説明

電子機器、及びそれを備えたヘッドセット

【課題】合成樹脂製筐体の操作部キートップの部分に設けられた開口部に配し操作するスイッチ装置の金属製キートップを容易に、かつ、確実にアースに落とすことができる電子機器、及びヘッドセットを提供する。
【解決手段】電子機器10の金属製キートップ14をアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリング27は、合成樹脂製筐体11内に配されているプリント回路基板23の金属製キートップ14の中央部と対向する位置の1箇所に配したアースパターン26上に設置し、上端を金属製キートップ14の中央部の1箇所に常時押し当て、金属製キートップ14の復帰スプリングとして機能させ、スイッチ装置25の1部品として使用することで、金属製キートップ14の直下にコイルスプリング27を配する。ヘッドセット1は電子機器10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製(絶縁性)筐体の操作部キートップの部分に開口部を設け、そこに金属製(導電性)キートップを配し操作するスイッチ装置を備えた電子機器、及びそれを備えたヘッドセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器では、金属製キートップを合成樹脂製筐体内に配されているプリント回路基板のアースパターンに接続し、プリント回路基板に実装されている電子部品(IC等の半導体部品)を人体からの静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)による破壊から守る必要がある。いわゆるESD対策を施す必要がある。
【0003】
従来、特許文献1において、合成樹脂製キャビネット(合成樹脂製筐体)の表面に電子機器の質感向上を目的とし装着されている金属製パネルを、アースに落とすための電子機器のアースが提案されている。そこでは、金属製パネルと合成樹脂製キャビネット内に配されている回路基板のアースパターンとの間を金属線材からなるコイルスプリングで接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−234625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、アースに落とす金属部材が合成樹脂製筐体の表面に電子機器の質感向上を目的とし装着されている金属製パネルのため、その直下にアース用導体のコイルスプリングを設置し、この短い導体を通してアースに落とすことが容易にでき、また、金属製パネルは動かない固定体のため、コイルスプリングとの接触を容易、かつ、確実に確保でき、確保した接触も確実に維持でき、接触不良の問題もなく確実にアースに落とすことができる。
【0006】
しかし、アースに落とす金属部材が合成樹脂製筐体の操作部キートップの部分に設けられた開口部に配し操作するスイッチ装置の金属製キートップになると、アース用導体のコイルスプリングは、少なくとも金属製キートップの直下を避けて設置する必要があり、そのために、導体が長くなるばかりでなく、コイルスプリングの設置スペースを特別に確保する必要があり、また、金属製キートップは可動体のため、その直下を避けて設置するコイルスプリングとの接触を確保すること自体が難しくなる。
【0007】
したがって、合成樹脂製筐体の表面に電子機器の質感向上を目的とし装着されている金属製パネルとは異なり、合成樹脂製筐体の操作部キートップの部分に設けられた開口部に配し操作するスイッチ装置の金属製キートップの場合、容易に、かつ、確実にアースに落とすことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、合成樹脂製筐体の操作部キートップの部分に設けられた開口部に配し操作するスイッチ装置の金属製キートップを容易に、かつ、確実にアースに落とすことができる電子機器、及びそれを備えたヘッドセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の手段として本発明の電子機器は、合成樹脂製筐体の操作部キートップの部分に開口部を設け、前記開口部に金属製キートップを配し操作するスイッチ装置を備えた電子機器において、前記金属製キートップをアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリングを前記スイッチ装置の1部品として使用することで、前記金属製キートップの直下に前記コイルスプリングを配し、前記金属製キートップを容易に、かつ、確実にアースに落とすという目的を達成するものである。
