説明

電子棚札システムおよび店舗システム

【課題】電子棚札端末に顧客の顔や手などが近づくと、その接近をセンサ等の検出手段が感知し、前記電子棚札端末の表示画面の表示内容を変更したり、或いは追加情報を表示して、該当商品のアピール度を向上させて、販売促進の効果を高めるものである。
【解決手段】商品毎の販売情報を有する電子棚札管理サーバと、店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記電子棚札管理サーバから前期販売情報を受信して、当該販売情報を表示画面に表示する電子棚札端末と、前記電子棚札端末に設けられ、顧客の顔や手などの接近を感知する検出手段とを備え、前記検出手段が、顧客の顔や手などの接近を感知すると、前記電子棚札端末の表示画面の表示内容を変更したり又は表示画面に追加情報を表示させたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電子棚札システムおよび店舗システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子棚札システムにおいて、電子棚札サーバがストアコントローラに格納されている販売情報(商品名、当日の販売価格等)を受信し、当該販売情報を店舗の天井等に設置されているトランシーバーを介して、各商品の陳列棚に付けられる電子棚札に無線送信し、電子棚札の表示画面に当日の販売価格等を表示させるものはあった。また、当該電子棚札と直接通信が出来る携帯型リモコンを操作して、電子棚札の表示画面に表示する販売情報の全部又は一部を書換えるようにしたものもある。しかしながら、この種の電子棚札システムでは、電子棚札がモノクロの液晶であるため、お買い得品等の表示をしても目立ちにくく、顧客へのアピール度が不足していた。それに、販売情報として販売価格以外の情報については何ら提供していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-70482公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電子棚札に顧客の顔や手などが近づくと、その接近をセンサ等の検出手段が感知し、前記電子棚札の表示画面の表示内容を変更したり、或いは追加情報を表示して、該当商品のアピール度を向上させて、販売促進効果を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態における電子棚札システムは、商品毎の販売情報を有する電子棚札管理サーバと、店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記電子棚札管理サーバから前期販売情報を受信して、当該販売情報を表示画面に表示する電子棚札端末と、前記電子棚札端末に設けられ、顧客の顔や手などの接近を感知する検出手段とを備え、前記検出手段が、顧客の顔や手などの接近を感知すると、前記電子棚札端末の表示画面の表示内容を変更したり又は表示画面に追加情報を表示させたりするものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施形態の電子棚札システムを含んだ店舗システムの構成を示すブロック図。
【図2】電子棚札端末の正面図。
【図3】電子棚札端末の要部構成を示すブロック図。
【図4】電子棚札端末の表示画面の動作を示す説明図。
【図5】電子棚札端末の制御部が実行する主要な処理手順を示す流れ図。
【図6】電子棚札端末からの情報とPOSサーバのからの情報を商品単位で関連付けて対比した対比表。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電子棚札システムを含んだ店舗システムを図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、実施形態の電子棚札システム10を含んだ店舗システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、店舗システム100は、POSシステム1と電気棚札システム10を備えている。POSシステム1のPOSサーバ2および電気棚札システム10の電子棚札管理サーバ12は有線LAN101を介して相互接続され、POSシステム1および電気棚札システム10は相互にデータ通信可能である。なお、この店舗システム100は、インターネット等の外部ネットワークを介して、各店舗を管理する本部サーバ(図示せず)とデータ通信可能である。
【0009】
