説明

電子機器およびそれを備えた撮像装置

【課題】 カバー部材が機器の一部を覆うような構造である場合、十分な防塵性、防滴性を確保することが難しかった。
【解決手段】 操作スイッチ(213)と、操作スイッチが表出する開口部が設けられた外装部材(204)と、回動軸を中心として操作スイッチを覆う閉位置と操作スイッチを操作可能にする開位置を回動可能に構成されるカバー部材(211)を有し、外装部材には、操作スイッチが配置されている領域(221)が設けられ、当該領域は、外装部材の端面と一辺(206)が重なるように配置されており、外装部材には、カバー部材によって覆われる領域の全周に当該領域よりも高さ方向に低い溝部(404)が配設され、溝部が端面と交差する箇所にカバー部材の閉位置を維持するための係止部(405)を溝部と連続的に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部に取り付けられた開閉可能なカバー部材を有する電子機器およびそれを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者が不用意に触れてしまうと不都合が生じる撮像装置の操作部に関して、操作部を被覆する開閉するカバー部材が設けられている。撮像装置は屋外で使用されることが多いため、このカバー部材は天候や場所といった撮影環境下での撮影作業に耐えうる必要がある。
カバー部材の一例として、カバー部材に設けられた突起部を本体側の溝部に嵌合することで、薄型化および軽量化を図りながら、外部からの押圧に対して内部構造を保護することができる筐体構造が開示されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−99064
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバー部材が機器の一部を覆うような構造である場合、たとえば水滴を受けた際にはカバー部材によって操作部への水滴の侵入は防げるが、カバー部材の外側に浸入した水滴を排出したいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、操作スイッチと、前記操作スイッチが表出する開口部が設けられた外装部材と、回動軸を中心として前記操作スイッチを覆う閉位置と前記操作スイッチを操作可能にする開位置を回動可能に構成されるカバー部材を有し、前記外装部材には、前記操作スイッチが配置されている領域が設けられ、当該領域は、前記外装部材の端面と一辺が重なるように配置されており、前記外装部材には、前記カバー部材によって覆われる領域の全周に当該領域よりも高さ方向に低い溝部が配設され、前記溝部が前記端面と交差する箇所に前記カバー部材の閉位置を維持するための係止部を前記溝部と連続的に設けたことを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0006】
カバー部材が機器の一部を覆うような構造である場合でも、たとえば水滴を受けた際にはカバー部材によって操作部への水滴の侵入は防ぐとともに、カバー部材の外側に浸入した水滴を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による蓋構造を備えた撮像装置の斜視図である。
【図2】(a)本発明による蓋構造を配置した表示装置(カバー部材211が閉位置)の斜視図である。 (b)本発明による蓋構造を配置した表示装置(カバー部材211が開位置)の斜視図である。
【図3】(a)本発明によるカバー部材211の斜視図である。 (b)本発明によるカバー部材211の裏面側からみた斜視図である。
【図4】本発明による蓋構造を配置した表示装置の上面図である。
【図5】本発明によるカバー部材211の開閉機構を分解した分解斜視図である。
【図6】本発明による蓋構造を配置した表示装置を回動軸中心で切断した断面図である。
【図7】本発明による被覆操作部の拡大側面図である。
【図8】本発明によるカバー部材211が閉位置の開閉カバー側係止爪部302を通る断面図である。
【図9】本発明によるカバー部材211が閉位置になる直前の開閉カバー側係止爪部302を通る断面図である。
【図10】外装部材401の概略の金型構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る電子機器の構成を、図1−10を用いて詳細を説明する。
【0009】
図1は本発明の実施形態に係る電子機器である撮像装置(デジタルビデオカメラ100)の斜視図である。図2は本発明実施形態に係る電子機器である撮像装置(デジタルビデオカメラ100)に取り付けられている表示装置102の斜視図である。
【0010】
図1において、撮像装置本体101は互いがそれぞれ嵌合した外装部材から構成されており、その内部に撮像素子(不図示)や基板、フレキシブル基板、板金部品、成型部品などの部品が収納されている。撮像装置本体101の上部には表示装置102が載置され、撮影者は撮像装置本体101で撮影される画像や映像を確認したり、記録媒体に記録された映像を表示したりすることができる。
【0011】
表示装置102の構成について、図2を用いて説明する。表示装置102は、大きく分けて、画像や映像が表示される面である表示面202とその反対側の面である背面を有している表示部201と、第1の操作部材としての操作スイッチ群203などを配置した操作部204で構成されている。この表示部201は、第1の回動軸205、第2の回動軸206の互いに直交する2軸を有する回動部207により、2つの軸を回転中心として、回動可能である。
【0012】
