説明

電子機器、制御方法

【課題】主電源の瞬断を適切に判断できる。
【解決手段】主電源から複数の電源を生成し、該主電源がオフにされたときの各該複数の電源の電圧の降下タイミングを異ならせる電源生成手段と、前記複数の電源のうち、前記主電源がオフにされたときに、前記降下タイミングが最も早い第1電源より、前記降下タイミングが遅い第2電源が供給されている第1制御部と、を有する電子機器であって、前記第1制御部は、前記電子機器内の全体の制御を行なうものであり、前記主電源がオフにされたときに、前記第1電源の電圧の降下を検知して、前記第2電源の供給を検知した後に、該第1電源の再供給を検知すると、前記主電源は瞬断されたと判断する検知手段を有することを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、主電源(商用電源)が入力され、主電源から複数の電源(この例では24V、5V、3.3Vなど)を生成し、画像形成装置内部で使用している。ユーザがスイッチをオフにすることで主電源をオフにすると、これらの複数の電源の供給も遮断される。このような場合に備えて、例えばFAXデータなど重要なデータを保持している画像形成装置などでは、主電源遮断の際に、該複数の電源の電圧降下タイミングに時間差を持たせることがある。
【0003】
例えば、主電源をオフにした場合に、5V電源の電圧が降下するタイミング以後に、3.3V電源の電圧が降下するようにして、メイン制御を実行するCPUが3.3Vで動作している構成を有する画像形成装置がある。このような画像形成装置では、CPUは、5V電源の電圧の降下により、主電源がオフされたことを検知し、3.3V電源の電圧が降下するまでの時間を利用して、保持しているFAXデータをメモリに退避させている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ユーザの操作などにより、主電源がオンの状態で、短時間(例えば、約0.1秒)でオフ→オンされる(以下では、「主電源が瞬断される」という。)場合がある。画像形成装置の主電源スイッチとして、ロッカスイッチが用いられている場合が多く、ユーザの操作により、しばしば、主電源が瞬断される。また、瞬時的な停電が生じても、主電源が瞬断される。
【0005】
主電源が瞬断されると、5V電源の電圧が瞬時的に降下するが、CPUを動作させる3.3V電源の電圧は降下せずに、安定して供給され続ける。CPUは、5V電源の電圧が降下されたときに、商用電源が遮断された、と判断し、FAXデータなどをメモリに退避させて、全ての電源の供給が遮断されるまで待機する。しかし、実際には、3.3V電源の電圧はCPUへ供給され続け、CPUは全ての電源の供給が遮断されるまで待機し続けることから、画像形成装置は、動作を停止してしまうという問題がある。
【0006】
本発明では、このような問題を鑑みて、主電源が瞬断されたか否かを適切に判断する電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、主電源から複数の電源を生成し、該主電源がオフにされたときの各該複数の電源の降下タイミングを異ならせる電源生成手段と、前記複数の電源のうち、前記主電源がオフにされたときに、前記降下タイミングが最も早い第1電源より、前記降下タイミングが遅い第2電源が供給されている第1制御部と、を有する電子機器であって、前記第1制御部は、前記電子機器内の全体の制御を行なうものであり、前記主電源がオフにされたときに、前記第1電源の降下を検知して、前記第2電源の供給を検知した後に、該第1電源の再供給を検知すると、前記主電源は瞬断されたと判断する検知手段を有することを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子機器であれば、主電源が瞬断されたか否かを適切に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例の画像形成装置の機能構成例を示す図(その1)。
【図2】主電源がオフにされたときの第1電源、第2電源の供給、降下を示した図。
【図3】主電源が瞬断されたときの第1電源、第2電源の供給、降下を示した図。
【図4】本実施例の画像形成装置の主な処理フローを示した図(その1)。
【図5】本実施例の画像形成装置の機能構成例を示す図(その2)。
