説明

電子機器およびそれに用いるカバー部材

【課題】
カバー部材を本体に容易に装着でき、かつ高い防水性を実現する電子機器およびそれに用いるカバー部材を提供すること。
【解決手段】
被収納物1aを収納するための収納部3を開口して備えるケース部材2と、ケース部材2の開口部を覆うように着脱可能なカバー部材10と、を有し、ケース部材2およびカバー部材10の内の一方の部材は、他方の部材へ突出するリブ12を備え、他方の部材は、収納部3の外周囲に、閉ループ状の弾性部材6を備え、弾性部材6は、閉ループの内外方向に設けられる2つの壁部7を有し、2つの壁部7の先端部は、リブ12よりも小さい間隙にて開口すると共に、互いに内側に向かって延出し、リブ12の挿入時に巻回するように変形する電子機器1としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびそれに用いるカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の電子機器において、防水機能等が求められる場合がある。電子機器に防水機能を付与するには、少なくとも、本体に被収納物を収納するための収納部を覆うカバー部材と収納部との隙間から水が入りこまないようにする必要がある。たとえば、電池収納部へ水が入り込まないようにするために、電池収納部を覆うカバー部材に弾性体を有する環状の突起部を備え、電池収納部の外周にその弾性体が圧入される溝を備える構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される構造によれば、弾性体を有する突起部が溝に挿入されることで、弾性体と溝の内側とが密着し、外部から収納部への水の浸入を防ぐことができる。しかし、突起部を被覆する弾性体は、溝を形成する樹脂表面に対して難滑性を呈し、溝に挿入し難いという問題がある。特に、カバー部材の突起部と溝との間の寸法誤差が大きい場合には、弾性体を溝内に挿入することが、さらに困難になる。突起部が溝に不完全に挿入された状態は、防水性能の低下を招くので好ましくない。
【0005】
本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであって、カバー部材を本体に容易に装着でき、かつ高い防水性を実現することのできる電子機器およびそれに用いるカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、被収納物を収納するための収納部を開口して備えるケース部材と、ケース部材の開口部を覆うように着脱可能なカバー部材と、を有し、ケース部材およびカバー部材の内の一方の部材は、他方の部材へ突出するリブを備え、他方の部材は、収納部の外周囲に、閉ループ状の弾性部材を備え、弾性部材は、閉ループの内外方向に設けられる2つの壁部を有し、2つの壁部の先端部は、リブよりも小さい間隙にて開口すると共に、互いに内側に向かって延出し、リブの挿入時に巻回するように変形する電子機器としている。
【0007】
また、2つの壁部の先端部を除く間隙は、リブの幅よりも大きいのが好ましい場合もある。
【0008】
さらに、壁部の先端部の厚みは、根元部の厚みよりも小さいのが好ましい場合もある。
【0009】
本発明の別の一実施の形態は、被収納物を収納するための収納部を開口して備える電子機器のケース部材に対して、収納部の開口部を覆うように着脱可能に備えるカバー部材であって、収納部の外周囲に形成されるリブと対向する位置に、閉ループ状の弾性部材を備え、弾性部材は、閉ループの内外方向に設けられる2つの壁部を有し、2つの壁部の先端部は、リブよりも小さい間隙にて開口すると共に、互いに内側に向かって延出し、リブの挿入時に巻回するように変形するカバー部材としている。
【0010】
また、2つの壁部の先端部を除く間隙は、リブの幅よりも大きいのが好ましい場合もある。
【0011】
壁部の先端部の厚みは、その根元部の厚みよりも小さいのが好ましい場合もある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カバー部材を本体に容易に装着でき、かつ高い防水性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機を、その操作面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機を、その背面側から見た分解斜視図である。
