電子機器、判断方法およびプログラム
【課題】より正確に現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる電子機器、判断方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】周囲の温度を検出する温度検出部4と、日時または時刻を計時または取得する時計機能部2と、周囲の照度を検出する照度検出部3と、照度と温度のうちの少なくとも1つと、日時または時刻と、屋内かまたは屋外かを判断する判断基準とを関連付けたデータベースを有する記憶部6と、温度検出部4、時刻取得部2および照度検出部3から温度、時刻、照度を得て、データベースとを照合して屋内であるか屋外であるかを判断する制御部5と、を有している。
【解決手段】周囲の温度を検出する温度検出部4と、日時または時刻を計時または取得する時計機能部2と、周囲の照度を検出する照度検出部3と、照度と温度のうちの少なくとも1つと、日時または時刻と、屋内かまたは屋外かを判断する判断基準とを関連付けたデータベースを有する記憶部6と、温度検出部4、時刻取得部2および照度検出部3から温度、時刻、照度を得て、データベースとを照合して屋内であるか屋外であるかを判断する制御部5と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、判断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、現在位置が屋内かあるいは屋外かを判断するためには、人工衛星を利用した測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が用いられている。GPSを利用すると、GPS受信機の現在位置を算出できると共に、GPS衛星に搭載されている高精度の原子時計にGPS受信機の時計を同期させることができる。そのため、GPSは、本来の位置算出用途の他に、時計の時刻補正の用途にも用いられている。
【0003】
また、GPSだけではなく、紫外線センサにより得られる紫外線量、あるいは、照度センサにより得られる照度値も用いて昼夜の判断を行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−080824(たとえば、請求項1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、屋内やトンネル内など、GPS受信機が人工衛星からの電波を受信できない環境では、紫外線センサと照度センサの2つで屋内屋外判断を行わなくてはならないが、現状の判断結果が不正確であるという問題がある。
【0006】
特に、紫外線センサが測定する紫外線の大部分は、波長が400〜315nmのUVAであり、ガラスを透過可能である。したがって、屋内であっても、窓際のような紫外線が入り込みやすい部位においては、屋外並みの紫外線量が測定されることがある。すなわち、紫外線センサと照度センサとだけで屋内屋外判断を行う場合には、その判断結果が不正確になる。
【0007】
そこで、本発明は、より正確に現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる電子機器、判断方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器の第1の側面は、周囲の温度を検出する温度検出部と、日時または時刻を計時または取得する時計機能部と、周囲の照度を検出する照度検出部と、照度と温度のうちの少なくとも1つと、日時または時刻と、屋内かまたは屋外かを判断する判断基準とを関連付けたデータベースを有する記憶部と、温度検出部、時刻取得部および照度検出部から温度、時刻、照度を得て、データベースとを照合して屋内であるか屋外であるかを判断する制御部と、を有するものである。
【0009】
また、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、データベースは、季節または月または月日と、時間帯とが、温度および照度と関連付けられていて、季節または月または月日と、時間帯とによって、屋内か屋外かを判断する判断基準が異なることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、制御部は、屋内かまたは屋外であるのかを判断する判断基準として、温度閾値と照度閾値とを用いることが好ましい。
【0011】
また、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、制御部は、所定の時間以上、屋内の照度値よりも低い閾値である判定不能閾値を下回る照度値が得られた場合には、屋内であるか屋外であるかを判断しないことが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、現在の位置情報を取得可能な現在位置検出手段を備え、当該現在位置検出手段からの現在の位置情報が制御部に入力されると共に、制御部は、現在位置検出手段からの位置情報が得られるか否かに応じて、屋内か屋外かを判断する処理か、または乗車可能な移動体内か屋外かを判断する処理のいずれかを行うことが好ましい。
【0013】
また、本発明の判断方法は、周囲の温度を検出する温度検出ステップと、日時または時刻を計時または取得する時刻取得ステップと、周囲の照度を検出する照度検出ステップと、温度検出ステップ、時刻取得ステップおよび照度検出ステップで得られた温度、時刻、照度と、これらの情報から屋内か屋外かを判断すると共にデータベースに記憶されている判断基準とから、屋内であるか屋外であるかを判断する屋内外判断ステップと、を有することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のプログラムは、コンピュータにインストールされることにより、当該コンピュータを、上述の各発明に係る制御部として機能させることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、より正確に現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる判断方法およびその方法を用いた装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1の電子機器が測定する照度値および温度値の変化の一例(冬季のもの)を示すグラフである。
【図4】図3の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図5】図1の電子機器が測定する照度値および温度値の変化の別の一例(夏季のもの)を示すグラフである。
【図6】図5の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図7】図1の電子機器が測定する照度値および温度値の変化の別の一例(窓際か屋外か)を示すグラフである。
【図8】図7の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図9】図1の電子機器が屋内において測定する照度値および温度値と、天候の違いとの関係を示すグラフである。
【図10】図9の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図11】図1の電子機器が屋外において測定する照度値および温度値と、天候の違いとの関係を示すグラフである。
【図12】図11の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図13】図1の電子機器が屋内と屋外(日陰)においてそれぞれ測定する照度値を示すグラフである。
【図14】図13の照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図15】図1の電子機器が屋内であるか屋外であるかの判断を行う場合の、例外的なケースにおける照度値と温度値とを示すグラフである。
【図16】図15の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態に係る電子機器1について、図1〜図16を参照しながら説明する。図1は、本発明の1実施の形態に係る電子機器1の構成を説明するブロック図である。
【0018】
<電子機器1の構成について>
電子機器1は、移動体に取り付けられた装置である。電子機器1は、時計機能部2、照度検出部3、温度検出部4、制御部5および記憶部6を主な構成要素としている。時計機能部2、照度検出部3、温度検出部4および記憶部6は、制御部5にそれぞれ接続されている。
【0019】
時計機能部2は、時刻取得部に対応し、日時または時刻を計時または取得する部分である。時計機能部2は、日時または時刻を計時または取得できるものであればどのようなものでもよい。たとえば、カレンダー機能を有する装置や、標準電波から時刻を取得して時計機能部2が計時する時刻を補正する機能を備える時計、あるいは、GPS衛星から発信されている時刻情報を時刻として取得するGPS受信機等を備え、時計機能部2が計時する時刻を補正する機能を備えるもの等を採用できる。
【0020】
照度検出部3は、明るさを光束の量により検出するデバイスである。照度検出部3としては、フォトトランジスタを使用したもの、フォトダイオードを使用したもの、およびフォトダイオードにアンプ回路を追加したもの等を用いることができる。電子装置1を使用している状態において、照度検出部3の受光面に光が当たる側に向くように配置されている。
【0021】
温度検出部4は、温度を検出するデバイスである。温度検出部4は、たとえば、サーミスタで構成され、温度による半導体の特性の変化を利用して、温度検出部4の周囲の温度を検出できる。なお、温度検出部4としては、サーミスタ以外に、熱電対、半導体温度センサー、リニア抵抗器、白金測温抵抗体等を用いるようにしても良い。
【0022】
