説明

電子材料用洗浄剤及び洗浄方法

【課題】 ガラス又はシリコン基板表面の平坦性を損ねることなく、優れたパーティクルの除去性を実現し、低起泡性かつ経時安定性に優れた電子材料用洗浄剤及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】アニオン成分が一般式(1)で示されるアニオン性界面活性剤(A)と、炭素数6〜18のアルケン及び一般式(2)で示される有機溶剤からなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(B)と、アルカリ成分(C)とを含有してなり、前記(B)のSP値が6〜13であり、有効成分濃度0.1〜15%における25℃でのpHが10〜14であることを特徴とする電子材料用洗浄剤。
1[−(OA1a−Q-b (1)
3[−(OA2c−OH]d (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子材料用洗浄剤及び洗浄方法に関する。更に詳しくはフラットパネルディスプレイ、フォトマスク、ハードディスク又は半導体の基板用として好適な洗浄剤及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子材料の洗浄技術において、製造時における基板上に残存する微量の有機物汚れやガラスカレット及び砥粒等の不純物が電子材料の性能や歩留まりに大きく影響するため、その管理が極めて重要になってきている。特に洗浄対象となる不純物がより微粒子(パーティクル)化してきており、今まで以上に界面へ付着し、残存しやすくなることから、高度洗浄技術の確立が急務となっている。このため、これらのパーティクルによる汚染を防止するために、界面活性剤を用いて、パーティクルの除去性を向上させる方法が提案されている(特許文献−1〜4参照)。
【0003】
しかし、フラットパネルディスプレイ用、フォトマスク用、ハードディスク用及び半導体用のガラス又はシリコン基板製造工程において、マザーガラスから必要に応じて適切な大きさにガラス基板を切断する際に発生するガラスの切粉(通称ガラスカレット)や、クリーンルーム内に飛散している粉塵や加工油等の有機物汚れ、基板表面をテクスチャリングする工程の際に使用する研磨剤や研磨屑等が基板表面に強固に付着し、洗浄工程で十分に除去できないといった問題がある。
これらのガラスカレットや有機物汚れ、研磨剤及び研磨屑に代表されるパーティクルは、基板表面に強固に付着しているため、これらを十分に除去するためには、基板又は研磨剤表面を僅かにエッチングし、パーティクルを液中に分散させ、更に液中に分散したパーティクルを基板表面に再付着しないようにする必要がある。しかし、特許文献−1で提案されている洗浄剤は、アルキルグルコシド、グリセリルエーテル及び炭化水素を含有する洗浄剤であり、有機汚れに対する除去性は期待できるが、ガラスカレットの除去性が不十分であり、更にアルカリ剤を含有することによりエッチングによるパーティクル除去が期待できるが、洗浄後の基板表面が荒れるという問題がある。また、特許文献−2では、特定の非イオン性界面活性剤、特定のグリコールエーテル化合物及び炭化水素を含有する洗浄剤と、炭化水素、特定のグリコールエーテル、アニオン性界面活性剤及びジメチルスルホキシドを含有する洗浄剤が提案されているが、前者の洗浄剤は、パーティクル除去の性能を向上させるために非イオン性界面活性剤を使用しており、界面活性剤成分が電子材料表面に残りやすいためリンス性が悪く、歩留り率が低下するという問題があり、また、後者の洗浄剤は、浸透性向上を目的として平均炭素数10〜20のスルホコハク酸型アニオン性界面活性剤等を含有しており、パーティクルの除去性に改善は見られるものの、起泡性が非常に高く、また泡切れ性に乏しいため、ハンドリング性に問題がある。また、特許文献−3で提案されている洗浄剤はフッ化水素及びオゾンを溶存した洗浄剤であり、基板表面に強固に付着したパーティクルをエッチングにより除去する効果は期待できるが、フッ素イオンを含むため排水処理に多大なコストがかかること、強いエッチング性を制御できないため、洗浄時に基板の平坦性を損ねるという問題がある。また、特許文献−4で提案されている洗浄剤はアニオン性界面活性剤を用いることで、パーティクルの再付着防止効果はある程度改善できるもののエッチング性がほとんど無いため、パーティクル除去性が不十分であり、洗浄性が十分でないという問題がある。
【特許文献−1】特開2007−39627号公報
【特許文献−2】特開2004−2691号公報
【特許文献−3】特開2001−276759号公報
【特許文献−4】特開2002−212597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ガラス又はシリコン基板表面の平坦性を損ねることなく、優れたパーティクルの除去性を実現し、低起泡性かつ経時安定性に優れた電子材料用洗浄剤及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、アニオン成分が一般式(1)で示されるアニオン性界面活性剤(A)と、炭素数6〜18のアルケン及び一般式(2)で示される有機溶剤からなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(B)と、アルカリ成分(C)とを含有してなり、前記(B)のSP値が6〜13であり、有効成分濃度0.1〜15%における25℃でのpHが10〜14であることを特徴とする電子材料用洗浄剤及び該洗浄剤を用いる電子材料の洗浄方法である。
1[−(OA1a−Q-b (1)
[式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、Q-は−COO-、−OCH2COO-、−SO3-、−OSO3-又は−OPO2(OR2)-、R2は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基、aは平均値であって0〜20、bは1〜6の整数、Q-が−COO-又は−SO3-の場合aは0である。]
3[−(OA2c−OH]d (2)
[式中、R3は炭素数1〜12の炭化水素基、A2は炭素数2〜4のアルキレン基、cは平均値であって0〜20、dは1〜6の整数である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子材料用洗浄剤は、フラットパネルディスプレイ用、フォトマスク用、ハードディスク用及び半導体用のガラス又はシリコン基板製造工程において基板表面の平坦性を損ねることなく、適度にコントロールされたエッチング性を付与することで、強固に付着した微小なパーティクルを基板表面から脱離させ、更に脱離したパーティクルを洗浄剤中に安定に分散させることで、優れたパーティクルの除去性を実現し、低起泡性かつ経時安定性に優れ、製造時における歩留まり率の向上や短時間で洗浄が可能となる極めて効率的な高度洗浄を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(A)は、アニオン成分及びカチオン成分からなり、アニオン成分は、前記一般式(1)で示される。
【0008】
一般式(1)におけるR1は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R1としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の分岐の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭素数1〜10の直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基並びに炭素数2〜10のアルキレングリコール、グリセリン及びソルビトール等から水酸基を除いた残基等が挙げられる。
炭素数3〜10の分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基、イソ又はtert−ブチル基、イソ又はネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソ又はsec−ノニル基、イソ又はsec−デシル基、1−エチルオクチル基及び一般式(3)で示される炭化水素基が挙げられる。
【0009】
【化1】

[式中、R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、かつR4とR5の炭素数の合計は3〜8、eは0〜2の整数であり、R4とR5の炭素数の合計が8の場合eは0又は1である。]
【0010】
一般式(3)におけるR4及びR5の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基、イソ又はn−ブチル基、sec−、イソ−又はtert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基及び1−エチル−2−メチルプロピル基が挙げられる。
【0011】
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、一般式(4)で示される炭化水素基が挙げられる。
【化2】

[式中、f個のR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基で、かつf個のR6の炭素数の合計は4以下であり、fは1〜4の整数である。]
一般式(4)におけるR6としては、前記一般式(3)におけるR4及びR5として例示したアルキル基の内の炭素数1〜4のものが挙げられる。
【0012】
これらのR1の内、パーティクル除去性及び低起泡性の観点から好ましいのは、炭素数4〜10の炭化水素基であり、更に好ましいのは一般式(3)又は(4)で示される炭化水素基である。
【0013】
一般式(1)におけるA1は炭素数2〜4のアルキレン基であり、A1としては、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレン基が挙げられる。これらの内、経時安定性及び低起泡性の観点から好ましいのはエチレン基及び1,2−プロピレン基であり、A1は1種のアルキレン基の単独使用又は2種以上のアルキレン基の併用であってもよい。
(A1O)は、後述の通り、アルキレンオキサイド(以下、AOと略記)のアルキレンがA1であるものの付加反応により形成されるため、これらの付加物における付加モル数は分布を有している。従ってaは平均値で表され、通常0〜20であり、経時安定性の観点から好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜5、特に好ましくは0である。
