が複数のユーザグループに登録していて、検出されたユーザグループが複数ある場合は、どのユーザグループの付加情報をダウンロードするかをユーザに確認し、選択されたユーザグループ情報をダウンロード要求情報に付加してデータ処理部24へ出力する。
【0047】
g.データ処理部24は入力されたユーザグループ情報及びダウンロード要求情報に基づいて付加情報保存部25から対象ユーザグループの付加情報を取り出す。
h.データ処理部24は、取り出した対象ユーザグループの付加情報を入出力処理部21へ出力する。
i.入出力処理部21は、取り出した対象ユーザグループの付加情報をダウンロード情報としてネットワーク12に送信する。
j.ネットワーク12は送信されてきたダウンロード情報を受信する。
k.ネットワーク12は、ダウンロード情報を要求元である情報端末11にダウンロード情報を送信する。
【0048】
選択したユーザグループに複数の情報端末が登録されていた場合、登録されている全ての情報端末からアップロードされた付加情報が全てダウンロードされる。したがって、同一のユーザが職場で情報端末11を操作し、自宅で情報端末11を操作している場合にも、どちらの情報端末11、11でアップロードした付加情報も共有することができる。
【0049】
或いは、講師と生徒、または、上司と部下が異なった情報端末を使用していても、同じユーザグループに登録することによって、互いに相手がアップロードした情報を互いに共有することができる。
【0050】
図7は、実施例1の電子書籍類共有システムを教育機関に適用した場合の概念的システム構成図である。学校側端末31〜31は、それぞれ各生徒userA〜userDに割り当てられており、生徒毎にユーザグループをGroupA〜GroupDとして個別に作成する。各生徒userA〜userDが付加した情報は、付加情報管理サーバ30上でユーザグループGroupA〜GroupD毎に管理する。この場合のユーザグループ管理者として、全生徒のユーザグループに登録する必要のある講師を登録する。
【0051】
生徒userAの家庭で電子書籍端末を所持している場合、インターネット33を介して付加情報管理サーバ30にアクセスし、ユーザグループ作成時に設定した手段によって認証することで、生徒userAの家庭側端末34がユーザグループGroupAに登録される。こうすることで、生徒userAの付加情報は、学校側と家庭側で共有となり、どちらの端末でも付加情報の追加・編集・削除を行うことが可能になる。この時に付加情報が共有される端末はユーザグループGroupAに登録されている端末のみのため、他の生徒userB〜userDの付加情報には反映されない。
【0052】
このシステムを用いることで、講義中に教科書に付加した情報を家庭側端末34〜34に表示させることができる。例えば、教科書を電子書籍化して電子書籍サーバ35に格納しておき、各生徒userA〜userDは電子書籍サーバ35から学校側端末31〜31に教科書データをダウンロードする。
【0053】
各生徒userA〜userDは、学校側端末31〜31から、ダウンロードした教科書データに対して付加情報を付加し、付加情報管理サーバ30にアップロードを行う。家庭側端末34〜34は、インターネットを介して学校の電子書籍サーバ35から教科書データのダウンロードを行う。また、付加情報管理サーバ30で、自身のユーザグループに家庭側端末34〜34のユーザグループ登録を行った後、家庭側端末34〜34に付加情報をダウンロードすることで、学校側端末31〜31の付加情報を家庭側端末34〜34に表示することができる。
【0054】
また、学校で行う試験を電子書籍化しておくことで、付加情報のアップロード/ダウンロードのみで回答や採点結果のやり取りを行うことが可能になる。試験用紙を電子書籍形式で作成し、電子書籍サーバ35に格納する。各生徒userA〜userDは、電子書籍サーバ35から端末に試験用紙データをダウンロードする。
【0055】
各生徒userA〜userDは、ダウンロードした試験用紙データ上に回答を記入し、付加情報管理サーバ30にアップロードを行う。全生徒のユーザグループには、事前に講師用端末32をユーザグループ登録しておくことで、講師は付加情報をダウンロードするだけで各生徒userA〜userDの回答を確認することができる。
【0056】
更に、講師が、回答が記入された試験用紙データに対して採点結果を記入し、付加情報管理サーバ30にアップロードしておくことで、各生徒userA〜userDが採点後の付加情報をダウンロードすれば、採点結果を確認することが出来る。また、家庭側端末34〜34を自身のユーザグループに登録しておけば、採点結果を家庭側端末34〜34で確認することも可能になる。