【図6】本実施例の画像形成装置の主な処理フローを示した図(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施例の電子機器とは、例えば、画像形成装置であるが、供給される電源により動作するものであれば、他の電子機器でも構わない。以下では、電子機器が、画像形成装置である場合について説明する。
[実施形態1]
まず、実施形態1の画像形成装置について説明する。図1に、実施形態1の画像形成装置150の機能構成例について説明する。画像形成装置150は、主電源1に接続されており、スイッチ手段2がユーザにオンされることにより、主電源は画像形成装置150内に供給され、スイッチ手段2がユーザにオフされることにより、主電源は画像形成装置150内への供給が遮断される。以下では、主電源が画像形成装置150内に供給されることを主電源がオンされるといい、主電源が画像形成装置150内に供給されない(供給が遮断される)ことを主電源がオフされる、という。
【0011】
ユーザによりスイッチ手段2がオンにされると、交流の主電源は、変換分岐手段4に供給される。変換分岐手段4は、供給された交流の主電源を、直流に変換し、さらに、少なくとも2以上の電源に分岐させる。この例では、変換分岐手段4は、主電源を第1電源と第2電源とに分岐させるが、第1電源、第2電源以外の電源(つまり、第3電源、第4電源・・・)にも分岐させても良い。第1電源は、第1制御部20以外のデバイス(図1では、他のデバイス60と記載)に供給される。他のデバイス60とは、第1制御部20以外の、電源で作動するものである。他のデバイス60とは、例えば、記録ヘッドやスキャナ(共に、図示せず)などである。
【0012】
また、第2電源は、遅延手段6(遅延回路)に供給される。遅延手段6は、供給された電源を遅延させて出力する。従って、遅延手段6に供給された第2電源は、第1電源より遅延されてから出力される。
【0013】
また、検知手段24は、他のデバイス60に供給されている第1電源の電圧が降下したか、または、第1電源が他のデバイス60に供給されているか(降下していないか)、を検知することが出来る。同様に、検知手段24は、第1CPU22に供給されている第2電源の電圧が降下したか、または、第2電源が第1CPU22に供給されているか(降下していないか)、を検知することが出来る。第1電源の検知について具体的に説明すると、検知手段24は、第1電源系統に流れている第1電源の電圧値を測定する。そして、第1電源の電圧値が、予め定められた値(以下、動作供給値という。)である場合、または、第1電源の電圧値が予め定められた閾値以上である場合、第1電源が他のデバイス60に供給されていると判定する。また、第1電源の電圧値が動作供給値でない場合、または、第1電源の電圧値が閾値未満であれば、第1電源の電圧が降下していると判定する。また、同様の手法で、検知手段24は、第2電源の電圧の降下・供給についても検知することができる。
【0014】
また、動作供給値とは、主電源がオンにされている場合に、他のデバイス60や第1制御部20などが適切に動作するために供給される電圧値である。また、第1電源についての動作供給値(つまり、他のデバイス60についての動作供給値であり、第1動作供給値という。)は、3.3Vとし、第2電源についての動作供給値(つまり、第1制御部20についての動作供給値であり、第2動作供給値という。)は5Vとする。また、閾値は、該動作供給値より若干小さな値とする。
【0015】
また、遅延手段6から出力された第2電源は第1CPU22に供給される。第1CPU22は供給された第2電源により作動する。
【0016】
また、本実施例の説明では、主電源が、(i)完全にオンにされる(ii)完全にオフにされる(iii)瞬断されるという状態があるとする。ここで、主電源の瞬断とは、主電源が瞬時的にオフにされることである。つまり主電源の瞬断は、スイッチ手段2がオンの状態で、短時間(例えば、0.1秒)でオフ→オンにされること(以下、「スイッチ手段2の瞬断」という。)で生じる現象である。
【0017】
図2に、主電源がオン、オフにされたときの第1電源、第2電源の第1制御部20への供給についての動作について示す。図2の縦軸は、供給されている電圧値であり、横軸は、時間を示す。図2に示すように、主電源がオンにされている場合には、第1電源系統により、第1動作供給値の第1電源が供給されており、第2電源系統により、第2動作供給値の第2電源が供給されている。