尚、(A1O)の形成に当たり、2種以上のAOを併用する場合は、ブロック付加(チップ型、バランス型及び活性セカンダリー型等)でもランダム付加でも両者の混合系[ランダム付加後にチップしたもの:分子中に任意に分布されたオキシエチレン鎖を0〜50 %(好ましくは5〜40%)有し、0〜30%(好ましくは5〜25%)のオキシエチレン鎖が分子末端にチップされたもの]でもよい。
上記及び以下において特に規定しない限り、%は重量%を表す。
【0014】
一般式(1)におけるQ-は−COO-、−OCH2COO-、−SO3-、−OSO3-又は−OPO2(OR2)-であり、洗浄剤リンス性の観点から、−OSO3-及び−OPO2(OR2)-が好ましい。
尚、Q-が−COO-又は−SO3-の場合は、前記aは0である。
2は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、炭素数1〜10の炭化水素基としては、一般式(1)におけるR1で例示したものと同様のものが挙げられ、パーティクルの分散安定性の観点から好ましいのは、炭素数4〜10の炭化水素基であり、更に好ましいのは一般式(3)又は(4)で示される炭化水素基である。
一般式(1)におけるbは1〜6の整数であって、洗浄後の表面平坦性の観点から、1〜3が好ましく、更に好ましくは1である。
【0015】
アニオン性界面活性剤(A)を構成するアニオン成分の具体例としては、メタノール、エタノール、1−又は2−プロパノール、1−、2−又はtert−ブタノール、1−、2−又は3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−、2−又は3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール、1−、2−、3−又は4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、1−、2−、3−又は4−オクタノ−ル、6−メチル−2−ヘプタノール、2,2−ジメチル−3−ヘキサノール、2,5−ジメチル−3−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘプタノール、5−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−3−ヘプタノール、2,2−ジメチル−3−ヘプタノール、1−、2−、3−、4−又は5−ノナノール、2−メチル−3−オクタノール、1−、2−、3−、4−又は5−デカノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン及びソルビトール等のアルコール並びにこれらの炭素数2〜4のAO(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等)付加物(付加モル数1〜20)の硫酸エステル又はリン酸エステルからプロトンを除いたアニオン;プロパン酸、2−メチルプロパン酸、2,2−ジメチルプロパン酸、ブタン酸、2−メチル又は3−メチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,3−ジメチル又は3,3−ジメチルブタン酸、2−エチル−3−メチルブタン酸、ペンタン酸、2−、3−又は4−メチルペンタン酸、2−又は3−エチルペンタン酸、2−n−プロピル又はイソプロピルペンタン酸、2,4−ジメチルペンタン酸、2,4,4−又は3,4,4−トリメチルペンタン酸、ヘキサン酸、2−、3−、4−又は5−メチルヘキサン酸、2−、3−又は4−エチルヘキサン酸、2−又は3−n−プロピルヘキサン酸、2−又は3−イソプロピルヘキサン酸、2,5−又は3,5−ジメチルヘキサン酸、2,5,5−又は3,5,5−トリメチルヘキサン酸、ヘプタン酸、2−、3−、4−、5−又は6−メチルへプタン酸、2−、3−、4−又は5−エチルヘプタン酸、2−、3−又は4−n−プロピルヘプタン酸、2−、−3又は4−イソプロピルヘプタン酸、2,6−又は3,6−ジメチルヘプタン酸、2,6,6−、2,4,6−又は3,6,6−トリメチルヘプタン酸、オクタン酸、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクタン酸、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクタン酸、2,7−又は3,7−ジメチルオクタン酸、ノナン酸及び2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−メチルノナン酸からプロトンを除いたアニオン;1−メチルプロパンスルホン酸、1−メチルペンタンスルホン酸及び1−エチルブタンスルホン酸からプロトンを除いたアニオン;上記アルコール又はそれらの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数1〜20)と2−クロロ酢酸塩(カリウム塩又はナトリウム塩)との反応により得られるアルキルエーテルカルボン酸塩におけるアニオン;ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及び安息香酸からプロトンを除いたアニオン等が挙げられる。
【0016】
これらのアニオン性界面活性剤(A)を構成するアニオン成分の内、パーティクル除去性及び低起泡性の観点から好ましいのは、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール及びこれらの炭素数2〜4のAO(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等)付加物(付加モル数1〜20)の硫酸エステル又はリン酸エステルからプロトンを除いたアニオン並びに2−エチルペンタン酸、2−n−プロピルペンタン酸、2−イソプロピルペンタン酸、2,4,4−又は3,4,4−トリメチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−n−プロピルヘキサン酸、2−イソプロピルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘプタン酸、2−メチルオクタン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びキシレンスルホン酸からプロトンを除いたアニオンであり、更に好ましいのは、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール及び3,7−ジメチル−1−オクタノールの硫酸エステル又はリン酸エステルからプロトンを除いたアニオン並びに2−n−プロピルペンタン酸、2−イソプロピルペンタン酸、2,4,4−又は3,4,4−トリメチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、パラトルエンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸及びパラキシレンスルホン酸からプロトンを除いたアニオンであり、特に好ましいのは、2−エチル−1−ヘキサノールの硫酸エステル又はリン酸エステルからプロトンを除いたアニオン並びにオクタン酸、パラトルエンスルホン酸及びメタキシレンスルホン酸からプロトンを除いたアニオンであり、最も好ましいのは、2−エチル−1−ヘキサノールの硫酸エステル、パラトルエンスルホン酸及びメタキシレンスルホン酸からプロトンを除いたアニオンである。
【0017】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(A)を構成するカチオン成分としては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、炭素数0〜25のアンモニウムカチオン、ヒドロキシルアミンにプロトンが付加したカチオン、炭素数1〜36の脂肪族アミンにプロトンが付加したカチオン、炭素数4〜10のアミジン化合物にプロトンが付加したカチオン、炭素数1〜23のアルカノールアミンにプロトンが付加したカチオン及び炭素数6〜20の芳香族又は芳香脂肪族アミンにプロトンが付加したカチオンが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
アルカリ金属カチオンとしては、ナトリウムカチオン及びカリウムカチオン等が挙げられる。
アルカリ土類金属カチオンとしては、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオン等が挙げられる。
【0019】
炭素数0〜25のアンモニウムカチオンとしては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチルビニルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム及びオクタデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0020】
炭素数1〜36の脂肪族アミンにプロトンが付加したカチオンにおける炭素数1〜36の脂肪族アミンとしては、炭素数1〜12のアルキルアミン、炭素数2〜6のアルキレンジアミン、炭素数3〜7の環状アミン、ポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン及びこれらの炭素数2〜4のAO(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキルアミンとしては、炭素数1〜6のモノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン及びヘキシルアミン等)並びに炭素数2〜12のジアルキルアミン(ジメチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、ブチルメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン及びジヘキシルアミン等)等が挙げられる。
炭素数2〜6のアルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
炭素数3〜7の環状アミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペラジン、キヌクリジン、2−ピリジンアミン、cis−3−メチルシクロヘキシルアミン及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等が挙げられる。
ポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミンとしては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等が挙げられる。
【0021】
炭素数4〜10のアミジン化合物にプロトンが付加したカチオンにおける炭素数4〜10のアミジン化合物としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(以下、DBUと略記)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(以下、DBNと略記)、2−メチルイミダゾール、2−ブチルベンゾイミダゾール及び2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0022】
炭素数1〜23のアルカノールアミンにプロトンが付加したカチオンにおける炭素数1〜23のアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(アミノエチル)エタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール及びこれらの炭素数2〜4のAO(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。
【0023】
炭素数6〜20の芳香族又は芳香脂肪族アミンにプロトンが付加したカチオンにおける炭素数6〜20の芳香族又は芳香脂肪族アミンとしては、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン、ナフタレンジアミン、アントラセンジアミン、ベンジルアミン、キシリレンジアミン及びこれらの炭素数2〜4のAO(エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。
【0024】
これらのカチオン成分の内、パーティクル除去性の観点から、アルカリ金属カチオン、炭素数1〜15の脂肪族アミンにプロトンが付加した1価のカチオン、炭素数4〜10のアミジン化合物にプロトンが付加したカチオン及び炭素数1〜15のアルカノールアミンにプロトンが付加した1価のカチオンが好ましく、更に好ましいのは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン並びにトリメチルアミン、DBU、DBN及びジエタノールアミンにプロトンが付加したカチオン、特に好ましいのは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、DBUにプロトンが付加したカチオン及びジエタノールアミンにプロトンが付加したカチオンである。
【0025】
アニオン性界面活性剤(A)は、一般式(1)においてQ-が−COO-、−SO3-、−OSO3-又は−OPO2(OR2)-の場合、例えばアニオン成分とプロトンとからなる酸と、前記アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン若しくは炭素数0〜25のアンモニウムカチオンと水酸基アニオンからなるアルカリ性化合物又は前記炭素数1〜15のアミン若しくは炭素数2〜36の多価(2〜7価)アミンとの中和反応により製造することができる。中和反応の温度は通常10〜60℃、時間は通常30〜200分である。中和度は通常95〜100%であり、中和物のpH(中和物の5%水溶液)は通常7〜12である。
【0026】
一般式(1)においてQ-が−OSO3-又は−OPO2(OR2)-の場合、アニオン成分とプロトンとからなる酸は、例えば以下の(1)及び(2)の反応により製造できる。
(1)AOの付加反応
一般式(1)におけるR1に水酸基が置換した化合物の水酸基に炭素数2〜4のAOを通常の方法で付加させる。具体的には、上記水酸基含有化合物を加圧反応容器に仕込み、無触媒又は触媒の存在下(特にAO付加の後半の段階で)にAOを吹き込み、常圧又は加圧下に1段階又は多段階で反応を行なう。触媒としては、アルカリ触媒、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物;酸[過ハロゲン酸(過塩素酸、過臭素酸及び過ヨウ素酸)、硫酸、燐酸及び硝酸等(好ましくは過塩素酸)]並びにこれらの塩[好ましくは 2価又は3価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu及びAl等)の塩]が挙げられる。
反応温度は通常50〜150℃、反応時間は通常2〜20時間である。
AO付加反応終了後は、必要により触媒を中和し吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
【0027】
(2)硫酸エステル化反応又はリン酸エステル化反応
一般式(1)におけるR1に水酸基が置換した化合物又は上記の(1)で得られたAO付加物の末端水酸基を硫酸エステル化又はリン酸エステル化することによって硫酸エステル化物又はリン酸エステル化物が得られる。
エステル化の方法としては、例えば(i)クロロスルホン酸を用いる方法、(ii)サルファンを用いる方法、(iii)スルファミン酸を用いる方法、(iv)硫酸を用いる方法、(v)リン酸を用いる方法等が挙げられる。(ii)のサルファンについては、乾燥窒素等で希釈して用いる。
反応温度は、(i)及び(ii)の場合は、通常−10〜70℃、好ましくは−5〜40℃である。(iii)、(iv)及び(v)の場合は、通常50〜150℃、好ましくは60〜130℃である。
エステル化反応の終点は、56100/(エステル化合物の分子量)で表される酸価(AV)が、理論値の70〜110%となる点であり、好ましくは80〜105%となる点である。
【0028】
一般式(1)においてQ-が−SO3-の場合、アニオン成分とプロトンとからなる酸は、例えばハロゲン化アルキル又はアルキル硫酸塩と亜硫酸アルカリを反応させる方法、発煙硫酸を用いて炭化水素を直接スルホン化する方法及び紫外線照射下で炭化水素に二酸化硫黄と塩素を反応させる方法等により製造することができる。
【0029】
一般式(1)においてQ-が−COO-の場合、アニオン成分とプロトンとからなる酸は、例えば高圧分解法(8〜50気圧)又はトイッチェル分解法(トイッチェル分解剤及び少量の硫酸を添加して脂肪酸ピッチを除去する)による天然油脂の加水分解によって製造することができる。
【0030】
一般式(1)においてQ-が−OCH2COO-の場合、アニオン性界面活性剤(A)は、例えば一般式(1)におけるR1に水酸基が置換した化合物又は上記の(1)で得られたAO付加物とモノクロロ酢酸塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)とをアルカリ(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)の存在下でカルボキシメチル化することにより製造できる。
【0031】
本発明における有機溶剤(B)としては、炭素数6〜18のアルケン、一般式(2)で示される有機溶剤及びこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
炭素数6〜18のアルケンとしては、炭素数6〜18の直鎖又は分岐のアルケンが挙げられ、具体的には、1−ヘキセン、2−ヘプテン、3−オクテン、4-ノネン、5−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、ブチレンダイマー、ブチレントリマー、ブチレンテトラマー、イソブチレントリマー、プロピレンダイマー、プロピレントリマー、プロピレンテトラマー及びプロピレンペンタマー等が挙げられる。
【0033】
一般式(2)におけるR3は炭素数1〜12の炭化水素基であって、有機物汚れ除去性能の観点から水素又は炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。
炭素数1〜12の炭化水素基としては、前記一般式(1)におけるR1として例示した炭素数1〜10の炭化水素基、n−、sec−又はイソウンデシル基及びn−、sec−又はイソドデシル基等が挙げられる。
【0034】
一般式(2)におけるA2は炭素数2〜4のアルキレン基(エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基及び1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレン基等)であって、経時安定性及び低起泡性の観点から好ましいのはエチレン基及び1,2−プロピレン基であり、A2は1種のアルキレン基の単独使用又は2種以上のアルキレン基の併用であってもよい。
(A2O)は、一般式(1)における(A1O)と同様に形成されるため、その付加モル数は分布を有している。従ってcは平均値で表され、通常0〜20であり、経時安定性の観点から好ましくは0〜10である。
【0035】
一般式(2)におけるdは1〜6の整数であって、洗浄後のリンス性の観点から、好ましくは1〜3、更に好ましくは1である。
【0036】
一般式(2)で示される有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコールエチレンオキサイド(10モル)付加物、イソプロピルアルコールエチレンオキサイド(5モル)付加物、アリルアルコールエチレンオキサイド(5モル)プロピレンオキサイド(15モル)ブロック付加物、グリセリンエチレンオキサイド(15モル)プロピレンオキサイド(2モル)ランダム付加物及びソルビトールエチレンオキサイド(2モル)付加物等が挙げられる。
【0037】
有機溶剤(B)の内、パーティクル除去性の観点から好ましいものは、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、イソブチレントリマー、プロピレンテトラマー、プロピレンペンタマー、2−エチルヘキサノール、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルであり、更に好ましいものは1−ドデセン、イソブチレントリマー、プロピレンテトラマー、プロピレンペンタマー、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルである。
