電子機器、電子機器の制御方法、電子機器の制御プログラム
【課題】サスペンド状態の電子機器が使用状態に復帰する際にある程度の時間がかかるため、ユーザにとって煩雑であるという問題があった。このため、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが課題になっていた。
【解決手段】実施形態の電子機器は、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶する記憶部を備える。また、前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給する電源供給部備える。また、前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶部に記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行う作業画面表示部を備える。
【解決手段】実施形態の電子機器は、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶する記憶部を備える。また、前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給する電源供給部備える。また、前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶部に記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行う作業画面表示部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器、電子機器の制御方法、電子機器の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器において、消費電力を抑制することが課題の一つになっている。この消費電力の抑制において、例えば、電子機器の使用を一時的に停止する場合に、電子機器をサスペンド状態に移行させ、消費電力を抑制する技術がある。
【0003】
しかし、サスペンド状態の電子機器がレジューム処理を受けてから使用状態に復帰する際には、一般に、ある程度の時間を要する。このため、サスペンド状態から使用状態に復帰する際に要する、このある程度の時間が、ユーザにとって煩雑であるという問題があった。
【0004】
このため、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが課題になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−86230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サスペンド状態の電子機器が使用状態に復帰する際にある程度の時間がかかるため、ユーザにとって煩雑であるという問題があった。
このため、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが課題になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電子機器は、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶する記憶部を備える。
また、前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給する電源供給部備える。
また、前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶部に記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行う作業画面表示部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係わる電子機器の外観の一例を示す外観図。
【図2】実施形態に係わる電子機器において、映像表示部に、記憶部(SSB)およびLCDに電源(電力)を供給する電源(電力)供給部が実質的に設けられるようすを示す図。
【図3】実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図。
【図4】実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図。
【図5】実施形態に係わる電子機器で用いられる省電力規格における規定を説明する図。
【図6】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態(S3)への移行時に表示されている作業画面を示す図。
【図7】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャート。
【図8】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されている作業画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャート。
【図9】実施形態に係わる電子機器において表示されるログイン画面を示す図。
【図10】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、ログイン画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャート。
【図11】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されているログイン画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、実施の形態を説明する。
図1は、実施形態に係わる電子機器の外観の一例を示す外観図である。
ここでは、電子機器は、例えばノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(ノートPC、またはPC)10として実現されている。
なお、この実施の形態はパーソナルコンピュータに限られず、TVや携帯電話、携帯型の電子機器等に適用することも可能である。
図1に示すように、電子機器(ノートPC)10は、コンピュータ(ノートPC)本体11と、映像表示部12とから構成されている。映像表示部12には、例えば、LCD(liquid crystal display)17が組み込まれている。
【0010】
映像表示部12は、コンピュータ(ノートPC)本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ(ノートPC)本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在にコンピュータ(ノートPC)本体11に取り付けられている。
【0011】
コンピュータ(ノートPC)本体11は、薄い箱形の筐体を有しており、その上面には、キーボード13、電子機器(ノートPC)10を電源オン/電源オフするためのパワーボタン14、タッチパッド16、スピーカ18A,18Bなどが配置されている。
【0012】
また、コンピュータ(ノートPC)本体11の、例えば、右側面には、USB(universal serial bus)2.0規格のUSBケーブルやUSBデバイスを接続するためのUSBコネクタ19が設けられている。
【0013】
さらに、コンピュータ(ノートPC)本体11の背面には、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)規格に対応した外部ディスプレイ接続端子が設けられている(図示せず)。この外部ディスプレイ接続端子は、デジタル映像信号を外部ディスプレイに出力するために用いられる。
【0014】
図2は、実施形態に係わる電子機器において、映像表示部に、記憶部(SSB)およびLCDに電源(電力)を供給する電源供給部が実質的に設けられるようすを示す図である。
【0015】
21は、例えば、上記映像表示部12に組み込まれるLCD17の表示制御を行うタイミングコントローラ(TCON)である。また、22はスタティックスクリーンバッファ(SSB)である。
【0016】
後述するように、この実施の形態においては、PC本体11に構成されるシステムメモリ103を便宜上、第1の記憶部と呼ぶ。このため、このスタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、第2の記憶部と呼ぶ。
【0017】
また、タイミングコントローラ(TCON)21は、GPU105に制御される。
