電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラム
【課題】セキュリティー性の高い電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムを提供する。
【解決手段】タッチパネルと、タッチパネル上に複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示される領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、タッチパネルへの接触の軌跡情報を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有する電子機器であって、タッチパネルにおいて、スイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの前記軌跡情報とを比較し、条件が一致すれば制御対象の動作の制限解除を行い、条件が不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないこと。
【解決手段】タッチパネルと、タッチパネル上に複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示される領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、タッチパネルへの接触の軌跡情報を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有する電子機器であって、タッチパネルにおいて、スイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの前記軌跡情報とを比較し、条件が一致すれば制御対象の動作の制限解除を行い、条件が不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直感的な操作を可能にするとともに、キーボードのように物理的に大きな面積を必要とするデバイスを具備しない小型の電子機器を実現するために、タッチパネルが広く利用されるようになっている。タッチパネルを用いて文字を入力するための技術として、タッチパネル上で文字を手書き入力する技術(例えば、特許文献1)と、タッチパネル上に表示された仮想的なキーボード(以下、「仮想キーボード」という)を用いて文字を入力する技術(例えば、特許文献2)が知られている。
【0003】
また、電子機器には、暗証番号を登録し、暗証番号が一致しない場合は、一部機能を使用できないようにするセキュリティー機能を備えるものがある。タッチパネルを備える電子機器は、タッチパネルにキーボードを表示させることで、暗証番号を入力可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−141448号公報
【特許文献2】特開2008−108233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにタッチパネルを備える電子機器でも、タッチパネルにキーボードを表示させ、暗証番号が一致するか否かを判定することで、セキュリティー機能を実現することができる。しかしながら、暗証番号を入力するのみでは、番号を知られてしまうと第三者でも簡単に入力することができてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な操作でよりセキュリティー性の高い電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示される領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、前記タッチパネルへの接触の軌跡情報を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、前記制御部は、前記タッチパネルにおいて、スイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードの前記軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記記憶部は、前記暗証コードとして、前記軌跡情報と、前記ボタンの接触順序とを対応付けて記憶しており、前記制御部は、前記タッチパネルによって前記接触動作の接触が検出されたボタンの接触順序、及び、前記タッチパネルによって接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードとを比較し、両者が一致すれば制限解除を行い、ボタンの接触順序と前記軌跡とのいずれか一方が不一致であれば制限解除を行わないことが好ましい。
【0009】
また、前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、検出した接触動作の軌跡と、接触したボタンの情報とを対応付けて前記暗証コードとして設定することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記スイープ動作のうち、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の開始が検出された位置に表示されているボタンを前記接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の終了が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、移動方向の変化が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0014】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、特定の形状の軌跡を描く移動が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0015】
また、前記制御部は、前記制御対象の動作として、施錠動作の制御を行い、前記制限解除を行なう場合は開錠し、前記制限解除を行わない場合は、施錠状態を維持することが好ましい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示された領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、前記タッチパネル上への前記ボタンへの接触順序を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、前記制御部は、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、前記接触動作により接触したボタンを入力として受け付け、前記入力されたボタンと前記暗証コードとを比較し、条件が一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件が不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする。
【0017】
また、前記制御部は、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることが好ましい。
【0018】
また、前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、接触したボタンの情報を前記暗証コードとして設定し、かつ、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることが好ましい。
【0019】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器の制御方法であって、前記電子機器の制御部が、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作により各ボタンの表示された領域への接触を検出するステップと、前記電子機器の制御部が、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較するステップと、前記電子機器の制御部が、前記軌跡と、前記暗証コードの軌跡情報とが条件に一致したら制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器制御プログラムであって、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器に、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムは、簡単な操作でよりセキュリティー性を高くするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、タッチパネル上に表示される仮想キーボードを示す図である。
【図3】図3は、暗証コードの設定の操作例を示す図である。
【図4】図4は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図5】図5は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図6】図6は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図7】図7は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図8】図8は、携帯電話端末の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、仮想キーボードデータの一例を示す図である。
【図10】図10は、暗証コードの軌跡の一例を示す図である。
【図11】図11は、携帯電話端末による暗証コード設定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図12】図12は、携帯電話端末による暗証コード入力処理の処理手順を示すフロー図である。
【図13−1】図13−1は、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。
【図13−2】図13−2は、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。
【図13−3】図13−3は、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。
【図14】図14は、ボタン領域内を指が通過した例を示す図である。
【図15】図15は、ボタン領域内で指の移動方向が変化した例を示す図である。
【図16】図16は、ボタン領域内で指が回転する軌跡を描いた例を示す図である。
【図17】図17は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図18】図18は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器として携帯電話端末を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、タッチパネルを備える各種装置、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。また、金庫や、ATM(Automated teller machine、現金自動預け払い機)、オートロックのドア等に設置する暗証コードを入力するための電子機器としても用いることができる。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の電子機器の一実施例である携帯電話端末1の外観を示す正面図である。携帯電話端末1は、タッチパネル2と、ボタン3A、ボタン3Bおよびボタン3Cからなる入力部3を備える。タッチパネル2は、文字、図形、画像等を表示するとともに、指、スタイラス、ペン等(以下、単に「指」という)を用いてタッチパネル2に対して行われる各種動作を検出する。なお、タッチパネル2は、複数点への入力を検出することができる、いわゆるマルチタッチパネルである。入力部3は、いずれかのボタンが押下された場合に、押下されたボタンに対応する機能を起動させる。
【0025】
携帯電話端末1は、利用者から文字の入力を受け付けるために、図2に示すように、タッチパネル2上に仮想キーボード4を表示させる。仮想キーボード4は、物理的なキーボードのキーを模した複数の仮想的なボタンを含む。例えば、利用者が仮想キーボード4内の「1」のボタンに指を置いて(接触して)離す動作をすると、その動作がタッチパネル2によって検出され、携帯電話端末1は、「1」という文字を入力として受け付ける。また、携帯電話端末1は、タッチパネル2上に表示欄20を表示させる。表示欄20には、入力されたボタンの数字が表示される。例えば、携帯電話端末1は、「1」という文字を入力として受け付けたら、表示欄20に「1」を表示させる。
【0026】
携帯電話端末1は、さらに、仮想キーボード4上での連続方式による文字の入力を受け付ける。連続方式とは、利用者が指をタッチパネル2に接触させたまま仮想キーボード4上を移動させること、つまり、スイープ動作によって複数の文字を連続して入力することを可能にする方式である。連続方式では、利用者は、例えば、指をタッチパネル2に接触させたままで、「1」のボタン、「5」のボタン、「8」のボタンの順に滑るように移動させることで「158」という文字列を入力することができる。
【0027】
携帯電話端末1は、入力された文字列と、利用者が指をタッチパネル2に接触させたまま仮想キーボード4上を移動させる軌跡も暗証コードとして記憶する。このように、携帯電話端末1は、暗証コードとして、入力された文字列と軌跡の両方を記憶し、暗証コード入力時に、入力された文字列に加え、軌跡も照合することで、セキュリティー性を高くすることができる。
【0028】
また、連続方式では、ボタン毎に指を上げ下げする動作を行わずに、タッチパネル2上で指を滑るように移動させるだけで複数の文字を入力することができるため、非常に高速に文字を入力することができる。
【0029】