【0038】
(B)は、炭素数6〜18のアルケン及び一般式(2)で示される有機溶剤の内の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
(B)のSP値は、通常6〜13であり、好ましくは7〜12、更に好ましくは8〜11である。SP値が6未満又は13を超えると有機汚れ除去性が悪くなる。
尚、SP値は、「Polymer Engineering and Science,Vol.14,No.2,p147〜154(1974)」に記載のFedors法によって計算される値である。
【0040】
アルカリ成分(C)としては、アンモニア、ヒドロキシルアミン、第4級アンモニウムハイドロキサイド(C−1)、炭素数1〜36の脂肪族アミン(C−2)、無機アルカリ(C−3)、炭素数1〜23のアルカノールアミン(C−4)、炭素数4〜10のアミジン化合物(C−5)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
(C−1)としては、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、エチルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、トリエチルメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラペンチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラヘキシルアンモニウムハイドロキサイド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロキサイド、ジヒドロキシエチルジメチルアンモニウムハイドロキサイド及びトリヒドロキシエチルメチルアンモニウムハイドロキサイド等が挙げられる。
【0042】
(C−2)としては、前記アニオン性界面活性剤(A)を構成するカチオン成分の記載において例示した炭素数1〜36の脂肪族アミンと同様のものが挙げられる。
【0043】
(C−3)としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0044】
(C−4)としては、前記アニオン性界面活性剤(A)を構成するカチオン成分の記載において例示した炭素数1〜23のアルカノールアミンと同様のものが挙げられる。
【0045】
(C−5)としては、前記アニオン性界面活性剤(A)を構成するカチオン成分の記載において例示した炭素数4〜10のアミジン化合物と同様のものが挙げられる。
【0046】
(C)の内、エッチング性及び洗浄後の水の接触角(リンス性)の観点から、(C−2)、(C−3)、(C−4)、(C−5)及びこれらの混合物が好ましく、更に好ましいのは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、DBU、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンエチレンオキサイド(2モル)付加物、シクロヘキシルアミンプロピレンオキサイド(2モル)付加物、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンエチレンオキサイド(5モル)付加物、トリエタノールアミンプロピレンオキサイド(5モル)付加物、N,N−ジメチルエタノールアミンエチレンオキサイド(3モル)付加物、N,N−ジメチルエタノールアミンエチレンオキサイド(3モル)付加物及びこれらの混合物である。
【0047】
本発明の電子材料用洗浄剤は、更に以下の高分子型分散剤(D)及びキレート剤(E)からなる群から選ばれる1種以上を含有することができる。
【0048】
本発明の電子材料用洗浄剤は、高分子型分散剤(D)を含有することにより、パーティクルの分散性及び再汚染防止性が更に向上する。
【0049】
(D)としては、重量平均分子量(以下、Mwと略記)が2,500〜800,000であるスルホン酸(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−1)、硫酸エステル(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−2)、リン酸エステル(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−3)、ホスホン酸(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−4)、カルボン酸(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−5)並びに多糖類及びその誘導体(D−6)等が挙げらる。
(D)の具体例としては以下のものが挙げられる。
【0050】
スルホン酸(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−1):
ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、ポリ[2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸]、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/(メタ)アクリル酸/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びアニリンスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等並びにこれらの塩;
【0051】
硫酸エステル(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−2):
ポリ[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル]、2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート硫酸エステル共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート硫酸エステル共重合体、ポリ[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート]の硫酸エステル化物、ポリ[(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル]、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステル/アクリル酸共重合体及びセルロース、メチルセルロース又はエチルセルロースの硫酸エステル化物等並びにこれらの塩;
【0052】
リン酸エステル(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−3):
ポリ[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートリン酸エステル]、2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステル共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル共重合体、ポリ[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート]のリン酸エステル化物、ポリ[(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル]、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル/アクリル酸共重合体及びセルロース、メチルセルロース又はエチルセルロースのリン酸エステル化物等並びにこれらの塩;
【0053】
ホスホン酸(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−4):
ポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸]、2−ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルオキシエチルホスホン酸共重合体及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリロイルオキシエチルホスホン酸共重合体、ナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンホスホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びアニリンホスホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等並びにこれらの塩;
【0054】
カルボン酸(塩)基を有する高分子型アニオン性界面活性剤(D−5):
ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−イタコン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−フマル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニル共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート]のカルボキシメチル化物、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、安息香酸ホルムアルデヒド縮合物及び安息香酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等並びにこれらの塩;
【0055】
多糖類及びその誘導体(D−6):
ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、カチオン化デンプン等、ポバール並びにリン酸エステル[フィチン酸、ジ(ポリオキシエチレン)アルキルエーテルリン酸及びトリ(ポリオキシエチレン)アルキルエーテルリン酸等]等;
等が挙げられる。
【0056】