この実施の形態においては、図2に示すように、上記タイミングコントローラ(TCON)17およびスタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、映像表示部12の内部、すなわち、実質的に、映像表示部12に設けられる。
【0018】
ここで、スタティックスクリーンバッファ(SSB)の説明をする。
スタティックスクリーンバッファ(SSB)は、例えば、VESA(Video Electronics Standards Association)からアナウンスされた、エンベデッドディスプレーポート(Embedded Display Port、(eDP))Version 1.3で定義されるメモリである。
【0019】
ここでは、スタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成され、また、電子機器10がスタンバイ状態においても後述するバックアップ電源等から電源(電力)が供給され続けるため、映像表示部12の表示情報等のデータを保持することが可能である。
【0020】
図3は、実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図である。
上記のように、映像表示部12には、上記タイミングコントローラ(TCON)21および上記スタティックスクリーンバッファ(SSB)22が構成される。
また、図3に示すように、スタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、バックアップ電源20Aに接続され、電子機器10がスタンバイ状態になった場合には、スタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、このバックアップ電源20Aから電源(電力)供給を受ける。これにより、例えば、電子機器10がスタンバイ状態に移行した際にも、映像表示部12に表示されている表示情報等のデータをスタティックスクリーンバッファ(SSB)22に保持することが可能である。
【0021】
PC本体11には、システムメモリ103、CPU101、GPU105、VRAM105A、バックアップ電源20B、サウスブリッジ等を含むPCH104が構成される。
【0022】
また、上記と同様に、システムメモリ103は、バックアップ電源20Bに接続される。このバックアップ電源20Bは上記と同じ電源(バックアップ電源20A)を用いても良いし、別に構成される電源を用いても良い。
【0023】
そして、電子機器10がスタンバイ状態になった場合には、このバックアップ電源20Bから電源(電力)供給を受ける。例えば、電子機器10がスタンバイ状態に移行した際には、OS等の電子機器10を起動させるデータ等を保持することが可能である。
【0024】
図4は、実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図である。
電子機器(ノートPC)10は、図4に示すように、CPU(central processing unit)101、システムメモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics Processing Unit)105、VRAM(ビデオRAM:random access memory)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM(basic input/output system-read only memory)107、LAN(local area network)コントローラ108、ハードディスクドライブ(HDD(記憶装置))109、光ディスクドライブ(ODD)110、USBコントローラ111A、カードコントローラ111B、カードスロット111C、無線LANコントローラ112、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)113、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)114等を備える。
【0025】
CPU101は、電子機器(ノートPC)10内の各部の動作を制御するプロセッサである。
CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSを実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。CPU101には、システムメモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、例えば、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0026】
GPU105は、電子機器(ノートPC)10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。
このGPU105によって生成される表示信号はLCD17に送られる。また、GPU105は、HDMI制御回路3およびHDMI端子2を介して、外部ディスプレイ1にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0027】
HDMI端子2は、前述の外部ディスプレイ接続端子である。HDMI端子2は、非圧縮のデジタル映像信号とデジタルオーディオ信号とを1本のケーブルでテレビのような外部ディスプレイ1に送出することができる。HDMI制御回路3は、HDMIモニタと称される外部ディスプレイ1にデジタル映像信号を、HDMI端子2を介して送出するためのインタフェースである。
【0028】
サウスブリッジ104は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイス及びLPC(Low Pin Count)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、HDD109及びODD110を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。
【0029】
さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18BまたはHDMI制御回路3に出力する。LANコントローラ108は、例えばIEEE 802.3規格の有線通信を実行する有線通信デバイスであり、一方、無線LANコントローラ112は、例えばIEEE 802.11g規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。USBコントローラ111Aは、例えばUSB 2.0規格に対応した外部機器との通信を実行する。
【0030】
例えば、USBコントローラ111Aは、デジタルカメラに格納されている画像データファイルを受信するために使用される。また、カードコントローラ111Bは、コンピュータ(ノートPC)本体11に設けられたカードスロットに挿入される、SDカードのようなメモリカードに対するデータの書き込み及び読み出しを実行する。
【0031】
EC/KBC113は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13及びタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC113は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて電子機器(ノートPC)10を電源オン/電源オフする機能を有している。
【0032】
この実施の形態における表示制御は、例えば、CPU101がシステムメモリ103やHDD109等に記録されたプログラムを実行させることにより行われる。
図5は、実施形態に係わる電子機器で用いられる省電力規格における規定を説明する図である。
電子機器(PC)10の使用を一時停止する場合に、例えば、「スタンバイ状態(サスペンド)」または「休止状態(ハイバネーション)」にすることで、消費電力を抑制することが可能である。
【0033】
特にバッテリ等で駆動する電子機器(ノート型PC等)では、例えば、移動中などにスタンバイ状態にしておくことで、消費電力を抑制しつつ、作業の停止・再開を比較的早く行うことが可能である。また、デスクトップ型PC等でも、使用しない時間は、電子機器をスタンバイ状態や休止状態にすることで、消費電力を抑制することが可能である。
【0034】
ところで、「ACPI」では、電子機器(PC)の省電力システムにおける電源(電力)状況(省電力規格のスリープ・ステート(ステータス))を「S0(フル稼働)」から「S5(ソフトウェアによる電源オフ)」までの6段階で規定している。ここで、「ACPI」はAdvanced Configuration and Power Interfaceの略である。
