説明

電子機器およびプログラム

【課題】予め用意された画像を用いたゲームと比べて面白く、また、ユーザに撮像のきっかけを与えることが可能なゲームを提供する。
【解決手段】慣用句ゲームでは、ことわざや、慣用句を用いた問題を出題する。例えば「猫に小判」ということわざを用いた場合、「○×に小判」という問題を出題し、ユーザは、「○×」に該当する対象を画像で提示する。対象が写っている画像がなければ、対象を探して撮像し、その画像データを提示する。電子機器は、当該画像データに猫が写っているか否かを判定し、猫が写っていると判断すると正解の旨を報知し、猫が写っていないと判断すると不正解の旨を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を利用したゲームを行うための電子機器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一部が異なる2枚の画像を表示し、相違箇所をユーザに当てさせる、いわゆる間違い探しゲームが可能な電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−209483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単なる間違い探しでは、ユーザが撮像または入手した画像を利用するものではないため、面白みに欠ける。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子機器は、特定の対象が答えとなる問題を出題する出題手段と、出題された問題に対しユーザが回答として指定した画像データを解析し、当該画像データ中に特定の対象が含まれるか否かを判定する判定手段と、所定の対象が含まれると判定した場合に正解の旨をユーザに報知する報知手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、上記電子機器の機能をコンピュータにて実現するためのものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザが撮像または入手した画像をゲームに使用するので、予め用意された画像を用いたゲームと比べて面白く、また、ユーザに撮像のきっかけを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態におけるデジタルカメラの制御ブロック図。
【図2】慣用句ゲームの処理手順を示すフローチャート。
【図3】慣用句ゲームにおける表示内容を示す図で、問題出題時の表示例を示す。
【図4】図3と同様の図で、ユーザが回答画像を選択したときの表示例を示す。
【図5】図3と同様の図で、被写体認識中の表示例を示す。
【図6】図3と同様の図で、正解時の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜図6により本発明をデジタルカメラに適用した場合の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態におけるデジタルカメラの制御ブロック図である。なお、デジタルカメラは、デジタルカメラ機能を持つ機器全般を指す(例えば、カメラ機能付き携帯電話機も含む)。
【0009】
図1において、撮影レンズ1を透過した被写体光束は、撮像素子2で撮像され、その撮像信号は画像処理部3に入力される。画像処理部3を構成する画像処理回路3aは、入力された撮像信号に種々の処理を施して画像データを生成する。画像データは、表示回路3bによる処理を経て、カメラ背面などに設けられた液晶モニタ4に表示される。撮影モード設定時には、上記撮像および画像表示が繰り返され、いわゆるライブビュー表示(スルー画表示)が行われる。撮像指示がなされると改めて撮像が行われ、生成された画像データは記録/再生回路3cを介してメモリカード等の記録媒体5に記録される。
【0010】
一方、再生モードでは、記録媒体5に記録された画像データを記録/再生回路3cにて読み出し、画像処理回路3aおよび表示回路3bによる処理を経て液晶モニタ4に表示することができる。
【0011】
CPU6は、操作部7からの入力に応答して画像処理部3や不図示の回路を制御する。操作部7は、電源ボタンやレリーズボタン、再生操作や情報入力等で用いる各種操作部材、液晶モニタ4の画面上に配置されたタッチパネル等を含む。
【0012】
次に、カメラのゲームモードについて説明する。ゲームの内容は、ことわざや慣用句、流行語等を用いた問題をカメラが出題し、ユーザが画像データによって答えを提示すると、その画像に写っているものをカメラが認識し、正誤を判断して表示するというものである。以下、このゲームを慣用句ゲームと呼ぶ。
【0013】
