説明

電子機器、充電制御方法、充電システム、並びにデータ転送システム

【課題】バッテリーの残容量が低下した状態であっても、バッテリーの充電効率を保ちながら機器動作を好適に行なう。
【解決手段】処理部103は、給電装置120からの外部電力のみで動作可能な第1の動作モードと、給電装置120からの外部電力に加えてバッテリー102からの給電により動作可能な第2の動作モードを持つ。処理部103は、バッテリー102の残容量が十分あるときには第2の動作モードで機器動作を実行するが、バッテリー102の残容量が低くなると、第1の動作モードに移行して、機器動作は継続しながら、同時にバッテリー102の充電を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、バッテリーで動作することが可能な電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムに係り、特に、機器動作とバッテリーの充電を同時に行なう電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルカメラや携帯電話、タブレット端末、ノートブック・コンピューターなどのポータブル機器が広範に普及している。この種の機器のほとんどは、バッテリー駆動である。
【0003】
バッテリーに2次電池を使用する場合、充電によるバッテリーの繰り返し利用が可能である。バッテリーの充電には、商用電源や充電器から供給される電力が利用される。バッテリー駆動機器の多くは、商用電源や充電器を接続した状態で、機器本体を動作させながらバッテリーの充電を同時に行なう「オペレーション充電」が可能である。オペレーション充電中、一般には、供給電力から機器動作に必要な消費電力を差し引いた余剰電力がバッテリーの充電に利用される。また。オペレーション充電中は、機器動作に必要な電力は、商用電源など外部電源から優先的に用いられ、バッテリーからは供給されない。
【0004】
バッテリー駆動機器への給電方法はさまざまである。最近では、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを通じて電力を供給する「USB給電」が増えてきている。例えば、ディジタルカメラとパソコンをUSBケーブルで接続し、USBケーブルを介して画像データの転送とバッテリーへの充電を同時に実行する電子スチルカメラついて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。ところが、USBポートの接続先によっては、最大電流規格が500mAと低いことがある。このような場合、機器動作に必要な電流値を差し引いた分しか充電に割り当てることができないため、充電効率が良くない(例えば、特許文献2を参照のこと)。すなわち、オペレーション充電は、機器動作による電力の消費のために、十分なバッテリーの充電を行なうことができないという問題がある。
【0005】
また、機器動作の中には、相応の電力供給を必要とするものがある。例えば、ディジタルカメラにおける撮影動作やパソコンなど外部機器への画像データの転送動作である。バッテリーが消耗した状態では、給電電力のみで機器動作を行なわなければならない。ところが、USB給電のように最大電流規格が低い場合には、画像データの転送動作に必要な電流を得ることができないこともある。このような場合、バッテリーの充電を行なってからデータ転送を開始するしかない。
【0006】
また、ディジタルカメラにおいて、レンズ鏡筒の駆動などの動作もUSBケーブルの所定定格を超える大きな電力を必要とする。このため、充電電池から前記所要電力を供給できないことが確認されたときには、充電を行なわせた後に充電電池から所要電力を供給させる、ディジタルカメラなどの電子機器について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【0007】
このように、バッテリーの残容量によっては充電中に可能な機器動作が制限される。電源を接続しているにも拘らず、バッテリーを充電するまでは機器動作が制約されるので、使い勝手が良くない。
【0008】
例えば、電池を使用した無線通信時に、電池残量が少なくなってきたら送信出力レベルを低下させて消費電力を抑え、通信時間を長くする無線通信機器について提案がなされている(例えば、特許文献4を参照のこと)。しかしながら、この無線通信機器は、オペレーション充電時におけるバッテリーの充電効率を向上させるものでもなければ、オペレーション充電が可能な機器動作の制限を解消するものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−237971号公報
【特許文献2】特開2007−214683号公報、段落0007
【特許文献3】特開2011−19369号公報
【特許文献4】特開2011−176575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書で開示する技術の目的は、最大電流規格が低く抑えられた外部からの給電電力を用いて、機器動作を継続しながらバッテリーの充電を効率的に行なうことができる、優れた電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムを提供することにある。
【0011】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、バッテリーの残容量が低下した状態であっても、バッテリーの充電効率を保ちながら機器動作を好適に行なうことができる、優れた電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
バッテリーと、
機器動作を実行する処理部と、
外部電力を用いて前記処理部への給電と前記バッテリーの充電、並びに、前記バッテリーから前記処理部への給電を制御する充放電制御部と、
を具備し、
前記処理部は、前記外部電力以下で機器動作を行なう第1の動作モードと、前記外部電力を超えた電力を使用して機器動作を行なう第2の動作モードを有し、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて機器動作を実行する、
電子機器である。
【0013】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器の充放電制御部は、前記外部電力を前記処理部へ優先的に供給し、余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行なうように構成されている。
【0014】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器は、処理部が前記第1の動作モードで機器動作を実行しているときには、前記充放電制御部が、前記処理部が消費する前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行なうように構成されている。
