説明

電子機器および動作モード制御プログラム

【課題】 省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定されるようにする。
【解決手段】 画像形成装置1において、動作モード制御部53は、ネットワークインターフェイス21におけるネットワーク通信がなくなってから、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量に基づく待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合に、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および動作モード制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などの電子機器には、動作モードとして省エネモードを有しているものがある(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
例えば特許文献2に記載の画像形成装置は、通常モードへの復帰事由に基づいて、省エネモードに移行するまでの待ち時間を設定している。
【0004】
また、例えば特許文献3に記載の電子機器は、省電力モードから通常モードへ復帰した後に受信したデータのデータ種別に応じて、省エネモードに移行するまでの待ち時間を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−343792号公報
【特許文献2】特開2001−301280号公報
【特許文献3】特開2006−025212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の技術では、省エネモードに移行するまでの待ち時間が適切に設定されない可能性がある。
【0007】
特許文献2に記載の画像形成装置については、動作モードが通常モードへ復帰したときに、各種機能の利用頻度に応じて、省エネモードに移行するまでの待ち時間が調節されないため、省エネモードに移行するまでの待ち時間が適切に設定されない可能性がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の電子機器については、受信したデータのデータ種別に応じて、省エネモードに移行するまでの待ち時間を設定しているため、そのデータ種別のデータが受信される頻度が考慮されない。例えば、頻度の高いデータ種別の場合、そのデータ種別のデータによる動作要求が発生しやすいため、本来、省エネモードに移行するまでの待ち時間は長めに設定されるべきであるが、特許文献3に記載の電子機器では、頻度に応じて、省エネモードに移行するまでの待ち時間が調節されない。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定される電子機器および動作モード制御プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る電子機器は、ネットワークインターフェイスと、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量に基づく待ち時間が経過するまでにネットワークインターフェイスにおけるネットワーク通信が発生しない場合に、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う動作モード制御部とを備える。
【0012】
これにより、ユーザーの利用状況に応じてネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量が変化するため、省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定される。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、動作モード制御部は、最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う。
【0014】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のネットワーク通信量は、受信パケット数である。
【0015】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のネットワーク通信量は、セッション回数である。
【0016】
これにより、ネットワーク通信種別ごとに1回のセッションで伝送されるデータ量が異なる場合でも、適切に、省エネモードに移行するまでの待ち時間が設定される。
【0017】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、動作モード制御部は、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量およびそのネットワーク通信種別に基づく待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合に、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う。
【0018】
これにより、ネットワーク通信種別ごとにより適切に、省エネモードに移行するまでの待ち時間が設定される。
【0019】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、動作モード制御部は、上述の待ち時間を、ネットワーク通信種別ごとの基本待ち時間をネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量で調節して特定する。
【0020】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、トランスミッションコントロールプロトコルについての基本待ち時間は、ユーザーデータグラムプロトコルについての基本待ち時間より短く設定される。
【0021】
これにより、TCP(Transmission Control Protocol)によるセッションの終了は明示的に検出されるため、ネットワーク通信がなくなった時刻がUDP(User Datagram Protocol)より早めになる。このため、TCPについての基本待ち時間をUDPについての基本待ち時間より短くすることで、省エネモードに移行するまでの待ち時間が適切に設定される。
【0022】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、動作モード制御部は、最後のネットワーク通信の終了からその最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間の計時を開始し、その最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過するまでに新規ネットワーク通信が発生した場合、
(a1)最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別と新規のネットワーク通信のネットワーク通信種別が同一であるときには、計時を中止して、その新規のネットワーク通信を最後のネットワーク通信とし、
(a2)最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別と新規のネットワーク通信のネットワーク通信種別が同一ではないときには、(b1)新規のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間が最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間より長ければ、計時を中止して、その新規のネットワーク通信を最後のネットワーク通信とし、(b2)新規のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間が最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間より長くなければ、最後のネットワーク通信についての計時を継続する。
【0023】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、動作モード制御部は、上述の最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過したときに上述の新規のネットワーク通信が終了していない場合、上述の計時を中止して、その新規のネットワーク通信を最後のネットワーク通信とする。
【0024】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のネットワーク通信種別は、プロトコルおよび/またはポート番号で特定される。
【0025】
本発明に係る動作モード制御プログラムは、動作モードを通常モードと省エネモードとの間で切り替えて動作する電子機器に内蔵されるコンピューターを、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量に基づく待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合に、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う動作モード制御部として機能させる。
【0026】
これにより、ユーザーの利用状況に応じてネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量が変化するため、省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電子機器における省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、ネットワーク通信種別ごとの通信期間および省エネモード移行待ち時間の一例をタイミングチャートである。
【図3】図3は、実施の形態2における最後のセッション終了後の動作モード制御部の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
実施の形態1.