【図3】図2に示すカバー部材を、被収納物に対向する面側から見た斜視図である。
【図4】図1に示す携帯電話機を、ケース部材と、カバー部材とに分離して示すA−A線断面図である。
【図5】図1に示す携帯電話機のA−A線断面図である。
【図6】図4のBで示す部分について、リブの押し込み量と弾性部材との状態を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】弾性部材の変形例における図4のBと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図8】弾性部材の別の変形例における図4のBと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図9】弾性部材の別の変形例における図4のBと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図10】弾性部材の別の変形例における図4のBと同様の領域を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の変形例1に係る携帯電話機における図5と同様の領域を示すA−A線断面図である。
【図12】本発明の変形例2に係る携帯電話機における図5と同様の領域を示すA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の電子機器およびそれに用いるカバー部材の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下、電子機器の実施の形態を説明する中で、カバー部材の実施の形態についても説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機1を、その操作面側から見た斜視図である。
【0016】
本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機1は、薄い略直方体形状を有する。また、携帯電話機1は、ケース部材2側に表示部等を露出し、ケース部材2の操作面と逆側(以後、「背面側」という。)に、カバー部材10を着脱可能に備える。ケース部材2およびカバー部材10は、共に、携帯電話機1の筺体の一部を構成することから、同じ部材から構成されるのが好ましい。なお、以後の説明において、操作面から背面への方向を高さ方向という。
【0017】
図2は、図1に示す携帯電話機1を、その背面側から見た分解斜視図である。図3は、図2に示すカバー部材10を、被収納物1aに対向する面側から見た斜視図である。図4は、図1に示す携帯電話機1を、ケース部材2と、カバー部材10とに分離して示すA−A線断面図である。図5は、図1に示す携帯電話機1のA−A線断面図である。なお、図4およびそれ以後の断面図では、見易さを考慮して、各部材の厚さの比率を実際の比率と変えて図示している。また、被収納物1aは、薄い略直方体の形態として図示している。
【0018】
ケース部材2は、被収納物1aを収納する収納部3を開口して備える。被収納物1aは、本実施の形態において、薄い略直方体である。被収納物1aとしては、たとえば、携帯電話機1の制御部、記憶部、電池、メモリーディスクあるいはPCB等が挙げられる。なお、被収納物1aは、収納部3から脱落しないように固定されてもよいし、収納部3とカバー部材10とに挟まれることにより保持されてもよい。
【0019】
ケース部材2は、その外周に側壁4を有している。側壁4は、その内周面に、内周側に突出する係止爪4aを有している。また、ケース部材2は、側壁4の内側と収納部3との間にある平坦部5に、弾性部材6を有する。弾性部材6は、収納部3の外周囲に設けられる閉ループ状の部材である。弾性部材6は、接着剤等により、平坦部5に固着される。平坦部5は、弾性部材6を固着する位置の位置決めを容易にするために、弾性部材6を固着する位置に突起あるいは印(不図示)を有してもよい。
【0020】
弾性部材6は、壁部として、内周側の第1の壁部7aと、第1の壁部7aの外側を囲むように配置される第2の壁部7bと、を有する。第1の壁部7aおよび第2の壁部7b(以後、第1の壁部7aと第2の壁部7bとの両方を指す場合には、「壁部7」という。)は、閉ループ状に形成されている。第1の壁部7aと第2の壁部7bとの各先端部の間隙は、内外方向の幅W1にて離間している。また、第1の壁部7aと第2の壁部7bとは、各先端部より根元に近い位置において、内外方向の幅W2(W2>W1)にて離間している。幅W2は、後述するリブ12の幅W3よりも大きいのが好ましい。ただし、幅W2がリブ12の幅W3と同一若しくは狭くても、リブ12の挿入時に壁部7が開くように変形容易であればよい。