具体的には、前記合成樹脂製筐体内に配されているプリント回路基板の前記金属製キートップの中央部と対向する位置の1箇所にアースパターンを配し、前記アースパターン上に前記金属製キートップをアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリングを設置し、前記コイルスプリングの上端を前記金属製キートップの中央部の1箇所に常時押し当て、前記コイルスプリングを前記金属製キートップを押圧操作後の操作状態から押圧操作前の初期状態に戻す復帰スプリングとして機能させるように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、第2の手段として、前記スイッチ装置は、前記金属製キートップと、前記コイルスプリングと、前記プリント回路基板上の前記コイルスプリングを中心とする90度間隔の4方向の位置にそれぞれ配され前記金属製キートップの前記中央部を取り囲む周辺部と対向する4個のプッシュスイッチと、前記コイルスプリングが貫通する貫通孔を有し前記プリント回路基板上に載置され前記各プッシュスイッチと対向する位置の4箇所にそれぞれ上向きに膨出したクリック部を形成するキーパッドとを備え、前記各クリック部の頂部には、下方の前記プッシュスイッチを押圧操作可能な下向き突起と、上方の前記金属製キートップの前記周辺部に先端を当接する上向き突起とが形成され、前記4方向に対応する前記金属製キートップの前記周辺部の位置の4箇所をそれぞれ押圧し、それぞれの方向に前記金属製キートップを傾倒操作することで、それぞれの方向の前記クリック部を介してそれぞれの方向の前記プッシュスイッチを押圧しオンにするように構成したことを特徴とする。
【0011】
また、第3の手段として、前記コイルスプリングには、その下部のコイル径よりも上部のコイル径を小さくして外周部に上向き段差面を形成し、前記キーパッドの前記貫通孔は、前記コイルスプリングの下部の前記大径部が貫通可能な孔径を有し、前記キーパッドは、前記貫通孔の縁部を垂直方向に立ち上げて筒状部を形成し、前記筒状部の上端には、前記コイルスプリングの前記上向き段差面と係合し上部の前記小径部のみ前記筒状部の上端上方に突出するように内向きに張り出したフランジ状の抜け止め部を形成したことを特徴とする。
【0012】
また、第4の手段として、前記金属製キートップは、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムからなり、前記コイルスプリングの前記上端を押し当てる前記金属製キートップの中央部の1箇所には、酸化被膜を除去したアルミニウム露出部を形成し、このアルミニウム露出部で、前記コイルスプリングとの導通を得たことを特徴とする。
【0013】
また、第5の手段として本発明のヘッドセットは、上記何れかの電子機器を備えたヘッドセットであって、前記プリント回路基板上に構成されている電子回路による近距離無線通信手段と、前記スイッチ装置による手元操作手段と、前記プリント回路基板から前記筐体外に延出されている左右のイヤホンコードと、前記左右のイヤホンコードの末端に取り付けられている左右のイヤホンユニットと、前記左右のイヤホンユニットのうち、一方のイヤホンコード上に配されているマイクユニットとを備え、前記近距離無線通信手段で、接続対象機器と接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子機器の金属製キートップをアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリングは、合成樹脂製筐体内に配されているプリント回路基板の金属製キートップの中央部と対向する位置の1箇所に配したアースパターン上に設置し、上端を金属製キートップの中央部の1箇所に常時押し当て、金属製キートップの復帰スプリングとして機能させ、スイッチ装置の1部品として使用するので、金属製キートップの直下にコイルスプリングを配し、金属製キートップを容易に、かつ、確実にアースに落とすことができる。また、電子機器の小型化、及びコスト低下を図ることができる。
【0015】
また、スイッチ装置は、金属製キートップと、コイルスプリングと、プリント回路基板上のコイルスプリングを中心とする90度間隔の4方向の位置にそれぞれ配され金属製キートップの前記中央部を取り囲む周辺部と対向する4個のプッシュスイッチと、コイルスプリングが貫通する貫通孔を有しプリント回路基板上に載置され各プッシュスイッチと対向する位置の4箇所にそれぞれ上向きに膨出したクリック部を形成するキーパッドとを備え、各クリック部の頂部には、下方のプッシュスイッチを押圧操作可能な下向き突起と、上方の金属製キートップの周辺部に先端を当接する上向き突起とが形成され、4方向に対応する金属製キートップの周辺部の位置の4箇所をそれぞれ押圧し、それぞれの方向に金属製キートップを傾倒操作することで、それぞれの方向のクリック部を介してそれぞれの方向のプッシュスイッチを押圧しオンにするように構成したので、コイルスプリングを中心とした4方向プッシュスイッチとなり、コイルスプリングは、金属製キートップを常時安定的に支え、キーパッドの各クリック部や各プッシュスイッチのヘタリ等を抑えるスプリングとしても機能し、スイッチ装置のクリック感触、安定性(動作信頼性)、及び耐久性を向上させることができる。