【0035】
図5は、この「ACPI」省電力規格におけるステータスを説明する。
50は、電子機器(PC)のステータスは「S0」、すなわち、電子機器(PC)全体に電源(電力)が供給された、「フル稼働状態」である。
51は、電子機器(PC)のステータスは「S1」、すなわち、「低消費電力状態」であるが、この「S1」の状態では、プロセッサ、チップセットは電源オンにする。
【0036】
52は、電子機器(PC)のステータスは「S2」、すなわち、「低消費電力状態」であるが、この「S2」の状態では、プロセッサとキャッシュは電源オフ、チップセットは電源オンにする。
【0037】
53は、電子機器(PC)のステータスは「S3」、すなわち、「スタンバイ状態」である。
54は、電子機器(PC)のステータスは「S4」、すなわち、「休止状態」である。
55は、電子機器(PC)のステータスは「S5」、すなわち、「ソフトウェアによる電源オフ」である。
ここで、上記「スタンバイ状態」と上記「休止状態」について、説明する。
「スタンバイ状態」とは、グラフィックス機能やハードディスク、そのほかのデバイスの電源をオフにすることで、消費電力を抑えるモードである。
ただし、システムメモリ103には電力が供給され、実行中のデータが保持される。このため、電源オフ/オンと違い、作業を中断した状態からの再開が可能である。また、通常、「スタンバイ状態」からの復帰は数秒程度である。
【0038】
「休止状態」とは、ハードディスク110にシステムメモリ103の内容を退避してから、システムメモリ103を含む各デバイスの電源をオフにするモードである。このため、ハードディスク110には、システムメモリ103とほぼ同じ容量の「休止状態」用のデータ退避領域が確保される。
【0039】
「休止状態」は、例えば、ノートPCのバッテリ駆動でもバッテリの電力は消費されないため、「休止状態」を維持し続けることが可能である。しかし、システムメモリ103の内容をハードディスク110に退避したり、読み出したりしなければならないため、「スタンバイ状態」に比べ、「休止状態」への移行や復帰に時間がかかる。
【0040】
この実施の形態は、上記電子機器において、「スタンバイ状態(S3)」から使用状態に復帰する技術に係る。
図6は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態(S3)への移行時に表示されている作業画面表示を示す図である。
ここでは、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13(「Fn」キー+「F3」キー)を操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示する。
60は、この時に映像表示部12に表示されていた作業画面表示である。ここでは、「スタンバイ状態(S3)移行時表示の作業画面」と表示されている。
この実施の形態においては、上記スタンバイ状態への移行指示に応じて、この作業画面表示60(映像表示部に表示されている作業画面の表示情報)は、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶され、保持される。
【0041】
また、電子機器(PC)10のスタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて、映像表示部12に、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶されている作業画面の表示情報を用いて表示を行う。
【0042】
このように構成することにより、この実施の形態においては、例えば、上記のように記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22を用いて上記スタンバイ状態(S3)への移行を行なうことにより、例えば、レジューム処理(スタンバイ状態(S3)への移行)に2秒間〜3秒間程度要していた時間を、例えば、0.3秒間程度に低減することが可能になる。
【0043】
図7は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャートである。
【0044】
ステップS100は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS101に進む。
ステップS101は、ユーザが電子機器(PC)10を動作し、作業を行なうステップである。続いて、ステップS102に進む。
ステップS102は、電子機器(PC)10の映像表示部12に、作業画面を表示するステップである。続いて、ステップS103に進む。
ステップS103は、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13を上記のように操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示するステップである。続いて、ステップS104に進む。
【0045】
ステップS104は、上記スタンバイ状態(S3)への移行指示を受けた際に、例えば、映像表示部12に表示されていた、少なくとも1画面(フレーム)分の、最後の作業画面情報(例えば、図6)を第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)に記憶するステップである。続いて、ステップS105に進む。
【0046】
ステップS105は、上記第2の記憶部(SSB22)および上記第1の記憶部(システムメモリ103)を除き、PC10への電源(電力)供給を停止するステップである。続いて、ステップS106に進む。
【0047】
ステップS106は、電子機器(PC)10が上記スタンバイ状態(S3)に移行するステップである。続いて、ステップS107に進む。
ステップS107は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
図8は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されている作業画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャートである。
【0048】
ステップS200は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS201に進む。
ステップS201は、電子機器(PC)10はスタンバイ状態(S3)に移行しているステップである。続いて、ステップS202に進む。
ステップS202は、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13等を操作し、「レジューム」指示を行なうステップである。
ここで、「レジューム」について説明する。
「レジューム」とは、サスペンド状態のコンピュータ(電子機器(PC))に電源を投入し、元の状態に復帰させることを指す。サスペンド機能と同義として使われる場合もある。
【0049】
続いて、ステップS203に進む。
ステップS203は、上記スタンバイ状態(S3)からレジューム処理を開始するステップである。続いて、ステップS204に進む。
ステップS204は、映像表示部12のLCD17の電源をONにするステップである。このLCD17の電源ON/OFFは、例えば、上記GPU105に制御されるタイミングコントローラ(TCON)21によって制御される。続いて、ステップS20に進む。
【0050】
ステップS205は、上記第2の記憶部(SSB22)に記憶された、上記最後の作業画面をLCD17に表示するステップである。続いて、ステップS206に進む。
【0051】
ステップS206は、電子機器(PC)10が上記レジューム処理を実行し、電子機器(PC)10はフル稼働状態(S0)に移行するステップである。続いて、ステップS207に進む。
【0052】
ステップS207は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
上記のように構成することによって、この実施の形態においては、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが可能になる。
【0053】
図9は、実施形態に係わる電子機器において表示されるログイン画面を示す図である。
ここでは、上記と同様に、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13(「Fn」キー+「F3」キー)を操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示する。
【0054】
90は、スタンバイ状態からの復帰の際に、ユーザにユーザ名やパスワード等の所定の情報の入力を求める「ログイン画面」の例である。
