説明

電子機器、動作制御プログラム、通信端末装置、及び動作制御システム

【課題】操作者に関する情報を記憶しておく必要をなくし、セキュリティーを従来よりも向上させて、メンテナンスモードでの動作の認否を判断可能にする。
【課題を解決するための手段】複合機1は、通信端末装置31に記憶されているメンテナンス通算時間を通信端末装置31から受信する通信部102と、メンテナンスモードと通常動作モードとを切り換えて複合機1を動作させる制御部101と、メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部103と、上記メンテナンス通算時間が上記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部104とを備え、制御部101は、判定部104によってメンテナンス通算時間が認定基準時間に達していると判定された場合に、複合機1をメンテナンスモードに切り換えて動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、動作制御プログラム、通信端末装置、及び動作制御システムに関し、特に、作業者による当該電子機器の動作設定の変更を可能とするメンテナンスモードでの動作制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置等の電子機器においては、メンテナンス者等の作業者が、当該画像形成装置の現像、帯電、露光、及び転写の各動作についての電圧調整や、表示部の表示調整等を行うために、当該画像形成装置の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードでの動作が可能とされている。そして、作業者のみに当該メンテナンスモードでの作業を許可するために、操作者を認証したり、ログイン手続を求める等のセキュリティーシステムの採用が提案されている。なお、特許文献1には、操作者の氏名、性別、年齢、経験年数、初級者又は上級者等のスキルレベル、所属部署、パスワード等に応じて異ならせたプロセスを実行させた上で、画像処理の実行を許可する画像処理装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−343550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かの判断のために上記ユーザ認証を行う場合は、ユーザ認証を行うためのサーバが必要になる。また、上記ログイン手続きを求める場合は、ログインを許可する各作業者(作業者のID(identification))等を画像形成装置に登録する必要があるので、その登録作業や記憶領域が必要になる。さらに、特許文献1に示される画像処理装置の場合も、操作者別に異なるプロセスを実行させるためには、実行させようとする各プロセス毎に、操作者の氏名等の情報を画像処理装置に記憶させる必要がある。また、上記のように、操作者のIDや氏名等の情報を用いて管理を行う場合は、当該操作者のIDや氏名等の情報が他人に漏れ易く、他人によりメンテナンスモードとされて動作設定が変更される虞がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、操作者に関する情報を記憶しておく必要がなく、更に、セキュリティーを従来よりも向上させて、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かを判断できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、通信端末装置に記憶されているメンテナンス通算時間を前記通信端末装置から受信する通信部と、
作業者による当該電子機器の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードと、当該電子機器が通常動作を行う通常動作モードとを切り換えて、当該電子機器を動作させる制御部と、
前記メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部と、
前記通信部によって前記通信端末装置から受信された前記メンテナンス通算時間が、前記認定基準時間記憶部に記憶されている前記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記判定部によって前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させる電子機器である。
【0007】
また、請求項5に記載の発明は、電子機器に内蔵されるコンピューターを、
通信端末装置に記憶されているメンテナンス通算時間を前記通信端末装置から受信する通信部と、
作業者による当該電子機器の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードと、当該電子機器が通常動作を行う通常動作モードとを切り換えて、当該電子機器を動作させる制御部と、
前記メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部と、
前記通信部によって前記通信端末装置から受信された前記メンテナンス通算時間が、前記認定基準時間記憶部に記憶されている前記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部とを備え、
前記制御部が、前記判定部によって前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させるように、前記コンピューターを機能させる動作制御プログラムである。
【0008】
また、請求項7に記載の発明は、互いに通信が可能とされた電子機器及び通信端末装置を備えた動作制御システムであって、
前記電子機器は、
通信端末装置に記憶されているメンテナンス通算時間を前記通信端末装置から受信する通信部と、
作業者による当該電子機器の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードと、当該電子機器が通常動作を行う通常動作モードとを切り換えて、当該電子機器を動作させる制御部と、
前記メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部と、
前記通信部によって前記通信端末装置から受信された前記メンテナンス通算時間が、前記認定基準時間記憶部に記憶されている前記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記判定部によって前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させ、
