電子機器およびタッチ操作処理方法
【課題】リストからコンテンツを効率よく選択するための技術を提供する。
【解決手段】電子機器10は、表示装置20および前面タッチパッド21を含んで構成されるタッチパネルを備え、またはタッチパネルに接続する。表示制御部130は、表示装置20に項目のリストを表示する。第1受付部112は、項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける。第2受付部114は、項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける。選択制御部140は、第1のタッチ操作により指定される前面タッチパッド21上の指定位置と、表示制御部130による項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う。
【解決手段】電子機器10は、表示装置20および前面タッチパッド21を含んで構成されるタッチパネルを備え、またはタッチパネルに接続する。表示制御部130は、表示装置20に項目のリストを表示する。第1受付部112は、項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける。第2受付部114は、項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける。選択制御部140は、第1のタッチ操作により指定される前面タッチパッド21上の指定位置と、表示制御部130による項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチタッチスクリーンを搭載した電子機器またはマルチタッチスクリーンに接続する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型のゲーム機やPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器が普及している。近年では、スマートフォンのように、携帯電話やPDA等の機能を一つにまとめた多機能型の電子機器も登場している。
【0003】
タッチパネルを有する電子機器は、ユーザに直観的な操作を行わせる優れたユーザインタフェースを提供する。たとえば、サムネイル表示されたコンテンツ画像を指でタップすることで、そのコンテンツ画像がパネル全面に表示されるユーザインタフェースや、パネル表面を指でなぞることで、表示画像をスクロールするユーザインタフェースなどが一般的である。また近年では、同時にタッチされた複数ポイントの検出機能をもつマルチタッチスクリーンを備えた電子機器も登場し、ユーザのピンチ操作により、表示画像をズームイン(拡大)/ズームアウト(縮小)するユーザインタフェースも実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US特許出願公開2002−0112018号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メモリの大容量化により、電子機器は多数のコンテンツファイルをメモリに記録できるようになっている。ユーザがコンテンツファイルを別の電子機器に転送する場合、電子機器のディスプレイにはコンテンツのリストが表示され、ユーザは、転送する複数のコンテンツファイルをリストから選択し、選択したコンテンツファイルをまとめて転送する。そのため、特にコンテンツ数が多い場合に、ユーザが効率よくコンテンツファイルを選択できるユーザインタフェースの開発が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、リストからコンテンツを効率よく選択するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電子機器は、表示装置およびタッチパッドを含んで構成されるタッチパネルを備え、またはタッチパネルに接続する電子機器であって、表示装置に項目のリストを表示する表示制御部と、項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける第1受付部と、項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける第2受付部と、第1のタッチ操作に応じて、項目の選択を行う選択制御部と、を備える。表示制御部は、第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かし、選択制御部は、第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、表示制御部による項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、リストからコンテンツを効率よく選択するための技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ファイル転送システムを示す図である。
【図2】(a)は電子機器の前面を示す図であり、(b)は電子機器の背面を示す図である。
【図3】(a)は電子機器の上面を示す図であり、(b)は電子機器の下面を示す図であり、(c)は電子機器の左側面を示す図である。
【図4】電子機器の回路構成を示す図である。
【図5】ジャンル選択画面を示す図である。
【図6】リスト画面を示す図である。
【図7】本実施例の電子機器の機能ブロックを示す図である。
【図8】タッチパネルにおける位置座標と、表示物との関係を説明するための図である。
【図9】マルチタッチUIを実行する条件を説明するための図である。
【図10】マルチタッチUIによる選択制御を説明するための図である。
【図11】(a)は、判定部による判定処理を説明するための図であり、(b)は、別の説明図である。
【図12】コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせたときのチェックボックスの状態を示す図である。
【図13】コンテンツリストを下方向限界までスクロールさせたときのチェックボックスの状態を示す図である。
【図14】チェックボックスの状態の一例を示す図である。
【図15】チェックボックスの状態の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例の電子機器は、リストから、コンテンツを効率的に選択させるユーザインタフェースを提供する。たとえば電子機器は携帯型のゲーム機やスマートフォンであり、マルチタッチスクリーンを備えて、ユーザによるマルチタッチ操作を可能とする。なお電子機器は、マルチタッチスクリーンに接続して、マルチタッチスクリーンで検出したタッチ操作を受け取るように構成されてもよい。このとき電子機器は、マルチタッチスクリーンと有線で接続してもよく、また無線で接続してもよい。なお電子機器は携帯型であっても、据置型であってもよい。
【0012】
以下、第1の電子機器と第2の電子機器とが接続して、第1の電子機器から第2の電子機器にコンテンツファイルを転送するシステムを示す。ユーザが、第1の電子機器のマルチタッチスクリーンに表示されるコンテンツリストから、転送する複数のファイルを選択して、転送ボタンを押すと、選択された複数のファイルが第2の電子機器に送信される。
【0013】
図1は、2つの電子機器が接続したファイル転送システム1を示す。ファイル転送システム1において、電子機器10は第1の電子機器であり、パーソナルコンピュータ(PC)5は第2の電子機器である。電子機器10とPC5は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル80により接続されるが、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの有線ネットワーク経由で接続されてもよく、無線LANなどにより接続されてもよい。なおPC5は、後述するドライバソフトウェアをダウンロードするため、インターネット上のサーバに接続している。
【0014】
電子機器10は、同時にタッチされた複数ポイントを検出できるタッチパネル50を備え、ファイルを転送する情報端末装置として動作する。なお電子機器10はタッチパネル50を搭載せずに、マルチタッチスクリーンに接続して、マルチタッチスクリーンから同時にタッチされた複数ポイントの位置情報を取得してもよい。PC5は、ファイルを受信する情報端末装置として動作する。なお第2の電子機器はPC5に限らず、ゲーム機であってもよい。
【0015】
ファイル転送システム1において、電子機器10とPC5の間のファイル転送処理は、電子機器10にインストールされているアプリケーションにより管理される。以下、このアプリケーションを「コンテンツマネージャ」と呼ぶ。ユーザはコンテンツマネージャを利用して、電子機器10からPC5へのファイル転送を実行させる。PC5が所定のドライバソフトウェア(以下、単に「ドライバ」ともよぶ)をインストールすることで、コンテンツマネージャは、電子機器10とPC5の間のファイル転送処理を管理できるようになる。
【0016】
電子機器10は、マスストレージ用の記憶領域に、ドライバのインストーラを組み込んだ仮想CD−ROMを保持している。PC5が仮想CD−ROMにアクセスすると、インストーラが起動し、PC5は自動的にサーバにアクセスして、ドライバをインストールする。以下、電子機器10とPC5とをUSBケーブル80で繋いだときの動作を説明する。
【0017】
電子機器10とPC5とがUSBケーブル80により繋がれると、電子機器10は、メディア転送プロトコル(MTP:Media Transfer Protocol)でPC5にアクセスする。このときPC5にドライバがインストールされていれば、ドライバは応答を返し、コンテンツマネージャによるファイル転送処理が行われる。一方、PC5にドライバがインストールされていなければ、電子機器10は応答を受け取らず、タッチパネル50の表示装置に「機器と接続できませんでした。」とエラーメッセージを表示するとともに、ユーザが操作可能なボタンを表示する。
【0018】
ユーザがボタンをタップすると、電子機器10はMTPによる通信を遮断し、マスストレージとしてPC5と接続する。なおタップ操作は、タップ位置に対応付けられている機能を実行する指示を構成する。PC5は、電子機器10のメモリに記憶された仮想CD−ROMドライブが接続されたことを認識して、仮想CD−ROMをオートラン起動する。仮想CD−ROMには、起動されると、PC5が、インターネット上のサーバにアクセスしてドライバを探し出し、PC5に自動インストールするためのインストーラが組み込まれている。
【0019】
インストーラが起動されると、PC画面には、「ドライバをインストールする。」とメッセージが表示されるとともに、ユーザが操作可能なボタンが表示される。ユーザがPC画面上のボタンをマウスなどを用いて押すと、インストーラが、サーバからドライバをダウンロードし、PC5にインストールする。インストールが完了すると、インストーラはPC画面に、インストールが完了した旨のメッセージを表示し、電子機器10の画面に、コンテンツマネージャのアイコンを点滅させて表示する。ユーザが、アイコンをタップすると、コンテンツマネージャが起動して、電子機器10とPC5とをMTPで接続する。以上のように、電子機器10は、インストーラを組み込んだ仮想CD−ROMをメモリのマスストレージ用領域に記憶しておくことで、PC5にドライバを自動インストールさせることができ、電子機器10のコンテンツマネージャが、電子機器10とPC5との間のファイル転送処理を管理する環境を実現できる。
【0020】