【0021】
壁部7の幅方向の厚さは、たとえば、0.2mm以上、より好ましくは、0.5mm以上である。壁部7の幅方向の厚さが0.2mm以上の場合、一般的な成形法により壁部7を成形しやすく、かつ壁部7の形状を保持可能である。なお、壁部7の先端部分の幅方向の厚さは、根元部分のそれよりも小さいのが好ましい。かかる形態により、壁部7の先端部分が変形しやすくなる一方、壁部7の剛性が高くなり、壁部7と後述するリブ12との間の封止力が向上する。
【0022】
壁部7は、柔軟性に富む弾性体にて主に形成される。たとえば、壁部7の好適な硬度は、JIS−A硬度にて90度以下、より好ましくは60度以下である。かかる硬度範囲では、後述するリブ12は、壁部7の先端部を内側に向けて変形させやすい。また、壁部7の先端部は、互いに内側に向かって延出しており、巻回しやすい構造となっている。したがって、リブ12が壁部7の先端部を押し下げると、壁部7の先端部は、巻回するように屈曲し、壁部7の対向しない面側が、リブ12の側面に接する。また、壁部7の形状を保持するために、壁部7の好適な硬度は、JIS−A硬度にて10度以上、さらに好適な硬度は30度以上である。
【0023】
また、壁部7は、カバー部材10の着脱動作を繰り返す場合に、後述するリブ12により変形と開放とを繰り返すため、その形状をある程度保持可能な材料から構成されるのが好ましい。たとえば、JIS K 6262に準拠した測定法より測定された圧縮永久歪(CS)が50%以下、好ましくは20%以下であることが好ましい。CSが50%以下の場合、第1の壁部7aおよび第2の壁部7bは、数回の変形により、元の形状に復元しやすく、寸法精度が維持できるため、十分に高い防水性能を発揮しやすい。
【0024】
壁部7を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系あるいはポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマー、または、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、シリコーンゴムあるいはフッ素ゴム等の熱硬化性エラストマーを好適に用いることができる。その中でも、シール材として必要な特性、たとえば、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐薬品性および圧縮永久歪等に優れ、比較的安価なシリコーンゴムを特に好適に用いることができる。
【0025】
ケース部材2およびカバー部材10は、たとえば、薄いトレイ形状の成型体である。ケース部材2およびカバー部材10は、成形性および加工性等の理由から、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂あるいはPBT樹脂等の熱可塑性樹脂、または、それらのアロイ等から好適に構成される。さらに、それらの樹脂にガラスファイバー等を混合してもよい。カバー部材10は、収納部3に収納された被収納物1aを覆うように、ケース部材2に装着される。ケース部材2およびカバー部材10は、カバー部材10がケース部材2に装着された際に、それらの両側面が面一になるように構成されている。
【0026】
カバー部材10は、ケース部材2に装着した場合に、ケース部材2側へ突出するリブ12を有する。リブ12は、カバー部材10をケース部材2に取り付けた際に、第1の壁部7aと第2の壁部7bとの間隙に対向する位置に設けられている。また、カバー部材10は、リブ12の外周を取り囲む外壁13を有する。外壁13は、リブ12と離間して設けられている。さらに、カバー部材10は、外壁13の外周に、外壁13より低い段差をもって略水平な外周面14を有する。外壁13の外周側の面は、その外周を取り囲むように、外周側に突出する係止用突起15を有している。
【0027】
カバー部材10をケース部材2に取り付けると、ケース部材2およびカバー部材10は、カバー部材10の係止用突起15がケース部材2の係止爪4aに引っ掛かることにより係止される。また、カバー部材10をケース部材2に取り付けると、リブ12は、第1の壁部7aと第2の壁部7bとの間隙に挿入される。
【0028】