【0015】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器は、処理部が前記第2の動作モードで機器動作を実行しているときには、前記充放電制御部が、前記外部電力を超えた電力を前記バッテリーから前記処理部に供給するように構成されている。
【0016】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器は、前記バッテリーの残容量が大きいときには、前記処理部は前記第2の動作モードで機器動作を実行し、前記バッテリーの残容量が小さいときには、前記処理部は前記第1の動作モードで機器動作を実行するように構成されている。
【0017】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器は、前記バッテリーの残容量が大きいときには、前記処理部は前記第2の動作モードで機器動作を実行し、前記バッテリーの残容量が小さいときには、前記処理部は前記第1の動作モードで機器動作を実行するように構成されている。
【0018】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器は、ディジタルカメラ又はその他の携帯機器であり、USBホストにUSB接続されたクレードルから前記外部電力が供給されるように構成されている。
【0019】
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項1に記載の電子機器の処理部は、微弱UWB方式の近距離高速無線通信により機器外の通信相手と通信を行なうように構成されている。
【0020】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項8に記載の電子機器の処理部は、前記第1の動作モードにおいて、近距離高速無線通信が可能な時間のうち実際にデータ転送を行なう区間のデューティーを低くし、前記第2の動作モードにおいて、前記デューティーを前記第1の動作モードよりも高くするように構成されている。
【0021】
また、本願の請求項10に記載の技術は、
外部電力が供給される電子機器内のバッテリーの残容量を検出する残容量検出ステップと、
前記バッテリーの残容量が第1の閾値以上であるときに、前記電子機器において、前記外部電力と前記バッテリーの放電電力を用いて、前記外部電力を超えた電力を消費する第2の動作モードによる機器動作を実行する第2の機器動作ステップと、
前記バッテリーの残容量が第1の閾値未満であるときに、前記電子機器において前記外部電力以下の電力を消費する第1の動作モードによる機器動作を実行する第1の機器動作ステップと、
を有する充電制御方法である。
【0022】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項10に記載の充電制御方法は、
前記電子機器において前記第1の動作モードによる機器動作を実行しているときに、前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーを充電する充電ステップと、
前記電子機器において前記第1の動作モードによる機器動作を実行中に、前記バッテリーの残容量が第2の閾値以上になったことに応答して、前記電子機器の機器動作を前記第2の動作モードに切り替える動作モード移行ステップと、
をさらに有している。
【0023】
また、本願の請求項12に記載の技術は、
電子機器と、前記電子機器に電力を供給する給電装置を具備し、
前記電子機器は、バッテリーと、前記給電装置から供給される外部電力以下で機器動作を行なう第1の動作モードと外部電力を超えた電力を消費する機器動作を行なう第2の動作モードを有する処理部を備え、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて機器動作を実行する、
充電システムである。
【0024】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない(以下、同様)。
【0025】
また、本願の請求項13に記載の技術は、
電子機器と、前記電子機器を設置するとともにUSB接続されるクレードルを具備し、
前記クレードルは、USBケーブル経由で得た電力を非接触通信により前記電子機器に伝送し、
前記電子機器は、バッテリーと、前記クレードルから供給される外部電力以下でデューティーの低いデータ転送動作を行なう第1の動作モードと外部電力を超えた電力を消費してデューティーの高いデータ転送動作を行なう第2の動作モードを有する近距離通信制御部を備え、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて近距離高速無線通信動作を実行する、
データ転送システムである。
【発明の効果】
【0026】
本明細書で開示する技術によれば、最大電流規格が低く抑えられた外部からの給電電力を用いて、機器動作を継続しながらバッテリーの充電を効率的に行なうことができる、優れた電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムを提供することができる。
【0027】
また、本明細書で開示する技術によれば、バッテリーの残容量が低下した状態であっても、バッテリーの充電効率を保ちながら機器動作を好適に行なうことができる、優れた電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムを提供することができる。
【0028】
また、本明細書で開示する技術によれば、外部からの給電電力だけでは電力が足りない機器動作を、バッテリーからの放電電力を使用することによって実行することができる、優れた電子機器、充電制御方法、並びにデータ転送システムを提供することができる。
【0029】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本明細書で開示する技術を適用したデータ転送システム100の構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、バッテリー112の残容量に応じて動作モードを切り換えて機器動作を行なう場合のバッテリー112の充放電特性を示した図である。
【図3】図3は、本明細書で開示する技術を適用したデータ転送システム300の具体的に構成例を示した図である。
【図4】図4は、ディジタルカメラ310と、クレードル320と、パーソナル・コンピューター330の内部構成を模式的に示した図である。
【図5A】図5Aは、デューティー100%で近距離高速無線通信を行なっているときのディジタルカメラ310内の消費電力を示した図である。
【図5B】図5Bは、デューティー10%で近距離高速無線通信を行なっているときのディジタルカメラ310内の消費電力を示した図である。
【図6】図6は、バッテリー312の残容量に応じて近距離通信制御部313の動作モードを切り換えて機器動作を行なう場合のバッテリー312の充放電特性を示した図である。