以下、本実施例の電子機器10の外観構成および回路構成を説明する。以下に示す電子機器10は、携帯型のゲーム機であるが、他の種類の携帯型端末装置であってもよく、また据置型の端末装置であってもよい。
【0021】
[前面部の構成]
図2(a)は、電子機器10の前面を示す。電子機器10は、横長の筐体により形成され、ユーザが把持する左右の領域は、円弧状の外郭を有している。電子機器10の前面には、矩形のタッチパネル50が設けられる。タッチパネル50は、表示装置20と、表示装置20の表面を覆う透明な前面タッチパッド21から構成される。表示装置20は有機EL(Electro-Liminescence)パネルであり、16:9の画面アスペクト比を有して画像を表示する。なお表示装置20は液晶パネルなどの表示手段であってもよい。前面タッチパッド21は、同時にタッチされた複数ポイントの検出機能をもつマルチタッチパッドであって、タッチパネル50はマルチタッチスクリーンとして構成される。
【0022】
タッチパネル50の右側には、菱形の頂点にそれぞれ位置する△ボタン22a、○ボタン22b、×ボタン22c、□ボタン22d(以下、総称する場合には「操作ボタン22」とよぶ)が設けられ、タッチパネル50の左側には、上キー23a、左キー23b、下キー23c、右キー23d(以下、総称する場合には「方向キー23」とよぶ)が設けられる。ユーザは方向キー23を操作して、上下左右および斜方の8方向を入力できる。方向キー23の下側には左スティック24aが設けられ、また操作ボタン22の下側には右スティック24bが設けられる。ユーザは左スティック24aまたは右スティック24b(以下、総称する場合には「アナログスティック24」とよぶ)を傾動して、方向および傾動量を入力する。筐体の左右頂部には、Lボタン26a、Rボタン26bが設けられる。操作ボタン22、方向キー23、アナログスティック24、Lボタン26a、Rボタン26bは、ユーザが操作する操作手段を構成する。
【0023】
操作ボタン22の近傍に、前面カメラ30が設けられる。左スティック24aの左側および右スティック24bの右側には、それぞれ音声を出力する左スピーカ25aおよび右スピーカ25b(以下、総称する場合には「スピーカ25」とよぶ)が設けられる。また左スティック24aの下側にHOMEボタン27が設けられ、右スティック24bの下側にSTARTボタン28およびSELECTボタン29が設けられる。
【0024】
[背面部の構成]
図2(b)は、電子機器10の背面を示す。電子機器10の背面には、背面カメラ31および背面タッチパッド32が設けられる。背面タッチパッド32は、前面タッチパッド21と同様に、マルチタッチパッドとして構成される。電子機器10は、前面および背面において、2つのカメラおよびタッチパッドを搭載している。
【0025】
[上面部の構成]
図3(a)は、電子機器10の上面を示す。既述したように、電子機器10の上面の左右端側に、Lボタン26a、Rボタン26bがそれぞれ設けられる。Lボタン26aの右側には電源ボタン33が設けられ、ユーザは、電源ボタン33を押下することで、電源をオンまたはオフする。なお電子機器10は、操作手段が操作されない時間(無操作時間)が所定時間続くと、サスペンド状態に遷移する電力制御機能を有している。電子機器10がサスペンド状態に入ると、ユーザは電源ボタン33を押下することで、電子機器10をサスペンド状態からアウェイク状態に復帰させることができる。
【0026】
ゲームカードスロット34は、ゲームカードを差し込むための差込口であり、この図では、ゲームカードスロット34がスロットカバーにより覆われている状態が示される。なおゲームカードスロット34の近傍に、ゲームカードがアクセスされているときに点滅するLEDランプが設けられてもよい。アクセサリ端子35は、周辺機器(アクセサリ)を接続するための端子であり、この図ではアクセサリ端子35が端子カバーにより覆われている状態が示される。アクセサリ端子35とRボタン26bの間には、ボリュームを調整するための−ボタン36aと+ボタン36bが設けられている。
【0027】
[下面部の構成]
図3(b)は、電子機器10の下面を示す。メモリカードスロット37は、メモリカードを差し込むための差込口であり、この図では、メモリカードスロット37が、スロットカバーにより覆われている状態が示される。電子機器10の下面において、音声入出力端子38、マイク39およびマルチユース端子40が設けられる。マルチユース端子40はUSB(Universal Serial Bus)に対応し、USBケーブルを介して他の機器と接続できる。
【0028】
[左側面部の構成]
図3(c)は、電子機器10の左側面を示す。電子機器10の左側面には、SIMカードの差込口であるSIMカードスロット41が設けられる。
【0029】
[電子機器の回路構成]
図4は、電子機器10の回路構成を示す。各構成はバス92によって互いに接続されている。無線通信モジュール71はIEEE802.11b/g等の通信規格に準拠した無線LANモジュールによって構成され、AP2を介して、外部ネットワークに接続する。なお無線通信モジュール71は、ブルートゥース(登録商標)プロトコルの通信機能を有してもよい。携帯電話モジュール72は、ITU(International Telecommunication Union;国際電気通信連合)によって定められたIMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)規格に準拠した第3世代(3rd Generation)デジタル携帯電話方式に対応し、携帯電話網4に接続する。SIMカードスロット41には、携帯電話の電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたSIMカード74が挿入される。SIMカード74がSIMカードスロット41に挿入されることで、携帯電話モジュール72は、携帯電話網4との間で通信可能となる。
【0030】
CPU(Central Processing Unit)60は、メインメモリ64にロードされたプログラムなどを実行する。GPU(Graphics Processing Unit)62は、画像処理に必要な計算を実行する。メインメモリ64は、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、CPU60が使用するプログラムやデータなどを記憶する。ストレージ66は、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)などにより構成され、内蔵型の補助記憶装置として利用される。表示装置20は、CPU60などにより生成された画像を出力する。
【0031】
モーションセンサ67は、電子機器10の動きを検出し、地磁気センサ68は、3軸方向の地磁気を検出する。GPS制御部69は、GPS衛星からの信号を受信し、現在位置を算出する。前面カメラ30および背面カメラ31は、画像を撮像し、画像データを入力する。前面カメラ30および背面カメラ31は、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)によって構成される。
【0032】
インタフェース90において、操作部70は、電子機器10における各種操作手段を含み、具体的には、操作ボタン22、方向キー23、アナログスティック24、Lボタン26a、Rボタン26b、HOMEボタン27、STARTボタン28、SELECTボタン29、電源ボタン33、−ボタン36a、+ボタン36bを含む。前面タッチパッド21および背面タッチパッド32は、マルチタッチパッドであり、前面タッチパッド21は、表示装置20の表面に重ね合わせて配置される。スピーカ25は、電子機器10の各機能により生成される音声を出力し、マイク39は、電子機器10の周辺の音声を入力する。音声入出力端子38は、外部のマイクからステレオ音声を入力し、外部のヘッドホンなどへステレオ音声を出力する。
【0033】
ゲームカードスロット34には、ゲームファイルを記録したゲームカード76が差し込まれる。ゲームカード76は、データの書込可能な記録領域を有しており、ゲームカードスロット34に装着されると、メディアドライブにより、データの書込/読出が行われる。メモリカードスロット37には、メモリカード78が差し込まれる。メモリカード78は、メモリカードスロット37に装着されると、外付け型の補助記憶装置として利用される。マルチユース端子40は、USB端子として利用でき、USBケーブル80を接続されて、他のUSB機器とデータの送受信を行う。アクセサリ端子35には、周辺機器が接続される。
【0034】
電子機器10は、電源ON時、タッチパネル50にメニュー画面を表示する。メニュー画面には、電子機器10で実行可能な複数のアプリケーションのアイコン画像が配列され、表示される。このアイコン画像の1つが、コンテンツを管理するコンテンツマネージャのアイコン画像であり、ユーザが、コンテンツマネージャのアイコンをタップすると、コンテンツマネージャが起動される。コンテンツマネージャは、電子機器10とPC5の間のファイル転送処理を制御する。
【0035】
図5は、転送対象となるコンテンツのジャンルを選択するためのジャンル選択画面を示す。コンテンツマネージャは、コンテンツのジャンルを選択させる複数のジャンル選択領域94を表示装置20に表示する。図5の例で、ジャンル選択領域94aは「ゲーム」、ジャンル選択領域94bは「ビデオ」、ジャンル選択領域94cは「ミュージック」、ジャンル選択領域94dは「フォト」のジャンルをそれぞれ示し、ユーザが、いずれかのジャンル選択領域94をタップすると、そのジャンルに属するコンテンツファイルのリストが生成され、表示される。
【0036】
ジャンル選択領域94aがタップされると、コンテンツマネージャが、メモリカード78にインストールされているゲームのリストを生成する。なお電子機器10には、ビデオ再生アプリケーション、ミュージック再生アプリケーション、フォト再生アプリケーションが、ぞれぞれインストールされており、ビデオ、ミュージック、フォトのリストについては、それぞれの再生アプリケーションが生成する。したがって、ジャンル選択領域94bがタップされると、ビデオ再生アプリケーションが、メモリカード78に記録されているビデオのリストを生成し、またジャンル選択領域94cがタップされると、ミュージック再生アプリケーションが、メモリカード78に記録されているミュージックのリストを生成する。以下、ジャンル選択領域94が選択されたときに生成されるリストを、ジャンルを問わず、まとめて「コンテンツリスト」と呼ぶ。
【0037】
図6は、各アプリケーションにより生成されるリスト画面を示す。リスト画面には、コンテンツファイルを特定する項目102を縦方向に並べて配置したコンテンツリストが表示される。たとえば、コンテンツジャンルがゲームである場合、項目102は、ゲームのパッケージ画像や、ゲームのタイトルなどを含むコンテンツ情報を含み、またコンテンツジャンルがビデオである場合、項目102は、ビデオのパッケージ画像や、ビデオのタイトルなどを含むコンテンツ情報を含む。
【0038】
表示される各項目102の左側には、チェックボックス100が形成される。ユーザはチェックボックス100をタップすることで、そのチェックボックス100に対応するコンテンツファイルを、転送対象として選択する。ユーザがチェックボックス100をタップすると、チェックボックス100には、選択されたことを示すマークが記入される。なお項目102がタップされたときに、チェックボックス100にマークが記入されてもよい。コンテンツリストに含まれる項目102の全てを一画面に表示しきれない場合、スクロールバー104が形成され、ユーザは、スクロールバー104を見て、表示されている項目102以外にも、まだ項目102が存在していることを知ることになる。