前記通信端末装置は、
前記メンテナンス通算時間を記憶する通算時間記憶部と、
前記通算時間記憶部に記憶されているメンテナンス通算時間を前記電子機器に送信するデータ送信部とを備える動作制御システムである。
【0009】
これらの発明では、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かの判断に、通信端末装置から受信されたメンテナンス通算時間を用い、当該メンテナンス通算時間と、認定基準時間記憶部に記憶されている認定基準時間との判定部による比較結果に基づいてメンテナンスモードに切り換えるので、当該電子機器は、上記判断のためには、認定基準時間を記憶していれば足り、メンテナンスモードでの動作を認める操作者IDや氏名等の操作者識別情報を操作者毎に記憶しておく必要がない。また、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かを判断するためにユーザ認証を行う場合のように、サーバが必要になることもない。また、上記のように、操作者が記憶しておくべき操作者IDや氏名等の情報を用いずに、通信端末装置から受信したメンテナンス通算時間を用いて上記判断を行うので、当該判断に用いられる情報が他人に知られることにより、当該他人にメンテナンスモードで動作設定が変更される事態を防止でき、セキュリティーが従来よりも向上する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器であって、前記通信部は、当該電子機器からの予め定められた通信圏内において前記通信端末装置との通信を行い、前記通信圏内に前記通信端末装置があることを検出した場合に、前記通信端末装置に前記メンテナンス通算時間の送信を要求するものである。
【0011】
この発明では、通信部は、上記通信圏内に通信端末装置が入った場合に、通信端末装置にメンテナンス通算時間の送信を要求して、通信端末装置からのメンテナンス通算時間の取得を可能にするので、電子機器の近辺に存在する通信端末装置及びその操作者のみを、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かの判断対象とすることができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子機器であって、前記判定部による判定結果に基づいて当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させた動作時間を計測する動作時間計測部と、
前記通信部は、前記認定基準時間に達していると判定された前記メンテナンス通算時間を送信してきた通信端末装置に対して、前記動作時間計測部によって計測された動作時間を送信するものである。
【0013】
この発明では、通信部は、認定基準時間に達していると判定されたメンテナンス通算時間を送信してきた通信端末装置に対して、動作時間計測部によって計測された上記動作時間を送信するので、通信端末装置においては、記憶しているメンテナンス通算時間に当該動作時間を加算して更新させる等の処理が可能になる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電子機器であって、前記通信部は、複数の通信端末装置から前記メンテナンス通算時間を受信し、
前記判定部は、前記通信部によって前記複数の通信端末装置から受信されたそれぞれの前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達しているか否かを判定し、
前記制御部は、少なくとも前記複数の通信端末装置のいずれかの前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると前記判定部によって判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させ、
前記通信部は、前記複数の通信端末装置のそれぞれに対して、前記動作時間計測部によって計測された動作時間を送信するものである。
【0015】
この発明では、認定基準時間に達していないメンテナンス通算時間が記憶されている通信端末装置を有する操作者と、認定基準時間に達しているメンテナンス通算時間が記憶されている通信端末装置を有する操作者とが上記通信圏内に存在する場合のように、メンテナンス作業の経験が未熟な操作者であっても、メンテナンス作業の経験が豊富な指導者的立場の操作者が通信圏内に存在すれば、電子機器をメンテナンスモードで動作させることが可能になる。そして、当該両操作者の通信端末装置に対して、通信部からは動作時間計測部が計測した動作時間が送信されるので、当該両操作者のそれぞれの通信端末装置は、記憶しているメンテナンス通算時間に当該動作時間を加算して更新可能となり、上記指導者的立場の操作者(教官)の通信端末装置だけでなく、上記未熟な操作者(新人)の通信端末装置に対しても、メンテナンス作業の経験値として当該動作時間を加算させることが可能となる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、電子機器のメンテナンスを行った通算時間であるメンテナンス通算時間を記憶する通算時間記憶部と、
前記通算時間記憶部に記憶されている前記メンテナンス通算時間を電子機器に送信するデータ送信部と、
前記データ送信部による前記メンテナンス通算時間の送信に基づいて前記電子機器において行われたメンテナンスモードによる動作の動作時間を当該電子機器から受信するデータ受信部とを備え、
前記通算時間記憶部は、前記データ受信部により前記動作時間が受信されたとき、前記メンテナンス通算時間を、前記動作時間が加算された値に更新する通信端末装置である。
【0017】
この発明では、データ受信部が、データ送信部からのメンテナンス通算時間の送信に基づいた電子機器によるメンテナンスモードでの動作時間を当該電子機器から受信し、通算時間記憶部が、メンテナンス通算時間を、当該動作時間が加算された値に更新するので、当該通信端末装置の操作者による上記電子機器へのメンテナンス作業時間の増加に応じて、メンテナンス通算時間を逐次に増加させることが可能になる。このため、データ送信部が、当該逐次に増加するメンテナンス通算時間を電子機器に送信することにより、電子機器においては、当該操作者の電子機器に対するメンテナンス時間に応じて、メンテナンスモードでの電子機器の動作を許可するか否かの判定等が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操作者に関する情報を記憶しておく必要をなくし、更に、セキュリティーを従来よりも向上させて、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かの判断を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】動作制御システムを構成する画像形成装置と通信端末装置との間における通信手順を示す図である。
