説明

電子機器、音響信号の補正方法およびプログラム

【課題】聴覚補正の精度を維持しつつ聴力測定の簡便化を図る電子機器を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、電子機器は、検査音出力手段、聞き取り回数入力手段、聴覚特性判定手段および音響信号補正手段を具備する。前記検査音出力手段は、所定の周波数帯域の検査音を異なる音圧で所定の回数出力する。前記聞き取り回数入力手段は、前記検査音出力手段により出力された検査音の聞き取り回数を入力する。前記聴覚特性判定手段は、前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数に基づき、被験者の聴覚特性を判定する。前記音響信号補正手段は、前記聴覚特性判定手段により判定された聴覚特性に基づき、音響信号を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、聴覚特性に応じて音響信号を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高齢者は、若い人よりも聴力が衰える(以下、聴力の衰え等がなく、聴覚の正常な者を健聴者と称する)。具体的には、小さい音が聞き取りにくくなる。より高い周波数の音ほど、この傾向が顕著である(個人差はあるが、8〜10kHz以上の帯域で、より顕著である)。
【0003】
補聴器は、このような聴覚特性に応じた音響信号の補正(以下、聴覚補正と称する)を行うための医療器具である。聴覚補正は、適用者の聴力に応じた処理であるため、適用者の聴力を事前に測定する必要がある。聴力測定は、専門の知識を有した者が、オージオメータと称される機械を使い、125Hz,250Hz,500Hz,1000Hz,2000Hz,4000Hz,8000Hzごとに、どれぐらい小さい音圧の音まで聞き取れるかを、各周波数帯域の検査音を被験者に聞かせながら行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−200259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日では、テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、モバイル端末、タブレット端末、電話機、インターホン、カーナビゲーションシステム等、音響信号を出力する機能を有する家庭電化製品が種々利用されている。また、近年、例えば操作手順を音声で案内するための音声合成機能付きの冷蔵庫、電子レンジ、オーブンレンジ、エアコンディショナ等も普及し始めている。
【0006】
ここで、このような音響信号を出力する機能を有する一般的な家庭電化製品に聴覚補正を適用することを想定する。この場合、前述のごとく非常に手間のかかる聴力測定を、一般的な家庭電化製品のユーザに強いることは非現実的である。
【0007】
本発明は、聴覚補正の精度を維持しつつ聴力測定の簡便化を図ることを実現した電子機器、音響信号の補正方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電子機器は、検査音出力手段、聞き取り回数入力手段、聴覚特性判定手段および音響信号補正手段を具備する。前記検査音出力手段は、所定の周波数帯域の検査音を異なる音圧で所定の回数出力する。前記聞き取り回数入力手段は、前記検査音出力手段により出力された検査音の聞き取り回数を入力する。前記聴覚特性判定手段は、前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数に基づき、被験者の聴覚特性を判定する。前記音響信号補正手段は、前記聴覚特性判定手段により判定された聴覚特性に基づき、音響信号を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の電子機器の外観を示す図。
【図2】第1実施形態の電子機器のシステム構成を示す図。
【図3】年代(年齢層)ごとの聴覚特性パタンを示すグラフ。
【図4】第1実施形態の電子機器が聴覚特性判定時に表示する操作画面の一例を示す図。
【図5】属性情報と聞き取り回数との組合せと聴覚特性パタンとの関係を説明するための図。
【図6】第1実施形態の電子機器上で動作する音響信号補正制御ユーティリティプログラムの機能ブロックを示す図。
【図7】第1実施形態の電子機器上で動作する音響信号補正制御ユーティリティプログラムの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の電子機器1の外観を示す図である。図1に示すように、本電子機器1は、例えば、薄いボード状の筐体を有し、筐体の前面中央部にタッチパネルディスプレイ16が配置された、いわゆるタブレットPC(Personal computer)として実現される。ユーザは、タッチパネルディスプレイ16上でタッチ操作を行うことで、本電子機器1に対して動作指示を与える。また、本電子機器1は、音響信号を出力する機能を有しており、タッチパネルディスプレイ16の周辺部、つまり筐体の前面周辺部にスピーカ18が配置されている。
【0013】
図2は、本電子機器1のシステム構成を示す図である。
【0014】
図2に示すように、本電子機器1は、CPU(Central processing unit)11、主メモリ12、外部記憶装置13、入力コントローラ14、表示コントローラ15、タッチパネルディスプレイ16、サウンドコントローラ17、スピーカ18等を有している。
【0015】