この実施の形態においては、上記スタンバイ状態への移行指示に応じて、この時この電子機器(PC)10を使用していた表示情報、すなわちユーザ情報(例えば、上記ユーザ名やパスワード等の情報)が、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶され、保持される。
【0055】
そして、電子機器(PC)10がスタンバイ状態の場合にレジューム指示を受信すると、このレジューム指示に応じて、映像表示部12に、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶されている「ログイン画面」90を表示する。
【0056】
そして、例えば、ユーザから上記ユーザ名や上記パスワード等の所定の表示情報(ユーザ情報)が入力されると、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に保持された上記ユーザ名やパスワード等の情報と照合する。
【0057】
ここで、上記照合が一致すれば、ログイン処理を行い、電子機器(PC)10はスタンバイ状態から復帰する。また、上記照合が一致しなければ、ログイン処理は行なわない。
【0058】
図10は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、ログイン画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャートである。
【0059】
ステップS300は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS301に進む。
ステップS301は、例えば、ユーザが電子機器(PC)10を動作させ、作業を行なっているステップである。続いて、ステップS302に進む。
ステップS302は、映像表示部12に作業画面を表示するステップである。続いて、ステップS303に進む。
ステップS303は、上記のように、ユーザが例えば、キーボード13等を操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示するステップである。続いて、ステップS304に進む。
【0060】
ステップS304は、上記第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)に、1画面(フレーム)分のログイン画面情報を記憶するステップである。続いて、ステップS305に進む。
【0061】
ステップS305は、第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)および第1の記憶部(システムメモリ103)を除き、電子機器(PC)10への電源(電力)供給を停止するステップである。続いて、ステップS306に進む。
【0062】
ステップS306は、電子機器(PC)10はスタンバイ状態(S3)に移行するステップである。続いて、ステップS307に進む。
ステップS307は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
図11は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されているログイン画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャートである。
【0063】
ステップS400は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS401に進む。
ステップS401は、電子機器(PC)10はスタンバイ状態(S3)に移行しているステップである。続いて、ステップS402に進む。
ステップS402は、電子機器(PC)10はレジューム指示を受信したステップである。続いて、ステップS403に進む。
ステップS403は、電子機器(PC)10がスタンバイ状態(S3)からレジューム処理開始するステップである。続いて、ステップS404に進む。
ステップS404は、映像表示部12のLCD17の電源をONにするステップである。続いて、ステップS405に進む。
ステップS405は、上記第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)に記憶された、上記ログイン画面(例えば、図9)をLCD17に表示するステップである。続いて、ステップS406に進む。
【0064】
ステップS406は、上記表示情報(ユーザ情報)の照合が一致した場合に、上記指示を受けたレジューム処理実行し、電子機器(PC)10はフル稼働状態(S0)に移行するステップである。続いて、ステップS407に進む。
【0065】
ステップS407は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
上記のように構成することによって、この実施の形態においては、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが可能になる。また、この実施の形態においては、ログイン画面を表示し、表示情報(ユーザ情報)の照合が一致した場合に、レジューム処理を実行するので、上記に加え、秘匿性を向上させることが可能になる。
【0066】
上記のように構成することによって、この実施の形態においては、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが可能になる。
【0067】
なお、上記実施形態の制御処理の手順は全てソフトウェアによって実行することが可能である。このため、制御処理の手順を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのプログラムを通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、上記実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0068】
なお、上記実施形態は、記述そのものに限定されるものではなく、実施段階では、その趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素を種々変形して具体化することが可能である。
【0069】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…電子機器(PC)、11…PC本体、12…映像表示部、20…バックアップ電源、21…タイミングコントローラ(TCON)、22…スタティックスクリーンバッファ(SSB)、101…CPU、103…システムメモリ、105…GPU。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器、電子機器の制御方法、電子機器の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器において、消費電力を抑制することが課題の一つになっている。この消費電力の抑制において、例えば、電子機器の使用を一時的に停止する場合に、電子機器をサスペンド状態に移行させ、消費電力を抑制する技術がある。
【0003】
しかし、サスペンド状態の電子機器がレジューム処理を受けてから使用状態に復帰する際には、一般に、ある程度の時間を要する。このため、サスペンド状態から使用状態に復帰する際に要する、このある程度の時間が、ユーザにとって煩雑であるという問題があった。
【0004】
このため、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが課題になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−86230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サスペンド状態の電子機器が使用状態に復帰する際にある程度の時間がかかるため、ユーザにとって煩雑であるという問題があった。
このため、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが課題になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電子機器は、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶する記憶部を備える。
また、前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給する電源供給部備える。