【図2】複合機の内部構成の概略を示すブロック図である。
【図3】通信端末装置が備える内部構成の概略を示すブロック図である。
【図4】複合機によるメンテナンスモード切換制御時における処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図5】通信端末装置によるメンテナンスモード切換制御時における処理を示すフローチャートである。
【図6】動作制御システムを構成する画像形成装置と通信端末装置との間における通信手順を示す図である。
【図7】動作制御システムを構成する画像形成装置と通信端末装置との間における通信手順を示す図である。
【図8】複合機によるメンテナンスモード切換制御時における処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器、動作制御プログラム、通信端末装置、及び動作制御システムについて図面を参照して説明する。以下には、本発明に係る電子機器が画像形成装置である場合を例にして説明する。
【0021】
図1は動作制御システムを構成する画像形成装置と通信端末装置との間における通信手順を示す図である。
【0022】
動作制御システム10は、互いに通信が可能とされた画像形成装置及び通信端末装置を備えている。
【0023】
動作制御システム10は、画像形成装置の一実施形態として複合機1,11を備えている。複合機1,11は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能、スキャナー機能等の機能を兼ね備えている。複合機1,11は、コピー動作や、ネットワーク接続されたコンピューターから送られてきたデータのプリントアウト等を行う。
【0024】
動作制御システム10は、本発明に係る通信端末装置の一実施形態としての通信端末装置31,32を備えている。通信端末装置31,32は、複合機1,11との間でデータ送受信が可能とされたメンテナンス操作用の通信機器である。通信端末装置31,32は、その入力部319から操作者が入力した複合機1の動作を設定する設定指示を受け付け、当該設定指示を複合機1,11に対して送信することにより、複合機1,11の動作についての各設定値を変更する。なお、本発明に係る通信端末装置としては、携帯電話又はスマートフォン等の通信機器を用いてもよい。
【0025】
なお、本実施形態では、動作制御システム10が2台の複合機と、2台の通信端末装置を備える例を示すが、動作制御システム10が備える通信端末装置及び画像形成装置の台数は特に制限されない。例えば、動作制御システム10が単数の通信端末装置、及び単数の画像形成装置を備えるものであってもよい。
【0026】
複合機及び通信端末装置の間における通信方式として、本実施形態では、Bluetooth(登録商標)等の通信方式が用いられる。但し、複合機1,11と通信端末装置31,32との間において通信可能な方式であれば、他の通信方式も採用可能である。複合機1,11及び各通信端末装置31,32の間における通信内容の詳細は後述する。
【0027】
次に、複合機1,11の内部構成を説明する。図2は、複合機1の内部構成の概略を示すブロック図である。複合機1,11の内部構成は同様であるので、以下には複合機1を用いて内部構成を説明する。
【0028】
複合機1は、制御ユニット100と、画像読取部110と、画像メモリー120と、画像形成部130とを有する。
【0029】
制御ユニット100は、CPU、ROM及びRAM等からなり、複合機1の全体的な動作を司る。制御ユニット100は、制御部101と、通信部102と、認定基準時間記憶部103と、判定部104と、動作時間計測部105とを備えている。なお、HDD170又は図略のROMに複合機1の動作制御プログラムが記憶されており、制御ユニット100は、当該動作制御プログラムに従って動作することにより、制御部101、通信部102、認定基準時間記憶部103、判定部104、及び動作時間計測部105として機能する。但し、制御部101、通信部102、認定基準時間記憶部103、判定部104、及び動作時間計測部105は、当該動作制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されるものとしてもよい。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0030】
制御部101は、複合機1の全体的な動作を司る。制御部101は、メンテナンスモードと通常動作モードとを切り換えて複合機1を動作させる。メンテナンスモードとは、メンテナンス作業者等の操作者が、当該複合機1の例えば画像形成部130についての現像、帯電、露光、及び転写に関する電圧調整や、表示部150の表示調整等を行うための動作モードであり、複合機1は、複合機1の動作についての各設定項目の値を変更する指示を受け付け、当該受け付けた指示が示す各設定項目の値に、各設定項目の値を変更する動作を行うモードである。また、通常動作モードとは、コピー動作、ファクシミリ動作、プリンター動作、及びスキャナー動作等、標準の画像形成動作又画像読取動作等を複合機1が行うモードである。
【0031】
通信部102は、通信端末装置31,32の通算時間記憶部302(図3)に記憶されているメンテナンス通算時間を、通信端末装置31,32から受信するための制御を行う。本実施形態では、通信部102は、通信インターフェイス160を介して、上述したBluetooth等による無線通信を通信端末装置31,32との間で行う。当該通信部102及び通信インターフェイス160が、特許請求の範囲における通信部の一例となる。
【0032】
認定基準時間記憶部103は、メモリー等からなり、メンテナンスモードへの切換を許可するか否の判定に用いる認定基準時間の値を記憶している。工場出荷前の複合機1の製造段階において、複合機の機種別に予め定められている認定基準時間としての値が、製造者等により認定基準時間記憶部103に保存される。すなわち、複合機1と複合機11とが別の機種からなる場合、複合機1の機種と、複合機11の機種とには、それぞれ別個の設定基準時間が予め定められており、複合機1及び複合機11のそれぞれの認定基準時間記憶部103は、自機の機種についての設定基準時間を記憶する。
