説明

電子機器、該電子機器に用いられるロック解除方法及びロック解除制御プログラム

【課題】個人情報の保護に対する安全性を向上させた携帯電話機などの電子機器を提供する。
【解決手段】通常のロック解除状態st14からロック設定st19を行うと、ロック設定状態st11へ遷移する。ロック設定状態st11で、暗証番号を入力し(st12)、最後に、あらかじめ登録しておいた登録済み確定キーを入力すると(st13)、通常ロック解除処理(st17)となり、ロック解除状態st14へ遷移する。一方、ロック設定状態st11で、暗証番号を入力して最後に決定キーを押下した場合(st15)、「既に確定キーを変更したことを知らないユーザによる操作」と判断し、だましロック解除処理(st18)を行う。このだましロック解除処理(st18)により、だましロック解除状態st16へ遷移する。だましロック解除状態st16では、第三者に対し、一般的な暗証番号の入力操作によりロック解除されたように思わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器、該電子機器に用いられるロック解除方法及びロック解除制御プログラムに係り、たとえば、携帯電話機やパーソナルコンピュータ(パソコン)などのように、各機能に対するロック設定状態で認証用の暗証番号を入力することにより、ロック解除状態となる構成の電子機器、該電子機器に用いられるロック解除方法及びロック解除制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、通常の通話機能の他に、たとえばメールや撮影画像などのようなユーザの個人情報を保存する機能を有しているが、近年、携帯電話機の紛失に伴う個人情報の流出が問題になってきている。携帯電話機に保存された情報を保護する方法として、一般に、暗証番号によるロック(保護)機能が用いられ、第三者による不正使用を防止するようになっている。たとえば、図10に示すように、状態st1において、携帯電話機はロック解除の状態にあり、ロック設定の処理st2を実行することにより、状態st3のロック設定状態となる。また、ロック設定状態(st3)でロックを解除するには、あらかじめ登録されている登録用暗証番号と一致する認証用暗証番号をコード入力用キーにより入力する(st4)ことにより、ロック解除処理st5が行われ、ロック解除状態(st1)となって、再びユーザデータの参照や、通常機能の実行が可能な状態となる。したがって、第三者による不正使用を防止するには、暗証番号によるロックが重要である。
【0003】
上記の携帯電話機の他、関連する技術としては、たとえば、特許文献1に記載された通信装置がある。
この通信装置では、キーロックを設定する際、制御部により、入力部からの入力に応じて、押下されたキー(テンキー以外のキーを含む)の種類と同キーの押下手順を示すデータが第2格納部に格納され、押下されたキーの種類と同キーの押下手順が同第2格納部に格納されているデータと一致したと判定されると、キーロックが解除され、一方、一致しないと判定されると、エラー報知が行われる。これにより、ユーザが容易にキーロックを解除できると共に、他人に容易にキーロックが解除されることを防止できる。
【特許文献1】特開2003−283649号公報(要約書、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献を含む従来の携帯電話機では、次のような問題点があった。
すなわち、図10に示すロック設定/解除機能を有する携帯電話機では、暗証番号は、一般に、4桁乃至8桁の数字であり、しかも、ユーザによっては、誕生日、自宅の電話番号の一部、数字“1234”など、比較的類推しやすい暗証番号を設定する人がいるため、悪意のある第三者に暗証番号を特定される危惧がある。また、ユーザが認証用の暗証番号を入力しているシーンを第三者が覗き見し、同ユーザが指で数字キーを押下した大まかな位置から同第三者により認証用の暗証番号の組み合わせが推測される危惧もある。このため、暗証番号を設定しても、個人情報を保護するという観点では、十分な対策とならないという問題点がある。
【0005】
また、特許文献1に記載された通信装置では、この発明とは異なる構成により、他人に容易にキーロックが解除されることが防止されるようになっている。
