説明

電子機器、水分浸入検出方法、及び水分浸入検出プログラム

【課題】筐体内部への水分の浸入を確実に判断する。
【解決手段】電子機器1において、第1の湿度検出部12は、筐体11外部の湿度を検出し、第2の湿度検出部13は、筐体11内部の湿度を検出する。また、電子機器1は進入判断部を備え、浸入判断部は筐体外部の湿度と筐体内部の湿度に基づいて、筐体内部への水分の浸入を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、水分浸入検出方法、及び水分浸入検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする電子機器では、筐体内部への水や湿気(以下、水分という)の浸入が故障や障害の原因となる。筐体内部への水分の浸入を防止するため、ゴムパッキンなどの防水部品を用い防水構造とすることがある。防水部品は時間経過に伴い徐々に防水性能が劣化するが、使用者による取り扱いや使用環境によって劣化の進行に差異が生じる。例えば、特許文献1では、押下力を測定して水分が浸入することを防止するOリングの劣化を検出する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−78514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、押圧力の測定手段(例えば圧力センサの位置)以外の部位や防水部材以外の部位から水分が浸入する場合には、筐体内部への水分の浸入を必ずしも確実に検出することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、筐体内部への水分の侵入を確実に検出する電子機器、水分浸入検出方法、及び水分浸入検出プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明は、筐体外部の湿度を検出する第1の湿度検出部と、筐体内部の湿度を検出する第2の湿度検出部と、を備えることを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体外部の湿度と筐体内部の湿度を検出できるので、検出した湿度に基づき、筐体内部への水分の浸入を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子機器1の断面図である。
【図2】本実施形態に係る水分浸入検出部2の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る水分浸入検出方法を示す流れ図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電子機器3の断面図である。
【図5】本実施形態に係る水分浸入検出部4の構成を示す概略図である。
【図6】本実施形態に係る水分浸入検出方法を示す流れ図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る電子機器5の断面図である。
【図8】本実施形態に係る水分浸入検出部6の構成を示す概略図である。
【図9】本実施形態に係る湿度補正テーブルの一例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る露点温度テーブルの一例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る湿度閾値テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器1の断面図である。電子機器1は、例えば、携帯電話機であり、筐体11、湿度センサ12及び湿度センサ13を含んで構成される。筐体11は、内部に各種部品を格納できる空間を有し、着脱可能な蓋部を備える。筐体11は、蓋部と接触する部分において防水部品(例えば、ゴムパッキン)を備える。筐体11の本体及び蓋部は水分を透過しない材質(例えば、マグネシウム合金)からなり、筐体11は外部からの水分の浸入を防ぐ防水構造を構成する。
【0010】
湿度センサ12は、筐体11の外部表面に配置され、その周囲、つまり筐体11の外部表面における湿度を検出する。湿度センサ13は、筐体11の内部空間に配置され、その周囲、つまり筐体11の内部空間における湿度を検出する。
【0011】
次に、本実施形態に係る電子機器1が備える水分浸入検出部2について図を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る水分浸入検出部2の構成を示す概略図である。水分浸入検出部2は、湿度センサ(第1の湿度検出部)12、湿度センサ(第2の湿度検出部)13、操作部101、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置、浸入判断部)102、ROM(Read Only Memory;読出し専用メモリ)103、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)104及び表示部(警告表示部)105を含んで構成される。
【0012】