【0039】
ユーザは、前面タッチパッド21上で指をスライドさせることで、項目102を動かすことができる。図6に示すコンテンツリストでは、項目102が縦方向に並べられており、ユーザは、指を前面タッチパッド21に接触させたまま、縦方向に動かすことで、コンテンツリストをスクロールさせる。具体的に、指を上方向にスライドさせると、コンテンツリストは上方向に移動し、指を下方向にスライドさせると、コンテンツリストは下方向に移動する。ユーザが、転送するコンテンツファイルの選択を終了した後、転送ボタン106をタップすると、選択された全てのコンテンツファイルがPC5に転送される。なおユーザがALLボタン107をタップすると、全てのコンテンツファイルが選択され、CANCELボタン108をタップすると、コンテンツファイルを選択した状態がキャンセルされる。以上は、シングルタッチによるコンテンツ選択操作の説明である。
【0040】
図6に示すように、一画面に表示できるコンテンツ数は制限され、この例では、最大で5つないし6つの項目102が表示される。そのため、シングルタッチによるコンテンツ選択操作では、コンテンツリストにおいて連続して配置されている7つ以上のコンテンツを選択する際、表示されるチェックボックス100をタップした後、コンテンツリストを動かし、新たに表示されるチェックボックス100をタップするという作業が必要となる。つまり多くのコンテンツを選択する際、ユーザは、タップ操作とスクロール操作とを交互に行う必要があり、コンテンツの選択作業に時間がかかる。そこで本実施例では、マルチタッチによるコンテンツの効率的な選択操作を実現するユーザインタフェースを提供する。
【0041】
本実施例の電子機器10は、ユーザがチェックボックス100に第1の指を置いた状態で、コンテンツリストを第2の指でスクロールさせると、第1の指の下方を通過するチェックボックス100が選択または選択解除されるようなユーザインタフェースを提供する。以下、このユーザインタフェースを、「マルチタッチUI」と呼ぶこともある。
【0042】
図7は、本実施例のユーザインタフェースを実現する電子機器10の機能ブロックを示す。電子機器10は、受付部110および処理部120を備え、処理部120は、表示装置20に項目のリストを表示する表示制御部130と、項目の選択または選択解除を行う選択制御部140を有する。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0043】
受付部110は、前面タッチパッド21から入力されるユーザのマルチタッチ操作を受け付ける。第1受付部112は、項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付け、第2受付部114は、項目リスト(コンテンツリスト)を動かすための第2のタッチ操作を受け付ける。
【0044】
図8は、タッチパネル50における位置座標と、表示物との関係を説明するための図である。ここでは、ディスプレイの下縁をX軸、左縁をY軸に設定して、タッチパネル50における座標系を定める。ディスプレイの表示領域は、Y軸方向においてボタン領域160、マルチタッチ有効領域162、インジケータ領域164に3分割される。
【0045】
ボタン領域160は、転送ボタン106、ALLボタン107およびCANCELボタン108などの操作ボタンを配置する領域であり、インジケータ領域164は、時刻や電池残量、電波の受信状況などのインジケータを表示する領域である。マルチタッチ有効領域162は、マルチタッチ操作により項目102の選択または選択解除を含む選択制御が行われるための領域である。マルチタッチ有効領域162において、斜線を付して示される選択領域166は、項目102の選択操作を受け付けるための領域であり、マルチタッチ有効領域162において選択領域166以外の領域は、コンテンツリストのスクロール操作を受け付けるための領域である。
【0046】
選択領域166は、X軸方向において、チェックボックス100の表示領域を完全に覆うように構成される。図示されるように、選択領域166の幅W2は、チェックボックス100の幅W1より大きく設定されることが好ましいが、幅W2と幅W1は等しく設定されてもよい。
【0047】
図9は、マルチタッチUIを実行する条件を説明するための図である。第1タッチポイント170は、前面タッチパッド21において検出される第1の指の接触位置を示し、第2タッチポイント172は、第2の指の接触位置を示す。マルチタッチUIを実行するためには、第1タッチポイント170が選択領域166に位置し、同時に第2タッチポイント172が、マルチタッチ有効領域162における選択領域166以外の領域に位置することが条件とされる。したがって、第1受付部112が、項目102の選択領域166における第1のタッチ操作を受け付け、且つ第2受付部114が、選択領域166以外の領域における第2のタッチ操作を受け付けたときに、処理部120は、マルチタッチUIの実行条件が整ったことを判定し、第2タッチポイント172が動いてスクロール操作が入力されたときに、マルチタッチUIによるコンテンツファイルの選択制御が実行される。
【0048】
第1受付部112は、第1タッチポイント170の座標(xa、ya)を受け取ると、X1≦xa≦X2、且つY1≦ya≦Y2である場合に、第1タッチポイント170が選択領域166に位置することを判定する。また第2受付部114は、第2タッチポイント172の座標(xb、yb)を受け取ると、xa<X1またはX2<xaであって、且つY1≦ya≦Y2である場合に、第2タッチポイント172がマルチタッチ有効領域162における選択領域166以外の領域に位置することを判定する。
【0049】
図10は、マルチタッチUIによる選択制御を説明するための図である。図5に示すジャンル選択画面において、ユーザがジャンルを選択すると、図7を参照して、表示制御部130におけるリスト生成部132が、選択されたジャンルのコンテンツリストを生成して、表示装置20に表示する。図10に示す例では、リスト生成部132は、15個のコンテンツを含むコンテンツリストを生成している。リスト生成部132は、コンテンツリストを上から順に表示し、したがってリスト表示の初期状態では、上位から5つの項目102がマルチタッチ有効領域162に表示される。説明の便宜上、図10には、マルチタッチ有効領域162に、6〜10番目の項目102が表示されている様子を示している。リスト表示初期状態から、1画面分を上方向にスクロールすることで、図10に示す表示状態が形成される。
【0050】
ここで、第1の指200が、リストにおいて上から8番目のチェックボックス100に接触し、第2の指202が、選択領域166以外の領域に接触する。判定部142は、第1の指200により指定される前面タッチパッド21上の指定位置を第1受付部112から取得し、またチェックボックス100がタップされたことを判定するためのチェック領域の位置座標をリスト生成部132から取得することで、チェックボックス100のチェック領域に、第1の指200の位置座標が含まれるか判定する。
【0051】
図11(a)は、判定部142による判定処理を説明するための図である。既述したように、X軸方向において、選択領域166の幅W2は、チェックボックス100の幅W1よりも広く設定される。本実施例において、表示される複数のチェックボックス100は、Y軸方向に連続していないが、チェックボックス100がタップされたことを判定するためのチェック領域204は、チェックボックス100よりも大きく設定され、且つ、複数のチェック領域204はY軸方向に連続していてもよい。これにより、ユーザはチェックボックス100から若干外れた位置をタップしても、タッチ操作により指定される位置(第1タッチポイント170)が選択領域166内であれば、判定部142は、第1タッチポイント170を含むチェック領域204を検出できる。
【0052】
図11(b)は、チェック領域204の別の例を示す。この例では、チェック領域204が、チェックボックス100と等しく設定される。これは、選択領域166の幅W2と、チェックボックス100の幅W1とが等しく設定された場合であって、且つ、Y軸方向において、チェック領域204を連続させない例である。
【0053】
図10の例では、判定部142が、第1の指200による指定位置が、上から8番目のチェックボックス100のチェック領域204に含まれることを判定する。この判定結果を受けて、選択決定部144は、8番目の項目102が選択されたことを決定し、チェックボックス100内にマーク210を表示する。
【0054】
図10に示す状態で、第2の指202が上方向にスライドしたときのマルチタッチUIの選択制御について説明する。このとき第1の指200は動かされず、前面タッチパッド21上の同じ位置を指定し続けている。
移動制御部134は、第2受付部114において受け付けた第2の指202のタッチ操作に応じて、コンテンツリストを上方向に動かす。第2受付部114が受け付けた第2の指202の上方向スライド操作は、移動制御部134において上方向のスクロール指示として認識され、したがって移動制御部134は、コンテンツリストを上方向にスクロールさせる。
【0055】
図12は、コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせたときのチェックボックス100の状態を示す。コンテンツリストが上方向に移動する過程において、判定部142は、第1の指200による指定位置が、8番目のチェックボックス100の下方のチェックボックス100(すなわち9番目以下のチェックボックス100)のチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144が、そのチェック領域204に対応する項目102が選択されたことを決定し、対応するチェックボックス100内にマーク210を表示する。本実施例のマルチタッチUIによると、選択領域166内の指定位置を、チェック領域204が通過したときに対応する項目102が選択され、チェックボックス100にマーク210が追加される。これにより、連続した複数の項目102の選択作業を容易に行えるようになる。
【0056】
同様に、図10に示す状態で、第2の指202が下方向にスライドしたときのマルチタッチUIの選択制御について説明する。第1の指200は動かされず、前面タッチパッド21上の同じ位置を指定し続けている。
移動制御部134は、第2受付部114において受け付けた第2の指202のタッチ操作に応じて、コンテンツリストを下方向に動かす。第2受付部114が受け付けた第2の指202の下方向スライド操作は、移動制御部134において下方向のスクロール指示として認識され、したがって移動制御部134は、コンテンツリストを下方向にスクロールさせる。
【0057】
図13は、コンテンツリストを下方向限界までスクロールさせたときのチェックボックス100の状態を示す。コンテンツリストが下方向に移動する過程において、判定部142は、第1の指200による指定位置が、8番目のチェックボックス100の上方のチェックボックス100(すなわち7番目以上のチェックボックス100)のチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144が、そのチェック領域204に対応する項目102が選択されたことを決定し、対応するチェックボックス100内にマーク210を表示する。これにより、連続した複数の項目102の選択作業を容易に行えるようになる。
【0058】