【図7A】図7Aは、バッテリー312の残容量に応じて近距離通信制御部313の動作モードを切り換えて機器動作を行なう場合のバッテリー312の充放電特性を示した図である(転送データが多く、閾値を引き上げた場合)。
【図7B】図7Bは、バッテリー312の残容量に応じて近距離通信制御部313の動作モードを切り換えて機器動作を行なう場合のバッテリー312の充放電特性を示した図である(転送データが少なく、閾値を引き下げた場合)。
【図8】図8は、ディジタルカメラ310が近距離高速無線通信を実行する際の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0032】
図1には、本明細書で開示する技術を適用したデータ転送システム100の構成を模式的に示している。図示のデータ転送システム100は、電子機器110と、外部から電子機器110に電力を供給する給電装置120で構成される。
【0033】
給電装置120は、商用電源を電源として給電電力を得ることもあれば、パーソナル・コンピューターなどのUSBホスト(図示しない)から給電電力を得ることもある。さらにUSB接続されたクレードルとしてUSBホストから給電電力を得ることも想定される。USBホストから給電電力を得る場合、電子機器110へ供給可能な最大電流は、USBポートの接続先に依存し、1.5Aまで流せる場合と、500mAしか流せない場合がある。
【0034】
電子機器110が例えばディジタルカメラや携帯電話、携帯音楽再生機などであり、給電装置120が上記のようにクレードルの場合、電子機器110は、クレードルを経由して、パーソナル・コンピューターなどのUSBホスト(図示しない)との間で通信(同期処理など)を行なうことが想定される。
【0035】
電子機器110は、図示の通り、機器動作を実行する処理部113と、バッテリー112と、充放電制御部111を備えている。
【0036】
充放電制御部111は、給電装置120からの外部電力の処理部113への供給並びにバッテリー112の充電と、バッテリー112の放電を制御する。充放電制御部111は、基本的には、給電装置120からの外部電力を、処理部113に優先して供給し、余剰電力を用いてバッテリー112を充電する。また、充放電制御部111は、バッテリー112の残容量を監視ながら、バッテリー112の放電、すなわちバッテリー112から処理部113への給電を制御する。
【0037】
本実施形態では、給電装置120からの外部電力だけでは処理部113への給電が不足することが想定される。例えば、給電装置120からの外部電力が非接触通信により行なわれる場合には(後述)、給電の効率が50%程度と低いため、外部電力だけでは機器動作に必要な電力が不足することが想定される。付言すれば、給電装置120が例えばクレードルの場合、USBポートの接続先によっては最大電流規格が低いことも電力不足の一因となり得る。そこで、充放電制御部111は、給電装置120が電子機器110に接続されていないときは勿論、給電装置120が電子機器110に接続されているときであっても、給電装置120からの外部電力だけでは処理部113への給電が不足するときには、バッテリー112から処理部113への給電するようになっている。
【0038】
なお、充放電制御部111は、例えばバッテリー112の出力電圧を計測してその残容量を求めることができるが、その他、充放電電流の積算値から残容量を算出することもできる。以下では、説明の簡素化のため、出力電圧からバッテリー112の残容量を監視するものとする。
【0039】
処理部113が行なう機器動作は、外部機器との通信動作(クレードルを経由したUSBホストとの通信動作を含む)、撮影動作や撮影画像の再生動作(但し、電子機器110がディジタルカメラの場合)、表示動作(但し、電子機器110が表示パネルを備える場合)などである。USBポートの接続先が1.5Aの電流を流せるときには機器動作を実行できが、500mAしか流せないときには機器動作を実行できないこともある。
【0040】
本実施形態では、処理部113は、消費電力の異なる複数の動作モードで機器動作を行なうことができ、バッテリー112の残容量に基づいて動作モードを切り替えるように構成されている。すなわち、処理部113は、バッテリー112の残容量が高いときには消費電力は高いがパフォーマンスの高い動作モードで機器動作を実行するが、バッテリー112の残容量が低下するとパフォーマンスを抑えながら消費電力が低い動作モードに移行して、機器動作中もバッテリー112の充電を行えるようにして残容量を回復させるようになっている。
【0041】
例えば、処理部113は、給電装置120からの外部電力のみで動作可能な第1の動作モードと、機器動作のために給電装置120からの外部電力を超えた電力を使用する第2の動作モードを備えている。第2の動作モードでは、処理部113は、給電装置120からの外部電力に加えてバッテリー112からの給電により動作可能となる。給電装置120がクレードルであり、USBポートの接続先が1.5Aの電流を流せるときには、クレードルからの供給電力により第2の動作モードで機器動作を実行できるが、USBポートの接続先が500mAしか流せないときには、クレードルからの供給電力だけでは第2の動作モードで機器動作を実行できないこともある。
【0042】
第1の動作モードでは、処理部113は機器動作のパフォーマンスを抑えることにより消費電力を低下させている。給電装置120からの外部電力のうち、処理部113が消費した分を差し引いた余剰電力により、バッテリー112の充電を行なうことができる。一方、第2の動作モードでは、処理部113は機器動作のパフォーマンスを上げることができるが、バッテリー112の容量まで消費してしまう。言い換えれば、第2の動作モードではバッテリー112の充電を行なうことができず、また、バッテリー112の残容量が少ない状態では処理部113が第2の動作モードで機器動作を継続することはできない。
【0043】
ここで、処理部113が行なう機器動作がクレードルとしての給電装置120との通信動作(同期処理など)の場合には、第1の動作モードはパフォーマンスを低下させた転送動作に相当し、第2の動作モードは高いパフォーマンスでの転送動作に相当する。あるいは、処理部113が行なう機器動作がワイヤレス・ネットワーク等における無線通信動作の場合には、第1の動作モードは送信電力を抑制した通信動作に相当し、第2の動作モードは送信電力を増大させた通信動作に相当する。あるいは、電子機器110がディジタルカメラの場合、第1の動作モードでは撮影画像の再生のみを許容し、第2の動作モードは画像再生だけでなく撮影動作をも許容する。あるいは、電子機器110が表示パネルを含む場合には、第1の動作モードは表示パネルの輝度を抑制した表示動作に相当し、第2の動作モードは表示パネルを高輝度で表示出力する動作に相当する。あるいは、電子機器110がGPS(Global Positioning System)機能を搭載している場合、第1の動作モードは位置の測位性能の低下を許容してGPS機能を間欠動作させることに相当し、第2の動作モードはGPS機能をフル動作させて位置の測位性能を良好にすることに相当する。