リブ12は、高さがHおよび幅がW3の閉ループ状にて、カバー部材10に設けられている。リブ12は、その断面が略直方体であって、その先端側および根元側の両幅とも、強度や成形性を考慮して、0.2mm以上であるのが好ましい。リブ12は、壁部7の先端部を押し込んで、壁部7を先端側から巻回するように変形させるのに十分な高さを必要する。リブ12の好適な高さHは、0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上である。なお、リブ12は、カバー部材10と別体に固定されても、あるいは一体的に形成されてもよい。さらに、リブ12の先端部は、平面あるいは曲面であるのがより好ましい。
【0029】
図6の(A)〜(C)は、図4のBで示す部分について、リブ12の押し込み量と弾性部材6との状態を拡大して示す拡大断面図である。
【0030】
図6の(A)に示すように、第1の壁部7aと第2の壁部7bとの先端部は、互いに近づく方向に屈曲している。壁部7の先端部の間隙W1は、これと対向するリブ12の幅W3よりも小さい。カバー部材10をケース部材2に取り付けると、リブ12は、まず、図6の(B)に示すように、壁部7の先端側を、平坦部5側の空間に向けて押し込む。
【0031】
リブ12が壁部7の先端側を当該空間に向けてさらに押し込むと、図6の(C)に示すように、壁部7は、巻回するように変形する。リブ12の先端が、巻回した壁部7同士の間隙に挿入を続けていくと、壁部7の巻回回数が多くなり、壁部7にてリブ12を挟み込む力が徐々に強くなる。最終的に、壁部7は、リブ12の側面に密着する。したがって、カバー部材10をケース部材2に取り付け、リブ12が壁部7に挟まれた状態において、外部から浸入した水は、収納部3に浸入しにくくなる。
【0032】
上述のような携帯電話機1においては、カバー部材10をケース部材2に取り付ける際、リブ12が壁部12の先端部に接触した初期段階には、先端部が容易に内側の空間内に変形するので、リブ12の挿入の抵抗は低い。その後、リブ12の挿入が進行するにしたがって、壁部7の先端部が巻回して太くなるため、リブ12の挿入抵抗が大きくなる。ついには、壁部7の先端側の巻回外周面が、リブ12をしっかりと挟み込み、リブ12に密着する。その結果、外部からの異物(水等)が収納部3の内部に入らないように、効果的に封止できる。このように、上述のような携帯電話機1においては、カバー部材10をケース部材2に容易に装着できることに加え、かつ、高い防水性を実現できる。
【0033】
また、上述のように、壁部7の先端部が変形しやすいので、弾性部材6に滑り性を向上させるための被覆層を設ける必要はない。この結果、生産性の向上に加えて、製造コストの低減も可能である。ただし、壁部7は、耐異物付着性、滑り性および撥水性の少なくともいずれか1つを向上させる等のために、その表面に壁部7とは別の部材による被覆層を設けてもよい。その被覆層は、たとえば、フッ素含有樹脂により形成されていてもよい。あるいは、リブ12が弾性部材6に対して滑ってしまうことで壁部7が巻回しにくくなることを防止するため、壁部7に滑り性を低下させる被覆層等を設けてもよい。また、ケース部材2には、両方の壁部7を挟んで両側若しくはいずれか片側に、リブ12の挿入時に壁部7が過度に拡がるのを規制する延出部を設けても良い。延出部は、壁部7の外側面全部と固着されない限り、例えば、壁部7の変形容易な先端部を除く根元側の領域と固着される状態、壁部7の外側面に接する状態、あるいは壁部7の外側面と空間をあけた状態にて形成することができる。なお、延出部は、先端部の変形の障害にならないように、壁部7の先端部よりも低く形成される方が好ましい。
【0034】
以上、本発明の電子機器およびそれに用いるカバー部材の好適な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々の変形を施して実施することができる。
【0035】
例えば、上述の実施の形態では、電子機器として携帯電話機1を例示したが、携帯電話機1以外の電子機器にも応用可能であって、例えば、PDA、固定電話機、ホームオーディオ機器、車載用オーディオ機器、カーナビゲーション機器、バッテリーを搭載する電気自動車等の機器にも応用できる。また、上述の実施の形態では、収納部3への水の浸入を防止する構造を例示したが、上述の構造では、水以外の液体や埃等の、他の異物を防止することができる。
【0036】