以上が、マルチタッチUIによる基本の選択制御であるが、第2受付部114が受け付けた第2のタッチ操作が、第1方向のスクロール指示と、第2方向のスクロール指示とを含む場合に、マルチタッチUIは、選択制御の2つのオプションを有している。図10に示す状態から、コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせ、続けてコンテンツリストを下方向限界までスクロールさせたときの選択制御について説明する。まず、コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせると、図12に示すように、8番目から13番目までの項目102が選択決定される。続けてユーザが、図12に示す状態から図13に示す状態まで、コンテンツリストをスクロールさせる。
【0059】
<オプション1>
図14は、コンテンツリストにおけるチェックボックス100の状態の一例を示す。オプション1では、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144は、その項目102が選択されたことを決定し、その決定状態を変更しない。つまり一度選択された項目102は、再度、判定部142が、第1の指200による指定位置が選択された項目102のチェック領域204に含まれることを判定しても、選択が確定した状態を変更しない。したがって、オプション1では、マルチタッチUIによる選択制御において、選択された項目102の数が減ることはない。このオプション1は、最初に第1の指200を置いた位置の上下に、選択したい項目102が存在する場合に、有効に利用される。
【0060】
<オプション2>
図15は、コンテンツリストにおけるチェックボックス100の状態の別の例を示す。オプション2では、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144は、その項目102の状態値を反転する。項目102の状態値には、選択状態と、選択解除状態が存在し、状態値を反転する場合には、選択状態を選択解除状態とすることと、選択解除状態を選択状態とすることが含まれる。したがって、ある項目102が第1方向のスクロール操作により選択決定された状態において、第1方向とは反対の第2方向のスクロール操作により、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、その項目102の選択状態を反転し、選択解除状態にする。逆に、ある項目102が選択解除状態(未選択状態も含む)にある場合に、スクロール操作により、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、その項目102の選択解除状態を反転し、選択状態にする。このオプション2は、ユーザが最初のスクロール方向を誤り、スクロール方向を訂正する場合に、有効に利用される。
【0061】
選択制御部140は、第1受付部112が第1のタッチ操作を継続して受け付けている場合に、項目102の選択または選択解除を含む選択制御を行い、第1受付部112が第1のタッチ操作を受け付けなくなると、選択制御部140は、選択制御を終了する。本実施例では、マルチタッチUIの実行条件が成立してから、不成立となるまでの間の選択制御を、1回の選択制御として数える。選択領域166における第1のタッチ操作があることは、マルチタッチUIの実行条件の1つであるため、選択制御部140が選択制御を継続するためには、ユーザの第1の指200が選択領域166を指定している必要がある。なお、マルチタッチUIが一旦実行されると、第1の指200が動いて選択領域166から外れた場合であっても、選択制御部140が選択制御を継続できるようにしてもよい。本実施例では、コンテンツリストがY軸方向に移動するため、判定部142は、移動するチェック領域204のY座標が、第1の指200による指定位置のY座標(ya)をスクロール方向において通過したか否かを判定し、通過した場合に、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを決定してもよい。
【0062】
なお、オプション2による項目102の状態値の反転処理は、2つの方向のスクロール操作が連続して行われる1回の選択制御において利用されるが、スクロール操作が連続していない場合、つまり1回の選択制御に限らず、異なる回の選択制御において利用されてもよい。すなわち選択決定部144は、判定部142による判定結果を、項目102の状態値の反転のために利用し、判定部142により第1の指200の指定位置がチェック領域204に含まれることが判定される前の状態値に応じて、項目102の状態値を決定してもよい。
【0063】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、コンテンツファイルを選択した後の処理として、選択したファイルを転送する例を示したが、たとえば選択したファイルをコピーしてもよく、また削除してもよく、その他、様々な処理であってよい。
【0064】
実施例では、第1の指200を選択領域166に置いた状態でコンテンツリストをスクロールすることで、連続した複数の項目102を選択できることを示した。これらの複数の項目102は、選択された時点で、選択されたことが確定してもよいが、選択された時点では選択されたことが確定せず、第1の指200を前面タッチパッド21から離したときに選択されたことが確定してもよい。この場合、選択が確定していないことを示すために、チェックボックス100に表示されるマーク210の態様は、選択が確定したことを示すマーク210の態様と異ならせることが好ましい。したがって、第1の指200が選択領域166に置かれている間は、マーク210は、選択が確定しないことを示す態様で表示され、第1の指200が前面タッチパッド21から離れると、マーク210は、選択が確定したことを示す態様で表示される。たとえば、これらの表示態様は、色を変えることで実現されてもよく、またマーク210の大きさを変えることで実現されてもよい。このようにマーク210の表示態様を変えることで、ユーザは、選択が確定した項目102と、確定していない項目102を容易に区別することができる。
【0065】
たとえば第1の指200が前面タッチパッド21に接触しながら選択領域166から左または右に外れて、選択領域166から外れた位置で第1の指200が前面タッチパッド21から離れると、選択決定部144が、仮選択されている(選択が確定していない)項目102の選択を解除してもよい。上記したように、項目102を仮選択した状態で、選択領域166にある第1の指200を前面タッチパッド21から離すと、項目102の仮選択が確定し、一方で、選択領域166以外の領域にある第1の指200を前面タッチパッド21から離すと、項目102の仮選択が解除される。仮選択されている項目102のマーク210は、選択が確定している項目102のマーク210と異なる表示態様を有しているため、ユーザは仮選択している項目102を容易に区別できるとともに、簡易な操作で、仮選択を確定または解除することが可能である。
【0066】
なお、第1の指200が前面タッチパッド21に接触しながら選択領域166から左または右に外れたときに、仮選択を示すマーク210の表示が消えてもよい。これにより、ユーザは、その状態で第1の指200を前面タッチパッド21から離すと、仮選択していた項目102の選択が解除されることを知ることになる。なお、その状態から、第1の指200を選択領域166までずらすと、仮選択を示すマーク210の表示が復活して、マーク210の表示が消える前の状態を再形成してもよい。
【0067】
なお第2の指202が前面タッチパッド21に接触していない状態で、第1の指200が選択領域166内をスライドしたとき、最初にタッチしたチェック領域204に対応する項目102のみが選択される。しかしながらたとえば、図12に示すチェックボックス100の状態では、最下段の2つの項目102が選択されておらず、第1の指200のスライドで、未選択の2つの項目102を選択できるのが好ましい。したがって、マルチタッチUIの実行条件が成立していることを前提に、選択領域166において第1の指200を下方向にスクロールすることで、項目102を選択できるようにしてもよい。
【0068】
また、マルチタッチUIによる選択制御中は、転送ボタン106、ALLボタン107、CANCELボタン108などの操作ボタンを無効化し、ボタン操作ができないようにすることが好ましい。選択制御部140は、選択制御中、ボタン操作を無効化することで、ユーザによる誤操作を事前に回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・ファイル転送システム、5・・・PC、10・・・電子機器、20・・・表示装置、21・・・前面タッチパッド、94・・・ジャンル選択領域、100・・・チェックボックス、102・・・項目、104・・・スクロールバー、106・・・転送ボタン、107・・・ALLボタン、108・・・CANCELボタン、110・・・受付部、112・・・第1受付部、114・・・第2受付部、120・・・処理部、130・・・表示制御部、132・・・リスト生成部、134・・・移動制御部、140・・・選択制御部、142・・・判定部、144・・・選択決定部、160・・・ボタン領域、162・・・マルチタッチ有効領域、164・・・インジケータ領域、166・・・選択領域、170・・・第1タッチポイント、172・・・第2タッチポイント、204・・・チェック領域、210・・・マーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチタッチスクリーンを搭載した電子機器またはマルチタッチスクリーンに接続する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型のゲーム機やPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器が普及している。近年では、スマートフォンのように、携帯電話やPDA等の機能を一つにまとめた多機能型の電子機器も登場している。
【0003】
タッチパネルを有する電子機器は、ユーザに直観的な操作を行わせる優れたユーザインタフェースを提供する。たとえば、サムネイル表示されたコンテンツ画像を指でタップすることで、そのコンテンツ画像がパネル全面に表示されるユーザインタフェースや、パネル表面を指でなぞることで、表示画像をスクロールするユーザインタフェースなどが一般的である。また近年では、同時にタッチされた複数ポイントの検出機能をもつマルチタッチスクリーンを備えた電子機器も登場し、ユーザのピンチ操作により、表示画像をズームイン(拡大)/ズームアウト(縮小)するユーザインタフェースも実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US特許出願公開2002−0112018号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メモリの大容量化により、電子機器は多数のコンテンツファイルをメモリに記録できるようになっている。ユーザがコンテンツファイルを別の電子機器に転送する場合、電子機器のディスプレイにはコンテンツのリストが表示され、ユーザは、転送する複数のコンテンツファイルをリストから選択し、選択したコンテンツファイルをまとめて転送する。そのため、特にコンテンツ数が多い場合に、ユーザが効率よくコンテンツファイルを選択できるユーザインタフェースの開発が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、リストからコンテンツを効率よく選択するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電子機器は、表示装置およびタッチパッドを含んで構成されるタッチパネルを備え、またはタッチパネルに接続する電子機器であって、表示装置に項目のリストを表示する表示制御部と、項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける第1受付部と、項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける第2受付部と、第1のタッチ操作に応じて、項目の選択を行う選択制御部と、を備える。表示制御部は、第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かし、選択制御部は、第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、表示制御部による項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、リストからコンテンツを効率よく選択するための技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ファイル転送システムを示す図である。