【0018】
そして、主電源が完全にオフになると、第1電源の電圧、第2電源の電圧は共に降下する。図2では、第1電源の電圧が降下開始するタイミングを第1降下タイミングと示し、第2電源の電圧が降下開始するタイミングを第2降下タイミングと示す。
【0019】
また、図2に示すように、主電源がオフにされると、第1制御部20への第1電源の電圧が降下して、遅延時間経過後に、第2電源の電圧が降下する。つまり、第2降下タイミング=第1降下タイミング+遅延時間となる。この遅延時間は、遅延手段6の設定により決定することが出来る。
【0020】
このように、第2電源が遅延手段6を経由しているので、第1降下タイミングと第2降下タイミングに時間差(=遅延時間)が生じる。つまり、電源生成手段50は、主電源から複数の電源を生成する変換分岐手段4と、主電源がオフにされたときの各電源(ここでは、第1電源、第2電源)の電圧の降下タイミングを異ならせる遅延手段6を含む。また、第1制御部20は、主電源がオフにされたときの、降下タイミングが第1電源より遅い第2電源により動作するものである。
【0021】
次に、図3に主電源が瞬断されたときの第1電源、第2電源の電圧値の変化について示す。主電源が瞬断されると、第1降下タイミングEで第1電源の電圧は降下し、即座に再供給タイミングEで第1動作供給値に戻る(第1電源が再供給される)。一方、第2電源の電圧は降下しない(第2電源の電圧値は第2動作供給値をとりつづける)。
【0022】
図4に、本実施形態1の画像形成装置150の処理フローを示す。図4を用いて、画像形成装置150の主な処理を説明する。まず、検知手段24が、第1電源の電圧が降下したか否かを検知する(ステップS2)。検知手段24が、第1電源の電圧の降下(第1降下タイミングE)を検知すると(ステップS2のYes)、測定手段34が、該第1電源の電圧の降下を検知した時(図2、図3記載の第1降下タイミング)から、時間の測定を開始する。
【0023】
そして、測定手段34が、第1所定時間が経過したことを測定すると(ステップS4のYes)、立ち下げ手段30は立ち下げ処理を行う(ステップS6)。ここで、第1所定時間とは、予め定められた時間であり、遅延時間(図2参照)よりも短いとする。また、立ち下げ処理とは、主電源が完全にオフにされた場合に備えた、画像形成装置150内で行なわれる処理である。立ち下げ処理とは、例えば、記憶すべきデータを記憶手段36に退避させる処理や、第1制御部20による、画像形成装置150内の全体の構成部への制御を中止する処理である。また、記憶すべきデータとは、例えば、画像形成対象のデータや、FAX送信対象のデータなどである。
【0024】
このように、ステップS4、ステップS6の処理を行うことで、主電源が完全にオフにされたとき、または、主電源が瞬断されたときにも関らず、必ず立ち下げ処理を行うことが出来るという効果を奏する。また、ステップS4、ステップS6の処理については行なわなくてもよい。
【0025】
次に、検知手段24は、第2電源の電圧が降下されたか否かを検知する(ステップS8)。図2に示すように、検知手段24が、第1電源の電圧が降下して、遅延時間経過後に、第2電源の電圧が降下したと検知すれば(ステップS8のYes)、第1CPU22は、完全に主電源がオフにされたと、判断する(ステップS10)。
【0026】
一方、検知手段24が、図3に示すように、第2電源の電圧が降下にならないと判断した場合には(ステップS8のNo)、ステップS12に移行する。ステップS8でNoとなった場合とは、第1電源の電圧が降下したにもかかわらず、第2電源が供給され続けているということである。この場合には、主電源が瞬断された、または、電源生成手段50の異常により第1電源の電圧が降下したということである。
【0027】
ステップS12では、検知手段24が、第1電源が再供給された(第1電源が再び供給された)か否かを検知する。換言すれば、ステップS12では、検知手段24が、第1電源が供給されるか否かを監視する。検知手段24が第1電源が再供給されたこと(再供給タイミングE)を検知すると(ステップS12のYes)、検知手段24は、主電源が瞬断されたと判断する(ステップS16)。ここで、ステップS12でYesとなる場合とは、図3に示すように、第1電源の供給が、短時間の間(瞬時的に)、遮断された場合である。従って、ステップS12でYesと判断された場合には、検知手段24は、主電源が瞬断されたと判断する。
