説明

電子機器およびコンテンツ転送方法

【課題】著作権の保護が求められるコンテンツの転送機能を低コストで実現する電子機器を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、電子機器は、第1のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴う第1の著作権保護方式を適用し、第2のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴わない第2の著作権保護方式を適用して、前記第1のデータと前記第2のデータとを含むコンテンツを1つの伝送路に送出するコンテンツ転送手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、著作権の保護が求められるコンテンツをLAN(Local area network)等の伝送路を介して転送するコンテンツ転送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータやスマートフォン等、デジタル化された映像や音声を取扱い可能な電子機器が広く普及している。この種の電子機器は、一般的に、データ通信機能を搭載しており、いわゆるAV(Audio and visual)コンテンツを他の電子機器との間で送受信することが可能である。
【0003】
一方、AVコンテンツの中には、複製が制限される等、著作権の保護が求められるものも少なくない。そのために、著作権保護を図りつつ、AVコンテンツを複数の電子機器の間で送受信するための仕組みがこれまでも種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映像の著作権を保護するための方式として、例えば、HDCP(High-bandwidth digital content protection system)が知られている。また、音声の著作権を保護するための方式として、例えば、SCMS(Serial copy management system)が知られている。HDCPは、著作権保護対象データの暗号化を伴う方式であり、SCMSは、著作権保護対象データの暗号化を伴わない方式である。よって、1つのAVコンテンツに含まれる映像と音声との間において、著作権の保護という目的は共通するものの、一方は暗号化が要求されるのに対し、他方は暗号化までは要求されない等、著作権の保護として求められる対策の程度が異なる場合も考えられる。
【0006】
ところで、これまで、1つのAVコンテンツを1つの伝送路に送出する際に適用される著作権保護方式は1つであって、1つのAVコンテンツを1つの伝送路に送出する際に複数の著作権保護方式を適用することは全く考慮されていない。そのために、例えば、映像に対して要求される暗号化を、暗号化までは要求されない音声に対しても実施する必要があった。しかしながら、そうすると、AVコンテンツの送信側および受信側双方の電子機器において、(本来ならば必要のない)音声を暗号化・復号するためのモジュールを搭載するといった無用なコストアップを招いてしまう。
【0007】
本発明は、著作権の保護が求められるコンテンツの転送機能を低コストで実現する電子機器およびコンテンツ転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電子機器は、第1のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴う第1の著作権保護方式を適用し、第2のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴わない第2の著作権保護方式を適用して、前記第1のデータと前記第2のデータとを含むコンテンツを1つの伝送路に送出するコンテンツ転送手段を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係る著作権保護コンテンツ転送システムのシステム構成を示す図。
【図2】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ送信器側の動作手順を示すフローチャート。
【図3】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ送信器が実行する映像のエンコード処理の手順を示すフローチャート。
【図4】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ送信器が実行する音声のエンコード処理の手順を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ受信器側の動作手順を示すフローチャート。
【図6】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ受信器が実行する映像のデコード処理の手順を示すフローチャート。
【図7】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ受信器が実行する音声のデコード処理の手順を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ送信器に搭載される著作権保護つきコンテンツの転送機能の機能ブロックを示す図。