【0044】
処理部113は、バッテリー112の残容量が十分あるときには第2の動作モードで機器動作を実行するが、バッテリー112の残容量が低くなると、第1の動作モードに移行して、パフォーマンスを抑えながら機器動作は継続するが、同時にバッテリー112の充電を行なって残容量を回復させる。
【0045】
したがって、電子機器110は、給電装置120からの外部電力の最大電流規格が低く抑えられていても、機器動作を継続しながらバッテリー112の充電を効率的に行なうことができる。また、バッテリー112の残容量が十分なときには、電子機器110は、給電装置120からの外部電力だけでは電力が足りない機器動作を、バッテリー112からの放電電力も使用することによって実行することができる。
【0046】
図2には、処理部113がバッテリー112の残容量に応じて動作モードを切り換えて機器動作を行なう場合のバッテリー112の充放電特性を示している。但し、バッテリー112の出力電圧に基づいて残容量を測定するものとする。
【0047】
バッテリー112が満充電に近く、出力電圧が十分高い状態では、処理部113は第2の動作モードで機器動作を開始する(参照番号201)。
【0048】
第2の動作モード下では、処理部113のパフォーマンスは高いが、給電装置120からの外部電力に加えてバッテリー112からの給電により動作するため、バッテリー112の残容量は徐々に低下していき、これに伴って出力電圧も低下する(参照番号202)。
【0049】
第2の動作モード下では、バッテリー112の充電を行なうことができず、勿論、バッテリー112の残容量が少ない状態では処理部113が第2の動作モードで機器動作を継続することはできない。そこで、処理部113は、バッテリー112の出力電圧が第1の閾値AAAを下回ると、第2の動作モードから第1の動作モードに切り換える(参照番号203)。
【0050】
第1の動作モード下では、処理部113は機器動作のパフォーマンスを抑えることにより消費電力を低下させている。給電装置120からの外部電力のうち、処理部113が消費した分を差し引いた余剰電力により、バッテリー112の充電を行なうので、バッテリー112の残容量が徐々に増大していき、これに伴って出力電圧も増大する(参照番号204)。
【0051】
そして、バッテリー112の出力電圧が第2の閾値BBBを超えると、残容量が十分に回復したことが分かるので、処理部113は、第2の動作モードに復帰して、元の高いパフォーマンスで機器動作を行なう(参照番号205)。また、処理部113が第2の動作モードに移行したことに伴い、バッテリー112の充電電流の供給も停止する。
【0052】
図2に示す例では、処理部113が第2の動作モードから第1の動作モードに移行する際の第1の閾値AAAは、処理部113が第1の動作モードから第2の動作モードに移行する際の第2の閾値BBBよりも小さい(AAA<BBB)。第1の閾値AAAと第2の閾値BBBを同じにせず、図示のようにヒステリシス特性を持たせているのは、バッテリー112の出力電圧の測定誤差により処理部113の動作モードの切り替えが頻繁に発生して動作が不安定にならないようにするためである。
【0053】
なお、処理部113をより長い期間にわたり第1の動作モードで動作させたい、あるいはより低いバッテリー112の残容量が許容されるときには、第1の閾値AAAをより低い値に設定すればよい。逆に、バッテリー112の残容量をあまり低くしたくないときには、第1の閾値AAAをより高い値に設定すればよい。また、バッテリー112を満充電に近い状態にまで回復させたいときには第2の閾値BBBをより高い値に設定すればよいし、バッテリー112の残容量の要求が厳しくなければ第2の閾値BBBをより低い値に設定すればよい。
【0054】
図3には、本明細書で開示する技術を適用したデータ転送システム300の具体的に構成例を示している。図示のデータ転送システム300は、電子機器に相当するディジタルカメラ310と、ディジタルカメラ310で撮影した画像データの管理などを行なうパーソナル・コンピューター330と、USBホストとしてのパーソナル・コンピューター330にUSBケーブル331で接続されている給電装置としてのクレードル320で構成される。
【0055】
ディジタルカメラ310は、クレードル320とは非接触で接続される。したがって、クレードル320上に設置されたディジタルカメラ310は、USBデバイスとしてUSBケーブル331を介してデータ転送を行ない、パーソナル・コンピューター330との間で同期処理を行なうことができる。また、クレードル320は、USBケーブル331のVBUS端子を介して供給される電力を、ディジタルカメラ310へ非接触により伝送する。
【0056】
本実施形態では、ディジタルカメラ310とクレードル320間で、電磁誘導方式による非接触通信と、UWB(Ultra Wide Band)のローバンド(4GHz帯)を用いた微弱UWB方式の近距離高速無線通信という2通りの通信手段が利用される。非接触通信には、例えばNFC(Near Field Communication)が仕様を策定したRFID規格を適用することができる。また、微弱UWB方式の近距離高速無線通信には、例えば「Transfer Jet」が利用される。近距離高速無線通信の詳細に関しては、例えば本出願人に既に譲渡されている特許第4345849号や、www.transferjet.org/index.html(平成23年11月7日現在)を参照されたい。非接触通信を用いて、ディジタルカメラ310とクレードル320間で認証処理を行なう他、クレードル320からディジタルカメラ310への電力伝送を行なうことができる。また、近距離高速無線通信を用いてディジタルカメラ310とクレードル320間でデータ転送(クレードル320を経由した、ディジタルカメラ310とパーソナル・コンピューター330間の同期処理)を行なうことができる。
【0057】
パーソナル・コンピューター330がバッテリー駆動時には、USBケーブル331のVBUS端子に流す電流を抑制する、あるいはその他の理由により最大電流規格は500mAと低くなると、クレードル320からディジタルカメラ310へ供給できる電力も低くなる。このため、ディジタルカメラ310側では、クレードル320経由でパーソナル・コンピューター330から供給される外部電力は十分でない。クレードル320からの外部電力だけでは足りない、ディジタルカメラ310の機器動作もある。
【0058】
図4には、ディジタルカメラ310と、クレードル320と、パーソナル・コンピューター330の内部構成を模式的に示している。同図では、主にディジタルカメラ310への電力供給と、ディジタルカメラ310とパーソナル・コンピューター330間のデータ転送の機能に特化して図解している。
【0059】