また、携帯電話端末1は、入力の軌跡として、軌跡の特徴点を抽出する。携帯電話端末1は、例えば、指の接触を開始する動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の開始が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンを特徴点と判定する。また、携帯電話端末1は、指の移動が終了しタッチパネル2から離れる動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の終了が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンを特徴点と判定する。
【0030】
利用者が携帯電話端末1に暗証コードとして「78625」を設定する場合の操作例を図3に示す。s111では、暗証コードの設定処理を起動させる指示が入力される。この場合、携帯電話端末1は、暗証コードの設定処理を開始する指示が入力されたと判断し、設定画面を表示させる。ここで、設定画面は、上述した利用者から文字の入力を受け付けるための仮想キーボード4と、入力された文字を表示させる表示欄20とで構成される画面である。
【0031】
s112では、「7」のボタン領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、指が置かれた「7」のボタンが触れられたと判断する。
【0032】
s113では、「7」に触れていた指がタッチパネル2から離れている。この場合、携帯電話端末1は、指が置かれた「7」のボタンのみが触れられたと判断し、接触された「7」のボタンの情報と、「7」のボタンのみが触れられた接触の軌跡を記憶する。また、携帯電話端末1は、接触された「7」のボタンに対応する文字を「7」を表示欄20に表示させる。
【0033】
s114では、「8」のボタンの領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れている状態から、指がタッチパネル2に触れたまま(スイープ動作で)、「8」のボタンの上から「6」のボタンの上に移動している。なお、「8」のボタンの上から「6」のボタンの上に移動する間、他のボタン(「5」、「9」のボタン)の領域は通過していない。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま「6」のボタンの上から、「3」のボタンに触れないように「3」のボタンの外周を回って「2」の上に移動している。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま、「2」のボタンの上から「5」のボタンの上に移動している。この場合、携帯電話端末1は、指が接触した「8」、「6」、「2」、「5」のボタンがこの順番で触れられたと判断し、接触された「8」、「6」、「2」、「5」のボタンの情報と、接触された「8」のボタンから「5」のボタンに移動する指の軌跡を記憶する。また、携帯電話端末1は、既に表示している「7」に接触された「8」、「6」、「2」、「5」のボタンに対応する文字を加えた「78625」を表示欄20に表示させる。
【0034】
s115では、暗証コードの設定が完了した指示入力される。この場合、携帯電話端末1は、暗証コードの設定が完了した指示が入力されたと判断し、設定完了の画面を表示させる。また、携帯電話端末1は、入力されたボタンの情報(入力キー情報)と、指の軌跡情報(軌跡の特徴点)を暗証コードとして記憶する。
【0035】
以上の操作により、携帯電話端末1は、入力されたボタン及びその入力順序の情報をボタン(キー)の情報とし、指がタッチパネル2に接触した軌跡を軌跡情報とした暗証コードを検出し、記憶する。
【0036】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例を図4に示す。なお、携帯電話端末1は、暗証コードの入力が検出された場合のみ、一部の機能を実行可能な設定とされている。つまり、携帯電話端末1は、設定された暗証コードが入力されることで、制限されている所定の機能を解除する。
【0037】
s120では、利用者が指により上述した設定と同じ順序、軌跡でタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「78625」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較し、検出した入力と暗証コードとが一致すると判断する。
【0038】
s121では、使用が制限されている機能が解除された旨を通知するメッセージとして「ロック解除○○○○○使用できます」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能の制限を解除し、制限していた機能を使用可能な状態とする。
【0039】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例の他の例を図5に示す。図5に示すs122では、利用者が指により「7」、「5」、「3」、「6」、「4」のボタンに順番に触れている。また、指は、1つのボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れたら、タッチパネル2から離れ、次のボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「75364」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較する。携帯電話端末1は、暗証コードとして記憶しているキー情報「78625」と、検出したボタンの接触の順番「75364」とが不一致であると判断する。これにより、携帯電話端末1は、検出した入力は、暗証コードと不一致であると判断する。
【0040】
s123では、検出した接触と、暗証コードとが不一致である旨を通知するメッセージとして「暗証番号が違います」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能を制限している状態を維持する。
【0041】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例の他の例を図6に示す。図6に示すs124では、利用者が指により「7」、「8」、「6」、「2」、「5」のボタンに順番に触れている。また、指は、1つのボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れたら、タッチパネル2から離れ、次のボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「78625」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較する。
【0042】
携帯電話端末1は、暗証コードとして記憶しているキー情報「78625」と、検出したボタンの接触の順番「78625」とが一致すると判断するが、暗証コードの軌跡が「8」のボタンから「5」のボタンまでは継続した接触であるのに対して、検出した軌跡が「8」のボタンから「5」のボタンまでをそれぞれのボタンが別々の接触である点で不一致であると判断する。これにより、携帯電話端末1は、検出した入力は、暗証コードと不一致であると判断する。
【0043】
s125では、検出した接触と、暗証コードとが不一致である旨を通知するメッセージとして「暗証番号が違います」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能を制限している状態を維持する。
【0044】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例の他の例を図7に示す。図7に示すs126では、「7」のボタン領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れて、その後、「7」に触れていた指がタッチパネル2から離れている。次に、指が「8」のボタンの領域内に置かれ、指がタッチパネル2に触れている状態から、指がタッチパネル2に触れたまま、「8」のボタンの上から「6」のボタンの上に移動している。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま「6」のボタンの上から、「3」のボタンと、「5」のボタンの間を通って「2」の上に移動している。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま、「2」のボタンの上から「5」のボタンの上に移動している。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「78625」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較する。
【0045】
携帯電話端末1は、暗証コードとして記憶しているキー情報「78625」と、検出したボタンの接触の順番「78625」とが一致すると判断するが、暗証コードの軌跡が「6」のボタンから「3」のボタンの外周を回って「2」のボタンに接触しているのに対して、検出した軌跡が「6」のボタンから「3」のボタンと「5」のボタンの間を通って「2」のボタンに接触している点で不一致であると判断する。これにより、携帯電話端末1は、検出した入力は、暗証コードと不一致であると判断する。
【0046】
s127では、検出した接触と、暗証コードとが不一致である旨を通知するメッセージとして「暗証番号が違います」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能を制限している状態を維持する。
【0047】
以上の操作により、携帯電話端末1は、入力されたボタン(キー)の情報に加え、軌跡情報も暗証コードとして記憶し、暗証コードの照会時、つまり、制限の解除動作時に、検出したボタンの情報と軌跡情報と比較する。携帯電話端末1は、ボタンの情報と軌跡情報とが一致したら、制限を解除する。これにより、ボタンの入力順序のみで、暗証コードを比較した場合よりも、セキュリティー性をより高くすることができる。また、利用者は、自身の癖に基づいて入力すればよいため、通常のボタンの押下動作と同等の操作を入力すればよい。このため、通常の暗証コードの入力と同等の負荷で、複雑な暗証番号を記憶する場合と同様のセキュリティー性を得ることができる。
【0048】
次に、携帯電話端末1の機能と制御部との関係を説明する。図8は、図1に示す携帯電話端末1の機能の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように携帯電話端末1は、タッチパネル2と、入力部3と、電源部5と、通信部6と、スピーカ7と、マイク8と、記憶部9と、主制御部10と、RAM(Random Access Memory)11とを有する。
【0049】
タッチパネル2は、表示部2Bと、表示部2Bに重畳されたタッチセンサ2Aとを有する。タッチセンサ2Aは、指を用いてタッチパネル2に対して行われた各種動作を、動作が行われた場所のタッチパネル2上での位置とともに検出する。タッチセンサ2Aによって検出される動作には、指をタッチパネル2の表面に接触させる動作や、指をタッチパネル2の表面に接触させたまま移動させる動作や、指をタッチパネル2の表面から離す動作が含まれる。なお、タッチセンサ2Aは、感圧式、静電式等のいずれの検出方式を採用していてもよい。表示部2Bは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成され、文字、図形、画像等を表示する。
【0050】
入力部3は、物理的なボタン等を通じて利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部10へ送信する。電源部5は、蓄電池または外部電源から得られる電力を、主制御部10を含む携帯電話端末1の各機能部へ供給する。通信部6は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。スピーカ7は、電話通信における相手側の音声や着信音等を出力する。マイク8は、利用者等の音声を電気的な信号へ変換する。
【0051】
記憶部9は、例えば、不揮発性メモリや磁気記憶装置であり、主制御部10での処理に利用されるプログラムやデータを保存する。具体的には、記憶部9は各種の動作を制御するための動作制御プログラム9Aや、暗証コードの設定や、認証の制御を行うための認証プログラム9Bや、暗証コードの設定時や、認証時にタッチパネル2に表示される仮想キーボード4に関する定義を含む仮想キーボードデータ9Cや、認証プログラム9Bで設定、使用される暗証コードの定義を含む暗証コードデータ9Dを記憶する。記憶部9には、携帯電話端末1の基本的な機能を実現するオペレーティングシステムプログラムや、氏名、電話番号、メールアドレス等が登録されたアドレス帳データ等の他のプログラムやデータも記憶される。
【0052】
主制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末1の動作を統括的に制御する。具体的には、主制御部10は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部9に記憶されているプログラムを実行して、タッチパネル2、通信部6等を制御することによって各種処理を実行する。主制御部10は、記憶部9に記憶されているプログラムや、処理を実行することによって取得/生成/加工されたデータを、一時的な記憶領域を提供するRAM11に必要に応じて展開する。なお、主制御部10が実行するプログラムや参照するデータは、通信部6による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。
【0053】
ここで、記憶部9が記憶する仮想キーボードデータ9Cの一例を図9に示す。図9の例に示すように、仮想キーボードデータ9Cには、仮想キーボード4に含まれるボタン毎に、ボタンに対応する文字、ボタンの位置(例えば、左上座標)、幅、高さ等が登録される。図9に示す例では、あるボタンに対応する文字(数字)が「1」であり、そのボタンの左上座標がX=10、Y=10であり、そのボタンの幅と高さが20と40であること等が登録されている。
【0054】