CPU11は、本電子機器1の動作を制御するプロセッサであり、例えばSSD(Solid state drive)等である外部記憶装置13から主メモリ12にロードされる各種プログラムを実行する。CPU11によって実行される各種プログラムの中には、リソース管理を司るOS(Operating system)110や、当該OS110の配下で動作する、後述する音響信号補正制御ユーティリティプログラム120、各種アプリケーションプログラム130等が存在する。
【0016】
入力コントローラ14は、タッチパネルディスプレイ16上でのタッチ操作によるデータ入力を制御するためのコントローラである。タッチパネルディスプレイ16には、LCD(Liquid crystal display)161とタッチパネル162とが組み込まれている。タッチパネルディスプレイ16上でタッチ操作が行われると、タッチパネル162上の位置を含む入力情報がタッチパネル162から入力コントローラ14へ出力される。入力コントローラ14は、この入力情報を自身のレジスタに格納すると共に、割り込みを発生させることによってCPU11への通知を行い、当該レジスタに格納した入力情報をCPU11に読み取らせる。これにより、タッチパネルディスプレイ16上でのタッチ操作というイベントの発生がOS110に伝達される。OS110は、例えば入力情報で示されるタッチパネル162上の位置に対応するLCD161上の位置に操作画面(ウィンドウ)を表示する音響信号補正制御ユーティリティプログラム120や各種アプリケーションプログラム130に対して、このイベントの発生を通知する。
【0017】
一方、表示コントローラ15は、タッチパネルディスプレイ16に組み込まれたLCD161への画像表示を制御するためのコントローラである。表示コントローラ15は、各種プログラムが表示しようとする画像をCPU11に代わって描画するアクセラレータを搭載している。
【0018】
サウンドコントローラ17は、音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータに対応する音響信号を生成してスピーカ18に出力する。サウンドコントローラ17は、スピーカ18に出力する音響信号に対して補正を施す音響信号補正モジュール171を搭載している。音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、この音響信号補正モジュール171の制御を司るプログラムである。音響信号補正モジュール171は、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120によって設定されたパラメータに基づき、音響信号の補正処理を実行する。本電子機器1は、このパラメータを適切に設定するための聴力測定を簡便な方法で行えるようにしたものであり、以下、この点について詳述する。
【0019】
なお、ここでは、例えばIC(Integrated circuit)であるサウンドコントローラ17に搭載される音響信号補正モジュール171により音響信号を補正する例を示すが、音響信号の補正機能は、CPU11によって実行される各種プログラムの1つとしても実現可能である。さらに言えば、サウンドコントローラ17の機能全体を、CPU11によって実行される各種プログラムの1つとして実現することもできる。
【0020】
音響信号補正モジュール171は、平均的な聴覚特性(聴覚特性データ)を予め数パタン保持している。前述のパラメータは、複数の聴覚特性パタンの中のいずれか1つの聴覚特性パタンを指定するためのものである。音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、これまで一般的に行われている細かい聴力測定を実施する代わりに、(音響信号補正モジュール171によって保持される)事前に用意した複数の聴覚特性パタンの中から最適なものを選択するために必要な最低限の情報を取得するための測定を実施する。
【0021】
具体的には、いくつかの音圧の4kHzの純音を用意してユーザ(被験者)に聞かせ、何個聞こえるかで、何dBの音圧まで聞こえるかを試験する。これにより、ユーザの4kHzの聴力を取得する。この4kHzの聴力に応じて、事前に用意した複数の聴覚特性パタンの中でどれが適切かを判定する。
【0022】
例えば、5dB,10dB,15dB,20dBの4kHzの音を用意しておき、聴覚特性判定時にこれらをユーザに聞かせる。ここで聞こえた音が2個の場合、大きい方から聞き取れたと考えられるので、20dBと15dBが聞き取れ、10dBと5dBは聞き取れなかったと考えられる。つまり、4kHzの聴力は大凡15dBと推測される。
【0023】
図3は、年代(年齢層)ごとの聴覚特性パタン、具体的には、ある程度の数の被験者の聴力を測定して年代ごとに平均化した値を示すグラフである。図3中、a1は30代平均の聴覚特性パタン、a2は40代平均の聴覚特性パタン、a3は50代平均の聴覚特性パタン、a4は60代平均の聴覚特性パタンをそれぞれ示している。図3によれば、4kHzの聴力が15dBの場合に1番近い聴覚特性パタンは50代平均の聴覚特性パタンであり、よって、この聴覚特性パタンで聴覚補正をすればよいということになる。
【0024】
ここで、聴力測定が4kHzのみでよい理由を説明する。
【0025】
図3によると、健聴者と高齢者の聴力は、1000Hz以下ではあまり差がない。よって、どの聴覚特性パタンが適切かを選択する上では、2000Hz,4000Hz,8000Hzでの聴力測定のみを行えばよいこととなる。
【0026】
