電子機器およびそれに用いるカバー部材
【課題】
機器本体へ容易に装着でき、かつ高い防水性を実現する電子機器およびそれに用いるカバー部材を提供すること。
【解決手段】
被収納物1aを収納するための収納部3を開口して備える機器本体2と、収納部3の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材10と、を有し、機器本体2は、開口部の少なくとも外周囲に、カバー部材10に対向する面から機器本体2側に窪む閉ループ状の溝部7を有する弾性部材6を備え、カバー部材10は、機器本体2に取り付けた際に溝部7と対向する位置に、溝部7に向けて突出して溝部7に挿入可能なリブ12を備え、溝部7の開口側の幅W1は、リブ12の先端の幅W2よりも大きい電子機器1としている。
機器本体へ容易に装着でき、かつ高い防水性を実現する電子機器およびそれに用いるカバー部材を提供すること。
【解決手段】
被収納物1aを収納するための収納部3を開口して備える機器本体2と、収納部3の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材10と、を有し、機器本体2は、開口部の少なくとも外周囲に、カバー部材10に対向する面から機器本体2側に窪む閉ループ状の溝部7を有する弾性部材6を備え、カバー部材10は、機器本体2に取り付けた際に溝部7と対向する位置に、溝部7に向けて突出して溝部7に挿入可能なリブ12を備え、溝部7の開口側の幅W1は、リブ12の先端の幅W2よりも大きい電子機器1としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を覆う電子機器およびそれに用いるカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の電子機器において、防水機能等が求められる場合がある。電子機器に防水機能を付与するには、少なくとも、機器本体に被収納物を収納するための収納部を覆うカバー部材と収納部との隙間から水が入りこまないようにする必要がある。たとえば、電池収納部へ水が入り込まないようにするために、電池収納部カバーに弾性体を有する環状の突起部を備え、電池収納部の外周にその弾性体が圧入される溝を備える構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される構造によれば、弾性体を有する突起部が溝に挿入されることで、弾性体と溝の内側とが密着し、外部から収納部への水の浸入を防ぐことができる。しかし、突起部を被覆する弾性体は、溝を形成する樹脂表面に対して難滑性を呈し、溝に挿入し難いという問題がある。特に、電池収納カバーと溝との間の寸法誤差が大きい場合には、弾性体を溝内に挿入することが、さらに困難になる。突起部が溝に不完全に挿入された状態は、防水性能の低下を招くので好ましくない。
【0005】
本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであって、機器本体へ容易に装着でき、かつ高い防水性を実現することのできる電子機器およびそれに用いるカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、収納物を収納するための収納部を開口して備える機器本体と、収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材と、を有し、機器本体は、開口部の少なくとも外周囲に、カバー部材に対向する面から機器本体側に窪む閉ループ状の溝部を有する弾性部材を備え、カバー部材は、機器本体に取り付けた際に溝部と対向する位置に、溝部に向けて突出して溝部に挿入可能なリブを備え、溝部の開口側の幅は、リブの先端の幅よりも大きい電子機器としている。
【0007】
また、溝部は、開口側の幅が底面側の幅よりも大きくする傾斜面を有するのが好ましい場合もある。
【0008】
さらに、溝部の底面側の幅は、リブの先端側の幅よりも小さいのが好ましい場合もある。
【0009】
さらに、リブの先端側の幅は、その根元側の幅よりも小さいのが好ましい場合もある。
【0010】
溝部の側面には、凸部または凹部が設けられ、凸部または凹部は、リブに設けられた他の凹部または他の凸部とそれぞれ嵌合可能であるのが好ましい場合もある。
【0011】
本発明の別の一実施の形態は、被収納物を収納するための収納部を開口して備える電子機器の機器本体に対して、収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材であって、開口部の少なくとも外周囲に備える弾性部材に形成され機器本体側に窪む閉ループ状の溝部に挿入可能なリブを有し、リブの先端の幅は、溝部の開口側の幅よりも小さいものとしている。
【0012】
また、リブの先端側の幅は、電子機器が備える溝部の底面側の幅よりも大きいのが好ましい場合がある。
【0013】
また、リブの側面は、溝部の側面に設けられた凸部または凹部と嵌合可能な別の凹部または別の凸部をそれぞれ有するのが好ましい場合もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバー部材を機器本体へ容易に装着でき、かつ高い防水性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機を、その操作面側から見た場合の斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機を、その背面側から見た場合の分解斜視図である。
【図3】図2に示すカバー部材を、被収納物に対向する面側から見た場合の斜視図である。
【図4】図1に示す携帯電話機を、機器本体と、被収納物が収納されたカバー部材とに分離して示すA―A線断面図である。
【図5】図1に示す携帯電話機のA−A線断面図である。
【図6】図4のBで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】図5のCで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】本発明の変形例1に係る携帯電話機について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の変形例2に係る携帯電話機について、図4に示すBと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図10】図9の携帯電話機について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の変形例3に係る携帯電話機について、図5と同様の領域を示す断面図である。