また、暗証コードデータ9Dには、ボタン(キー)の情報と、軌跡情報が登録されている。本実施形態では、ボタンの情報として「7」、「8」、「6」、「2」、「5」が登録されており、軌跡情報として、図10に示すような情報が記憶されている。なお、図10に示す軌跡情報は、上述したように、「7」のボタンに触れた後、接触が解消され、その後、「8」のボタンが接触され、接触状態が維持されたまま、「6」のボタンに移動し、「3」のボタンの外周を通って、「2」、「5」のボタンに触れる軌跡である。
【0055】
次に、携帯電話端末1が暗証コードを設定する場合の動作について説明する。図11は、携帯電話端末による暗証コード設定処理の処理手順を示すフロー図である。図11に示す暗証コード設定処理は、主制御部10が記憶部9から認証プログラム9Bを読み出して実行することにより実現される。
【0056】
まず、主制御部10は、ステップS12として、表示を更新し、仮想キーボード4及び表示欄20をタッチパネル2上に表示させる。主制御部10は、暗証コードの設定処理を起動させる指示を検出したら、タッチパネル2に表示させる画像を切り替え、仮想キーボード4及び表示欄20を表示させる。その後、主制御部10は、ステップS14として、タッチパネル駆動処理を行い、タッチパネル2への指の接触を検出できる状態とする。
【0057】
その後、主制御部10は、ステップS16として、タッチパネル2により操作を検出する。つまり、主制御部10は、指の接触をタッチパネル2により検出し、仮想キーボード4のボタンへの接触を検出する。その後、主制御部10は、ステップS18として、検出したボタンへの接触を入力キー情報(ボタン情報)として、バッファに退避させる。なお、バッファは、入力キー情報と、後述する特徴点情報(軌跡情報)を一時的に記憶する記憶領域であり、RAM11に設けられる。
【0058】
主制御部10は、入力キー情報をバッファに退避させたら、ステップS20として、特徴点情報(軌跡情報)を抽出する。具体的には、主制御部10は、タッチパネル2で検出した接触動作から、接触開始動作(タッチパネル2へタッチする動作)、接触終了動作(タッチパネル2から離れる動作)、接触角度の急激な変化、仮想キーボード4の領域外への移動を抽出する。その後、主制御部10は、ステップS22として、特徴点があるか否か、つまり、ステップS20で特徴点が抽出されたか否かを判定する。特徴点がある場合(ステップS22,Yes)、主制御部10は、ステップS24として、入力キー情報と特徴点をバッファに順に退避させる。なお、主制御部10は、新たに退避させる入力キー情報がない場合は、特徴点情報のみをバッファに退避させる。
【0059】
ステップS24の処理が終了した場合、または、特徴点がない場合(ステップS22,No)、主制御部10は、ステップS26として、設定完了か否かを判定する。なお、設定完了であるか否かは、設定完了の操作が入力されているか否かで判定することができる。ステップS26で設定完了ではない場合(ステップS26,No)、主制御部10は、ステップS16に進み、ステップS16からステップS26の処理を繰り返す。
【0060】
ステップS26で設定完了である場合(ステップS26,Yes)、主制御部10は、ステップS28として、退避した情報を暗証コード記憶エリア、つまり、暗証コードデータ9Dに保存して、処理を終了する。
【0061】
次に、図12に示したフロー図を参照しながら、暗証コード入力処理について説明する。ここで、図12は、携帯電話端末による暗証コード入力処理の処理手順を示すフロー図である。図12に示す暗証コード入力処理も、主制御部10が記憶部9から認証プログラム9Bを読み出して実行することにより実現される。また、主制御部10は、例えば、動作制御プログラム9Aにより実行可能な動作に対して設定されている動作の制限の解除を希望する指示を検出したら、認証プログラム9Bを実行し、暗証コードと入力動作が一致するかを判定する。
【0062】
まず、主制御部10は、ステップS30として、タッチパネル駆動処理を行い、タッチパネル2への指の接触を検出できる状態とし、ステップS32として、タッチパネル2により操作を検出する。その後、主制御部10は、ステップS34として、一筆書きキーボード入力操作を検知する。つまり、主制御部10は、タッチパネル2で検出した接触から、指が接触した状態で接触位置が移動した操作(スイープ動作)を検出する。その後、主制御部10は、検出した入力操作に特徴点があるか否かを判定する。なお、特徴点の情報としては、上述した各種入力の軌跡が例示される。ステップS36で特徴点が検出された場合(ステップS36,Yes)、主制御部10は、ステップS38として、特徴点情報をバッファに退避させる。なお、バッファは、上述の暗証コード設定処理と同様にRAM11に設けられている。
【0063】
一方、ステップS36で特徴点が検出されない場合(ステップS36,No)または、ステップS38の処理が完了したら、主制御部10は、ステップS40として、入力キーデータ(入力キー情報)をバッファに退避させる。なお、入力キー情報は、ステップS32で検出したタッチパネルの操作で、通過したボタンの情報である。
【0064】
ステップS40で入力キー情報をバッファに退避させたら、主制御部10は、ステップS42として、利用者による暗証コードの入力が完了したか否かを判定する。なお、ステップS32からステップS42で入力される暗証コードは、認証のために入力される操作(入力暗証コードデータ)である。また、入力完了であるか否かは、入力完了の操作が入力されているか否かで判定することができる。
【0065】
ステップS42で入力完了ではない場合(ステップS42,No)、主制御部10は、ステップS32に進み、ステップS32からステップS42の処理を繰り返す。一方、ステップS42で設定完了である場合(ステップS42,Yes)、主制御部10は、ステップS44として、暗証コード記憶エリアの登録データを書き出し、ステップS46として、バッファに退避した入力暗証コードデータと比較する。つまり、主制御部10は、暗証コードデータ9Dに記憶されている登録された暗証コードと、ステップS32からステップS42で入力を検出し、バッファに退避させた入力データと対比する。なお、主制御部10は、入力キー情報と、特徴点情報との夫々について対比する。
【0066】
ステップS46で比較を行ったら、主制御部10は、ステップS48として、一致しているか否かを判定する。ステップS48で一致していない場合(ステップS48,No)、つまり、入力キー情報及び特徴点情報の少なくとも一方が一致しない場合、主制御部10は、ステップS50として、不一致である旨を通知するメッセージをタッチパネル2に表示させる。その後、主制御部10は、ステップS52として、所定回数をオーバーしているか否か、つまり、入力した暗証コードと登録されている暗証コードとが不一致であった回数が一定回数以上であるかを判定する。ステップS52で所定回数を超えていない場合(ステップS52,No)、主制御部10は、ステップS32に進む。これにより、主制御部10は、暗証コードの入力を検出する。なお、この場合、検出した入力暗証コードデータは、一旦消去する。また、不一致であった回数を1カウントアップする。
【0067】
ステップS52で所定回数を超えている場合(ステップS52,Yes)、主制御部10は、ステップS54として、対象となっている動作の機能を使用不可能にする機能完全ロック処理を行い、暗証コード入力処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS48で一致している場合(ステップS48,Yes)、つまり、入力キー情報及び特徴点情報の両方が一致している場合、主制御部10は、ステップS56として、制限している動作の制限を解除するロック解除を行う。これにより、動作制御プログラム9Aで実行可能な処理を制限なく使用することが可能となる。
【0069】
その後、主制御部10は、ステップS58として、制限を解除した旨のメッセージを表示させ、ステップS60として、機能が操作されたら、暗証コード入力処理を終了する。なお、制限を解除した旨のメッセージとしては、暗証コードが一致した旨を表示させても、機能が解除された旨を表示させてもよい。また、主制御部10は、ステップS60で、機能が操作されたら処理を終了したが、解除メッセージを表示させたら処理を終了させてもよい。
【0070】
携帯電話端末1は、図12に示すように、入力された暗証コードが一定回数以上、不一致であった場合は、機能を使用不可能な状態とすることで、第三者が繰り返し入力し、暗証コードが偶然一致してしまう恐れを低減することができ、セキュリティー性をより高くすることができる。
【0071】
ここで、携帯電話端末1は、制限する動作(制御対象)として、アドレス帳の閲覧動作や、ブラウザの使用動作、着信履歴、発信履歴の閲覧動作等が例示される。ここで、これらの制御対象の動作は、主制御部10で動作制御プログラム9Aを実行することで行われる。ここで、携帯電話端末1は、動作がロックされている状態では、アドレス帳の一部または全部が閲覧できない状態、ブラウザが使用できない状態、着信履歴、発信履歴の閲覧ができない状態等にされている。これに対して、ステップS56でロックが解除されると、各種機能が使用可能、閲覧可能になり、ステップS54で機能完全ロック状態になると、その後、正しい暗証コードを入力しても、各種機能が使用できない状態になる。
【0072】
なお、制限する動作(制御対象)は特に限定されず、電子機器の種類によって、種々の制限を設定することができる。以下、図13−1から図13−3を用いて説明する。ここで、図13−1から図13−3は、それぞれ、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。より具体的には、図13−1は、電子機器をATMに用いた例であり、図13−2は、電子機器を金庫に用いた例であり、図13−3は、電子機器をオートロックのドアに用いた例である。
【0073】
図13−1に示すATM100は、電子機器1aと、利用者に現金を渡す現金供給部102と、利用者から現金を受け取る現金受け取り部104とを有する。なお、ATM100は、カード情報の読み取り部や、通帳の読み取り、書き込み部等も備えている。また、ATM100は、通信回線を通じて、ホストコンピュータ106と接続されている。また、電子機器1aは、通話機能を備えていない、また、記憶部に記憶されている情報の一部が異なる点を除いて、主な機能が携帯電話端末1と同様である。
【0074】
ATM100は、電子機器1aのタッチパネルに各種操作の情報を表示し、利用者によって入力される情報を検出する。ATM100は、利用者によって、現金の引き出し指示が入力されたら、タッチパネルに暗証コードの入力画面を表示させる。ATM100は、タッチパネルで暗証コードの入力を検出したら、ホストコンピュータ106に記憶されている暗証コードの情報と照合し、暗証コードが一致したら、現金供給部102に現金を供給し、利用者に現金を渡す。また、ATM100は、暗証コードが一致しない(不一致の場合)は、不一致である旨の情報を表示部に表示させる。この場合、制御対象は、現金供給部102となり、制御対象の動作は、現金供給部102による現金の供給動作となる。
【0075】
また、ATM100の場合は、現金の引き出し時に加え、振込み時や、暗証コードの変更時等にも、同様に利用者に暗証コードを入力させ、暗証コードが一致するかを判定することができる。
【0076】
次に、図13−2に示す金庫110は、電子機器1bと、鍵112とを有する。電子機器1bは、通信機能を備えていない、また、記憶部に記憶されている情報の一部が異なる点を除いて、主な機能が携帯電話端末1と同様である。金庫110は、電子機器1bのタッチパネルの一部が接触されたら、暗証コードの入力画面を表示させ、タッチパネルで暗証コードの入力を検出したら記憶されている暗証コードの情報と照合し、暗証コードが一致したら、鍵112を開状態にする。また、金庫110は、暗証コードが一致しない(不一致の場合)は、不一致である旨の情報を表示部に表示させ、鍵112を閉状態で維持する。以上より、この場合、制御対象は、鍵112となり、制御対象の動作が鍵112の開閉動作となる。
【0077】
次に、図13−3に示すドア機構120は、オートロックの自動ドアであり、電子機器1cと、開閉ドア122a、122bと、ドアを駆動する駆動部124a、124bとを有する。電子機器1cは、通信機能を備えていない、また、記憶部に記憶されている情報の一部が異なる点を除いて、主な機能が携帯電話端末1と同様である。また、駆動部124aは、ドア122aを開閉させる駆動機構であり、駆動部124bは、ドア122bを開閉させる駆動機構である。
【0078】
ドア機構120は、電子機器1cのタッチパネルの一部が接触されたら、暗証コードの入力画面を表示させ、タッチパネルで暗証コードの入力を検出したら記憶されている暗証コードの情報と照合し、暗証コードが一致したら、駆動部124a、124bを駆動して、開閉ドア122a、122bを開状態にする。また、ドア機構120は、暗証コードが一致しない(不一致の場合)は、不一致である旨の情報を表示部に表示させ、開閉ドア122a、122bを閉状態で維持する。以上より、この場合、制御対象は、駆動部124a、124bとなり、制御対象の動作が、ドア122a、122bの開閉動作となる。
【0079】
なお、動作が制限されている制御対象と電子機器とは、一体となっている必要はない。また、上記実施例では、制御対象と電子機器とを有線で接続したが、無線で繋がってもよい。つまり、電子機器を携帯電子機器として、利用者が保持しており、入力した情報を制御対象に送るようにしてもよい。また、電子機器を1つの筺体に分けても良い。具体的には、暗証コードを入力する電子機器と、暗証コードの認証機能を有する電子機器との1つに分けてもよい。この場合、制御対象と、暗証コードの認証機能を有する電子機器を一体とすることで、暗証コードの認証機能を有する電子機器を1つとし、暗証コードを入力する電子機器を複数とすることもできる。
【0080】
ここで、上記実施例では、軌跡情報として特徴点を設定及び検出するとしたが、これに限定されない。携帯電話端末1は、軌跡情報そのものを設定及び検出するようにしても良いし、特徴点を設定及び検出するようにしてもよい。
【0081】