【0006】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、個人情報の保護に対する安全性を向上させた電子機器、同電子機器に用いられるロック解除方法及びロック解除制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、各機能に対するロック設定状態のとき、あらかじめ登録されている登録用暗証コードと一致する認証用暗証コードがコード入力用キーにより入力され、かつコード決定用キーが押下されることにより、前記各機能のロックが解除される通常ロック解除状態とする通常ロック解除手段を有する電子機器に係り、前記コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーを、前記各機能のロックを解除するためのロック解除キーとして登録するロック解除キー登録手段と、前記通常ロック解除手段をノンアクティブモードとし、かつ、前記認証用暗証コードが前記コード入力用キーにより入力され、かつ前記ロック解除キーが押下されたときに前記通常ロック解除状態とする一方、前記コード決定用キーが押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態とする機能制限付きロック解除手段とが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明の構成によれば、コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーが、各機能のロックを解除するためのロック解除キーとして登録され、また、通常ロック解除手段がノンアクティブモードとされ、かつ、認証用暗証コードが上記コード入力用キーにより入力された後、ロック解除キーが押下されたときに通常ロック解除状態とされる一方、上記コード決定用キーが押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態とされる。これにより、認証用暗証コードが第三者に知られたとしても、上記機能制限付きロック解除状態となり、また、あらかじめ登録したロック解除キーの情報が、認証用暗証コードと共に第三者へ漏れなければ、通常のロック解除状態にはならず、ユーザの個人情報の保護に対する安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
認証用の暗証番号(認証用暗証コード)の入力を確定するキーを一般的な決定キーから別のキー(ロック解除キー)に割り当てることにより、通常の操作で認証用の暗証番号が入力されても「だましロック解除」の状態となる電子機器、同電子機器に用いられるロック解除方法及びロック解除制御プログラムを提供する。
【0010】
また、上記機能制限付きロック解除手段は、当該電子機器のユーザの個人情報を参照して行われる機能を前記一部の機能としてロックする構成とされている。
【0011】
また、上記ロック解除キー登録手段は、上記コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーが複数回選択され、全て同一のキーが選択されたことを確認したとき、前記ロック解除キーとして登録する構成とされている。
【0012】
また、当該電子機器に着脱可能にスイッチ付きのオプション機器が設けられ、上記ロック解除キー登録手段は、同オプション機器のスイッチを上記ロック解除キーとして登録する構成とされている。また、オプション機器は、スイッチ付イヤホンマイクで構成されている。
【0013】
図1は、この発明の電子機器による機能制限付きロック解除処理の原理を示す状態遷移図である。
この電子機器は、たとえば携帯電話機であり、各機能に対する通常のロック解除状態st14からスタートする。ユーザがロック設定st19を行うと、ロック設定状態st11へ遷移する。ロック設定状態st11で、認証用の暗証番号(認証用暗証コード)を入力し(st12)、最後に、あらかじめ登録されている登録済み確定キーを入力すると(st13)、通常ロック解除処理(st17)となり、ロック解除状態st14へ遷移する。この遷移では、携帯電話機の内部処理としては、従来技術の図10に示されている通常のロック設定及び解除処理と同一の動作が行われる。
【0014】
一方、ロック設定状態st11で、認証用の暗証番号を入力して最後に決定キーを押下した場合(st15)、「既に確定キーを変更したことを知らないユーザによる操作」と判断し、だまし(fake)のロック解除処理(st18)を行う。このだましロック解除処理(st18)を行うことにより、だましロック解除状態st16へ遷移する。だましロック解除状態st16では、ユーザデータに対する参照が制限され、たとえば電話発信などの機能がロックされる。このように、第三者に対し、一般的な認証用の暗証番号の入力操作により、ロックが解除されたように思わせることができる。このため、悪意をもった第三者は、だましロック解除状態st16であることに気付きにくいと考えられる。このだましロック解除状態st16では、全てのユーザデータの参照や、同ユーザデータを参照して行われる機能に対するアクセスを制限することにより、情報の漏洩や不正利用を防止できると考えられる。なお、だましロック解除状態st16でユーザがロック設定st20を行うと、ロック設定状態st11へ遷移する。