【図12】本発明の変形例4に係る携帯電話機について、図5と同様の領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電子機器およびそれに用いるカバー部材の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下、電子機器の実施の形態を説明する中で、カバー部材の実施の形態についても説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機1を、その操作面側から見た場合の斜視図である。
【0018】
携帯電話機1の機器本体2は、薄い略直方体である。また、機器本体2は、操作面と逆側(以下、背面側という。)に、着脱可能なカバー部材10を有する。カバー部材10は、機器本体2の筺体の一部を構成することから、機器本体2の背面と同じ部材から構成されるのが好ましい。
【0019】
図2は、図1に示す携帯電話機1を、その背面側から見た場合を示す分解斜視図である。
【0020】
機器本体2は、被収納物1aを収納する収納部3を開口して備える。被収納物1aは、本実施の形態において、薄い略直方体である。被収納物1aとしては、たとえば、携帯電話機1の電子制御部、記憶部、電池、メモリーディスクあるいはPCB等が挙げられる。なお、被収納物1aは、収納部3から脱落しないように固定されてもよいし、収納部3とカバー部材10とに挟まれることにより保持されてもよい。
【0021】
機器本体2は、その外周に側壁4を有している。側壁4は、その内周面に、内周側に突出する係止爪4aを有している。また、機器本体2は、側壁4の内側と収納部3との間にある平坦部5に、弾性部材6を有する。弾性部材6は、収納部3の外周囲に閉ループ状に配置されている。弾性部材6は、接着剤等により、平坦部5に固着される。なお、弾性部材6は、接着剤による接着以外の方法により平坦部5に固着されてもよい。たとえば、弾性部材6は、インサート成型あるいは2色成型により、平坦部5に設けられてもよい。平坦部5は、弾性部材6を取り付ける際の位置決めを容易にするために、弾性部材6を固着する位置に突起(不図示)を有してもよい。弾性部材6は、カバー部材10に対向する面から機器本体2側に窪む閉ループ状の溝部7を有する。溝部7は、弾性部材6を背面側から見た場合に、弾性部材6の幅を二分する位置に設けられている。
【0022】
弾性部材6は、後述するリブ12に圧接された場合に、少なくともリブ12の角部に対し変形しながら密着できるように、柔軟性に富む材料にて主に形成される。たとえば、JIS―A硬度が90度以下、より好ましくは60度以下である。弾性部材6のJIS―A硬度が60度以下の場合には、カバー部材10を機器本体2に装着した場合の応力が小さいため、カバー部材10を機器本体2に装着しやすく、かつ、カバー部材10が破損しにくい。また、弾性部材6の溝部7の形状を保持するために、弾性部材6のJIS−A硬度は、10度以上、より好ましくは30度以上とする。
【0023】
また、弾性部材6は、カバー部材10の着脱動作を繰り返す場合に、リブ12により圧縮と開放を繰り返すため、その形状をある程度保持可能な材料から構成されるのが好ましい。たとえば、JIS K 6262に準拠した測定法より測定された圧縮永久歪(CS)が50%以下、好ましくは20%以下であることが好ましい。CSが50%以下の場合、弾性部材6は、圧縮により数回変形した後に解放されると、容易に元の形状に復元できるため、寸法精度を維持でき、もって十分な防水性能を発揮できる。
【0024】
弾性部材6を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系あるいはポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマー、または、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、シリコーンゴムあるいはフッ素ゴム等の熱硬化性エラストマーを好適に用いることができる。その中でも、パッキンとして必要な特性、たとえば、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐薬品性および圧縮永久歪等に優れ、比較的安価なシリコーンゴムを特に好適に用いることができる。
【0025】
カバー部材10は、薄いトレイ形状の成型体である。カバー部材10は、成形性および加工性等の理由から、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂あるいはPBT樹脂等の熱可塑性樹脂、または、それらのアロイ等から好適に構成される。さらに、それらの樹脂にガラスファイバー等を混合してもよい。カバー部材10は、収納部3に収納された被収納物1aを覆うように、機器本体2に装着される。機器本体2およびカバー部材10は、カバー部材10が機器本体2に装着された際に、機器本体2の両側面が共に略平面になるように構成されている。
【0026】
図3は、図2に示すカバー部材10を、被収納物1aに対向する面側から見た場合の斜視図である。
【0027】
カバー部材10は、それを機器本体2に取り付けた際に、溝部7と対向する位置に、溝部7に向けて突出して、溝部7に挿入可能な閉ループ状のリブ12を有する。また、カバー部材10は、リブ12の外周を取り囲む壁部13を有する。壁部13は、リブ12と離間して設けられている。さらに、カバー部材10は、壁部13の外周に、略水平な外周面14を有する。壁部13の外周側の面は、その外周を取り囲むように、外周側に突出する係止用突起15を有している。
【0028】
図4は、図1に示す携帯電話機1を、機器本体2と、被収納物1aが収納されたカバー部材10とに分離して示すA−A線断面図である。図5は、図1に示す携帯電話機1のA−A線断面図である。なお、図5およびそれ以後の断面図では、見易さを考慮して、各部材の厚さの比率を実際の比率と変えて図示している。また、被収納物1aは、薄い略直方体の形態として図示している。
【0029】
カバー部材10を機器本体2に取り付けると、カバー部材10の係止用突起15が機器本体2の係止爪4aに引っ掛かることにより係止される。また、カバー部材10を機器本体2に取り付けると、リブ12は、弾性部材6の溝部7に挿入される。
【0030】