【0028】
主電源が瞬断されたということは、第1電源の供給が瞬時的に遮断されたということであるから、他のデバイス60の処理が停止し、結果として、画像形成装置150全体が停止する場合がある。そこで、第1立ち上げ手段26が、画像形成装置150の立ち上げ処理を行う(ステップS18)。ここで、立ち上げ処理とは、第1電源の供給が遮断されたことで、画像形成装置を適切に動作させるために必要な処理である。立ち上げ処理とは、例えば、様々なパラメータの初期値の再設定や、画像形成装置150の異常点検などである。このように、第1立ち上げ手段26が、立ち上げ処理を行うことで、画像形成装置150の動作が停止することを防止できるという効果を奏することができる。
【0029】
また、主電源が、瞬断されたと判断されると、第1再実行手段28が、主電源が瞬断された時以前に行なわれた処理を再び実行するようにしてもよい(ステップS18)。これにより、主電源が瞬断された場合であっても、主電源の瞬断前に行なわれていた処理を再び行い、中断した処理を再開できるという効果を奏することが出来る。また、従来のように、全ての電源の供給が遮断されるまで待機する、という現象が生じることを防ぐことが出来る。
【0030】
ステップS18では、第1立ち上げ手段26による立ち上げ処理、および、第1再実行手段28による再実行処理の両方を行ってもよく、どちらか一方を行なうようにしてもよい。
【0031】
また、主電源の瞬断前に行なわれていた処理を再実行するか否かを、ユーザに提示し、選択させるようにしてもよい。
【0032】
一方、検知手段24が、第1電源が再供給されないと判断すると(ステップS12のNo)、測定手段34は、ステップS12の処理の時から、時間の測定を開始する。そして、検知手段24は、ステップS12の処理の時から、第2所定時間経過したか否かを判断する(ステップS14)。そして、第2所定時間経過しても、第1電源が再供給されない場合には(ステップS14のYes)、検知手段24は、電源生成手段50が故障による異常である、と判断する(ステップS20)。
【0033】
検知手段24により、ステップS12でNoと判断され、第2所定時間T2が経過しても第1電源が再供給されなかったということは、第2電源が供給されたにも関らず(ステップS8のNo)、第1電源の供給は遮断されている(ステップS12のNo)ということである。このような場合には、主電源の瞬断ではないことから、電源生成手段50に異常が発生していると判断する(ステップS20)。
【0034】
このステップS14、ステップS20の処理を行うことで、第1電源の電圧の降下の原因が、主電源のオフ(主電源の完全オフまたは主電源の瞬断)ではなく、電源生成手段50の異常(故障)であると判断できる、という効果を奏する。ステップS14、ステップS20の処理は行わなくてもよい。
【0035】
この実施形態1によれば、複数の電源のうち、主電源がオフにされたときに、降下タイミングが最も早い第1電源より、降下タイミングが遅い第2電源が供給されている第1制御部を有する画像形成装置において、適切に、主電源が瞬断されたと判断することが出来る。具体的には、第1電源の電圧の降下の検知(ステップS2のYes、第1降下タイミングEの検知)→第2電源の電圧が降下していないことの検知(ステップS8のNo)→第1電源の再供給の検知(ステップS12のYes、再供給タイミングEの検知)を、検知手段24が検知することで、主電源が瞬断されたと、判断できる。
【0036】
また、ステップS18において、第1立ち上げ手段26が、立ち上げ処理を行うことで、画像形成装置150の動作が停止することを防止できるという効果を奏する。
【0037】
また、ステップS18において、第1再実行手段28は再実行することで、主電源の瞬断により中断した処理を再開できるという効果を奏する。
【0038】
また、ステップS4、S6の処理を行うことで、主電源が完全にオフにされたとき、または、主電源が瞬断されたときにも関らず、必ず立ち下げ処理を行うことができるという効果を奏する。
【0039】
また、ステップS14、ステップS20の処理を行うことで、第1電源の電圧の降下の原因が、主電源のオフ(主電源の完全オフまたは主電源の瞬断)ではなく、電源生成手段50の異常(故障)であると判断できる、という効果を奏する。