【0016】
また、コイルスプリングには、その下部のコイル径よりも上部のコイル径を小さくして外周に上向き段差面を形成し、キーパッドの貫通孔は、コイルスプリングの下部の大径部が貫通可能な孔径を有し、キーパッドは、貫通孔の縁部を垂直方向に立ち上げて筒部を形成し、筒部の上端には、コイルスプリングの上向き段差面と係合し上部の小径部のみ筒部の上端上方に突出するように内向きに張り出したフランジ状の抜け止め部を形成したので、コイルスプリングは、キーパッドの貫通孔に対して抜け止めされ、コイルスプリングの下端が下方のアースパターンから外れたり浮き上がることがなく、アースパターンとの導通をより確実に得ることができる。
【0017】
また、金属製キートップは、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムからなり、金属製キートップのコイルスプリングの上端を押し当てる中央部の1箇所には、酸化被膜を除去したアルミニウム露出部を形成し、コイルスプリングとの導通を得たので、コイルスプリングで、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムからなる金属製キートップをアースに落とすことができ、金属製キートップに耐食性、耐摩耗性の向上、及び装飾その他の機能を容易に付加することができる。
【0018】
また、本発明のヘッドセットは、上記電子機器を備えたヘッドセットであって、プリント回路基板上に構成されている電子回路による近距離無線通信手段と、スイッチ装置による手元操作手段と、プリント回路基板から前記合成樹脂製筐体外に延出されている左右のイヤホンコードと、前記左右のイヤホンコードの末端に取り付けられている左右のイヤホンユニットと、左右のイヤホンユニットのうち、一方のイヤホンコード上に配されているマイクユニットとを備え、近距離無線通信手段で、接続対象機器と接続するもので、電子機器がメインユニットとなり、いわゆるESD対策を施した上、金属製キートップで、メインユニットの表面の一部を金属面に構成するので、全体の質感向上、及び他社製品との差別化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器を備えたヘッドセットの外観図
【図2】図1のメインユニット(本発明の実施形態に係る電子機器)の分解平面図
【図3】図1のメインユニットの主スイッチ装置部の断面図
【図4】図2のA部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器を備えたヘッドセットの外観図である。図1において、ヘッドセット1は、メインユニット10と、左右のイヤホンコード2,3と、左右のイヤホンユニット4,5と、マイクユニット6とから構成されている。
【0022】
左右のイヤホンコード2,3は、メインユニット10の略直方体状の合成樹脂製(絶縁性)筐体11内に配されている後述するプリント回路基板23に接続され、合成樹脂製筐体11の上部側面中央部からブッシュ12を介して外部に延出されており、この左右のイヤホンコード2,3の末端に左右のイヤホンユニット4,5が取り付けられ、右のイヤホンユニット5上にマイクユニット6が配されている。図1において、符号7は、ヘッドセット1に付属のネックアームであり、ヘッドセット1使用者の首に装着することで、その首元に左右のイヤホンコード2,3を保持するものである。
【0023】
メインユニット10は、例えばブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信規格による近距離無線通信機能、及び複数のスイッチ装置による手元操作機能(リモートコントロール機能)等を搭載し、また、合成樹脂製筐体11の上表面の中央部から下部にわたる操作部キートップの部分に設けられた四角形の大きな開口部13に四角形の大きな金属製(導電性)キートップ14を配し操作する後述する主スイッチ装置25を備えており、図示しない携帯電話機やスマートホン等の接続対象機器に無線接続することで、ハンズフリー通話や音楽再生等を行うように構成されている。
【0024】
主スイッチ装置25では、金属製キートップ14の中央部を取り囲む周辺部であって、金属製キートップ14の中心から真左と真右と真上と真下の4方向の位置の4箇所に、第1,第2,第3,第4の押圧位置W(west),E(east),N(north),S(south)が設定されており、主スイッチ装置25は、例えば、メインユニット10の電源がオフ状態のときに第1の押圧位置Wが長押しで押圧操作されることで、メインユニット10の電源をオンにし、メインユニット10の電源がオン状態のときに第1の押圧位置Wが長押しで押圧操作されることで、メインユニット10の電源をオフにするように機能する。また、メインユニット10を接続対象機器に無線接続した状態で、第1の押圧位置Wが押圧操作されることで、接続対象機器にかかってきた電話を受けて、左右のイヤホンユニット4,5とマイクユニット6を使用したハンズフリー通話を可能にし、続いて第1の押圧位置Wを押圧操作することで、通話を切るように機能する。また、第2の押圧位置Eが押圧操作されることで、接続対象機器に格納された音楽データの左右のイヤホンユニット4,5を使用した再生を可能にし、その再生中に、第3の押圧位置Nが押圧操作されることで、次の曲を再生し、第3の押圧位置Nが長押しで押圧操作されることで、曲を高速で早送りし、一方、第4の押圧位置が押圧操作されることで、曲の頭出しを行い、第4の押圧位置が長押しで押圧操作されることで、曲を高速で巻き戻し、第2の押圧位置Eが押圧操作させれることで、再生を停止するように機能する。