【図2】(a)は電子機器の前面を示す図であり、(b)は電子機器の背面を示す図である。
【図3】(a)は電子機器の上面を示す図であり、(b)は電子機器の下面を示す図であり、(c)は電子機器の左側面を示す図である。
【図4】電子機器の回路構成を示す図である。
【図5】ジャンル選択画面を示す図である。
【図6】リスト画面を示す図である。
【図7】本実施例の電子機器の機能ブロックを示す図である。
【図8】タッチパネルにおける位置座標と、表示物との関係を説明するための図である。
【図9】マルチタッチUIを実行する条件を説明するための図である。
【図10】マルチタッチUIによる選択制御を説明するための図である。
【図11】(a)は、判定部による判定処理を説明するための図であり、(b)は、別の説明図である。
【図12】コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせたときのチェックボックスの状態を示す図である。
【図13】コンテンツリストを下方向限界までスクロールさせたときのチェックボックスの状態を示す図である。
【図14】チェックボックスの状態の一例を示す図である。
【図15】チェックボックスの状態の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例の電子機器は、リストから、コンテンツを効率的に選択させるユーザインタフェースを提供する。たとえば電子機器は携帯型のゲーム機やスマートフォンであり、マルチタッチスクリーンを備えて、ユーザによるマルチタッチ操作を可能とする。なお電子機器は、マルチタッチスクリーンに接続して、マルチタッチスクリーンで検出したタッチ操作を受け取るように構成されてもよい。このとき電子機器は、マルチタッチスクリーンと有線で接続してもよく、また無線で接続してもよい。なお電子機器は携帯型であっても、据置型であってもよい。
【0012】
以下、第1の電子機器と第2の電子機器とが接続して、第1の電子機器から第2の電子機器にコンテンツファイルを転送するシステムを示す。ユーザが、第1の電子機器のマルチタッチスクリーンに表示されるコンテンツリストから、転送する複数のファイルを選択して、転送ボタンを押すと、選択された複数のファイルが第2の電子機器に送信される。
【0013】
図1は、2つの電子機器が接続したファイル転送システム1を示す。ファイル転送システム1において、電子機器10は第1の電子機器であり、パーソナルコンピュータ(PC)5は第2の電子機器である。電子機器10とPC5は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル80により接続されるが、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの有線ネットワーク経由で接続されてもよく、無線LANなどにより接続されてもよい。なおPC5は、後述するドライバソフトウェアをダウンロードするため、インターネット上のサーバに接続している。
【0014】
電子機器10は、同時にタッチされた複数ポイントを検出できるタッチパネル50を備え、ファイルを転送する情報端末装置として動作する。なお電子機器10はタッチパネル50を搭載せずに、マルチタッチスクリーンに接続して、マルチタッチスクリーンから同時にタッチされた複数ポイントの位置情報を取得してもよい。PC5は、ファイルを受信する情報端末装置として動作する。なお第2の電子機器はPC5に限らず、ゲーム機であってもよい。
【0015】
ファイル転送システム1において、電子機器10とPC5の間のファイル転送処理は、電子機器10にインストールされているアプリケーションにより管理される。以下、このアプリケーションを「コンテンツマネージャ」と呼ぶ。ユーザはコンテンツマネージャを利用して、電子機器10からPC5へのファイル転送を実行させる。PC5が所定のドライバソフトウェア(以下、単に「ドライバ」ともよぶ)をインストールすることで、コンテンツマネージャは、電子機器10とPC5の間のファイル転送処理を管理できるようになる。
【0016】
電子機器10は、マスストレージ用の記憶領域に、ドライバのインストーラを組み込んだ仮想CD−ROMを保持している。PC5が仮想CD−ROMにアクセスすると、インストーラが起動し、PC5は自動的にサーバにアクセスして、ドライバをインストールする。以下、電子機器10とPC5とをUSBケーブル80で繋いだときの動作を説明する。
【0017】
電子機器10とPC5とがUSBケーブル80により繋がれると、電子機器10は、メディア転送プロトコル(MTP:Media Transfer Protocol)でPC5にアクセスする。このときPC5にドライバがインストールされていれば、ドライバは応答を返し、コンテンツマネージャによるファイル転送処理が行われる。一方、PC5にドライバがインストールされていなければ、電子機器10は応答を受け取らず、タッチパネル50の表示装置に「機器と接続できませんでした。」とエラーメッセージを表示するとともに、ユーザが操作可能なボタンを表示する。
【0018】
ユーザがボタンをタップすると、電子機器10はMTPによる通信を遮断し、マスストレージとしてPC5と接続する。なおタップ操作は、タップ位置に対応付けられている機能を実行する指示を構成する。PC5は、電子機器10のメモリに記憶された仮想CD−ROMドライブが接続されたことを認識して、仮想CD−ROMをオートラン起動する。仮想CD−ROMには、起動されると、PC5が、インターネット上のサーバにアクセスしてドライバを探し出し、PC5に自動インストールするためのインストーラが組み込まれている。
【0019】
インストーラが起動されると、PC画面には、「ドライバをインストールする。」とメッセージが表示されるとともに、ユーザが操作可能なボタンが表示される。ユーザがPC画面上のボタンをマウスなどを用いて押すと、インストーラが、サーバからドライバをダウンロードし、PC5にインストールする。インストールが完了すると、インストーラはPC画面に、インストールが完了した旨のメッセージを表示し、電子機器10の画面に、コンテンツマネージャのアイコンを点滅させて表示する。ユーザが、アイコンをタップすると、コンテンツマネージャが起動して、電子機器10とPC5とをMTPで接続する。以上のように、電子機器10は、インストーラを組み込んだ仮想CD−ROMをメモリのマスストレージ用領域に記憶しておくことで、PC5にドライバを自動インストールさせることができ、電子機器10のコンテンツマネージャが、電子機器10とPC5との間のファイル転送処理を管理する環境を実現できる。
【0020】
以下、本実施例の電子機器10の外観構成および回路構成を説明する。以下に示す電子機器10は、携帯型のゲーム機であるが、他の種類の携帯型端末装置であってもよく、また据置型の端末装置であってもよい。
【0021】
[前面部の構成]
図2(a)は、電子機器10の前面を示す。電子機器10は、横長の筐体により形成され、ユーザが把持する左右の領域は、円弧状の外郭を有している。電子機器10の前面には、矩形のタッチパネル50が設けられる。タッチパネル50は、表示装置20と、表示装置20の表面を覆う透明な前面タッチパッド21から構成される。表示装置20は有機EL(Electro-Liminescence)パネルであり、16:9の画面アスペクト比を有して画像を表示する。なお表示装置20は液晶パネルなどの表示手段であってもよい。前面タッチパッド21は、同時にタッチされた複数ポイントの検出機能をもつマルチタッチパッドであって、タッチパネル50はマルチタッチスクリーンとして構成される。
【0022】
タッチパネル50の右側には、菱形の頂点にそれぞれ位置する△ボタン22a、○ボタン22b、×ボタン22c、□ボタン22d(以下、総称する場合には「操作ボタン22」とよぶ)が設けられ、タッチパネル50の左側には、上キー23a、左キー23b、下キー23c、右キー23d(以下、総称する場合には「方向キー23」とよぶ)が設けられる。ユーザは方向キー23を操作して、上下左右および斜方の8方向を入力できる。方向キー23の下側には左スティック24aが設けられ、また操作ボタン22の下側には右スティック24bが設けられる。ユーザは左スティック24aまたは右スティック24b(以下、総称する場合には「アナログスティック24」とよぶ)を傾動して、方向および傾動量を入力する。筐体の左右頂部には、Lボタン26a、Rボタン26bが設けられる。操作ボタン22、方向キー23、アナログスティック24、Lボタン26a、Rボタン26bは、ユーザが操作する操作手段を構成する。
【0023】
操作ボタン22の近傍に、前面カメラ30が設けられる。左スティック24aの左側および右スティック24bの右側には、それぞれ音声を出力する左スピーカ25aおよび右スピーカ25b(以下、総称する場合には「スピーカ25」とよぶ)が設けられる。また左スティック24aの下側にHOMEボタン27が設けられ、右スティック24bの下側にSTARTボタン28およびSELECTボタン29が設けられる。
【0024】
[背面部の構成]
図2(b)は、電子機器10の背面を示す。電子機器10の背面には、背面カメラ31および背面タッチパッド32が設けられる。背面タッチパッド32は、前面タッチパッド21と同様に、マルチタッチパッドとして構成される。電子機器10は、前面および背面において、2つのカメラおよびタッチパッドを搭載している。
【0025】
[上面部の構成]
図3(a)は、電子機器10の上面を示す。既述したように、電子機器10の上面の左右端側に、Lボタン26a、Rボタン26bがそれぞれ設けられる。Lボタン26aの右側には電源ボタン33が設けられ、ユーザは、電源ボタン33を押下することで、電源をオンまたはオフする。なお電子機器10は、操作手段が操作されない時間(無操作時間)が所定時間続くと、サスペンド状態に遷移する電力制御機能を有している。電子機器10がサスペンド状態に入ると、ユーザは電源ボタン33を押下することで、電子機器10をサスペンド状態からアウェイク状態に復帰させることができる。
【0026】
ゲームカードスロット34は、ゲームカードを差し込むための差込口であり、この図では、ゲームカードスロット34がスロットカバーにより覆われている状態が示される。なおゲームカードスロット34の近傍に、ゲームカードがアクセスされているときに点滅するLEDランプが設けられてもよい。アクセサリ端子35は、周辺機器(アクセサリ)を接続するための端子であり、この図ではアクセサリ端子35が端子カバーにより覆われている状態が示される。アクセサリ端子35とRボタン26bの間には、ボリュームを調整するための−ボタン36aと+ボタン36bが設けられている。