制御部5は、各入力信号および出力信号の処理を行う。また、制御部5は、電子機器1の制御を行うCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を備えていることが好ましい。RAMは、CPUからの制御指令に基づいて、情報を一時的に記憶する、あるいはCPUのワークメモリとして使用される。ROMは、CPUが各部を制御するための制御プログラムおよび各定数が記憶されている。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、実行することにより作動する。
【0023】
記憶部6は、各種情報、データまたはプログラム等のいずれか1つあるいは複数を記憶しておく部分であり、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性メモリ、ROMおよびRAM等の中から1つあるいは複数を採用できる。記憶部6は、制御部5が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶したり、各種デバイスとの通信情報を一時的に記憶したりできる。また、制御部5が判断するために、後述の屋内屋外を判断するための後述するような情報および後述する図2に示すような判断フローを実行するためのプログラムが格納されている。
【0024】
また、記憶部6には、後述するような屋内・屋外を判断するための判断基準となるデータベースが記憶されている。この判断基準は、後述するように、温度閾値および/または照度閾値であり、それらが後述するような各種のバリエーションにて、時刻および/または日時等と関連付けられて、記憶されている。
【0025】
<屋内・屋外の判定をするための処理フローについて>
次に、第1の実施の形態の電子機器1における、屋内・屋外の判定をするための処理フローについて説明する。図2は、屋内・屋外の判定を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まず、温度検出部4により温度を検出する(ステップS101;温度検出ステップ)。制御部5は、検出された温度の情報を記憶部6に記憶する。さらに、時計機能部2により、現在の日時を取得する(ステップS102;時刻取得ステップ)。制御部5は、取得された時刻の情報を記憶部6に記憶させる。また、照度検出部3により、照度値を取得する(ステップS103;照度検出ステップ)。制御部5は、検出された照度値の情報を記憶部6に記憶させる。なお、ステップS101〜S103は、同時あるいは順序が前後していてもよい。
【0027】
次に、制御部5は、得られた日時、照度値および温度と、データベースの内容を照合する(S104)。なお、このS104における判定の基準(データベースの内容)については、後述する。続いて、S104において、判定結果が得られたか否かを判断する(ステップS105)。判定結果が得られた場合、すなわちステップS105においてYesの場合には、その判定結果が屋内であるか否かを判断する(ステップS106;屋内外判断ステップ)。一方、ステップS104において判定結果が得られなかった場合、すなわちステップS105において「No」の場合には、制御部5は、屋内であるか屋外であるかの判定ができなかった(未確定;S107)と決定して終了する。
【0028】
なお、ステップS106において、屋内であると決定されると(S108)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、屋内である場合の制御部5での特有の処理が為され、図2の処理フローが終了する。一方、ステップS106において、屋外であると決定されると(S109)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、屋外である場合の制御部5での特有の処理が為され、図2の処理フローが終了する。
【0029】
<屋内/屋外の判定の基準について>
次に、ステップS104の判定の基準について図3〜図8を参照して説明する。図3は、12月1日に、電子機器1が時刻、照度および温度を取得した場合に、その時刻と、照度値および温度との関係を示すグラフである。
【0030】
図3のAで示す領域、およびCで示す領域は、朝の9時から夕方の17時までの日中時間帯のうちの一部であるが、その中で温度は、所定の温度よりも低いが、その照度値は、ある所定の照度値よりも高い状態となっている。領域Aおよび領域Cのような状態が検出される場合、屋外と判断するものとする。なぜなら、朝の9時から夕方の17時までの間は、日照時間であるため、屋外では、照度値が大きい。一方、12月1日のような冬季においては、室内は暖房を使用するため、屋外よりも暖かい。また、室内の場合には、照度値は、ある所定の照度値よりも低い。そのため、図3のBで示す領域Bの状態、および領域Dの状態が検出される場合、屋内と判断するものとする。
【0031】
一方、夕方の17時を過ぎた夜間時間帯では、照度値は大幅に低くなり、屋内と屋外とで大差がないことが多い。この場合には、温度に基づいてのみ、判断される。すなわち、図3のEで示す領域は、所定の温度よりも高いため、そのような状態が検出されると、屋内であると判断する。一方、図3のFで示す領域は、所定の温度よりも低いため、そのような状態が検出されると、屋外であると判断する。
【0032】
以上のような判断を行うためには、たとえば、電子機器1が使用される地域を設定し、その使用される地域に適した温度閾値および照度閾値を用いるようにすることが好ましい。すなわち、そのような温度閾値および照度閾値に関するデータベースが、記憶部6に存在する構成とすることが好ましい。ここで、冬季用の照度閾値、冬季用の温度閾値を、それぞれの時間毎に設け、これらの照度閾値と温度閾値とを用いて判定するようにすれば良い。また、照度閾値は、日中時間帯のみ用いるようにして、夜間時間帯になると用いないようにすれば良い。しかしながら、夜間時間帯においても、照度閾値を用いるようにしても良い。たとえば、屋内では、夜においては、照明を用いるため、照度値は屋外よりも屋内の方が大きくなることが多い。そのため、夜間時間帯においては、照明を用いるときと用いないときとを識別するための照度閾値を用いて、屋内であるか屋外であるかの判定を行うようにしても良い。
【0033】
また、冬季の場合であって、電子機器1が使用される地域が東京である場合には、屋外において所定の温度閾値を上回ることはほとんど考えられない。そのため、たとえば、所定の温度閾値を上回る一方、所定の照度閾値をも上回る場合には、所定の温度閾値のみに基づいて判断を行い、屋内であると判定しても良い。なお、夏季の場合においても、所定の温度閾値を下回る一方、所定の照度閾値をも上回る場合には、所定の温度閾値のみに基づいて判断を行い、屋内であると判定しても良い。
【0034】
また、温度閾値および/または照度閾値は、冬季用等の季節ごととはせずに、月ごと、週ごと、日にちごと、または10日ごと等のように、所定の日数ごとに、異なるものとしても良い。
【0035】
なお、図3には、温度閾値の一例と、照度閾値の一例が図示されている。ここで、図3においては、温度閾値と照度閾値が直線的なものが示されている。しかしながら、各時間ごとに屋外の温度は、変化する。また、各時間ごとに屋外の照度値も変化する。そのため、記憶部6に記憶されているデータベースの温度閾値と、照度閾値とは、直線的なものとはせずに、時間によって随時変化するものとしても良い。また、当該電子機器1がGPS受信機を備える場合には、電子機器1が使用される地域の設定は、当該電子機器1のGPS受信機が最後に人工衛星からの電波を受信した際に算出した位置情報に基づく地域としても良い。
【0036】
また、記憶部6には、図4のような、各時間ごとの照度値と温度とが記憶させられる。そして、この照度値と温度とから、制御部5は、屋外であるか、屋内であるかの判定を行う。
【0037】
続いて、他の判断の例について述べる。図5は、たとえば8月1日に、電子機器1が時刻、照度および温度を取得した場合に、その時刻と、照度値および温度との関係を示すグラフである。また、図6は、図5の温度および照度値を、テーブル化したものである。
【0038】
図5のBで示す領域、およびDで示す領域は、朝の9時から夕方の18時までの日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は所定の温度(温度閾値)よりも高く、かつそれらの領域における照度値は、ある所定の照度値(照度閾値)よりも高い状態となっている。領域Bおよび領域Dのような状態が検出される場合、屋外と判断するものとする。なぜなら、8月1日のような夏季においては、屋内では冷房を使用するため、屋外の方が屋内よりも温度が高い。一方、朝の9時から夕方の18時までの間は、日照時間であるため、屋外では、照度値が大きい。すなわち、領域Bと領域Dでは、図5の温度閾値および照度閾値を上回っているため、屋外であると判断される。
【0039】
また、図5のAで示す領域、およびCで示す領域は、朝の9時から夕方の18時までの日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は、所定の温度(温度閾値)よりも低く、かつそれらの領域における照度値は、所定の照度値(照度閾値)よりも低い状態となっている。領域Aおよび領域Cのような状態が検出される場合、屋内と判断するものとする。なぜなら、8月1日のような夏季においては、屋内は、冷房を使用するため、屋外よりも温度が低くなる。一方、朝の9時から夕方の18時までの間は、日照時間であるため、屋外では照度値が大きくなるが、屋内では照度値が小さくなる。すなわち、領域Aと領域Cでは、図5の温度閾値および照度閾値を下回っているため、屋内であると判断される。
【0040】
一方、夕方の18時を過ぎると、照度値は大幅に低くなり、屋内と屋外とで大差がないことが多い。この場合には、温度に基づいてのみ、判断される。すなわち、図5のEで示す領域は、所定の温度(温度閾値)よりも低いため、そのような状態が検出されると、屋内であると判断する。一方、図3のFで示す領域は、所定の温度(温度閾値)よりも高いため、そのような状態が検出されると、屋外であると判断する。