図6は、図4のBで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。図7は、図5のCで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
【0031】
リブ12は、溝部7に挿入できるように、先端側の幅W2、高さHにて閉ループ状に設けられている。リブ12は、その断面を略直方体とし、先端側および根元側の両幅とも、強度や成形性を考慮して、好適には、0.2mm以上としている。リブ12の高さHは、弾性部材6の圧縮量に対して十分な高さが必要であるため、たとえば、0.5mm以上、より好ましくは、1.0mm以上である。なお、リブ12は、カバー部材10と別体に固定されてもよいし、あるいは、一体的に形成されてもよい。なお、リブ12の先端部は、曲面あるいは、角部が面取りされているのがより好ましい。かかる場合には、リブ12が弾性部材6の溝部7への挿脱を繰り返しても、弾性部材6にクラック等が入り込みにくい。
【0032】
溝部7は、その開口側の幅W1、底面側の幅W3の断面が略台形状の凹部にて、弾性部材6の幅方向中央部分に閉ループ状に設けられる。溝部7の開口側の幅W1は、これと対向するリブ12の先端側の幅W2よりも大きい。W1がW2よりも大きいため、リブ12を溝部7に挿入する初期段階では、何ら抵抗なく挿入できる。また、溝部7の底面側の幅W3は、リブ12の先端側の幅W2よりも小さい。このため、図7に示すように、溝部7にリブ12が挿入されると、少なくともリブ12の幅方向2箇所の角部が溝部6の内側面(傾斜面)に圧接する。この結果、外部から浸入した水が収納部3に浸入するのを有効に防ぐことができる。
【0033】
この実施の形態では、溝部7の内側面は、溝部7の開口側から底面側に向かって一定の角度で傾斜する傾斜面である。弾性部材6の開口面と、溝部7の内側面とが為す角度θは、0度よりも大きく90度未満であり、さらに、リブ12をスムーズに挿入するためには、30〜60度であるのが好ましい。また、弾性部材6の壁の厚さ(溝部7の内側面から弾性部材6の外側面までの幅)は、たとえば、0.2mm以上、より好ましくは、0.5mm以上である。かかる場合には、一般的な成形法により弾性部材6を成形可能であり、かつ、弾性部材6の形状を保持可能である。
【0034】
上述のような携帯電話機1においては、カバー部材10を機器本体2に取り付けると、リブ12は、初期段階にて溝部7に容易に挿入され、挿入が進むと溝部7を押し広げるようにその内方に挿入される。弾性部材6は、リブ12の少なくとも内側の角部および外側の角部の2箇所で圧接するので、外部からの異物(水等)が収納部3の内部に入らないように、効果的に封止できる。したがって、上述のような携帯電話機1においては、カバー部材10を容易に機器本体2に装着できることに加え、かつ、高い防水性を実現できる。
【0035】
また、上述のように、弾性部材6の溝部7にリブ12をスムーズに挿入可能であることから、弾性部材6あるいはリブ12に、滑り性を向上させるための被覆層を設ける必要がない。したがって、生産性の向上に加えて、製造コストの低減も可能である。なお、弾性部材6は、耐異物付着性、滑り性および撥水性の少なくともいずれか1つを向上させる等のために、その表面に弾性部材6とは別の部材による被覆層を有していてもよい。その被覆層は、たとえば、フッ素含有樹脂により形成されていてもよい。
【0036】
また、上述のような携帯電話機1においては、機器本体2およびカバー部材10の寸法に誤差が生じて、リブ12が溝部7に対応する位置からわずかにずれた場合であっても、溝部7の内側面が斜面であるため、リブ12を溝部7に誘導できる。
【0037】
以上、本発明の電子機器およびそれに用いるカバー部材の好適な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上述の各実施の形態に限定されず、種々の変形を施して実施することができる。
【0038】
例えば、上述の実施の形態では、携帯電話機1を例示したが、携帯電話機1以外の電子機器にも応用可能であって、例えば、PDA、固定電話機、ホームオーディオ機器、車載用オーディオ機器、カーナビゲーション機器、バッテリーを搭載する電気自動車等の機器にも応用できる。また、上述の実施の形態では、収納部3への水の浸入を防止する構造を例示したが、上述の構造では、水以外の液体や埃等の、他の異物を防止することができる。
【0039】
また、上述の実施の形態では、収納部3は、背面側から見て、角が曲面の直方体としたが、このような形態に限らない。収納部3およびカバー部材10等の形状は、被収納物1aの形状により円形、あるいはその他の多角形等の形状であってもよい。
【0040】
また、上述の実施の形態では、機器本体2が係止爪4aを有し、カバー部材10が係止用突起15を有する形態としているが、このような形態に限らない。係止用突起15と係止爪4aとの引掛構造以外の構造により、カバー部材10と機器本体2とが固定されてもよい。たとえば、機器本体2にカバー部材10をネジ止めしてもよい。
【0041】
また、上述の実施の形態では、溝部7の内側面は、溝部7の開口側の幅W1が底面側の幅W3よりも大きくなるような斜面を開口部から底面に至るまで有しているが、このような形態に限らない。たとえば、溝部7の開口側の幅W1が底面側の幅W3よりも大きくなるような斜面は、開口部付近にのみ設けられていてもよい。また、溝部7の内側面は、開口側と底面側とで角度が異なる斜面を有していても良い。かかる場合には、リブ12をスムーズに挿入するために、開口側の斜面の角度は、底面側の斜面の角度よりも小さいのが好ましい。また、弾性部材6の外周側および/または内周側に壁部を設け、リブ12を溝部7に挿入した際に、弾性部材6がその幅方向に拡がるのを防止して、リブ12から弾性部材6への圧接力を分散させないようにしても良い。
【0042】
(変形例1)
図8は、本発明の変形例1に係る携帯電話機20について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。なお、携帯電話機1と同じ構成要素については、同じ番号を用いて説明する。
【0043】