ここで、携帯電話端末1は、特徴点としては、種々の情報を設定することができるが、利用者が自然に行う動作(特定の動作)を特徴点として判断するようにすることが好ましい。以下、図14から図16を用いて、利用者が自然に行う動作(特定の動作)に基づいて、ボタンの入力の判断を行う場合について説明する。
【0082】
例えば、携帯電話端末1は、利用者が指を移動させた軌跡のうち、特定の動作およびその操作がタッチパネル2によって検出された位置を、特徴点と判定する。具体的には、携帯電話端末1は、指の接触を開始する動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の開始が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンへの接触を特徴点と判定する。また、携帯電話端末1は、指の移動が終了しタッチパネル2から離れる動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の終了が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンで、接触を終了することを特徴点と判定する。
【0083】
また、携帯電話端末1は、指がタッチパネル2に触れたまま移動方向を変更する動作がタッチパネル2によって検出された場合、移動方向の変更が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンで方向を変更する操作を特徴点と判定する。具体的には、携帯電話端末1は、指がボタンに進入したときの移動方向と指がボタンから出るときの移動方向とを比較し、移動方向の角度差が閾値よりも大きければ、特徴点と判定する。
【0084】
これは、他のボタンへの移動中において、単に通過するに過ぎない場合、指はボタン上を一定方向へ移動し、図14に示すように進入時の移動方向(ベクトル)を示すV1と脱出時の移動方向を示すV2の角度差は小さくなると考えられるためである。また、図15に示すように進入時の移動方向を示すV3と脱出時の移動方向を示すV4の角度差が大きい場合、利用者が意図的にそのボタンに触れた後に他のボタンに触れるために移動方向を変更した可能性が高いためである。つまり、このボタンが目的ボタンの一つであったと判定できる。このため、入力時は、同様に角度が変化すると考えられるため、特徴点として判定し、比較の対象とすることができる。なお、移動方向の角度変化は、ボタンの通過時以外にも領域と対応付けて特徴点として検出してもよい。
【0085】
また、携帯電話端末1は、図16に示すように、指がタッチパネル2に触れたままあるボタン領域内で回転する軌跡を描いて移動する動作がタッチパネル2によって検出された場合に、回転動作を特徴点と判定する。単に通過するに過ぎない場合に指がこのような軌跡を描いて移動することはないと考えられるためである。なお、回転する軌跡に限らずに、山型や波状等の特徴的な形状の軌跡が指によってボタン領域内で描かれた場合に、特徴点と判定することとしてもよい。
【0086】
このようにボタン領域内等で特徴的な形状の軌跡を描く指の移動が検出された場合に特徴点と判定することにより、軌跡を比較することが可能となる。このように、特徴点を比較することで、入力の癖を比較することができる。利用者の入力毎の軌跡のずれを許容しつつ、一致するかを判定することができる。
【0087】
また、特徴点として、ボタンに対する通過経路を設定、検出するようにしてもよい。例えば、「6」から「2」へ移動する際に、「3」の外周を通るか、「3」と「5」の間を通るかを特徴点として検出してもよい。
【0088】
また、上記実施例では、接触されたボタンを全て接触されたボタンとして表示欄20に表示したが、これに限定されない。携帯電話端末1は、接触されたボタンを、単に通過したに過ぎないと判定したボタンと、特徴点が検出されたボタンとに分け、特徴点が検出されたボタンのみを表示欄20に表示させるようにしてもよい。以下、図17及び図18を用いて、暗証コードの入力の他の例を説明する。なお、図17及び図18は、入力の場合として説明するが、暗証コードの設定の場合も同様である。
【0089】
図17に示す操作例では、「7」のボタン領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れて、指がタッチパネル2に触れたまま、「5」のボタンを通過し、「3」のボタンの上で移動方向を下向きに変化させている。その後、指は、「3」のボタンの上から、「6」のボタンを通過し、「9」のボタンの上で移動方向を斜め上向きに変化させている。その後、指は、「9」のボタンの上から、「4」のボタンの上で移動方向を上向きに変化させて、「1」のボタンの上に移動して、タッチパネル2から離れる。
【0090】
図17に示す操作例では、軌跡は、「7」のボタンで接触開始され、「3」のボタン、「9」のボタン、「4」のボタンの上で移動方向が一定角度以上変化し、「1」のボタンの上で、接触が終了している。これにより「7」「3」「9」「4」「1」のボタンは、特徴点として検出され、「5」「6」のボタンは、通過しただけのボタンとして検出される。この場合、主制御部10は、表示欄20に特徴点を検出したボタンに対応する文字「73941」を表示させ、「5」「6」のボタンに対応する文字を表示させない。
【0091】
なお、この場合も、主制御部10は、キー入力情報として、「7」「5」「3」「6」「9」「4」「1」を検出している。このように、利用者が意図して入力した可能性が高いボタンに対応する文字のみを表示欄20に表示させることで、利用者は、意図した番号のみを入力した場合でも、主制御部10は、通過のした番号を全て検出することができる。これにより、利用者が入力したと意識したボタン(キー)の数よりも多いボタンによって、暗証コードを比較することができる。
【0092】
図18に示す操作例では、「1」のボタン領域の外側に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れて、指がタッチパネル2に触れたまま、「1」「2」「3」のボタンを通過し、「3」のボタンの上で移動方向を下向きに変化させている。その後、指は、「3」のボタンの上から、「6」、「9」のボタンを通過し、「#」のボタンの上で移動方向を横向き(図中左向き)に変化させている。その後、指は、「#」のボタンの上から「0」のボタンの上に移動し、「0」のボタンの上で移動方向を上向きに変化させて、「8」のボタンを通過し、「5」のボタンの上に移動する。その後、指は、「5」のボタンの上から、「4」のボタンの上に移動し、「4」のボタンの上で移動方向を下向きに変化させて、「7」のボタンの上に移動し、タッチパネル2から離れる。なお、図18に示す操作例では、指の軌跡が「1」「6」「8」「5」「7」のボタンの上で一回転しており、主制御部10は、この軌跡の一回転を特徴点として検出する。
【0093】
これにより、図18に示す操作例では、軌跡が一回転した「1」「6」「8」「5」「7」のボタンで特徴点を検出し「2」「3」「9」「#」「0」「4」のボタンは、通過しただけのボタンとして検出される。この場合、主制御部10は、表示欄20に特徴点を検出したボタンに対応する文字「16857」を表示させ、「2」「3」「9」「#」「0」「4」のボタンに対応する文字を表示させない。
【0094】
このように、特徴点として、軌跡が一回転することのみを抽出した場合でも、利用者が入力したと意識したボタン(キー)の数よりも多いボタンによって、暗証コードを比較することができる。
【0095】
なお、携帯電話端末1は、特徴点として検出したボタンを入力キー情報として検出し、単に通過したキーは、軌跡情報のみで検出するようにしてもよい。また、上記実施例では、よりセキュリティー性を高くすることができ、かつ、制御が簡単になるため、入力キー情報と軌跡情報の両方を比較したが、軌跡情報のみを比較してもよい。つまり、ボタンが入力されたか否かを判定せずに、軌跡情報のみを比較するようにしてもよい。
【0096】
また、上記携帯電話端末1は、上記実施例のように、軌跡から、特徴点を検出したボタンと、単に通過しただけ等、特徴点が検出されてないボタンとの情報を検出し、ボタンと特徴点との関係のみを暗証コードとして設定、検出するようにしてもよい。さらに、スイープ動作により接触が検出されたボタンの情報のみを暗証コードとして設定してもよい。
【0097】
また、携帯電話端末1は、特徴点として、他の領域へのタップ動作を検出してもよい。つまり、一本の指がタッチパネルに接触している状態で、他の指が接触されるタイミング、位置を特徴点として検出してもよい。
【0098】
また、上記実施例では、特定の動作として、ボタン領域内でタッチパネル2に接触する動作や、ボタン領域内でタッチパネル2から指を離す動作等について説明したが、これらの動作は特定の動作の例であり、他の動作を特定の動作として扱ってもよい。
【0099】
また、上記実施例では、ソフトウェアキーボードが、テンキーである場合として説明したが、これに限定されず、種々のキー配列のキーボードを用いることができる。例えば、あいうえおキーボード、Dvorak配列のキーボード、親指シフト配列(NICOLA配列)のキーボード、DSK配列のキーボード、JIS配列のキーボード等も用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムは、暗証コードの設定または認証操作の入力に用いることに適している。
【符号の説明】
【0101】
1 携帯電話端末
2 タッチパネル
2A タッチセンサ
2B 表示部
3 入力部
3A、3B、3C ボタン
4 仮想キーボード
5 電源部
6 通信部
7 スピーカ
8 マイク
9 記憶部
9A 動作制御プログラム
9B 認証プログラム
9C 仮想キーボードデータ
9D 暗証コードデータ
10 主制御部
11 RAM
20 表示欄
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直感的な操作を可能にするとともに、キーボードのように物理的に大きな面積を必要とするデバイスを具備しない小型の電子機器を実現するために、タッチパネルが広く利用されるようになっている。タッチパネルを用いて文字を入力するための技術として、タッチパネル上で文字を手書き入力する技術(例えば、特許文献1)と、タッチパネル上に表示された仮想的なキーボード(以下、「仮想キーボード」という)を用いて文字を入力する技術(例えば、特許文献2)が知られている。
【0003】
また、電子機器には、暗証番号を登録し、暗証番号が一致しない場合は、一部機能を使用できないようにするセキュリティー機能を備えるものがある。タッチパネルを備える電子機器は、タッチパネルにキーボードを表示させることで、暗証番号を入力可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−141448号公報
【特許文献2】特開2008−108233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにタッチパネルを備える電子機器でも、タッチパネルにキーボードを表示させ、暗証番号が一致するか否かを判定することで、セキュリティー機能を実現することができる。しかしながら、暗証番号を入力するのみでは、番号を知られてしまうと第三者でも簡単に入力することができてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な操作でよりセキュリティー性の高い電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示される領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、前記タッチパネルへの接触の軌跡情報を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、前記制御部は、前記タッチパネルにおいて、スイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードの前記軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記記憶部は、前記暗証コードとして、前記軌跡情報と、前記ボタンの接触順序とを対応付けて記憶しており、前記制御部は、前記タッチパネルによって前記接触動作の接触が検出されたボタンの接触順序、及び、前記タッチパネルによって接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードとを比較し、両者が一致すれば制限解除を行い、ボタンの接触順序と前記軌跡とのいずれか一方が不一致であれば制限解除を行わないことが好ましい。
【0009】
また、前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、検出した接触動作の軌跡と、接触したボタンの情報とを対応付けて前記暗証コードとして設定することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記スイープ動作のうち、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の開始が検出された位置に表示されているボタンを前記接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の終了が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、移動方向の変化が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0014】
また、前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、特定の形状の軌跡を描く移動が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることが好ましい。
【0015】