湿度センサ12は、CPU102から湿度要求信号を入力されたとき、検出した筐体11の外部表面の湿度を示す湿度情報をCPU102に出力する。湿度センサ13は、CPU102から湿度要求信号を入力されたとき、検出した筐体11の内部空間の湿度を示す湿度情報をCPU102に出力する。なお、CPU102は各湿度センサへの湿度要求信号を、一定時間間隔(例えば、5分ごと)に出力する。
【0013】
CPU102は、電源投入とともにROM103に予め記憶されたプログラムを読出し、読み出したプログラムに従って動作して、防水機能判断部2を含む電子機器1全体の動作を制御する。CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報と湿度センサ13から入力された湿度情報とを比較する。CPU102は、湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度が湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上と判断したとき、筐体11の内部に水分が浸入していると判断する。このとき、CPU102は、表示部105に警告表示信号を出力する。表示部105は、CPU102から警告表示信号を入力されると、防水機能の劣化(もしくは、水分の浸入)を示す警告情報を表示する。表示される警告情報は、例えば、水濡れを示す画像や部品の交換を促すメッセージを表す文字である。
【0014】
CPU102は、湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度が湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度より低いと判断したとき、筐体11の内部に水分が浸入しておらず、筐体11の防水機能が正常であると判断する。このとき、CPU102は、表示部102に警告表示信号を出力しない。従って、表示部105は、電子機器1本来の機能における通常の表示を行う。電子機器1が、例えば携帯電話機である場合には、通話相手の電話番号や電池の残量等を表示する。RAM104は、検出された湿度情報、演算データ及び設定データを一時的に記憶する。
【0015】
次に、本実施形態に係る水分浸入検出方法について図を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る水分浸入検出方法を示す流れ図である。
(ステップS101)CPU102は、湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度が湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上か否か判断する。CPU102は、湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度が湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上と判断したとき(ステップS101 Y)、筐体11の内部に水分が浸入していると判断する。この場合、CPU102は、表示部105に警告表示信号を出力する。その後、ステップS102に進む。
CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報を示す湿度が湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度より低いと判断したとき(ステップS101 N)、筐体11の内部に水分が浸入しておらず、筐体11の防水機能が正常であると判断する。この場合、CPU102は、表示部105に警告表示信号を出力しない。その後、ステップS103に進む。
【0016】
(ステップS102)表示部105は、CPU102から警告表示信号を入力されると、防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。そして、処理を終了する。
(ステップS103)表示部105は、電子機器1の機能に伴う通常の表示を行う。そして、処理を終了する。
【0017】
このように、本実施形態によれば、電子機器1は、筐体11表面に設置され筐体11の外部表面の湿度を検出する湿度センサ12と、筐体11内部に設置され筐体11の内部空間の湿度を検出する湿度センサ13を備える。筐体11の内部空間の湿度が外部表面の湿度よりも高いとき、電子機器1は、筐体11の内部に水分が浸入していると判断する。そのため、筐体11の内部へ水分が侵入していることを確実に検出できる。また、本実施形態によれば、水分が浸入したと判断された場合、電子機器1は、防水機能の劣化を示す警告情報を表示する表示部105を有するため、検出された水分の浸入が利用者に報知され、防水部品の交換が促される。そのために、防水部品の劣化に関わらず行われていた無用な防水部品の交換が防止される。
【0018】
(第2の実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係る電子機器3の断面図である。電子機器3は、図1に示す電子機器1にさらに湿度センサ14を備える点が異なり、その他の点では電子機器1と同様である。以下、電子機器1との差異点を主に説明し、共通点については説明を省略する。