【図9】第2実施形態に係る著作権保護コンテンツ転送システムのシステム構成を示す図。
【図10】第2実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムのコンテンツ送信器に搭載される著作権保護つきコンテンツの転送機能の機能ブロックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る著作権保護コンテンツ転送システムのシステム構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムは、コンテンツ送信器1、コンテンツ受信器2および音声再生器3から構成される。コンテンツ送信器1とコンテンツ受信器2との間は、例えばIEEE802.11規格の無線LAN(Wi−Fi)によって接続され、また、コンテンツ受信器2と音声再生器3との間は、例えばS/PDIFによって接続されるものとする。
【0014】
コンテンツ送信器1は、例えばPC(Personal computer)であり、コンテンツ(ディスプレイ等に出力する映像およびスピーカ等に出力する音声)をエンコード後、Wi−Fi経由でコンテンツ受信器2へ送信する。
【0015】
コンテンツ受信器2は、例えばテレビジョン受像機であり、コンテンツ送信器1から受信した(エンコードされた)コンテンツをデコードし、映像を画面に表示する。音声については、このデコード後、コンテンツ受信器2に内蔵されたスピーカまたはS/PDIF経由で音声再生器3から出力する。
【0016】
コンテンツ送信器1とコンテンツ受信器2との間で転送されるコンテンツのデータフォーマットは、例えばMPEG2−TS形式であり、転送プロトコルは、例えばRTP(Real-time transport protocol)である。そして、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムは、映像ESを保護するための著作権保護方式(第1の著作権保護方式)として、例えばHDCP(High-bandwidth digital content protection system)2.0または当該HDCP2.0の後継規格を適用し、音声ESを保護するための著作権保護方式(第2の著作権保護方式)として、例えばSCMS(Serial copy management system)を適用する。即ち、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムは、1つのコンテンツを1つの伝送路で転送するにあたって、当該1つのコンテンツに対して複数の著作権保護方式を適用する。
【0017】
まず、図2を参照して、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムにおける、コンテンツ送信器1が映像および音声を送信してからコンテンツ受信器2が当該映像および音声を再生するまでの手順のうち、コンテンツ送信器1側の動作について説明する。
【0018】
コンテンツ送信器1の電源がONされた後、ユーザ操作によりコンテンツ転送アプリケーション(プログラム)が起動されると、コンテンツ送信器1は、Wi−Fi経由でコンテンツ受信器2との接続を試みる。コンテンツ受信器2との接続が確立されると(ブロックA1)、コンテンツ送信器1は、コンテンツ受信器2との間で、HDCP2.0に従った認証および鍵交換の処理を実行する(ブロックA2)。これにより、著作権保護つきコンテンツ(著作権の保護が求められるコンテンツ)を転送する際の映像ES用の暗号鍵およびイニシャルベクター(IV)の一部rivが決定される。
【0019】
コンテンツ送信器1は、ディスプレイ等に出力する映像とスピーカ等に出力する音声のエンコードを開始する(ブロックA3)。映像のエンコード処理および音声のエンコード処理の詳細については、図4および図5を用いて後述する。例えばDVDプレーヤアプリケーション等でDVDに書き込まれた著作権保護つきコンテンツを再生している場合(ブロックA4のYES)、コンテンツ送信器1は、著作権保護有無判定として、CP(Copy protection)フラグをONにする(ブロックA5)。なお、ここでは、転送対象のコンテンツをコンテンツ送信器1で再生し、再生したコンテンツを再エンコードしてコンテンツ受信器2に転送するという仕様を前提としているので、単純化のために、DVDの再生有無でCPフラグのON/OFFを判定しているが、DVD自体に埋め込まれた著作権保護情報を判定基準に追加してもよい。
【0020】
コンテンツ転送アプリケーションの起動直後、CPフラグがONからOFFに切り替わったとき、またはCPフラグがOFFからONに切り替わったときのいずれかの場合(ブロックA6のYES)、コンテンツ送信器1は、映像ES、音声ESのPIDを記述したPMT(Program map table)を生成し(ブロックA7)、さらにCPフラグがONのときは(ブロックA8のYES)、HDCP2.0で規定されているregistration_descriptorをPMTに挿入する(ブロックA9)。コンテンツ送信器1は、生成したPMTを含むMPEG2−TSパケットを、コンテンツ受信器2へ転送するコンテンツデータへ挿入する。PMTは、コンテンツ受信器2側でのストリーム情報の確認のため、例えば1秒ごと等の一定期間ごとに生成し、コンテンツデータへ挿入してもよい。このとき生成されるPMTは、CPフラグが切り替わらない限り同一データである。