【実施例1】
【0015】
図2は、この発明の第1の実施例である携帯電話機の筐体が折り畳み型に構成されている場合の開状態を示す図である。
この例の携帯電話機1は、同図に示すように、ユニット11と、ユニット12と、ヒンジ部13とを備え、同ユニット11の前面と同ユニット12の前面とが向かい合う態様で同ヒンジ部13を介して折り畳まれるように構成されている。ユニット11には、表示部14と、レシーバ15と、アンテナ16とが設けられている。レシーバ15は、通話時の音声を出力する。アンテナ16は、図示しない無線基地局との間で無線信号を送受信する。無線基地局は、図示しない移動通信制御局、在圏移動通信交換局及び関門移動通信交換局を介して一般電話回線網に接続されている。ユニット12には、キー操作部17と、マイク18とが設けられ、同キー操作部17中に、決定キー19、及び同決定キー19の周囲に、上(↑)・下(↓)・左(←)・右(→)キーが設けられている。マイク18は、通話時の音声を入力する。
【0016】
図3は、図2の携帯電話機1の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この携帯電話機1は、同図3に示すように、制御部21と、表示部14と、無線部22と、音声入出力部23と、キー操作部17と、記憶部24とから構成されている。表示部14は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display、液晶表示装置)やEL(エレクトロルミネセンス)などで構成され、この携帯電話機1の種々の機能に対応した画面を表示する。特に、この実施例では、表示部14は、暗証番号を入力するための暗証番号入力画面を表示する。無線部22は、アンテナ16を介して無線信号の送受信処理を行い、同無線信号の変復調などを行う。音声入出力部23は、レシーバ15及びマイク18を制御する。キー操作部17は、“0”〜“9”、“*”、“#”のような数字キー(テンキー)で構成され、ユーザが押下することにより、通話時のダイヤル操作を行うためのものである他、特に、この実施例では、動作のロック解除のための認証用の暗証番号の入力を行う。また、決定キー19は、各操作を決定するためのものである。
【0017】
制御部21は、携帯電話機1全体を制御するコンピュータとしてのCPU(中央処理装置)で構成されている。記憶部24は、ROM(Read Only Memory)25、及びRAM(Random Access Memory)26を備えている。ROM25は、制御部21を動作させるための通常の制御プログラムの他、特に、この実施例では、ロック解除制御プログラムが記録されている。制御部21は、ROM25の通常の制御プログラムに基づいて、各機能に対するロック設定状態のとき、あらかじめ登録されている登録用暗証番号と一致する認証用暗証番号が番号入力用キー(テンキー)により入力され、かつ決定キー19(番号決定用キー)が押下されることにより、上記各機能のロックが解除される通常ロック解除状態とする。また、ロック解除制御プログラムは、確定キー登録手段25a、確定キー判断手段25b、及び、だましモード設定手段25cの機能を有するプログラムで構成されている。
【0018】
確定キー登録手段25aは、上記番号入力用キー(テンキー)及び決定キー19(番号決定用キー)以外のキーを、上記各機能のロックを解除するための確定キー(ロック解除キー)として登録する。また、この確定キー登録手段25aは、上記番号入力用キー(テンキー)及び番号決定用キー(決定キー)以外のキーが複数回(たとえば、2回)選択され、同一のキーが選択されたことを確認したとき、確定キー(ロック解除キー)として登録する。だましモード設定手段25cは、暗証番号の確定キーを、決定キー19及びテンキー以外とする機能を有効にする。確定キー判断手段25bは、だましモード設定手段25cにより、暗証番号の確定キーを決定キー19及びテンキー以外とする機能が有効になった後、認証用の暗証番号によりロックの解除処理が実行される前に、同確定キーが登録済みか否かを判断する。
【0019】