また、前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶部に記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行う作業画面表示部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係わる電子機器の外観の一例を示す外観図。
【図2】実施形態に係わる電子機器において、映像表示部に、記憶部(SSB)およびLCDに電源(電力)を供給する電源(電力)供給部が実質的に設けられるようすを示す図。
【図3】実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図。
【図4】実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図。
【図5】実施形態に係わる電子機器で用いられる省電力規格における規定を説明する図。
【図6】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態(S3)への移行時に表示されている作業画面を示す図。
【図7】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャート。
【図8】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されている作業画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャート。
【図9】実施形態に係わる電子機器において表示されるログイン画面を示す図。
【図10】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、ログイン画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャート。
【図11】実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されているログイン画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、実施の形態を説明する。
図1は、実施形態に係わる電子機器の外観の一例を示す外観図である。
ここでは、電子機器は、例えばノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(ノートPC、またはPC)10として実現されている。
なお、この実施の形態はパーソナルコンピュータに限られず、TVや携帯電話、携帯型の電子機器等に適用することも可能である。
図1に示すように、電子機器(ノートPC)10は、コンピュータ(ノートPC)本体11と、映像表示部12とから構成されている。映像表示部12には、例えば、LCD(liquid crystal display)17が組み込まれている。
【0010】
映像表示部12は、コンピュータ(ノートPC)本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ(ノートPC)本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在にコンピュータ(ノートPC)本体11に取り付けられている。
【0011】
コンピュータ(ノートPC)本体11は、薄い箱形の筐体を有しており、その上面には、キーボード13、電子機器(ノートPC)10を電源オン/電源オフするためのパワーボタン14、タッチパッド16、スピーカ18A,18Bなどが配置されている。
【0012】
また、コンピュータ(ノートPC)本体11の、例えば、右側面には、USB(universal serial bus)2.0規格のUSBケーブルやUSBデバイスを接続するためのUSBコネクタ19が設けられている。
【0013】
さらに、コンピュータ(ノートPC)本体11の背面には、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)規格に対応した外部ディスプレイ接続端子が設けられている(図示せず)。この外部ディスプレイ接続端子は、デジタル映像信号を外部ディスプレイに出力するために用いられる。
【0014】
図2は、実施形態に係わる電子機器において、映像表示部に、記憶部(SSB)およびLCDに電源(電力)を供給する電源供給部が実質的に設けられるようすを示す図である。
【0015】
21は、例えば、上記映像表示部12に組み込まれるLCD17の表示制御を行うタイミングコントローラ(TCON)である。また、22はスタティックスクリーンバッファ(SSB)である。
【0016】
後述するように、この実施の形態においては、PC本体11に構成されるシステムメモリ103を便宜上、第1の記憶部と呼ぶ。このため、このスタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、第2の記憶部と呼ぶ。
【0017】
また、タイミングコントローラ(TCON)21は、GPU105に制御される。
この実施の形態においては、図2に示すように、上記タイミングコントローラ(TCON)17およびスタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、映像表示部12の内部、すなわち、実質的に、映像表示部12に設けられる。
【0018】
ここで、スタティックスクリーンバッファ(SSB)の説明をする。
スタティックスクリーンバッファ(SSB)は、例えば、VESA(Video Electronics Standards Association)からアナウンスされた、エンベデッドディスプレーポート(Embedded Display Port、(eDP))Version 1.3で定義されるメモリである。
【0019】
ここでは、スタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成され、また、電子機器10がスタンバイ状態においても後述するバックアップ電源等から電源(電力)が供給され続けるため、映像表示部12の表示情報等のデータを保持することが可能である。
【0020】
図3は、実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図である。
上記のように、映像表示部12には、上記タイミングコントローラ(TCON)21および上記スタティックスクリーンバッファ(SSB)22が構成される。
また、図3に示すように、スタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、バックアップ電源20Aに接続され、電子機器10がスタンバイ状態になった場合には、スタティックスクリーンバッファ(SSB)22は、このバックアップ電源20Aから電源(電力)供給を受ける。これにより、例えば、電子機器10がスタンバイ状態に移行した際にも、映像表示部12に表示されている表示情報等のデータをスタティックスクリーンバッファ(SSB)22に保持することが可能である。
【0021】
PC本体11には、システムメモリ103、CPU101、GPU105、VRAM105A、バックアップ電源20B、サウスブリッジ等を含むPCH104が構成される。
【0022】
また、上記と同様に、システムメモリ103は、バックアップ電源20Bに接続される。このバックアップ電源20Bは上記と同じ電源(バックアップ電源20A)を用いても良いし、別に構成される電源を用いても良い。
【0023】
そして、電子機器10がスタンバイ状態になった場合には、このバックアップ電源20Bから電源(電力)供給を受ける。例えば、電子機器10がスタンバイ状態に移行した際には、OS等の電子機器10を起動させるデータ等を保持することが可能である。
【0024】
図4は、実施形態に係わる電子機器の構成を説明するブロック図である。
電子機器(ノートPC)10は、図4に示すように、CPU(central processing unit)101、システムメモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics Processing Unit)105、VRAM(ビデオRAM:random access memory)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM(basic input/output system-read only memory)107、LAN(local area network)コントローラ108、ハードディスクドライブ(HDD(記憶装置))109、光ディスクドライブ(ODD)110、USBコントローラ111A、カードコントローラ111B、カードスロット111C、無線LANコントローラ112、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)113、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)114等を備える。