湿度センサ14も、筐体11の内部空間ではあるが、湿度センサ13とは異なる内部空間の区切りに配置され、その周囲、つまり、その内部空間の区切りにおける湿度を検出する。筐体11の内部空間は、図4のように、筐体11の中央部に備えられた回転軸を境に2つ以上の空間に区切られている、いわゆる二つ折りタイプである。このように、電子機器3は、内部空間の区切り(以下、単に区切りと呼ぶ)ごとに湿度センサを備えることで、各区切りにおける湿度を検知できる。
【0019】
次に、本実施形態に係る電子機器3が備える水分浸入検出部4について図を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る水分浸入検出部4の構成を示す概略図である。水分浸入検出部4は、図2に示す水分浸入検出部2にさらに湿度センサ14を備え、CPU102が湿度センサ14から入力された湿度情報を処理する点が異なり、その他の点では水分浸入検出部2と同様である。
【0020】
CPU102は、湿度センサ12、13及び14から入力された湿度情報を比較する。ここで、CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度よりも高い湿度を示す湿度情報を検出したセンサがないか判断する。CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上の湿度を示す湿度情報を検出したセンサが、湿度センサ13である判断したとき、湿度センサ13が設置されている区切りに水分が浸入していると判断する。このとき、CPU102は、表示部105に、湿度センサ13に係る警告表示信号を出力する。表示部105は、CPU102から湿度センサ13に係る警告表示信号が入力されると、湿度センサ13が設置されている区切りにおける防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。防水機能の劣化を示す警告情報は、例えば、湿度センサ13が設置されている区切りにおける水濡れを示す画像や部品の交換を促すメッセージを示す文字であってもよい。
【0021】
他方、CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上の湿度を示す湿度情報を検出したセンサが、湿度センサ14である判断したとき、湿度センサ14が設置されている区切りに水分が浸入していると判断する。このとき、CPU102は、表示部105に、湿度センサ14に係る警告表示信号を出力する。表示部105は、CPU102から湿度センサ14に係る警告表示信号が入力されると、湿度センサ14が設置されている区切りにおいて防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。防水機能の劣化を示す警告情報は、例えば、湿度センサ14が設置されている区切りにおける水濡れを示す画像や部品の交換を促すメッセージを示す文字であってもよい。
【0022】
次に、本実施形態に係る水分浸入検出方法について図を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る水分浸入検出方法を示す流れ図である。
(ステップS201)CPU102は、湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度又は湿度センサ14からが入力された湿度情報が示す湿度が、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上であるか判断する。湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度又は湿度センサ14からが入力された湿度情報が示す湿度が、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上であると判断された場合(ステップS201 Y)、ステップS202に進む。
湿度センサ13から入力された湿度情報が示す湿度も、湿度センサ14からが入力された湿度情報が示す湿度も、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度より低いと判断された場合(ステップS201 N)、CPU102は警告表示信号を出力しない。その後、ステップS203に進む。
【0023】
(ステップS202)CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度以上の湿度を示す湿度情報を検出したセンサを判断する。判断されたセンサが、湿度センサ13である場合(ステップS202 センサ13)、CPU102は、表示部105に、湿度センサ13に係る警告表示信号を出力する。その後、ステップS204に進む。判断されたセンサが、湿度センサ14である場合(ステップS202 センサ14)、CPU102は、表示部105に、湿度センサ14に係る警告表示信号を出力する。その後、ステップS205に進む。
【0024】
(ステップS203)表示部105は、電子機器3の機能における通常の表示を行う。その後、処理を終了する。