上述の実施の形態においては、リブ12は、先端側の幅W2も根元側の幅W4も略同一のリブであるが、リブの形態は、このような形態に限らない。たとえば、図8に示すように、リブ22の先端側の幅W2は、根元側の幅W4よりも小さくてもよい。かかる場合には、溝部7の内側面は、上述の実施の形態のように傾斜面であってもよいし、図8に示すように、溝部7の開口側の幅W1と底面側の幅W3とが略同一であってもよい。また、溝部7の開口側の幅W1と底面側の幅W3とが同一の場合には、リブ22の根元部分の幅W4を、溝部7の開口側の幅W1よりも大きくすることにより、リブ22を溝部7に容易に挿入できる。また、溝部7の開口部の角部がリブ22の側面と圧接するため、外側から収納部3に水が浸入するのを防ぐことができる。
【0044】
(変形例2)
図9は、本発明の変形例2に係る携帯電話機30について、図4に示すBと同様の領域を示す拡大断面図である。図10は、図9の携帯電話機30について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。なお、携帯電話機1と同じ構成要素については、同じ番号を用いて説明する。
【0045】
図9および図10に示すように、リブ33は、その側面に凹部32を有し、溝部7は、その側面に凸部31を有していてもよい。溝部7は、凸部31より底面側に、傾斜する内側面を有する。かかる場合には、リブ33が溝部7に挿入されることにより、凸部31が凹部32に嵌めこまれると共に、リブ33の先端が溝部7の凸部31より底面側の内側面に圧接する。その凸部31と凹部32との嵌めこみ構造部分により、シールを保持することができる。また、リブ33の先端と溝部7の内側面との間で、防水を図ることができる。加えて、溝部7の開口側の幅を、リブ33の先端部の幅より大きくしているので、リブ33を溝部7に挿入しやすい。なお、図9および図10においては、リブ33が凹部32を有し、溝部7が凸部31を有する形態としたが、これを逆にして、リブ33が凸部を有し、溝部7が凹部を有してもよい。
【0046】
(変形例3)
図11は、本発明の変形例3に係る携帯電話機40について、図5と同様の領域を示す拡大断面図である。
【0047】
上述の実施の形態および変形例1,2では、弾性部材6は、閉ループ状に形成されているが、このような形態に限らない。弾性部材46は、収納部3の外周囲に加えて収納部3の内面までを覆うシート形状であってもよい。また、弾性部材46がシート形状の場合、溝部7が設けられる部分は、他の部分よりも厚みが大きいのがより好ましい。弾性部材46が収納部3の内面からその外周囲を覆うような形状の場合には、弾性部材46が部分的に機器本体2から剥離した場合にも、防水構造を維持できる。
【0048】
(変形例4)
図12は、本発明の変形例4に係る携帯電話機50について、図5と同様の領域を示す断面図である。
【0049】
上述の実施の形態および変形例1〜2は、機器本体2が弾性部材6,46を有し、カバー部材10がリブ12,22,33を有する形態としたが、このような形態に限らない。図12に示すように、カバー部材10が弾性部材56を有し、機器本体2側にリブ53が設けられてもよい。具体的には、携帯電話機50は、被収納物1aを収納するための収納部3を開口して備える機器本体2と、収納部3の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材10と、を有し、機器本体2は、開口部の少なくとも外周囲に、リブ53を備える。カバー部材10は、上記機器本体2に取り付けた際に上記リブ53と対向する位置に、機器本体2に対向する面からカバー部材10側に窪む閉ループ状の溝部7を有する弾性部材56を備える。リブ53は、上記機器本体2に取り付けた際に溝部7に向けて突出して溝部7に挿入可能である。また、溝部7の開口側の幅W1は、リブ53の先端の幅W2よりも大きい。
【0050】
また、上述の実施の形態および変形例は、互いにそれぞれの特徴を1以上組み合わせても良い。たとえば、先端側の幅が根元側の幅よりも狭いリブ22が凹部32を有し、溝部7が凸部31を有してもよい。また、係止用突起15および係止爪4aを備えずに、凹部32を有するリブ33と凸部31を有する溝部7とを有し、凹部32と凸部31との係合のみにより、機器本体2からのカバー部材10の脱落を防ぐようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、被収納物を収納する電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1,20,30,40,50 携帯電話機(電子機器の一例)
1a 被収納物
2 機器本体
3 収納部
6,46,56 弾性部材
7 溝部
10 カバー部材
12,22,33,53 リブ
31 凸部
32 凹部
W1 溝部の開口側の幅
W2 リブの先端側の幅
W3 溝部の底面側の幅
W4 リブの根元側の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を覆う電子機器およびそれに用いるカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の電子機器において、防水機能等が求められる場合がある。電子機器に防水機能を付与するには、少なくとも、機器本体に被収納物を収納するための収納部を覆うカバー部材と収納部との隙間から水が入りこまないようにする必要がある。たとえば、電池収納部へ水が入り込まないようにするために、電池収納部カバーに弾性体を有する環状の突起部を備え、電池収納部の外周にその弾性体が圧入される溝を備える構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される構造によれば、弾性体を有する突起部が溝に挿入されることで、弾性体と溝の内側とが密着し、外部から収納部への水の浸入を防ぐことができる。しかし、突起部を被覆する弾性体は、溝を形成する樹脂表面に対して難滑性を呈し、溝に挿入し難いという問題がある。特に、電池収納カバーと溝との間の寸法誤差が大きい場合には、弾性体を溝内に挿入することが、さらに困難になる。突起部が溝に不完全に挿入された状態は、防水性能の低下を招くので好ましくない。
【0005】
本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであって、機器本体へ容易に装着でき、かつ高い防水性を実現することのできる電子機器およびそれに用いるカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、収納物を収納するための収納部を開口して備える機器本体と、収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材と、を有し、機器本体は、開口部の少なくとも外周囲に、カバー部材に対向する面から機器本体側に窪む閉ループ状の溝部を有する弾性部材を備え、カバー部材は、機器本体に取り付けた際に溝部と対向する位置に、溝部に向けて突出して溝部に挿入可能なリブを備え、溝部の開口側の幅は、リブの先端の幅よりも大きい電子機器としている。