POSシステム1は、このシステムを統合的に管理するPOSサーバ2と、顧客購入商品の登録処理および代金を精算する複数台のPOSレジ3を備えている。POSサーバ2は、商品マスタ、売上データ、価格データ等、店舗内で販売される各商品に関する情報を格納する。各商品の販売価格はPOSサーバ2で一元管理され、これらPOSレジ3による精算もこのPOSサーバ2からの情報に基づき行われる。なお、POSサーバ2に格納する情報は、本部サーバ(図示せず)からの情報に基づき更新されるほか、POSサーバ2の操作による更新も可能である。
【0010】
また、POSサーバ2は、商品販売データ4と商品関心度データ5とを記憶管理するデータベースサーバとしての機能も有している。
【0011】
商品販売データ4は、固有の電子棚札端末15にそれぞれ対応した商品ごとの販売点数および販売金額の販売実績データである。この販売実績データは、固有の電子棚札端末15が設けられた商品の開店から現時点までの販売合計点数および販売合計金額であって、各商品の売上がある毎に、リアルタイムに書換更新されるようになっている。
【0012】
商品関心度データ5は、固有の電子棚札端末15にそれぞれ対応した商品ごとの顧客が示した関心度のデータである。この関心度のデータは、商品に対応した固有の電子棚札端末15の赤外線センサ22が開店から現時点までに反応(感知)した回数と当該電子棚札端末15の表示切替ボタン23が開店から現時点までに押された回数の合計であって、赤外線センサ22の反応(感知)または表示切替ボタン23が押される毎に、リアルタイムに書換更新されるようになっている。
【0013】
次に、電気棚札システム10は、店舗内で陳列される商品ごとの棚札表示を統括的に管理する電子棚札管理サーバ12と、アクセスポイント13と、中継機14と、電子棚札端末15と、ハンディターミナル16を備えている。なお、図示する例では、電気棚札システム10は、4個の電子棚札端末15と、2つの中継機14と、1つのアクセスポイント13と、1つのハンディターミナル16とを備えているが、当然のことながら、電子棚札システム10は、更に多くの電子棚札端末15と、中継機14と、アクセスポイント13と、ハンディターミナル16とを備えることができる。また、電気棚札システム10が備える電子棚札端末15と、中継機14との数は、図示する例より少なくてもよい。
【0014】
電子棚札管理サーバ12と、アクセスポイント13と、複数の中継機14とは有線ネットワークで接続されており、互いにデータ通信を行うことができる。また、アクセスポイント13と、ハンディターミナル16とは無線LANなどの無線ネットワークで接続されており、互いにデータ通信を行うことができる。
【0015】
また、これら電子棚札端末15と中継機14とは、近距離無線方式を用いた無線ネットワークで接続されており、互いにデータ通信を行うことができる。これにより、電子棚札管理サーバ12とハンディターミナル16、および電子棚札管理サーバ12とこれら電子棚札端末15とは互いにデータ通信を行うことができる。
【0016】
なお、電子棚札端末15と中継機14との間の無線ネットワークで近距離無線方式を用いることにより、電子棚札端末15を小型化および長電池寿命化することができ、電子棚札端末15と中継機14との間の通信速度を高速化することができる。
【0017】
電子棚札管理サーバ12は、有線LAN101を介してPOSサーバ2に接続され、このPOSサーバ2または本部サーバ(図示せず)から、商品マスタ、価格データおよび売上データなどを受信し、中継機14を介して電子棚札端末15販売情報を送信する。
【0018】
アクセスポイント13は、ハンディターミナル16から商品リンク情報およびアンリンク情報など受信し、これらの情報を電子棚札管理サーバ12および中継機14へ送信する。
【0019】
中継機14は、電子棚札管理サーバ12からの情報を電子棚札端末15へ送信する。また、電子棚札端末15の情報を受信し、電子棚札管理サーバ12への中継も行う。
【0020】
次に、電子棚札端末15について説明する。図2は電子棚札端末15の正面図である。図3は電子棚札端末15の要部構成を示すブロック図である。図4は電子棚札端末15の表示画面の動作を示す説明図である。
【0021】
図2に示すように、電子棚札端末15は、薄板状をなす筐体20の正面に商品名、価格等を表示するための表示部21を設けている。この表示部21の下部には、顧客の顔や手などの接近を感知する検出手段としての赤外線センサ22と、この表示部21の表示画面の表示内容を切替える表示切替手段としての表示切替ボタン23が設けられている。なお、赤外線センサ22と表示切替ボタン23の動作については後述で説明する。
【0022】