また、上述の実施の形態では、収納部3は、背面側から見て、角が曲面の直方体としたが、このような形態に限らない。収納部3およびカバー部材10等の形状は、被収納物1aの形状により円形、あるいはその他の多角形等の形状であってもよい。
【0037】
また、上述の実施の形態では、ケース部材2が係止用爪4aを有し、カバー部材10が係止用突起15を有する形態としているが、このような形態に限らない。係止用突起15と係止爪4aとの引掛構造以外の構造により、カバー部材10とケース部材2とが固定されてもよい。たとえば、ケース部材2にカバー部材10をネジ止めしてもよい。
【0038】
図7〜10は、弾性部材6の変形例における図4のBと同様の領域を示す拡大断面図である。なお、以下の変形例においては、携帯電話機1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0039】
上述の実施の形態では、弾性部材6が有する第1の壁部7aおよび第2の壁部7bは、別々に平坦部5に対し立設しているが、このような形態に限らない。図7に示すように、第1の壁部7aと第2の壁部7bとは、その根元部に設けられた連接部分16により連接されていてもよい。
【0040】
上述の実施の形態では、壁部7の根元部は、平坦部5に対し略垂直に立設しているが、このような形態に限らない。図8に示すように、弾性部材6は、第1の壁部7aと第2の壁部7bとが近づく方向に傾斜して形成されていても良い。かかる場合には、リブ12の挿入により、壁部7がリブ12から離れる方向に反りにくい。
【0041】
上述の実施の形態では、弾性部材6は、先端部の厚みと根元部の厚みとが略同一の壁部7を有しているが、このような形態に限らない。図9に示すように、弾性部材6は、先端部の厚みT2が根元部の厚みT1よりも小さい壁部7を有してもよい。かかる場合には、リブ12の挿入により、先端部が巻回しやすく、かつ、壁部7の根元部がリブ12から離れる方向に反りにくいため、リブ12と壁部7との密着を保つことができる。なお、先端部の厚みT2は、根元部の厚みT1より大きくすることもできる。特に、第1の壁部7aと第2の壁部7bとを挟むように延出部を形成している場合には、第1の壁部7aと第2の壁部7bとの間隙が過度に拡がらないので、根元部の厚みT1が先端部の厚みT2より小さくても良い。
【0042】
また、図10に示すように、壁部7は、平坦部5との間に脱気口19を有してもよい。特に、防水性を高める必要から、脱気口19は、収納部3側、すなわち内側の壁部7に形成されるのが好ましい。脱気口19を形成すると、リブ12により壁部7の先端部が押し下げられた際に、壁部7、リブ12および平坦部5により囲まれた空間にある空気を脱気口19からスムーズに排出できる。逆に、リブ12を壁部7から引き抜くと、脱気口19から当該空間に空気が流入する。このように、壁部7、リブ12および平坦部5により囲まれた空間が閉空間とならないので、リブ12を挿脱する際の挿入抵抗が小さい。なお、脱気口19は、壁部7と平坦部5との間の一部を非接着状態とすることで設けられてもよいし、壁部7を貫通する孔を設けることにより形成してもよい。なお、この変形例では、脱気口19は、高さ方向および長さ方向が、0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上にて設けられている。高さ方向が0.5mm以上の場合、リブ12により壁部7が高さ方向に圧縮された場合であっても、脱気口19は、開口した状態を保持できる。
【0043】
(変形例1)
図11は、本発明の変形例1に係る携帯電話機20における図5と同様の領域を示す拡大断面図である。
【0044】
上述の実施の形態では、弾性部材6は、閉ループ状に形成されているが、このような形態に限らない。図11に示すように、収納部3の凹部内側の面までを覆う一体化シート21の外周部分に弾性部材6を形成してもよい。一体化シート21を有する弾性部材6を用いることにより、弾性部材6が部分的にケース部材2から剥離した場合にも、防水構造を維持できる。
【0045】
(変形例2)
図12は、本発明の変形例2に係る携帯電話機30における図5と同様の領域を示す拡大断面図である。
【0046】