【0007】
また、溝部は、開口側の幅が底面側の幅よりも大きくする傾斜面を有するのが好ましい場合もある。
【0008】
さらに、溝部の底面側の幅は、リブの先端側の幅よりも小さいのが好ましい場合もある。
【0009】
さらに、リブの先端側の幅は、その根元側の幅よりも小さいのが好ましい場合もある。
【0010】
溝部の側面には、凸部または凹部が設けられ、凸部または凹部は、リブに設けられた他の凹部または他の凸部とそれぞれ嵌合可能であるのが好ましい場合もある。
【0011】
本発明の別の一実施の形態は、被収納物を収納するための収納部を開口して備える電子機器の機器本体に対して、収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材であって、開口部の少なくとも外周囲に備える弾性部材に形成され機器本体側に窪む閉ループ状の溝部に挿入可能なリブを有し、リブの先端の幅は、溝部の開口側の幅よりも小さいものとしている。
【0012】
また、リブの先端側の幅は、電子機器が備える溝部の底面側の幅よりも大きいのが好ましい場合がある。
【0013】
また、リブの側面は、溝部の側面に設けられた凸部または凹部と嵌合可能な別の凹部または別の凸部をそれぞれ有するのが好ましい場合もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバー部材を機器本体へ容易に装着でき、かつ高い防水性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機を、その操作面側から見た場合の斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機を、その背面側から見た場合の分解斜視図である。
【図3】図2に示すカバー部材を、被収納物に対向する面側から見た場合の斜視図である。
【図4】図1に示す携帯電話機を、機器本体と、被収納物が収納されたカバー部材とに分離して示すA―A線断面図である。
【図5】図1に示す携帯電話機のA−A線断面図である。
【図6】図4のBで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】図5のCで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】本発明の変形例1に係る携帯電話機について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の変形例2に係る携帯電話機について、図4に示すBと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図10】図9の携帯電話機について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の変形例3に係る携帯電話機について、図5と同様の領域を示す断面図である。
【図12】本発明の変形例4に係る携帯電話機について、図5と同様の領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電子機器およびそれに用いるカバー部材の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下、電子機器の実施の形態を説明する中で、カバー部材の実施の形態についても説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機1を、その操作面側から見た場合の斜視図である。
【0018】
携帯電話機1の機器本体2は、薄い略直方体である。また、機器本体2は、操作面と逆側(以下、背面側という。)に、着脱可能なカバー部材10を有する。カバー部材10は、機器本体2の筺体の一部を構成することから、機器本体2の背面と同じ部材から構成されるのが好ましい。
【0019】
図2は、図1に示す携帯電話機1を、その背面側から見た場合を示す分解斜視図である。
【0020】
機器本体2は、被収納物1aを収納する収納部3を開口して備える。被収納物1aは、本実施の形態において、薄い略直方体である。被収納物1aとしては、たとえば、携帯電話機1の電子制御部、記憶部、電池、メモリーディスクあるいはPCB等が挙げられる。なお、被収納物1aは、収納部3から脱落しないように固定されてもよいし、収納部3とカバー部材10とに挟まれることにより保持されてもよい。
【0021】
機器本体2は、その外周に側壁4を有している。側壁4は、その内周面に、内周側に突出する係止爪4aを有している。また、機器本体2は、側壁4の内側と収納部3との間にある平坦部5に、弾性部材6を有する。弾性部材6は、収納部3の外周囲に閉ループ状に配置されている。弾性部材6は、接着剤等により、平坦部5に固着される。なお、弾性部材6は、接着剤による接着以外の方法により平坦部5に固着されてもよい。たとえば、弾性部材6は、インサート成型あるいは2色成型により、平坦部5に設けられてもよい。平坦部5は、弾性部材6を取り付ける際の位置決めを容易にするために、弾性部材6を固着する位置に突起(不図示)を有してもよい。弾性部材6は、カバー部材10に対向する面から機器本体2側に窪む閉ループ状の溝部7を有する。溝部7は、弾性部材6を背面側から見た場合に、弾性部材6の幅を二分する位置に設けられている。
【0022】
弾性部材6は、後述するリブ12に圧接された場合に、少なくともリブ12の角部に対し変形しながら密着できるように、柔軟性に富む材料にて主に形成される。たとえば、JIS―A硬度が90度以下、より好ましくは60度以下である。弾性部材6のJIS―A硬度が60度以下の場合には、カバー部材10を機器本体2に装着した場合の応力が小さいため、カバー部材10を機器本体2に装着しやすく、かつ、カバー部材10が破損しにくい。また、弾性部材6の溝部7の形状を保持するために、弾性部材6のJIS−A硬度は、10度以上、より好ましくは30度以上とする。
【0023】
また、弾性部材6は、カバー部材10の着脱動作を繰り返す場合に、リブ12により圧縮と開放を繰り返すため、その形状をある程度保持可能な材料から構成されるのが好ましい。たとえば、JIS K 6262に準拠した測定法より測定された圧縮永久歪(CS)が50%以下、好ましくは20%以下であることが好ましい。CSが50%以下の場合、弾性部材6は、圧縮により数回変形した後に解放されると、容易に元の形状に復元できるため、寸法精度を維持でき、もって十分な防水性能を発揮できる。