例えば、「猫に小判」ということわざを用いた場合、カメラは「○×に小判」という問題を出題する。ユーザは、「○×」に該当する対象を文字で入力するのではなく、対象が写っている画像を探すか、または対象を撮像し、その画像データをカメラに提示することで回答する。カメラは、当該画像データに猫が写っているか否かを判定し、猫が写っていると判断すると正解の旨を報知し、猫が写っていないと判断すると不正解の旨を報知する。
【0014】
このように、画像を提示して回答する形式とすることにより、単に文字で回答するゲームや、予め用意された画像のみを用いて行うゲームと比べてゲームとしての楽しみが増し、またユーザに撮像のきっかけを与えることができ、ユーザは、これまでにない撮影の楽しみを味わうことができる。さらに、ことわざや慣用句を用いることで、問題が作り易く、またユーザがことわざ等を憶えることにも役立つ。
【0015】
ところで、上記の慣用句ゲームを実現するには、カメラに被写体認識機能を組み込む必要がある。すなわち、ユーザによって提示された画像データを解析し、形状や色彩等から被写体を特定し、正解となる対象がその画像データ中に含まれているか否かを判断する機能である。これは、特開2004−219520号公報や、特開2006−270137号公報等に記載されているように、対象の形状データおよび色彩データを抽出することで行える。
【0016】
例えば、上記の「猫に小判」の例で、ユーザが猫の画像データを提示したとする。カメラは、画像データに対して形状認識を行い、対象の耳や尻尾の存在およびそれらの形状的特徴を得る。一方、カメラには、複数の対象とその形状的特徴データとを対応づけた形状データベースが設けられ、上記認識した形状的特徴に基づいてデータベース検索を行い、第1候補を抽出する。また、撮影距離や焦点距離(画像ファイルの付加情報として記述されている)から対象のおおよその大きさを判別し、その結果を加味してもよい。この時点で、対象が何らかの「小動物」であると特定できたとする。次に、対象の色に基づき、色彩データベースを用いて候補を絞り込むことで対象を特定する。
【0017】
絞り込みによって対象が1つに絞り込めれば、それによって回答の正誤を判定できるが、対象の色や撮影角度、あるいは被写体認識アルゴリズムの性能によっては1つに絞り込めないことがある。このような場合は、カメラが複数の候補を挙げてユーザに選択させ、選択された対象が正解であれば正解の旨を報知することが考えられる。例えば上記の例において、色彩に基づく絞り込みの結果、「ネズミ」、「犬」、「猫」のいずれかに絞り込めたとすると、これら3候補をユーザに報知し、選択を促す。そして、ユーザが「猫」を選択すると、正解の旨を報知する。
【0018】
図2は上記慣用句ゲームモードにおけるCPU6の処理手順の一例を示している。
まずステップS1において、予め用意された複数の問題からいずれかをランダムに選択する。なお、問題を難易度に応じて幾つかのグループに分け、ユーザがいずれかのグループを選択すると、そのグループから出題するようにしてもよい。
【0019】
ステップS2では、例えば図3に示すように、上記選択した問題を液晶モニタ4に表示する。ここで、カメラ製造時に幾つかの問題をカメラのメモリに記憶させておくとともに、それ以外の問題を、カメラメーカー等が運営するWebサイトからダウンロードして利用できるようにすることが望ましい。Webサイトでは、難易度別に問題を用意し、いずれの難易度の問題をダウンロードするかをユーザが選択できようにしてもよい。
【0020】
次に、ステップS3でユーザから回答画像が提示されるのを待つ。この間、撮像や再生等の通常カメラ動作が許容され、ユーザは、回答画像を撮像したり、既に記録媒体5に記録されている画像データから回答画像を選択することができる。また、ユーザが終了操作を行うと処理を終了し(ステップS4→エンド)、ユーザが現在の問題をパスする操作を行うと、ステップS5からステップS1に戻って次の問題を出題する。
【0021】
ユーザが回答画像を選択すると、図4に示すようその画像を液晶モニタ4に表示し、これでOKか否かをユーザに問う。例えば、液晶モニタ4の画面にタッチパネルが配置されている場合は、図4のように画像に重ね合わせてOKボタンを表示し、このボタンが操作(タッチ)されると、OKと認識するようにしてもよい。
【0022】
OKの場合はステップS3が肯定され、ステップS6で上述したような被写体認識を行う。被写体認識中は、例えば図5のような表示とする。被写体認識の結果、対象が特定された場合はステップS8に進み、正誤判定を行う。正解の場合、すなわち画像中に答えとなる対象が写っていると判断した場合はステップS9に進み、図6に示すような正解表示を行ってステップS1に戻る。正解表示では、図示の如く正解である旨のメッセージと、対象となる慣用表現の全文とを文字表示すると同時に、慣用表現に関連するいくつかの画像を合成して表示してもよい。図6の例では、猫および小判に代わるコインの画像が表示されている。また、正解時に慣用表現にちなんだ音声(例えば、猫の鳴き声)を出力することで、さらに娯楽性の富んだものとなる。なお、これらの正解表示における画像や音声は、予め各問題に対応づけてメモリに記憶しておく。