また、前記制御部は、前記制御対象の動作として、施錠動作の制御を行い、前記制限解除を行なう場合は開錠し、前記制限解除を行わない場合は、施錠状態を維持することが好ましい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示された領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、前記タッチパネル上への前記ボタンへの接触順序を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、前記制御部は、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、前記接触動作により接触したボタンを入力として受け付け、前記入力されたボタンと前記暗証コードとを比較し、条件が一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件が不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする。
【0017】
また、前記制御部は、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることが好ましい。
【0018】
また、前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、接触したボタンの情報を前記暗証コードとして設定し、かつ、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることが好ましい。
【0019】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器の制御方法であって、前記電子機器の制御部が、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作により各ボタンの表示された領域への接触を検出するステップと、前記電子機器の制御部が、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較するステップと、前記電子機器の制御部が、前記軌跡と、前記暗証コードの軌跡情報とが条件に一致したら制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器制御プログラムであって、表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器に、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムは、簡単な操作でよりセキュリティー性を高くするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、タッチパネル上に表示される仮想キーボードを示す図である。
【図3】図3は、暗証コードの設定の操作例を示す図である。
【図4】図4は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図5】図5は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図6】図6は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図7】図7は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図8】図8は、携帯電話端末の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、仮想キーボードデータの一例を示す図である。
【図10】図10は、暗証コードの軌跡の一例を示す図である。
【図11】図11は、携帯電話端末による暗証コード設定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図12】図12は、携帯電話端末による暗証コード入力処理の処理手順を示すフロー図である。
【図13−1】図13−1は、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。
【図13−2】図13−2は、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。
【図13−3】図13−3は、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。
【図14】図14は、ボタン領域内を指が通過した例を示す図である。
【図15】図15は、ボタン領域内で指の移動方向が変化した例を示す図である。
【図16】図16は、ボタン領域内で指が回転する軌跡を描いた例を示す図である。
【図17】図17は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【図18】図18は、暗証コードの入力の操作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器として携帯電話端末を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、タッチパネルを備える各種装置、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。また、金庫や、ATM(Automated teller machine、現金自動預け払い機)、オートロックのドア等に設置する暗証コードを入力するための電子機器としても用いることができる。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の電子機器の一実施例である携帯電話端末1の外観を示す正面図である。携帯電話端末1は、タッチパネル2と、ボタン3A、ボタン3Bおよびボタン3Cからなる入力部3を備える。タッチパネル2は、文字、図形、画像等を表示するとともに、指、スタイラス、ペン等(以下、単に「指」という)を用いてタッチパネル2に対して行われる各種動作を検出する。なお、タッチパネル2は、複数点への入力を検出することができる、いわゆるマルチタッチパネルである。入力部3は、いずれかのボタンが押下された場合に、押下されたボタンに対応する機能を起動させる。
【0025】
携帯電話端末1は、利用者から文字の入力を受け付けるために、図2に示すように、タッチパネル2上に仮想キーボード4を表示させる。仮想キーボード4は、物理的なキーボードのキーを模した複数の仮想的なボタンを含む。例えば、利用者が仮想キーボード4内の「1」のボタンに指を置いて(接触して)離す動作をすると、その動作がタッチパネル2によって検出され、携帯電話端末1は、「1」という文字を入力として受け付ける。また、携帯電話端末1は、タッチパネル2上に表示欄20を表示させる。表示欄20には、入力されたボタンの数字が表示される。例えば、携帯電話端末1は、「1」という文字を入力として受け付けたら、表示欄20に「1」を表示させる。
【0026】
携帯電話端末1は、さらに、仮想キーボード4上での連続方式による文字の入力を受け付ける。連続方式とは、利用者が指をタッチパネル2に接触させたまま仮想キーボード4上を移動させること、つまり、スイープ動作によって複数の文字を連続して入力することを可能にする方式である。連続方式では、利用者は、例えば、指をタッチパネル2に接触させたままで、「1」のボタン、「5」のボタン、「8」のボタンの順に滑るように移動させることで「158」という文字列を入力することができる。
【0027】
携帯電話端末1は、入力された文字列と、利用者が指をタッチパネル2に接触させたまま仮想キーボード4上を移動させる軌跡も暗証コードとして記憶する。このように、携帯電話端末1は、暗証コードとして、入力された文字列と軌跡の両方を記憶し、暗証コード入力時に、入力された文字列に加え、軌跡も照合することで、セキュリティー性を高くすることができる。
【0028】
また、連続方式では、ボタン毎に指を上げ下げする動作を行わずに、タッチパネル2上で指を滑るように移動させるだけで複数の文字を入力することができるため、非常に高速に文字を入力することができる。
【0029】
また、携帯電話端末1は、入力の軌跡として、軌跡の特徴点を抽出する。携帯電話端末1は、例えば、指の接触を開始する動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の開始が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンを特徴点と判定する。また、携帯電話端末1は、指の移動が終了しタッチパネル2から離れる動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の終了が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンを特徴点と判定する。
【0030】
利用者が携帯電話端末1に暗証コードとして「78625」を設定する場合の操作例を図3に示す。s111では、暗証コードの設定処理を起動させる指示が入力される。この場合、携帯電話端末1は、暗証コードの設定処理を開始する指示が入力されたと判断し、設定画面を表示させる。ここで、設定画面は、上述した利用者から文字の入力を受け付けるための仮想キーボード4と、入力された文字を表示させる表示欄20とで構成される画面である。
【0031】
s112では、「7」のボタン領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、指が置かれた「7」のボタンが触れられたと判断する。
【0032】
s113では、「7」に触れていた指がタッチパネル2から離れている。この場合、携帯電話端末1は、指が置かれた「7」のボタンのみが触れられたと判断し、接触された「7」のボタンの情報と、「7」のボタンのみが触れられた接触の軌跡を記憶する。また、携帯電話端末1は、接触された「7」のボタンに対応する文字を「7」を表示欄20に表示させる。
【0033】
s114では、「8」のボタンの領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れている状態から、指がタッチパネル2に触れたまま(スイープ動作で)、「8」のボタンの上から「6」のボタンの上に移動している。なお、「8」のボタンの上から「6」のボタンの上に移動する間、他のボタン(「5」、「9」のボタン)の領域は通過していない。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま「6」のボタンの上から、「3」のボタンに触れないように「3」のボタンの外周を回って「2」の上に移動している。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま、「2」のボタンの上から「5」のボタンの上に移動している。この場合、携帯電話端末1は、指が接触した「8」、「6」、「2」、「5」のボタンがこの順番で触れられたと判断し、接触された「8」、「6」、「2」、「5」のボタンの情報と、接触された「8」のボタンから「5」のボタンに移動する指の軌跡を記憶する。また、携帯電話端末1は、既に表示している「7」に接触された「8」、「6」、「2」、「5」のボタンに対応する文字を加えた「78625」を表示欄20に表示させる。
【0034】
s115では、暗証コードの設定が完了した指示入力される。この場合、携帯電話端末1は、暗証コードの設定が完了した指示が入力されたと判断し、設定完了の画面を表示させる。また、携帯電話端末1は、入力されたボタンの情報(入力キー情報)と、指の軌跡情報(軌跡の特徴点)を暗証コードとして記憶する。
【0035】
以上の操作により、携帯電話端末1は、入力されたボタン及びその入力順序の情報をボタン(キー)の情報とし、指がタッチパネル2に接触した軌跡を軌跡情報とした暗証コードを検出し、記憶する。
【0036】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例を図4に示す。なお、携帯電話端末1は、暗証コードの入力が検出された場合のみ、一部の機能を実行可能な設定とされている。つまり、携帯電話端末1は、設定された暗証コードが入力されることで、制限されている所定の機能を解除する。
【0037】
s120では、利用者が指により上述した設定と同じ順序、軌跡でタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「78625」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較し、検出した入力と暗証コードとが一致すると判断する。
【0038】
s121では、使用が制限されている機能が解除された旨を通知するメッセージとして「ロック解除○○○○○使用できます」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能の制限を解除し、制限していた機能を使用可能な状態とする。
【0039】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例の他の例を図5に示す。図5に示すs122では、利用者が指により「7」、「5」、「3」、「6」、「4」のボタンに順番に触れている。また、指は、1つのボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れたら、タッチパネル2から離れ、次のボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「75364」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較する。携帯電話端末1は、暗証コードとして記憶しているキー情報「78625」と、検出したボタンの接触の順番「75364」とが不一致であると判断する。これにより、携帯電話端末1は、検出した入力は、暗証コードと不一致であると判断する。
【0040】
s123では、検出した接触と、暗証コードとが不一致である旨を通知するメッセージとして「暗証番号が違います」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能を制限している状態を維持する。