【0021】
続いて、コンテンツ送信器1は、後述する映像エンコード、音声エンコードにより生成されたPES形式のコンテンツデータを使って、MUX(多重化)処理によりMPEG2−TS形式のコンテンツデータを生成し(ブロックA10)、コンテンツ受信器2へRTPにより送信する(ブロックA11)。コンテンツ送信器1は、コンテンツ転送アプリケーション起動中、上記の動作を順次繰り返す。
【0022】
図3は、映像のエンコード処理の手順を示すフローチャートである。
【0023】
コンテンツ送信器1は、まず、ディスプレイ等に出力された映像を、H.264等のコーデックに従ってPES形式でエンコードする(ブロックB1)。
【0024】
コンテンツ送信器1は、CPフラグがONであれば(ブロックB2のYES)、イニシャルベクターの一部である、HDCP2.0で規定されているinputCtr,streamCtrを決定し、同じくHDCP2.0で規定されているPES_private_dataを生成する(ブロックB3)。次に、コンテンツ送信器1は、決定したinputCtr,streamCtrと、鍵交換処理(ブロックA2)により生成された暗号鍵およびイニシャルベクターの一部rivとを組み合わせて、暗号鍵とイニシャルベクターとを設定する(ブロックB4)。コンテンツ送信器1は、PESペイロードをHDCP2.0で採用されているAES−CTR方式により暗号化し(ブロックB5)、生成したPES_private_dataをPESヘッダへ挿入する(ブロックB6)。そして、コンテンツ送信器1は、生成した映像PESをMUXへ出力する(ブロックB7)。コンテンツ送信器1は、コンテンツ転送アプリケーション起動中、上記の動作を順次繰り返す。
【0025】
図4は、音声のエンコード処理の手順を示すフローチャートである。
【0026】
コンテンツ送信器1は、まず、スピーカ等に出力された音声を、AAC等のコーデックに従ってPES形式でエンコードする(ブロックC1)。コンテンツ送信器1は、生成した音声PESをMUXへ出力する(ブロックC2)。コンテンツ送信器1は、コンテンツ転送アプリケーション起動中、上記の動作を順次繰り返す。
【0027】
なお、上記手順では、音声PESとしては暗号化されないが、Wi−Fi接続時にWPA方式等で接続すると、伝送路上が暗号化されてコンテンツデータが転送される。即ちこの場合には、音声ESを含めたMPEG2−TS形式のコンテンツデータ全体が暗号化される。
【0028】
次に、図5を参照して、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムにおける、コンテンツ送信器1が映像および音声を送信してからコンテンツ受信器2が当該映像および音声を再生するまでの手順のうち、コンテンツ受信器2側の動作について説明する。
【0029】
コンテンツ受信器2の電源がONされた後、ユーザ操作によりコンテンツ転送モードへの切替えが行われると、コンテンツ受信器2は、コンテンツ送信器1からのWi−Fi経由の接続を待つ。コンテンツ送信器から接続要求を受け、コンテンツ送信器1との接続が確立されると(ブロックD1)、コンテンツ受信器2は、コンテンツ送信器1との間で、HDCP2.0に従った認証および鍵交換の処理を実行する(ブロックD2)。これにより、著作権保護つきコンテンツを転送する際の映像ES用の復号鍵およびイニシャルベクターの一部rivが決定される。
【0030】
コンテンツ受信器2は、映像と音声のデコードを開始する(ブロックD3)。映像のデコード処理および音声のデコード処理の詳細については、図6および図7を用いて後述する。
【0031】
コンテンツ受信器2は、コンテンツ送信器1から転送されたコンテンツデータをRTPにより受信し(ブロックD4)、PMTを解析する(ブロックD5)。PMT内にregistration_descriptorが含まれていた場合(ブロックD6のYES)、コンテンツ受信器2は、CPフラグをONにセットし(ブロックD7)、一方、含まれていない場合(ブロックD6のNO)、CPフラグをOFFにセットする(ブロックD8)。コンテンツ受信器2は、PMTを解析して得られたストリーム情報を使って、MPEG2−TSパケットをフィルタリングし、コンテンツデータから映像ES、音声ESをDEMUX(分離)する(ブロックD9)。コンテンツ受信器2は、コンテンツ送信器1からのコンテンツ転送中、上記の動作を順次繰り返す。
【0032】
図6は、映像のデコード処理の手順を示すフローチャートである。
【0033】
DEMUXにより映像ESが入力されると(ブロックE1)、コンテンツ受信器2は、PESヘッダを解析する(ブロックE2)。CPフラグがONで、かつ、PES_private_tagが含まれている場合(ブロックE3のYES)、コンテンツ受信器2は、PES_private_dataを取得し(ブロックE4)、鍵交換処理により生成された映像ES用の復号鍵およびイニシャルベクターの一部rivを組み合わせて、復号鍵とイニシャルベクターとを設定する(ブロックE5)。そして、コンテンツ受信器2は、暗号化されたPESペイロードをAES−CTR方式により復号する(ブロックE6)。