(ステップS204)表示部105は、CPU102から湿度センサ13に係る警告表示信号が入力されると、湿度センサ13が設置されている区切りにおいて防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。その後、処理を終了する。
(ステップS205)表示部105は、CPU102から湿度センサ14に係る警告表示信号を入力されると、湿度センサ14が設置されている区切りにおいて防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。その後、処理を終了する。
【0025】
なお、本実施形態では、CPU102は、湿度センサ12から入力された湿度情報が示す湿度よりも高い湿度を示す湿度情報を検出したセンサがないか判断する際、湿度センサ13と湿度センサ14のうちいずれか一方(排他的)に判断するのではなく、両者が該当するよう(非排他的)に判断することを許容する。
【0026】
従って、本実施形態によれば、複数の区切りを有する筐体の内部空間に2以上の湿度センサ13、14を有し、CPU102は湿度センサごとに水分が浸入していると判断するため、水分の浸入が検知された区切り(部位)を特定できる。これより、内部空間に備える湿度センサの数を増加させることで、水分の浸入が検知される部位をより詳細に特定できる。例えば、外部機器に接続するコネクタを保護するキャップや電池カバーで覆われる空間等、比較的頻繁に蓋部が開閉される区切りごとに、かかる湿度センサを備えてもよい。このような部位では、蓋部の開閉に伴い水分の浸入、防水機能の劣化が他の区切りよりも著しいため、検出した湿度に基づき水分の浸入を検出することが有用である。
【0027】
なお、これまでの実施形態では、CPU102は、筐体11の外部表面に設置された湿度センサ12からの湿度情報と筐体11の内部空間に設置された湿度センサ13等からの湿度情報とを比較して、筐体11へ水分が浸入していると判断していた。筐体11の外部における湿度の時間変化は、比較的緩やかであることを考慮すれば、各湿度センサからの湿度情報を取得し、処理を実行する時間間隔は比較的長くともよい(例えば、5分間隔)。そのため、これらの実施形態における処理負荷や消費電力は比較的少なく済む。
【0028】
(第2の実施形態の変形例)
上述の実施形態においては、CPU102は、一定時間間隔で湿度要求信号を各湿度センサに出力することで、各湿度センサにおいて一定時間間隔で湿度情報を検知していた。しかし、本実施形態では、これに限らず筐体11の内部空間に設置される湿度センサごとに湿度情報を検知する時期を変更してもよい。
【0029】
例えば、電子機器3は、上述のような比較的頻繁に蓋部が開閉される区切りに、蓋部の開閉を検知する開閉検知部を備える。開閉検知部は、例えば蓋部の開閉に伴い接点抵抗を変化させ、接点抵抗を介して印加される電位が変化することに基づいて蓋部の開閉を検知する機構を備える。開閉検知部は、蓋部の開閉が検知されたとき開閉検知信号をCPU102に出力する。CPU102は、開閉検知信号を入力されたとき、蓋部の開閉が検知された区切り(筐体11の内部)に設置された湿度センサに湿度要求信号を出力する。
【0030】
温度センサは、CPU102から湿度要求信号を入力されたとき、検出した湿度を示す湿度情報をCPU102に出力する。温度センサごとに湿度要求信号を出力する時期に応じ、湿度センサごとに湿度を検知する時期を変更できる。つまり蓋部を開閉することに伴い、その区切りにおける湿度センサは湿度を検知し、CPU102は、湿度センサ12で検知された湿度よりも高い場合、その区切りにおいて水分が浸入していると判断する。さらに、表示部105は、その区切りにおける防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。
【0031】
このように本変形例において、電子機器3は、湿度センサごとに湿度情報を検知する時期を変更できるため、湿度センサが設置されている区切りごとに、防水機能の劣化を示す警告情報を表示するタイミングを調整することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る電子機器5の断面図である。電子機器5は、図1に示す電子機器1にさらに温度センサ23を備える点が異なり、その他の点では電子機器1と同様である。以下の説明では、電子機器1との差異点を主とし、共通点については省略する。
温度センサ23は、湿度センサ13に隣接して、筐体11の内部空間に配置され、その周囲、即ち筐体11の内部空間における温度を検出する。筐体11が複数の区切りを備え、区切りごとに湿度センサを備える場合には、各温度センサが各湿度センサと同一の区切りに含まれるように隣接して配置してもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係る電子機器5が備える水分浸入検出部6について図を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る水分浸入検出部6の構成を示す概略図である。水分浸入検出部6は、図2に示す水分浸入検出部4にさらに温度センサ23を備える点と、CPU102が温度センサ23から入力された温度情報を扱う点が異なり、その他の点では水分浸入検出部4と同様である。