【0027】
[下面部の構成]
図3(b)は、電子機器10の下面を示す。メモリカードスロット37は、メモリカードを差し込むための差込口であり、この図では、メモリカードスロット37が、スロットカバーにより覆われている状態が示される。電子機器10の下面において、音声入出力端子38、マイク39およびマルチユース端子40が設けられる。マルチユース端子40はUSB(Universal Serial Bus)に対応し、USBケーブルを介して他の機器と接続できる。
【0028】
[左側面部の構成]
図3(c)は、電子機器10の左側面を示す。電子機器10の左側面には、SIMカードの差込口であるSIMカードスロット41が設けられる。
【0029】
[電子機器の回路構成]
図4は、電子機器10の回路構成を示す。各構成はバス92によって互いに接続されている。無線通信モジュール71はIEEE802.11b/g等の通信規格に準拠した無線LANモジュールによって構成され、AP2を介して、外部ネットワークに接続する。なお無線通信モジュール71は、ブルートゥース(登録商標)プロトコルの通信機能を有してもよい。携帯電話モジュール72は、ITU(International Telecommunication Union;国際電気通信連合)によって定められたIMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)規格に準拠した第3世代(3rd Generation)デジタル携帯電話方式に対応し、携帯電話網4に接続する。SIMカードスロット41には、携帯電話の電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたSIMカード74が挿入される。SIMカード74がSIMカードスロット41に挿入されることで、携帯電話モジュール72は、携帯電話網4との間で通信可能となる。
【0030】
CPU(Central Processing Unit)60は、メインメモリ64にロードされたプログラムなどを実行する。GPU(Graphics Processing Unit)62は、画像処理に必要な計算を実行する。メインメモリ64は、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、CPU60が使用するプログラムやデータなどを記憶する。ストレージ66は、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)などにより構成され、内蔵型の補助記憶装置として利用される。表示装置20は、CPU60などにより生成された画像を出力する。
【0031】
モーションセンサ67は、電子機器10の動きを検出し、地磁気センサ68は、3軸方向の地磁気を検出する。GPS制御部69は、GPS衛星からの信号を受信し、現在位置を算出する。前面カメラ30および背面カメラ31は、画像を撮像し、画像データを入力する。前面カメラ30および背面カメラ31は、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)によって構成される。
【0032】
インタフェース90において、操作部70は、電子機器10における各種操作手段を含み、具体的には、操作ボタン22、方向キー23、アナログスティック24、Lボタン26a、Rボタン26b、HOMEボタン27、STARTボタン28、SELECTボタン29、電源ボタン33、−ボタン36a、+ボタン36bを含む。前面タッチパッド21および背面タッチパッド32は、マルチタッチパッドであり、前面タッチパッド21は、表示装置20の表面に重ね合わせて配置される。スピーカ25は、電子機器10の各機能により生成される音声を出力し、マイク39は、電子機器10の周辺の音声を入力する。音声入出力端子38は、外部のマイクからステレオ音声を入力し、外部のヘッドホンなどへステレオ音声を出力する。
【0033】
ゲームカードスロット34には、ゲームファイルを記録したゲームカード76が差し込まれる。ゲームカード76は、データの書込可能な記録領域を有しており、ゲームカードスロット34に装着されると、メディアドライブにより、データの書込/読出が行われる。メモリカードスロット37には、メモリカード78が差し込まれる。メモリカード78は、メモリカードスロット37に装着されると、外付け型の補助記憶装置として利用される。マルチユース端子40は、USB端子として利用でき、USBケーブル80を接続されて、他のUSB機器とデータの送受信を行う。アクセサリ端子35には、周辺機器が接続される。
【0034】
電子機器10は、電源ON時、タッチパネル50にメニュー画面を表示する。メニュー画面には、電子機器10で実行可能な複数のアプリケーションのアイコン画像が配列され、表示される。このアイコン画像の1つが、コンテンツを管理するコンテンツマネージャのアイコン画像であり、ユーザが、コンテンツマネージャのアイコンをタップすると、コンテンツマネージャが起動される。コンテンツマネージャは、電子機器10とPC5の間のファイル転送処理を制御する。
【0035】
図5は、転送対象となるコンテンツのジャンルを選択するためのジャンル選択画面を示す。コンテンツマネージャは、コンテンツのジャンルを選択させる複数のジャンル選択領域94を表示装置20に表示する。図5の例で、ジャンル選択領域94aは「ゲーム」、ジャンル選択領域94bは「ビデオ」、ジャンル選択領域94cは「ミュージック」、ジャンル選択領域94dは「フォト」のジャンルをそれぞれ示し、ユーザが、いずれかのジャンル選択領域94をタップすると、そのジャンルに属するコンテンツファイルのリストが生成され、表示される。
【0036】
ジャンル選択領域94aがタップされると、コンテンツマネージャが、メモリカード78にインストールされているゲームのリストを生成する。なお電子機器10には、ビデオ再生アプリケーション、ミュージック再生アプリケーション、フォト再生アプリケーションが、ぞれぞれインストールされており、ビデオ、ミュージック、フォトのリストについては、それぞれの再生アプリケーションが生成する。したがって、ジャンル選択領域94bがタップされると、ビデオ再生アプリケーションが、メモリカード78に記録されているビデオのリストを生成し、またジャンル選択領域94cがタップされると、ミュージック再生アプリケーションが、メモリカード78に記録されているミュージックのリストを生成する。以下、ジャンル選択領域94が選択されたときに生成されるリストを、ジャンルを問わず、まとめて「コンテンツリスト」と呼ぶ。
【0037】
図6は、各アプリケーションにより生成されるリスト画面を示す。リスト画面には、コンテンツファイルを特定する項目102を縦方向に並べて配置したコンテンツリストが表示される。たとえば、コンテンツジャンルがゲームである場合、項目102は、ゲームのパッケージ画像や、ゲームのタイトルなどを含むコンテンツ情報を含み、またコンテンツジャンルがビデオである場合、項目102は、ビデオのパッケージ画像や、ビデオのタイトルなどを含むコンテンツ情報を含む。
【0038】
表示される各項目102の左側には、チェックボックス100が形成される。ユーザはチェックボックス100をタップすることで、そのチェックボックス100に対応するコンテンツファイルを、転送対象として選択する。ユーザがチェックボックス100をタップすると、チェックボックス100には、選択されたことを示すマークが記入される。なお項目102がタップされたときに、チェックボックス100にマークが記入されてもよい。コンテンツリストに含まれる項目102の全てを一画面に表示しきれない場合、スクロールバー104が形成され、ユーザは、スクロールバー104を見て、表示されている項目102以外にも、まだ項目102が存在していることを知ることになる。
【0039】
ユーザは、前面タッチパッド21上で指をスライドさせることで、項目102を動かすことができる。図6に示すコンテンツリストでは、項目102が縦方向に並べられており、ユーザは、指を前面タッチパッド21に接触させたまま、縦方向に動かすことで、コンテンツリストをスクロールさせる。具体的に、指を上方向にスライドさせると、コンテンツリストは上方向に移動し、指を下方向にスライドさせると、コンテンツリストは下方向に移動する。ユーザが、転送するコンテンツファイルの選択を終了した後、転送ボタン106をタップすると、選択された全てのコンテンツファイルがPC5に転送される。なおユーザがALLボタン107をタップすると、全てのコンテンツファイルが選択され、CANCELボタン108をタップすると、コンテンツファイルを選択した状態がキャンセルされる。以上は、シングルタッチによるコンテンツ選択操作の説明である。
【0040】
図6に示すように、一画面に表示できるコンテンツ数は制限され、この例では、最大で5つないし6つの項目102が表示される。そのため、シングルタッチによるコンテンツ選択操作では、コンテンツリストにおいて連続して配置されている7つ以上のコンテンツを選択する際、表示されるチェックボックス100をタップした後、コンテンツリストを動かし、新たに表示されるチェックボックス100をタップするという作業が必要となる。つまり多くのコンテンツを選択する際、ユーザは、タップ操作とスクロール操作とを交互に行う必要があり、コンテンツの選択作業に時間がかかる。そこで本実施例では、マルチタッチによるコンテンツの効率的な選択操作を実現するユーザインタフェースを提供する。
【0041】
本実施例の電子機器10は、ユーザがチェックボックス100に第1の指を置いた状態で、コンテンツリストを第2の指でスクロールさせると、第1の指の下方を通過するチェックボックス100が選択または選択解除されるようなユーザインタフェースを提供する。以下、このユーザインタフェースを、「マルチタッチUI」と呼ぶこともある。
【0042】
図7は、本実施例のユーザインタフェースを実現する電子機器10の機能ブロックを示す。電子機器10は、受付部110および処理部120を備え、処理部120は、表示装置20に項目のリストを表示する表示制御部130と、項目の選択または選択解除を行う選択制御部140を有する。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0043】
受付部110は、前面タッチパッド21から入力されるユーザのマルチタッチ操作を受け付ける。第1受付部112は、項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付け、第2受付部114は、項目リスト(コンテンツリスト)を動かすための第2のタッチ操作を受け付ける。
【0044】
図8は、タッチパネル50における位置座標と、表示物との関係を説明するための図である。ここでは、ディスプレイの下縁をX軸、左縁をY軸に設定して、タッチパネル50における座標系を定める。ディスプレイの表示領域は、Y軸方向においてボタン領域160、マルチタッチ有効領域162、インジケータ領域164に3分割される。
【0045】
ボタン領域160は、転送ボタン106、ALLボタン107およびCANCELボタン108などの操作ボタンを配置する領域であり、インジケータ領域164は、時刻や電池残量、電波の受信状況などのインジケータを表示する領域である。マルチタッチ有効領域162は、マルチタッチ操作により項目102の選択または選択解除を含む選択制御が行われるための領域である。マルチタッチ有効領域162において、斜線を付して示される選択領域166は、項目102の選択操作を受け付けるための領域であり、マルチタッチ有効領域162において選択領域166以外の領域は、コンテンツリストのスクロール操作を受け付けるための領域である。