制御部21は、ロック解除制御プログラムに基づいて、上記通常ロック解除状態とする機能をノンアクティブモードとし、かつ、認証用の暗証番号が番号入力用キー(テンキー)により入力され、かつロック解除キー(確定キー)が押下されたときに通常ロック解除状態とする一方、決定キー19(番号決定用キー)が押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態(だましロック解除状態)とする。上記ロックされる一部の機能は、たとえば、携帯電話機1のユーザの個人情報(ユーザデータ)を参照して行われる機能である。RAM26は、制御部21がROM25に記録されている各プログラムに基づいて動作する場合に展開されて使用される。
【0020】
図4は、暗証番号を入力する状態を示す図、図5は、暗証番号の入力時の処理を示すフローチャート、図6は、確定キー登録手段25aの動作を説明するフローチャート、図7は、だましモード設定手段25cの動作を説明するフローチャート、及び図8が、確定キー判断手段25bの動作を説明するフローチャートである。
これらの図を参照して、この例の携帯電話機に用いられるロック解除方法の処理内容について説明する。
【0021】
この携帯電話機1では、番号入力用キー(テンキー)及び決定キー19(番号決定用キー)以外のキーが、各機能のロックを解除するためのロック解除キー(確定キー)として登録される(ロック解除キー登録処理)。そして、制御部21の通常ロック解除状態とする機能がノンアクティブモードとされ、かつ、認証用の暗証番号が上記番号入力用キー(テンキー)により入力された後、ロック解除キー(確定キー)が押下されたときに通常ロック解除状態とされる一方、上記番号決定用キー(決定キー)が押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態(だましロック解除状態)とされる(機能制限付きロック解除処理)。
【0022】
また、上記機能制限付きロック解除処理では、携帯電話機1のユーザの個人情報を参照して行われる機能が上記一部の機能としてロックされる。また、上記ロック解除キー登録処理では、番号入力用キー(テンキー)及び番号決定用キー(決定キー)以外のキーが複数回(2回)選択され、同一のキーが選択されたことが確認されたとき、ロック解除キー(確定キー)として登録される。
【0023】
すなわち、図4に示すように、ロック設定状態からロックを解除するために、数字キー(テンキー)部17aにて認証用の暗証番号の数字に対応したキーが押下され、最後に決定キー19が押下されて同暗証番号の入力が完了する。暗証番号の入力時は、表示部14の画面の文字入力エリアでは、入力された暗証番号(端末暗証番号)の数字が第三者に認識不可能にするために、伏せ字(****)などに置き換えられて表示される。
【0024】
この場合、図5に示すように、まず、認証用の暗証番号の入力が完了したか否かが判定され(ステップA1)、入力が完了していない場合(ステップA1の“NO”)は、入力完了の監視状態(ステップA1)へ戻る。入力が完了した場合(ステップA1の“YES”)、入力した認証用の暗証番号があらかじめ登録されている登録用の暗証番号と一致するか否かが判断され(ステップA2)、一致しない場合(ステップA2の“NO”)、暗証番号が不一致である旨の表示が行われ(ステップA3)、一方、一致した場合(ステップA2の“YES”)、通常のロック解除処理(ステップA4)が行われる。
【0025】
確定キー登録手段25aでは、図6に示すように、動作が開始すると、ユーザに対して確定キーの入力を促す旨の表示が行われる(ステップB1)。このときに入力されたキーを「入力1」とする。次に、誤登録防止のため、確定キーの再入力が行われる(ステップB2)。このときに入力されたキーを「入力2」とする。2度入力されたキーを確定キーとして登録しない場合(ステップB3で“NO”)は、そのまま処理を実行せずに終了する。2度入力されたキーを確定キーとして登録する場合(ステップB3で“YES”)は、入力1が登録可能なキーか否かの判断処理(ステップB4)へ遷移する。この場合、確定キーとして、たとえば、図4中のキー17b,17c,17d,17eのいずれか1つが用いられる。また、確定キーとして登録できないキーは、数字キー、決定キー、及び上・下・左・右キーである。
【0026】