【0025】
CPU101は、電子機器(ノートPC)10内の各部の動作を制御するプロセッサである。
CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSを実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。CPU101には、システムメモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、例えば、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0026】
GPU105は、電子機器(ノートPC)10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。
このGPU105によって生成される表示信号はLCD17に送られる。また、GPU105は、HDMI制御回路3およびHDMI端子2を介して、外部ディスプレイ1にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0027】
HDMI端子2は、前述の外部ディスプレイ接続端子である。HDMI端子2は、非圧縮のデジタル映像信号とデジタルオーディオ信号とを1本のケーブルでテレビのような外部ディスプレイ1に送出することができる。HDMI制御回路3は、HDMIモニタと称される外部ディスプレイ1にデジタル映像信号を、HDMI端子2を介して送出するためのインタフェースである。
【0028】
サウスブリッジ104は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイス及びLPC(Low Pin Count)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、HDD109及びODD110を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。
【0029】
さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18BまたはHDMI制御回路3に出力する。LANコントローラ108は、例えばIEEE 802.3規格の有線通信を実行する有線通信デバイスであり、一方、無線LANコントローラ112は、例えばIEEE 802.11g規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。USBコントローラ111Aは、例えばUSB 2.0規格に対応した外部機器との通信を実行する。
【0030】
例えば、USBコントローラ111Aは、デジタルカメラに格納されている画像データファイルを受信するために使用される。また、カードコントローラ111Bは、コンピュータ(ノートPC)本体11に設けられたカードスロットに挿入される、SDカードのようなメモリカードに対するデータの書き込み及び読み出しを実行する。
【0031】
EC/KBC113は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13及びタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC113は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて電子機器(ノートPC)10を電源オン/電源オフする機能を有している。
【0032】
この実施の形態における表示制御は、例えば、CPU101がシステムメモリ103やHDD109等に記録されたプログラムを実行させることにより行われる。
図5は、実施形態に係わる電子機器で用いられる省電力規格における規定を説明する図である。
電子機器(PC)10の使用を一時停止する場合に、例えば、「スタンバイ状態(サスペンド)」または「休止状態(ハイバネーション)」にすることで、消費電力を抑制することが可能である。
【0033】
特にバッテリ等で駆動する電子機器(ノート型PC等)では、例えば、移動中などにスタンバイ状態にしておくことで、消費電力を抑制しつつ、作業の停止・再開を比較的早く行うことが可能である。また、デスクトップ型PC等でも、使用しない時間は、電子機器をスタンバイ状態や休止状態にすることで、消費電力を抑制することが可能である。
【0034】
ところで、「ACPI」では、電子機器(PC)の省電力システムにおける電源(電力)状況(省電力規格のスリープ・ステート(ステータス))を「S0(フル稼働)」から「S5(ソフトウェアによる電源オフ)」までの6段階で規定している。ここで、「ACPI」はAdvanced Configuration and Power Interfaceの略である。
【0035】
図5は、この「ACPI」省電力規格におけるステータスを説明する。
50は、電子機器(PC)のステータスは「S0」、すなわち、電子機器(PC)全体に電源(電力)が供給された、「フル稼働状態」である。
51は、電子機器(PC)のステータスは「S1」、すなわち、「低消費電力状態」であるが、この「S1」の状態では、プロセッサ、チップセットは電源オンにする。
【0036】
52は、電子機器(PC)のステータスは「S2」、すなわち、「低消費電力状態」であるが、この「S2」の状態では、プロセッサとキャッシュは電源オフ、チップセットは電源オンにする。
【0037】
53は、電子機器(PC)のステータスは「S3」、すなわち、「スタンバイ状態」である。
54は、電子機器(PC)のステータスは「S4」、すなわち、「休止状態」である。
55は、電子機器(PC)のステータスは「S5」、すなわち、「ソフトウェアによる電源オフ」である。
ここで、上記「スタンバイ状態」と上記「休止状態」について、説明する。
「スタンバイ状態」とは、グラフィックス機能やハードディスク、そのほかのデバイスの電源をオフにすることで、消費電力を抑えるモードである。
ただし、システムメモリ103には電力が供給され、実行中のデータが保持される。このため、電源オフ/オンと違い、作業を中断した状態からの再開が可能である。また、通常、「スタンバイ状態」からの復帰は数秒程度である。
【0038】
「休止状態」とは、ハードディスク110にシステムメモリ103の内容を退避してから、システムメモリ103を含む各デバイスの電源をオフにするモードである。このため、ハードディスク110には、システムメモリ103とほぼ同じ容量の「休止状態」用のデータ退避領域が確保される。
【0039】
「休止状態」は、例えば、ノートPCのバッテリ駆動でもバッテリの電力は消費されないため、「休止状態」を維持し続けることが可能である。しかし、システムメモリ103の内容をハードディスク110に退避したり、読み出したりしなければならないため、「スタンバイ状態」に比べ、「休止状態」への移行や復帰に時間がかかる。
【0040】
この実施の形態は、上記電子機器において、「スタンバイ状態(S3)」から使用状態に復帰する技術に係る。
図6は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態(S3)への移行時に表示されている作業画面表示を示す図である。
ここでは、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13(「Fn」キー+「F3」キー)を操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示する。
60は、この時に映像表示部12に表示されていた作業画面表示である。ここでは、「スタンバイ状態(S3)移行時表示の作業画面」と表示されている。
この実施の形態においては、上記スタンバイ状態への移行指示に応じて、この作業画面表示60(映像表示部に表示されている作業画面の表示情報)は、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶され、保持される。
【0041】
また、電子機器(PC)10のスタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて、映像表示部12に、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶されている作業画面の表示情報を用いて表示を行う。
【0042】
このように構成することにより、この実施の形態においては、例えば、上記のように記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22を用いて上記スタンバイ状態(S3)への移行を行なうことにより、例えば、レジューム処理(スタンバイ状態(S3)への移行)に2秒間〜3秒間程度要していた時間を、例えば、0.3秒間程度に低減することが可能になる。