【実施例2】
【0057】
次に、図8乃至図10を参照して、本発明の実施例2の電子書籍類共有システムを説明するが、この実施例2は、付加情報をダウンロードする際に、付加情報の重要性に応じてダウンロード制限を設けたものであり、ここでも教育機関に適用した例として説明する。図8は、本発明の実施例2の電子書籍類共有システム構成図であり、図7に示したシステム構成図に生徒の親権者の親権者端末36〜36を付加したものである。この親権者端末36〜36は、それぞれの生徒の家庭側端末34〜34と同じユーザグループに登録する。
【0058】
図9は本発明の実施例2の電子書籍類共有システムにおける付加情報のアップロードにおける情報処理フローの説明図である。まず、
a.所定のユーザが情報端末11を操作して所定の電子書籍類に対する付加情報とどの程度のグレードの付加情報まで閲覧できるかを定め閲覧制限情報を入力する。なお、ここでは、電子書籍類として通知表を例に説明する。
b.情報端末11は、入力された付加情報及び閲覧制限情報を、要求内容(新規登録要求、既設のユーザグループに加入要求、付加情報のアップロード要求)、書籍データ名及びユーザ名(情報端末番号)と共に送信情報としてネットワーク12に送信する。なお、生徒等の最下位者がアップロードする付加情報には誰でも閲覧が可能な最下位のレベルの閲覧制限情報を付加する。
c.ネットワーク12は指定されたアドレスの電子書籍類共有管理サーバ20へ送信情報を送信する。
d.電子書籍類共有管理サーバ20の入出力処理部21は、ネットワーク12を介して所定の情報端末11からの送信情報を受信する。
e.ユーザグループ管理部22は、ユーザグループ情報保存部23を参照して、送信情報を送信した電子書籍端末11が所属するユーザグループを検索する。
【0059】
f.ユーザグループ管理部22は、電子書籍類閲覧制限情報保存部27を参照して、アップロード要求のあった書籍に閲覧制限が設けられているか否かを検索して、閲覧制限がある場合には、ユーザグループ情報保存部23において検出されたユーザグループ情報を付加情報及び閲覧制限情報に付加してデータ処理部24に出力する。閲覧制限が設けられていない場合には、ユーザグループ情報を付加情報に付加してデータ処理部24に出力する。
g.データ処理部24は入力された付加情報及び閲覧制限情報を電子書籍データ、ユーザ名及びユーザグループ名と共に付加情報保存部25に格納する。
【0060】
図10は本発明の実施例2の電子書籍類共有システムにおける付加情報のダウンロードにおける情報処理フローの説明図である。まず、
a.所定のユーザは所定の情報端末11を操作して、所定の通知表に関する付加情報のダウンロード要求を入力する。
b.情報端末11は所定の通知表に関する付加情報のダウンロード要求を書籍データ名(通知表名)及びユーザ名と共にダウンロード要求情報としてネットワーク12に送信する。
c.ネットワーク12は、指定されたアドレスの電子書籍類共有管理サーバ20へダウンロード要求情報を送信する。
d.電子書籍類共有管理サーバ20の入出力処理部21は、ネットワーク12を介して所定の情報端末11からのダウンロード要求情報を受信する。
e.ユーザグループ管理部22は、ユーザグループ情報保存部23を参照して、ダウンロード要求情報を送信した電子書籍端末11が所属するユーザグループを検索する。
【0061】
f.ユーザグループ管理部22は、検出されたユーザグループが一つのとき、検出された各ユーザに対して予め指定された閲覧制限情報を含むユーザグループ情報をダウンロード要求情報に付加してデータ処理部24へ出力する。また、情報端末11が複数のユーザグループに登録していて、検出されたユーザグループが複数ある場合は、どのユーザグループの付加情報をダウンロードするかをユーザに確認し、選択された閲覧制限情報を含むユーザグループ情報をダウンロード要求情報に付加してデータ処理部24へ出力する。
【0062】
g.データ処理部24は入力されたユーザグループ情報及びダウンロード要求情報に基づいて付加情報保存部25から対象ユーザグループの付加情報を取り出す。この時、付加情報保存部25に保存している各付加情報に付随している閲覧制限情報のレベルとダウンロード要求情報に付随している閲覧制限情報のレベルとを比較して閲覧可能な付加情報のみを取り出す。
h.データ処理部24は、取り出した対象ユーザグループの付加情報を入出力処理部21へ出力する。
i.入出力処理部21は、取り出した対象ユーザグループの付加情報をダウンロード情報としてネットワーク12に送信する。