[実施形態2]
次に実施形態2の画像形成装置について説明する。図5に実施形態2の画像形成装置250の機能構成例を示す。図1と比較して、図5は他のデバイス60が第2制御部40に代替されている点で異なる。また、第1制御部20を、メイン制御部20とすると、第2制御部40はサブ制御部40とする。つまり、第1制御部20は、画像形成装置のメイン制御を行なうものであり、第2制御部40は、画像形成装置250のメイン制御以外の制御であるサブ制御を行なうものである。
【0040】
また、第2制御部40は、第2CPU42と、情報生成手段44を有する。第1電源が、第2CPU42に供給されることで、第2制御部40は、画像形成装置250に対してサブ制御を行なう。また、情報生成手段44は、自己(第2制御部40)の正常又は異常を示す状態情報を生成して、検知手段24に送信する。検知手段24は、状態情報を受信して、該状態情報を解析することで、第2制御部40の状態を検知することが出来る。また、第1制御部20と第2制御部40間では、他の情報の送受信も行なわれている。該他の情報の送受信により、画像形成装置250は適切に動作する。また、他の情報とは、例えば、第1制御部20の制御による制御結果や、第2制御部40の制御による制御結果などである。
【0041】
情報生成手段44が、異常を示す状態情報を生成して送信する場合というのは、(i)第2制御部40への第1電源の供給が遮断されている場合(主電源の瞬断による、第1電源の電圧の瞬時的な降下も含む)や、(ii)第2制御部40の故障による異常である場合である。また、情報生成手段44は、第2制御部40が異常である場合のみ、異常を示す状態情報を生成して、検知手段24に送信するようにしてもよい。この場合、検知手段24は、異常を示す状態情報を受信していない期間については、第2制御部40は正常であると検知する。
【0042】
図6に、本実施形態2の画像形成装置250の主な処理フローを示す。また、図4中の処理と同じ処理については、同一のステップ番号を付しており、該同じ処理については、説明を省略する。まず、ステップS2でNoと判定されると、ステップS102に移行する。ステップS2でNoと判定される場合というのは、検知手段24が、第1電源が第2制御部40に供給されていると検知する場合である。そして、検知手段24は、情報生成手段44からの状態情報を受信して、解析することで、第2制御部40が異常を示す状態情報を送信したか否かを検知する(ステップS102)。そして、検知手段24による状態情報の解析結果が、第2制御部40の異常を示すものであれば、検知手段24は、第2制御部40が故障による異常であると判断する(ステップS104)。この場合には、ユーザに対して、第2制御部40が、故障による異常であることを警告する。該警告については、第2制御部40が故障による異常が発生していることを、表示手段(図示せず)にユーザに表示する、音声でユーザに認識させる、などがある。
【0043】
また、ステップS102でNoと判断されると、ステップS2に戻る。
【0044】
また、ステップS8でNoと判断されると、ステップS106に移行する。ステップS2で第1電源の電圧が降下したと判断されていることから、ステップS106では、第2制御部40は、第1電源の供給が遮断されている旨の異常を示す状態情報を検知手段24に送信する。
【0045】
そして、ステップS12でYesと判定される、つまり、検知手段24が、第1電源が再供給されたことを検知すると、ステップS108に移行する。ステップS108の処理は、ステップS102の処理と同様である。ステップS108では、検知手段24は、第2制御部40が異常を示す状態情報を送信した否かを判断する。検知手段24による状態情報の解析結果が、第2制御部40の異常を示すものであれば(ステップS108のYes)、ステップS104に移行する。そして、ステップS104で、検知手段24は、第2制御部40が故障による異常であると判断する。
【0046】
また、ステップS108でNoと判断された場合、つまり、第2制御部40が異常を示す状態情報を送信しなかった場合には、検知手段24は、主電源が瞬断されたと検知する(ステップS16)。
【0047】