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置1は、プリンター、複合機などであって、電子機器の一種である。
【0032】
この実施の形態では、画像形成装置1は、パーソナルコンピューターなどのホスト装置2にネットワークを介して接続され、そのホスト装置2からネットワーク通信でデータを受信し、適宜処理する。
【0033】
画像形成装置1は、メインシステム11、およびサブシステム12を有する。この画像形成装置1の動作モードは、通常モードおよび省エネモードのいずれかとなる。通常モードでは、メインシステム11およびサブシステム12が給電され動作する。省エネモードでは、メインシステム11への給電が停止され、サブシステム12は給電され動作する。このため、省エネモードでの消費電力は、通常モードでの消費電力より低くなる。
【0034】
サブシステム12は、ネットワークインターフェイス21、バッファー22、および演算処理装置23を有する。
【0035】
ネットワークインターフェイス21は、ネットワークを介してホスト装置2からデータを受信する通信回路であり、バッファー22は、ネットワークインターフェイス21により受信されたデータを一時的に記憶するメモリーなどの装置である。ネットワークインターフェイス21により受信されたデータは、順番にバッファー22に蓄積されていき、メインシステム11またはサブシステム12により処理されると、バッファー22から消去される。
【0036】
通常モードではバッファー22に記憶されているデータは、メインシステム11により処理され、省エネモードではバッファー22に記憶されているデータは、サブシステム12により処理される。
【0037】
演算処理装置23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、図示せぬ記憶装置、ROMなどからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、通信処理部31、システム制御部32などを実現する。
【0038】
通信処理部31は、省エネモードにおいて、当該通信処理部31により処理可能である受信データをバッファー22から読み出して処理し、受信データが当該通信処理部31により処理可能ではない場合には、システム制御部32により画像形成装置1の動作モードを省エネモードから通常モードへ切換させる。つまり、通信処理部31は、省エネモードにおいてネットワーク通信を行い、応答可能な要求があると、その要求に応じた応答を行う。
【0039】
システム制御部32は、通常モードによるメインシステム11から指令に応じてメインシステム11への給電を停止するとともに、省エネモードによる通信処理部31から指令などに応じてメインシステム11への給電を再開する。
【0040】
一方、メインシステム11は、図示せぬ内部装置(印刷装置、画像読取装置、ファクシミリ通信用のモデムなど)を制御して各種ジョブを実行させる装置である。メインシステム11は、演算処理装置41および記憶装置42を有する。
【0041】
演算処理装置41は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターであり、記憶装置42、ROMなどからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、通信処理部51、ジョブ管理部52、動作モード制御部53などを実現する。
【0042】
記憶装置42は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどといった不揮発性の記憶装置であって、演算処理装置41により実行されるプログラム42aが格納されている。なお、プログラム42aは、可搬性のある記録媒体に記録しておき、その記録媒体およびその記録媒体からプログラム42aを読み出す駆動装置を記憶装置42としてもよい。
【0043】
通信処理部51は、通常モードにおいて、所定の通信プロトコルで受信データをバッファー22から読み出して受信し、その受信データをジョブ管理部52に供給するとともに、受信データのネットワーク通信種別およびネットワーク通信量を動作モード制御部53に通知する。この実施の形態では、ネットワーク通信量は、IPパケットなどの受信パケット数である。ただし、ネットワーク通信量は、TCP、UDPなどのセッション回数としてもよい。なお、UDPについては、例えば、UDPデータが所定時間到来しなければ、セッションの終了と判断するようにしてセッション回数をカウントすればよい。
【0044】
ジョブ管理部52は、受信データにより指定されたジョブ(プリントジョブ、ファクシミリ送信ジョブなど)を実行する。
【0045】
動作モード制御部53は、画像形成装置1の起動時からの、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量を集計し、ネットワーク通信種別ごとに、ネットワーク通信量から、ネットワーク通信種別に対応する待ち時間を決定する。そして、動作モード制御部53は、ネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過するまでに、ネットワークインターフェイス21におけるネットワーク通信が発生しない場合に、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う。
【0046】