【0043】
図7は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャートである。
【0044】
ステップS100は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS101に進む。
ステップS101は、ユーザが電子機器(PC)10を動作し、作業を行なうステップである。続いて、ステップS102に進む。
ステップS102は、電子機器(PC)10の映像表示部12に、作業画面を表示するステップである。続いて、ステップS103に進む。
ステップS103は、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13を上記のように操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示するステップである。続いて、ステップS104に進む。
【0045】
ステップS104は、上記スタンバイ状態(S3)への移行指示を受けた際に、例えば、映像表示部12に表示されていた、少なくとも1画面(フレーム)分の、最後の作業画面情報(例えば、図6)を第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)に記憶するステップである。続いて、ステップS105に進む。
【0046】
ステップS105は、上記第2の記憶部(SSB22)および上記第1の記憶部(システムメモリ103)を除き、PC10への電源(電力)供給を停止するステップである。続いて、ステップS106に進む。
【0047】
ステップS106は、電子機器(PC)10が上記スタンバイ状態(S3)に移行するステップである。続いて、ステップS107に進む。
ステップS107は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
図8は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されている作業画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャートである。
【0048】
ステップS200は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS201に進む。
ステップS201は、電子機器(PC)10はスタンバイ状態(S3)に移行しているステップである。続いて、ステップS202に進む。
ステップS202は、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13等を操作し、「レジューム」指示を行なうステップである。
ここで、「レジューム」について説明する。
「レジューム」とは、サスペンド状態のコンピュータ(電子機器(PC))に電源を投入し、元の状態に復帰させることを指す。サスペンド機能と同義として使われる場合もある。
【0049】
続いて、ステップS203に進む。
ステップS203は、上記スタンバイ状態(S3)からレジューム処理を開始するステップである。続いて、ステップS204に進む。
ステップS204は、映像表示部12のLCD17の電源をONにするステップである。このLCD17の電源ON/OFFは、例えば、上記GPU105に制御されるタイミングコントローラ(TCON)21によって制御される。続いて、ステップS20に進む。
【0050】
ステップS205は、上記第2の記憶部(SSB22)に記憶された、上記最後の作業画面をLCD17に表示するステップである。続いて、ステップS206に進む。
【0051】
ステップS206は、電子機器(PC)10が上記レジューム処理を実行し、電子機器(PC)10はフル稼働状態(S0)に移行するステップである。続いて、ステップS207に進む。
【0052】
ステップS207は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
上記のように構成することによって、この実施の形態においては、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが可能になる。
【0053】
図9は、実施形態に係わる電子機器において表示されるログイン画面を示す図である。
ここでは、上記と同様に、例えば、ユーザが電子機器(PC)10のキーボード13(「Fn」キー+「F3」キー)を操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示する。
【0054】
90は、スタンバイ状態からの復帰の際に、ユーザにユーザ名やパスワード等の所定の情報の入力を求める「ログイン画面」の例である。
この実施の形態においては、上記スタンバイ状態への移行指示に応じて、この時この電子機器(PC)10を使用していた表示情報、すなわちユーザ情報(例えば、上記ユーザ名やパスワード等の情報)が、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶され、保持される。
【0055】
そして、電子機器(PC)10がスタンバイ状態の場合にレジューム指示を受信すると、このレジューム指示に応じて、映像表示部12に、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に記憶されている「ログイン画面」90を表示する。
【0056】
そして、例えば、ユーザから上記ユーザ名や上記パスワード等の所定の表示情報(ユーザ情報)が入力されると、上記記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB))22に保持された上記ユーザ名やパスワード等の情報と照合する。
【0057】
ここで、上記照合が一致すれば、ログイン処理を行い、電子機器(PC)10はスタンバイ状態から復帰する。また、上記照合が一致しなければ、ログイン処理は行なわない。
【0058】
図10は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態への移行指示に応じて、ログイン画面の表示情報を記憶するようすを説明するフローチャートである。
【0059】
ステップS300は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS301に進む。
ステップS301は、例えば、ユーザが電子機器(PC)10を動作させ、作業を行なっているステップである。続いて、ステップS302に進む。
ステップS302は、映像表示部12に作業画面を表示するステップである。続いて、ステップS303に進む。
ステップS303は、上記のように、ユーザが例えば、キーボード13等を操作し、スタンバイ状態(S3)への移行を指示するステップである。続いて、ステップS304に進む。
【0060】
ステップS304は、上記第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)に、1画面(フレーム)分のログイン画面情報を記憶するステップである。続いて、ステップS305に進む。
【0061】
ステップS305は、第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)および第1の記憶部(システムメモリ103)を除き、電子機器(PC)10への電源(電力)供給を停止するステップである。続いて、ステップS306に進む。
【0062】
ステップS306は、電子機器(PC)10はスタンバイ状態(S3)に移行するステップである。続いて、ステップS307に進む。
ステップS307は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
図11は、実施形態に係わる電子機器において、スタンバイ状態において受信したレジューム指示に応じて、記憶されているログイン画面の表示情報を用いて表示を行うようすを説明するフローチャートである。
【0063】
ステップS400は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS401に進む。
ステップS401は、電子機器(PC)10はスタンバイ状態(S3)に移行しているステップである。続いて、ステップS402に進む。
ステップS402は、電子機器(PC)10はレジューム指示を受信したステップである。続いて、ステップS403に進む。
ステップS403は、電子機器(PC)10がスタンバイ状態(S3)からレジューム処理開始するステップである。続いて、ステップS404に進む。