次に、例えば平均的な60代の聴力の持ち主に、50代や40代の聴覚特性で補正することは最適ではないが、補正しないよりは聞こえ易くなるため、悪影響は少ないと考えられる。一方、平均的な30代の聴力の持ち主に、60代の聴覚特性で補正すると、中高域の音が過剰な感じの音を聞くことになる。これにより、「ざらざらした音」、「キンキンした音」、「耳障りな音」などのように悪影響が生じることが考えられる。一般に、人間の聴覚は4000Hz前後が敏感であり、4000Hzの聴覚がどれだけ敏感かが分かれば、前述した悪影響を防ぐような聴覚特性を選択することができる。よって、事前に用意した聴覚特性の中からどれが最適かを選択する場合、なるべく聴覚が敏感な帯域の聴力を測定することが有効であり、特に4000Hzが有力となる。
【0027】
図4は、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120が聴覚特性判定時にタッチパネルディスプレイ16に表示する操作画面の一例を示す図である。
【0028】
図4に示すように、操作画面には、第1に、「性別」や「年代」等の属性情報を入力するためのフィールドb1が設けられる。第2に、音が何回聞き取れたかを入力するためのフィールドb2が設けられる。この操作画面に対して、ユーザは、まず、属性情報の入力を行う。
【0029】
フィールドb1での属性情報の入力が行われると、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、例えば、5dB,10dB,15dB,20dBの4kHzの音をスピーカ18から出力する。この音(検査音)の出力順は、音圧の小さい順でもよいし、音圧の大きい順でもよい。さらに言えば、都度ランダムに出力してもよい。
【0030】
検査音の出力を終了すると、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、被験者が検査音を何回聞き取れたかを入力する。音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、ユーザによって入力された属性情報と聞き取り回数とに基づき、音響信号補正モジュール171が保持する複数の聴覚特性パタンの中から最適な聴覚特性パタンを選択し、当該選択した聴覚特性パタンに対応するパラメータを音響信号補正モジュール171に設定する。
【0031】
図5を参照して、性別や年代などの属性情報と検査音の聞き取り回数との組合せと聴覚特性パタンとの関係について説明する。
【0032】
図5中、集合A(c1)は、検査音の聞き取り回数が同数の被験者の集合体である。ここでは、音圧が異なる4つの検査音を出力するので、集合Aは、聞き取り回数が0〜4回の5つが形成されることになる。
【0033】
検査音の聞き取り回数が同数であっても、性別や年代などが異なれば、聴覚特性パタンに違いが表れ得る。集合a1(c11),a2(c12),…,an(c1n)は、検査音の聞き取り回数が同数の被験者の集合体から属性情報ごとに分岐して形成された集合体である。そこで、音響信号補正モジュール171は、検査音の聞き取り回数が同数の集合Aごとの平均的な聴力特性パタンを保持するのではなく、さらに、当該集合Aから分岐した(検査音の聞き取り回数が同数で、かつ)属性情報が同一の集合a1,a2,…,anごとの平均的な聴覚特性パタンを保持する。
【0034】
例えば、音響信号補正モジュール171によって保持される聴覚特性パタンは、属性情報として入力された年代が高い程、音響信号の各周波数成分に対する補正幅が大きくなるように定められる。
【0035】
これにより、聴力測定を簡便化するにあたって、聴覚補正の精度を維持することを実現する。なお、性別や年代などの属性情報を考慮することなく、検査音の聞き取り回数が同数の集合Aごとに、平均的な聴覚特性パタンを用意する場合であっても、高い確率で、聴覚補正の精度を維持できる。
【0036】
図6は、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120の機能ブロックを示す図である。
【0037】
図6に示すように、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、操作画面表示モジュール121、属性情報入力モジュール122、検査音出力モジュール123、聞き取り回数入力モジュール124、補正パラメータ設定モジュール125を有する。
【0038】
操作画面表示モジュール121は、図4に示した操作画面をタッチパネルディスプレイ16に表示するモジュールである。属性情報入力モジュール122は、操作画面表示モジュール121によってタッチパネルディスプレイ16に表示された操作画面上のフィールドb1に入力された属性情報を入力するモジュールである。検査音出力モジュール123は、例えば、5dB,10dB,15dB,20dBの4kHzの音をスピーカ18から出力するモジュールである。聞き取り回数入力モジュール124は、検査音出力モジュール123によって検査音がスピーカ18から出力された後、操作画面表示モジュール121によってタッチパネルディスプレイ16に表示された操作画面上のフィールドb2に入力された聞き取り回数を入力するモジュールである。そして、補正パラメータ設定モジュール125は、属性情報入力モジュール122によって入力された属性情報と、聞き取り回数入力モジュール124によって入力された聞き取り回数とに基づき、音響信号補正モジュール171が事前に用意する複数の聴覚特性パタンの中から最適な聴覚特性パタンを選択し、当該選択した聴覚特性パタンに対応するパラメータを音響信号補正モジュール171に設定するモジュールである。
【0039】
次に、以上のような構成を持つ音響信号補正制御ユーティリティプログラム120の処理手順を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0040】