上述の実施の形態では、ケース部材2が弾性部材6を有し、カバー部材10がリブ12を有する形態としたが、そのような形態に限らない。たとえば、図12に示すように、ケース部材2にリブ32を備え、カバー部材10に弾性部材36を備えてもよい。かかる場合には、リブ32は、閉ループ状に、かつ収納部3の外周囲に位置するように、ケース部材2に設けられる。弾性部材36は、閉ループ状に、かつリブ32に対向するように、カバー部材10に設けられる。また、弾性部材36は、閉ループの内外方向に設けられる2つの壁部37(第1の壁部37aおよび第2の壁部37b)を有し、壁部37の先端部側の間隙は、リブ32の幅よりも小さい。さらに、壁部37の先端部は、リブ32が押し込まれることにより、巻回するように変形できる。その場合において、2つの壁部37の先端部を除く間隙は、リブ32の幅よりも大きくしても良い。さらに、壁部37の先端部の厚みは、根元部の厚みよりも小さくしても良い。
【0047】
また、上述の実施の形態および変形例は、互いにそれぞれの特徴を1以上組み合わせても良い。たとえば、変形例1と変形例2とを組み合わせ、ケース部材2にリブ32を備え、カバー部材10に、シートの外周部分に弾性部材36を形成した一体化シート21を設けても良い。かかる場合には、一体化シート21は、収納部3に収納された被収納物1aを覆うように配置される。また、弾性部材36は、壁部37の先端部の厚みが根元部の厚みよりも小さく、かつ第1の壁部37aと第2の壁部37bは、先端側を根元側よりも互いに近づけるように傾斜して立設されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、被収納物の取り外しが可能な電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1,20,30 携帯電話機(電子機器の一例)
1a 被収納物
2 ケース部材
3 収納部
6,36 弾性部材
7,37 壁部
7a,37a 第1の壁部
7b,37b 第2の壁部
10 カバー部材
12,32 リブ
T1 根元部の厚み
T2 先端部の厚み
W1 2つの壁部の先端部の間隙
W2 2つの壁部の間隙
W3 リブの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物を収納するための収納部を開口して備えるケース部材と、
上記ケース部材の開口部を覆うように着脱可能なカバー部材と、
を有し、
上記ケース部材および上記カバー部材の内の一方の部材は、他方の部材へ突出するリブを備え、
上記他方の部材は、上記収納部の外周囲に、閉ループ状の弾性部材を備え、
上記弾性部材は、上記閉ループの内外方向に設けられる2つの壁部を有し、当該2つの壁部の先端部は、上記リブよりも小さい間隙にて開口すると共に、互いに内側に向かって延出し、上記リブの挿入時に巻回するように変形する電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記2つの壁部の前記先端部を除く間隙は、前記リブの幅よりも大きいことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記壁部の先端部の厚みは、根元部の厚みよりも小さいことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
被収納物を収納するための収納部を開口して備える電子機器のケース部材に対して、上記収納部の開口部を覆うように着脱可能に備えるカバー部材であって、
上記収納部の外周囲に形成されるリブと対向する位置に、閉ループ状の弾性部材を備え、
上記弾性部材は、上記閉ループの内外方向に設けられる2つの壁部を有し、当該2つの壁部の先端部は、上記リブよりも小さい間隙にて開口すると共に、互いに内側に向かって延出し、上記リブの挿入時に巻回するように変形することを特徴とするカバー部材。
【請求項5】
請求項4に記載のカバー部材であって、
前記2つの壁部の前記先端部を除く間隙は、前記リブの幅よりも大きいことを特徴とするカバー部材。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のカバー部材であって、
前記壁部の先端部の厚みは、その根元部の厚みよりも小さいことを特徴とするカバー部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−256720(P2012−256720A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128966(P2011−128966)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】