CPU102は、温度センサ23に温度要求信号を出力する。温度センサ23は、CPU102から温度要求信号を入力したとき、検出した温度を示す温度情報をCPU102に出力する。
【0034】
ここで、CPU102は、温度センサ23から入力された温度情報に基づき湿度センサ13で検出された湿度情報を補正し、補正湿度情報を生成する。
具体的には、RAM104に、予め湿度センサ13で検出された湿度を示す湿度情報、温度センサ23で検出された温度を示す温度情報及び補正湿度を示す補正湿度情報との対応関係(以下、湿度補正テーブルと呼ぶ、図9参照)を記憶しておく。CPU102は、RAM104に記憶した湿度補正テーブルを参照して、温度センサ23からの温度情報と湿度センサ13からの湿度情報に対応する補正湿度情報を決定する。筐体11の内部への侵入を判断する際には、CPU102は、湿度センサ13から入力された湿度情報の代わりに決定された補正湿度情報と、湿度センサ12から入力された湿度情報とを比較する。
【0035】
このように、本実施形態は、筐体11の内部に筐体11の内部空間の温度を検出する温度センサ23を備え、CPU102は筐体11の内部空間の温度に基づき筐体11の内部空間の湿度を補正して補正湿度を決定する。そして、本実施形態は決定した補正湿度に基づき筐体内部への水分が浸入していることを判断する。これにより、筐体11の内部空間における湿度を正確に得ることができ、水分の浸入を正確に判断できる。
なお、湿度センサ13が、上記のように検出した温度に応じて湿度情報を補正する温度補償付湿度センサである場合には、水分浸入検出部6は、温度センサ23やCPU102における湿度補正処理を備える必要はない。
【0036】
その他、CPU102は、温度センサ23から入力された温度情報と湿度センサ13で検出された湿度情報に基づいて露点温度を決定してもよい。露点温度とは、水蒸気を含む空気に含まれる水蒸気の量を一定にしながら冷却し、空気から水分が現れその水分の凝固が開始する温度である。通例では、露点温度は検出された温度よりも低く、露点温度と検出された温度が等しくなるときの湿度は100%である。
【0037】
具体的には、RAM104に、予め湿度センサ13で検出された湿度を示す湿度情報、温度センサ23で検出された温度を示す温度情報及び露点温度を示す露点温度情報との対応関係(以下、露点温度テーブルと呼ぶ、図10参照)を記憶しておく。CPU102は、RAM104に記憶した露点温度テーブルを参照して、温度センサ23からの温度情報と湿度センサ13からの湿度情報に対応する露点温度情報を決定する。
【0038】
CPU102は、温度センサ23から入力された温度情報が示す温度が決定された露点温度情報が示す温度から予め定めた温度閾値(0℃以上、例えば3℃)だけ高い温度以下であるとき、筐体11の内部空間に水分が浸入していると判断する。このとき、CPU102は、表示部105に防水機能の劣化を示す警告表示信号を出力する。表示部105は、CPU102から警告表示信号を入力されると、防水機能の劣化を示す警告情報を表示する。一般には、筐体11の内部空間における湿度は温度の低下に伴って上昇するが、CPU102が警告表示信号を出力した時点で、その湿度は100%に達していない。これにより、筐体11の内部空間に水分が凝固し、電子機器5に故障や障害が生ずる前に、電子機器5は使用者に防水部品の交換を促す。
【0039】
なお、この場合において、CPU102は、筐体11の外部表面における湿度情報を用いなくとも警告表示信号を出力することができる。そのため、本実施形態に係る電子機器5は、湿度センサ12や、CPU102において湿度センサ12からの湿度情報と湿度センサ13からの湿度情報を比較する処理を、省略することができる。
【0040】
このように、本実施形態は、筐体11の内部に筐体11の内部空間の温度を検出する温度センサ23を備え、CPU102は、筐体11の内部空間の温度情報に基づき筐体11の内部空間の露点温度を決定する。そして、CPU102は、検出された温度が決定した露点温度から予め定めた温度閾値だけ高い温度以下のとき、筐体11の内部空間に水分が浸入していると判断する。これにより、筐体11の内部空間において水分が凝結する前に防水機能の劣化を示す警告表示がなされる。
【0041】
なお、本実施形態は、湿度センサ及び温度センサが各々1個のみ備える例に限られない。本実施形態は、湿度センサ及び温度センサを2個以上備え、第2の実施形態と組み合わせた構成を備えてもよい。
【0042】
上述の実施形態において、CPU102が水分の浸入を判断するために、湿度情報を比較する際、一の湿度情報が示す湿度が他の湿度情報が示す湿度から予め定めた湿度閾値(任意の自然数、例えば2%)だけ高い湿度以上か否かを判断してもよい。例えば、CPU102が筐体11の内部空間に設置された湿度センサ13からの湿度情報が示す湿度が、筐体11の外部表面に設置された湿度センサ12からの湿度情報が示す湿度より10%低い(湿度閾値は−10%)湿度であるか否か判断してもよい。これにより、外部表面における湿度が低い場合に、蓋部の開閉により一時的に筐体11の内部空間における湿度が低下しても、筐体11の内部空間への水分の浸入を確実に検知できる。