クレードル320は、USBインターフェース321と、非接触通信制御部322と、近距離通信制御部323を備えている。非接触通信制御部322は、コイルの電磁誘導作用を利用して、例えばNFC方式により、ディジタルカメラ310側と接続する。非接触通信制御部322は、認証処理のための通信を行なう他、パーソナル・コンピューター330のUSB電源部332からUSBインターフェース321で受け取った外部電力を、ディジタルカメラ310へ伝送する。また、近距離通信制御部323は、例えば微弱UWB方式により、ディジタルカメラ310との間で高速データ転送を行なう。近距離通信制御部323で受け取った画像などのデータは、USBインターフェース321からパーソナル・コンピューター330側のUSBデータ部333へ送信される。
【0060】
パーソナル・コンピューター330がノートブックのようなバッテリー駆動の場合には、USB電源部332からUSBケーブル331のVBUS端子に流せる最大電流規格は500mAと低くなり、クレードル320からディジタルカメラ310へ供給できる電力も低くなる。このため、ディジタルカメラ310側では、クレードル320経由でパーソナル・コンピューター330から供給される外部電力は十分でない。
【0061】
ディジタルカメラ310は、非接触通信制御部314と、近距離通信制御部313と、充放電制御部311と、バッテリー312と、制御部315を備えている。なお、図面の簡素化のため、撮影光学系や撮影画像の処理ブロックなどの図示を省略している。
【0062】
非接触通信制御部314は、コイルの電磁誘導作用を利用して、例えばNFC方式により、クレードル320と接続する。非接触通信制御部314は、認証処理のための通信を行なう他、クレードル320から外部電力を受け取る。また、近距離通信制御部313は、例えば微弱UWB方式により、クレードル320との間で近距離高速無線通信を行なう。
【0063】
充放電制御部311は、制御部315の指示により、クレードル320からの外部電力の各部313〜315への供給並びにバッテリー312の充電と、バッテリー312の放電を制御する。クレードル320からの外部電力は、基本的には、各部313〜315への給電に優先して用いられ、その余剰電力がバッテリー312の充電に用いられる。また、制御部315は、バッテリー312の残容量を監視ながら、バッテリー312の放電、すなわちバッテリー312から各部313〜315への給電を制御する。制御部315は、例えばバッテリー312の出力電圧を計測してその残容量を求めることができる。
【0064】
本実施形態では、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力だけでは各部313〜315への給電が不足することが想定される。何故ならば、クレードル320のUSBポートの接続先によっては最大電流規格が低く、外部電力だけでは機器動作に必要な電力が不足することが想定されるからである。そこで、ディジタルカメラ310がクレードル320から外されているときは勿論、ディジタルカメラ310がクレードル320上に設置されているときであっても、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力だけでは各部313〜315への給電が不足するときには、バッテリー312からも各部313〜315への給電するようになっている。外部電力で給電が不足する一例として、近距離通信制御部313により近距離高速無線通信を実行するときが挙げられる。
【0065】
例えば、近距離通信制御部313において、微弱UWB方式による近距離高速無線通信を、所定のデューティーを超えて行なっているときには、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力だけでは通信動作を行なうことができないので、充放電制御部311は、バッテリー312から近距離通信制御部313などへ電力を供給する。
【0066】
一方、近距離通信制御部313において、微弱UWB方式による近距離高速無線通信を、所定のデューティー以下で行なっているときには、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力でも十分通信動作を行なうことができる。この場合、充放電制御部311は、外部電力の余剰電力をバッテリー312の充電に利用する。
【0067】
ディジタルカメラ310は、近距離通信制御部313における近距離高速無線通信のデューティー比の異なる複数の動作モードを定義している。デューティー比に応じて装置全体の消費電力が異なるので、バッテリー312の残容量に基づいて動作モードを切り替えることによって、近距離高速無線通信中も余剰電力を得て、バッテリー312の充電を可能にしている。
【0068】
例えば、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力でも十分に近距離高速無線通信が可能となるように、近距離通信制御部313がデューティー10%で通信動作を行なう第1の動作モードと、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力に加えてバッテリー112からの給電により近距離通信制御部313がデューティー100%で通信動作を行なう第2の動作モードを定義する。
【0069】
第1の動作モードでは、近距離通信制御部313における通信動作のパフォーマンスを抑えることにより消費電力を低下させている。充放電制御部311は、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力のうち、近距離通信制御部313で消費した分を差し引いた余剰電力により、バッテリー312の充電を行なうことができる。
【0070】
図5Aには、デューティー100%で近距離高速無線通信を行なっているときのディジタルカメラ310内の消費電力を示している。ここで、デューティー100%とは、近距離高速無線通信が可能な時間すべての区間で実際にデータを転送することを意味する。図示のように、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力に加えて、バッテリー312からの放電電力が各部313〜315に供給される。
【0071】
一方、第2の動作モードでは、近距離通信制御部313における通信動作のパフォーマンスを上げることができるが、バッテリー312の容量まで消費する。言い換えれば、第2の動作モードでは、バッテリー312の充電を行なうことができず、また、バッテリー312の残容量が少ない状態では処理部113が第2の動作モードで機器動作を継続することはできない。
【0072】
図5Bには、デューティー10%で近距離高速無線通信を行なっているときのディジタルカメラ310内の消費電力を示している。ここで、デューティー10%とは、近距離高速無線通信が可能な時間のうち実際にデータを転送するのは10%の区間のみ、残りの90%の区間ではデータを送らずにスリープ状態(消費電力が少ない状態)であることを意味し、定常的な電子慮としてみると消費している電力は少なくなる。図示のように、近距離高速無線通信の動作が停止している区間では、クレードル320から非接触通信により供給される外部電力がバッテリー312に充電される。