【0023】
一方、不正解の場合はステップS11に進み、不正解表示(例えば、「残念ながら不正解です」などのメッセージ表示)を行ってステップS3に戻る。ユーザは、もう一度挑戦するか、止めるか、次の問題に進むかを選択できる。なお、不正解の場合にそのまま終了してもよいし、再挑戦するか否かをユーザに問い、YESの場合に再度の画像提示を許可するようにしてもよい。
【0024】
ステップS6での被写体認識の結果、対象が特定されなかった場合はステップS7からステップS11に進み、絞り込まれた幾つかの候補を液晶モニタ4に表示し、ステップS12でユーザの選択を待つ。候補の表示は、予め用意された候補の画像を表示するようにしてもよい。ユーザにより選択操作が行われると、ステップS8で正誤判定を行う。この場合は、ユーザが選択した対象と、答えとなる対象とが一致するか否かの判定である。その後の処理は、上述と同様である。
【0025】
なお、問題の出題方法として、最初は難易度の低い問題を出題し、正解率がアップするにつれて徐々に難易度を上げていくようにすることで、より面白みが増す。ある難易度の正解率が所定値を超えるとレベルアップし、より難易度の高い問題に挑戦する資格が与えられるようにしてもよい。また、慣用表現を用いない出題形式でもよい。
【0026】
さらに、デジタルカメラにて説明したが、それ以外の電子機器にも本発明を適用できる。例えば、上記のゲーム機能を実現するためのプログラムをパーソナルコンピュータ等にインストールしてゲームを行うこともできる。カメラ以外の(撮像機能を持たない)機器を用いる場合には、別体のカメラで撮像した画像データをその機器の記憶装置に格納し、その画像データを回答画像として用いればよい。
【符号の説明】
【0027】
1 撮影レンズ
2 撮像素子
3 画像処理部
4 液晶モニタ
5 記録媒体
6 CPU
7 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の対象が答えとなる問題を出題する出題手段と、
前記出題された問題に対しユーザが回答として指定した画像データを解析し、当該画像データ中に前記特定の対象が含まれるか否かを判定する判定手段と、
前記所定の対象が含まれると判定した場合に正解の旨をユーザに報知する報知手段とを具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
被写体を撮像して前記画像データを生成する撮像手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記特定の対象は、ことわざ、慣用句、流行語の少なくともいずれか一つを含む慣用表現の一部を構成するものであり、前記出題手段は、前記特定の対象を除く前記慣用表現をユーザに提示することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記正解である旨の報知は、当該慣用表現の全文表示を伴うことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記正解である旨の報知は、前記特定の対象に関する音の出力を伴うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記問題を外部から入力する入力手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
コンピュータに、
特定の対象が答えとなる問題を出題する処理と、
前記出題された問題に対しユーザが回答として指定した画像データを解析し、当該画像データ中に前記特定の対象が含まれるか否かを判定する処理と、
前記所定の対象が含まれると判定した場合に正解の旨をユーザに報知する処理とを実行させるためのプログラム。
【請求項8】
前記特定の対象は、ことわざ、慣用句、流行語の少なくともいずれか一つを含む慣用表現の一部を構成するものであり、前記出題にあたり、前記特定の対象を除く前記慣用表現をユーザに提示することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−187995(P2010−187995A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36838(P2009−36838)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】