【0041】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例の他の例を図6に示す。図6に示すs124では、利用者が指により「7」、「8」、「6」、「2」、「5」のボタンに順番に触れている。また、指は、1つのボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れたら、タッチパネル2から離れ、次のボタンに対応する領域のタッチパネル2に触れている。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「78625」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較する。
【0042】
携帯電話端末1は、暗証コードとして記憶しているキー情報「78625」と、検出したボタンの接触の順番「78625」とが一致すると判断するが、暗証コードの軌跡が「8」のボタンから「5」のボタンまでは継続した接触であるのに対して、検出した軌跡が「8」のボタンから「5」のボタンまでをそれぞれのボタンが別々の接触である点で不一致であると判断する。これにより、携帯電話端末1は、検出した入力は、暗証コードと不一致であると判断する。
【0043】
s125では、検出した接触と、暗証コードとが不一致である旨を通知するメッセージとして「暗証番号が違います」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能を制限している状態を維持する。
【0044】
次に、利用者が携帯電話端末1に暗証コードを入力する場合の操作例の他の例を図7に示す。図7に示すs126では、「7」のボタン領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れて、その後、「7」に触れていた指がタッチパネル2から離れている。次に、指が「8」のボタンの領域内に置かれ、指がタッチパネル2に触れている状態から、指がタッチパネル2に触れたまま、「8」のボタンの上から「6」のボタンの上に移動している。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま「6」のボタンの上から、「3」のボタンと、「5」のボタンの間を通って「2」の上に移動している。その後、指は、指がタッチパネル2に触れたまま、「2」のボタンの上から「5」のボタンの上に移動している。この場合、携帯電話端末1は、入力されたキーを表示欄20に表示させる。具体的には、「78625」と表示する。その後、携帯電話端末1は、検出した入力と暗証コードとを比較する。
【0045】
携帯電話端末1は、暗証コードとして記憶しているキー情報「78625」と、検出したボタンの接触の順番「78625」とが一致すると判断するが、暗証コードの軌跡が「6」のボタンから「3」のボタンの外周を回って「2」のボタンに接触しているのに対して、検出した軌跡が「6」のボタンから「3」のボタンと「5」のボタンの間を通って「2」のボタンに接触している点で不一致であると判断する。これにより、携帯電話端末1は、検出した入力は、暗証コードと不一致であると判断する。
【0046】
s127では、検出した接触と、暗証コードとが不一致である旨を通知するメッセージとして「暗証番号が違います」と表示されている。この場合、携帯電話端末1は、メッセージを表示させつつ、機能を制限している状態を維持する。
【0047】
以上の操作により、携帯電話端末1は、入力されたボタン(キー)の情報に加え、軌跡情報も暗証コードとして記憶し、暗証コードの照会時、つまり、制限の解除動作時に、検出したボタンの情報と軌跡情報と比較する。携帯電話端末1は、ボタンの情報と軌跡情報とが一致したら、制限を解除する。これにより、ボタンの入力順序のみで、暗証コードを比較した場合よりも、セキュリティー性をより高くすることができる。また、利用者は、自身の癖に基づいて入力すればよいため、通常のボタンの押下動作と同等の操作を入力すればよい。このため、通常の暗証コードの入力と同等の負荷で、複雑な暗証番号を記憶する場合と同様のセキュリティー性を得ることができる。
【0048】
次に、携帯電話端末1の機能と制御部との関係を説明する。図8は、図1に示す携帯電話端末1の機能の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように携帯電話端末1は、タッチパネル2と、入力部3と、電源部5と、通信部6と、スピーカ7と、マイク8と、記憶部9と、主制御部10と、RAM(Random Access Memory)11とを有する。
【0049】
タッチパネル2は、表示部2Bと、表示部2Bに重畳されたタッチセンサ2Aとを有する。タッチセンサ2Aは、指を用いてタッチパネル2に対して行われた各種動作を、動作が行われた場所のタッチパネル2上での位置とともに検出する。タッチセンサ2Aによって検出される動作には、指をタッチパネル2の表面に接触させる動作や、指をタッチパネル2の表面に接触させたまま移動させる動作や、指をタッチパネル2の表面から離す動作が含まれる。なお、タッチセンサ2Aは、感圧式、静電式等のいずれの検出方式を採用していてもよい。表示部2Bは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成され、文字、図形、画像等を表示する。
【0050】
入力部3は、物理的なボタン等を通じて利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部10へ送信する。電源部5は、蓄電池または外部電源から得られる電力を、主制御部10を含む携帯電話端末1の各機能部へ供給する。通信部6は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。スピーカ7は、電話通信における相手側の音声や着信音等を出力する。マイク8は、利用者等の音声を電気的な信号へ変換する。
【0051】
記憶部9は、例えば、不揮発性メモリや磁気記憶装置であり、主制御部10での処理に利用されるプログラムやデータを保存する。具体的には、記憶部9は各種の動作を制御するための動作制御プログラム9Aや、暗証コードの設定や、認証の制御を行うための認証プログラム9Bや、暗証コードの設定時や、認証時にタッチパネル2に表示される仮想キーボード4に関する定義を含む仮想キーボードデータ9Cや、認証プログラム9Bで設定、使用される暗証コードの定義を含む暗証コードデータ9Dを記憶する。記憶部9には、携帯電話端末1の基本的な機能を実現するオペレーティングシステムプログラムや、氏名、電話番号、メールアドレス等が登録されたアドレス帳データ等の他のプログラムやデータも記憶される。
【0052】
主制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末1の動作を統括的に制御する。具体的には、主制御部10は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部9に記憶されているプログラムを実行して、タッチパネル2、通信部6等を制御することによって各種処理を実行する。主制御部10は、記憶部9に記憶されているプログラムや、処理を実行することによって取得/生成/加工されたデータを、一時的な記憶領域を提供するRAM11に必要に応じて展開する。なお、主制御部10が実行するプログラムや参照するデータは、通信部6による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。
【0053】
ここで、記憶部9が記憶する仮想キーボードデータ9Cの一例を図9に示す。図9の例に示すように、仮想キーボードデータ9Cには、仮想キーボード4に含まれるボタン毎に、ボタンに対応する文字、ボタンの位置(例えば、左上座標)、幅、高さ等が登録される。図9に示す例では、あるボタンに対応する文字(数字)が「1」であり、そのボタンの左上座標がX=10、Y=10であり、そのボタンの幅と高さが20と40であること等が登録されている。
【0054】
また、暗証コードデータ9Dには、ボタン(キー)の情報と、軌跡情報が登録されている。本実施形態では、ボタンの情報として「7」、「8」、「6」、「2」、「5」が登録されており、軌跡情報として、図10に示すような情報が記憶されている。なお、図10に示す軌跡情報は、上述したように、「7」のボタンに触れた後、接触が解消され、その後、「8」のボタンが接触され、接触状態が維持されたまま、「6」のボタンに移動し、「3」のボタンの外周を通って、「2」、「5」のボタンに触れる軌跡である。
【0055】
次に、携帯電話端末1が暗証コードを設定する場合の動作について説明する。図11は、携帯電話端末による暗証コード設定処理の処理手順を示すフロー図である。図11に示す暗証コード設定処理は、主制御部10が記憶部9から認証プログラム9Bを読み出して実行することにより実現される。
【0056】
まず、主制御部10は、ステップS12として、表示を更新し、仮想キーボード4及び表示欄20をタッチパネル2上に表示させる。主制御部10は、暗証コードの設定処理を起動させる指示を検出したら、タッチパネル2に表示させる画像を切り替え、仮想キーボード4及び表示欄20を表示させる。その後、主制御部10は、ステップS14として、タッチパネル駆動処理を行い、タッチパネル2への指の接触を検出できる状態とする。
【0057】
その後、主制御部10は、ステップS16として、タッチパネル2により操作を検出する。つまり、主制御部10は、指の接触をタッチパネル2により検出し、仮想キーボード4のボタンへの接触を検出する。その後、主制御部10は、ステップS18として、検出したボタンへの接触を入力キー情報(ボタン情報)として、バッファに退避させる。なお、バッファは、入力キー情報と、後述する特徴点情報(軌跡情報)を一時的に記憶する記憶領域であり、RAM11に設けられる。
【0058】
主制御部10は、入力キー情報をバッファに退避させたら、ステップS20として、特徴点情報(軌跡情報)を抽出する。具体的には、主制御部10は、タッチパネル2で検出した接触動作から、接触開始動作(タッチパネル2へタッチする動作)、接触終了動作(タッチパネル2から離れる動作)、接触角度の急激な変化、仮想キーボード4の領域外への移動を抽出する。その後、主制御部10は、ステップS22として、特徴点があるか否か、つまり、ステップS20で特徴点が抽出されたか否かを判定する。特徴点がある場合(ステップS22,Yes)、主制御部10は、ステップS24として、入力キー情報と特徴点をバッファに順に退避させる。なお、主制御部10は、新たに退避させる入力キー情報がない場合は、特徴点情報のみをバッファに退避させる。
【0059】
ステップS24の処理が終了した場合、または、特徴点がない場合(ステップS22,No)、主制御部10は、ステップS26として、設定完了か否かを判定する。なお、設定完了であるか否かは、設定完了の操作が入力されているか否かで判定することができる。ステップS26で設定完了ではない場合(ステップS26,No)、主制御部10は、ステップS16に進み、ステップS16からステップS26の処理を繰り返す。
【0060】
ステップS26で設定完了である場合(ステップS26,Yes)、主制御部10は、ステップS28として、退避した情報を暗証コード記憶エリア、つまり、暗証コードデータ9Dに保存して、処理を終了する。
【0061】
次に、図12に示したフロー図を参照しながら、暗証コード入力処理について説明する。ここで、図12は、携帯電話端末による暗証コード入力処理の処理手順を示すフロー図である。図12に示す暗証コード入力処理も、主制御部10が記憶部9から認証プログラム9Bを読み出して実行することにより実現される。また、主制御部10は、例えば、動作制御プログラム9Aにより実行可能な動作に対して設定されている動作の制限の解除を希望する指示を検出したら、認証プログラム9Bを実行し、暗証コードと入力動作が一致するかを判定する。
【0062】
まず、主制御部10は、ステップS30として、タッチパネル駆動処理を行い、タッチパネル2への指の接触を検出できる状態とし、ステップS32として、タッチパネル2により操作を検出する。その後、主制御部10は、ステップS34として、一筆書きキーボード入力操作を検知する。つまり、主制御部10は、タッチパネル2で検出した接触から、指が接触した状態で接触位置が移動した操作(スイープ動作)を検出する。その後、主制御部10は、検出した入力操作に特徴点があるか否かを判定する。なお、特徴点の情報としては、上述した各種入力の軌跡が例示される。ステップS36で特徴点が検出された場合(ステップS36,Yes)、主制御部10は、ステップS38として、特徴点情報をバッファに退避させる。なお、バッファは、上述の暗証コード設定処理と同様にRAM11に設けられている。
【0063】
一方、ステップS36で特徴点が検出されない場合(ステップS36,No)または、ステップS38の処理が完了したら、主制御部10は、ステップS40として、入力キーデータ(入力キー情報)をバッファに退避させる。なお、入力キー情報は、ステップS32で検出したタッチパネルの操作で、通過したボタンの情報である。
【0064】
ステップS40で入力キー情報をバッファに退避させたら、主制御部10は、ステップS42として、利用者による暗証コードの入力が完了したか否かを判定する。なお、ステップS32からステップS42で入力される暗証コードは、認証のために入力される操作(入力暗証コードデータ)である。また、入力完了であるか否かは、入力完了の操作が入力されているか否かで判定することができる。
【0065】
ステップS42で入力完了ではない場合(ステップS42,No)、主制御部10は、ステップS32に進み、ステップS32からステップS42の処理を繰り返す。一方、ステップS42で設定完了である場合(ステップS42,Yes)、主制御部10は、ステップS44として、暗証コード記憶エリアの登録データを書き出し、ステップS46として、バッファに退避した入力暗証コードデータと比較する。つまり、主制御部10は、暗証コードデータ9Dに記憶されている登録された暗証コードと、ステップS32からステップS42で入力を検出し、バッファに退避させた入力データと対比する。なお、主制御部10は、入力キー情報と、特徴点情報との夫々について対比する。
【0066】