【0025】
メインユニット10には、通話や音楽再生時にボリュームを大きくしたり小さくしたり調整するためのスイッチ装置15、通話時の音質を高くしたり低くしたり調整するためのスイッチ装置16、騒音環境での通話や音楽再生時に騒音のみを消音するアクティブノイズコントロール機能を起動するためのスイッチ装置17、合成樹脂製筐体11内に配されている後述する二次電池24への充電用ジャック18、メインユニット10をヘッドセット1使用者の衣服や鞄に掛け止めるために合成樹脂製筐体11の裏面に着脱可能に取り付けられるクリップ19等も備えられている。
【0026】
そして、メインユニット10が本発明の実施形態に係る電子機器である。
【0027】
図2は、図1のメインユニットの分解平面図、図3は、メインユニットの主スイッチ装置部の断面図、図4は、図2のA部拡大図である。
【0028】
図2、図3、図4において、メインユニット10は、その合成樹脂製筐体11が上ケース11aと下ケース11bとから構成されており、その上ケース11aに開口部13が設けられている。また、例えばブルートゥース等の近距離無線通信用のIC20、及び手元操作用のIC21を含む複数のIC(半導体部品)、抵抗器、コンデンサー等の多数の電子部品22を表面に実装し、その各電子部品20,21,22の相互間を導体パターン(配線)で接続することで、ヘッドセット1機能を実現する電子回路を構成した四角形のプリント回路基板(PCB)23が、図示しない基板ホルダで下から支えられて、各電子部品20,21,22の実装面を下にした状態で、合成樹脂製筐体11内の上部に固定取り付けされていると共に、例えばリチウムイオン二次電池等からなる略直方体状の二次電池(バッテリー)24が、合成樹脂筐体11内の基板ホルダ下の下部に収納されている。
【0029】
また、メインユニット10では、合成樹脂製筐体11の上表面の中央部から下部にわたる操作部キートップの部分に設けられた四角形の大きな開口部13に四角形の大きな金属製キートップ14を配し操作する主スイッチ装置25を備えていることに伴い、金属製キートップ14を合成樹脂筐体11内に配されているプリント回路基板23のアースパターン26に接続し、プリント回路基板23に実装されている電子部品20,21,22(IC等の半導体部品)を人体からの静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)による破壊から守る必要がある。いわゆるESD対策を施す必要がある。そのために、メインユニット10は、金属製キートップ14をアースに落とす(プリント回路基板23のアースパターン26に接続すること。)ためのアース用導体としての例えばステンレス等の金属線材からなるコイルスプリング27を備えている。
【0030】
メインユニット10では、金属製キートップ14をアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリング27を主スイッチ装置25の1部品として使用することで、金属製キートップ14の直下にコイルスプリング27を配し、金属製キートップ14を容易に、かつ、確実にアースに落とすように構成している。
【0031】
そのために、メインユニット10は、合成樹脂製筐体11内に配されているプリント回路基板23の金属製キートップ14の中央部であって、金属製キートップ14の中心部と対向する位置の1箇所にアースパターン26を配し、そのアースパターン26上に金属製キートップ14をアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリング27を垂直に設置し、そのコイルスプリング27の上端を金属製キートップ14の中央部の1箇所であって、金属製キートップ14の中心部に下方から常時押し当て、コイルスプリング27を金属製キートップ14を押圧操作後の操作状態から押圧操作前の初期状態に戻す復帰スプリングとして機能させるように構成している。なお、本実施形態の金属製キートップ14の中心は、金属製キートップ14の重心にもなっている。
【0032】