【0041】
また、記憶部6には、図6のような、各時間ごとの照度値と温度とが記憶させられる。そして、この照度値と温度とから、制御部5は、屋外であるか、屋内であるかの判定を行う。
【0042】
以上のような判断を行うための、温度閾値および照度閾値についての考え方は、上述の冬季の場合において述べたものと同様であり、その詳細についての説明は省略する。
【0043】
続いて、屋内の窓際と、屋外とを判断する手法について述べる。図7は、たとえば8月1日に、電子機器1が屋内の窓際と屋外とで時刻、照度および温度を取得した場合に、その時刻と、照度値および温度との関係を示すグラフである。また、図8は、図7の温度および照度値を、テーブル化したものである。
【0044】
屋内の窓際と屋外とでは、照度値は、ほぼ同様になる。そのため、照度閾値に基づいて、屋内であるか、または屋外であるかを判断することは困難である。そこで、ある時間帯における温度がどれぐらいであるかによって、屋内の窓際と屋外とを判別する。
【0045】
図7のAで示す領域、Cで示す領域、およびEで示す領域は、いずれも日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は、所定の温度(温度閾値)よりも低い状態となっている。8月1日のような夏季においては、屋内は、冷房を使用するため、屋外よりも温度が低くなる。すなわち、領域A、領域Cおよび領域Eでは、図7の温度閾値を下回っているため、屋内であると判断される。
【0046】
また、図7のBで示す領域、およびDで示す領域は、いずれも日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は所定の温度(温度閾値)よりも高い状態となっている。8月1日のような夏季においては、屋内では冷房を使用するため、屋外の方が屋内よりも温度が高い。すなわち、領域Bと領域Dでは、図7の温度閾値を上回っているため、屋外であると判断される。
【0047】
また、記憶部6には、図8のような、各時間ごとの照度値と温度とが記憶させられる。そして、この照度値と温度とから、制御部5は、屋外であるか、屋内であるかの判定を行う。
【0048】
以上のような判断を行うための、温度閾値および照度閾値についての考え方は、上述の冬季の場合において述べたものと同様であり、その詳細についての説明は省略する。
【0049】
<天候の違いによる照度値の差について>
続いて、天候の違いによって、照度値にどの程度の差が生じるのかについて、図9から図14に基づいて説明する。なお、これらの照度値の差に基づいて、照度閾値が決定される。
【0050】
図9は、屋内において11月の日中に照度検出部3を用いてそれぞれの天候における照度値の取得を行い、その照度値の平均値を表したグラフである。また、図10は、図9の照度値を、テーブル化したものである。図9および図10から分かるように、屋内においては、天候の相違によって照度値が860Lux〜900Luxとなっており、天候によっては、照度値にそれほど大きな相違は見られない。
【0051】
図11は、屋外において11月の日中に照度検出部3を用いてそれぞれの天候における照度値の取得を行い、その照度値の平均値を表したグラフである。また、図12は、図11の照度値を、テーブル化したものである。図11および図12から分かるように、屋外においては、天候の相違によって照度値が6000Lux〜54613Luxとなっており、天候によって、照度値が大きく変化している。
【0052】
なお、図11および図12の結果から明らかなように、屋外においては、最も照度値が小さい(6000Luxである)場合であっても、図9および図10に示したような、屋内における照度値とは大きな差が生じている。そのため、照度閾値としては、900Lux〜6000Luxの間の値とすることが望ましい。その中でも、照度値の誤差分を考慮して、1000〜5000Luxの間の値とすることがより望ましいが、特に2000Lux〜3000Luxの範囲が、さらに一層望ましくなっている。
【0053】
図13は、屋内と屋外(日陰)において11月の日中に照度検出部3を用いてそれぞれの天候における照度値の取得を行い、その照度値の平均値を表したグラフである。また、図14は、図13の照度値を、テーブル化したものである。
【0054】
図13および図14においては、屋内の照度値は900Luxであり、屋外の日陰における照度値は7917Luxである。そのため、屋内の照度値と屋外の日陰における照度値との間には大きな差が生じている。なお、照度閾値としては、上述の図11および図12の部分で述べたものと同様の照度閾値を用いることが可能である。
【0055】
<例外的な場合>
続いて、電子機器1において、屋内であるか屋外であるかの判断を行う場合の、例外的なケースについて説明する。図15は、例外的な場合における時間と、温度および照度値の変化を示すグラフであり、図16は、図15の場合をテーブル化したものである。
【0056】
上述の図15および図16から明らかなように、このケースでは、照度値が、図9および図10に示した屋内の場合よりも、圧倒的に低くなっている。このような照度値が得られるものとしては、たとえば、バッグの中に電子機器1を入れている状態、部屋を真っ暗にしている状態、または屋外でかつ夜の状態等が挙げられる。このような例外的なケースでは、電子機器1の制御部5は、現在の環境が屋内であるのか、または屋外であるのかについて、正確な判断を行うことができない。この場合には、屋内であるのか、または屋外であるのかについて、判断を行わないようにする。または、図2の処理フローのステップS105において結果が得られないものとして「No」と判定し、ステップS107で屋内であるか屋外であるかの判定ができなかった(未確定)と決定して処理を終了するようにしても良い。
【0057】
なお、この場合には、屋内に対応する場合よりも照度値が十分低い、判定不能照度閾値を用いて、未確定であると決定するようにしても良い。
【0058】
<本実施の形態における効果>
上述のように、日付、時刻、照度値および温度を関連付けたデータベースと、日付、時刻、照度値および温度の測定値とを対照することで、現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる。すなわち、屋内やトンネル内など、GPS受信機が人工衛星からの電波を受信できない環境においても、電子機器1が存在する環境が屋内であるか、または屋外であるかを判断することが可能となる。
【0059】
加えて、電子機器1においては、時計機能部2と、照度検出部3と、温度検出部4とを用いて、制御部5において、記憶部6に記憶されているデータベースを照合して、電子機器1が屋内に存在するのか、または屋外に存在するのかを判断している。そのため、従来と比較して、その判断が正確なものとなる。
【0060】
また、本実施の形態では、データベースは、季節または月または月日と、時間帯とによって、屋内か屋外かを判断する判断基準が異なっている。そのため、季節または月または月日がそれぞれ異なっていても、電子機器1が屋内に存在するのか、または屋外に存在するのかを正確に判断可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、制御部5は、所定の時間以上、屋内の照度値よりも低い閾値である判定不能閾値を下回る照度値が得られた場合には、屋内であるか屋外であるかを判断しないこととしている。そのため、電子機器1の判断における誤りが発生するのを防止可能となる。なお、この場合には、ユーザが電子機器1に屋内であるか屋外であるかについての情報を入力するように設定することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、屋内の窓際と屋外とを判別することが可能となり、その判断も正確なものとなる。
【0063】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器10について、図17および図18を参照しながら説明する。なお、本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態で用いたものと同様の構成については、同一の符号を用いて説明する。
【0064】
図17は、本発明の2実施の形態に係る電子機器10の構成を説明するブロック図である。本実施の形態における電子機器10は、基本的には第1の実施の形態における電子機器10に対して、追加的な構成を有している。
<電子機器10の構成について>
本実施の形態における電子機器10は、GPS受信機7を備えている点が、第1の実施の形態における電子機器1と相違している。GPS受信機7は、複数のGPS衛星(不図示)からの電波を受信する。また、GPS受信機7は、受信した電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から、ナビゲーション装置1を搭載した車両の現在の位置情報(例えば、緯度情報および経度情報)を検出する位置検出手段である。得られた位置情報は、制御部5に出力される。また、記憶部6には、図18に示す処理フローを実行するためのプログラムが格納されている。
【0065】
<屋内・屋外の判定をするための処理フローについて>
次に、第2の実施の形態の電子機器10における、環境の判断をするための処理フローについて説明する。図18は、環境の判断を説明するためのフローチャートである。なお、本実施の形態においては、屋内においては、GPS受信機7が人工衛星からの電波を受信できないものとして説明している。また、図18においては、現在の位置情報からは屋外と判断される場合においても、電車内または自動車内等の移動体内という、屋外とは異なる環境に電子機器1が存在しているのか否かを判定することを可能としている。
【0066】