【0046】
選択領域166は、X軸方向において、チェックボックス100の表示領域を完全に覆うように構成される。図示されるように、選択領域166の幅W2は、チェックボックス100の幅W1より大きく設定されることが好ましいが、幅W2と幅W1は等しく設定されてもよい。
【0047】
図9は、マルチタッチUIを実行する条件を説明するための図である。第1タッチポイント170は、前面タッチパッド21において検出される第1の指の接触位置を示し、第2タッチポイント172は、第2の指の接触位置を示す。マルチタッチUIを実行するためには、第1タッチポイント170が選択領域166に位置し、同時に第2タッチポイント172が、マルチタッチ有効領域162における選択領域166以外の領域に位置することが条件とされる。したがって、第1受付部112が、項目102の選択領域166における第1のタッチ操作を受け付け、且つ第2受付部114が、選択領域166以外の領域における第2のタッチ操作を受け付けたときに、処理部120は、マルチタッチUIの実行条件が整ったことを判定し、第2タッチポイント172が動いてスクロール操作が入力されたときに、マルチタッチUIによるコンテンツファイルの選択制御が実行される。
【0048】
第1受付部112は、第1タッチポイント170の座標(xa、ya)を受け取ると、X1≦xa≦X2、且つY1≦ya≦Y2である場合に、第1タッチポイント170が選択領域166に位置することを判定する。また第2受付部114は、第2タッチポイント172の座標(xb、yb)を受け取ると、xa<X1またはX2<xaであって、且つY1≦ya≦Y2である場合に、第2タッチポイント172がマルチタッチ有効領域162における選択領域166以外の領域に位置することを判定する。
【0049】
図10は、マルチタッチUIによる選択制御を説明するための図である。図5に示すジャンル選択画面において、ユーザがジャンルを選択すると、図7を参照して、表示制御部130におけるリスト生成部132が、選択されたジャンルのコンテンツリストを生成して、表示装置20に表示する。図10に示す例では、リスト生成部132は、15個のコンテンツを含むコンテンツリストを生成している。リスト生成部132は、コンテンツリストを上から順に表示し、したがってリスト表示の初期状態では、上位から5つの項目102がマルチタッチ有効領域162に表示される。説明の便宜上、図10には、マルチタッチ有効領域162に、6〜10番目の項目102が表示されている様子を示している。リスト表示初期状態から、1画面分を上方向にスクロールすることで、図10に示す表示状態が形成される。
【0050】
ここで、第1の指200が、リストにおいて上から8番目のチェックボックス100に接触し、第2の指202が、選択領域166以外の領域に接触する。判定部142は、第1の指200により指定される前面タッチパッド21上の指定位置を第1受付部112から取得し、またチェックボックス100がタップされたことを判定するためのチェック領域の位置座標をリスト生成部132から取得することで、チェックボックス100のチェック領域に、第1の指200の位置座標が含まれるか判定する。
【0051】
図11(a)は、判定部142による判定処理を説明するための図である。既述したように、X軸方向において、選択領域166の幅W2は、チェックボックス100の幅W1よりも広く設定される。本実施例において、表示される複数のチェックボックス100は、Y軸方向に連続していないが、チェックボックス100がタップされたことを判定するためのチェック領域204は、チェックボックス100よりも大きく設定され、且つ、複数のチェック領域204はY軸方向に連続していてもよい。これにより、ユーザはチェックボックス100から若干外れた位置をタップしても、タッチ操作により指定される位置(第1タッチポイント170)が選択領域166内であれば、判定部142は、第1タッチポイント170を含むチェック領域204を検出できる。
【0052】
図11(b)は、チェック領域204の別の例を示す。この例では、チェック領域204が、チェックボックス100と等しく設定される。これは、選択領域166の幅W2と、チェックボックス100の幅W1とが等しく設定された場合であって、且つ、Y軸方向において、チェック領域204を連続させない例である。
【0053】
図10の例では、判定部142が、第1の指200による指定位置が、上から8番目のチェックボックス100のチェック領域204に含まれることを判定する。この判定結果を受けて、選択決定部144は、8番目の項目102が選択されたことを決定し、チェックボックス100内にマーク210を表示する。
【0054】
図10に示す状態で、第2の指202が上方向にスライドしたときのマルチタッチUIの選択制御について説明する。このとき第1の指200は動かされず、前面タッチパッド21上の同じ位置を指定し続けている。
移動制御部134は、第2受付部114において受け付けた第2の指202のタッチ操作に応じて、コンテンツリストを上方向に動かす。第2受付部114が受け付けた第2の指202の上方向スライド操作は、移動制御部134において上方向のスクロール指示として認識され、したがって移動制御部134は、コンテンツリストを上方向にスクロールさせる。
【0055】
図12は、コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせたときのチェックボックス100の状態を示す。コンテンツリストが上方向に移動する過程において、判定部142は、第1の指200による指定位置が、8番目のチェックボックス100の下方のチェックボックス100(すなわち9番目以下のチェックボックス100)のチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144が、そのチェック領域204に対応する項目102が選択されたことを決定し、対応するチェックボックス100内にマーク210を表示する。本実施例のマルチタッチUIによると、選択領域166内の指定位置を、チェック領域204が通過したときに対応する項目102が選択され、チェックボックス100にマーク210が追加される。これにより、連続した複数の項目102の選択作業を容易に行えるようになる。
【0056】
同様に、図10に示す状態で、第2の指202が下方向にスライドしたときのマルチタッチUIの選択制御について説明する。第1の指200は動かされず、前面タッチパッド21上の同じ位置を指定し続けている。
移動制御部134は、第2受付部114において受け付けた第2の指202のタッチ操作に応じて、コンテンツリストを下方向に動かす。第2受付部114が受け付けた第2の指202の下方向スライド操作は、移動制御部134において下方向のスクロール指示として認識され、したがって移動制御部134は、コンテンツリストを下方向にスクロールさせる。
【0057】
図13は、コンテンツリストを下方向限界までスクロールさせたときのチェックボックス100の状態を示す。コンテンツリストが下方向に移動する過程において、判定部142は、第1の指200による指定位置が、8番目のチェックボックス100の上方のチェックボックス100(すなわち7番目以上のチェックボックス100)のチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144が、そのチェック領域204に対応する項目102が選択されたことを決定し、対応するチェックボックス100内にマーク210を表示する。これにより、連続した複数の項目102の選択作業を容易に行えるようになる。
【0058】
以上が、マルチタッチUIによる基本の選択制御であるが、第2受付部114が受け付けた第2のタッチ操作が、第1方向のスクロール指示と、第2方向のスクロール指示とを含む場合に、マルチタッチUIは、選択制御の2つのオプションを有している。図10に示す状態から、コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせ、続けてコンテンツリストを下方向限界までスクロールさせたときの選択制御について説明する。まず、コンテンツリストを上方向限界までスクロールさせると、図12に示すように、8番目から13番目までの項目102が選択決定される。続けてユーザが、図12に示す状態から図13に示す状態まで、コンテンツリストをスクロールさせる。
【0059】
<オプション1>
図14は、コンテンツリストにおけるチェックボックス100の状態の一例を示す。オプション1では、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144は、その項目102が選択されたことを決定し、その決定状態を変更しない。つまり一度選択された項目102は、再度、判定部142が、第1の指200による指定位置が選択された項目102のチェック領域204に含まれることを判定しても、選択が確定した状態を変更しない。したがって、オプション1では、マルチタッチUIによる選択制御において、選択された項目102の数が減ることはない。このオプション1は、最初に第1の指200を置いた位置の上下に、選択したい項目102が存在する場合に、有効に利用される。
【0060】
<オプション2>
図15は、コンテンツリストにおけるチェックボックス100の状態の別の例を示す。オプション2では、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、選択決定部144は、その項目102の状態値を反転する。項目102の状態値には、選択状態と、選択解除状態が存在し、状態値を反転する場合には、選択状態を選択解除状態とすることと、選択解除状態を選択状態とすることが含まれる。したがって、ある項目102が第1方向のスクロール操作により選択決定された状態において、第1方向とは反対の第2方向のスクロール操作により、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、その項目102の選択状態を反転し、選択解除状態にする。逆に、ある項目102が選択解除状態(未選択状態も含む)にある場合に、スクロール操作により、判定部142が、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを判定すると、その項目102の選択解除状態を反転し、選択状態にする。このオプション2は、ユーザが最初のスクロール方向を誤り、スクロール方向を訂正する場合に、有効に利用される。
【0061】
選択制御部140は、第1受付部112が第1のタッチ操作を継続して受け付けている場合に、項目102の選択または選択解除を含む選択制御を行い、第1受付部112が第1のタッチ操作を受け付けなくなると、選択制御部140は、選択制御を終了する。本実施例では、マルチタッチUIの実行条件が成立してから、不成立となるまでの間の選択制御を、1回の選択制御として数える。選択領域166における第1のタッチ操作があることは、マルチタッチUIの実行条件の1つであるため、選択制御部140が選択制御を継続するためには、ユーザの第1の指200が選択領域166を指定している必要がある。なお、マルチタッチUIが一旦実行されると、第1の指200が動いて選択領域166から外れた場合であっても、選択制御部140が選択制御を継続できるようにしてもよい。本実施例では、コンテンツリストがY軸方向に移動するため、判定部142は、移動するチェック領域204のY座標が、第1の指200による指定位置のY座標(ya)をスクロール方向において通過したか否かを判定し、通過した場合に、第1の指200による指定位置がチェック領域204に含まれることを決定してもよい。
【0062】