【0073】
制御部315は、バッテリー312の残容量が十分あるときには近距離通信制御部313を第2の動作モードで動作させるが、バッテリー312の残容量が低くなると、近距離通信制御部313を第1の動作モードに切り換え、パフォーマンスを抑えながら近距離高速無線通信動作は継続させるが、同時にバッテリー312の充電を行なって残容量を回復させる。
【0074】
したがって、ディジタルカメラ310は、クレードル320からの外部電力の最大電流規格が低く抑えられていても、近距離高速無線通信動作を継続しながらバッテリー312の充電を効率的に行なうことができる。また、バッテリー312の残容量が十分なときには、ディジタルカメラ310は、クレードル320からの外部電力だけでは電力が足りない近距離高速無線通信動作を、バッテリー112からの放電電力も使用することによって実行することができる。
【0075】
図6には、バッテリー312の残容量に応じて近距離通信制御部313の動作モードを切り換えて機器動作を行なう場合のバッテリー312の充放電特性を示している。但し、バッテリー312の出力電圧に基づいて残容量を測定するものとする。
【0076】
バッテリー312が満充電に近く、出力電圧が十分高い状態では、近距離通信制御部313は、第2の動作モードで、高いデューティー比で通信動作を開始する(参照番号601)。
【0077】
第2の動作モード下では、近距離高速無線通信のパフォーマンスは高いが、クレードル320からの外部電力に加えてバッテリー312からの給電により動作するため、バッテリー312の残容量は徐々に低下していき、これに伴って出力電圧も低下する(参照番号602)。
【0078】
第2の動作モード下では、バッテリー312の充電を行なうことができず、勿論、バッテリー312の残容量が少ない状態では第2の動作モードで通信動作を継続することはできない。そこで、制御部315は、バッテリー312の出力電圧が第1の閾値AAAを下回ると、近距離通信制御部313を第2の動作モードから第1の動作モードに切り換える(参照番号603)。
【0079】
第1の動作モード下では、近距離通信制御部313の通信動作のパフォーマンスを抑えることにより消費電力を低下させている。クレードル320からの外部電力のうち、各部313〜315消費した分を差し引いた余剰電力により、バッテリー312の充電を行なうので、バッテリー312の残容量が徐々に増大していき、これに伴って出力電圧も増大する(参照番号604)。
【0080】
そして、バッテリー312の出力電圧が第2の閾値BBBを超えると、残容量が十分に回復したことが分かるので、制御部315は、近距離通信制御部313を第2の動作モードに復帰させて、元の高いパフォーマンスで通信動作を行なわせる(参照番号605)。また、近距離通信制御部313が第2の動作モードに移行したことに伴い、バッテリー312の充電電流の供給も停止する。
【0081】
図6に示す例では、図2と同様に、近距離通信制御部313が第2の動作モードから第1の動作モードに移行する際の第1の閾値AAAは、近距離通信制御部313が第1の動作モードから第2の動作モードに移行する際の第2の閾値BBBよりも小さい(AAA<BBB)。第1の閾値AAAと第2の閾値BBBを同じにせず、図示のようにヒステリシス特性を持たせているのは、バッテリー312の出力電圧の測定誤差により近距離通信制御部313の動作モードの切り替えが頻繁に発生して動作が不安定にならないようにするためである。
【0082】
なお、近距離高速無線通信による転送データ量に応じて第1の閾値AAAと第2の閾値BBBの設定を変更するようにしてもよい。例えば、転送データ量が多いときには、図7Aに示すように、第1の閾値AAAと第2の閾値BBBを引き上げて、100%のデューティーで近距離高速無線通信を行なう領域を減らす。これによって、膨大なデータ転送を長時間にわたって実行する間に、バッテリー312の残容量が常に高く保たれるようにする。また逆に、転送データ量が少ないときには、図7Bに示すように、第1の閾値AAAと第2の閾値BBBを引き下げて、100%のデューティーで近距離高速無線通信を行なう領域を増やす。これによって、データ転送を短期間で完了させて、すぐにバッテリー312の充電を開始できるようにする。
【0083】
図8には、ディジタルカメラ310が近距離高速無線通信を実行する際の処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、例えば制御部315において所定のプログラム・コードを実行するという形態で実現することができる。
【0084】
ディジタルカメラ310をクレードル320上に設置すると、充放電制御部311において給電電力を検出することにより、クレードル320を検出する(ステップS801のYes)。
【0085】
次いで、制御部315は、バッテリー312の出力電圧から、その残容量をチェックする(ステップS802)。
【0086】
ここで、バッテリー312の出力電圧が第1の閾値AAAよりも高いことが分かったときには(ステップS803のYes)、制御部315は、近距離通信制御部313を第2の動作モードに設定する(ステップS804)。
【0087】
近距離通信制御部313は、第2の動作モード下では、デューティー100%で近距離高速無線通信を実行する。ディジタルカメラ310とクレードル320間の転送レートは高くなるが、消費電力は増大し、これをバッテリー312からの給電により補うので、バッテリー312の残容量は減少し、出力電圧が低下していく。その後、ステップS802に戻り、バッテリー312の残容量を再度チェックする。
【0088】
一方、バッテリー312の出力電圧が第1の閾値AAAよりも低いことが分かったときには(ステップS803のNo)、制御部315は、近距離通信制御部313を第1の動作モードに設定する(ステップS805)。
【0089】
近距離通信制御部313は、第1の動作モード下では、デューティー10%で近距離高速無線通信を実行する。ディジタルカメラ310とクレードル320間の転送レートは低くなるが、消費電力は小さくなるので、クレードル320からの外部電力のうち余剰電力を用いてバッテリー312の充電を行なうことができる。この結果、バッテリー312の残容量は増加し、出力電圧が高くなる。
【0090】
そして、バッテリー312の残容量を再度チェックする(ステップS806)。
【0091】
ここで、バッテリー312の出力電圧が第2の閾値BBBよりも高くなったことが分かったときには(ステップS807のYes)、制御部315は、近距離通信制御部313を第2の動作モードに設定する(ステップS804)。
【0092】
近距離通信制御部313は、第2の動作モード下では、デューティー100%で近距離高速無線通信を実行する。ディジタルカメラ310とクレードル320間の転送レートは高くなるが、消費電力は増大し、これをバッテリー312からの給電により補うので、バッテリー312の残容量は減少し、出力電圧が低下していく。その後、ステップS802に戻り、バッテリー312の残容量を再度チェックする(同上)。