金属製キートップ14は、金属薄板の打ち抜き加工で形成されており、略四角平板状の被押圧部14aと、その被押圧部14aの外周縁部から下向きに突出した四角筒状の周壁部14bと、その周壁部14bの下端部から外向きに張り出した四角枠状の鍔部14cとを有し、被押圧部14aの中央部下面であって、被押圧部14aの中心部下面にコイルスプリング27の上端が下方から常時押し当てられて、コイルスプリング27によって常時上方向に付勢されている。そして、第1,第2,第3,第4の押圧位置W,E,N,Sの何れもが押圧操作されていないときは、鍔部14cの全周が上ケース11aの開口部3の口縁部に下方から当接係合することで、被押圧部14aの上面(被押圧面)が上ケース11aの開口部13の周囲上面と略同一平面内に配される初期状態(水平姿勢)に保持され、第1,第2,第3,第4の押圧位置W,E,N,Sの何れかが押圧されると、その押圧位置に応じたそれぞれの方向に傾倒操作され、次にその押圧位置への押圧を解除すると、初期状態に戻される。なお、第1,第2,第3,第4の押圧位置W,E,N,Sの近傍を押圧しても、金属製キートップ14は、それぞれの方向に傾倒操作される。
【0033】
このように、メインユニット10の金属製キートップ14をアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリング27は、合成樹脂製筐体11内に配されているプリント回路基板23の金属製キートップ14の被押圧部14aの中央部であって、金属製キートップ14の被押圧部14aの中心部と対向する位置の1箇所に配したアースパターン26上に垂直に設置し、上端を金属製キートップ14の中央部下面であって、金属製キートップ14の中心部下面の1箇所に常時押し当て、金属製キートップ14の復帰スプリングとして機能させ、スイッチ装置25の1部品として使用することで、金属製キートップ14の被押圧部14aの中央部であって、金属製キートップ14の被押圧部14aの中心部の直下にコイルスプリング27を配し、金属製キートップ14を容易に、かつ、確実にアースに落とすことができる。また、メインユニット10の小型化、及びコスト低下を図ることができる。
【0034】
また、合成樹脂製筐体11の上表面の中央部から下部にわたる操作部キートップの部分に設けられた四角形の大きな開口部13に四角形の大きな金属製キートップ14を配し操作すると共に、金属製キートップ14をアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリング27を金属製キートップ14の復帰スプリングとして使用するスイッチ装置25は、金属製キートップ14と、コイルスプリング27とを備えると共に、プリント回路基板23上のコイルスプリング27を中心とする90度間隔の4方向であって、コイルスプリング27から真左と真右と真上と真下の4方向の位置にそれぞれ配され金属製キートップ14の被押圧部14aの中央部を取り囲む被押圧部14aの周辺部に設定された第1,第2,第3,第4の押圧位置W,E,N,Sと対向する4個の第1,第2,第3,第4のプッシュスイッチ28,29,30,31と、金属製キートップ14と略同じ大きさ、形状に形成されて4個の第1,第2,第3,第4のプッシュスイッチ28,29,30,31を一括に覆うことができ、中央部であって、中心部にはコイルスプリング27が貫通する円形の貫通孔32を有し、プリント回路基板23上に載置固定され、各プッシュスイッチ28,29,30,31と対向する位置の4箇所にそれぞれ上向きに膨出した薄形ドーム状の第1,第2,第3,第4のクリック部33,34,35,36を形成するシリコーンゴム製のキーパッド37とを備え、各クリック部33,34,35,36の平坦な頂部には、下方のプッシュスイッチ28,29,30,31を押圧操作可能な下窄まりの略円錐台形の下向き突起38と、上方の金属製キートップの周辺部に平坦な先端面を当接する略円柱状の上向き突起39とが形成され、4方向に対応する金属製キートップ14の被押圧部14aの周辺部の第1,第2,第3,第4の押圧位置W,E,N,Sの4箇所をそれぞれ押圧し、それぞれの方向に金属製キートップ14を傾倒操作することで、それぞれの方向の第1,第2,第3,第4のクリック部33,34,35,36を介してそれぞれの方向の第1,第2,第3,第4のプッシュスイッチ28,29,30,31を押圧しオンにするように構成している。
【0035】
金属製キートップ14を仮に取り除いた場合、コイルスプリング27は、キーパッド37の各上向き突起39の先端よりも上方に飛び出すような自由長さを有し、上端を金属製キートップ14の被押圧部14aの中央部下面であって、金属製キートップ14の被押圧部14aの中心部下面に下方から常時押し当て、金属製キートップ14を常時上方向に付勢できるように構成されている。
【0036】
このようなスイッチ装置25は、コイルスプリング27を中心とした4方向プッシュスイッチとなり、コイルスプリング27は、金属製キートップ14を常時安定的に支え、キーパッド37の各クリック部33,34,35,36や各プッシュスイッチ28,29,30,31のヘタリ等を抑えるスプリングとしても機能し、スイッチ装置25のクリック感触、安定性(動作信頼性)、及び耐久性を向上させることができる。