ステップS46で比較を行ったら、主制御部10は、ステップS48として、一致しているか否かを判定する。ステップS48で一致していない場合(ステップS48,No)、つまり、入力キー情報及び特徴点情報の少なくとも一方が一致しない場合、主制御部10は、ステップS50として、不一致である旨を通知するメッセージをタッチパネル2に表示させる。その後、主制御部10は、ステップS52として、所定回数をオーバーしているか否か、つまり、入力した暗証コードと登録されている暗証コードとが不一致であった回数が一定回数以上であるかを判定する。ステップS52で所定回数を超えていない場合(ステップS52,No)、主制御部10は、ステップS32に進む。これにより、主制御部10は、暗証コードの入力を検出する。なお、この場合、検出した入力暗証コードデータは、一旦消去する。また、不一致であった回数を1カウントアップする。
【0067】
ステップS52で所定回数を超えている場合(ステップS52,Yes)、主制御部10は、ステップS54として、対象となっている動作の機能を使用不可能にする機能完全ロック処理を行い、暗証コード入力処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS48で一致している場合(ステップS48,Yes)、つまり、入力キー情報及び特徴点情報の両方が一致している場合、主制御部10は、ステップS56として、制限している動作の制限を解除するロック解除を行う。これにより、動作制御プログラム9Aで実行可能な処理を制限なく使用することが可能となる。
【0069】
その後、主制御部10は、ステップS58として、制限を解除した旨のメッセージを表示させ、ステップS60として、機能が操作されたら、暗証コード入力処理を終了する。なお、制限を解除した旨のメッセージとしては、暗証コードが一致した旨を表示させても、機能が解除された旨を表示させてもよい。また、主制御部10は、ステップS60で、機能が操作されたら処理を終了したが、解除メッセージを表示させたら処理を終了させてもよい。
【0070】
携帯電話端末1は、図12に示すように、入力された暗証コードが一定回数以上、不一致であった場合は、機能を使用不可能な状態とすることで、第三者が繰り返し入力し、暗証コードが偶然一致してしまう恐れを低減することができ、セキュリティー性をより高くすることができる。
【0071】
ここで、携帯電話端末1は、制限する動作(制御対象)として、アドレス帳の閲覧動作や、ブラウザの使用動作、着信履歴、発信履歴の閲覧動作等が例示される。ここで、これらの制御対象の動作は、主制御部10で動作制御プログラム9Aを実行することで行われる。ここで、携帯電話端末1は、動作がロックされている状態では、アドレス帳の一部または全部が閲覧できない状態、ブラウザが使用できない状態、着信履歴、発信履歴の閲覧ができない状態等にされている。これに対して、ステップS56でロックが解除されると、各種機能が使用可能、閲覧可能になり、ステップS54で機能完全ロック状態になると、その後、正しい暗証コードを入力しても、各種機能が使用できない状態になる。
【0072】
なお、制限する動作(制御対象)は特に限定されず、電子機器の種類によって、種々の制限を設定することができる。以下、図13−1から図13−3を用いて説明する。ここで、図13−1から図13−3は、それぞれ、電子機器の他の一例の概略構成を示す模式図である。より具体的には、図13−1は、電子機器をATMに用いた例であり、図13−2は、電子機器を金庫に用いた例であり、図13−3は、電子機器をオートロックのドアに用いた例である。
【0073】
図13−1に示すATM100は、電子機器1aと、利用者に現金を渡す現金供給部102と、利用者から現金を受け取る現金受け取り部104とを有する。なお、ATM100は、カード情報の読み取り部や、通帳の読み取り、書き込み部等も備えている。また、ATM100は、通信回線を通じて、ホストコンピュータ106と接続されている。また、電子機器1aは、通話機能を備えていない、また、記憶部に記憶されている情報の一部が異なる点を除いて、主な機能が携帯電話端末1と同様である。
【0074】
ATM100は、電子機器1aのタッチパネルに各種操作の情報を表示し、利用者によって入力される情報を検出する。ATM100は、利用者によって、現金の引き出し指示が入力されたら、タッチパネルに暗証コードの入力画面を表示させる。ATM100は、タッチパネルで暗証コードの入力を検出したら、ホストコンピュータ106に記憶されている暗証コードの情報と照合し、暗証コードが一致したら、現金供給部102に現金を供給し、利用者に現金を渡す。また、ATM100は、暗証コードが一致しない(不一致の場合)は、不一致である旨の情報を表示部に表示させる。この場合、制御対象は、現金供給部102となり、制御対象の動作は、現金供給部102による現金の供給動作となる。
【0075】
また、ATM100の場合は、現金の引き出し時に加え、振込み時や、暗証コードの変更時等にも、同様に利用者に暗証コードを入力させ、暗証コードが一致するかを判定することができる。
【0076】
次に、図13−2に示す金庫110は、電子機器1bと、鍵112とを有する。電子機器1bは、通信機能を備えていない、また、記憶部に記憶されている情報の一部が異なる点を除いて、主な機能が携帯電話端末1と同様である。金庫110は、電子機器1bのタッチパネルの一部が接触されたら、暗証コードの入力画面を表示させ、タッチパネルで暗証コードの入力を検出したら記憶されている暗証コードの情報と照合し、暗証コードが一致したら、鍵112を開状態にする。また、金庫110は、暗証コードが一致しない(不一致の場合)は、不一致である旨の情報を表示部に表示させ、鍵112を閉状態で維持する。以上より、この場合、制御対象は、鍵112となり、制御対象の動作が鍵112の開閉動作となる。
【0077】
次に、図13−3に示すドア機構120は、オートロックの自動ドアであり、電子機器1cと、開閉ドア122a、122bと、ドアを駆動する駆動部124a、124bとを有する。電子機器1cは、通信機能を備えていない、また、記憶部に記憶されている情報の一部が異なる点を除いて、主な機能が携帯電話端末1と同様である。また、駆動部124aは、ドア122aを開閉させる駆動機構であり、駆動部124bは、ドア122bを開閉させる駆動機構である。
【0078】
ドア機構120は、電子機器1cのタッチパネルの一部が接触されたら、暗証コードの入力画面を表示させ、タッチパネルで暗証コードの入力を検出したら記憶されている暗証コードの情報と照合し、暗証コードが一致したら、駆動部124a、124bを駆動して、開閉ドア122a、122bを開状態にする。また、ドア機構120は、暗証コードが一致しない(不一致の場合)は、不一致である旨の情報を表示部に表示させ、開閉ドア122a、122bを閉状態で維持する。以上より、この場合、制御対象は、駆動部124a、124bとなり、制御対象の動作が、ドア122a、122bの開閉動作となる。
【0079】
なお、動作が制限されている制御対象と電子機器とは、一体となっている必要はない。また、上記実施例では、制御対象と電子機器とを有線で接続したが、無線で繋がってもよい。つまり、電子機器を携帯電子機器として、利用者が保持しており、入力した情報を制御対象に送るようにしてもよい。また、電子機器を1つの筺体に分けても良い。具体的には、暗証コードを入力する電子機器と、暗証コードの認証機能を有する電子機器との1つに分けてもよい。この場合、制御対象と、暗証コードの認証機能を有する電子機器を一体とすることで、暗証コードの認証機能を有する電子機器を1つとし、暗証コードを入力する電子機器を複数とすることもできる。
【0080】
ここで、上記実施例では、軌跡情報として特徴点を設定及び検出するとしたが、これに限定されない。携帯電話端末1は、軌跡情報そのものを設定及び検出するようにしても良いし、特徴点を設定及び検出するようにしてもよい。
【0081】
ここで、携帯電話端末1は、特徴点としては、種々の情報を設定することができるが、利用者が自然に行う動作(特定の動作)を特徴点として判断するようにすることが好ましい。以下、図14から図16を用いて、利用者が自然に行う動作(特定の動作)に基づいて、ボタンの入力の判断を行う場合について説明する。
【0082】
例えば、携帯電話端末1は、利用者が指を移動させた軌跡のうち、特定の動作およびその操作がタッチパネル2によって検出された位置を、特徴点と判定する。具体的には、携帯電話端末1は、指の接触を開始する動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の開始が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンへの接触を特徴点と判定する。また、携帯電話端末1は、指の移動が終了しタッチパネル2から離れる動作がタッチパネル2によって検出された場合、接触の終了が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンで、接触を終了することを特徴点と判定する。
【0083】
また、携帯電話端末1は、指がタッチパネル2に触れたまま移動方向を変更する動作がタッチパネル2によって検出された場合、移動方向の変更が検出された位置にボタンがあれば、そのボタンで方向を変更する操作を特徴点と判定する。具体的には、携帯電話端末1は、指がボタンに進入したときの移動方向と指がボタンから出るときの移動方向とを比較し、移動方向の角度差が閾値よりも大きければ、特徴点と判定する。
【0084】
これは、他のボタンへの移動中において、単に通過するに過ぎない場合、指はボタン上を一定方向へ移動し、図14に示すように進入時の移動方向(ベクトル)を示すV1と脱出時の移動方向を示すV2の角度差は小さくなると考えられるためである。また、図15に示すように進入時の移動方向を示すV3と脱出時の移動方向を示すV4の角度差が大きい場合、利用者が意図的にそのボタンに触れた後に他のボタンに触れるために移動方向を変更した可能性が高いためである。つまり、このボタンが目的ボタンの一つであったと判定できる。このため、入力時は、同様に角度が変化すると考えられるため、特徴点として判定し、比較の対象とすることができる。なお、移動方向の角度変化は、ボタンの通過時以外にも領域と対応付けて特徴点として検出してもよい。
【0085】
また、携帯電話端末1は、図16に示すように、指がタッチパネル2に触れたままあるボタン領域内で回転する軌跡を描いて移動する動作がタッチパネル2によって検出された場合に、回転動作を特徴点と判定する。単に通過するに過ぎない場合に指がこのような軌跡を描いて移動することはないと考えられるためである。なお、回転する軌跡に限らずに、山型や波状等の特徴的な形状の軌跡が指によってボタン領域内で描かれた場合に、特徴点と判定することとしてもよい。
【0086】
このようにボタン領域内等で特徴的な形状の軌跡を描く指の移動が検出された場合に特徴点と判定することにより、軌跡を比較することが可能となる。このように、特徴点を比較することで、入力の癖を比較することができる。利用者の入力毎の軌跡のずれを許容しつつ、一致するかを判定することができる。
【0087】
また、特徴点として、ボタンに対する通過経路を設定、検出するようにしてもよい。例えば、「6」から「2」へ移動する際に、「3」の外周を通るか、「3」と「5」の間を通るかを特徴点として検出してもよい。
【0088】
また、上記実施例では、接触されたボタンを全て接触されたボタンとして表示欄20に表示したが、これに限定されない。携帯電話端末1は、接触されたボタンを、単に通過したに過ぎないと判定したボタンと、特徴点が検出されたボタンとに分け、特徴点が検出されたボタンのみを表示欄20に表示させるようにしてもよい。以下、図17及び図18を用いて、暗証コードの入力の他の例を説明する。なお、図17及び図18は、入力の場合として説明するが、暗証コードの設定の場合も同様である。
【0089】
図17に示す操作例では、「7」のボタン領域内に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れて、指がタッチパネル2に触れたまま、「5」のボタンを通過し、「3」のボタンの上で移動方向を下向きに変化させている。その後、指は、「3」のボタンの上から、「6」のボタンを通過し、「9」のボタンの上で移動方向を斜め上向きに変化させている。その後、指は、「9」のボタンの上から、「4」のボタンの上で移動方向を上向きに変化させて、「1」のボタンの上に移動して、タッチパネル2から離れる。
【0090】
図17に示す操作例では、軌跡は、「7」のボタンで接触開始され、「3」のボタン、「9」のボタン、「4」のボタンの上で移動方向が一定角度以上変化し、「1」のボタンの上で、接触が終了している。これにより「7」「3」「9」「4」「1」のボタンは、特徴点として検出され、「5」「6」のボタンは、通過しただけのボタンとして検出される。この場合、主制御部10は、表示欄20に特徴点を検出したボタンに対応する文字「73941」を表示させ、「5」「6」のボタンに対応する文字を表示させない。
【0091】
なお、この場合も、主制御部10は、キー入力情報として、「7」「5」「3」「6」「9」「4」「1」を検出している。このように、利用者が意図して入力した可能性が高いボタンに対応する文字のみを表示欄20に表示させることで、利用者は、意図した番号のみを入力した場合でも、主制御部10は、通過のした番号を全て検出することができる。これにより、利用者が入力したと意識したボタン(キー)の数よりも多いボタンによって、暗証コードを比較することができる。
【0092】
図18に示す操作例では、「1」のボタン領域の外側に指が置かれ、指がタッチパネル2に触れて、指がタッチパネル2に触れたまま、「1」「2」「3」のボタンを通過し、「3」のボタンの上で移動方向を下向きに変化させている。その後、指は、「3」のボタンの上から、「6」、「9」のボタンを通過し、「#」のボタンの上で移動方向を横向き(図中左向き)に変化させている。その後、指は、「#」のボタンの上から「0」のボタンの上に移動し、「0」のボタンの上で移動方向を上向きに変化させて、「8」のボタンを通過し、「5」のボタンの上に移動する。その後、指は、「5」のボタンの上から、「4」のボタンの上に移動し、「4」のボタンの上で移動方向を下向きに変化させて、「7」のボタンの上に移動し、タッチパネル2から離れる。なお、図18に示す操作例では、指の軌跡が「1」「6」「8」「5」「7」のボタンの上で一回転しており、主制御部10は、この軌跡の一回転を特徴点として検出する。
【0093】