【0093】
一方、バッテリー312の出力電圧が第2の閾値BBBよりも低いことが分かったときには(ステップS807のNo)、制御部315は、近距離通信制御部313を第2の動作モードの設定のままとする(ステップS805)。したがって、近距離通信制御部313は、デューティー10%で近距離高速無線通信を実行し続ける。ディジタルカメラ310とクレードル320間の転送レートは低くままであるが、クレードル320からの外部電力のうち余剰電力を用いてバッテリー312の充電も継続するので、バッテリー312の残容量はさらに増加し、出力電圧が高くなっていく。
【0094】
ディジタルカメラ310は、図8に示した処理手順に従ってデータ転送動作を行なうことによって、バッテリーの残容量が低下した状態であっても、バッテリーの充電効率を保ちながら、近距離高速無線通信によりクレードル320とデータ転送を行なうことができる。また、ディジタルカメラ310は、クレードル320から供給される外部電力だけでは足りない高デューティーでの近距離高速無線通信を、バッテリーからの放電電力を使用することによって実行することができる。
【0095】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)バッテリーと、機器動作を実行する処理部と、外部電力を用いて前記処理部への給電と前記バッテリーの充電、並びに、前記バッテリーから前記処理部への給電を制御する充放電制御部を具備し、前記処理部は、前記外部電力以下で機器動作を行なう第1の動作モードと、前記外部電力を超えた電力を使用して機器動作を行なう第2の動作モードを有し、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて機器動作を実行する、電子機器。
(2)前記充放電制御部は、前記外部電力を前記処理部へ優先的に供給し、余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行なう、上記(1)に記載の電子機器。
(3)前記処理部が前記第1の動作モードで機器動作を実行しているときには、前記充放電制御部は、前記処理部が消費する前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行なう、上記(1)に記載の電子機器。
(4)前記処理部が前記第2の動作モードで機器動作を実行しているときには、前記充放電制御部は、前記外部電力を超えた電力を前記バッテリーから前記処理部に供給する、上記(1)に記載の電子機器。
(5)前記バッテリーの残容量が大きいときには、前記処理部は前記第2の動作モードで機器動作を実行し、前記バッテリーの残容量が小さいときには、前記処理部は前記第1の動作モードで機器動作を実行する、上記(1)に記載の電子機器。
(6)前記処理部が前記第2の動作モードで機器動作を実行中に前記バッテリーの残容量が第1の閾値以下になると前記第1の動作モードに移行して、前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行ない、前記処理部が前記第1の動作モードで機器動作を実行中に前記バッテリーの残容量が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になると前記第2の動作モードに移行する、上記(1)に記載の電子機器。
(7)前記電子機器は、ディジタルカメラ又はその他の携帯機器であり、USBホストにUSB接続されたクレードルから前記外部電力が供給される、上記(1)に記載の電子機器。
(8)前記処理部は、微弱UWB方式の近距離高速無線通信により機器外の通信相手と通信を行なう、上記(1)に記載の電子機器。
(9)前記処理部は、前記第1の動作モードにおいて、近距離高速無線通信が可能な時間のうち実際にデータ転送を行なう区間のデューティーを低くし、前記第2の動作モードにおいて、前記デューティーを前記第1の動作モードよりも高くする、上記(8)に記載の電子機器。
(10)外部電力が供給される電子機器内のバッテリーの残容量を検出する残容量検出ステップと、前記バッテリーの残容量が第1の閾値以上であるときに、前記電子機器において、前記外部電力と前記バッテリーの放電電力を用いて、前記外部電力を超えた電力を消費する第2の動作モードによる機器動作を実行する第2の機器動作ステップと、前記バッテリーの残容量が第1の閾値未満であるときに、前記電子機器において前記外部電力以下の電力を消費する第1の動作モードによる機器動作を実行する第1の機器動作ステップと、を有する充電制御方法。
(11)前記電子機器において前記第1の動作モードによる機器動作を実行しているときに、前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーを充電する充電ステップと、前記電子機器において前記第1の動作モードによる機器動作を実行中に、前記バッテリーの残容量が第2の閾値以上になったことに応答して、前記電子機器の機器動作を前記第2の動作モードに切り替える動作モード移行ステップと、をさらに有する上記(10)充電制御方法。
(12)電子機器と、前記電子機器に電力を供給する給電装置を具備し、前記電子機器は、バッテリーと、前記給電装置から供給される外部電力以下で機器動作を行なう第1の動作モードと外部電力を超えた電力を消費する機器動作を行なう第2の動作モードを有する処理部を備え、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて機器動作を実行する、充電システム。
(13)電子機器と、前記電子機器を設置するとともにUSB接続されるクレードルを具備し、前記クレードルは、USBケーブル経由で得た電力を非接触通信により前記電子機器に伝送し、前記電子機器は、バッテリーと、前記クレードルから供給される外部電力以下でデューティーの低いデータ転送動作を行なう第1の動作モードと外部電力を超えた電力を消費してデューティーの高いデータ転送動作を行なう第2の動作モードを有する近距離通信制御部を備え、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて近距離高速無線通信動作を実行する、データ転送システム。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0097】
本明細書では、ディジタルカメラがパーソナル・コンピューターにUSB接続されたクレードルを用いて非接触通信するとともにディジタルカメラ内のバッテリーを充電するシステムに適用した実施形態を中心に説明してきたが、バッテリーで駆動するその他のさまざまな電子機器についても、機器動作と同時に充電する場合に適用することができる。例えば、ノートブック・コンピューター、携帯電話、携帯音楽再生機、自動車、鉄道車両、船舶、航空機、人工衛星、ロボット、住宅、照明器具、医療機器、測定器、工作機械、テレビ、ラジオ、無線機、非常用電源など、バッテリーを用いるさまざまな電子機器に対し、同様に本明細書で開示する技術を適用することができる。