【0033】
この認定基準時間は、通信端末装置31,32から受信するメンテナンス通算時間(詳細は後述)との比較による、通信端末装置31,32及びそれらの操作者に複合機1をメンテナンスモードで動作させることを許可するか否かの判断に用いられる値である。なお、認定基準時間記憶部103は、HDD170が代用されてもよいし、画像メモリー120の一部領域を認定基準時間記憶部103として代用するようにしてもよい。
【0034】
判定部104は、通信部102により通信端末装置31,32から受信されたメンテナンス通算時間が、認定基準時間記憶部103に記憶されている認定基準時間に達しているか否かを判定する。なお、制御部101は、判定部104によりメンテナンス通算時間が認定基準時間に達していると判定された場合に、複合機1をメンテナンスモードに切り換えて動作させる。
【0035】
動作時間計測部105は、タイマ等を備え、判定部104によりメンテナンス通算時間が認定基準時間に達していると判定されて、制御部101が複合機1をメンテナンスモードに切り換えたときに、複合機1がメンテナンスモードで動作した動作時間を計測する。なお、複合機1にメンテナンス通算時間を送信した通信端末装置であって、当該メンテナンス通算時間が認定基準時間に達していると判定された通信端末装置に対しては、動作時間計測部105が計測した動作時間(すなわち、当該判定結果に従ってメンテナンスモードでの動作が行われた動作時間)を、通信部102が送信する。
【0036】
画像読取部110は、原稿画像を読み取るスキャナー等からなる。
【0037】
画像メモリー120は、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータ等、画像形成部130の印刷対象となるデータを一時的に保存する領域となる。
【0038】
画像形成部130は、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータや、ネットワーク接続されたパーソナルコンピューター等から送信されてきたデータ等を画像形成する。
【0039】
また、複合機1は、ファクシミリ通信に必要な諸機能を実行し、公衆回線を通じて外部のファクシミリ装置から画像データを受信するファクシミリ通信部140と、画像形成又は送信スタートキー、テンキー及び短縮番号キー等からなり、操作者から各種操作指示の入力を受け付ける操作部20と、操作者への操作案内等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部150とを備える。なお、この表示部150がタッチパネル機能を備えることにより、操作部20として操作者からの各種操作指示を受け付けるようにしてもよい。
【0040】
さらに、複合機1は、画像読取部110によって読み取られた原稿画像データ等を記憶する大容量の記憶領域を有するHDD(ハードディスク)170を有している。
【0041】
さらに、複合機1は、画像読取部110が読み取った画像イメージデータ編集/加工(符/復号処理、拡大/縮小処理、圧縮/伸長処理)処理等を行う画像処理部190と、通信端末装置31,32との間でメンテナンス通算時間を含む各種データのやりとりを行うために用いられる通信インターフェイス160とを有している。上述したように、当該通信インターフェイス160は、Bluetooth(登録商標)による通信方式に対応した機能を有する。
【0042】
図3は通信端末装置31,32が備える内部構成の概略を示すブロック図である。本発明において必要な構成は、通信端末装置31,32について同様であるので、以下については、通信端末装置31を例にして説明する。
【0043】
通信端末装置31は、制御ユニット300と、ROM312と、RAM313と、HDD314と、表示部315と、通信インターフェイス318と、入力部319とを備える。これら各部は、互いにCPUバスによりデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0044】
制御ユニット300は、CPU等からなり、通信端末装置31の全体的な動作制御を司る。ROM312は、通信端末装置31の基本動作についての動作プログラムを記憶する。RAM313は、制御ユニット300の動作領域等として使用される。
【0045】
HDD314は、その記憶領域の一部に、印刷の対象とする文書データ又は画像データ等の各種データを記憶する。HDD314には、通信制御プログラムが記憶されている。制御ユニット300は、当該通信制御プログラムに従って動作することで、後述する制御部301、通算時間記憶部302、及びデータ送受信部303として機能する。但し、制御ユニット300の当該制御部301、通算時間記憶部302、及びデータ送受信部303は、動作制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0046】
表示部315は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、各種データの内容、当該通信端末装置31を操作する操作者に対する操作案内等が表示される。通信インターフェイス318は、複合機1,11との間でデータ通信を行うためのインターフェイスとして機能する。通信インターフェイス318は、Bluetoothによる通信方式に対応した機能を有する。
【0047】
入力部319は、キーボードや、表示部315に設けられたタッチパネル、スティックポインター等から構成され、例えば、複合機1,11の例えば画像形成部130についての現像、帯電、露光、及び転写に関する電圧調整や、表示部150の表示調整等を行うために、複合機1,11の動作についての各設定項目の値を変更する指示の入力を受け付ける。
【0048】
制御ユニット300は、制御部301、通算時間記憶部302、及びデータ送受信部303を備える。
【0049】
制御部301は、PC31全体の動作制御を司る。
【0050】
通算時間記憶部302は、当該通信端末装置31の操作者が複合機1,11のメンテナンスを行ったと想定される通算時間であるメンテナンス通算時間を記憶する。このメンテナンスを行ったと想定される時間としては、例えば、当該通信端末装置31から複合機1,11に対してメンテナンス通算時間を送信して、複合機1,11の判定部104による当該メンテナンス通算時間を用いた上記判定によりメンテナンスモードでの動作を許可され、当該メンテナンスモードで複合機1,11が動作した場合における当該メンテナンスモードでの複合機1,11の動作時間が用いられる。また、メンテナンスを行ったと想定される時間を通算したメンテナンス通算時間としては、上記判定によりメンテナンスモートで動作する複合機1,11の各回の動作時間を通算した時間が用いられる。データ送受信部303が、当該動作時間を複合機1,11から受信し、通算時間記憶部302が当該動作時間を記憶又は加算する。