(D)が塩を形成する場合の対イオンとしては特に限定無いが、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アンモニウム塩、1級アミン塩(メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン並びにグアニジン等)、2級アミン塩(ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン並びにジエタノールアミン等)、3級アミン塩(トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、DBU、DBN並びにDABCO等)並びに第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)が挙げられる。
【0057】
(D)の内、パーティクルの分散性の観点から(D−1)及び(D−5)が好ましく、更に好ましいのは、ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体並びにこれらの塩、特に好ましいのは、ポリ(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体並びにこれらの塩である。
【0058】
(D)Mwは、パーティクルの再付着防止性及び低起泡性の観点等から、3,000〜400,000が好ましく、更にに好ましくは4,000〜80,000、特に好ましくは5,000〜40,000である。
本発明におけるMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリエチレンオキシドを基準物質として40℃で測定される[例えば、装置本体:HLC−8120(東ソー株式会社製)、カラム:東ソー株式会社製TSKgel α6000、G3000 PWXL、検出器:装置本体内蔵の示差屈折計検出器、溶離液:0.5%酢酸ソーダ・水/メタノール(体積比70/30)、溶離液流量:1.0ml/分、カラム温度:40℃、試料:0.25%の溶離液溶液、注入量:200μl、標準物質:東ソー株式会社社製TSK TANDARD POLYETHYLENE OXIDE、データ処理ソフト:GPC−8020modelII(東ソー株式会社製)]。
【0059】
本発明の電子材料用洗浄剤は、キレート剤(E)を含有することにより、基板のエッチング性を更にコントロールしやすくなり、パーティクルの分散安定性も更に向上する。
【0060】
(E)としては、アミノポリカルボン酸(塩)(E−1)[例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(塩)(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(塩)(DTPA)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(塩)(TTHA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(塩)(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(塩)(DHEDDA)、ニトリロ酸酢酸(塩)(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(塩)(HIDA)、β−アラニンジ酢酸(塩)、アスパラギン酸ジ酢酸(塩)、メチルグリシンジ酢酸(塩)、イミノジコハク酸(塩)、セリンジ酢酸(塩)、ヒドロキシイミノジコハク酸(塩)、ジヒドロキシエチルグリシン(塩)、アスパラギン酸(塩)及びグルタミン酸(塩)];
ヒドロキシカルボン酸(塩)(E−2)[例えば、ヒドロキシ酢酸(塩)、酒石酸(塩)、クエン酸(塩)及びグルコン酸(塩)];
エーテルカルボン酸(塩)(E−3)[例えば、カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノサクシネート及び酒石酸ジサクシネート];
その他カルボン酸(塩)(E−4)[例えば、マレイン酸誘導体及びシュウ酸(塩)];
ホスホン酸(塩)(E−5)[例えば、メタンジホスホン酸(塩)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(塩)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)(塩)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)及びテトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)(塩)];
縮合リン酸(塩)(E−6)[例えば、メタリン酸(塩)、トリポリリン酸(塩)及びヘキサメタリン酸(塩)];
等が挙げられる。
尚、(E)が塩を形成する場合の対イオンとしては、上述の高分子型分散剤(D)で例示したものが挙げられる。またこれらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
(E)の内で基板のエッチング性コントロール及び洗浄性能の観点から好ましいのは、(E−1)、(E−2)、(E−4)、(E−5)及び(E−6)であり、更に好ましいのは(E−1)、(E−2)、(E−5)及び(E−6)、特に好ましいのはエチレンジアミンテトラ酢酸(塩)(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(塩)(DTPA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(塩)(DHEDDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(塩)、アスパラギン酸(塩)、グルタミン酸(塩)、クエン酸(塩)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(塩)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)、メタリン酸(塩)及びヘキサメタリン酸(塩)、とりわけ好ましいのはクエン酸(塩)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(塩)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸(塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(塩)及びヘキサメタリン酸(塩)である。
【0062】
尚、本願発明のアニオン性界面活性剤(A)の内のシクロカルボン酸(塩)[例えば、ピロメリット酸(塩)、ベンゾポリカルボン酸(塩)及びシクロペンタンテトラカルボン酸(塩)]もキレート剤としての効果を有する。
【0063】
本発明の電子材料用洗浄剤は、洗浄剤の効果を損なわない範囲において、更にその他の添加剤(F)を含有してもよい。(F)としては、還元剤、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、防腐剤及びハイドロトロープ剤等が挙げられる。
【0064】
還元剤としては、炭素数6〜70のレダクトン類[例えば、L−アスコルビン酸(塩)、イソアスコルビン酸(塩)、5,6−アルキリデン−L−アスコルビン酸{5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸、5,6−(ブタン−2−イリデン)−L−アスコルビン酸及び5,6−(ペンタン−3−イリデン)−L−アスコルビン酸等}(塩)、L−アスコルビン酸−6−カルボン酸エステル(L−アスコルビン酸−6−酢酸エステル及びL−アスコルビン酸−6−プロパン酸エステル等)(塩)、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸グルコシド(塩)、アスコルビン酸イソパルミチン酸エステル(塩)、エリソルビン酸(塩)、エリソルビン酸リン酸エステル(塩)、エリソルビン酸パルミチン酸エステル(塩)及びテトライソパルミチン酸エリソビル(塩)];炭素数6〜9の芳香族アミン(p−フェニレンジアミン及びp−アミノフェノール等);炭素数6〜30のフェノール化合物[一価フェノール化合物{3−ヒドロキシフラボン及びトコフェロール(α−、β−、γ−、δ−、ε−又はη−トコフェロール)等}及びポリフェノール(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ナフトレゾルシノール、ピロガロール及びフロログルシノール等)等];リン系還元剤 (トリス‐2‐カルボキシエチルホスフィン等);アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及びビニルアルデヒド等);ボラン系錯体(ボラン−tert−ブチルアミン錯体、ボラン−N,N−ジエチルアニリン錯体及びボラン−トリメチルアミン錯体等);チオール系還元剤(L−システイン及びアミノエタンチオール等);ヒドロキシルアミン系還元剤(ヒドロキシルアミン及びジエチルヒドロキシルアミン等);無機還元剤[亜硫酸(塩)、二亜硫酸(塩)、亜ジチオン酸(塩)、チオ硫酸(塩)、ジチオン酸(塩)、ポリチオン酸(塩)、亜リン酸(塩)、亜リン酸水素酸(塩)、次亜リン酸(塩)、硫酸第1鉄、塩化第2スズ、水酸化シアノホウ素ナトリウム及び水酸化ホウ素ナトリウム等];等が挙げられる。
【0065】
還元剤が塩を形成する場合の対イオンとしては、上述の高分子型分散剤(D)で例示したものと同様のものが使用できる。還元剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、前述のアルカリ成分(C)として例示した(C−2)、(C−4)及び(C−5)も還元剤としての効果を有する。
【0066】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール及び2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール等)、アミン系酸化防止剤(モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン;4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン等のジアルキルジフェニルアミン;テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン等のポリアルキルジフェニルアミン;α−ナフチルアミン及びフェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン等)、硫黄系化合物[フェノチアジン、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)及びビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド等]並びにリン系酸化防止剤[ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスフィト、ジフェニルジイソオクチルホスファイト及びトリフェニルホスファイト等]等が挙げられる。