この実施の形態では、動作モード制御部53は、最後のネットワーク通信のネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う。
【0047】
また、この実施の形態では、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量およびそのネットワーク通信種別に基づいて、省エネモードに移行するまでの待ち時間が決定される。
【0048】
具体的には、動作モード制御部53は、上述の待ち時間を、ネットワーク通信種別ごとの基本待ち時間をネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量で調節して特定する。
【0049】
また、この実施の形態では、TCPを使用するネットワーク通信種別についての基本待ち時間は、UDPを使用するネットワーク通信種別についての基本待ち時間より短く設定される。
【0050】
また、この実施の形態では、ネットワーク通信種別は、プロトコルおよび/またはポート番号で特定され分類される。
【0051】
例えば、ジョブの種別ごとに異なるポート番号でデータが受信されるため、ジョブの種別ごとに、上述の待ち時間の設定が可能になる。例えば、プリントジョブに割り当てられるポート番号のネットワーク通信種別については、動作モードが通常モードへ復帰したときに、定着器の加熱のために、プリントジョブが実行されるまでに比較的長い時間を要するため、省エネモードに移行するまでの待ち時間が長く設定される。例えば、プリントジョブに割り当てられるポート番号のネットワーク通信種別についての、上述の基本待ち時間が、他のポート番号のネットワーク通信種別の基本待ち時間より長く設定される。
【0052】
次に、上記画像形成装置1の動作について説明する。
【0053】
通常モードにおいて、メインシステム11の通信処理部51は、バッファー22を監視しており、ネットワークインターフェイス21により受信されたデータをバッファー22から読み出して、各プロトコルでの受信処理を行い、受信データをジョブ管理部52に供給するとともに、予め指定されているネットワーク通信種別のそれぞれについて、セッション開始、セッション終了、およびそのセッションでの受信パケット数を動作モード制御部53に通知する。
【0054】
動作モード制御部53は、その通知に基づいて、そのセッションのネットワーク種別についてのネットワーク通信量(ここでは、受信パケット数)の累積値を計算する。なお、このネットワーク通信量の累積値は、所定の期間あたりの累積値であって、この所定の期間は、例えば、セッション内での累積値、直近の一定時間(1時間、24時間、前日、先週など)、現在の属する時期に対応する過去の時期(例えば、同一時間帯、同一曜日、同一月など)などとされる。
【0055】
また、動作モード制御部53は、すべてのネットワーク通信種別についてセッションがなくなった時点、つまり、最後のセッションの終了時点で(ネットワークインターフェイス21によるネットワーク通信がなくなった時点で)、計時を開始するとともに、最後のセッションのネットワーク通信種別について、ネットワーク通信量(ここでは、受信パケット数)の累積値から省エネモード移行待ち時間を計算する。具体的には、そのネットワーク通信種別の基本待ち時間(固定値)に、受信パケット数の累積値に所定の係数を乗算した値を加算して、省エネモード移行待ち時間が計算される。
【0056】
そして、計時を開始してから、その省エネモード移行待ち時間が経過するまでに、新たなセッション開始の通知が通信処理部51から得られない場合には、動作モード制御部53は、省エネモード移行のための指令をサブシステム12のシステム制御部32に出力する。サブシステム12のシステム制御部32は、その指令を受け付けると、通信処理部31の動作を開始させるとともに、メインシステム11およびその他の内部装置への給電を停止する。これにより、画像形成装置1の動作モードが、通常モードから省エネモードに移行する。
【0057】
一方、計時を開始してから、その省エネモード移行待ち時間が経過するまでに、新たなセッション開始の通知が通信処理部51から得られた場合には、動作モード制御部53は、計時を停止しリセットする。
【0058】
図2は、ネットワーク通信種別ごとの通信期間および省エネモード移行待ち時間の一例をタイミングチャートである。
【0059】
図2においては、ネットワーク通信種別A,B,Cのデータ受信の終了時点Ta0,Tb0,Tc0のうち、ネットワーク通信種別Cのデータ受信が最も遅く終了しているため、ネットワーク通信種別Cのデータ受信の終了時点Tc0から、ネットワーク通信種別Cについての省エネモード移行待ち時間Twcが経過した時点Tc1で、動作モード制御部53は、省エネモード移行のための指令を出力する。
【0060】
以上のように、上記実施の形態1によれば、動作モード制御部53は、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量に基づく待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合に、通常モードから省エネモードへの動作モードの切り替えを行う。
【0061】
これにより、ユーザーの利用状況に応じてネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量が変化するため、省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定される。
【0062】
実施の形態2.