そして、図3に示すように、電子棚札端末15は、駆動源としてのバッテリ24、中継機14を介して電子棚札管理サーバ12とデータ通信を行う通信部25、不揮発性の記憶部26、タイマ27、表示部21、各部を制御する制御部28、赤外線センサ22、および表示切替ボタン23等から構成され、バッテリ24、通信部25、記憶部26、タイマ27、制御部28等を筐体20に内蔵している。
【0023】
記憶部26では、その電子棚札端末15に対して予め設定された棚札アドレスを固定的に記憶保持している。また、第1の画面情報を書換え可能に記憶する第1画面メモリ26aと、第2の画面情報を書換え可能に記憶する第2画面メモリ26bと、第3の画面情報を書換え可能に記憶する第3画面メモリ26cとを、記憶部26に形成している。
【0024】
第1画面メモリ26aでは、図4(a)に示すように、その電子棚札端末15が対応する商品の品目名と価格とが配置された商品価格画面の情報を記憶する。この商品価格画面上の品目名および価格は、顧客(買物客)に対して提示される情報で、表示部21に常時表示されている。
【0025】
第2画面メモリ26bでは、図4(b)に示すように、その電子棚札端末15が対応する商品の品目名と価格に加えておすすめ情報(例:おすすめ品表示)が配置された商品おすすめ画面の情報を記憶する。この商品おすすめ画面は、商品の品目名および価格に加えて、この商品のおすすめ情報を顧客(買物客)に対して提示するものであり、表示部21の近傍に設けた赤外線センサ22が顧客の顔や手などの接近を感知すると、いままでの表示内容(品目名と価格)に加えてこの商品のおすすめ情報(例:おすすめ品)を表示させるものである。なお、本実施形態では、表示部21の表示画面全体を新たな表示画面に切替えたが、いままでの表示画面にこの商品のおすすめ情報のみを加えて表示するようにしてもよい。
【0026】
第3画面メモリ26cでは、図4(c)に示すように、その電子棚札端末15が対応する商品の料理レシピ(recipe)のQRコード(「QRコード」はデンソーウェーブ(株)の登録商標。)が配置された商品料理レシピ画面の情報を記憶する。この商品料理レシピ画面は、この商品を使った料理レシピを顧客(買物客)に対して提示するものであり、表示部21の近傍に設けた表示切替ボタン23が押されると、いままでの表示内容に替えて、この商品料理レシピ画面を表示させる。なお、本実施形態では、商品料理レシピ画面としてこの商品を使った料理レシピのQRコードが配置された画面を表示したが、商品の料理レシピそのものを表示するようにしてもよい。
【0027】
次に、電子棚札端末15の動作を説明する。図5は、実施形態の電子棚札端末15の制御部28が実行する主要な処理手順を示す流れ図である。先ず、制御部28は、ステップS1として第1画面メモリ26aに記憶されている情報を基に、表示部21に商品価格画面(商品名と価格)を表示させる。この状態で、ステップS2として赤外線センサ22からの信号を待って待機する。
【0028】
そして、赤外線センサ22からの信号を受信したならば(ステップS2のY)、制御部28は、ステップS3として第2画面メモリ26bに記憶されている情報を基に、表示部21の画面を先の商品価格画面に替えて、商品おすすめ画面(商品名と価格とおすすめ情報)を表示させる。なお、本実施形態では、表示部21の画面を商品価格画面から商品おすすめ画面へ全面切替えを行い表示させたが、商品価格画面にこの商品のおすすめ情報のみを加えて表示するようにしてもよい。そして、制御部28は、ステップS4としてタイマ27の計時動作を開始させる。ステップS5としてタイマ27がタイムアウトするのを待機する。タイマ27がタイムアウトした場合には(ステップS5のY)、制御部28は、ステップS6として第1画面メモリ26aに記憶されている情報を基に、表示部21の画面を商品おすすめ画面から商品価格画面に戻す。
【0029】
また、制御部28は、タイマ27がタイムアウトするまでの間に、ステップS7として表示切替ボタン23が押されるか否か監視する。そして、タイムアウトする前に表示切替ボタン23が押されると(ステップS7のY)、制御部28は、ステップS8として第3画面メモリ26cに記憶されている情報を基に、表示部21の画面を先の商品おすすめ画面に替えて、商品料理レシピ画面(商品を使った料理レシピのQRコード等)を表示させる。なお、本実施形態では、商品料理レシピ画面としてこの商品を使った料理レシピのQRコードが配置された画面を表示したが、商品の料理レシピそのものを表示するようにしてもよい。そして、制御部28は、ステップS9としてタイマ27の計時動作を開始させる。ステップS10としてタイマ27がタイムアウトするのを待機する。タイマ27がタイムアウトした場合には(ステップS10のY)、制御部28は、ステップS11として第1画面メモリ26aに記憶されている情報を基に、表示部21の画面を商品おすすめ画面から商品価格画面に戻す。