「入力1」が登録不可のキーである場合(ステップB4で“NO”)、登録処理は実行せず、処理フローを終了する。「入力1」が登録可能なキーである場合(ステップB4で“YES”)、再確認用として入力した「入力2」と比較を行い、同じキーをユーザが入力していた場合(ステップB5で“YES”)、「確定キーの登録処理」(ステップB6)を実行して、処理フローを終了する。入力した2つのキーが異なる(ステップB5で“NO”の)場合は、登録処理は実行せず、処理フローを終了する。以上のような処理を行うことにより、確定キー登録手段25aによる処理が行われる。
【0027】
だましモード設定手段25cでは、図7に示すように、ユーザが「だましモード設定」をオン状態(ON)にする場合、たとえば、携帯電話機1の「各種設定」などの機能メニューから機能のオン要求があった場合(ステップC1で“YES”)、確定キーが登録済みであるか否かの判断処理(ステップC2)へ遷移する。判断処理(ステップC2)で、確定キーが登録されていない場合(ステップC2で“NO”)、「確定キー登録処理」(ステップC3)が行われる。判断処理(ステップC2)にて、既に確定キーが登録されている場合(ステップC2で“YES”)は、だましモード設定のフラグがオン状態に設定される(ステップC4)。この後、ロック設定処理(ステップC5)が行われる。以上のような処理フローを行うことにより、だましモード設定手段25cによる処理が行われる。
【0028】
確定キー判断手段25bでは、まず前提条件として、ロック設定が実行されている状態とすると(図1中のst11)、このとき、ユーザによる認証用の暗証番号の入力を検出した場合、図8に示すように、処理が開始される。まず、だましモード設定がオン状態となっているか否かが判定される(ステップD1)。だましモード設定がオフ状態になっている(ステップD1で“NO”)の場合、認証用の暗証番号の通常の確認処理が行われる(ステップD2)。ステップD2では、図5に示した「通常の暗証番号確認」の処理が行われる。
【0029】
だましモード設定がオン状態となっている場合(ステップD1で“YES”)、認証用の暗証番号の入力が完了したか否かが判定され(ステップD3)、完了していない場合(ステップD3で“NO”)は、入力が完了するまで判定処理(ステップD3)が繰り返される。認証用の暗証番号の入力が完了した場合(ステップD3で“YES”)、あらかじめ登録済みの登録用の暗証番号と一致するか否かの判定処理(ステップD4)へ遷移する。入力された認証用の暗証番号が、登録用の暗証番号と一致しない場合(ステップD4で“NO”)、暗証番号が不一致の表示処理(ステップD5)が行われ、確定キー判断手段25bによる処理を行わずに処理フローを終了する。
【0030】
入力された認証用の暗証番号が、登録用の暗証番号と一致した場合(ステップD4で“YES”)、認証用の暗証番号の次に押下されたキーが通常の決定キーか否かの判定処理(ステップD6)へ遷移する。決定キー判定処理(ステップD6)にて、認証用の暗証番号の次に押下されたキーが決定キーである場合(ステップD6で“YES”)、既にだましモード設定がオン状態になっている状態、すなわち、暗証番号入力の確定が決定キー以外に設定されている状態であるため、第三者が認証用の暗証番号を入力したものと推定することができる。このような場合(ステップD6で“YES”)、だましロック解除処理(ステップD7)を実行する。だましロック解除処理(ステップD7)では、一般のユーザにとって不利益に至らないようなユーザデータ(たとえば、電話帳データ、メール、撮影画像など)の参照の防止などの処理を行うものとする。
【0031】
一方、認証用の暗証番号入力の確定を「決定キー以外のキー」で実行した場合(ステップD6の“NO”)は、次に押下されたキーが登録済みの確定キーか否かの判定処理(ステップD8)へ遷移する。登録済み確定キーか否かの判定処理(ステップD8)では、押下したキーが登録したキー以外の場合(ステップD8で“NO”)、ロック解除処理(ステップD9)を実行せずに処理フローを終了する。認証用の暗証番号の入力確定キーが、登録済みの確定キーである場合(ステップD8で“YES”)、通常ロック解除処理(ステップD9)が行われ、処理フローを終了する。このようにして、確定キー判断手段25bによる処理フローが行われる。
【0032】
以上のように、この第1の実施例では、番号入力用キー(テンキー)及び番号決定用キー(決定キー)以外のキーが、各機能のロックを解除するためのロック解除キー(確定キー)として登録され、また、制御部21の通常ロック解除状態とする機能をノンアクティブモードとされ、かつ、認証用の暗証番号が上記番号入力用キー(テンキー)により入力された後、ロック解除キー(確定キー)が押下されたときに通常ロック解除状態とされる一方、上記番号決定用キー(決定キー)が押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態(だましロック解除状態)とされるので、認証用の暗証番号が第三者に知られたとしても、上記だましロック解除状態となり、また、あらかじめ登録した確定キーの情報が、認証用の暗証番号と共に第三者へ漏れなければ、通常のロック解除状態にはならず、ユーザの個人情報の保護に対する安全性が向上する。