操作部204は、操作スイッチ群203、回動部207が格納される回動部格納部209、回動部格納部209に配置された表示制御スイッチ210、で構成されている。この表示制御スイッチ210は表示反転スイッチであり、表示面202に表示される画像や映像の表示の向きを変更するなどを制御するために、表示部201の姿勢に応じて使用者が選択的に表示を切り替えることができる。
【0013】
操作部204は、回動軸214周りに回動可能なカバー部材211、カバー部材211に被覆されない操作スイッチ群203、カバー部材211で被覆された被覆操作スイッチ群213(第2の操作部材)で構成される。被覆操作スイッチ群213は、カバー部材211で被覆されることによって、撮影者が意図せず触ってしまうことを防ぐ。また、操作スイッチ群203が配設される操作部204の面を領域220(第一の領域)とする。
【0014】
カバー部材211(カバー部材)は、回動軸214周りに回動することで、図2(a)に示すような操作部204を覆う閉位置と、図2(b)に示すような開位置との2つの位置を取ることができる。また、カバー部材211側面には使用者が開閉動作をし易くするための指掛け部212が配置されている。
【0015】
<カバー部材211の構造>
カバー部材211の構造について、図3(a)、図3(b)を用いて説明する。図3(a)はカバー部材211の斜視図であり、図3(b)はカバー部材211の裏面側からの斜視図である。
【0016】
カバー部材211は、被覆操作スイッチ群213(第2の操作部材)の位置が見やすいように、透過性のある材料で、略平面状に形成されている。カバー部材211には、回動軸214が挿通する回動軸孔301、カバー部材211が閉位置を維持するための開閉カバー側係止爪部302、指掛け部212が形成されている。開閉カバー側係止爪部302は、開閉カバー側係止爪部302の幅方向と回動軸214とが平行になるように配置されている。一方で、指掛け部212は開閉カバー側係止爪部302の幅方向と垂直な面(指掛け設置面303)に配置されている。
【0017】
これは、もし指掛け設置面303と開閉カバー側係止爪部302の幅方向が平行であると、使用者がカバー部材211を閉位置から開位置に操作する際に、指掛け部212に指を掛ける。しかしながら、指掛け設置面303の面直方向に荷重が作用してしまい、開閉カバー側係止爪部302と操作部側係止爪部405が深く係止する方向に押されてしまう(図8参照)。このため、カバー部材211を開くために必要な操作力が増大し、操作しづらくなってしまう。よって、カバー部材211の指掛け部212が開閉カバー側係止爪部302の幅方向と垂直な面(指掛け設置面303)に配置されていることで、カバー部材211の操作性が向上する。
【0018】
<カバー部材211の取付構造>
開閉カバーであるカバー部材211の取付構造について、図4〜7を用いて説明する。図4はカバー部材211を開状態に配置した表示装置102の上面図である。図5はカバー部材211を含む開閉カバー部材の開閉機構を分解した分解斜視図である。図6はカバー部材211を閉じる状態に配置した表示装置102を回動軸中心で切断した断面図である。図7は被覆操作スイッチ群213の側面拡大図である。
【0019】
カバー部材211の取付は、まず、回動軸214を回動軸孔301に挿通させる。次に、回動軸214を挿通させたカバー部材211を外装部材401に載置する。次に、外装部材401の内部から密封部材501を取り付けた回動軸保持部材502を外装部材401に位置決めし、ビス503にて締結、固定する。このような構造をとることで、回動軸214周辺の隙間を封止することができるため、防塵性、防滴性の確保が可能となる。
【0020】
被覆操作スイッチ群213が配置される面である領域221(第二の領域)には、被覆操作スイッチ群213が表出する開口部402が構成されている。また、被覆操作スイッチ群213が表出し、被覆操作スイッチ群213の機能名称などが印刷で表示される主面である被覆操作部配置領域403が構成されている。また、被覆操作部配置領域403を周回する溝部404、カバー部材211が閉位置を維持するための係合形状である操作部側係止爪部405が構成されている。
【0021】
被覆操作部配置領域403は、図7に示すように、カバー部材211が閉位置で表示部201が非表示姿勢をとれるように、操作スイッチ群203が配置された面よりも低い位置に設定されている。つまり被覆操作スイッチ群213が配置される面である領域221(第二の領域)は、操作スイッチ群203が配置される面である領域220(第一の領域)より低い位置にある。同時に、カバー部材211の高さもカバー部材211が閉位置で表示部201が非表示姿勢をとれるように設定されている。つまり、カバー部材211が閉位置の時の上面と操作スイッチ群203が配置された面(220)が同一平面上もしくは少し低くなるように構成されている。被覆操作スイッチ群213が配置される面である領域220は一辺が外装部材401の端面側に開口する(被覆操作部開口部406)ように構成されている。
【0022】
溝部404は、図4および図7に示すように、被覆操作部開口部406を除く被覆操作部配置領域403の3辺には溝部404の一部が形成されている。この溝部404は被覆操作部配置領域403よりも低い高さに形成されている。また、被覆操作部開口部406と1辺を共にする外装部材401側面にも溝部404が周り込んでいる。つまり、溝部404はカバー部材211で被覆される領域の全周に配置されている。
【0023】
このように被覆操作部配置領域403を取り囲むように溝部404を構成することで、カバー部材211周囲から浸入した水滴を溝部404で受け、被覆操作部開口部406から外装部材401の外側に排出することができるようになる。