j.ネットワーク12は送信されてきたダウンロード情報を受信する。
k.ネットワーク12は、ダウンロード情報を要求元である情報端末11にダウンロード情報を送信する。
【0063】
この場合、ダウンロード要求したユーザが講師の場合には、所定の通知表に付加された全ての付加情報を取り出すことができる。また、ダウンロード要求したユーザが親権者の場合には、学校側が内部で所有する非公開の情報(例えば、親権者の社会的地位に関する情報等)以外の付加情報を取り出すことができる。さらに、ダウンロード要求したのが生徒の場合には、講師が生徒に開示することを意図した付加情報のみを取り出すことができる。
【0064】
このように、本発明の実施例2においては、付加情報のレベルとユーザのレベルに応じて閲覧制限を設けているので、一つの電子書籍類に対して秘密情報を含む数多くの付加情報を付与することができ、電子書籍類の共有化管理が簡単になる。
【0065】
このような付加情報管理システムを企業に適用する場合には、所定のプロジェクトの企画書等に役職に応じてダウンロード要求できる付加情報のレベルを設定しておけば、一般社員には社内公報程度の情報を提供し、役職が高くなるにつれて企業秘密に近い経営情報等を含む付加情報を同時にダウンロードするようにすることができる。
【符号の説明】
【0066】
11〜11 情報端末
12 ネットワーク
20 電子書籍類共有管理サーバ
21 入出力処理部
22 ユーザグループ管理部
23 ユーザグループ情報保存部
24 データ処理部
25 付加情報保存部
26 電子書籍類保存部
27 電子書籍類閲覧制限情報保存部
30 付加情報管理サーバ
31〜31 学校側端末
32 講師用端末
33 インターネット
34〜34 家庭側端末
35 電子書籍サーバ
36〜36 親権者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報端末と、
前記複数の情報端末とネットワークを介して接続する電子書籍類共有管理サーバとを有し、
前記電子書籍類共有管理サーバは、共有化された電子書籍類の付加情報について、各ユーザ毎にユーザグループ登録を行ってユーザグループ単位で管理を行う機能を有することを特徴とする電子書籍類共有システム。
【請求項2】
前記電子書籍類共有管理サーバは、前記共有化された電子書籍類の付加情報に対するアップロード要求或いはダウンロード要求するユーザに対して、ユーザグループ登録の許可/拒否を判定する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の電子書籍類共有システム。
【請求項3】
前記電子書籍類共有管理サーバは、各ユーザ毎及び各付加情報毎に閲覧制限を設ける機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子書籍類共有システム。
【請求項4】
前記電子書籍類共有管理サーバは、前記ネットワークとの間でアップロード要求情報及びダウンロード要求情報の授受を行う入出力処理部と、
アップロード要求或いはダウンロード要求した各ユーザをユーザグループ毎に管理するユーザグループ管理部と、
ユーザグループ情報を保存するユーザグループ情報保存部と、
アップロード要求された付加情報の保存とダウンロード要求された付加情報の取り出しを行うデータ処理部と、
アップロード要求された付加情報を保存する付加情報保存部と
を少なくとも有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子書籍類共有システム。
【請求項5】
前記ユーザグループ情報保存部は、前記各ユーザ毎の閲覧制限情報を保存すると共に、
前記付加情報保存部が、アップロードされた各付加情報に前記閲覧制限情報を付加して保存することを特徴とする請求項4に記載の電子書籍類共有システム。
【請求項6】
前記電子書籍類共有管理サーバは、アップロード要求された付加情報を付加する電子書籍類毎に、閲覧制限を設けるか否かの閲覧制限情報を保存する電子書籍類閲覧制限情報保存部をさらに有していることを特徴とする請求項5に記載の電子書籍類共有システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−248149(P2012−248149A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121683(P2011−121683)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】