図18に示す処理フローにおいては、図2に示す処理フローと比較すると、当該図2のステップS101よりも上位の判断を行うステップ(ステップS100)が存在している。このステップS100では、GPS受信機7が、電波を受信して現在の位置情報を検出することが可能であるか否かを判断する。このステップS100の判断において、現在の位置情報を検出可能であると判断される場合(Yesの場合)には、ステップS201に進行し、以後、ステップS201からステップS209までの各ステップを実行する。また、ステップS100の判断において、現在の位置情報を検出することができないと判断される場合(Noの場合)には、上述したステップS101に進行し、図2で説明したのと同様の各ステップを実行する。
【0067】
ステップS100で現在の位置情報を検出可能であると判断される場合(Yesの場合)、現在日時、現在位置、移動距離および移動速度に関する情報を取得する(ステップS201)。これは、GPS受信機7で現在の位置情報と、その次の位置情報等と順次各時間ごとの位置情報を検出することにより、現在日時および現在位置のみならず、移動距離および移動速度をも検出することが可能となるためである。
【0068】
ステップS201に続いて、ステップS101と同様に、温度検出部4により温度を検出する(ステップS202)。制御部5は、検出された温度の情報を記憶部6に記憶する。さらに、ステップS103と同様に、照度検出部3により、照度値を取得する(ステップS203)。制御部5は、検出された照度値の情報を記憶部6に記憶させる。なお、ステップS201〜S203は、同時あるいは順序が前後していてもよい。
【0069】
次に、制御部5は、得られた現在の日時、現在位置、移動距離、移動速度、温度および照度値と、データベースの内容を照合する(S204)。この照合は、S104と同様のものであるが、現在位置、移動距離および移動速度も照合の要素に加わっている点が相違している。特に現在位置に基づいて照合すると、データベースが有する地図データベースおよび/または施設等に関するデータベースから、屋内にいるのか、屋外にいるのかの参考となる情報を得ることができる。また、移動距離および移動速度に基づいて照合すると、現在、電車または車にいるのか等の参考となる情報を得ることができる。
【0070】
続いて、ステップS204において、判定結果が得られたか否かを判断する(ステップS205)。判定結果が得られた場合、すなわちステップS205においてYesの場合には、電子機器10が存在する環境が、電車内または自動車内といった移動体内にあるのかを判断する(ステップS206)。一方、ステップS204において判定結果が得られなかった場合、すなわちステップS205において「No」の場合には、制御部5は、電子機器10が存在する環境が、屋外なのか、移動体内であるのかの判定ができなかった(未確定;S207)と決定して終了する。
【0071】
なお、ステップS206において、移動体内であると決定されると(S208)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、移動体内である場合の制御部5での特有の処理が為され、図2の処理フローが終了する。一方、ステップS206において、屋外であると決定されると(S209)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、屋外である場合の制御部5での特有の処理が為され、図18の処理フローが終了する。なお、図18に示す環境判断の処理フローは、一定時間ごとに行うようにすることが好ましい。
【0072】
<本実施の形態における効果>
以上、本実施の形態における電子機器10によれば、GPS受信機7を備え、このGPS受信機7が人工衛星から電波を受信することにより、現在の位置情報を得ることが可能となる。そして、GPS受信機7で現在の位置情報と、その次の位置情報等と順次各時間ごとの位置情報を検出することにより、現在日時および現在位置のみならず、移動距離および移動速度をも検出されるため、現在位置、移動距離および移動速度に基づけば、電子機器10が移動体内に存在するのか、または屋外に存在するのかを判断することが可能となる。
【0073】
すなわち、本実施の形態における電子機器10は、現在の位置情報からは通常は屋外と判断される場合においても、電車内または自動車内等の移動体内という、屋外とは異なる環境に電子機器10が存在しているのか否かを判断することが可能となる。そして、このような環境を判断することができた場合には、その環境に応じた端末の設定を自動的に行うことが可能となる。
【0074】
<変形例について>
以上、本発明の各実施の形態について述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
【0075】
上述の各実施の形態では、電子機器1,10は、時計機能部2と、照度検出部3と、温度検出部4とを備える構成となっている。しかしながら、電子機器1,10は、これら以外のセンサを備える構成を採用しても良い。これら以外のセンサとしては、たとえば、湿度を検出する湿度センサ、加速度を検出する加速度センサ等が挙げられる。また、マイクを具備する構成とし、このマイクから入力される音声信号の周波数および音声信号のレベルを制御部5が分析し、得られた周波数特性から屋内に電子機器1,10が存在するのか、または屋外に存在するのかを判断するようにしても良い。
【0076】
また、上述の各実施の形態における時計機能部2が時間を取得する手法としては、上述の他に、電子機器1,10がインターネット等の無線または有線のネットワークに接続可能なものである場合、当該ネットワークを介して取得するようにしても良い。
【0077】
また、上述した移動体には、電車、車以外にも、たとえば飛行機、船、オートバイ等の各種の移動可能なものが含まれる。
【0078】
また、上述の各実施の形態では、温度閾値と照度閾値が直線的なものが示されている。しかしながら、各時間ごと、天候ごとに屋外および屋内の温度は、変化する。また、照度値も温度と同様に変化する。そのため、記憶部6に記憶されているデータベースの温度閾値と、照度閾値とは、直線的なものとはせずに、時間によって、および/または天候によって随時変化するものとしても良い。
【0079】
また、上述の実施の形態では、制御部5は、記憶部6に記憶されているデータベースに存在する、温度閾値および照度閾値を用いて、電子機器1,10が屋内または屋外に存在するのかを判断している。しかしながら、データベースに、屋内または屋外に存在するのかを判断するための所定の計算式を記憶させておき、この計算式に基づいて、屋内または屋外に存在するのかについて、判断を行うようにしても良い。
【0080】
また、上述の各実施の形態において、電子機器1,10がインターネットを介してお天気情報等、所定の天候情報(たとえば、現在の天候、気温等の情報)を得ることが可能な場合には、上述の各実施の形態で述べた手法に加えて、または上述の各実施の形態で述べた手法と選択的に、当該インターネットを介して得られる天候情報に基づいて、屋内・屋外の判断をできるようにしても良い。
【0081】
また、上述の第2の実施の形態においては、屋内においては、GPS受信機7が人工衛星からの電波を受信できないものとして説明している。しかしながら、屋内においても、GPS受信機7が人工衛星からの電波を受信できるものとしても良い。
【0082】
また、本発明の電子機器1,10としては、公知の携帯可能な各種の電子機器が該当する。具体例としては、カーナビゲーション装置、携帯可能なオーディオ装置、電子メール送受信機能や、スカイプ(SKYPE;登録商標)などのIP電話機能を備えたPCやPDA、携帯電話、などが挙げられる。
【符号の説明】
【0083】
1,10…電子機器
2…時計機能部(時刻取得部に対応)
3…照度検出部
4…温度検出部
5…制御部
6…記憶部
7…GPS受信機
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、判断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、現在位置が屋内かあるいは屋外かを判断するためには、人工衛星を利用した測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が用いられている。GPSを利用すると、GPS受信機の現在位置を算出できると共に、GPS衛星に搭載されている高精度の原子時計にGPS受信機の時計を同期させることができる。そのため、GPSは、本来の位置算出用途の他に、時計の時刻補正の用途にも用いられている。
【0003】
また、GPSだけではなく、紫外線センサにより得られる紫外線量、あるいは、照度センサにより得られる照度値も用いて昼夜の判断を行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−080824(たとえば、請求項1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、屋内やトンネル内など、GPS受信機が人工衛星からの電波を受信できない環境では、紫外線センサと照度センサの2つで屋内屋外判断を行わなくてはならないが、現状の判断結果が不正確であるという問題がある。
【0006】
特に、紫外線センサが測定する紫外線の大部分は、波長が400〜315nmのUVAであり、ガラスを透過可能である。したがって、屋内であっても、窓際のような紫外線が入り込みやすい部位においては、屋外並みの紫外線量が測定されることがある。すなわち、紫外線センサと照度センサとだけで屋内屋外判断を行う場合には、その判断結果が不正確になる。
【0007】
そこで、本発明は、より正確に現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる電子機器、判断方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器の第1の側面は、周囲の温度を検出する温度検出部と、日時または時刻を計時または取得する時計機能部と、周囲の照度を検出する照度検出部と、照度と温度のうちの少なくとも1つと、日時または時刻と、屋内かまたは屋外かを判断する判断基準とを関連付けたデータベースを有する記憶部と、温度検出部、時刻取得部および照度検出部から温度、時刻、照度を得て、データベースとを照合して屋内であるか屋外であるかを判断する制御部と、を有するものである。