【0043】
また、上述の実施形態において、日時により異なる湿度閾値を設定し、CPU102が設定した湿度閾値に基づき、湿度情報を比較するようにしてもよい。具体的には、水分浸入検出部2、4並びに6が逐次に日時を計測する日時計測部を有し、RAM104に日時情報と湿度閾値情報との対応関係(以下、湿度閾値テーブルと呼ぶ、図11参照)を記憶させておく。湿度閾値テーブルでは、例えば、関東地方において比較的湿度が低い時期である12月1日から2月28日において、湿度閾値を−10%、湿度が中程度である3月1日から5月31日又は10月1日から11月30日まで、湿度閾値を−5%、湿度が高い時期である6月1日から9月30日まで、湿度閾値を0%と対応付ける。
【0044】
CPU102は、日時計測部から入力された日時情報に対応する湿度閾値情報をRAM104に記憶された湿度閾値テーブルから読み出し、読み出した湿度閾値情報を筐体11へ水分が浸入したことを判断するために湿度情報を比較する際に利用する。これにより、水分浸入検出部2,4並びに6は、湿度の季節変動を補償することができる。
【0045】
上述した実施形態における電子機器1、3並びに5、及び水分浸入検出部2、4並びに6の一部、例えば、CPU102をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、電子機器1、3若しくは5、又は水分浸入検出部2、4若しくは6に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における電子機器1、3並びに5、及び水分浸入検出部2、4並びに6の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。電子機器1、3並びに5、及び水分浸入検出部2、4並びに6の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0046】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1、3、5…電子機器、2、4、6…水分浸入検出部、
11…筐体、12、13、14…湿度センサ、23…温度センサ、
101…操作部、102…CPU、103…ROM、104…RAM、105…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体外部の湿度を検出する第1の湿度検出部と、
筐体内部の湿度を検出する第2の湿度検出部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記筐体外部の湿度と前記筐体内部の湿度に基づいて、前記筐体内部への水分の浸入を判断する浸入判断部と、を備えること
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記浸入判断部において、
前記筐体内部の湿度が前記筐体外部の湿度よりも高いとき、前記筐体内部へ水分が浸入したと判断すること
を特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記浸入判断部が前記筐体内部へ水分が浸入したと判断した場合、防水機能の劣化を示す警告情報を表示する警告表示部を有すること
を特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記筐体内部に2以上の前記第2の湿度検出部を備え、
前記浸入判断部は、
前記第2の湿度検出部ごとに、水分の浸入を判断すること
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2の湿度検出部ごとに湿度を検出する時期が異なること
を特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
筐体を備える電子機器における防水機能判断方法において、
前記電子機器が、前記筐体外部の湿度を検出する第1の過程と、
前記電子機器が、前記筐体内部の湿度を検出する第2の過程と、
前記電子機器が、前記筐体外部の湿度と前記筐体内部の湿度に基づいて、前記筐体内部への水分の浸入を判断する第3の過程と
を有すること
を特徴とする水分浸入検出方法。
【請求項8】
筐体を備える電子機器が備えるコンピュータに、
前記筐体外部の湿度を検出させる第1の手順と、
前記筐体内部の湿度を検出させる第2の手順と、
前記筐体外部の湿度と前記筐体内部の湿度に基づいて、前記筐体内部への水分の浸入を判断する第3の手順と
を実行させるための水分浸入検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−117864(P2012−117864A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266275(P2010−266275)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】