【0051】
データ送受信部(データ送信部、データ受信部)303は、通算時間記憶部302に記憶されているメンテナンス通算時間を複合機1,11に送信するための制御を行う。また、データ送受信部303は、このように複合機1,11に送信したメンテナンス通算時間を用いた上記判定によりメンテナンスモードで複合機1,11が動作した場合における、当該メンテナンスモードでの複合機1,11の動作時間を複合機1,11から受信する。データ送受信部303は、通信インターフェイス318を介して、当該送受信を行う。当該データ送受信部303及び通信インターフェイス318が、特許請求の範囲における通信部の一例となる。
【0052】
次に、動作制御システム10を構成する複合機1,11及び通信端末装置31,32によるメンテナンスモード切換制御時における処理の第1実施形態を説明する。図4は複合機1,11によるメンテナンスモード切換制御時における処理の第1実施形態を示すフローチャートである。図5は通信端末装置31,32によるメンテナンスモード切換制御時における処理を示すフローチャートである。図6及び図7は動作制御システム10を構成する複合機と通信端末装置との間における通信手順を示す図である。なお、複合機1,11は同様の処理を行うため、特に触れない限り、複合機1を例にして説明する。
【0053】
複合機1では、通信部102が、通信インターフェイス160を介して、Bluetooth通信によりデータ通信可能な通信端末装置が、通信部102及び通信インターフェイス160による通信可能な通信圏内にあるか否かを判断する(S1)。当該通信圏の範囲は、例えば、複合機1から半径3m周辺等のように、複合機1のメンテナンス作業を行う操作者が存在すると想定される範囲に予め定められている。当該通信部102による通信可能な通信圏内にあるか否かの判断は、Bluetooth方式により通信可能相手先を探す公知の方式を用いた通信に基づいて行われる。
【0054】
通信部102が、データ通信の可能な通信端末装置が上記通信圏内に存在すると判断した場合は(S1でYES)、通信部102は、当該通信端末装置に対して、通算時間記憶部302に記憶されているメンテナンス通算時間の送信を要求する指示を送信する(S2)。以下、特に触れない限り、データ通信可能な通信端末装置が通信端末装置31であるとして説明する。
【0055】
一方、通信端末装置31では、データ送受信部303が、複合機1からの上記メンテナンス通算時間の送信要求を受信すると(S21)、当該データ送受信部303は、通算時間記憶部302に記憶されているメンテナンス通算時間を読み出し、当該読み出したメンテナンス通算時間を、複合機1に対して送信する(S22)。
【0056】
複合機1においては、上記S2で送信したメンテナンス通算時間の送信要求に対応する返信として、通信端末装置31のデータ送受信部303から、上記メンテナンス通算時間を通信部102が受信すると(S3)、判定部104により、当該受信したメンテナンス通算時間が、認定基準時間記憶部103に記憶している認定基準時間に達しているか否かの判定が行われる(S4)。
【0057】
判定部104が、上記メンテナンス通算時間が上記認定基準時間に達していると判定した場合は(S4でYES)、制御部101は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換え、複合機1を当該メンテナンスモードで動作させる(S5)。このとき、通信部102は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えた旨を示す信号を、通信端末装置31に対して送信する(S6)。
【0058】
なお、S4において、判定部104が、上記メンテナンス通算時間が上記認定基準時間に達していないと判定した場合は(S4でNO)、通信部102は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えることが不可能である旨を示す信号を、通信端末装置31に対して送信する(S10)。
【0059】
例えば、図6に示すように、機種Aからなる複合機1が、その認定基準時間記憶部103に、設定基準時間として10時間を記憶しており、通信端末装置31の通算時間記憶部302に機種Aについてのメンテナンス通算時間として記憶されている値が5時間である場合、判定部104は、通信端末装置31の上記メンテナンス通算時間が上記認定基準時間に達していないと判定する。
【0060】
但し、この例において、機種Bからなる別の複合機11が、その認定基準時間記憶部103に、設定基準時間として5時間を記憶しており、通信端末装置31の通算時間記憶部302に機種Bについてのメンテナンス通算時間として記憶されている値が7時間である場合、複合機11の判定部104は、通信端末装置31の上記メンテナンス通算時間が上記認定基準時間に達していると判定することになる。機種Bによる複合機1との通信は、図6に示すものとなる。
【0061】
なお、図7に示すように、この例において、通信端末装置32の通算時間記憶部302に機種Aについてのメンテナンス通算時間が10時間、機種Bについてのメンテナンス通算時間が7時間として記憶されているとすると、機種Aからなる複合機1の判定部104、及び機種Bからなる複合機1の判定部104はいずれも、通信端末装置32の上記メンテナンス通算時間が上記認定基準時間に達していると判定することになる。
【0062】
通信端末装置31では、データ送受信部303がS6又はS10による信号を受信すると(S23)、制御部301が、当該受信した信号が、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えた旨を示す切換許可信号であるか、又は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えることが不可能である旨を示す切換不可信号であるかを判断する(S24)。
【0063】
ここで、制御部301が、当該受信した信号が、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えた旨を示す切換許可信号であると判断した場合は(S24で「切換許可」)、制御部301は、表示部315に、複合機1がメンテナンスモードでの動作に切り換わった旨を示すメッセージを表示させる(S25)。
【0064】