音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、まず、図4に示した操作画面をタッチパネルディスプレイ16に表示する(ブロックS1)。次に、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、タッチパネルディスプレイ16に表示した操作画面上のフィールドb1に入力された属性情報を入力する(ブロックS2)。
【0041】
属性情報の入力が行われたら、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、例えば、5dB,10dB,15dB,20dBの4kHzの音をスピーカ18から出力する(ブロックS3)。この検査音の出力後、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、タッチパネルディスプレイ16に表示した操作画面上のフィールドb2に入力された聞き取り回数を入力する(ブロックS4)。
【0042】
そして、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、入力した属性情報と聞き取り回数とに基づき、音響信号補正モジュール171が事前に用意する複数の聴覚特性パタンの中から最適な聴覚特性パタンを選択し、当該選択した聴覚特性パタンに対応するパラメータを音響信号補正モジュール171に設定する(ブロックS5)。
【0043】
これにより、以降、スピーカ18から出力される音響信号に対し、音響信号補正モジュール171によってユーザ(被験者)にとって最適な補正が施されることになる。
【0044】
以上のように、本実施形態の電子機器1によれば、聴覚補正の精度を維持しつつ聴力測定の簡便化を図ることが実現される。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0046】
前述した第1実施形態では、4000Hzの検査音を被験者に聞き取らせる例を説明した。一方、人間の聴覚は、約3000Hzから約5000Hzの範囲において敏感であると一般に言われている。そこで、本実施形態では、音響信号補正制御ユーティリティプログラム120は、この約3000Hzから約5000Hzの帯域の音を被験者に聞かせるようにする。この際、3000Hz,4000Hz,5000Hzの音を織り交ぜて、異なる音圧の音を聞かせるようにしても良い。
【0047】
また、第1実施形態では、図4に示した操作画面上に「「ピー」という音は何回再生されましたか?」という質問文が表示されているように、すべての音圧について「ピー」という純音を出力することを想定している。これに対して、約3000Hzから約5000Hzの帯域の音を被験者に聞かせる本実施形態では、検査音として、純音のみならず、3000Hzから5000Hzの周波数成分からなる音を聞かせるようにしてもよい。
【0048】
即ち、4000Hzのみの音に代えて、約3000Hzから約5000Hzの帯域の音を検査音として用いることで、本実施形態の電子機器1は、取得される聞き取り回数の適正化を図り、もって、聴覚補正の精度を高めることを実現する。
【0049】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
【0050】
本実施形態では、性別や年代などの属性情報と正確な聴力との統計的な関係を予め測定しておき、聴力測定の代わりに、属性情報を入力させることで、間接的に最適な聴覚特性パタンを特定する。年代が高い聴覚特性パタンを選択した場合における聴覚補正後の音響信号は、元の音響信号と比較して、音が大きくなる傾向にあるが、例えば個人の好みで、多少耳障りな音でも小さい音より大きい音を好む場合もある。よって、入力させる属性情報としては、性別や年代以外に、音量は大きい方が好みか、丁度良い方が好みか、などを用意しても良い。
【0051】
即ち、本実施形態の電子機器1は、(聴力測定が不要となり、属性情報を入力するだけでよいので)聴覚補正のための聴覚特性の判定時にユーザに強いる作業を大幅に削減することを実現する。
【0052】
なお、各実施形態の動作制御処理は、ソフトウェア(プログラム)によって実現することができるので、このソフトウェアを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのソフトウェアを通常のコンピュータにインストールして実行することにより、各実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…電子機器、11…CPU、12…主メモリ、13…外部記憶装置、14…入力コントローラ、15…表示コントローラ、16…タッチパネルディスプレイ、17…サウンドコントローラ、18…スピーカ、110…OS、120…音響信号補正制御ユーティリティプログラム、121…操作画面表示モジュール、122…属性情報入力モジュール、123…検査音出力モジュール、124…取り回数入力モジュール、125…補正パラメータ設定モジュール、130…各種アプリケーションプログラム、161…LCD、162…タッチパネル、171…音響信号補正モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯域の検査音を異なる音圧で所定の回数出力する検査音出力手段と、
前記検査音出力手段により出力された検査音の聞き取り回数を入力する聞き取り回数入力手段と、
前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数に基づき、被験者の聴覚特性を判定する聴覚特性判定手段と、