【0067】
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、炭素数2〜10の炭化水素基を有するベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、炭素数2〜20炭化水素基を有するイミダゾール、炭素数2〜20炭化水素基を有するチアゾール及び2−メルカプトベンゾチアゾール等の含窒素有機防錆剤;ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物及びドデセニルコハク酸アミド等のアルキル又はアルケニルコハク酸;ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート及びペンタエリスリトールモノオレエート等の多価アルコール部分エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸及びスルファミン酸等)、有機酸(クエン酸、シュウ酸及び乳酸等)並びに上記で例示したアルカリ成分(C)等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
緩衝剤としては、緩衝作用を有する炭素数1〜10の有機酸(酢酸、ギ酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、吉草酸、マレイン酸及びマンデル酸等)、無機酸(リン酸及びホウ酸等)及びこれらの塩が挙げられる。尚、緩衝剤が塩を形成する場合の対イオンとしては、上述の高分子型分散剤(D)で例示したものと同様のものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
消泡剤としては、シリコーン消泡剤(ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン及びポリエーテルシリコーン等を構成成分とする消泡剤等)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
防腐剤としては、トリアジン誘導体[ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン等]、イソチアゾリン誘導体(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等)、ピリジン誘導体[ピリジン2−ピリジンチオール−1−オキサイド(塩)等]、モルホリン誘導体[4−(2−ニトロブチル)モルホリン及び4,4−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)−ジモルホリン等]、ベンズイミダゾール誘導体[2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等]、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロライド、p−クロロ−m−キシレノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、アセトキシジメチルジオキサン、イソプロピルメチルフェノール、テトラクロロイソフタロニトリル、ビスブロモアセトキシエタン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
ハイドロトロープ剤としては、レゾルシン及びサリチル酸(塩)等が挙げられる。尚、ハイドロトロープ剤が塩を形成する場合の対イオンとしては、上述の(D)で例示したものと同様のものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、アニオン性界面活性剤(A)として例示したトルエンスルホン酸(塩)、キシレンスルホン酸(塩)、クメンスルホン酸(塩)及び安息香酸(塩)もハイドロトロープ剤としての効果を有する。
【0073】
本発明の電子材料用洗浄剤は、上述の通り、アニオン性界面活性剤(A)、有機溶剤(B)並びに必要により、アルカリ成分(C)、高分子型分散剤(D)、キレート剤(E)及びその他の添加剤(F)を含有するが、更に水、特にイオン交換水(導電率0.2μS/cm以下)又は超純水(電気抵抗率18MΩ・cm以上)を含有してもよい。
本発明において有効成分とは水以外の成分を言う。
【0074】
(A)の含有量は、パーティクル除去性及び低起泡性の観点から、電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは0.5〜80%、更に好ましくは1〜70%、特に好ましくは2〜60%、最も好ましくは5〜50%である。
【0075】
(B)の含有量は、パーティクル除去性の観点から、電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは1〜90%、更に好ましくは2〜80%、特に好ましくは5〜70%、最も好ましくは10〜60%である。
【0076】
(C)の含有量は、エッチング性及びリンス性の観点から電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは1〜55%、更に好ましくは2〜50%、特に好ましくは5〜45%、最も好ましくは10〜40%である。
【0077】
(D)の含有量は、パーティクルの分散性及び再汚染防止性の観点から、電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは0〜25%、更に好ましくは0.1〜20%、特に好ましくは0.5〜15%、最も好ましくは1〜10%である。
【0078】
(E)の含有量は、基板のエッチング性コントロール及び分散安定性の観点から、電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは0〜10%、更に好ましくは0.01〜7%、特に好ましくは0.05〜5%、最も好ましくは0.1〜3%である。
【0079】
(F)におけるそれぞれの添加剤の含有量は、還元剤、酸化防止剤、防錆剤、緩衝剤及びハイドロトロープ剤が、電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて好ましくは0〜20%、更に好ましくは0.1〜15%、特に好ましくは0.5〜10%、最も好ましくは1〜5%である。また消泡剤の含有量は、好ましくは0〜2%、更に好ましくは0.01〜1.5%、特に好ましくは0.02〜1%、最も好ましくは0.05〜0.5%である。
(F)の合計の含有量は、電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、好ましくは0〜25%、更に好ましくは0.5〜20%、特に好ましくは1〜15%、最も好ましくは2〜10%である。
【0080】
尚、上記の任意成分(D)〜(F)の間で、組成が同一で重複する場合の含有量は、それぞれの任意成分の含有量を単純に合計したものではなく、それぞれ他の任意成分としての効果も同時に奏することを考慮して、使用目的に応じて調整する。
【0081】
本発明の電子材料用洗浄剤の有効成分濃度は、運搬効率の観点からは、1〜100%であることが好ましく、更に好ましくは2〜90%、特に好ましくは5〜70%、最も好ましくは10〜50%である。
また、本発明の電子材料用洗浄剤を使用する際には、必要により、希釈水、特にイオン交換水(導電率0.2μS/cm以下)又は超純水(電気抵抗率18MΩ・cm以上)で希釈して、有効成分濃度を0.1〜15%、特に0.5〜10%にすることが、使用時の作業性及びコストの観点から好ましい。
上記水で希釈した場合で、有機溶剤(B)として炭素数6〜18のアルケンを使用するときは、洗浄剤中で前記アルケンが分散状態で存在することが、有機物汚れに対する除去性の観点から好ましい。
【0082】
本発明の電子材料用洗浄剤を水で希釈した場合の有効成分濃度0.1〜15%における25℃での洗浄剤のpHは、エッチング性及びリンス性の観点から、通常10〜14、好ましくは、11〜13である。
尚、本発明におけるpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製、M−12)を用いて測定温度25℃で測定される。
また、この場合の洗浄剤のガラスに対する接触角は、基板への濡れ広がり性の観点から10°以下が好ましく、更に好ましくは8°以下、特に好ましくは5°以下、最も好ましくは1°以下である。
本発明において接触角は、ガラスに対して接触角計により測定される[装置本体:PD−W(協和界面化学社製)、ガラス板:ガラス板#1737(コーニング社製)、検出条件:自動検出、測定条件:着滴から10秒後の接触角を測定]。
【0083】
本発明の電子材料用洗浄剤は、例えばアニオン性界面活性剤(A)、有機溶剤(B)、アルカリ成分(C)並びに必要により任意成分(D)〜(F)及び水を10〜40℃で30〜300分混合溶解させることにより製造できる。
混合溶解用の装置は、特に限定されないが、例えば櫂型羽根を装備した攪拌混合装置や螺旋型羽根を装備した攪拌混合装置が使用できる。
【0084】
電子材料用洗浄剤を水で希釈する方法は、特に限定されないが、例えば櫂型羽根を装備した攪拌混合装置や螺旋型羽根を装備した攪拌混合装置等を用いて、電子材料用洗浄剤と水とを10〜40℃で30〜300分間混合溶解する方法が挙げられる。
【0085】
本発明の電子材料の洗浄方法は、上記の洗浄剤を用いて、超音波洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、浸漬洗浄、浸漬揺動及び枚葉式洗浄からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄方法によって洗浄する方法である。
洗浄温度は、洗浄性の観点から、10〜80℃が好ましく、更に好ましくは15〜60℃、特に好ましくは20〜50℃である。
【0086】