また、制御部301が、当該受信した信号が、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えることが不可能な旨を示す切換不可信号であると判断した場合は(S24で「切換不可」)、制御部301は、表示部315に、複合機1がメンテナンスモードでの動作が不可能である旨を示すメッセージを表示させる(S28)。
【0065】
複合機1においては、上記メンテナンスモードに動作モードが切り換えられ、当該メンテナンスモードでの動作が行われると、当該メンテナンスモードでの動作開始時点から、動作時間計測部105により、動作時間の計測が開始される(S7)。この動作時間計測部105による動作時間の計測は、メンテナンスモードでの動作が終了するまで続けられる(S8でNO)。なお、複合機1では、通信端末装置31から送信されてくる指示を通信部102及び通信インターフェイス160が受信し、当該指示に基づいて、制御部101が、当該複合機1の例えば画像形成部130についての現像、帯電、露光、及び転写に関する電圧調整や、表示部150の表示調整等を行うために、複合機1の動作についての各設定項目の値を変更する指示を受け付け、当該受け付けた指示が示す各設定項目の値に、各設定項目の値を変更する。
【0066】
メンテナンスモードでの動作開始後、通信端末装置31から送信されてくるメンテナンスモードでの作業を終了する等の指示を通信部102及び通信インターフェイス160が受信するまで、制御部101はメンテナンスモードでの複合機1の動作を続けさせ、動作時間計測部105は上記動作時間を計測する(S8でNO)。通信部102及び通信インターフェイス160が、上記メンテナンスモードでの作業を終了する等の指示を受信すると、当該指示に基づいて、制御部101がメンテナンスモードでの複合機1の動作を終了させ、動作時間計測部105は上記動作時間の計測を終了する(S8でYES)。
【0067】
メンテナンスモードでの複合機1の動作終了後は、通信部102が、S2及びS3で通信の対象とした通信端末装置である通信端末装置31に対して、上記動作時間計測部105によって計測された動作時間を送信する(S9)。
【0068】
通信端末装置31において、データ送受信部303が、上記動作時間計測部105によって計測された動作時間を複合機1から受信すると(S26)、通算時間記憶部302は、この時点まで記憶されていたメンテナンス通算時間を、当該受信した動作時間を加算した値に更新する(S27)。
【0069】
この第1実施形態によれば、複合機1,11では、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かの判断に、通信端末装置31,32から受信されたメンテナンス通算時間を用い、当該メンテナンス通算時間と、認定基準時間記憶部に記憶されている認定基準時間との判定部104による比較結果に基づいてメンテナンスモードに切り換えるので、複合機1,11は、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かを判断するために、メンテナンスモードでの動作を認めるID等の操作者識別情報を操作者毎に記憶しておく必要がない。また、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かを判断するためにユーザ認証を行う場合のようにサーバが必要になることもない。また、上記のように、操作者が記憶しておくべきIDや氏名等の情報を用いずに、通信端末装置31,32から受信されたメンテナンス通算時間を用いて上記判断を行うので、当該判断に用いられる情報が他人に知られることにより、当該他人にメンテナンスモードで動作設定が変更される事態も防止でき、セキュリティーが従来よりも向上する。
【0070】
また、第1実施形態によれば、複合機1,11の通信部102は、上記通信圏内に入った通信端末装置に、メンテナンス通算時間の送信を要求して、当該通信端末装置からのメンテナンス通算時間の取得を可能にするので、複合機1,11の近辺に存在する通信端末装置及びその操作者のみを、メンテナンスモードでの動作を認めるか否かの判断対象とすることができる。
【0071】
また、第1実施形態によれば、複合機1,11の通信部102は、上記認定基準時間に達しているメンテナンス通算時間を送信してきた通信端末装置に対して、動作時間計測部105によって計測された上記動作時間を送信するので、当該通信端末装置においては、通算時間記憶部302に記憶しているメンテナンス通算時間に、当該動作時間を加算して更新することが可能である。
【0072】
すなわち、通信端末装置31,32の操作者による複合機1,11へのメンテナンス作業時間の増加に応じて、メンテナンス通算時間を逐次に増加させることが可能になる。この場合、複合機1,11からの要求に応じて、通信端末装置31,32が当該複合機1,11にメンテナンス通算時間を送信すると、通信端末装置31,32の操作者のメンテナンス作業の経験時間の長短に応じて逐次に更新されたメンテナンス通算時間に基づいて、複合機1,11の判定部104により上記判定が行われる。
【0073】
このため、通信端末装置31,32のデータ送受信部303が、当該逐次に増加するメンテナンス通算時間を複合機1,11に送信することにより、複合機1,11においては、当該操作者の複合機1,11に対するメンテナンス時間の多少に応じて、メンテナンスモードでの複合機1,11の動作を許可するか否かの判定等が可能になる。
【0074】
次に、動作制御システム10を構成する複合機1及び通信端末装置31,32によるメンテナンスモード切換制御時における処理の第2実施形態を説明する。図8は複合機1によるメンテナンスモード切換制御時における処理の第2実施形態を示すフローチャートである。当該図8に加えて、上述した図1を参照して説明する。
【0075】
なお、第1実施形態と同様の処理については説明を省略する。また、通信端末装置の処理は、特に触れない限り第1実施形態と同様であるので、図5を用いて説明する。複合機1,11は同様の処理を行うため、特に触れない限り、複合機1を例にして説明する。
【0076】
第2実施形態では、複合機1の通信部102が、通信インターフェイス160を介して、上記通信端末装置が通信圏内にあるか否かを判断するが(S31)、このとき、複数の通信端末装置が通信圏内に存在すると判断した場合は(S31でYES)、通信部102は、当該通信圏内に存在する全ての通信端末装置に対して、通算時間記憶部302に記憶されているメンテナンス通算時間の送信を要求する指示を送信する(S32)。本実施形態では、通信部102が、複数の通信端末装置として通信端末装置31,32の存在を判断した場合を例にして説明する。なお、通信部102が、単数の通信端末装置の存在を判断した場合は、第1実施形態と同様の処理が行われるため、説明は省略する。