ここで、検知手段24が、主電源が瞬断されたと検知したということは、第2制御部40のみが処理を停止する、または、第2制御部40がリセットされるということである。第2制御部40の処理が停止、または、第2制御部40がリセットされると、第1制御部20と第2制御部40の間での情報の送受信が停止され、画像形成装置250の動作は停止してしまう。
【0048】
そこで、第2立ち上げ手段32は、第2制御部40の立ち上げ処理を行う(ステップS110)。ここで、第2制御部40の立ち上げ処理とは、第1電源の電圧が降下になったことで、処理が停止した、または、リセットした第2制御部40を適切に動作させるために必要な処理である。具体的には、第2制御部40の初期値の再設定や、第2制御部40の異常点検などである。このように、第1立ち上げ手段26が、立ち上げ処理を行うことで、主電源の瞬断による、第2制御部40の処理が停止すること、または、第2制御部40がリセットされることを防止できるという効果を奏する。
【0049】
また、主電源が、瞬断されたと判断されると(ステップS16)、第2再実行手段38が、主電源が瞬断された時以前に行なわれた処理を再び実行するようにしてもよい(ステップS110)。これにより、第2制御部40は、主電源が瞬断された場合であっても、主電源の瞬断前に行なわれていた処理を再び行い、中断した処理を再開できるという効果を奏する。
【0050】
また、ステップS110では、第2立ち上げ手段32による第2制御部40の立ち上げ処理、および、第2再実行手段38による第2制御部40の再実行処理の両方を行ってもよく、どちらか一方を行なうようにしてもよい。
【0051】
また、ステップS110では、実施形態1で説明した、第1立ち上げ手段26による立ち上げ処理、または/および、第1再実行手段28による再実行処理を行うようにしてもよい。
【0052】
この実施形態2の画像形成装置によれば、メイン制御を行なう第1制御部20、サブ制御を行なう第2制御部40を有する画像形成装置250である場合に、第2制御部40は、該第2制御部40の状態を示す状態情報を検知手段24に送信する。従って、検知手段24は、第2制御部40の状態(正常か異常)を検知することが出来る。また、検知手段24は、第2制御部40への第1電源の供給または第1電源の電圧の降下も検知できる。
【0053】
また、第2制御部40への第1電源の電圧の降下(ステップS2のYes)→第2制御部40への第2電源の供給(ステップS8のNo)→第2制御部40が異常を示す状態情報を送信(ステップS106)→第2電源の再供給(ステップS12のYes)→第2制御部40が正常を示す状態情報を送信(ステップS108のNo)すれば、検知手段24は、主電源が瞬断されたと判断する。従って、メイン制御する第1制御部20、サブ制御する第2制御部40を有する画像形成装置であっても、適切に、主電源の瞬断を判断することが出来る。
【0054】
また、ステップS110の処理を行うことで、第2制御部40の処理が停止されること、または、第2制御部40がリセットされることを防ぐことが出来、結果として、画像形成装置250の動作の停止を防ぐことが出来る。
【0055】
また、ステップS110の処理を行うことで、主電源の瞬断により中断した、第2制御部40の処理を再開できるという効果を奏する。
【0056】
また、ステップS102の処理を行うことで、検知手段24が、第1電源の供給を検知している間に、第2制御部40の異常を検知すると、第2制御部40は異常であると検知できるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0057】
1 主電源
2 スイッチ手段
4 変換分岐手段
6 遅延手段
20 第1制御部
22 第1CPU
24 検知手段
26 第1立ち上げ手段
28 第1再実行手段
30 立ち下げ手段
32 第2立ち上げ手段
34 測定手段
36 記憶手段
38 第2再実行手段
40 第2制御部
50 電源生成手段
60 他のデバイス
150、250 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2009−181179号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源から複数の電源を生成し、該主電源がオフにされたときの各該複数の電源の電圧の降下タイミングを異ならせる電源生成手段と、