【0030】
次に、図6は、電子棚札端末15からの情報とPOSサーバ2のからの情報を商品単位で関連付けて対比した対比表30である。図6に示すように、商品毎に、顧客の関心度(赤外線センサ22の反応回数と表示切替ボタン23が押された回数の合計)とその商品の販売数を対比してまとめた対比表30である。この対比表30では、例えば、イタリアントマトソースバジリコについて見ると、顧客の関心度は12回で販売数は10個となっており、顧客の関心も高く売れ行きも良い商品であるとの結果が出ている。次に、イタリアントマトソースミートソースについて見ると、顧客の関心度は15回で販売数は2個となっており、顧客の関心は高いが売れ行きが悪い商品であるとの結果が出ている。このように商品毎に、顧客の関心度と販売数を対比して示すことができ、これらのデータを今後の販売戦略に活用することができる。
【0031】
以上、説明したように、本実施形態の電子棚札システムによれば、商品に対応した電子棚札端末に設けた検出手段が、顧客の顔や手などの接近を感知すると、当該電子棚札端末の表示画面の表示内容を変更したり、または表示画面に追加情報を表示して、該当商品のアピール度を向上させて、販売促進効果を高めることができる。
【0032】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
1 POSシステム
2 POSサーバ
3 POSレジ
10 電子棚札システム
12 電子棚札管理サーバ
15 電子棚札端末
21 表示部
22 赤外線センサ(検出手段)
23 表示切替ボタン(表示切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品毎の販売情報を有する電子棚札管理サーバと、
店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記電子棚札管理サーバから前期販売情報を受信して、当該販売情報を表示画面に表示する電子棚札端末と、
前記電子棚札端末に設けられ、顧客の顔や手などの接近を感知する検出手段とを備え、
前記検出手段が、顧客の顔や手などの接近を感知すると、前記電子棚札端末の表示画面の表示内容を変更したり又は表示画面に追加情報を表示させたりすることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項2】
前記検出手段は、赤外線センサで形成されたことを特徴とする請求項1記載の電子棚札システム。
【請求項3】
商品毎の販売情報を有する電子棚札管理サーバと、
店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記電子棚札管理サーバから前期販売情報を受信して、当該販売情報を表示画面に表示する電子棚札端末と、
前記電子棚札端末に設けられ、この電子棚札端末の表示画面の表示内容を切替える表示切替手段とを備え、
前記表示切替手段が操作されると、この電子棚札端末の表示画面にこの商品を使った料理のレシピを表示することを特徴とする電子棚札システム。
【請求項4】
前記表示切替手段は、表示切替ボタンで形成されたことを特徴とする請求項3記載の電子棚札システム。
【請求項5】
商品マスタ、売上データ、価格データ等を有するPOSサーバと、
前記POSサーバに接続され、購入商品の登録処理を行うPOSレジと、
商品毎の販売情報を有する電子棚札管理サーバと、
店舗内に陳列される商品毎に設けられ、前記電子棚札管理サーバから前期販売情報を受信して、当該販売情報を表示画面に表示する電子棚札端末と、
前記電子棚札端末に設けられ、顧客の顔や手などの接近を感知する検出手段および当該電子棚札端末の表示画面の表示内容を切替える表示切替手段と、
前記電子棚札端末毎に前記検出手段が反応した回数および前記表示切替手段の操作回数を記録するログデータ記録手段とを備え、
前記ログデータ記録手段に記録されている商品別のログデータと前記POSサーバに記録されている商品別の売上データとを関連付けて対比させることを特徴とする店舗システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−54539(P2013−54539A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192325(P2011−192325)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】