なお、オプション2による項目102の状態値の反転処理は、2つの方向のスクロール操作が連続して行われる1回の選択制御において利用されるが、スクロール操作が連続していない場合、つまり1回の選択制御に限らず、異なる回の選択制御において利用されてもよい。すなわち選択決定部144は、判定部142による判定結果を、項目102の状態値の反転のために利用し、判定部142により第1の指200の指定位置がチェック領域204に含まれることが判定される前の状態値に応じて、項目102の状態値を決定してもよい。
【0063】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、コンテンツファイルを選択した後の処理として、選択したファイルを転送する例を示したが、たとえば選択したファイルをコピーしてもよく、また削除してもよく、その他、様々な処理であってよい。
【0064】
実施例では、第1の指200を選択領域166に置いた状態でコンテンツリストをスクロールすることで、連続した複数の項目102を選択できることを示した。これらの複数の項目102は、選択された時点で、選択されたことが確定してもよいが、選択された時点では選択されたことが確定せず、第1の指200を前面タッチパッド21から離したときに選択されたことが確定してもよい。この場合、選択が確定していないことを示すために、チェックボックス100に表示されるマーク210の態様は、選択が確定したことを示すマーク210の態様と異ならせることが好ましい。したがって、第1の指200が選択領域166に置かれている間は、マーク210は、選択が確定しないことを示す態様で表示され、第1の指200が前面タッチパッド21から離れると、マーク210は、選択が確定したことを示す態様で表示される。たとえば、これらの表示態様は、色を変えることで実現されてもよく、またマーク210の大きさを変えることで実現されてもよい。このようにマーク210の表示態様を変えることで、ユーザは、選択が確定した項目102と、確定していない項目102を容易に区別することができる。
【0065】
たとえば第1の指200が前面タッチパッド21に接触しながら選択領域166から左または右に外れて、選択領域166から外れた位置で第1の指200が前面タッチパッド21から離れると、選択決定部144が、仮選択されている(選択が確定していない)項目102の選択を解除してもよい。上記したように、項目102を仮選択した状態で、選択領域166にある第1の指200を前面タッチパッド21から離すと、項目102の仮選択が確定し、一方で、選択領域166以外の領域にある第1の指200を前面タッチパッド21から離すと、項目102の仮選択が解除される。仮選択されている項目102のマーク210は、選択が確定している項目102のマーク210と異なる表示態様を有しているため、ユーザは仮選択している項目102を容易に区別できるとともに、簡易な操作で、仮選択を確定または解除することが可能である。
【0066】
なお、第1の指200が前面タッチパッド21に接触しながら選択領域166から左または右に外れたときに、仮選択を示すマーク210の表示が消えてもよい。これにより、ユーザは、その状態で第1の指200を前面タッチパッド21から離すと、仮選択していた項目102の選択が解除されることを知ることになる。なお、その状態から、第1の指200を選択領域166までずらすと、仮選択を示すマーク210の表示が復活して、マーク210の表示が消える前の状態を再形成してもよい。
【0067】
なお第2の指202が前面タッチパッド21に接触していない状態で、第1の指200が選択領域166内をスライドしたとき、最初にタッチしたチェック領域204に対応する項目102のみが選択される。しかしながらたとえば、図12に示すチェックボックス100の状態では、最下段の2つの項目102が選択されておらず、第1の指200のスライドで、未選択の2つの項目102を選択できるのが好ましい。したがって、マルチタッチUIの実行条件が成立していることを前提に、選択領域166において第1の指200を下方向にスクロールすることで、項目102を選択できるようにしてもよい。
【0068】
また、マルチタッチUIによる選択制御中は、転送ボタン106、ALLボタン107、CANCELボタン108などの操作ボタンを無効化し、ボタン操作ができないようにすることが好ましい。選択制御部140は、選択制御中、ボタン操作を無効化することで、ユーザによる誤操作を事前に回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・ファイル転送システム、5・・・PC、10・・・電子機器、20・・・表示装置、21・・・前面タッチパッド、94・・・ジャンル選択領域、100・・・チェックボックス、102・・・項目、104・・・スクロールバー、106・・・転送ボタン、107・・・ALLボタン、108・・・CANCELボタン、110・・・受付部、112・・・第1受付部、114・・・第2受付部、120・・・処理部、130・・・表示制御部、132・・・リスト生成部、134・・・移動制御部、140・・・選択制御部、142・・・判定部、144・・・選択決定部、160・・・ボタン領域、162・・・マルチタッチ有効領域、164・・・インジケータ領域、166・・・選択領域、170・・・第1タッチポイント、172・・・第2タッチポイント、204・・・チェック領域、210・・・マーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置およびタッチパッドを含んで構成されるタッチパネルを備え、またはタッチパネルに接続する電子機器であって、
前記表示装置に項目のリストを表示する表示制御部と、
項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける第1受付部と、
項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける第2受付部と、
第1のタッチ操作に応じて、項目の選択を行う選択制御部と、を備え、
前記表示制御部は、第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かし、
前記選択制御部は、第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、前記表示制御部による項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、第2のタッチ操作に応じて項目リストをスクロールさせることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1受付部が第1のタッチ操作を継続して受け付けている場合に、前記選択制御部は、項目の選択または選択解除を含む選択制御を行い、前記第1受付部が第1のタッチ操作を受け付けなくなると、前記選択制御部は、選択制御を終了することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
表示装置において項目のリストを表示するステップと、
項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付けるステップと、
項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付けるステップと、
第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かすステップと、
第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、項目リストの移動に応じて項目の選択を行うステップと、
を備えることを特徴とするタッチ操作処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
表示装置において項目のリストを表示する機能と、
項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける機能と、
項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける機能と、
第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かす機能と、
第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項1】
表示装置およびタッチパッドを含んで構成されるタッチパネルを備え、またはタッチパネルに接続する電子機器であって、
前記表示装置に項目のリストを表示する表示制御部と、
項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける第1受付部と、
項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける第2受付部と、
第1のタッチ操作に応じて、項目の選択を行う選択制御部と、を備え、
前記表示制御部は、第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かし、
前記選択制御部は、第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、前記表示制御部による項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、第2のタッチ操作に応じて項目リストをスクロールさせることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1受付部が第1のタッチ操作を継続して受け付けている場合に、前記選択制御部は、項目の選択または選択解除を含む選択制御を行い、前記第1受付部が第1のタッチ操作を受け付けなくなると、前記選択制御部は、選択制御を終了することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
表示装置において項目のリストを表示するステップと、
項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付けるステップと、
項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付けるステップと、
第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かすステップと、
第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、項目リストの移動に応じて項目の選択を行うステップと、
を備えることを特徴とするタッチ操作処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
表示装置において項目のリストを表示する機能と、
項目の選択領域における第1のタッチ操作を受け付ける機能と、
項目のリストを動かすための第2のタッチ操作を受け付ける機能と、
第2のタッチ操作に応じて項目のリストを動かす機能と、
第1のタッチ操作により指定されるタッチパッド上の指定位置と、項目リストの移動に応じて、項目の選択を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−109666(P2013−109666A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255502(P2011−255502)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]