【0024】
弾性部材6を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系あるいはポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマー、または、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、シリコーンゴムあるいはフッ素ゴム等の熱硬化性エラストマーを好適に用いることができる。その中でも、パッキンとして必要な特性、たとえば、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐薬品性および圧縮永久歪等に優れ、比較的安価なシリコーンゴムを特に好適に用いることができる。
【0025】
カバー部材10は、薄いトレイ形状の成型体である。カバー部材10は、成形性および加工性等の理由から、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂あるいはPBT樹脂等の熱可塑性樹脂、または、それらのアロイ等から好適に構成される。さらに、それらの樹脂にガラスファイバー等を混合してもよい。カバー部材10は、収納部3に収納された被収納物1aを覆うように、機器本体2に装着される。機器本体2およびカバー部材10は、カバー部材10が機器本体2に装着された際に、機器本体2の両側面が共に略平面になるように構成されている。
【0026】
図3は、図2に示すカバー部材10を、被収納物1aに対向する面側から見た場合の斜視図である。
【0027】
カバー部材10は、それを機器本体2に取り付けた際に、溝部7と対向する位置に、溝部7に向けて突出して、溝部7に挿入可能な閉ループ状のリブ12を有する。また、カバー部材10は、リブ12の外周を取り囲む壁部13を有する。壁部13は、リブ12と離間して設けられている。さらに、カバー部材10は、壁部13の外周に、略水平な外周面14を有する。壁部13の外周側の面は、その外周を取り囲むように、外周側に突出する係止用突起15を有している。
【0028】
図4は、図1に示す携帯電話機1を、機器本体2と、被収納物1aが収納されたカバー部材10とに分離して示すA−A線断面図である。図5は、図1に示す携帯電話機1のA−A線断面図である。なお、図5およびそれ以後の断面図では、見易さを考慮して、各部材の厚さの比率を実際の比率と変えて図示している。また、被収納物1aは、薄い略直方体の形態として図示している。
【0029】
カバー部材10を機器本体2に取り付けると、カバー部材10の係止用突起15が機器本体2の係止爪4aに引っ掛かることにより係止される。また、カバー部材10を機器本体2に取り付けると、リブ12は、弾性部材6の溝部7に挿入される。
【0030】
図6は、図4のBで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。図7は、図5のCで示す部分を拡大して示す拡大断面図である。
【0031】
リブ12は、溝部7に挿入できるように、先端側の幅W2、高さHにて閉ループ状に設けられている。リブ12は、その断面を略直方体とし、先端側および根元側の両幅とも、強度や成形性を考慮して、好適には、0.2mm以上としている。リブ12の高さHは、弾性部材6の圧縮量に対して十分な高さが必要であるため、たとえば、0.5mm以上、より好ましくは、1.0mm以上である。なお、リブ12は、カバー部材10と別体に固定されてもよいし、あるいは、一体的に形成されてもよい。なお、リブ12の先端部は、曲面あるいは、角部が面取りされているのがより好ましい。かかる場合には、リブ12が弾性部材6の溝部7への挿脱を繰り返しても、弾性部材6にクラック等が入り込みにくい。
【0032】
溝部7は、その開口側の幅W1、底面側の幅W3の断面が略台形状の凹部にて、弾性部材6の幅方向中央部分に閉ループ状に設けられる。溝部7の開口側の幅W1は、これと対向するリブ12の先端側の幅W2よりも大きい。W1がW2よりも大きいため、リブ12を溝部7に挿入する初期段階では、何ら抵抗なく挿入できる。また、溝部7の底面側の幅W3は、リブ12の先端側の幅W2よりも小さい。このため、図7に示すように、溝部7にリブ12が挿入されると、少なくともリブ12の幅方向2箇所の角部が溝部6の内側面(傾斜面)に圧接する。この結果、外部から浸入した水が収納部3に浸入するのを有効に防ぐことができる。
【0033】
この実施の形態では、溝部7の内側面は、溝部7の開口側から底面側に向かって一定の角度で傾斜する傾斜面である。弾性部材6の開口面と、溝部7の内側面とが為す角度θは、0度よりも大きく90度未満であり、さらに、リブ12をスムーズに挿入するためには、30〜60度であるのが好ましい。また、弾性部材6の壁の厚さ(溝部7の内側面から弾性部材6の外側面までの幅)は、たとえば、0.2mm以上、より好ましくは、0.5mm以上である。かかる場合には、一般的な成形法により弾性部材6を成形可能であり、かつ、弾性部材6の形状を保持可能である。
【0034】
上述のような携帯電話機1においては、カバー部材10を機器本体2に取り付けると、リブ12は、初期段階にて溝部7に容易に挿入され、挿入が進むと溝部7を押し広げるようにその内方に挿入される。弾性部材6は、リブ12の少なくとも内側の角部および外側の角部の2箇所で圧接するので、外部からの異物(水等)が収納部3の内部に入らないように、効果的に封止できる。したがって、上述のような携帯電話機1においては、カバー部材10を容易に機器本体2に装着できることに加え、かつ、高い防水性を実現できる。
【0035】
また、上述のように、弾性部材6の溝部7にリブ12をスムーズに挿入可能であることから、弾性部材6あるいはリブ12に、滑り性を向上させるための被覆層を設ける必要がない。したがって、生産性の向上に加えて、製造コストの低減も可能である。なお、弾性部材6は、耐異物付着性、滑り性および撥水性の少なくともいずれか1つを向上させる等のために、その表面に弾性部材6とは別の部材による被覆層を有していてもよい。その被覆層は、たとえば、フッ素含有樹脂により形成されていてもよい。
【0036】
また、上述のような携帯電話機1においては、機器本体2およびカバー部材10の寸法に誤差が生じて、リブ12が溝部7に対応する位置からわずかにずれた場合であっても、溝部7の内側面が斜面であるため、リブ12を溝部7に誘導できる。