【実施例2】
【0033】
図9は、この発明の第2の実施例である携帯電話機の構成図であり、第1の実施例を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この例の携帯電話機1Aでは、同図9に示すように、スイッチ付イヤホンマイク31が設けられ、同スイッチ付イヤホンマイク31のスイッチ32が図3中のキー操作部17に接続されている。スイッチ32は、携帯電話機1Aにイヤホンマイク31が接続されているときに通話動作をオン/オフ制御する。また、図3中の確定キー登録手段25aは、スイッチ32をロック解除キー(確定キー)として登録する。
【0034】
この携帯電話機1Aでは、イヤホンマイク31のスイッチ32が確定キーとして登録されるので、携帯電話機1Aから同イヤホンマイク31を取り外すと、同携帯電話機1Aのみのユーザ操作では、通常のロック解除を行うことができない。これにより、ユーザの個人情報の保護に対する安全性がさらに向上する。
【0035】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、電子機器は、上記各実施例の携帯電話機に限らず、たとえば、PDA(Personal Digital Assistants )やパーソナルコンピュータ(パソコン)など、第三者による不正使用を回避する必要のあるものであれば良い。また、認証用の暗証コードの入力を行うためのキーは、数字キーに限定されず、電子機器がたとえばパソコンである場合は、平仮名、片仮名又はアルファベットの文字キーでも良く、また、記号キーでも良い。また、これらのキーから任意に選択して組み合わせた組み合わせキーでも良い。また、携帯電話機1,1Aの筐体は、折り畳み型に限らず、一体型、スライド型、又は回転型でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、携帯電話機に限らず、たとえば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants )、パソコンなど、第三者による不正使用を防止する必要がある電子機器全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の携帯電話装置によるロック設定/解除処理を示す状態遷移図である。
【図2】この発明の第1の実施例である携帯電話機の筐体が折り畳み型に構成されている場合の開状態を示す図である。
【図3】図2の携帯電話機1の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】暗証番号を入力する状態を示す図である。
【図5】暗証番号の入力時の処理を示すフローチャートである。
【図6】確定キー登録手段25aの動作を説明するフローチャートである。
【図7】だましモード設定手段25cの動作を説明するフローチャートである。
【図8】確定キー判断手段25bの動作を説明するフローチャートである。
【図9】この発明の第2の実施例である携帯電話機の構成図である。
【図10】従来の携帯電話装置によるロック設定/解除処理を示す状態遷移図である。
【符号の説明】
【0038】
14 表示部(電子機器の一部)
17 キー操作部(電子機器の一部)
21 制御部(通常ロック解除手段の一部、ロック解除キー登録手段の一部、機能制限付きロック解除手段の一部)
24 記憶部(通常ロック解除手段の一部、ロック解除キー登録手段の一部、機能制限付きロック解除手段の一部)
25a 確定キー登録手段(ロック解除キー登録手段の一部)
25b 確定キー判断手段(機能制限付きロック解除手段の一部)
25c だましモード設定手段(機能制限付きロック解除手段の一部)
31 スイッチ付イヤホンマイク(オプション機器)
32 スイッチ(オプション機器の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各機能に対してロック設定状態のとき、あらかじめ登録されている登録用暗証コードと一致する認証用暗証コードがコード入力用キーにより入力され、かつコード決定用キーが押下されることにより、前記各機能のロックが解除される通常ロック解除状態とする通常ロック解除手段を有する電子機器であって、