【0037】
各プッシュスイッチ28,29,30,31は、それぞれ、下面に粘着剤が設けられた粘着シート40と、例えばステンレスやリン青銅等のバネ性を有するドーム状の薄板金属からなり、頂部からの押圧力に対してクリック感触を伴って、変位可能なスナッププレート41と、プリント回路基板23の各プッシュスイッチ28,29,30,31の設置面に形成された図示しない中央固定接点パターン、及び周辺固定接点パターンとで構成されている。粘着シート40の下面にスナッププレート41の上面が貼着され、スナッププレート41と各固定接点パターンとを対向させた状態で、スナッププレート41の周囲にある粘着シート40の下面がプリント回路基板23に貼着されている。スナッププレート41は、下端部周縁部が周辺固定接点パターンに常時接触すると共に、ドーム状の頂部が中央固定接点パターンと間隔を置いて対向した状態で、プリント回路基板23に載置固定された状態となっている。スナッププレート41の上方の粘着シート40が押圧されると、スナッププレート41の上部が凹状に反転し中央固定接点パターンと接触した状態となり、スナッププレート41を介して中央固定接点パターンと周辺固定接点パターン間をオンにし、押圧を解除すると、スナッププレート41の上部が中央固定接点パターンから離れ、中央固定接点パターンと周辺固定接点パターン間をオフにするようになっている。
【0038】
また、コイルスプリング27には、その下部のコイル径よりも上部のコイル径を小さくして外周に上向き段差面27cを形成し、キーパッド37の貫通孔32は、コイルスプリング27の下部の大径部27aが貫通可能な孔径を有し、キーパッド37は、貫通孔32の縁部を垂直方向に立ち上げて円筒状部42を形成し、円筒状部42の上端には、コイルスプリング27の上向き段差面27cと係合し上部の小径部27bのみ円筒状部42の上端上方に突出するように内向きに張り出したフランジ状の抜け止め部42aを形成している。
【0039】
このような構成において、コイルスプリング27は、キーパッド37の貫通孔32に対して抜け止めされ、コイルスプリング27の下端が下方のアースパターン26から外れたり浮き上がることがなく、アースパターン26との導通をより確実に得ることができる。
【0040】
金属製キートップ14の被押圧部14aの周辺部の第1,第2,第3,第4の押圧位置W,E,N,Sの4箇所をそれぞれ押圧し、それぞれの方向に金属製キートップ14を傾倒操作することで、それぞれの方向の第1,第2,第3,第4のクリック部クリック部33,34,35,36を介してそれぞれの方向の第1,第2,第3,第4のプッシュスイッチ28,29,30,31を押圧しオンにしたときに、円筒状部42は、その上端と金属製キートップ14の被押圧部14aの下面との間に隙間を設ける高さに設定されており、このような構成においても、コイルスプリング27は、その上端を金属製キートップ14の被押圧部14aの中央部下面であって、金属製キートップ14の被押圧部14aの中心部下面に下方から常時押し当て、金属製キートップ14を常時上方向に付勢できるようになっている。
【0041】
また、金属製キートップ14は、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムからなり、コイルスプリング27の上端を押し当てる金属製キートップ14の被押圧部14aの中央部下面であって、金属製キートップ14の被押圧部14aの中心部下面の1箇所には、酸化被膜14dを例えばレーザーエッチング加工等により除去したアルミニウム露出部14eを形成し、このアルミニウム露出部14eで、コイルスプリング27との導通を得ている。
【0042】
このような構成において、コイルスプリング27が、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムからなる金属製キートップ14をアースに落とすことができ、金属製キートップ14に耐食性、耐摩耗性の向上、及び装飾その他の機能を容易に付加することがきる。
【0043】
そして、本実施形態のメインユニット10を備えたヘッドセット1においては、プリント回路基板23上に構成されている電子回路による近距離無線通信手段と、主スイッチ装置25等による手元操作手段と、プリント回路基板23から合成樹脂製筐体11外に延出されている左右のイヤホンコード2,3と、左右のイヤホンコード2,3の末端に取り付けられている左右のイヤホンユニット4,5と、左右のイヤホンユニット4,5のうち、一方のイヤホンコード5上に配されているマイクユニット6とを備え、近距離無線通信手段で、接続対象機器と接続するもので、いわゆるESD対策を施した上、金属製キートップ14で、メインユニット10の表面の一部を金属面に構成するので、全体の質感向上、及び他社製品との差別化を図ることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はそれに限定されず本発明の要旨を変更しない範囲内で種々変更実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ヘッドセット