【0037】
以上、本発明の電子機器およびそれに用いるカバー部材の好適な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上述の各実施の形態に限定されず、種々の変形を施して実施することができる。
【0038】
例えば、上述の実施の形態では、携帯電話機1を例示したが、携帯電話機1以外の電子機器にも応用可能であって、例えば、PDA、固定電話機、ホームオーディオ機器、車載用オーディオ機器、カーナビゲーション機器、バッテリーを搭載する電気自動車等の機器にも応用できる。また、上述の実施の形態では、収納部3への水の浸入を防止する構造を例示したが、上述の構造では、水以外の液体や埃等の、他の異物を防止することができる。
【0039】
また、上述の実施の形態では、収納部3は、背面側から見て、角が曲面の直方体としたが、このような形態に限らない。収納部3およびカバー部材10等の形状は、被収納物1aの形状により円形、あるいはその他の多角形等の形状であってもよい。
【0040】
また、上述の実施の形態では、機器本体2が係止爪4aを有し、カバー部材10が係止用突起15を有する形態としているが、このような形態に限らない。係止用突起15と係止爪4aとの引掛構造以外の構造により、カバー部材10と機器本体2とが固定されてもよい。たとえば、機器本体2にカバー部材10をネジ止めしてもよい。
【0041】
また、上述の実施の形態では、溝部7の内側面は、溝部7の開口側の幅W1が底面側の幅W3よりも大きくなるような斜面を開口部から底面に至るまで有しているが、このような形態に限らない。たとえば、溝部7の開口側の幅W1が底面側の幅W3よりも大きくなるような斜面は、開口部付近にのみ設けられていてもよい。また、溝部7の内側面は、開口側と底面側とで角度が異なる斜面を有していても良い。かかる場合には、リブ12をスムーズに挿入するために、開口側の斜面の角度は、底面側の斜面の角度よりも小さいのが好ましい。また、弾性部材6の外周側および/または内周側に壁部を設け、リブ12を溝部7に挿入した際に、弾性部材6がその幅方向に拡がるのを防止して、リブ12から弾性部材6への圧接力を分散させないようにしても良い。
【0042】
(変形例1)
図8は、本発明の変形例1に係る携帯電話機20について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。なお、携帯電話機1と同じ構成要素については、同じ番号を用いて説明する。
【0043】
上述の実施の形態においては、リブ12は、先端側の幅W2も根元側の幅W4も略同一のリブであるが、リブの形態は、このような形態に限らない。たとえば、図8に示すように、リブ22の先端側の幅W2は、根元側の幅W4よりも小さくてもよい。かかる場合には、溝部7の内側面は、上述の実施の形態のように傾斜面であってもよいし、図8に示すように、溝部7の開口側の幅W1と底面側の幅W3とが略同一であってもよい。また、溝部7の開口側の幅W1と底面側の幅W3とが同一の場合には、リブ22の根元部分の幅W4を、溝部7の開口側の幅W1よりも大きくすることにより、リブ22を溝部7に容易に挿入できる。また、溝部7の開口部の角部がリブ22の側面と圧接するため、外側から収納部3に水が浸入するのを防ぐことができる。
【0044】
(変形例2)
図9は、本発明の変形例2に係る携帯電話機30について、図4に示すBと同様の領域を示す拡大断面図である。図10は、図9の携帯電話機30について、図5に示すCと同様の領域を示す拡大断面図である。なお、携帯電話機1と同じ構成要素については、同じ番号を用いて説明する。
【0045】
図9および図10に示すように、リブ33は、その側面に凹部32を有し、溝部7は、その側面に凸部31を有していてもよい。溝部7は、凸部31より底面側に、傾斜する内側面を有する。かかる場合には、リブ33が溝部7に挿入されることにより、凸部31が凹部32に嵌めこまれると共に、リブ33の先端が溝部7の凸部31より底面側の内側面に圧接する。その凸部31と凹部32との嵌めこみ構造部分により、シールを保持することができる。また、リブ33の先端と溝部7の内側面との間で、防水を図ることができる。加えて、溝部7の開口側の幅を、リブ33の先端部の幅より大きくしているので、リブ33を溝部7に挿入しやすい。なお、図9および図10においては、リブ33が凹部32を有し、溝部7が凸部31を有する形態としたが、これを逆にして、リブ33が凸部を有し、溝部7が凹部を有してもよい。
【0046】
(変形例3)
図11は、本発明の変形例3に係る携帯電話機40について、図5と同様の領域を示す拡大断面図である。
【0047】
上述の実施の形態および変形例1,2では、弾性部材6は、閉ループ状に形成されているが、このような形態に限らない。弾性部材46は、収納部3の外周囲に加えて収納部3の内面までを覆うシート形状であってもよい。また、弾性部材46がシート形状の場合、溝部7が設けられる部分は、他の部分よりも厚みが大きいのがより好ましい。弾性部材46が収納部3の内面からその外周囲を覆うような形状の場合には、弾性部材46が部分的に機器本体2から剥離した場合にも、防水構造を維持できる。
【0048】
(変形例4)
図12は、本発明の変形例4に係る携帯電話機50について、図5と同様の領域を示す断面図である。
【0049】
上述の実施の形態および変形例1〜2は、機器本体2が弾性部材6,46を有し、カバー部材10がリブ12,22,33を有する形態としたが、このような形態に限らない。図12に示すように、カバー部材10が弾性部材56を有し、機器本体2側にリブ53が設けられてもよい。具体的には、携帯電話機50は、被収納物1aを収納するための収納部3を開口して備える機器本体2と、収納部3の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材10と、を有し、機器本体2は、開口部の少なくとも外周囲に、リブ53を備える。カバー部材10は、上記機器本体2に取り付けた際に上記リブ53と対向する位置に、機器本体2に対向する面からカバー部材10側に窪む閉ループ状の溝部7を有する弾性部材56を備える。リブ53は、上記機器本体2に取り付けた際に溝部7に向けて突出して溝部7に挿入可能である。また、溝部7の開口側の幅W1は、リブ53の先端の幅W2よりも大きい。
【0050】