ステップS404は、映像表示部12のLCD17の電源をONにするステップである。続いて、ステップS405に進む。
ステップS405は、上記第2の記憶部(スタティックスクリーンバッファ(SSB)22)に記憶された、上記ログイン画面(例えば、図9)をLCD17に表示するステップである。続いて、ステップS406に進む。
【0064】
ステップS406は、上記表示情報(ユーザ情報)の照合が一致した場合に、上記指示を受けたレジューム処理実行し、電子機器(PC)10はフル稼働状態(S0)に移行するステップである。続いて、ステップS407に進む。
【0065】
ステップS407は、終了ステップであり、ここでの処理は終了する。
上記のように構成することによって、この実施の形態においては、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが可能になる。また、この実施の形態においては、ログイン画面を表示し、表示情報(ユーザ情報)の照合が一致した場合に、レジューム処理を実行するので、上記に加え、秘匿性を向上させることが可能になる。
【0066】
上記のように構成することによって、この実施の形態においては、レジューム処理を受けてから電子機器が使用状態に復帰するまでに要する時間を短縮することが可能になる。
【0067】
なお、上記実施形態の制御処理の手順は全てソフトウェアによって実行することが可能である。このため、制御処理の手順を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのプログラムを通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、上記実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0068】
なお、上記実施形態は、記述そのものに限定されるものではなく、実施段階では、その趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素を種々変形して具体化することが可能である。
【0069】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…電子機器(PC)、11…PC本体、12…映像表示部、20…バックアップ電源、21…タイミングコントローラ(TCON)、22…スタティックスクリーンバッファ(SSB)、101…CPU、103…システムメモリ、105…GPU。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶する記憶部と、
前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給する電源供給部と、
前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶部に記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行う作業画面表示部を備える電子機器。
【請求項2】
前記記憶部は、実質的に前記映像表示部に設けられる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記記憶部は、前記スタンバイ状態においても電源供給が可能なバックアップ電源に接続される請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スタンバイ状態において、前記記憶部には電源が供給される請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電源供給部は、実質的に前記映像表示部に設けられる請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記作業画面の表示情報は、前記スタンバイ状態への移行時に表示されていた最後の作業画面の表示情報である請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記作業画面の表示情報に代えて、前記スタンバイ状態への移行指示に応じて前記記憶部にログイン画面情報を保存し、前記記憶部に保存されているログイン画面情報を用いて前記映像表示部に表示を行う請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記記憶部は、スタティックスクリーンバッファを含む請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するステップと、
前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給するステップと、
前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行うステップを備える電子機器の制御方法。
【請求項10】
スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するステップと、
前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給するステップと、
前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行うステップを備える電子機器の制御プログラム。
【請求項1】
スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶する記憶部と、
前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給する電源供給部と、
前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶部に記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行う作業画面表示部を備える電子機器。
【請求項2】
前記記憶部は、実質的に前記映像表示部に設けられる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記記憶部は、前記スタンバイ状態においても電源供給が可能なバックアップ電源に接続される請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スタンバイ状態において、前記記憶部には電源が供給される請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電源供給部は、実質的に前記映像表示部に設けられる請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記作業画面の表示情報は、前記スタンバイ状態への移行時に表示されていた最後の作業画面の表示情報である請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記作業画面の表示情報に代えて、前記スタンバイ状態への移行指示に応じて前記記憶部にログイン画面情報を保存し、前記記憶部に保存されているログイン画面情報を用いて前記映像表示部に表示を行う請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記記憶部は、スタティックスクリーンバッファを含む請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するステップと、
前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給するステップと、
前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行うステップを備える電子機器の制御方法。
【請求項10】
スタンバイ状態への移行指示に応じて、映像表示部に表示されている作業画面の表示情報を記憶するステップと、
前記スタンバイ状態においてレジューム指示を受信し、このレジューム指示に応じて前記映像表示部に電源を供給するステップと、
前記電源が供給された前記映像表示部に、前記記憶されている前記作業画面の表示情報を用いて表示を行うステップを備える電子機器の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−7974(P2013−7974A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142212(P2011−142212)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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