【0024】
<カバー部材211の動作>
続いて、カバー部材211の動作について図2(a)、(b)、図8、図9を用いて説明する。図8はカバー部材211が閉位置での開閉カバー側係止爪部302(操作部側係止爪)部を通る断面図、図9はカバー部材211が閉位置になる直前の開閉カバー側係止爪部302(操作部側係止爪)部を通る断面図である。
【0025】
カバー部材211を閉位置から開位置に動作させる場合について説明する。まず、指掛け部212に使用者が指をかけ、カバー部材211が開位置になるように矢印801方向に荷重をかける。そのとき、係止されている開閉カバー側係止爪部302と操作部側係止爪部405の当接面で荷重が作用し、開閉カバー側係止爪部302が操作部側係止爪部405から離れるように撓むことで、開閉カバー側係止爪部302が外れ、開位置まで回動可能となる。
【0026】
カバー部材211を開位置から閉位置に動作させる場合について説明する。まず、開位置にあるカバー部材211を閉位置になるように矢印901方向に回動し、開閉カバー側係止爪部302と操作部側係止爪部405が当接するまでカバー部材211を操作する。次に、カバー部材211上面から荷重をかけることで、開閉カバー側係止爪部302と操作部側係止爪部405の当接面で荷重が作用する。その荷重によって、開閉カバー側係止爪部302が操作部側係止爪部405から離れるように撓むことで、係止爪同士が係合し閉位置まで操作可能となる。
【0027】
<係止爪部の構成>
次に、図4、図7、図8、図9を用いて、開閉カバー側係止爪部302と操作部側係止爪部405の関係を説明する。
【0028】
図4、図7に示すように、操作部側係止爪部405は、溝部404と被覆操作部開口部406が交差する箇所に溝部404と連続的になるように配置されている。また、図7に示された操作部側係止爪配置面701に、回動軸214と操作部側係止爪部405の幅方向が平行になるように配置されている。この操作部側係止爪配置面701は、回動軸214を一辺とする被覆操作部配置領域403がなす略長方形のうち回動軸214に対向する辺であり、被覆操作部配置領域403に対して垂直かつ回動軸214と平行な面であるとする。
【0029】
図10は、外装部材401の金型構造の概略である。
【0030】
外装部材401は、固定金型1001とスライド金型1004によって構成されている。固定金型1001は、被覆操作スイッチ群213が配置された面を形成する。またスライド金型1004は、固定金型1001とは反対方向(矢印1002側)に動く可動型(図示しない)、操作スイッチ群203が配置された面に対して平行な方向(矢印1003側)に動く。スライド金型1004には、操作部側係止爪部405を形成するための操作部側係止爪形成部1005が用意されている。
【0031】
従来、このような金型構造で操作部側係止爪部405のような形状を作成する場合、食い切り(可動型側を固定金型1001側に突出させ、外装部材401に穴形状を作成するような金型構成方法)で作成される。しかし、前述のように操作部側係止爪配置面701を配置することで、被覆操作スイッチ群213が配置された面(領域221)の全周に穴形状を設けることなく、外装部材401を形成可能になる。そのため、外装部材401に穴形状が無くなるため、防塵性、防滴性が確保される。
【0032】
係止部は、カバー部材211の閉位置において、操作スイッチが配置される領域(221)に対して垂直かつ回動軸と平行な面に配設され、かつ、回動軸と係止部の幅方向が平行になるように配設した。このことで、カバー部材211の防塵性、防滴性を確保しつつ、カバー部材211の操作性の向上を実現できた。
【0033】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。また、上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。たとえば、デジタルビデオカメラ以外の電子機器に用いても良い。
【符号の説明】
【0034】
211 カバー部材
213 被覆操作スイッチ群
404 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作スイッチと、
前記操作スイッチが表出する開口部が設けられた外装部材と、
回動軸を中心として前記操作スイッチを覆う閉位置と前記操作スイッチを操作可能にする開位置を回動可能に構成されるカバー部材を有し、
前記外装部材には、前記操作スイッチが配置されている領域が設けられ、当該領域は、前記外装部材の端面と一辺が重なるように配置されており、
前記外装部材には、前記カバー部材によって覆われる領域の全周に当該領域よりも高さ方向に低い溝部が配設され、前記溝部が前記端面と交差する箇所に前記カバー部材の閉位置を維持するための係止部を前記溝部と連続的に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記係止部は、前記カバー部材の閉位置において、前記操作スイッチが配置されている領域に対して垂直かつ前記回動軸と平行な面に配設され、かつ、前記回動軸と前記係止部の幅方向が平行になるように配設したことを特徴とする請求項1に係る電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器を備えた撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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