【0063】
実施の形態1では、省エネモード移行待ち時間が経過するまでに新たなセッション開始の通知が通信処理部51から得られた場合、動作モード制御部53は、計時を停止しリセットしている。実施の形態2に係る画像形成装置では、省エネモード移行待ち時間が経過するまでに新たなセッション開始の通知が通信処理部51から得られた場合には、以下に示す処理が実行される。なお、実施の形態2に係る画像形成装置の基本的な構成およびその他の動作については実施の形態1のものと同様である。
【0064】
図3は、実施の形態2における最後のセッション終了後の動作モード制御部53の動作について説明するフローチャートである。
【0065】
動作モード制御部53は、すべてのネットワーク通信種別についてセッションがなくなった時点、つまり、最後のセッションの終了時点で(ステップS1)、計時を開始するとともに(ステップS2)、最後のセッションについての省エネモード移行待ち時間を特定する。最後のセッションについての省エネモード移行待ち時間は、最後のセッションのネットワーク通信種別に対応する省エネモード移行待ち時間とされる。なお、省エネモード移行待ち時間は、ネットワーク通信量の累積値から計算されるようにしてもよい。例えば、そのネットワーク通信種別に対応する基本待ち時間(固定値)に、受信パケット数の累積値に所定の係数を乗算した値を加算して、省エネモード移行待ち時間が計算される。
【0066】
そして、計時を開始してから、動作モード制御部53は、新たなセッション開始の通知があったか(ステップS3)、および省エネモード移行待ち時間が経過したか(ステップS4)を監視する。
【0067】
省エネモード移行待ち時間が経過するまでに新たなセッション開始の通知があると、動作モード制御部53は、新たなセッションのネットワーク通信種別と上述の最後のセッションのネットワーク通信種別とが同一であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0068】
新たなセッションのネットワーク通信種別と上述の最後のセッションのネットワーク通信種別とが同一である場合、動作モード制御部53は、計時を停止しリセットする(ステップS6)。これにより、この新たなセッションが、現時点での最後のセッションとなる。
【0069】
新たなセッションのネットワーク通信種別と上述の最後のセッションのネットワーク通信種別とが同一ではない場合、動作モード制御部53は、新たなセッションについての省エネモード移行待ち時間が、上述の最後のセッションについての省エネモード移行待ち時間より長いか否かを判定する(ステップS7)。
【0070】
新たなセッションのネットワーク通信種別と上述の最後のセッションのネットワーク通信種別とが同一ではなく、かつ、新たなセッションについての省エネモード移行待ち時間が、上述の最後のセッションについての省エネモード移行待ち時間より長い場合、動作モード制御部53は、計時を停止しリセットする(ステップS6)。これにより、この新たなセッションが、現時点での最後のセッションとなる。
【0071】
一方、新たなセッションのネットワーク通信種別と上述の最後のセッションのネットワーク通信種別とが同一ではなく、かつ、新たなセッションについての省エネモード移行待ち時間が、上述の最後のセッションについての省エネモード移行待ち時間より長くない場合、動作モード制御部53は、ステップS3およびステップS4に戻り、上述の最後のセッションについての計時を継続する。
【0072】
そして、上述の最後のセッションについての省エネモード移行待ち時間が経過したと判定すると(ステップS4)、動作モード制御部53は、開始の通知が受けた新たなセッションがすべて終了しているか否かを判定する(ステップS8)。
【0073】
動作モード制御部53は、開始の通知が受けた新たなセッションがすべて終了している場合(新たなセッションがなかった場合を含む)、省エネモード移行のための指令をサブシステム12のシステム制御部32に出力する(ステップS9)。サブシステム12のシステム制御部32は、その指令を受け付けると、通信処理部31の動作を開始させるとともに、メインシステム11およびその他の内部装置への給電を停止する。これにより、画像形成装置1の動作モードが、通常モードから省エネモードに移行する。
【0074】
一方、開始の通知が受けた新たなセッションの少なくとも1つが終了していない場合、計時を停止しリセットする(ステップS6)。これにより、通常モードから省エネモードへの移行は行われずに、この新たなセッションが、現時点での最後のセッションとなる。
【0075】
以上のように、上記実施の形態2によれば、省エネモード移行待ち時間の計時中に新たなセッションが開始された場合、その新たなセッションのネットワーク通信種別や省エネモード移行待ち時間に基づいて、省エネモード移行待ち時間の計時を中止するか否かが決定される。これにより、省エネモードに移行するまでの待ち時間が、ユーザーの利用状況に応じて適切に設定される。
【0076】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0077】
例えば、上記実施の形態において、通信処理部31は、省エネモードにおいて、各ネットワーク通信種別についてのネットワーク通信量をカウントし、そのカウント値を、省エネモードから通常モードへ移行する際に、動作モード制御部53に通知し、動作モード制御部53は、そのカウント値を、通常モードにおいて集計したネットワーク通信量に加算するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、ネットワーク通信量は、前回の省エネモードから通常モードへの移行時からカウントするようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態においては、最後のネットワーク通信についての省エネモード移行待ち時間に基づいて省エネモード移行の時点(図2での時点Tc1=Tc0+Twc)を決定しているが、その代わりに、すべてのネットワーク通信種別について省エネモード移行待ち時間が経過したとき(つまり、図2における時点Tb1=Tb0+Twb)や、いずれか1つの種別について省エネモード移行待ち時間が経過したとき(つまり、図2における時点Ta1=Ta0+Twa)を、省エネモード移行の時点としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、省エネモードを有する画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置(電子機器の一例)