また、上述の実施の形態および変形例は、互いにそれぞれの特徴を1以上組み合わせても良い。たとえば、先端側の幅が根元側の幅よりも狭いリブ22が凹部32を有し、溝部7が凸部31を有してもよい。また、係止用突起15および係止爪4aを備えずに、凹部32を有するリブ33と凸部31を有する溝部7とを有し、凹部32と凸部31との係合のみにより、機器本体2からのカバー部材10の脱落を防ぐようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、被収納物を収納する電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1,20,30,40,50 携帯電話機(電子機器の一例)
1a 被収納物
2 機器本体
3 収納部
6,46,56 弾性部材
7 溝部
10 カバー部材
12,22,33,53 リブ
31 凸部
32 凹部
W1 溝部の開口側の幅
W2 リブの先端側の幅
W3 溝部の底面側の幅
W4 リブの根元側の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物を収納するための収納部を開口して備える機器本体と、
上記収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材と、
を有し、
上記機器本体は、上記開口部の少なくとも外周囲に、上記カバー部材に対向する面から上記機器本体側に窪む閉ループ状の溝部を有する弾性部材を備え、
上記カバー部材は、上記機器本体に取り付けた際に上記溝部と対向する位置に、上記溝部に向けて突出して上記溝部に挿入可能なリブを備え、
上記溝部の開口側の幅は、上記リブの先端の幅よりも大きいことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記溝部は、開口側の幅が底面側の幅よりも大きくする傾斜面を有することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記溝部の底面側の幅は、前記リブの先端側の幅よりも小さいことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の電子機器であって、
前記リブの、先端側の幅は、その根元側の幅よりも小さいことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記溝部の側面には、凸部または凹部が設けられ、
上記凸部または上記凹部は、前記リブに設けられた他の凹部または他の凸部とそれぞれ嵌合可能なことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
被収納物を収納するための収納部を開口して備える電子機器の機器本体に対して、上記収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材であって、
上記開口部の少なくとも外周囲に備える弾性部材に形成され上記機器本体側に窪む閉ループ状の溝部に挿入可能なリブを有し、
上記リブの先端の幅は、上記溝部の開口側の幅よりも小さいことを特徴とするカバー部材。
【請求項7】
請求項6に記載のカバー部材であって、
前記リブの先端側の幅は、前記電子機器が備える前記溝部の底面側の幅よりも大きいことを特徴とするカバー部材。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のカバー部材であって、
前記リブの側面は、前記溝部の側面に設けられた凸部または凹部と嵌合可能な別の凹部または別の凸部をそれぞれ有することを特徴とするカバー部材。
【請求項1】
被収納物を収納するための収納部を開口して備える機器本体と、
上記収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材と、
を有し、
上記機器本体は、上記開口部の少なくとも外周囲に、上記カバー部材に対向する面から上記機器本体側に窪む閉ループ状の溝部を有する弾性部材を備え、
上記カバー部材は、上記機器本体に取り付けた際に上記溝部と対向する位置に、上記溝部に向けて突出して上記溝部に挿入可能なリブを備え、
上記溝部の開口側の幅は、上記リブの先端の幅よりも大きいことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記溝部は、開口側の幅が底面側の幅よりも大きくする傾斜面を有することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記溝部の底面側の幅は、前記リブの先端側の幅よりも小さいことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の電子機器であって、
前記リブの、先端側の幅は、その根元側の幅よりも小さいことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記溝部の側面には、凸部または凹部が設けられ、
上記凸部または上記凹部は、前記リブに設けられた他の凹部または他の凸部とそれぞれ嵌合可能なことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
被収納物を収納するための収納部を開口して備える電子機器の機器本体に対して、上記収納部の開口部を覆うように着脱自在に備えるカバー部材であって、
上記開口部の少なくとも外周囲に備える弾性部材に形成され上記機器本体側に窪む閉ループ状の溝部に挿入可能なリブを有し、
上記リブの先端の幅は、上記溝部の開口側の幅よりも小さいことを特徴とするカバー部材。
【請求項7】
請求項6に記載のカバー部材であって、
前記リブの先端側の幅は、前記電子機器が備える前記溝部の底面側の幅よりも大きいことを特徴とするカバー部材。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のカバー部材であって、
前記リブの側面は、前記溝部の側面に設けられた凸部または凹部と嵌合可能な別の凹部または別の凸部をそれぞれ有することを特徴とするカバー部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−253179(P2012−253179A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124284(P2011−124284)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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