【0034】
続いて、コンテンツ受信器2は、PES形式のコンテンツデータをデコードし(ブロックE7)、ディスプレイ等へ映像を出力する(ブロックE8)。コンテンツ受信器2は、コンテンツ送信器1からのコンテンツ転送中、上記の動作を順次繰り返す。
【0035】
図7は、音声のデコード処理の手順を示すフローチャートである。
【0036】
DEMUXにより音声ESが入力されると(ブロックF1)、コンテンツ受信器2は、CDフラグがONの場合には(ブロックF2のYES)、SCMSのコピー制御情報として「コピー禁止」を設定し(ブロックF3)、一方、CPフラグがOFF場合には(ブロックF2のNO)、SCMSのコピー制御情報として「コピー可」を設定する(ブロックF4)。即ち、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムでは、映像の著作権保護に適用する第1の著作権保護方式であるHDCP2.0で規定されている(映像の著作権保護有無を通知するための)registration_descriptorを、第2の著作権保護方式であるSCMSが適用される音声の著作権保護有無を通知するための情報としても利用する。
【0037】
続いて、コンテンツ受信器2は、PES形式のコンテンツデータをデコードし(ブロックF5)、設定したコピー制御情報と共に音声再生器3へ出力する(ブロックF6)。コンテンツ受信器2は、コンテンツ送信器1からのコンテンツ転送中、上記の動作を順次繰り返す。
【0038】
音声再生器3は、コンテンツ受信器2から受信した音声データをスピーカ等へ出力し、また、コンテンツ受信器2から受信したコピー制御情報に従って、音声のコピー制御を行う。
【0039】
このように、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムは、1つのコンテンツに対して複数の著作権保護方式を適用する。上記の説明で例示したように、映像の著作権保護にHDCP2.0を適用し、音声の著作権保護にSCMSを適用した場合、コンテンツ送信器1側では、映像の暗号化が要求される条件下において、図8に示すように、音声を暗号化・復号するためのモジュール(12b)を不要とすることができる。同様に、コンテンツ受信器2側でも、音声を暗号化・復号するためのモジュールを不要とすることができる。即ち、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムは、著作権保護つきコンテンツの転送機能を低コストで実現する。
【0040】
なお、以上の説明では、(SCMSを適用する)音声のコピー制御として、(映像に適用する)HDCP2.0で規定されたregistration_descriptorの有無を利用する例を示したが、コンテンツ送信器1側でコンテンツ転送アプリケーションの起動直後、CPフラグがONからOFFに切り替わったとき、またはCPフラグがOFFからONに切り替わったときのいずれかの場合に、RTSP(Real time streaming protocol)等による通信によって、コピー制御情報をコンテンツ送信器1からコンテンツ受信器2へ通知してもよい。コンテンツ受信器2は、受信したコピー制御情報に従って、音声再生器3へ出力するコピー制御情報を切替える。
【0041】
また、ここでは、コピー制御情報を「コピー禁止」、「コピー可」のいずれかとしか扱っていないが、コンテンツ送信器1側で再生するコンテンツによっては、「1世代のみコピー可」を扱うケースも考えられる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0043】
図9は、本実施形態に係る著作権保護コンテンツ転送システムのシステム構成を示す図である。
【0044】
前述した第1実施形態との違いは、コンテンツ送信器1からの映像と音声との転送先機器が分離されている点にある。図9に示すように、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムでは、コンテンツ送信器1は、映像を第1のコンテンツ受信器2a、音声を第2のコンテンツ受信器2bに転送する。第1のコンテンツ受信器2aは、第1実施形態と同様、例えばテレビジョン受像機であり、第2のコンテンツ受信器2bは、例えばAVアンプである。
【0045】
本実施形態におけるコンテンツ送信器1の動作は、第1実施形態におけるコンテンツ送信器1の動作と基本的に同様であるが、以下の点が異なる。
【0046】
(a)第1のコンテンツ受信器2aとの間、第2のコンテンツ受信器2bとの間のそれぞれで接続を確立すること
(b)第2のコンテンツ受信器2bとの間でHDCP2.0の認証/鍵交換処理が不要であること
(c)第1のコンテンツ受信器2aに転送するコンテンツデータと第2のコンテンツ受信器2bに転送するコンテンツデータとをそれぞれMPEG2−TS形式で生成し、第1のコンテンツ受信器2aに転送するコンテンツデータには、ESとして映像ESのみを含め、第2のコンテンツ受信器2bに転送するコンテンツデータには、ESとして音声ESのみを含めること
また、本実施形態における第1のコンテンツ受信器2aおよび第2のコンテンツ受信器2bのいずれの動作も、第1の実施形態におけるコンテンツ受信器2の動作と基本的に同様であるが、第1のコンテンツ受信器2aが映像のみ、第2のコンテンツ受信器2bが音声のみを出力する点が異なる。