【0009】
また、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、データベースは、季節または月または月日と、時間帯とが、温度および照度と関連付けられていて、季節または月または月日と、時間帯とによって、屋内か屋外かを判断する判断基準が異なることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、制御部は、屋内かまたは屋外であるのかを判断する判断基準として、温度閾値と照度閾値とを用いることが好ましい。
【0011】
また、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、制御部は、所定の時間以上、屋内の照度値よりも低い閾値である判定不能閾値を下回る照度値が得られた場合には、屋内であるか屋外であるかを判断しないことが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の電子機器の他の側面は、上述の発明において、現在の位置情報を取得可能な現在位置検出手段を備え、当該現在位置検出手段からの現在の位置情報が制御部に入力されると共に、制御部は、現在位置検出手段からの位置情報が得られるか否かに応じて、屋内か屋外かを判断する処理か、または乗車可能な移動体内か屋外かを判断する処理のいずれかを行うことが好ましい。
【0013】
また、本発明の判断方法は、周囲の温度を検出する温度検出ステップと、日時または時刻を計時または取得する時刻取得ステップと、周囲の照度を検出する照度検出ステップと、温度検出ステップ、時刻取得ステップおよび照度検出ステップで得られた温度、時刻、照度と、これらの情報から屋内か屋外かを判断すると共にデータベースに記憶されている判断基準とから、屋内であるか屋外であるかを判断する屋内外判断ステップと、を有することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明のプログラムは、コンピュータにインストールされることにより、当該コンピュータを、上述の各発明に係る制御部として機能させることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、より正確に現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる判断方法およびその方法を用いた装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1の電子機器が測定する照度値および温度値の変化の一例(冬季のもの)を示すグラフである。
【図4】図3の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図5】図1の電子機器が測定する照度値および温度値の変化の別の一例(夏季のもの)を示すグラフである。
【図6】図5の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図7】図1の電子機器が測定する照度値および温度値の変化の別の一例(窓際か屋外か)を示すグラフである。
【図8】図7の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図9】図1の電子機器が屋内において測定する照度値および温度値と、天候の違いとの関係を示すグラフである。
【図10】図9の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図11】図1の電子機器が屋外において測定する照度値および温度値と、天候の違いとの関係を示すグラフである。
【図12】図11の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図13】図1の電子機器が屋内と屋外(日陰)においてそれぞれ測定する照度値を示すグラフである。
【図14】図13の照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図15】図1の電子機器が屋内であるか屋外であるかの判断を行う場合の、例外的なケースにおける照度値と温度値とを示すグラフである。
【図16】図15の温度および照度値をテーブル化したものを示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態に係る電子機器1について、図1〜図16を参照しながら説明する。図1は、本発明の1実施の形態に係る電子機器1の構成を説明するブロック図である。
【0018】
<電子機器1の構成について>
電子機器1は、移動体に取り付けられた装置である。電子機器1は、時計機能部2、照度検出部3、温度検出部4、制御部5および記憶部6を主な構成要素としている。時計機能部2、照度検出部3、温度検出部4および記憶部6は、制御部5にそれぞれ接続されている。
【0019】
時計機能部2は、時刻取得部に対応し、日時または時刻を計時または取得する部分である。時計機能部2は、日時または時刻を計時または取得できるものであればどのようなものでもよい。たとえば、カレンダー機能を有する装置や、標準電波から時刻を取得して時計機能部2が計時する時刻を補正する機能を備える時計、あるいは、GPS衛星から発信されている時刻情報を時刻として取得するGPS受信機等を備え、時計機能部2が計時する時刻を補正する機能を備えるもの等を採用できる。
【0020】
照度検出部3は、明るさを光束の量により検出するデバイスである。照度検出部3としては、フォトトランジスタを使用したもの、フォトダイオードを使用したもの、およびフォトダイオードにアンプ回路を追加したもの等を用いることができる。電子装置1を使用している状態において、照度検出部3の受光面に光が当たる側に向くように配置されている。
【0021】
温度検出部4は、温度を検出するデバイスである。温度検出部4は、たとえば、サーミスタで構成され、温度による半導体の特性の変化を利用して、温度検出部4の周囲の温度を検出できる。なお、温度検出部4としては、サーミスタ以外に、熱電対、半導体温度センサー、リニア抵抗器、白金測温抵抗体等を用いるようにしても良い。
【0022】
制御部5は、各入力信号および出力信号の処理を行う。また、制御部5は、電子機器1の制御を行うCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を備えていることが好ましい。RAMは、CPUからの制御指令に基づいて、情報を一時的に記憶する、あるいはCPUのワークメモリとして使用される。ROMは、CPUが各部を制御するための制御プログラムおよび各定数が記憶されている。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、実行することにより作動する。
【0023】
記憶部6は、各種情報、データまたはプログラム等のいずれか1つあるいは複数を記憶しておく部分であり、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性メモリ、ROMおよびRAM等の中から1つあるいは複数を採用できる。記憶部6は、制御部5が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶したり、各種デバイスとの通信情報を一時的に記憶したりできる。また、制御部5が判断するために、後述の屋内屋外を判断するための後述するような情報および後述する図2に示すような判断フローを実行するためのプログラムが格納されている。
【0024】
また、記憶部6には、後述するような屋内・屋外を判断するための判断基準となるデータベースが記憶されている。この判断基準は、後述するように、温度閾値および/または照度閾値であり、それらが後述するような各種のバリエーションにて、時刻および/または日時等と関連付けられて、記憶されている。
【0025】
<屋内・屋外の判定をするための処理フローについて>
次に、第1の実施の形態の電子機器1における、屋内・屋外の判定をするための処理フローについて説明する。図2は、屋内・屋外の判定を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まず、温度検出部4により温度を検出する(ステップS101;温度検出ステップ)。制御部5は、検出された温度の情報を記憶部6に記憶する。さらに、時計機能部2により、現在の日時を取得する(ステップS102;時刻取得ステップ)。制御部5は、取得された時刻の情報を記憶部6に記憶させる。また、照度検出部3により、照度値を取得する(ステップS103;照度検出ステップ)。制御部5は、検出された照度値の情報を記憶部6に記憶させる。なお、ステップS101〜S103は、同時あるいは順序が前後していてもよい。
【0027】
次に、制御部5は、得られた日時、照度値および温度と、データベースの内容を照合する(S104)。なお、このS104における判定の基準(データベースの内容)については、後述する。続いて、S104において、判定結果が得られたか否かを判断する(ステップS105)。判定結果が得られた場合、すなわちステップS105においてYesの場合には、その判定結果が屋内であるか否かを判断する(ステップS106;屋内外判断ステップ)。一方、ステップS104において判定結果が得られなかった場合、すなわちステップS105において「No」の場合には、制御部5は、屋内であるか屋外であるかの判定ができなかった(未確定;S107)と決定して終了する。
【0028】