【0077】
一方、通信端末装置31,32では、それぞれのデータ送受信部303が、複合機1からの上記メンテナンス通算時間の送信要求を受信すると(S21)、通算時間記憶部302に記憶されているメンテナンス通算時間を読み出し、当該読み出したメンテナンス通算時間を、複合機1に対して送信する(S22)。
【0078】
複合機1においては、上記S32で送信した各通信端末装置31,32へのメンテナンス通算時間の送信要求に対応して、通信端末装置31,32のデータ送受信部303から、上記メンテナンス通算時間を通信部102が受信すると(S33)、判定部104により、当該受信したそれぞれのメンテナンス通算時間が、認定基準時間記憶部103に記憶している認定基準時間に達しているか否かの判定が行われる(S34)。
【0079】
ここで、判定部104が、少なくとも上記受信したメンテナンス通算時間のいずれかが上記認定基準時間に達していると判定した場合は(S34でYES)、制御部101は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換え、複合機1を当該メンテナンスモードで動作させる(S35)。但し、通信部102は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えた旨を示す信号を、通信端末装置31,32の両方(すなわち、S31で通信圏内に存在するとされた全ての通信端末装置)に送信する(S36)。動作時間計測部105は、上記メンテナンスモードでの動作開始時点から、当該メンテナンスモードでの動作時間を計測する(S37)。
【0080】
なお、S34において、判定部104が、上記受信したメンテナンス通算時間のいずれもが上記認定基準時間に達していないと判定した場合は(S34でNO)、通信部102は、複合機1の動作モードをメンテナンスモードに切り換えることが不可能である旨を示す信号を、通信端末装置31,32の両方(すなわち、S31で通信圏内に存在するとされた全ての通信端末装置)に送信する(S40)。
【0081】
通信端末装置31,32では、複合機1からデータ送受信部303が受信したS35又はS40による信号の内容に応じて、制御部301が表示部315を表示制御する(S28,S25)。
【0082】
例えば、図1に示すように、機種Aからなる複合機1が、その認定基準時間記憶部103に、設定基準時間として10時間を記憶しており、通信端末装置31の通算時間記憶部302に機種Aについてのメンテナンス通算時間として記憶されている値が5時間、通信端末装置32の通算時間記憶部302に機種Aについてのメンテナンス通算時間が50時間が記憶されている場合、複合機1の判定部104は、通信端末装置31の上記メンテナンス通算時間は上記認定基準時間に達していないと判定し、通信端末装置32の上記メンテナンス通算時間は上記認定基準時間に達していると判定する。
【0083】
なお、複合機1では、制御部101によりメンテナンスモードで当該複合機1を動作させている間、通信端末装置31,32の両方から送信されてくる指示を通信部102及び通信インターフェイス160が受信し、制御部101が、当該両方の指示に基づいて、複合機1の動作についての各設定項目の値を変更する指示が示す各設定項目の値に、各設定項目の値を変更する。
【0084】
メンテナンスモードでの動作開始後、通信端末装置31,32のいずれかから、メンテナンスモードでの作業を終了する等の指示を通信部102及び通信インターフェイス160が受信するまで、制御部101がメンテナンスモードでの複合機1の動作を続行させ(S38でNO,S37に戻る)、メンテナンスモードでの作業を終了する等の指示を通信部102及び通信インターフェイス160が受信すると、当該指示に基づいて、制御部101が、メンテナンスモードでの複合機1の動作を終了させる(S38でYES)。
【0085】
メンテナンスモードでの複合機1の動作終了後は、通信部102が、通信端末装置31,32の両方に対して、上記動作時間計測部105によって計測された動作時間を送信する(S39)。
【0086】
通信端末装置31,32において、それぞれのデータ送受信部303が、上記動作時間計測部105によって計測された動作時間を複合機1から受信すると(S26)、それぞれの通算時間記憶部302は、この時点まで記憶されていたメンテナンス通算時間を、当該受信した動作時間を加算した値に更新する(S27)。
【0087】
この第2実施形態によれば、例えば、認定基準時間に達していないメンテナンス通算時間が記憶されている通信端末装置31を有する操作者(新人)と、認定基準時間に達しているメンテナンス通算時間が記憶されている通信端末装置32を有する操作者(教官)とが上記通信圏内に存在する場合に、メンテナンス作業の経験が未熟な操作者(新人)であっても、メンテナンス作業の経験が豊富な指導者的立場の操作者(教官)が上記通信圏内に存在すれば、複合機1,11をメンテナンスモードで動作させることが可能になる。そして、当該両操作者の通信端末装置31,32に対して、通信部102からは動作時間計測部105が計測したメンテナンスモード時の動作時間が送信されるので、当該両操作者のそれぞれの通信端末装置31,32は、記憶しているメンテナンス通算時間に当該動作時間を加算して更新可能となり、上記指導者的立場の操作者(教官)の通信端末装置32だけでなく、上記未熟な操作者(新人)の通信端末装置31に対しても、メンテナンス作業の経験値として当該動作時間を加算させることが可能となる。
【0088】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、通信端末装置31,32をメンテナンス操作用の通信機器とした例を示したが、本発明に係る通信端末装置として、携帯電話又はスマートフォン等の通信機器を用いる場合は、複合機1のメンテナンスモードでの動作時には、複合機1の操作者により、操作者が入力した複合機1の動作を設定する設定指示を受け付け、制御部101が当該指示に従って、複合機1の動作についての各設定値を変更するものとする。
【0089】
また、上記各実施形態では、本発明に係る電子機器が画像形成装置である場合を示したが、本発明に係る電子機器は画像形成装置に限定されるものではなく、上記メンテナンスモードを備える電子機器であれば、他の装置であっても適用が可能である。
【0090】
なお、図1乃至図8を用いて上記各実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0091】