【0047】
コンテンツ送信器1からの映像と音声との転送先が、第1のコンテンツ受信器2a、第2のコンテンツ受信器2bとに分離されている本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムにおいても、1つのコンテンツに対して複数の著作権保護方式を適用することによって、図10に示すように、コンテンツ送信器1側では、音声を暗号化・復号するためのモジュール(12b)を不要とすることができる。ESとして映像ESのみを含むコンテンツデータや、ESとして音声ESのみを含むコンテンツデータは、例えば、映像または音声の一方を多重化モジュール(MUX)13に供給するスイッチ14を設けることで生成可能である。スイッチ14は、映像および音声の両方を多重化モジュール(MUX)13に供給するように駆動制御可能に構成してもよい。
【0048】
また、第1のコンテンツ受信器2a側でも、音声を暗号化・復号するためのモジュールを不要とすることができる。さらに、第2のコンテンツ受信器2b側では、暗号化・復号用のモジュールの存在自体を無くすことができる。即ち、本実施形態の著作権保護コンテンツ転送システムも、著作権保護つきコンテンツの転送機能を低コストで実現する。
【0049】
コンテンツ送信器1から第2のコンテンツ受信器2bに対する音声についてのコピー制御情報の通知は、コンテンツ送信器1から第2のコンテンツ受信器2bに転送されるコンテンツデータのPMTにregistration_descriptorを含めることで行ってもよいし、RTSP等による通信で行ってもよい。
【0050】
PMTにregistration_descriptorを含める場合、第2のコンテンツ受信器2bは、PMTにregistration_descriptorが含まれるとき、CPフラグをONにし、PMTにregistration_descriptorが含まれないときは、CPフラグをOFFにする。DEMUXにより音声ESが入力されると、第2のコンテンツ受信器2bは、CPフラグがONの場合はSCMSのコピー制御情報として「コピー禁止」、CPフラグがOFFの場合はSCMSのコピー制御情報として「コピー可」を設定する。
【0051】
一方、RTSP等による通信の場合、第2のコンテンツ受信器2bは、コンテンツ送信器1から受信したコピー制御情報に従って、コピー制御を切替える。
【0052】
なお、ここでは、コンテンツ送信器1が、第1のコンテンツ受信器2aに対しては、ESとして映像ESのみを含むコンテンツデータを転送し、第2のコンテンツ受信器2bに対しては、ESとして音声ESのみを含むコンテンツデータを転送する例を示したが、これに限定されず、第1のコンテンツ受信器2aおよび第2のコンテンツ受信器2bの両方に対して、ESとして映像ESおよび音声ESを含む同一のコンテンツデータをマルチキャストで転送するようにしてもよい。即ち、第1のコンテンツ受信器2aおよび第2のコンテンツ受信器2bそれぞれが、ESを取捨選択するようにしてもよい。いずれにせよコンテンツ送信器1は、映像ESと音声ESとを、例えばWi−Fiモジュール等の1つの通信モジュールから外部に対して送出する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…コンテンツ送信器、2…コンテンツ受信器、2a…第1のコンテンツ受信器、2b…第2のコンテンツ受信器、3…音声再生器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴う第1の著作権保護方式を適用し、第2のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴わない第2の著作権保護方式を適用して、前記第1のデータと前記第2のデータとを含むコンテンツを1つの伝送路に送出するコンテンツ転送手段を具備する電子機器。
【請求項2】
前記第1のデータは映像データであり、前記第2のデータは音声データである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の著作権保護方式は、HDCP(High-bandwidth digital content protection system)2.0または前記HDCP2.0の後継規格であり、前記第2の著作権保護方式は、SCMS(Serial copy management system)である請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記コンテンツ転送手段は、前記第1のデータの著作権保護に適用される前記第1の著作権保護方式で規定された著作権保護有無を示す情報を用いて、前記第2のデータを受信する他の電子機器に対して、前記第2の著作権保護方式が適用される前記第2のデータの著作権保護有無を通知する請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1の著作権保護方式は、HDCP2.0または前記HDCP2.0の後継規格であり、
前記コンテンツ転送手段は、前記HDCP2.0または前記HDCP2.0の後継規格で規定されたregistration_descriptorを用いて、前記第2のデータの著作権保護有無を通知する