なお、ステップS106において、屋内であると決定されると(S108)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、屋内である場合の制御部5での特有の処理が為され、図2の処理フローが終了する。一方、ステップS106において、屋外であると決定されると(S109)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、屋外である場合の制御部5での特有の処理が為され、図2の処理フローが終了する。
【0029】
<屋内/屋外の判定の基準について>
次に、ステップS104の判定の基準について図3〜図8を参照して説明する。図3は、12月1日に、電子機器1が時刻、照度および温度を取得した場合に、その時刻と、照度値および温度との関係を示すグラフである。
【0030】
図3のAで示す領域、およびCで示す領域は、朝の9時から夕方の17時までの日中時間帯のうちの一部であるが、その中で温度は、所定の温度よりも低いが、その照度値は、ある所定の照度値よりも高い状態となっている。領域Aおよび領域Cのような状態が検出される場合、屋外と判断するものとする。なぜなら、朝の9時から夕方の17時までの間は、日照時間であるため、屋外では、照度値が大きい。一方、12月1日のような冬季においては、室内は暖房を使用するため、屋外よりも暖かい。また、室内の場合には、照度値は、ある所定の照度値よりも低い。そのため、図3のBで示す領域Bの状態、および領域Dの状態が検出される場合、屋内と判断するものとする。
【0031】
一方、夕方の17時を過ぎた夜間時間帯では、照度値は大幅に低くなり、屋内と屋外とで大差がないことが多い。この場合には、温度に基づいてのみ、判断される。すなわち、図3のEで示す領域は、所定の温度よりも高いため、そのような状態が検出されると、屋内であると判断する。一方、図3のFで示す領域は、所定の温度よりも低いため、そのような状態が検出されると、屋外であると判断する。
【0032】
以上のような判断を行うためには、たとえば、電子機器1が使用される地域を設定し、その使用される地域に適した温度閾値および照度閾値を用いるようにすることが好ましい。すなわち、そのような温度閾値および照度閾値に関するデータベースが、記憶部6に存在する構成とすることが好ましい。ここで、冬季用の照度閾値、冬季用の温度閾値を、それぞれの時間毎に設け、これらの照度閾値と温度閾値とを用いて判定するようにすれば良い。また、照度閾値は、日中時間帯のみ用いるようにして、夜間時間帯になると用いないようにすれば良い。しかしながら、夜間時間帯においても、照度閾値を用いるようにしても良い。たとえば、屋内では、夜においては、照明を用いるため、照度値は屋外よりも屋内の方が大きくなることが多い。そのため、夜間時間帯においては、照明を用いるときと用いないときとを識別するための照度閾値を用いて、屋内であるか屋外であるかの判定を行うようにしても良い。
【0033】
また、冬季の場合であって、電子機器1が使用される地域が東京である場合には、屋外において所定の温度閾値を上回ることはほとんど考えられない。そのため、たとえば、所定の温度閾値を上回る一方、所定の照度閾値をも上回る場合には、所定の温度閾値のみに基づいて判断を行い、屋内であると判定しても良い。なお、夏季の場合においても、所定の温度閾値を下回る一方、所定の照度閾値をも上回る場合には、所定の温度閾値のみに基づいて判断を行い、屋内であると判定しても良い。
【0034】
また、温度閾値および/または照度閾値は、冬季用等の季節ごととはせずに、月ごと、週ごと、日にちごと、または10日ごと等のように、所定の日数ごとに、異なるものとしても良い。
【0035】
なお、図3には、温度閾値の一例と、照度閾値の一例が図示されている。ここで、図3においては、温度閾値と照度閾値が直線的なものが示されている。しかしながら、各時間ごとに屋外の温度は、変化する。また、各時間ごとに屋外の照度値も変化する。そのため、記憶部6に記憶されているデータベースの温度閾値と、照度閾値とは、直線的なものとはせずに、時間によって随時変化するものとしても良い。また、当該電子機器1がGPS受信機を備える場合には、電子機器1が使用される地域の設定は、当該電子機器1のGPS受信機が最後に人工衛星からの電波を受信した際に算出した位置情報に基づく地域としても良い。
【0036】
また、記憶部6には、図4のような、各時間ごとの照度値と温度とが記憶させられる。そして、この照度値と温度とから、制御部5は、屋外であるか、屋内であるかの判定を行う。
【0037】
続いて、他の判断の例について述べる。図5は、たとえば8月1日に、電子機器1が時刻、照度および温度を取得した場合に、その時刻と、照度値および温度との関係を示すグラフである。また、図6は、図5の温度および照度値を、テーブル化したものである。
【0038】
図5のBで示す領域、およびDで示す領域は、朝の9時から夕方の18時までの日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は所定の温度(温度閾値)よりも高く、かつそれらの領域における照度値は、ある所定の照度値(照度閾値)よりも高い状態となっている。領域Bおよび領域Dのような状態が検出される場合、屋外と判断するものとする。なぜなら、8月1日のような夏季においては、屋内では冷房を使用するため、屋外の方が屋内よりも温度が高い。一方、朝の9時から夕方の18時までの間は、日照時間であるため、屋外では、照度値が大きい。すなわち、領域Bと領域Dでは、図5の温度閾値および照度閾値を上回っているため、屋外であると判断される。
【0039】
また、図5のAで示す領域、およびCで示す領域は、朝の9時から夕方の18時までの日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は、所定の温度(温度閾値)よりも低く、かつそれらの領域における照度値は、所定の照度値(照度閾値)よりも低い状態となっている。領域Aおよび領域Cのような状態が検出される場合、屋内と判断するものとする。なぜなら、8月1日のような夏季においては、屋内は、冷房を使用するため、屋外よりも温度が低くなる。一方、朝の9時から夕方の18時までの間は、日照時間であるため、屋外では照度値が大きくなるが、屋内では照度値が小さくなる。すなわち、領域Aと領域Cでは、図5の温度閾値および照度閾値を下回っているため、屋内であると判断される。
【0040】
一方、夕方の18時を過ぎると、照度値は大幅に低くなり、屋内と屋外とで大差がないことが多い。この場合には、温度に基づいてのみ、判断される。すなわち、図5のEで示す領域は、所定の温度(温度閾値)よりも低いため、そのような状態が検出されると、屋内であると判断する。一方、図3のFで示す領域は、所定の温度(温度閾値)よりも高いため、そのような状態が検出されると、屋外であると判断する。
【0041】
また、記憶部6には、図6のような、各時間ごとの照度値と温度とが記憶させられる。そして、この照度値と温度とから、制御部5は、屋外であるか、屋内であるかの判定を行う。
【0042】
以上のような判断を行うための、温度閾値および照度閾値についての考え方は、上述の冬季の場合において述べたものと同様であり、その詳細についての説明は省略する。
【0043】
続いて、屋内の窓際と、屋外とを判断する手法について述べる。図7は、たとえば8月1日に、電子機器1が屋内の窓際と屋外とで時刻、照度および温度を取得した場合に、その時刻と、照度値および温度との関係を示すグラフである。また、図8は、図7の温度および照度値を、テーブル化したものである。
【0044】
屋内の窓際と屋外とでは、照度値は、ほぼ同様になる。そのため、照度閾値に基づいて、屋内であるか、または屋外であるかを判断することは困難である。そこで、ある時間帯における温度がどれぐらいであるかによって、屋内の窓際と屋外とを判別する。
【0045】
図7のAで示す領域、Cで示す領域、およびEで示す領域は、いずれも日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は、所定の温度(温度閾値)よりも低い状態となっている。8月1日のような夏季においては、屋内は、冷房を使用するため、屋外よりも温度が低くなる。すなわち、領域A、領域Cおよび領域Eでは、図7の温度閾値を下回っているため、屋内であると判断される。
【0046】
また、図7のBで示す領域、およびDで示す領域は、いずれも日中時間帯のうちの一部であるが、それらの領域における温度は所定の温度(温度閾値)よりも高い状態となっている。8月1日のような夏季においては、屋内では冷房を使用するため、屋外の方が屋内よりも温度が高い。すなわち、領域Bと領域Dでは、図7の温度閾値を上回っているため、屋外であると判断される。
【0047】
また、記憶部6には、図8のような、各時間ごとの照度値と温度とが記憶させられる。そして、この照度値と温度とから、制御部5は、屋外であるか、屋内であるかの判定を行う。
【0048】
以上のような判断を行うための、温度閾値および照度閾値についての考え方は、上述の冬季の場合において述べたものと同様であり、その詳細についての説明は省略する。
【0049】
<天候の違いによる照度値の差について>
続いて、天候の違いによって、照度値にどの程度の差が生じるのかについて、図9から図14に基づいて説明する。なお、これらの照度値の差に基づいて、照度閾値が決定される。
【0050】
図9は、屋内において11月の日中に照度検出部3を用いてそれぞれの天候における照度値の取得を行い、その照度値の平均値を表したグラフである。また、図10は、図9の照度値を、テーブル化したものである。図9および図10から分かるように、屋内においては、天候の相違によって照度値が860Lux〜900Luxとなっており、天候によっては、照度値にそれほど大きな相違は見られない。
【0051】
図11は、屋外において11月の日中に照度検出部3を用いてそれぞれの天候における照度値の取得を行い、その照度値の平均値を表したグラフである。また、図12は、図11の照度値を、テーブル化したものである。図11および図12から分かるように、屋外においては、天候の相違によって照度値が6000Lux〜54613Luxとなっており、天候によって、照度値が大きく変化している。