10 動作制御システム
1,11 複合機
100 制御ユニット
101 制御部
102 通信部
103 認定基準時間記憶部
104 判定部
105 動作時間計測部
160 通信インターフェイス
31,32 通信端末装置
300 制御ユニット
301 制御部
302 通算時間記憶部
303 データ送受信部
318 通信インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末装置に記憶されているメンテナンス通算時間を前記通信端末装置から受信する通信部と、
作業者による当該電子機器の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードと、当該電子機器が通常動作を行う通常動作モードとを切り換えて、当該電子機器を動作させる制御部と、
前記メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部と、
前記通信部によって前記通信端末装置から受信された前記メンテナンス通算時間が、前記認定基準時間記憶部に記憶されている前記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記判定部によって前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させる電子機器。
【請求項2】
前記通信部は、当該電子機器からの予め定められた通信圏内において前記通信端末装置との通信を行い、前記通信圏内に前記通信端末装置があることを検出した場合に、前記通信端末装置に前記メンテナンス通算時間の送信を要求する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判定部による判定結果に基づいて当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させた動作時間を計測する動作時間計測部と、
前記通信部は、前記認定基準時間に達していると判定された前記メンテナンス通算時間を送信してきた通信端末装置に対して、前記動作時間計測部によって計測された動作時間を送信する請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子機器。
【請求項4】
前記通信部は、複数の通信端末装置から前記メンテナンス通算時間を受信し、
前記判定部は、前記通信部によって前記複数の通信端末装置から受信されたそれぞれの前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達しているか否かを判定し、
前記制御部は、少なくとも前記複数の通信端末装置のいずれかの前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると前記判定部によって判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させ、
前記通信部は、前記複数の通信端末装置のそれぞれに対して、前記動作時間計測部によって計測された動作時間を送信する請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
電子機器に内蔵されるコンピューターを、
通信端末装置に記憶されているメンテナンス通算時間を前記通信端末装置から受信する通信部と、
作業者による当該電子機器の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードと、当該電子機器が通常動作を行う通常動作モードとを切り換えて、当該電子機器を動作させる制御部と、
前記メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部と、
前記通信部によって前記通信端末装置から受信された前記メンテナンス通算時間が、前記認定基準時間記憶部に記憶されている前記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部とを備え、
前記制御部が、前記判定部によって前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させるように、前記コンピューターを機能させる動作制御プログラム。
【請求項6】
電子機器のメンテナンスを行った通算時間であるメンテナンス通算時間を記憶する通算時間記憶部と、
前記通算時間記憶部に記憶されている前記メンテナンス通算時間を電子機器に送信するデータ送信部と、
前記データ送信部による前記メンテナンス通算時間の送信に基づいて前記電子機器において行われたメンテナンスモードによる動作の動作時間を当該電子機器から受信するデータ受信部とを備え、
前記通算時間記憶部は、前記データ受信部により前記動作時間が受信されたとき、前記メンテナンス通算時間を、前記動作時間が加算された値に更新する通信端末装置。
【請求項7】
互いに通信が可能とされた電子機器及び通信端末装置を備えた動作制御システムであって、
前記電子機器は、
通信端末装置に記憶されているメンテナンス通算時間を前記通信端末装置から受信する通信部と、
作業者による当該電子機器の動作設定の変更を受け付けるメンテナンスモードと、当該電子機器が通常動作を行う通常動作モードとを切り換えて、当該電子機器を動作させる制御部と、
前記メンテナンスモードへの切換が許可される認定基準時間を記憶する認定基準時間記憶部と、
前記通信部によって前記通信端末装置から受信された前記メンテナンス通算時間が、前記認定基準時間記憶部に記憶されている前記認定基準時間に達しているか否かを判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記判定部によって前記メンテナンス通算時間が前記認定基準時間に達していると判定された場合に、当該電子機器を前記メンテナンスモードに切り換えて動作させ、
前記通信端末装置は、
前記メンテナンス通算時間を記憶する通算時間記憶部と、
前記通算時間記憶部に記憶されているメンテナンス通算時間を前記電子機器に送信するデータ送信部とを備える動作制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106111(P2013−106111A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246969(P2011−246969)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】