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記コンテンツ転送手段は、前記伝送路を介した通信によって、前記第2のデータの著作権保護有無を、前記第2のデータを受信する他の電子機器に通知する請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2の著作権保護方式は、SCMSであり、
前記コンテンツ転送手段は、前記SCMSで規定されたコピー制御情報を前記他の電子機器に通知する
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
第1のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴う第1の著作権保護方式が適用され、第2のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴わない第2の著作権保護方式が適用されて1つの伝送路に送出される前記第1のデータと前記第2のデータとを含むコンテンツ中の少なくとも前記第2のデータを受信するコンテンツ受信手段を具備する電子機器。
【請求項9】
前記第1のデータは映像データであり、前記第2のデータは音声データである請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1のデータの著作権保護に適用される前記第1の著作権保護方式で規定された著作権保護有無を示す情報に基づき、前記第2の著作権保護方式が適用される前記第2のデータの著作権保護有無を判定する判定手段をさらに具備する請求項8に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1の著作権保護方式は、HDCP2.0または前記HDCP2.0の後継規格であり、
前記判定手段は、前記HDCP2.0または前記HDCP2.0の後継規格で規定されたregistration_descriptorの有無に基づき、前記第2のデータの著作権保護有無を判定する
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記コンテンツの転送元である他の電子機器からの通知に基づき、前記第2のデータの著作権保護有無を判定する判定手段をさらに具備する請求項8に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第2の著作権保護方式は、SCMSであり、
前記判定手段は、前記他の電子機器から通知される前記SCMSで規定されたコピー制御情報に基づき、前記第2のデータの著作権保護有無を判定する
請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
1または2以上の他の電子機器に対して第1のデータと第2のデータとを含むコンテンツを転送する電子機器のコンテンツ転送方法であって、
前記第1のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴う第1の著作権保護方式を適用し、前記第2のデータの著作権保護に著作権保護対象データの暗号化を伴わない第2の著作権保護方式を適用して、前記コンテンツを1つの伝送路に送出する電子機器のコンテンツ転送方法。
【請求項15】
前記第1のデータは映像データであり、前記第2のデータは音声データである請求項14に記載の電子機器のコンテンツ転送方法。
【請求項16】
前記第1のデータの著作権保護に適用される前記第1の著作権保護方式で規定された著作権保護有無を示す情報を用いて、前記第2のデータを受信する前記1または2以上の他の電子機器に対して、前記第2のデータの著作権保護方式が適用される前記第2のデータの著作権保護有無を通知する請求項14に記載の電子機器のコンテンツ転送方法。
【請求項17】
前記第1の著作権保護方式は、HDCP2.0または前記HDCP2.0の後継規格であり、
前記HDCP2.0または前記HDCP2.0の後継規格で規定されたregistration_descriptorを用いて、前記第2のデータの著作権保護有無を通知する
請求項16に記載の電子機器のコンテンツ転送方法。
【請求項18】
前記伝送路を介した通信によって、前記第2のデータの著作権保護有無を、前記第2のデータを受信する前記1または2以上の他の電子機器に通知する請求項14に記載の電子機器のコンテンツ転送方法。
【請求項19】
前記第2の著作権保護方式は、SCMSであり、
前記SCMSで規定されたコピー制御情報を前記1または2以上の他の電子機器に通知する
請求項18に記載の電子機器のコンテンツ転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−51606(P2013−51606A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189374(P2011−189374)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【特許番号】特許第4996762号(P4996762)
【特許公報発行日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】