前記聴覚特性判定手段により判定された聴覚特性に基づき、音響信号を補正する音響信号補正手段と
を具備する電子機器。
【請求項2】
前記被験者の属性情報を入力する属性情報入力手段をさらに具備し、
前記聴覚特性判定手段は、前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数と、前記属性情報入力手段により入力された属性情報とに基づき、前記聴覚特性の判定を実行する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記音響信号補正手段は、複数の聴覚特性データを保持し、
前記聴覚特性判定手段は、前記音響信号補正手段が保持する複数の聴覚特性データの中から前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数と前記属性情報入力手段により入力された属性情報との組合せに対応する聴覚特性データを選択する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定の周波数帯域は、4000Hzである請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記所定の周波数帯域は、3000Hz乃至5000Hzである請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記検査音の音圧は、5dB、10dB、15dBまたは20dBである請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記属性情報は、性別を含む請求項2に記載の電子機器。
【請求項8】
前記属性情報は、年齢層を含む請求項2に記載の電子機器。
【請求項9】
前記属性情報は、年齢層を含み、
前記音響信号補正手段によって保持される複数の聴覚特性データは、前記検査音の聞き取り回数が同数であっても、前記属性情報として入力された年齢層が高い程、音響信号の各周波数成分に対する補正幅が大きくなるように定められる請求項3に記載の電子機器。
【請求項10】
被験者の属性情報を入力する属性情報入力手段と、
前記属性情報入力手段により入力された属性情報に基づき、被験者の聴覚特性を判定する聴覚特性判定手段と、
前記聴覚特性判定手段により判定された聴覚特性に基づき、音響信号を補正する音響信号補正手段と
を具備する電子機器。
【請求項11】
前記音響信号補正手段は、複数の聴覚特性データを保持し、
前記聴覚特性判定手段は、前記音響信号補正手段が保持する複数の聴覚特性データの中から前記属性情報入力手段により入力された属性情報に対応する聴覚特性データを選択する請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記属性情報は、性別を含む請求項10に記載の電子機器。
【請求項13】
前記属性情報は、年齢層を含む請求項10に記載の電子機器。
【請求項14】
前記属性情報は、年齢層を含み、
前記音響信号補正手段によって保持される複数の聴覚特性データは、前記属性情報として入力された年齢層が高い程、音響信号の各周波数成分に対する補正幅が大きくなるように定められる請求項11に記載の電子機器。
【請求項15】
音響信号を出力する機能を有する電子機器における音響信号の補正方法であって、
所定の周波数帯域の検査音を異なる音圧で所定の回数出力し、
前記出力した検査音の聞き取り回数を入力し、
前記入力した検査音の聞き取り回数に基づき、被験者の聴覚特性を判定し、
前記判定した聴覚特性に基づき、音響信号を補正する
音響信号の補正方法。
【請求項16】
前記被験者の属性情報をさらに入力し、
前記被験者の聴覚特性を判定することは、前記入力した検査音の聞き取り回数と属性情報とに基づき、前記聴覚特性の判定を実行する
請求項15に記載の音響信号の補正方法。
【請求項17】
音響信号を出力する機能を有するコンピュータを、
所定の周波数帯域の検査音を異なる音圧で所定の回数出力する検査音出力手段、
前記検査音出力手段により出力された検査音の聞き取り回数を入力する聞き取り回数入力手段、
前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数に基づき、被験者の聴覚特性を判定する聴覚特性判定手段、
前記聴覚特性判定手段により判定された聴覚特性に基づき、音響信号を補正する音響信号補正手段
として機能させるプログラム。
【請求項18】
前記コンピュータを、前記被験者の属性情報を入力する属性情報入力手段としてさらに機能させ、
前記聴覚特性判定手段は、前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数と、前記属性情報入力手段により入力された属性情報とに基づき、前記聴覚特性の判定を実行する
請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記音響信号補正手段は、複数の聴覚特性を保持し、
前記聴覚特性判定手段は、前記音響信号補正手段が保持する複数の聴覚特性の中から前記聞き取り回数入力手段により入力された検査音の聞き取り回数と前記属性情報入力手段により入力された属性情報との組合せに対応する聴覚特性を選択する
請求項18に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−75066(P2013−75066A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217330(P2011−217330)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】