【0052】
なお、図11および図12の結果から明らかなように、屋外においては、最も照度値が小さい(6000Luxである)場合であっても、図9および図10に示したような、屋内における照度値とは大きな差が生じている。そのため、照度閾値としては、900Lux〜6000Luxの間の値とすることが望ましい。その中でも、照度値の誤差分を考慮して、1000〜5000Luxの間の値とすることがより望ましいが、特に2000Lux〜3000Luxの範囲が、さらに一層望ましくなっている。
【0053】
図13は、屋内と屋外(日陰)において11月の日中に照度検出部3を用いてそれぞれの天候における照度値の取得を行い、その照度値の平均値を表したグラフである。また、図14は、図13の照度値を、テーブル化したものである。
【0054】
図13および図14においては、屋内の照度値は900Luxであり、屋外の日陰における照度値は7917Luxである。そのため、屋内の照度値と屋外の日陰における照度値との間には大きな差が生じている。なお、照度閾値としては、上述の図11および図12の部分で述べたものと同様の照度閾値を用いることが可能である。
【0055】
<例外的な場合>
続いて、電子機器1において、屋内であるか屋外であるかの判断を行う場合の、例外的なケースについて説明する。図15は、例外的な場合における時間と、温度および照度値の変化を示すグラフであり、図16は、図15の場合をテーブル化したものである。
【0056】
上述の図15および図16から明らかなように、このケースでは、照度値が、図9および図10に示した屋内の場合よりも、圧倒的に低くなっている。このような照度値が得られるものとしては、たとえば、バッグの中に電子機器1を入れている状態、部屋を真っ暗にしている状態、または屋外でかつ夜の状態等が挙げられる。このような例外的なケースでは、電子機器1の制御部5は、現在の環境が屋内であるのか、または屋外であるのかについて、正確な判断を行うことができない。この場合には、屋内であるのか、または屋外であるのかについて、判断を行わないようにする。または、図2の処理フローのステップS105において結果が得られないものとして「No」と判定し、ステップS107で屋内であるか屋外であるかの判定ができなかった(未確定)と決定して処理を終了するようにしても良い。
【0057】
なお、この場合には、屋内に対応する場合よりも照度値が十分低い、判定不能照度閾値を用いて、未確定であると決定するようにしても良い。
【0058】
<本実施の形態における効果>
上述のように、日付、時刻、照度値および温度を関連付けたデータベースと、日付、時刻、照度値および温度の測定値とを対照することで、現在位置が屋内あるいは屋外であることを判断できる。すなわち、屋内やトンネル内など、GPS受信機が人工衛星からの電波を受信できない環境においても、電子機器1が存在する環境が屋内であるか、または屋外であるかを判断することが可能となる。
【0059】
加えて、電子機器1においては、時計機能部2と、照度検出部3と、温度検出部4とを用いて、制御部5において、記憶部6に記憶されているデータベースを照合して、電子機器1が屋内に存在するのか、または屋外に存在するのかを判断している。そのため、従来と比較して、その判断が正確なものとなる。
【0060】
また、本実施の形態では、データベースは、季節または月または月日と、時間帯とによって、屋内か屋外かを判断する判断基準が異なっている。そのため、季節または月または月日がそれぞれ異なっていても、電子機器1が屋内に存在するのか、または屋外に存在するのかを正確に判断可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、制御部5は、所定の時間以上、屋内の照度値よりも低い閾値である判定不能閾値を下回る照度値が得られた場合には、屋内であるか屋外であるかを判断しないこととしている。そのため、電子機器1の判断における誤りが発生するのを防止可能となる。なお、この場合には、ユーザが電子機器1に屋内であるか屋外であるかについての情報を入力するように設定することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、屋内の窓際と屋外とを判別することが可能となり、その判断も正確なものとなる。
【0063】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器10について、図17および図18を参照しながら説明する。なお、本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態で用いたものと同様の構成については、同一の符号を用いて説明する。
【0064】
図17は、本発明の2実施の形態に係る電子機器10の構成を説明するブロック図である。本実施の形態における電子機器10は、基本的には第1の実施の形態における電子機器10に対して、追加的な構成を有している。
<電子機器10の構成について>
本実施の形態における電子機器10は、GPS受信機7を備えている点が、第1の実施の形態における電子機器1と相違している。GPS受信機7は、複数のGPS衛星(不図示)からの電波を受信する。また、GPS受信機7は、受信した電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から、ナビゲーション装置1を搭載した車両の現在の位置情報(例えば、緯度情報および経度情報)を検出する位置検出手段である。得られた位置情報は、制御部5に出力される。また、記憶部6には、図18に示す処理フローを実行するためのプログラムが格納されている。
【0065】
<屋内・屋外の判定をするための処理フローについて>
次に、第2の実施の形態の電子機器10における、環境の判断をするための処理フローについて説明する。図18は、環境の判断を説明するためのフローチャートである。なお、本実施の形態においては、屋内においては、GPS受信機7が人工衛星からの電波を受信できないものとして説明している。また、図18においては、現在の位置情報からは屋外と判断される場合においても、電車内または自動車内等の移動体内という、屋外とは異なる環境に電子機器1が存在しているのか否かを判定することを可能としている。
【0066】
図18に示す処理フローにおいては、図2に示す処理フローと比較すると、当該図2のステップS101よりも上位の判断を行うステップ(ステップS100)が存在している。このステップS100では、GPS受信機7が、電波を受信して現在の位置情報を検出することが可能であるか否かを判断する。このステップS100の判断において、現在の位置情報を検出可能であると判断される場合(Yesの場合)には、ステップS201に進行し、以後、ステップS201からステップS209までの各ステップを実行する。また、ステップS100の判断において、現在の位置情報を検出することができないと判断される場合(Noの場合)には、上述したステップS101に進行し、図2で説明したのと同様の各ステップを実行する。
【0067】
ステップS100で現在の位置情報を検出可能であると判断される場合(Yesの場合)、現在日時、現在位置、移動距離および移動速度に関する情報を取得する(ステップS201)。これは、GPS受信機7で現在の位置情報と、その次の位置情報等と順次各時間ごとの位置情報を検出することにより、現在日時および現在位置のみならず、移動距離および移動速度をも検出することが可能となるためである。
【0068】
ステップS201に続いて、ステップS101と同様に、温度検出部4により温度を検出する(ステップS202)。制御部5は、検出された温度の情報を記憶部6に記憶する。さらに、ステップS103と同様に、照度検出部3により、照度値を取得する(ステップS203)。制御部5は、検出された照度値の情報を記憶部6に記憶させる。なお、ステップS201〜S203は、同時あるいは順序が前後していてもよい。
【0069】
次に、制御部5は、得られた現在の日時、現在位置、移動距離、移動速度、温度および照度値と、データベースの内容を照合する(S204)。この照合は、S104と同様のものであるが、現在位置、移動距離および移動速度も照合の要素に加わっている点が相違している。特に現在位置に基づいて照合すると、データベースが有する地図データベースおよび/または施設等に関するデータベースから、屋内にいるのか、屋外にいるのかの参考となる情報を得ることができる。また、移動距離および移動速度に基づいて照合すると、現在、電車または車にいるのか等の参考となる情報を得ることができる。
【0070】
続いて、ステップS204において、判定結果が得られたか否かを判断する(ステップS205)。判定結果が得られた場合、すなわちステップS205においてYesの場合には、電子機器10が存在する環境が、電車内または自動車内といった移動体内にあるのかを判断する(ステップS206)。一方、ステップS204において判定結果が得られなかった場合、すなわちステップS205において「No」の場合には、制御部5は、電子機器10が存在する環境が、屋外なのか、移動体内であるのかの判定ができなかった(未確定;S207)と決定して終了する。
【0071】
なお、ステップS206において、移動体内であると決定されると(S208)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、移動体内である場合の制御部5での特有の処理が為され、図2の処理フローが終了する。一方、ステップS206において、屋外であると決定されると(S209)、その旨の情報が記憶部6へ書き込まれ、また、屋外である場合の制御部5での特有の処理が為され、図18の処理フローが終了する。なお、図18に示す環境判断の処理フローは、一定時間ごとに行うようにすることが好ましい。
【0072】
<本実施の形態における効果>