21 ネットワークインターフェイス
42a プログラム(動作モード制御プログラムの一例)
53 動作モード制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードを通常モードと省エネモードとの間で切り替えて動作する電子機器において、
ネットワークインターフェイスと、
ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量に基づく待ち時間が経過するまでに前記ネットワークインターフェイスにおけるネットワーク通信が発生しない場合に、前記通常モードから前記省エネモードへの動作モードの切り替えを行う動作モード制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記動作モード制御部は、最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合、前記通常モードから前記省エネモードへの動作モードの切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記ネットワーク通信量は、受信パケット数であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記ネットワーク通信量は、セッション回数であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記動作モード制御部は、ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量およびそのネットワーク通信種別に基づく待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合に、前記通常モードから前記省エネモードへの動作モードの切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記動作モード制御部は、前記待ち時間を、ネットワーク通信種別ごとの基本待ち時間をネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量で調節して特定することを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
トランスミッションコントロールプロトコルについての前記基本待ち時間は、ユーザーデータグラムプロトコルについての前記基本待ち時間より短いことを特徴とする請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
前記動作モード制御部は、最後のネットワーク通信の終了から前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間の計時を開始し、前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過するまでに新規ネットワーク通信が発生した場合、
(a1)前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別と前記新規のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別が同一であるときには、前記計時を中止して、前記新規のネットワーク通信を最後のネットワーク通信とし、
(a2)前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別と前記新規のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別が同一ではないときには、(b1)前記新規のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間が前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間より長ければ、前記計時を中止して、前記新規のネットワーク通信を最後のネットワーク通信とし、(b2)前記新規のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間が前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間より長くなければ、前記最後のネットワーク通信についての前記計時を継続すること、
を特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項9】
前記動作モード制御部は、前記最後のネットワーク通信の前記ネットワーク通信種別に対応する待ち時間が経過したときに前記新規のネットワーク通信が終了していない場合、前記計時を中止して、前記新規のネットワーク通信を最後のネットワーク通信とすることを特徴とする請求項8記載の電子機器。
【請求項10】
前記ネットワーク通信種別は、プロトコルおよび/またはポート番号で特定されることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項11】
動作モードを通常モードと省エネモードとの間で切り替えて動作する電子機器に内蔵されるコンピューターを、
ネットワーク通信種別ごとのネットワーク通信量に基づく待ち時間が経過するまでにネットワーク通信が発生しない場合に、前記通常モードから前記省エネモードへの動作モードの切り替えを行う動作モード制御部
として機能させる動作モード制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−99927(P2013−99927A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171625(P2012−171625)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】