前記コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーを、前記各機能のロックを解除するためのロック解除キーとして登録するロック解除キー登録手段と、
前記通常ロック解除手段をノンアクティブモードとし、かつ、前記認証用暗証コードが前記コード入力用キーにより入力され、かつ前記ロック解除キーが押下されたときに前記通常ロック解除状態とする一方、前記コード決定用キーが押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態とする機能制限付きロック解除手段とが設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記機能制限付きロック解除手段は、
当該電子機器のユーザの個人情報を参照して行われる機能を前記一部の機能として制限する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記ロック解除キー登録手段は、
前記コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーが複数回選択され、同一のキーが選択されたことを確認したとき、前記ロック解除キーとして登録する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
当該電子機器に着脱可能にスイッチ付きのオプション機器が設けられ、
前記ロック解除キー登録手段は、
前記オプション機器の前記スイッチを前記ロック解除キーとして登録する構成とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子機器。
【請求項5】
前記オプション機器は、
スイッチ付イヤホンマイクで構成されていることを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
各機能に対するロック設定状態のとき、あらかじめ登録されている登録用暗証コードと一致する認証用暗証コードがコード入力用キーにより入力され、かつコード決定用キーが押下されることにより、前記各機能のロックが解除される通常ロック解除状態とする通常ロック解除手段を有する電子機器に用いられるロック解除方法であって、
前記コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーを、前記各機能のロックを解除するためのロック解除キーとして登録するロック解除キー登録処理と、
前記通常ロック解除手段をノンアクティブモードとし、かつ、前記認証用暗証コードが前記コード入力用キーにより入力された後、前記ロック解除キーが押下されたときに前記通常ロック解除状態とする一方、前記コード決定用キーが押下されたときに、一部の機能がロックされると共に他の機能のロックが解除される機能制限付きロック解除状態とする機能制限付きロック解除処理とを行うことを特徴とするロック解除方法。
【請求項7】
前記機能制限付きロック解除処理では、
当該電子機器のユーザの個人情報を参照して行われる機能を前記一部の機能として制限することを特徴とする請求項6記載のロック解除方法。
【請求項8】
前記ロック解除キー登録処理では、
前記コード入力用キー及びコード決定用キー以外のキーを複数回選択し、同一のキーが選択されたことを確認したとき、前記ロック解除キーとして登録することを特徴とする請求項6又は7記載のロック解除方法。
【請求項9】
当該電子機器に着脱可能にスイッチ付きのオプション機器を設け、
前記ロック解除キー登録処理では、
前記オプション機器の前記スイッチを前記ロック解除キーとして登録することを特徴とする請求項6、7又は8記載のロック解除方法。
【請求項10】
前記オプション機器を、スイッチ付イヤホンマイクで構成することを特徴とする請求項9記載のロック解除方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項1乃至5のいずれか一に記載の電子機器を制御させるためのロック解除制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−89255(P2009−89255A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258906(P2007−258906)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】