【0098】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0099】
100…データ転送システム
110…電子機器
111…充放電制御部
112…バッテリー
113…処理部
120…給電装置
300…データ転送システム
310…ディジタルカメラ
311…充放電制御部
312…バッテリー
313…近距離通信制御部
314…非接触通信制御部
315…制御部
320…クレードル
321…USBインターフェース
322…非接触通信制御部
323…近距離通信制御部
330…パーソナル・コンピューター
331…USBケーブル
332…USB電源部
333…USBデータ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーと、
機器動作を実行する処理部と、
外部電力を用いて前記処理部への給電と前記バッテリーの充電、並びに、前記バッテリーから前記処理部への給電を制御する充放電制御部と、
を具備し、
前記処理部は、前記外部電力以下で機器動作を行なう第1の動作モードと、前記外部電力を超えた電力を使用して機器動作を行なう第2の動作モードを有し、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて機器動作を実行する、
電子機器。
【請求項2】
前記充放電制御部は、前記外部電力を前記処理部へ優先的に供給し、余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行なう、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記処理部が前記第1の動作モードで機器動作を実行しているときには、前記充放電制御部は、前記処理部が消費する前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行なう、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記処理部が前記第2の動作モードで機器動作を実行しているときには、前記充放電制御部は、前記外部電力を超えた電力を前記バッテリーから前記処理部に供給する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記バッテリーの残容量が大きいときには、前記処理部は前記第2の動作モードで機器動作を実行し、前記バッテリーの残容量が小さいときには、前記処理部は前記第1の動作モードで機器動作を実行する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記処理部が前記第2の動作モードで機器動作を実行中に前記バッテリーの残容量が第1の閾値以下になると前記第1の動作モードに移行して、前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーの充電を行ない、
前記処理部が前記第1の動作モードで機器動作を実行中に前記バッテリーの残容量が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になると前記第2の動作モードに移行する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、ディジタルカメラ又はその他の携帯機器であり、USBホストにUSB接続されたクレードルから前記外部電力が供給される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記処理部は、微弱UWB方式の近距離高速無線通信により機器外の通信相手と通信を行なう、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記処理部は、前記第1の動作モードにおいて、近距離高速無線通信が可能な時間のうち実際にデータ転送を行なう区間のデューティーを低くし、前記第2の動作モードにおいて、前記デューティーを前記第1の動作モードよりも高くする、
請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
外部電力が供給される電子機器内のバッテリーの残容量を検出する残容量検出ステップと、
前記バッテリーの残容量が第1の閾値以上であるときに、前記電子機器において、前記外部電力と前記バッテリーの放電電力を用いて、前記外部電力を超えた電力を消費する第2の動作モードによる機器動作を実行する第2の機器動作ステップと、
前記バッテリーの残容量が第1の閾値未満であるときに、前記電子機器において前記外部電力以下の電力を消費する第1の動作モードによる機器動作を実行する第1の機器動作ステップと、
を有する充電制御方法。
【請求項11】
前記電子機器において前記第1の動作モードによる機器動作を実行しているときに、前記外部電力の余剰電力を用いて前記バッテリーを充電する充電ステップと、
前記電子機器において前記第1の動作モードによる機器動作を実行中に、前記バッテリーの残容量が第2の閾値以上になったことに応答して、前記電子機器の機器動作を前記第2の動作モードに切り替える動作モード移行ステップと、
をさらに有する請求項10に記載の充電制御方法。
【請求項12】
電子機器と、前記電子機器に電力を供給する給電装置を具備し、
前記電子機器は、バッテリーと、前記給電装置から供給される外部電力以下で機器動作を行なう第1の動作モードと外部電力を超えた電力を消費する機器動作を行なう第2の動作モードを有する処理部を備え、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて機器動作を実行する、
充電システム。
【請求項13】
電子機器と、前記電子機器を設置するとともにUSB接続されるクレードルを具備し、
前記クレードルは、USBケーブル経由で得た電力を非接触通信により前記電子機器に伝送し、
前記電子機器は、バッテリーと、前記クレードルから供給される外部電力以下でデューティーの低いデータ転送動作を行なう第1の動作モードと外部電力を超えた電力を消費してデューティーの高いデータ転送動作を行なう第2の動作モードを有する近距離通信制御部を備え、前記バッテリーの残容量に応じて前記処理部を前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードに切り換えて近距離高速無線通信動作を実行する、
データ転送システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110823(P2013−110823A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252829(P2011−252829)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】