本発明の洗浄方法で洗浄した後のガラス表面の表面粗さ(Ra)は、好ましくは1.0nm以下、更に好ましくは0.75nm、特に好ましくは0.5nm以下である。Raが1.0nm以下であると、その後の工程においてスパッタ等により膜を形成する場合に均一な膜が形成できるため、歩留まり率が向上する。
尚、Raは、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、E−sweepを用いて下記の条件により測定される。
測定モード :DFM(タッピングモード)
スキャンエリア:10μm×10μm
走査線数 :256本(Y方向スキャン)
補正 :X,Y方向のフラット補正あり
【0087】
本発明における電子材料用洗浄剤を用いて洗浄したガラスに対する水の接触角は、好ましくは20°以下であり、更に好ましくは15°以下である。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に限定がない限り以下において部は重量部を示す。尚、以下において超純水は比抵抗値が18MΩ・cm以上のものを使用した。
【0089】
[製造例1]
攪拌装置及び温度制御装置付きのガラス製反応装置に2−エチルヘキサノール256部を仕込み、攪拌下で0℃まで冷却し、系内温度を0℃に保ちながらクロロスルホン酸229部を3時間かけて滴下し、硫酸エステルを得た。更に48%水酸化カリウム水溶液252部及びイオン交換水583部を徐々に仕込み、20℃で60分間混合して中和して、有効成分濃度が40%のアニオン性界面活性剤(A−1)1248部を得た。
【0090】
[製造例2]
攪拌装置及び温度制御装置付きのガラス製反応装置にn−ブタノール148部を仕込み、攪拌下で70℃に温調し、系内温度を70℃に保ちながらリン酸98部を2時間かけて滴下後、更に70℃で4時間攪拌を継続してリン酸エステルを得た。更に、系内を30℃まで冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液133部及びイオン交換水201部を徐々に仕込み、20℃で60分間混合して中和し、有効成分濃度が40%のアニオン性界面活性剤(A−2)580部を得た。
【0091】
[製造例3]
2−エチルヘキサノールを3,7−ジメチル−1−オクタノールに、クロロスルホン酸の部数を189部に、48%水酸化カリウム水溶液253部をDBU271部に、イオン交換水の部数を912部に代える以外は製造例1と同様にして、有効成分濃度が40%のアニオン性界面活性剤(A−3)1568部を得た。
【0092】
[製造例4]
2−エチルヘキサン酸144部及びイオン交換水395部をビーカーに仕込み、20℃で15分攪拌して均一混合した後、N−メチルジエタノールアミン119部を徐々に仕込み、20℃で60分間混合して中和し、有効成分濃度が40%のアニオン性界面活性剤(A−4)658部を得た。
【0093】
[製造例5]
撹拌装置及び温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに1−オクタノール130部及び28%ナトリウムメチラートメタノール溶液8部を仕込み、攪拌下に室温(20℃)で系内の気相部を窒素で置換し、その後減圧下(ゲージ圧:−0.0025MPa)、120℃、2時間で脱メタノールを行った後、次いで減圧下(ゲージ圧:−0.05MPa)、反応温度120℃でエチレンオキサイド88部の吹き込みを開始し、ゲージ圧が0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させて1−オクタノールのエチレンオキサイド2モル付加物218部を得た。攪拌及び温度制御装置付のガラス製反応装置に上記1−オクタノールのエチレンオキサイド2モル付加物164部、モノクロロ酢酸ナトリウム96部及びトルエン200部を仕込み、温度を50℃に保ちながら徐々に減圧度を高め−0.01MPaとした後、減圧脱水しながら顆粒状の水酸化ナトリウム38部を2時間かけて仕込み、更に熟成を6時間行った後、イオン交換水300部を加え、塩酸で酸性にして、静置、分液による脱塩を行った後、脱トルエンを行い、構造式がC817O(CH2CH2O)2CH2COOHで表されるエーテルカルボン酸を得た。攪拌及び温度制御装置付のガラス製反応装置に水323部を仕込み、顆粒状の水酸化ナトリウム30部を徐々に加えて溶解し、60℃で上記のエーテルカルボン酸208部を加え、有効成分濃度が40%のアニオン性界面活性剤(A−5)561部を得た。
【0094】
[製造例6]
撹拌装置及び温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに2−エチルヘキサノール113部及び水酸化カリウム3部を仕込み、攪拌下に室温(20℃)で系内の気相部を窒素で置換し、減圧下(ゲージ圧:−0.05MPa)に反応温度120℃でエチレンオキサイド384部の吹き込みを開始し、ゲージ圧が0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させて2−エチルヘキサノールのエチレンオキサイド10モル付加物497部を得た。
2−エチルヘキサノール256部を上記2−エチルヘキサノールのエチレンオキサイド10モル付加物497部に、クロロスルホン酸の部数を102部に、48%水酸化カリウム水溶液の部数を112部に、イオン交換水の部数を833部に代える以外は製造例1と同様にして、有効成分濃度が40%のアニオン性界面活性剤(A−6)1512部を得た。
【0095】
[製造例7]
撹拌装置及び温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブにシクロヘキシルアミン297部を仕込み、攪拌下に室温(20℃)で系内の気相部を窒素で置換し、減圧下(ゲージ圧:−0.05MPa)に反応温度100℃でエチレンオキサイド264部の吹き込みを開始し、ゲージ圧が0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させてシクロヘキシルアミンエチレンオキサイド(2モル)付加物561部を得た。
【0096】
[実施例1〜25及び比較例1〜5]
表1及び表2に記載の各成分を、表1及び表2に記載の配合部数で、ビーカーを用いて20℃で均一混合して実施例1〜25及び比較例1〜5の洗浄剤を作製した。但し、表1及び表2に記載の(A)〜(F)の部数は有効成分の部数であり、超純水の部数は(A−1)〜(A−6)及び後述の(D)のPANa中の水を含む。
尚、表1及び表2中の成分の略号は下記の通りである。
・MeXSNa:メタキシレンスルホン酸ナトリウム塩(北星興業株式会社製)
・SDS:ラウリル硫酸ナトリウム塩(ナカライテスク株式会社製:比較用のアニオン界面活性剤)
・PELSNa:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩(サンデットEN、三洋化成工業株式会社製:比較用のアニオン界面活性剤)
・D2ehNa:スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム塩(東京化成工業株式会社製:比較用のアニオン界面活性剤)
・HC:ヘキシルカルビトール(SP値10.2)
・PP−15:プロピレンペンタマー(SP値7.6)
・TEG−M:トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.8)
・FA:ホルムアミド(SP値19.2:比較用の溶剤)
・KOH:水酸化カリウム
・DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン[サンアプロ株式会社製]
・MDEA:N−メチルジエタノールアミン
・CHNEG:上記製造例7で得られたシクロヘキシルアミンエチレンオキサイド(2モル)付加物
・PANa:ポリアクリル酸ナトリウム塩[キャリボンL−400、43%水溶液、三洋化成工業株式会社製]
・EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸
・Cys:L−システイン
【0097】
実施例1〜25及び比較例1〜5の洗浄剤を用いて、pH、洗浄性−1、洗浄性−2、洗浄性−3、洗浄性−4、洗浄性−5、エッチング性、洗浄後の水の接触角、洗浄剤の接触角、表面粗さ、起泡性及び経時安定性を測定又は評価した結果を表3及び表4に示す。
【0098】
尚、pH、洗浄性−1、洗浄性−2、洗浄性−3、洗浄性−4、洗浄性−5、エッチング性、洗浄後の水の接触角、洗浄剤の接触角、表面粗さ、起泡性及び経時安定性の測定又は評価は以下の方法で行った。
【0099】
<pHの測定>
pHメーター(株式会社堀場製作所製、M−12)を用いて測定温度25℃で測定した。
【0100】
<洗浄性−1>
市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737、縦10cm×横10cm)にモデル汚染物質としてn−トリアコンタン(東京化成工業株式会社製)10mgを70℃のホットプレート(PMC Industries社製、デジタルホットプレートシリーズ730)上で1分間融着させることにより、汚染基板を作製した。洗浄剤1000gを2000mlのガラス製ビーカーに採り、作製した汚染基板を浸漬し、超音波洗浄機(200kHz)内で、30℃、5分間の洗浄を行った。洗浄後、基板を取り出し、超純水で十分にリンスを行った後、窒素ガスでブローして乾燥し、下記の評価点に従い、基板表面の洗浄性を微分干渉顕微鏡(Nikon社製、OPTIPHOT−2、倍率400倍)で評価した。尚、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(FED−STD−209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。
◎:ほぼ完全に除去できている。
○:ほとんど洗浄できている。
△:若干粒子が残留している。
×:ほとんど洗浄できていない。
【0101】
<洗浄性−2>
モデル汚染物質としてジオクチルフタレート(東京化成工業株式会社製)10mgを塗布した以外は、洗浄性−1と同様にして評価した。
【0102】
<洗浄性評価−3>
市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737、縦10cm×横10cm)上にガラス板を切断(破断)した際のガラス粉5mgを散布し、105℃のホットプレート(PMC Industries社製、デジタルホットプレートシリーズ730)上で1時間加熱して、汚染基板を作製した以外は、洗浄性−1と同様にして評価した。