前記複数の電源のうち、前記主電源がオフにされたときに、前記降下タイミングが最も早い第1電源より、前記降下タイミングが遅い第2電源が供給されている第1制御部と、を有する電子機器であって、
前記第1制御部は、
前記電子機器内の全体の制御を行なうものであり、
前記主電源がオフにされたときに、前記第1電源の電圧の降下を検知して、前記第2電源の電圧が降下していないことを検知した後に、該第1電源の再供給を検知すると、前記主電源は瞬断されたと判断する検知手段を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記検知手段が、前記主電源は前記瞬断されたと判断すると、前記電子機器の立ち上げ処理を実行する第1立ち上げ手段を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記検知手段が、前記主電源は前記瞬断されたと判断すると、前記瞬断される前の処理を再実行する再実行手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記検知手段が、前記第1電源の電圧の降下を検知した時から第1所定時間経過後に、前記電子機器の立ち下げ処理を行う立ち下げ処理を実行する立ち下げ手段を有することを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記検知手段は、前記主電源がオフにされたときに、前記第1電源の電圧の降下を検知して、前記第2電源の供給を検知した時から、第2所定時間経過した後に、前記第1電源が供給されないことを検知すると、前記電源生成手段が異常であると判断することを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1制御部が行なう制御以外の制御を行い、前記第1電源が供給されており、自己の正常または異常を示す状態情報を前記検知手段へ送信可能である送信手段を有する第2制御部を有し、
前記検知手段は、前記第2制御部への前記第1電源の供給、または、前記第1電源の電圧の降下を検知すると共に、前記状態情報を受信することで前記第2制御部の正常または異常を検知することを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記検知手段は、前記第1電源の電圧の降下を検知し、前記第2制御部への前記第1電源の供給を検知し、前記第2制御部の異常を検知した後に、
前記第2制御部への前記第1電源の再供給を検知し、前記第2制御部の正常を検知すると、前記主電源は瞬断されたと判断することを特徴とする請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
前記検知手段が、前記主電源が瞬断されたと判断すると、前記第2制御部の立ち上げ処理を行うことを実行する第2立ち上げ手段を有することを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記検知手段は、前記第1電源の供給を検知している間に、前記第2制御部の異常を検知すると、前記第2制御部は異常であると判断する請求項6〜8何れか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器全体の制御を行なう制御部を有する該電子機器を制御する制御方法であって、
主電源から複数の電源を生成し、該主電源がオフにされたときの各該複数の電源の電圧の降下タイミングを異ならせる電源生成工程と、
前記複数の電源のうち、前記主電源がオフにされたときに、前記降下タイミングが最も早い第1電源より、前記降下タイミングが遅い第2電源を前記制御部に供給する工程と、
前記主電源がオフにされたときに、前記第1電源の電圧の降下を検知して、前記第2電源の供給を検知した後に、該第1電源の再供給を検知すると、前記主電源は瞬断されたと判断する検知工程を有することを特徴とする制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−238187(P2012−238187A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106995(P2011−106995)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】