これにより、図18に示す操作例では、軌跡が一回転した「1」「6」「8」「5」「7」のボタンで特徴点を検出し「2」「3」「9」「#」「0」「4」のボタンは、通過しただけのボタンとして検出される。この場合、主制御部10は、表示欄20に特徴点を検出したボタンに対応する文字「16857」を表示させ、「2」「3」「9」「#」「0」「4」のボタンに対応する文字を表示させない。
【0094】
このように、特徴点として、軌跡が一回転することのみを抽出した場合でも、利用者が入力したと意識したボタン(キー)の数よりも多いボタンによって、暗証コードを比較することができる。
【0095】
なお、携帯電話端末1は、特徴点として検出したボタンを入力キー情報として検出し、単に通過したキーは、軌跡情報のみで検出するようにしてもよい。また、上記実施例では、よりセキュリティー性を高くすることができ、かつ、制御が簡単になるため、入力キー情報と軌跡情報の両方を比較したが、軌跡情報のみを比較してもよい。つまり、ボタンが入力されたか否かを判定せずに、軌跡情報のみを比較するようにしてもよい。
【0096】
また、上記携帯電話端末1は、上記実施例のように、軌跡から、特徴点を検出したボタンと、単に通過しただけ等、特徴点が検出されてないボタンとの情報を検出し、ボタンと特徴点との関係のみを暗証コードとして設定、検出するようにしてもよい。さらに、スイープ動作により接触が検出されたボタンの情報のみを暗証コードとして設定してもよい。
【0097】
また、携帯電話端末1は、特徴点として、他の領域へのタップ動作を検出してもよい。つまり、一本の指がタッチパネルに接触している状態で、他の指が接触されるタイミング、位置を特徴点として検出してもよい。
【0098】
また、上記実施例では、特定の動作として、ボタン領域内でタッチパネル2に接触する動作や、ボタン領域内でタッチパネル2から指を離す動作等について説明したが、これらの動作は特定の動作の例であり、他の動作を特定の動作として扱ってもよい。
【0099】
また、上記実施例では、ソフトウェアキーボードが、テンキーである場合として説明したが、これに限定されず、種々のキー配列のキーボードを用いることができる。例えば、あいうえおキーボード、Dvorak配列のキーボード、親指シフト配列(NICOLA配列)のキーボード、DSK配列のキーボード、JIS配列のキーボード等も用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る電子機器、電子機器制御方法および電子機器制御プログラムは、暗証コードの設定または認証操作の入力に用いることに適している。
【符号の説明】
【0101】
1 携帯電話端末
2 タッチパネル
2A タッチセンサ
2B 表示部
3 入力部
3A、3B、3C ボタン
4 仮想キーボード
5 電源部
6 通信部
7 スピーカ
8 マイク
9 記憶部
9A 動作制御プログラム
9B 認証プログラム
9C 仮想キーボードデータ
9D 暗証コードデータ
10 主制御部
11 RAM
20 表示欄
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示される領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、
前記タッチパネルへの接触の軌跡情報を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記タッチパネルにおいて、スイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードの前記軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記記憶部は、前記暗証コードとして、前記軌跡情報と、前記ボタンの接触順序とを対応付けて記憶しており、
前記制御部は、前記タッチパネルによって前記接触動作の接触が検出されたボタンの接触順序、及び、前記タッチパネルによって接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードとを比較し、両者が一致すれば制限解除を行い、ボタンの接触順序と前記軌跡とのいずれか一方が不一致であれば制限解除を行わないことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、検出した接触動作の軌跡と、接触したボタンの情報とを対応付けて前記暗証コードとして設定することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記スイープ動作のうち、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の開始が検出された位置に表示されているボタンを前記接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の終了が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4または5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、移動方向の変化が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、特定の形状の軌跡を描く移動が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記制御対象の動作として、施錠動作の制御を行い、前記制限解除を行なう場合は開錠し、前記制限解除を行わない場合は、施錠状態を維持することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示された領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、
前記タッチパネル上への前記ボタンへの接触順序を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、前記接触動作により接触したボタンを入力として受け付け、
前記入力されたボタンと前記暗証コードとを比較し、条件が一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件が不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記制御部は、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、接触したボタンの情報を前記暗証コードとして設定し、かつ、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器の制御方法であって、
前記電子機器の制御部が、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、
前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作により各ボタンの表示された領域への接触を検出するステップと、
前記電子機器の制御部が、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較するステップと、
前記電子機器の制御部が、前記軌跡と、前記暗証コードの軌跡情報とが条件に一致したら制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、
を含むことを特徴とする電子機器制御方法。
【請求項14】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器に、
前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、
前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、
を実行させることを特徴とする電子機器制御プログラム。
【請求項1】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示される領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、
前記タッチパネルへの接触の軌跡情報を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記タッチパネルにおいて、スイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードの前記軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記記憶部は、前記暗証コードとして、前記軌跡情報と、前記ボタンの接触順序とを対応付けて記憶しており、
前記制御部は、前記タッチパネルによって前記接触動作の接触が検出されたボタンの接触順序、及び、前記タッチパネルによって接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、前記暗証コードとを比較し、両者が一致すれば制限解除を行い、ボタンの接触順序と前記軌跡とのいずれか一方が不一致であれば制限解除を行わないことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、検出した接触動作の軌跡と、接触したボタンの情報とを対応付けて前記暗証コードとして設定することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記スイープ動作のうち、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の開始が検出された位置に表示されているボタンを前記接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、接触の終了が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4または5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、移動方向の変化が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記軌跡上に表示されているボタンのうち、特定の形状の軌跡を描く移動が検出された位置に表示されているボタンを接触されたボタンとして受け付けることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記制御対象の動作として、施錠動作の制御を行い、前記制限解除を行なう場合は開錠し、前記制限解除を行わない場合は、施錠状態を維持することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルに複数のボタンを表示させ、各ボタンの表示された領域への接触を検出することにより入力を受け付け、制御対象の動作を制御する制御部と、
前記タッチパネル上への前記ボタンへの接触順序を暗証コードとして記憶する記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、前記接触動作により接触したボタンを入力として受け付け、
前記入力されたボタンと前記暗証コードとを比較し、条件が一致すれば前記制御対象の動作の制限解除を行い、条件が不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記制御部は、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御部は、暗証コードの設定動作が起動された場合、前記スイープ動作を含む接触動作が前記タッチパネルで検出されたら、接触したボタンの情報を前記暗証コードとして設定し、かつ、前記接触動作から特定の動作を検出し、特定の動作が検出された位置に表示されたボタンを入力された文字列としてタッチパネルに表示させることを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器の制御方法であって、
前記電子機器の制御部が、前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、
前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作により各ボタンの表示された領域への接触を検出するステップと、
前記電子機器の制御部が、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較するステップと、
前記電子機器の制御部が、前記軌跡と、前記暗証コードの軌跡情報とが条件に一致したら制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、
を含むことを特徴とする電子機器制御方法。
【請求項14】
表面に対して行われる接触を検出するタッチパネルを有し、制御対象の動作を制御する電子機器に、
前記タッチパネルに複数のボタンを表示させるステップと、
前記タッチパネルにおいてスイープ動作を含む接触動作が検出された場合に、当該接触動作の接触が検出された各位置を結ぶ軌跡と、暗証コードの軌跡情報とを比較し、条件に一致すれば制御対象の動作の制限解除を行い、条件に不一致であれば制御対象の動作の制限解除を行わないステップと、
を実行させることを特徴とする電子機器制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−1】
【図13−2】
【図13−3】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−1】
【図13−2】
【図13−3】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−232898(P2011−232898A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101519(P2010−101519)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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