以上、本実施の形態における電子機器10によれば、GPS受信機7を備え、このGPS受信機7が人工衛星から電波を受信することにより、現在の位置情報を得ることが可能となる。そして、GPS受信機7で現在の位置情報と、その次の位置情報等と順次各時間ごとの位置情報を検出することにより、現在日時および現在位置のみならず、移動距離および移動速度をも検出されるため、現在位置、移動距離および移動速度に基づけば、電子機器10が移動体内に存在するのか、または屋外に存在するのかを判断することが可能となる。
【0073】
すなわち、本実施の形態における電子機器10は、現在の位置情報からは通常は屋外と判断される場合においても、電車内または自動車内等の移動体内という、屋外とは異なる環境に電子機器10が存在しているのか否かを判断することが可能となる。そして、このような環境を判断することができた場合には、その環境に応じた端末の設定を自動的に行うことが可能となる。
【0074】
<変形例について>
以上、本発明の各実施の形態について述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。
【0075】
上述の各実施の形態では、電子機器1,10は、時計機能部2と、照度検出部3と、温度検出部4とを備える構成となっている。しかしながら、電子機器1,10は、これら以外のセンサを備える構成を採用しても良い。これら以外のセンサとしては、たとえば、湿度を検出する湿度センサ、加速度を検出する加速度センサ等が挙げられる。また、マイクを具備する構成とし、このマイクから入力される音声信号の周波数および音声信号のレベルを制御部5が分析し、得られた周波数特性から屋内に電子機器1,10が存在するのか、または屋外に存在するのかを判断するようにしても良い。
【0076】
また、上述の各実施の形態における時計機能部2が時間を取得する手法としては、上述の他に、電子機器1,10がインターネット等の無線または有線のネットワークに接続可能なものである場合、当該ネットワークを介して取得するようにしても良い。
【0077】
また、上述した移動体には、電車、車以外にも、たとえば飛行機、船、オートバイ等の各種の移動可能なものが含まれる。
【0078】
また、上述の各実施の形態では、温度閾値と照度閾値が直線的なものが示されている。しかしながら、各時間ごと、天候ごとに屋外および屋内の温度は、変化する。また、照度値も温度と同様に変化する。そのため、記憶部6に記憶されているデータベースの温度閾値と、照度閾値とは、直線的なものとはせずに、時間によって、および/または天候によって随時変化するものとしても良い。
【0079】
また、上述の実施の形態では、制御部5は、記憶部6に記憶されているデータベースに存在する、温度閾値および照度閾値を用いて、電子機器1,10が屋内または屋外に存在するのかを判断している。しかしながら、データベースに、屋内または屋外に存在するのかを判断するための所定の計算式を記憶させておき、この計算式に基づいて、屋内または屋外に存在するのかについて、判断を行うようにしても良い。
【0080】
また、上述の各実施の形態において、電子機器1,10がインターネットを介してお天気情報等、所定の天候情報(たとえば、現在の天候、気温等の情報)を得ることが可能な場合には、上述の各実施の形態で述べた手法に加えて、または上述の各実施の形態で述べた手法と選択的に、当該インターネットを介して得られる天候情報に基づいて、屋内・屋外の判断をできるようにしても良い。
【0081】
また、上述の第2の実施の形態においては、屋内においては、GPS受信機7が人工衛星からの電波を受信できないものとして説明している。しかしながら、屋内においても、GPS受信機7が人工衛星からの電波を受信できるものとしても良い。
【0082】
また、本発明の電子機器1,10としては、公知の携帯可能な各種の電子機器が該当する。具体例としては、カーナビゲーション装置、携帯可能なオーディオ装置、電子メール送受信機能や、スカイプ(SKYPE;登録商標)などのIP電話機能を備えたPCやPDA、携帯電話、などが挙げられる。
【符号の説明】
【0083】
1,10…電子機器
2…時計機能部(時刻取得部に対応)
3…照度検出部
4…温度検出部
5…制御部
6…記憶部
7…GPS受信機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の温度を検出する温度検出部と、
日時または時刻を計時または取得する時計機能部と、
周囲の照度を検出する照度検出部と、
照度と温度のうちの少なくとも1つと、日時または時刻と、屋内かまたは屋外かを判断する判断基準とを関連付けたデータベースを有する記憶部と、
上記温度検出部、上記時刻取得部および上記照度検出部から温度、時刻、照度を得て、上記データベースとを照合して屋内であるか屋外であるかを判断する制御部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記データベースは、季節または月または月日と、時間帯とが、温度および照度と関連付けられていて、
季節または月または月日と、時間帯とによって、屋内か屋外かを判断する前記判断基準が異なる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記制御部は、屋内かまたは屋外であるのかを判断する判断基準として、温度閾値と照度閾値とを用いる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記制御部は、所定の時間以上、屋内の照度値よりも低い閾値である判定不能閾値を下回る照度値が得られた場合には、屋内であるか屋外であるかを判断しない、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
現在の位置情報を取得可能な現在位置検出手段を備え、当該現在位置検出手段からの現在の位置情報が前記制御部に入力されると共に、
前記制御部は、上記現在位置検出手段からの位置情報が得られるか否かに応じて、屋内か屋外かを判断する処理か、または乗車可能な移動体内か屋外かを判断する処理のいずれかを行う、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
周囲の温度を検出する温度検出ステップと、
日時または時刻を計時または取得する時刻取得ステップと、
周囲の照度を検出する照度検出ステップと、
上記温度検出ステップ、上記時刻取得ステップおよび上記照度検出ステップで得られた温度、時刻、照度と、これらの情報から屋内か屋外かを判断すると共にデータベースに記憶されている判断基準とから、屋内であるか屋外であるかを判断する屋内外判断ステップと、
を有することを特徴とする判断方法。
【請求項7】
コンピュータにインストールされることにより、当該コンピュータを、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御部として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
周囲の温度を検出する温度検出部と、
日時または時刻を計時または取得する時計機能部と、
周囲の照度を検出する照度検出部と、
照度と温度のうちの少なくとも1つと、日時または時刻と、屋内かまたは屋外かを判断する判断基準とを関連付けたデータベースを有する記憶部と、
上記温度検出部、上記時刻取得部および上記照度検出部から温度、時刻、照度を得て、上記データベースとを照合して屋内であるか屋外であるかを判断する制御部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記データベースは、季節または月または月日と、時間帯とが、温度および照度と関連付けられていて、
季節または月または月日と、時間帯とによって、屋内か屋外かを判断する前記判断基準が異なる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記制御部は、屋内かまたは屋外であるのかを判断する判断基準として、温度閾値と照度閾値とを用いる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記制御部は、所定の時間以上、屋内の照度値よりも低い閾値である判定不能閾値を下回る照度値が得られた場合には、屋内であるか屋外であるかを判断しない、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
現在の位置情報を取得可能な現在位置検出手段を備え、当該現在位置検出手段からの現在の位置情報が前記制御部に入力されると共に、
前記制御部は、上記現在位置検出手段からの位置情報が得られるか否かに応じて、屋内か屋外かを判断する処理か、または乗車可能な移動体内か屋外かを判断する処理のいずれかを行う、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
周囲の温度を検出する温度検出ステップと、
日時または時刻を計時または取得する時刻取得ステップと、
周囲の照度を検出する照度検出ステップと、
上記温度検出ステップ、上記時刻取得ステップおよび上記照度検出ステップで得られた温度、時刻、照度と、これらの情報から屋内か屋外かを判断すると共にデータベースに記憶されている判断基準とから、屋内であるか屋外であるかを判断する屋内外判断ステップと、
を有することを特徴とする判断方法。
【請求項7】
コンピュータにインストールされることにより、当該コンピュータを、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御部として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−27492(P2011−27492A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171959(P2009−171959)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】
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