2,3 イヤホンコード
4,5 イヤホンユニット
6 マイクユニット
10 メインユニット(電子機器)
11 合成樹脂製筐体
13 開口部
14 金属製キートップ
14d 酸化被膜
14e アルミニウム露出部
23 プリント回路基板
25 主スイッチ装置(スイッチ装置)
26 アースパターン
27 コイルスプリング
27a 大径部
27b 小径部
27c 上向き段差面
28,29,30,31 第1,第2,第3,第4のプッシュスイッチ
32 貫通孔
33,34,35,36 第1,第2,第3,第4のクリック部
37 キーパッド
38 下向き突起
39 上向き突起
42 円筒状部(筒状部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製筐体の操作部キートップの部分に開口部を設け、前記開口部に金属製キートップを配し操作するスイッチ装置を備えた電子機器において、前記合成樹脂製筐体内に配されているプリント回路基板の前記金属製キートップの中央部と対向する位置の1箇所にアースパターンを配し、前記アースパターン上に前記金属製キートップをアースに落とすためのアース用導体としての金属線材からなるコイルスプリングを設置し、前記コイルスプリングの上端を前記金属製キートップの中央部の1箇所に常時押し当て、前記コイルスプリングを前記金属製キートップを押圧操作後の操作状態から押圧操作前の初期状態に戻す復帰スプリングとして機能させるように構成したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記スイッチ装置は、前記金属製キートップと、前記コイルスプリングと、前記プリント回路基板上の前記コイルスプリングを中心とする90度間隔の4方向の位置にそれぞれ配され前記金属製キートップの前記中央部を取り囲む周辺部と対向する4個のプッシュスイッチと、前記コイルスプリングが貫通する貫通孔を有し前記プリント回路基板上に載置され前記各プッシュスイッチと対向する位置の4箇所にそれぞれ上向きに膨出したクリック部を形成するキーパッドとを備え、前記各クリック部の頂部には、下方の前記プッシュスイッチを押圧操作可能な下向き突起と、上方の前記金属製キートップの前記周辺部の1箇所に先端を当接する上向き突起とが形成され、前記4方向に対応する前記金属製キートップの前記周辺部の位置の4箇所をそれぞれ押圧し、それぞれの方向に前記金属製キートップを傾倒操作することで、それぞれの方向の前記クリック部を介してそれぞれの方向の前記プッシュスイッチを押圧しオンにするように構成したことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記コイルスプリングには、その下部のコイル径よりも上部のコイル径を小さくして外周部に上向き段差面を形成し、前記キーパッドの前記貫通孔は、前記コイルスプリングの下部の前記大径部が貫通可能な孔径を有し、前記キーパッドは、前記貫通孔の縁部を垂直方向に立ち上げて筒状部を形成し、前記筒状部の上端には、前記コイルスプリングの前記上向き段差面と係合し上部の前記小径部のみ前記筒状部の上端上方に突出するように内向きに張り出したフランジ状の抜け止め部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記金属製キートップは、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムからなり、前記コイルスプリングの前記上端を押し当てる前記金属製キートップの中央部の1箇所には、酸化被膜を除去したアルミニウム露出部を形成し、そのアルミニウム露出部で、前記コイルスプリングとの導通を得たことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電子機器を備えたヘッドセットであって、前記プリント回路基板上に構成されている電子回路による近距離無線通信手段と、前記スイッチ装置による手元操作手段と、前記プリント回路基板から前記筐体外に延出されている左右のイヤホンコードと、前記左右のイヤホンコードの末端に取り付けられている左右のイヤホンユニットと、前記左右のイヤホンユニットのうち、一方のイヤホンコード上に配されているマイクユニットとを備え、前記近距離無線通信手段で、接続対象機器と接続することを特徴とするヘッドセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−69635(P2013−69635A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209148(P2011−209148)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】