【0103】
<洗浄性−4>
研磨剤としての市販のコロイダルシリカスラリー(KEMIRA社製、VI−80)及び研磨布を用いて、市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737、縦10cm×横10cm)を研磨した後、超純水で表面をリンスして窒素でブローすることにより、汚染基板を作製した以外は洗浄性−1と同様にして評価した。
【0104】
<洗浄性評価−5>
研磨剤としての市販の酸化セリウムスラリー(フジミインコーポレーティド社製、CEPOL−120)及び研磨布を用いて、市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737、縦10cm×横10cm)を研磨した後、超純水で表面をリンスして窒素でブローすることにより、汚染基板を作製した以外は洗浄性−1と同様にして評価した。
【0105】
<エッチング性評価>
50mlのポリプロピレン製容器に洗浄剤10gを採り、50℃に温調した後、市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737)を縦2cm×横2cmの大きさにカットした基板を入れ、50℃で24時間浸漬・静置後、洗浄剤を採取し、ICP発光分析装置(VARIAN社製、Varian730−ES)で洗浄剤中のSi含量を測定した。尚、予め試験前の洗浄剤についても同様にSi含量を測定しておき、その差を求めることで試験中に溶出したSi含量(ppb)を求めた。この溶出したSi含量が多いほど、エッチング性が高い。
【0106】
<洗浄後の水の接触角>
上記洗浄性−1を評価した直後の基板を全自動接触角計[協和界面科学株式会社製、PD−W]を用いて、水に対する接触角(25℃、10秒後)を測定した。
【0107】
<洗浄剤の接触角>
市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737、縦10cm×横10cm)を超純水で十分にリンスした後、25℃で、窒素でブローして乾燥した直後の基板を全自動接触角計[協和界面科学株式会社製、PD−W]を用いて、洗浄剤に対する接触角(25℃、10秒後)を測定した。
【0108】
<表面粗さ>
20mlのガラス製容器に洗浄剤を10g採り、50℃に温調した後、市販のガラス基板(コーニング社製、ガラス板#1737)を縦2cm×横2cmの大きさにカットした基板を入れ、50℃で5時間浸漬・静置後、ピンセットを用いて基板を取り出し、超純水で十分にリンスして洗浄剤を除去した後、25℃で、窒素でブローして基板を乾燥した基板表面の表面粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、E−Sweep)を用いて測定した。Raが小さいほど表面平坦性に優れる。
【0109】
<起泡性>
100mlのガラス製有栓メスシリンダー(JIS R3504「化学用体積計ガラス素材」の有栓メスシリンダーとして寸法が規定されたもの)に洗浄剤20mlを入れ、恒温水槽中で25℃に温調した後、有栓メスシリンダーの蓋を閉め、30秒間で60回上下に激しく振とうし、振とう直後と1分後の泡の量(ml)を測定した。振とう直後の泡の量が少ないほど起泡性が低く、1分後の泡の量が少ないほど消泡性が高い。
【0110】
<経時安定性>
50mlのガラス容器に洗浄剤45mlを採り、5℃及び50℃の条件下で6ヶ月静置保存し、下記の評価点に従い、経時安定性を評価した。
◎:5℃、50℃いずれも外観変化なし。
○:5℃又は50℃のいずれかでわずかに分離するが、軽く振ると均一になる。
△:5℃又は50℃いずれかでかなり分離するが、軽く振ると均一になる。
×:5℃、50℃いずれも分離し、軽く振っても均一にならない。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
表3及び表4に記載の結果から、本発明の電子材料用洗浄剤は基板表面の平坦性を損ねることなく、適度にコントロールされたエッチング性を有し、有機物汚れ、ガラスカレット及び研磨剤等のパーティクルの除去性及び再汚染防止性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の電子材料用洗浄剤は、油分、人体からの汚れ(指紋等)、樹脂、可塑剤(ジオクチルフタレート等)、有機パーティクル等の有機物並びに無機パーティクル(ガラス粉、砥粒、セラミック粉及び金属粉等)等を洗浄対象とする洗浄に好適に用いられる。
従って、本発明の電子材料用洗浄剤は、各種の電子材料[例えばフラットパネルディスプレイ用基板(液晶パネル用のガラス基板、カラーフィルター基板、アレイ基板、プラズマディスプレイ用基板及び有機EL用基板等)、フォトマスク用基板、ハードディスク用基板(アルミ基板、NiP基板、ガラス基板、磁気ディスク及び磁気ヘッド等)、半導体用基板(半導体素子及びシリコンウェハ等)、光学レンズ、プリント配線基板、光通信用ケーブル、LED、太陽電池用基板及び水晶振動子]の製造工程における洗浄工程において好適に使用することができる。
また、本発明の電子材料の洗浄方法は、特に電子材料が、フラットパネルディスプレイ用基板、フォトマスク用基板、ハードディスク用基板又は半導体用基板である場合に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン成分が一般式(1)で示されるアニオン性界面活性剤(A)と、炭素数6〜18のアルケン及び一般式(2)で示される有機溶剤からなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(B)と、アルカリ成分(C)とを含有してなり、前記(B)のSP値が6〜13であり、有効成分濃度0.1〜15%における25℃でのpHが10〜14であることを特徴とする電子材料用洗浄剤。
1[−(OA1a−Q-b (1)
[式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、Q-は−COO-、−OCH2COO-、−SO3-、−OSO3-又は−OPO2(OR2)-、R2は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基、aは平均値であって0〜20、bは1〜6の整数、Q-が−COO-又は−SO3-の場合aは0である。]
3[−(OA2c−OH]d (2)
[式中、R3は炭素数1〜12の炭化水素基、A2は炭素数2〜4のアルキレン基、cは平均値であって0〜20、dは1〜6の整数である。]
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤(A)のカチオン成分が、アルカリ金属カチオン、炭素数1〜15の脂肪族アミンにプロトンが付加した1価のカチオン、炭素数4〜10のアミジン化合物にプロトンが付加したカチオン及び炭素数1〜15のアルカノールアミンにプロトンが付加した1価のカチオンからなる群から選ばれる1種以上のカチオンである請求項1記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項3】
一般式(1)において、R1が一般式(3)又は一般式(4)で示される炭化水素基である請求項1又は2記載の電子材料用洗浄剤。
【化1】

[式中、R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、かつR4とR5の炭素数の合計は3〜8、eは0〜2の整数であり、R4とR5の炭素数の合計が8の場合eは0又は1である。]
【化2】

[式中、f個のR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基で、かつf個のR6の炭素数の合計は4以下であり、fは1〜4の整数である。]
【請求項4】
一般式(1)におけるaが0かつbが1であり、前記アルカリ成分(C)が炭素数1〜36の脂肪族アミン(C−2)、無機アルカリ(C−3)、炭素数1〜23のアルカノールアミン(C−4)及び炭素数4〜10のアミジン化合物(C−5)からなる群から選ばれる1種以上のアルカリ成分である請求項1〜3のいずれか記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項5】
電子材料用洗浄剤の有効成分の重量に基づいて、前記(A)の含有量が0.5〜80重量%、前記(B)の含有量が1〜90重量%及び前記(C)の含有量が1〜55重量%である請求項1〜4のいずれか記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項6】
更に、高分子型分散剤(D)及びキレート剤(E)からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜5のいずれか記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項7】
洗浄剤の有効成分濃度0.1〜15重量%における、ガラスに対する洗浄剤の接触角が10°以下である請求項1〜6のいずれか記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項8】
洗浄剤を用いて洗浄したガラスに対する水の接触角が20°以下である請求項1〜7のいずれか記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項9】
前記電子材料が、フラットパネルディスプレイ、フォトマスク、ハードディスク又は半導体の基板である請求項1〜8のいずれか記載の電子材料用洗浄剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の洗浄剤を用いる電子材料の洗浄方法。
【請求項11】
超音波洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、浸漬洗浄、浸漬揺動洗浄及び枚葉式洗浄からなる群から選ばれる1種以上の洗浄方法を用いて行われる請求項10記載の電子材料の洗浄方法。
【請求項12】
前記電子材料がフラットパネルディスプレイ、フォトマスク、ハードディスク又は半導体の基板である請求項10又は11記載の洗浄方法。

【公開番号】特開2009−206481(P2009−206481A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301806(P2008−301806)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】